特許第6620310号(P6620310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620310
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】流路切替弁及びそれを備えた給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/06 20060101AFI20191209BHJP
   F16K 3/18 20060101ALI20191209BHJP
   F16K 11/074 20060101ALI20191209BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20191209BHJP
   F24H 4/02 20060101ALN20191209BHJP
【FI】
   F16K3/06 A
   F16K3/18 B
   F16K11/074 Z
   F24H1/18 H
   !F24H4/02 G
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-13604(P2016-13604)
(22)【出願日】2016年1月27日
(65)【公開番号】特開2017-133591(P2017-133591A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 忠
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−172403(JP,A)
【文献】 実開昭55−153453(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00− 3/36
F16K 11/00−11/24
F24H 1/18− 1/20
F24H 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの流入ポート、複数の流出ポートを有する本体と、回転することで前記流入ポートと前記複数の流出ポートの少なくとも1つとを連通させる貫通孔を有し、樹脂材料またはゴム材料から形成されている閉止弁体と、前記閉止弁体とは別部品で、前記閉止弁体を回転させ、前記閉止弁体より硬い材料から形成されている回転軸と、前記回転軸の下部に形成され、前記閉止弁体を前記閉止弁体の下面を支持し、前記回転軸の外径より大きい支持部と、前記回転軸を回転させる駆動部とを備え、前記閉止弁体と前記回転軸とは同時に回転するように嵌合されており、また、前記本体の内部圧力の前記支持部への作用により、前記回転軸が所定の方向に移動することで、前記閉止弁体も前記支持部により前記回転軸の移動方向と同一方向に移動し、前記複数の流出ポートのうち、前記閉止弁体の上面が、前記閉止弁体の前記貫通孔と連通していない前記流出ポートを閉塞する構成としたことを特徴とする流路切替弁。
【請求項2】
湯水と貯留する貯湯槽と、前記貯湯槽に給水する給水管と、前記給水管に設けられた減圧弁と、前記湯水を加熱する加熱手段とを備え、前記貯湯槽の下部の湯水を、前記加熱手段を介して、前記貯湯槽の上部に戻すか、あるいは、前記貯湯槽の下部へ戻すかを、前記請求項1に記載の流路切替弁により切替える構成としたことを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路切替弁及びそれを備えた給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯装置に用いられている流路切替手段回転軸として、閉止弁体を用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この流路切替手段は、図8に示すように、流路切替弁の本体19の内部には、回転式の閉止弁体23が設置されており、閉止弁体23の回転軸24を、電動モーターを有した駆動部26で駆動させることにより、回転式の閉止弁体23が軸周りに回転して、流路が切り替わるようになっている。
【0004】
回転軸24の周囲にはOリング27が配置されており、流路切替弁の本体19内の流体が外部に漏れるのを防いでいる。また、これにより閉止弁体23は本体19に軸支されている。
【0005】
また、閉止弁体23は、本体19に沿ってZ軸の方向に摺動(移動)する。閉止弁体23には貫通孔29が設けられており、貫通孔29は流路切替弁の本体19に開けられている第1の流出ポート(貯湯槽下流路)21への流出口、第2の流出ポート(貯湯槽上流路)22への流出口と一致する開口形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−172403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では閉止弁体23と回転軸24が一体になっているため、閉止弁体を閉止性能が高い軟らかい材料を使用し、回転軸は強度が高い硬い材料を使うなど、異なった材質で構成することができず、また、閉止弁体23を樹脂で成形する際に、閉止弁体上にパーティングラインがつき、本体19と閉止弁体23の密着性が低下して弁漏れが発生するという課題を有していた。
【0008】
また、前記閉止弁体上のパーティングラインを切削加工すると切り屑が発生し、本体19と閉止弁体23の間に挟まれて水漏れにつながる恐れがあるため、前記水漏れを防ぐために切り屑の除去が必要になり、生産効率が低下し、コストアップにつながるという課題も有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、閉止性能に優れた流路切替弁及びそれを備えた給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の流路切替弁は、少なくとも1つの流入ポート、複数の流出ポートを有する本体と、回転することで前記流入ポートと前記複数の流出ポートの少なくとも1つとを連通させる貫通孔を有し、樹脂材料またはゴム材料から形成されている閉止弁体と、前記閉止弁体とは別部品で、前記閉止弁体を回転させ、前記閉止弁体より硬い材料から形成されている回転軸と、前記回転軸の下部に形成され、前記閉止弁体を前記閉止弁体の下面を支持し、前記回転軸の外径より大きい支持部と、前記回転軸を回転させる駆動部とを備え、前記閉止弁体と前記回転軸とは同時に回転するように嵌合されており、また、前記本体の内部圧力の前記支持部への作用により、前記回転軸が所定の方向に移動することで、前記閉止弁体も前記支持部により前記回転軸の移動方向と同一方向に移動し、前記複数の流出ポートのうち、前記閉止弁体の上面が、前記閉止弁体の前記貫通孔と連通していない前記流出ポートを閉塞する構成としたことを特徴とするものである。
【0011】
これにより、閉止弁体と回転軸が別部品で構成できるため、閉止弁体は閉止性能が高い材質を選定し、回転軸には強度の高い材質を選定で、また、樹脂成形する際にパーティングラインが閉止弁体の閉止面につかないため、本体と閉止弁の密着性が向上し、水漏れを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、閉止性能に優れた流路切替弁及びそれを備えた給湯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1における給湯装置の回路図
図2】本発明の実施の形態1における流路切替弁の断面図
図3】同流路切替弁の閉止弁体の上面図と正面図
図4】同流路切替弁の回転軸の上面図と正面図
図5】同流路切替弁が貯湯槽下流路に切替っているときの下面図
図6】同流路切替弁が貯湯槽上流路に切替っているときの下面図
図7】同流路切替弁の出口から異常加圧された状態の流路切替え弁の断面図
図8】従来の給湯装置に用いられている流路切替弁の断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、少なくとも1つの流入ポート、複数の流出ポートを有する本体と、回転することで前記流入ポートと前記複数の流出ポートの少なくとも1つとを連通させる貫通孔を有し、樹脂材料またはゴム材料から形成されている閉止弁体と、前記閉止弁体とは別部品で、前記閉止弁体を回転させ、前記閉止弁体より硬い材料から形成されている回転軸と、前記回転軸の下部に形成され、前記閉止弁体を前記閉止弁体の下面を支持し、前記回転軸の外径より大きい支持部と、前記回転軸を回転させる駆動部とを備え、前記閉止弁体と前記回転軸とは同時に回転するように嵌合されており、また、前記本体の内部圧力の前記支持部への作用により、前記回転軸が所定の方向に移動することで、前記閉止弁体も前記支持部により前記回転軸の移動方向と同一方向に移動し、前記複数の流出ポートのうち、前記閉止弁体の上面が、前記閉止弁体の前記貫通孔と連通していない前記流出ポートを閉塞する構成としたことを特徴とする流路切替弁である。
【0015】
これにより、回転軸と閉止弁が別部品で構成できるため、閉止弁体を閉止性能が高い軟らかい材料を使用し、回転軸は強度が高い硬い材料を使うなど、異なった材質で構成することができ、閉止性能が向上する。また、閉止弁を樹脂成形で作成する際にパーティングラインが閉止面につかないので、閉止性能が向上させることができ、パーティングラインの除去およびそれに伴う切り屑の除去などが不要で、より安価な流路切替弁を提供することができる。
【0016】
第2の発明は、湯水と貯留する貯湯槽と、前記貯湯槽に給水する給水管と、前記給水管に設けられた減圧弁と、前記湯水を加熱する加熱手段とを備え、前記貯湯槽の下部の湯水を、前記加熱手段を介して、前記貯湯槽の上部に戻すか、あるいは、前記貯湯槽の下部へ戻すかを、前記第1の発明に記載の流路切替弁により切替える構成としたことを特徴とする給湯装置である。
【0017】
これにより、貯湯槽の下部の湯水を、前記加熱手段を介して、前記貯湯槽の上部または下部へと戻すときに、弁漏れが発生せずに流路の切り替えが可能で、熱効率の低下が防げる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における流路切替弁を備えた給湯装置の概略構成図である。
【0020】
図1において、給湯装置は、貯湯槽1と、加熱手段としてのヒートポンプ熱源2を備える。給水源から供給された水は、給水管3と減圧弁4を通り、貯湯槽1の下部と給湯混合弁5に分岐され、貯湯槽1の下部から入水された水は貯湯槽1に貯まる。
【0021】
貯湯槽1の下部とヒートポンプ熱源2とは沸き上げポンプ6を介してヒートポンプ往き管7で接続されている。
【0022】
ヒートポンプ熱源2内には圧縮機8が内蔵され、ヒートポンプ熱源2に入水された湯水と熱交換して温度を上げて、ヒートポンプ戻り管9と貯湯槽下戻り管10を通って、貯湯槽1の下部に戻るようになっている。ヒートポンプ戻り管9と貯湯槽下戻り管10の間には流路切替弁11が設けられている。
【0023】
沸き上げ初期には、ヒートポンプ熱源2から戻ってくる湯温は低く(例えば、60℃未満)、その場合には流路切替弁11の流路は沸き上げた湯を、貯湯槽下戻り管10を通り貯湯槽1の下部に供給するようになっている。
【0024】
ヒートポンプ熱源2から戻ってくる湯温が高くなった場合(例えば、60℃以上)には、流路切替弁11の流路は、貯湯槽上戻り管12を通り、貯湯槽1の上部に戻すようになっている。
【0025】
すなわち、ヒートポンプ往き管7、ヒートポンプ戻り管9、貯湯槽下戻り管10または貯湯槽上戻り管12が互いに接続されて、貯湯槽1の下部の湯水が貯湯槽1の上部に向かって流れ、貯湯槽1内の湯水を加熱する加熱回路が形成される。
【0026】
貯湯槽1の上部に貯えられた湯と給水管3から分岐された水は給湯混合弁5で混合され、給湯温度センサ16、流量センサ17を通り蛇口18から出湯される。
【0027】
ヒートポンプ熱源2の入口には入水温度を測温する入水温度センサ13と、出口にはヒートポンプ熱源2からの出湯温度を検出する出湯温度センサ14が設けられており、検出された温度データは制御基板15に送られる。
【0028】
検出された温度は圧縮機8の出力を調整するために用いられ、出湯温度センサ14の温度情報により流路切替弁11が制御される。
【0029】
図2に、本実施の形態1の流路切替弁11の断面図を示す。図2において、流路切替弁11の本体19内には、流入ポート20と、第1の流出ポート21、第2の流出ポート22の、少なくとも1つの流入路と複数の流出路とが設けられている。
【0030】
本実施の形態では、本体19内には、少なくとも3方向の流路が設けられており、流入ポート20側には、ヒートポンプ戻り管9に接続され、ヒートポンプ熱源2により加熱された温水が戻ってくるヒートポンプ戻り流路を構成する。
【0031】
第1の流出ポート21側には、貯湯槽上戻り管12が接続されており、貯湯槽1の上部に湯水を送る貯湯槽上流路を構成する、第2の流出ポート22側には、貯湯槽下戻り管10が接続されており、貯湯槽1の下部に湯水を送る貯湯槽下流路を構成する。
【0032】
なお、本実施の形態において、本体19は一体に構成されているが、本体19は、上述の少なくとも3方向の流路を有していれば、複数の部材を組み合わせて構成されているものであってもかまわない。
【0033】
流路切替弁11の本体19の内部には、回転式の閉止弁体23が設置されており、回転式の閉止弁体23と回転軸24とは回転止め25が設けられており、回転軸24が回転するのと同時に閉止弁体23も回転するようになっている。
【0034】
回転軸24は電動モーターを有した駆動部26で駆動させることにより、回転式の閉止弁体23はZ軸を中心に回転して、流路が切り替わるようになっている。
【0035】
回転軸24の周囲にはOリング27が配置されており、流路切替弁11の本体19内の流体が外部に漏れるのを防いでいる。
【0036】
また、これにより、閉止弁体23は本体19に軸支されている。回転軸24の下部には、閉止弁体23を下部より支持する支持部28が、回転軸24の外径より大きく形成されている。
【0037】
図3に閉止弁体23の上面図と正面図を示す。また、図4に回転軸の上面図と正面図を示す。
【0038】
回転軸24に設けられている回転止めの突起31が閉止弁体23の切欠き30と嵌合し回転軸24の回転と同時に閉止弁体23がZ軸周りに回転するようになっている。
【0039】
図5に流路切替弁11が第1の流出ポート(貯湯槽下流路)21側に切替っているときの下面図を示す。
【0040】
流路切替弁11の本体19内の回転式の閉止弁体23に開けられた貫通孔29と、貯湯槽下流路21への流出口が一致し、ヒートポンプ戻り管9から流出した湯水が流路切替弁11の流入ポート20から流入し、貯湯槽下流路21を介して貯湯槽下戻り管10へと流入する。その後、貯湯槽1の下部から貯湯槽1内に供給される。
【0041】
図6に流路切替弁11が第2の流出ポート(貯湯槽上流路)22側に切替っているときの下面図を示す。
【0042】
流路切替弁11の本体19内の回転式の閉止弁体23に開けられた貫通孔29と貯湯槽上流路22が一致し、ヒートポンプ戻り管9から流出した湯水が、流路切替弁11の流入ポート20から流入して、貯湯槽上流路22を介して貯湯槽上戻り管12に流入する。
【0043】
その後、貯湯槽1の上部から貯湯槽1内に供給される。ヒートポンプ戻り管9から流入した湯水の流出先を、貯湯槽上流路22から貯湯槽下流路21に切替えるには、駆動部26を駆動させて、回転式の閉止弁体23を所定角度(本実施の形態では180度)回転することによって実現できる。
【0044】
次に、動作、作用について説明する。貯湯槽1への湯の貯湯は、流路切替弁11を、流入ポート20から流入した湯水が貯湯槽上流路22へと流れるように、回転式の閉止弁体23の位置を設定する。
【0045】
これにより、貯湯槽1の上部に湯が貯湯されるようにする。貯湯槽1への湯の貯湯が終了したら、流路切替弁11を、流入ポート20から流入した湯水が、貯湯槽下流路21へと流れるように、回転式の閉止弁体23を所定角度(本実施の形態では180度)回転させる。
【0046】
これによって、貯湯槽上流路22が閉止弁体23によって閉塞され、貯湯槽1の上部に貯湯された湯が貯湯槽1の下部に対流することを防ぐ。
【0047】
ここで、本体19に内圧の作用により、回転軸24は、図2に示すZ軸方向に移動し、回転軸24に設けられた支持部28により、閉止弁体23も回転軸24と同様にZ軸方向に移動し、本体19と密着することにより貯湯槽下流路21および貯湯槽上流路22と、閉止弁体23の貫通孔29と連通していない箇所の水漏れを防ぐことができる。
【0048】
図7は、流路切替弁11の流出ポート(21、22)側に接続された配管内で過大な圧力が生じた状態の流路切替弁11の断面を示す。
【0049】
貯湯槽1への湯の供給が終了したら、貯湯槽上流路22は閉止弁体23によって閉塞されているので、貯湯槽上戻り管12内の圧力が凍結等により上昇した場合、閉止弁体23は、流路切替弁11の下方に動き、隙間32を発生させる。
【0050】
これにより、その時点で閉塞されている流出ポート(貯湯槽上流路22)が開放されて、複数の流出ポート(21、22)が連通するため、貯湯槽上戻り管12内の圧力上昇が解消され、流路切替弁11の破損を防ぐことができる。
【0051】
また、給湯装置を長期間使用しないために貯湯槽1の湯水を抜く際には、流路切替弁11の内圧(特に、流入ポート20側の内圧)が大気圧と同程度になり、流入ポート20側の内圧と流出ポート(21、22)側の内圧との圧力差が増大するので、貯湯槽上流路22を閉塞していた回転式の閉止弁体23の閉弁機能が減少、または、喪失する。
【0052】
よって、貯湯槽上戻り管12内の湯水が閉止弁体23、ヒートポンプ戻り管9を通り、給湯装置外に排出されるので、特に、貯湯槽上戻り管12内の残水の凍結による流路切替弁11の破損を防ぐことができる。
【0053】
回転軸24は、本体19の内圧と外気圧(大気圧)の差圧を受けるので、それに耐える硬い材質(例えばPPSなど)を選定する必要があり、閉止弁体23と回転軸24を一体で構成すると閉止弁体23も硬い材質になってしまう。
【0054】
前述のように閉止弁体23を硬い材質にすると、閉止機能が劣るため、閉塞されている流路への漏れが発生してしまう。
【0055】
前述のように漏れが発生すると、流入ポート20から貯湯槽下流路21に流路切替弁11の流路が設定されている場合は、ヒートポンプ熱源2から流入するのは低温水であり、貯湯槽上部に前記低温水が流入すると貯湯槽1の上部の湯温度が低下してしまい、使用できる総熱量が少なくなるので、熱効率の低下になってしまう。
【0056】
本発明のように、閉止弁体23と回転軸24を別部品で構成することにより、回転軸24は強度を重視して硬い材質(例えばPPSなど)を用い、閉止弁体23は閉止性能を重視して軟らかい材質(例えばPTFEなど)を用いることが可能となり、弁体の漏れを防いで効率の高い給湯機を提供することが可能となる。
【0057】
また、閉止弁体23と回転軸24とが別部品なので、閉止弁体を樹脂やゴム材料で作る場合、金型の割り面に発生するパーティングラインが閉止弁体23の上面ではなく、図3に示すように閉止弁体の側面に発生するため、閉止面である閉止弁体23の上面は表面粗さが向上し、閉止性能が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、閉止性能に優れた流路切替弁を実現することができるので、業務用、家庭用の給湯装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 貯湯槽
2 ヒートポンプ熱源(加熱手段)
3 給水管
4 減圧弁
5 給湯混合弁
6 沸き上げポンプ
7 ヒートポンプ往き管
8 圧縮機
9 ヒートポンプ戻り管
10 貯湯槽下戻り管
11 流路切替弁
12 貯湯槽上戻り管
13 入水温度センサ
14 出湯温度センサ
15 制御基板
16 給湯温度センサ
17 流量センサ
18 蛇口
19 本体
20 流入ポート(ヒートポンプ戻り流路)
21 第1の流出ポート(貯湯槽下流路)
22 第2の流出ポート(貯湯槽上流路)
23 閉止弁体
24 回転軸
25 回転止め
26 駆動部
27 Oリング
28 支持部
29 貫通孔
30 切欠き
31 突起
32 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8