【文献】
SA WG5,TR 32.841: Study on WLAN Management[online],3GPP TSG-SA#61 SP-130453,2013年 9月13日,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/TSG_SA/TSGS_61/Docs/SP-130453.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運用情報が所定の条件を満たさない場合に、前記運用情報が接続障害を示していると判定し、判定した前記運用情報と対応する前記映像とを障害情報として管理する判定部をさらに備え、
前記映像管理部は、前記障害情報の中から、所定の日時に対応付けられた前記映像と前記運用情報を抽出して前記表示部に表示する、
請求項1記載のネットワーク運用管理システム。
前記運用情報が所定の条件を満たさない場合に、前記運用情報が接続障害を示していると判定し、判定した前記運用情報と対応する前記映像とを障害情報として管理する判定部をさらに備え、
前記映像管理部は、前記障害情報の中から、所定の日時に対応付けられた前記映像と前記運用情報を抽出する、
請求項4記載のネットワーク運用管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
従来の無線LANシステムに関し、以下の問題が生じる。
【0011】
例えば、特許文献1では、無線通信が出来ない障害要因として、無線端末とAPの間に通信を阻害する障害物がある場合は、運用状況だけでは阻害要因の絞込みができない。また、無線端末の使用者は通信品質が劣化した場合の使用状況を覚えていない場合がある。そのため、通信品質が劣化したときの通信環境を再現できず、障害要因の絞込みに時間を要する。
【0012】
そこで、このような問題を解決するために、本開示では、運用状況に加え、使用時の状況を用いて、障害要因の絞り込みを容易に行うことが可能なネットワーク運用管理システム、ネットワーク運用管理装置およびネットワーク運用管理方法を提供する。
【0013】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
本開示において、無線LANシステムが構築された作業エリアにおいて、作業者が無線端末を使用する場合を例に説明する。作業エリアは、商品を製造する工場とし、工場内には、少なくとも1つの基地局と、少なくとも1つの監視カメラが設置されているものとする。また、作業者は、無線端末を用いて工場で生産した商品の在庫管理を行っているものとする。作業者により入力された在庫情報は、工場の外にある管理部門に設置された在庫管理サーバに送信され、管理部門にて管理者により管理される。管理者は、工場の無線LANシステムの運用状況も管理する。
【0016】
(実施の形態1)
実施の形態1では、工場内に4台の無線端末があり、各々別の作業者が使用して、在庫管理を行っている場合を例に説明する。
【0017】
[1−1.構成]
[1−1−1.ネットワーク運用管理システムの構成]
図1は、実施の形態1に係るネットワーク運用管理システム10の一構成例を示す図である。
【0018】
図1において、ネットワーク運用管理システム10は、工場12内の無線LANシステムの運用状況を管理部門11で管理するシステムである。管理部門11内には、映像管理部である映像管理サーバ110、無線管理部および判定部である無線管理サーバ120が設置されている。工場12内には、基地局である2台のAP150、151が設置され、撮影部である2台の監視カメラ160、161が設置されている。また、工場12内では、4台の無線端末170、171、172、173が使用され、2台のAP150、151と無線LANシステムが構築されている。
【0019】
図1には、ネットワーク運用管理システム10に付帯する構成要素として、管理部門11に設置された在庫管理サーバ130、ネットワーク140も併せて図示している。
【0020】
ネットワーク140は、映像管理サーバ110、無線管理サーバ120、在庫管理サーバ130と、AP150、151、監視カメラ160、161を接続する通信路であり、例えば、インターネットである。
【0021】
在庫管理サーバ130は、工場12内の作業者が使用している無線端末170、171、172、173と接続され、工場12内の在庫情報を管理する。在庫管理サーバ130は、無線端末170、171、172、173より送信される在庫情報を受信して管理し、管理している在庫情報を管理者の操作に応じて表示する。在庫管理サーバ130は、工場12内で生産した商品の在庫を管理するアプリケーションサーバである。
【0022】
映像管理サーバ110は、ネットワーク140を介して監視カメラ160、161から送信される映像を記録する。映像管理サーバ110は、ネットワーク140を介して、無線管理サーバ120と接続し、無線管理サーバ120から送信される運用情報を監視カメラ160、161より受信した映像と関連付けて記録する。映像管理サーバ110は、表示部を有し、記録した映像や運用情報を管理者の操作に従って表示する。
【0023】
無線管理サーバ120はAP150、151とネットワーク140を介して接続され、無線端末170、171、172、173より運用情報を受信して管理する。無線管理サーバ120は、運用情報を、取得した日時と対応付けて管理する。ここで、運用情報とは、例えば、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)、信号対雑音比(SNR:Signal−to−Noise Ratio)、パケットエラーレート(PER:Packet Error Rate)、干渉量、負荷状態、スループット、APに無線端末が接続されていることを示すアソシエーション情報などの少なくとも1つを用いる。本実施の形態では、運用情報として、RSSIを用いる。
【0024】
監視カメラ160、161は工場12内に固定して設置され、予め設定されている範囲を撮影する。監視カメラ160、161は、撮影した映像を撮影日時と共にネットワーク140を介して、映像管理サーバ110に送信する。
【0025】
無線端末170、171、172、173は、作業者が持ち運び可能な端末である。無線端末170、171、172、173は、AP150またはAP151と無線接続し、作業者によって入力される商品の在庫情報等を、ネットワーク140を介して、在庫管理サーバ130に送信する。また、無線端末170、171、172、173は、ネットワーク140を介して、無線管理サーバ120と接続し、運用情報を送信する。無線端末170、171、172、173は、例えば、ハンディターミナル、タブレット端末、スマートフォンなどである。
【0026】
[1−1−2.無線管理サーバの構成]
次に、無線管理サーバ120の詳細について説明する。
図2は、実施の形態1に係る無線管理サーバ120の一構成例を示すブロック図である。
図3は、運用情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0027】
図2に示すように、無線管理サーバ120は、通信I/F(InterFace)121、CPU(Central Processing Unit)122、表示部123、入力部124、メモリ125を備える。また、メモリ125は、運用情報管理テーブル126を格納する。
【0028】
通信I/F121は、ネットワーク140を介して、映像管理サーバ110、AP150、151と通信する通信処理部である。本実施の形態では、AP150、151から送信された運用情報を受信したり、映像管理サーバ110に運用情報を送信するために用いられる。
【0029】
CPU122は、無線管理サーバ120を構成する各構成要素を制御するためのコントローラであり、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である不揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等を有する。CPU122は、AP150、151から受信した運用情報を運用情報管理テーブル126で管理する。CPU122は、受信した運用情報が無線通信の接続障害を示す情報であるかを判定し、接続障害を示す情報であると判定した場合は、判定した運用情報を障害情報として、映像管理サーバ110に送信する。
【0030】
メモリ125は、運用情報管理テーブル126を保持する記憶装置である。
【0031】
図3に示すように、運用情報管理テーブル126は、取得した日時(Date)、APを一意に示すID(AP_ID)、無線端末のID(端末ID)、通信時のRSSIを含む。
【0032】
なお、運用情報管理テーブル126は、SNRなど、他の運用情報を含んでもよい。
【0033】
ここで、
図3のAP_IDのAP_1はAP150を、AP_2はAP151を一意に示すIDである。また、端末IDの170aは、無線端末170を、170bは、無線端末171を、170cは、無線端末172を、170dは無線端末173を一意に示すIDである。また、R11、R12、R13、R21、R22、R23、R31、R32、R33、R41、R42、R43は、通信時のRSSIの値を示す。
【0034】
図2の説明に戻り、表示部123は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面を有する表示出力装置である。
【0035】
入力部124は、ボタン、タッチパネル等のユーザ指示を受け付ける入力装置である。
【0036】
[1−1−3.映像管理サーバの構成]
次に、映像管理サーバ110の詳細について説明する。
図4は、実施の形態1に係る映像管理サーバ110の一構成例を示すブロック図である。
図5は、映像管理テーブルの一例を示す図である。
図6は、障害情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0037】
図4において、映像管理サーバ110は、通信I/F111、CPU112、表示部113、入力部114、メモリ115を備える。また、メモリ115は、映像管理テーブル116、障害情報管理テーブル117を格納する。
【0038】
通信I/F111は、ネットワーク140を介して、無線管理サーバ120、監視カメラ160、161と通信する通信処理部である。本実施の形態では、無線管理サーバ120から送信される障害情報を受信したり、監視カメラ160、161が撮影した映像を受信するのに用いられる。
【0039】
CPU112は、映像管理サーバ110を構成する各構成要素を制御するためのコントローラであり、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である不揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等を有する。本実施の形態では、CPU112は、監視カメラ160、161から受信した映像をメモリ115に記憶させ、映像管理テーブル116を用いて管理する。CPU112は、無線管理サーバ120から受信した障害情報を映像に対応付けて障害情報管理テーブル117で管理する。また、CPU112は、メモリ115に記憶させた映像や障害情報を表示部113に表示させる。
【0040】
メモリ115は、映像管理テーブル116、障害情報管理テーブル117、図示しない映像などを保持する記憶装置である。
【0041】
図5に示すように、映像管理テーブル116は、監視カメラ160、161が撮影した撮影日時(Date)と撮影した映像を一意に示すファイル名(映像ファイル)を含むテーブルである。映像管理テーブル116は、撮影日時と映像とを対応付けて管理する。
【0042】
なお、映像管理テーブル116には、撮影した監視カメラを特定する情報を含んでもよい。
【0043】
図6に示すように、障害情報管理テーブル117は、接続障害が発生した日時(Date)、その日時に撮影した映像を一意に示すファイル名(映像ファイル)、その日時に無線通信を行っていたAPを一意に示すID(AP_ID)、その日時に無線通信を行っていた無線端末のID(端末ID)、接続障害時のRSSIを含むテーブルである。
【0044】
なお、障害情報管理テーブル117は、SNRなど、他の運用情報を含んでもよい。
【0045】
表示部113は、LCD等の表示画面を有する表示出力装置である。入力部114は、ボタン、タッチパネル等のユーザ指示を受け付ける入力装置である。
【0046】
[1−1−4.AP]
図7は、実施の形態1に係るAPの送信信号の到達範囲、すなわちセル範囲、の一例を示す図である。
図7に示すように、工場12内にAP150、151が設置され、工場12内の4隅には柱701、702、703、704が存在する。
図7に示すように、AP150のセル範囲は、領域A1であり、AP151のセル範囲は、領域A2である。
【0047】
本実施の形態では、無線端末を保持した作業者が、領域A1で作業を行っているときは、無線端末はAP150と無線通信を行う。同様に、無線端末を保持した作業者が領域A2で作業を行っているときは、無線端末はAP151と無線通信を行う。
【0048】
[1−1−5.監視カメラ]
図8は、実施の形態1に係る監視カメラの撮影範囲の一例を示す図である。
図8に示すように、工場12内の4隅には柱701、702、703、704が存在し、監視カメラ160は柱701に固定して設置され、監視カメラ161は柱704に固定して設置されている。
図8において、監視カメラ160の撮影範囲は、領域D1であり、監視カメラ161の撮影範囲は、領域D2である。
【0049】
すなわち、実施の形態1においては、監視カメラ160はAP151のセル範囲を撮影し、監視カメラ161はAP150のセル範囲を撮影することになる。
【0050】
[1−2.動作]
以上のように構成されたネットワーク運用管理システム10の動作、すなわち、ネットワーク運用管理方法、について説明する。
【0051】
[1−2−1.無線LANシステム全体の動作]
図9は、実施の形態1に係るネットワーク運用管理システム10の動作を説明する通信シーケンス図である。
図9では、映像管理サーバ110、無線管理サーバ120、在庫管理サーバ130、AP150、監視カメラ161、無線端末170、171の通信手順を示している。
図9では、AP151、監視カメラ160、無線端末172、173は省略している。なお、AP151はAP150と同様の動きをし、監視カメラ160は監視カメラ161と同様の動きをするものとする。また、無線端末172、173は、無線端末170、171と同様の動きをするものとする。
【0052】
(S910)監視カメラ161は、映像を撮影する。
【0053】
(S911)監視カメラ161は、撮影した映像を、ネットワーク140を介して定期的に映像管理サーバ110に送信する。
【0054】
(S912)映像管理サーバ110のCPU112は、監視カメラ161より映像を受信すると、受信した映像をメモリ115に記録する。CPU112は、記録した映像を撮影日時と対応させて映像管理テーブル116で管理する。ここで、撮影日時は、監視カメラ161が映像と一緒に送信するものとする。例えば、撮影日時は、映像データのヘッダ部に格納されている。
【0055】
(S913)また、CPU112は、記録した映像を表示部113に表示する。ここで、
図10Aは、実施の形態1に係る映像管理サーバ110の表示部113に表示される画面の一例を示す図である。
図10Aに示すように、表示部113には、メモリ115に記録された映像が表示される。
図10Aにおいて、撮影日時(Date)「2015:03:15:00」の映像が表示されている。
【0056】
なお、CPU112は、メモリ115への映像の記録と表示部113への映像の表示を同時に行っても構わない。ステップS910〜ステップS913は所定間隔で繰り返し行われる。
【0057】
(S914)無線端末170、171を保持した作業者それぞれは、工場内の任意の場所で各々在庫情報を確認して入力する。
【0058】
(S915)無線端末170、171は、作業者により商品の在庫数などが入力されると、AP150を介して、在庫管理サーバ130に在庫情報として送信する。在庫管理サーバ130は、ネットワーク140を介してAP150より受信した在庫情報を管理する。これにより管理者は、管理部門内の在庫管理サーバ130上で各商品の在庫管理を行うことが出来る。
【0059】
無線端末170、171のそれぞれは、作業者により在庫情報が入力されると、S914、S915の処理を実施する。
【0060】
なお、無線端末170、171それぞれは、作業者の送信操作等に従って、在庫情報をまとめて送信してもよい。
【0061】
(S916)無線管理サーバ120のCPU122は、AP150を介して、無線端末170、171に対して無線端末の運用状況を定期的に問い合わせる。
【0062】
(S917)無線端末170、171は各々AP150との運用状況と、AP150のAP_ID、無線端末の端末IDを運用情報としてAP150を介して無線管理サーバ120に送信する。
【0063】
(S918)無線管理サーバ120のCPU122は、無線端末170、171から受信した運用情報をメモリ125に記憶させ、運用情報管理テーブル126により管理する。CPU122は入力部124より入力される管理者の操作に従って、運用情報を表示してもよい。
【0064】
図3の運用情報管理テーブル126では、無線管理サーバ120はΔT時間毎に、無線端末170、171、173、174から順に運用情報を問い合わせて、その運用情報を取得していることが分かる。
【0065】
(S919)無線管理サーバ120のCPU122は、無線端末170、171から運用情報を受信すると、運用情報毎に、運用状況が劣化しているか否か、すなわち接続障害の有無を判定する。
【0066】
(S920)無線管理サーバ120は、接続障害が有ると判定した場合、判定した運用情報を障害情報として、ネットワーク140を介して映像管理サーバ110に送信する。
【0067】
図11は、実施の形態1に係る障害情報の一例を示す図である。
図11に示すように、障害情報は、2015年3月20日の時刻T2において、AP_IDがAP_1であるAP150と、端末IDが170aである無線端末170との無線通信における受信信号強度がR12であることを示している。
【0068】
(S921)映像管理サーバ110のCPU112は無線管理サーバ120から障害情報を受信すると、受信した障害情報を監視カメラ160で撮影された映像と対応付けて障害情報管理テーブル117に記録する。CPU112は、映像と障害情報を、日時によって対応付ける。
【0069】
ここで、障害情報を監視カメラ160で撮影された映像と対応付けて記録する映像フォーマットについて説明する。
図12は、実施の形態1に係る障害情報を監視カメラ160で撮影された映像と対応付けて記録する映像フォーマットの一例を説明する図である。
図12に示すように、映像ファイルがMPEG−4(Moving Picture Experts Group−4)の規格に準拠して記録されている場合、映像ファイルは、「mdat」に格納されている。障害情報は、「mdat」の次に位置する「free」に格納する。
図12に示すように、障害情報は、先頭にヘッダがあり、日時、AP_ID、端末ID、RSSIの組を順に格納する。このように既存のファイルフォーマットを利用して、障害情報を格納することが可能となる。
【0070】
図6の障害情報管理テーブル117では、2015年3月20日の時刻T2において、AP_IDがAP_1であるAP150と、端末IDが170aである無線端末170との無線通信におけるRSSI値がR12であること、障害時の無線端末170の使用状況は映像ファイルVideo1−2に撮影されていることを示している。
【0071】
(S922)映像管理サーバ110のCPU112は、障害情報と対応付けられた映像を表示部113に表示する。
図10Bは、実施の形態1に係る映像管理サーバ110の表示部113に表示される画面の別の例を示す図である。
図10Bに示すように、表示部113には障害情報と対応付けられた映像と障害情報が同時に表示されている。
図10Bには、障害情報として2015年3月20日の時刻T2において、AP150と無線端末170との無線通信におけるRSSI値がR12であることを示している。
【0072】
また、映像管理サーバ110のCPU112は、入力部124より入力される管理者の操作に従って、障害情報と障害情報に対応付けられた映像を表示部113に表示させてもよい。
図10Cは、実施の形態1に係る映像管理サーバ110の表示部113に表示される画面のさらに別の例を示す図である。
図10Cは、管理者が入力した条件に一致する映像と障害情報が複数表示されていることを示している。
【0073】
[1−2−2.接続障害の判定]
次に、ステップS919における、接続障害の有無の判定について詳細に説明する。
図13は、実施の形態1に係る障害情報の有無の判定を説明するための図である。
図14は実施の形態1に係る無線端末のRSSIの時間変動の一例を示す図である。
【0074】
図13において、工場12内で作業者が無線端末170を保持し、位置を移動しながら作業を行う場合を示している。工場12内には障害物Bが置かれている。作業者は、無線端末170を保持し、時刻T1において、AP150の近くの位置P1で作業を行う。その後、作業者は時刻T2において、障害物B付近の位置P2に移動し作業を行う。さらに、作業者は時刻T3において、監視カメラ161付近の位置P3移動し作業を行う。
【0075】
図14は、無線端末170を保持した作業者が
図13で説明したように移動し場合の各時刻におけるRSSIを示している。
図14において、時刻T1のRSSIはR11、時刻T2のRSSIはR12、時刻T3のRSSIはR13である。
【0076】
図13に示すように、作業者の保持する無線端末170は、位置P1から位置P2に移動するとAP150との距離がより離れ、さらに位置P3に移動するとAP150との距離がさらに離れる。すなわち、時刻が時刻T1、時刻T2、時刻T3に進むに従って、無線端末170はAP150より離れた位置になる。また、時刻T1で位置P1の時と、時刻T3で位置P3のときは、AP150と無線端末170の間には障害物はない。これに対して、時刻T2で位置P2のときは、AP150と無線端末170の間に障害物Bが存在する。この場合、障害物Bによる無線信号の減衰は、距離における無線信号の減衰より大きいため、R11>R13>R12となる。
【0077】
実施の形態1では、RSSI値が閾値Rtより小さい場合を無線端末170の運用状況が劣化していると判定する。従って、無線管理サーバ120のCPU122は、閾値Rtよりも小さいRSSI値である、RSSI値がR12の時刻T2の運用情報を接続障害があると判定し、時刻T2の運用情報を障害情報として、ネットワーク140を介して映像管理サーバ110に送信する。
【0078】
[1−2−3.障害要因の絞り込み]
ステップS922において、映像管理サーバ110のCPU112は、入力部114より障害情報を表示する操作を受けると、入力部114から入力された条件に一致する映像と障害情報を障害情報管理テーブル117より抽出し、表示部113に表示する。抽出の条件としては、日時、AP_ID、端末IDなどを用いる。条件が日時の場合、CPU112は、障害情報管理テーブル117において、入力された日時と一致する映像と、映像に対応付けられた障害情報を抽出し、メモリ115から情報を読み出して、表示部113に表示する。
【0079】
図10Cに示すように、表示部113には、条件に一致した全ての映像V1、V2、V3、V4と障害情報とが同時に表示されている。
【0080】
管理者は、映像V1、V2、V3、V4と障害情報より、障害が発生した原因を解析する。例えば、映像V4が
図13に示す、時刻T2の位置P2の映像であるとする。この場合、映像V4には、障害物Bが撮影されている。管理者は、この映像を見て、障害要因は障害物Bであると推測できる。すなわち、時刻T2の位置P2で接続障害が発生したのは、作業者が障害物Bの前で作業したことが障害要因であることが容易に分かる。この場合、管理者は、障害物BをAP150との通信を妨げない位置に移動させる対応を取ることで、接続障害の発生を低減させることが可能となる。あるいは、AP150を障害物による影響が少なくなる位置に変更する対応を取ることも可能である。
【0081】
また、例えば、表示されている映像に、障害発生時にAPと無線端末の間に人や荷物などが存在していた場合は、管理者は、障害は一時的なものであり、特に対策を取る必要がないと判断できる。
【0082】
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、無線管理サーバ120は、無線端末170、171、172、173の運用情報を取得し、取得した運用情報を取得日時と対応付けて運用情報管理テーブル126で管理する。無線管理サーバ120は運用情報のうち、接続障害を示す運用情報を障害情報として映像管理サーバ110に送信する。
【0083】
映像管理サーバ110は、監視カメラ160、161が撮像した映像と撮像日時を受信し、映像と撮像日時を対応付けて映像管理テーブル116で管理する。映像管理サーバ110は、無線管理サーバ120より受信した障害情報を取得し、映像と対応付けて障害情報管理テーブル117で管理する。映像管理サーバ110は、所望の日時に対応付けられた映像と障害情報を障害情報管理テーブル117より抽出して表示部113に表示する。
【0084】
これにより、管理者は、無線LANシステムに異常が発生した場合、運用状況の情報と、同時刻の無線端末の使用状況を示す映像を確認できる。
【0085】
このため、管理者は、接続障害が発生した後に、接続障害時の状況が把握できるので、障害要因の絞り込みを容易に行うことができる。
【0086】
(実施の形態2)
作業エリア内に複数の基地局が設置されている場合、複数の基地局のうちセル範囲が重なっているところでは、信号干渉が発生し、無線端末の運用状況が劣化する場合がある。本実施の形態では、少なくとも2つの基地局のセル範囲が重なり、信号干渉が発生する場合の障害要因の解析について説明する。
【0087】
[2−1.構成]
実施の形態2においては、実施の形態1と異なり、工場内に4台の基地局と監視カメラが設置されている場合を例に取って説明する。
【0088】
[2−1−1.ネットワーク運用管理システムの構成]
図15は、実施の形態2におけるネットワーク運用管理システム20の一構成例を示すブロック図である。
図16は、実施の形態2に係る運用情報管理テーブルの一例を示す図である。
図17は、実施の形態2に係る障害情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0089】
図15において、ネットワーク運用管理システム20は、工場22内の無線LANシステムの運用状況を管理部門21に設置されたネットワーク運用管理装置210で管理するシステムである。工場22内には、基地局である4台のAP250、251、252、253が設置され、撮影部である4台の監視カメラ260、261、262、263が設置されている。また、工場22内では、無線端末270が使用され、4台のAP250、251、252、253と無線LANシステムが構築されている。
【0090】
なお、
図15には、ネットワーク運用管理システム20に付帯する構成要素として、管理部門21に設置された在庫管理サーバ130、ネットワーク240も併せて図示されている。在庫管理サーバ130は、実施の形態1と同じ動作であるので、その説明を省略する。
【0091】
実施の形態1では、無線管理部と判定部を無線管理サーバに、映像管理部を映像管理サーバに設けたが、実施の形態2では、
図15に示すように、1台のネットワーク運用管理装置210に設けた場合を例に取って説明する。
【0092】
ネットワーク240は、ネットワーク運用管理装置210と、AP250、251、252、253、監視カメラ260、261、262、263を接続する通信路であり、例えば、インターネットである。
【0093】
監視カメラ260、261、262、263は工場22内に固定して設置され、予め設定されている範囲を撮影する。監視カメラ260、261、262、263は、撮影した映像を撮影日時と共にネットワーク240を介して、ネットワーク運用管理装置210に送信する。
【0094】
無線端末270は作業者が持ち運び可能な端末である。無線端末270は、AP250、251、252、253のいずれかと無線接続し、作業者によって入力される商品の在庫情報等を、ネットワーク240を介して、在庫管理サーバ130に送信する。また、無線端末270は、運用情報を、ネットワーク240を介して、ネットワーク運用管理装置210に送信する。運用情報としては、例えば、受信信号強度(RSSI)、信号対雑音比(SNR)、パケットエラーレート(PER)、干渉量、負荷状態、スループット、アソシエーション情報などの少なくとも1つを用いる。本実施の形態では、運用情報として、RSSIとPERを用いる。無線端末270は、例えば、ハンディターミナル、タブレット端末、スマートフォンなどである。
【0095】
ネットワーク運用管理装置210は、通信I/F211、CPU212、表示部213、入力部214、メモリ215を備える。また、メモリ215は、映像管理テーブル216、運用情報管理テーブル217、障害情報管理テーブル218を格納する。
【0096】
通信I/F211は、ネットワーク240を介して、AP250、251、252、253と通信する通信処理部である。本実施の形態では、AP250、251、252、253から送信された運用情報を受信したり、監視カメラ260、261、262、263から送信された映像を受信するために用いられる。
【0097】
CPU212は、無線管理部、判定部と映像管理部の機能を有する。CPU212は、ネットワーク運用管理装置210を構成する各構成要素を制御するためのコントローラであり、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である不揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等を有する。CPU212は、本実施の形態では、AP250、251、252、253から受信した運用情報を運用情報管理テーブル217に記憶する。また、監視カメラ260、261、262、263から受信した映像をメモリ215に記憶し、映像管理テーブル216を用いて管理する。また、CPU212は、受信した運用情報を解析し、接続障害を示す情報であると判定した場合は、判定した運用情報と対応する映像を、障害情報管理テーブル218を用いて管理する。
【0098】
メモリ215は、映像管理テーブル216、運用情報管理テーブル217、障害情報管理テーブル218を保持する記憶装置である。映像管理テーブル216は、実施の形態1の映像管理テーブル116と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0099】
図16に示すように、運用情報管理テーブル217は、取得した日時(Date)、APのID(AP_ID)、無線端末のID(端末ID)、通信時のRSSI、通信時のPERを含むテーブルである。
【0100】
なお、運用情報管理テーブル217は、SNRなど、他の運用情報を含んでもよい。
【0101】
ここで、
図16のAP_IDのAP_1はAP250を一意に示すIDである。端末IDの270aは無線端末270を一意に示す端末IDである。また、R11、R12、R13は時刻T1、T2、T3における通信時のRSSIの値を示し、P11、P12、P13は時刻T1、T2、T3における通信時のPERの値を示す。
【0102】
図17に示すように、障害情報管理テーブル218は、接続障害が発生した日時(Date)、その日時に撮影した映像を一意に示すファイル名(映像ファイル)、その日時に無線通信を行っていたAPを一意に示すID(AP_ID)、その日時に無線通信を行っていた無線端末のID(端末ID)、接続障害時のRSSI、接続障害時のPERを含むテーブルである。
【0103】
なお、障害情報管理テーブル218は、SNRなど、他の運用情報を含んでもよい。
【0104】
表示部213は、LCD等の表示画面を有する表示出力装置である。入力部214は、ボタン、タッチパネル等のユーザ指示を受け付ける入力装置である。
【0105】
[2−1−2.AP]
図18は、実施の形態2に係るAP250、251、252、253のセル範囲の一例を示す図である。
【0106】
図18に示すように、工場22内にAP250、251、252、253が設置されている。
図18に示すようにAP250のセル範囲は、実線で示す領域Cell_aであり、AP251のセル範囲は、一点鎖線で示す領域Cell_bであり、AP252のセル範囲は、波線で示す領域Cell_cであり、AP253のセル範囲は、点線で示す領域Cell_dである。
【0107】
本実施の形態においては、無線端末270を保持した作業者が、工場22内で作業を行う場合、作業を行っている位置から一番近い位置にあるAPと無線通信を行う。
【0108】
図19は、2.4GHz帯の無線LANで使用できる周波数チャネルの配置を説明する図である。
図19に示すように、2.4GHz帯の無線LANで使用できる周波数チャンネルは、13チャネルある。各チャンネルは少しずつ重なっており、周波数が重ならないようにチャネルを割り当てると、最大3チャネルである。具体的には、「1チャンネル、6チャンネル、11チャンネル」、「2チャンネル、7チャンネル、12チャンネル」、「3チャンネル、8チャンネル、13チャンネル」である。
【0109】
図20は、実施の形態2に係るAPの周波数チャネル割り当てを説明する図である。
図20に示すように、AP250に1チャネルを割り当て、AP251に6チャネルを割り当て、AP252に11チャネルを割り当て、AP253に1チャネルを割り当て、同一周波数チャネルのセル重なりを小さくしている。
【0110】
[2−1−3.監視カメラ]
図21は、実施の形態2に係る監視カメラの撮影範囲の一例を示す図である。
図21に示すように、監視カメラ260、261、262、263は壁に固定して設置されている。
図21において、監視カメラ260の撮影範囲は領域E1であり、監視カメラ261の撮影範囲は領域E2であり、監視カメラ262の撮影範囲は領域E3であり、監視カメラ263の撮影範囲は領域E4である。
【0111】
すなわち、実施の形態2においては、監視カメラ260はAP250のセル範囲を撮影し、監視カメラ261はAP251のセル範囲を撮影し、監視カメラ262はAP252のセル範囲を撮影し、監視カメラ263はAP253のセル範囲を撮影することになる。
【0112】
[2−2.動作]
以上のように構成されたネットワーク運用管理システム20について、その動作を以下説明する。
【0113】
[2−2−1.ネットワーク運用管理システムの動作]
図22は、実施の形態2に係るネットワーク運用管理システム20の動作を説明する通信シーケンス図である。
図22では、ネットワーク運用管理装置210、AP251、監視カメラ261、無線端末270、在庫管理サーバ130の通信手順を示している。本図では、AP250、252、253、監視カメラ260、262、263は省略している。また、AP250、252、253は、AP251と同様の動きをするものとする。また監視カメラ260、262、263は、監視カメラ260と同様の動きをするものとする。
【0114】
(S2210)監視カメラ261は、映像を撮影する。
【0115】
(S2211)監視カメラ261は、撮影した映像を、ネットワーク240を介して定期的にネットワーク運用管理装置210に送信する。
【0116】
(S2212)ネットワーク運用管理装置210のCPU212は、監視カメラ261より映像を受信すると、受信した映像をメモリ215に記録する。CPU212は、記録した映像を映像管理テーブル216で管理する。
【0117】
(S2213)また、CPU212は、記録した映像を表示部213に表示する。
【0118】
なお、CPU212は、メモリ215への映像の記録と表示部213への映像の表示を同時に行っても構わない。ステップS2210〜ステップS2213は所定間隔で繰り返し行われる。
【0119】
(S2214)在庫管理サーバ130は、ネットワーク240、AP251を介して無線端末270と通信を行う。作業者は、無線端末270を工場22内の任意の位置で情報を入力する。実施の形態2においても実施の形態1と同様、アプリケーションサーバは在庫管理サーバ130であることから、作業者は無線端末270に商品の在庫数を入力する。管理者は、管理部門21内の在庫管理サーバ130上で各商品の在庫管理を行うことが出来る。
【0120】
(S2215)無線端末270は、作業者により商品の在庫数などが入力されると、AP251を介して、在庫管理サーバ130に、在庫情報として送信する。無線端末270は、作業者により在庫情報が入力されると、S2214、S2215の処理を実施する。
【0121】
なお、無線端末270は、作業者の送信操作等に従って、在庫情報をまとめて送信してもよい。
【0122】
(S2216)ネットワーク運用管理装置210のCPU212は、AP251を介して、無線端末270に対して無線端末270の運用状況を問い合わせる。
【0123】
(S2217)無線端末270はAP251との運用状況と、AP251のAP_ID、無線端末の端末IDを運用情報としてAP251を介してネットワーク運用管理装置210に送信する。
【0124】
(S2218)ネットワーク運用管理装置210のCPU212は、無線端末270から受信した運用情報をメモリ215に記憶させ、運用情報管理テーブル217により管理する。そして、CPU212は、無線端末270から受信した運用情報を用いて、運用状況が劣化しているか否か、を判定する。
【0125】
(S2219)CPU212は、運用状況が劣化していると判定すると、運用情報を障害情報として、監視カメラ261で撮影された映像と対応付けて記録する。
【0126】
(S2220)CPU212は、障害情報と対応付けられた映像を表示部213に表示させる。すなわち、本実施の形態は、運用情報の送信が省かれている点で実施の形態1と異なる。
【0127】
また、CPU212は、入力部214より入力される管理者の操作に従って、障害情報と障害情報に対応付けられた映像を表示部213に表示させてもよい。CPU212は、管理者が入力部214より障害情報を表示する操作を受けると、入力部214から入力された条件に一致する映像と障害情報を抽出し、表示部213に表示する。抽出の条件としては、日時、AP_ID、端末IDなどを用いる。条件が日時の場合、CPU212は、障害情報管理テーブル218において、入力された日時と一致する映像と、映像に対応付けられた障害情報を抽出し、メモリ215から情報を読み出して、読み出した情報を表示部213に表示する。
【0128】
[2−2−2.接続障害の判定]
次に、ステップS2218における、運用状況が劣化しているか否かの判定について詳細に説明する。実施の形態2においては、運用情報として、実施の形態1で説明したRSSIに加えてPERも含まれる。
【0129】
図23は、実施の形態2に係る運用状況が劣化しているか否かの判定を説明する図である。
図24Aは、実施の形態2に係る無線端末のRSSIの時間変動の一例を示す図である。
図24Bは、実施の形態2に係る無線端末のPERの時間変動の一例を示す図である。
図25は実施の形態2に係る障害情報の一例を示す図である。
【0130】
図23において、工場22内で作業者が無線端末270を保持し、位置を移動しながら作業を行う場合を示している。作業者は、無線端末270を保持し、時刻T1において、AP251の近くの位置L1で作業を行う。その後、作業者は時刻T2において、AP251とAP253から同じぐらいの距離の位置L2で作業を行う。さらに、作業者は時刻T3において、AP250とAP252との間の位置L3で作業を行う。
【0131】
図24Aは、無線端末270を保持した作業者が
図23で説明したように移動した場合の各時刻におけるRSSIを示している。
図24Aにおいて、時刻T1のRSSIはR11、時刻T2のRSSIはR12、時刻T3のRSSIはR13である。
図23に示すように、位置L1と位置L2は、AP250との距離がほぼ同じであり、位置L3は、AP250との距離が位置L1と位置L2と比べてより近い位置にあるため、R11=R12<R13となる。
【0132】
また、
図24Bは、無線端末270を保持した作業者が
図23で説明したように移動した場合の各時刻におけるPERを示している。
図24Bにおいて、時刻T1のPERはP11、時刻T2のPERはP12、時刻T3のPERはP13である。
図23に示すように、位置L1は、AP250のセル範囲である領域Cell_aとAP251のセル範囲である領域Cell_bとが重なっている位置である。AP250に1チャンネルが割り当てられAP251に6チャネルが割り当てられているため、位置L1では、信号干渉が発生しない。
【0133】
これに対して
図23に示すように、位置L2は、AP250のセル範囲である領域Cell_aとAP253のセル範囲である領域Cell_cとが重なっている位置である。AP250とAP253には同じ周波数チャネルである1チャンネルが割り当てられているため、信号干渉が発生する。
【0134】
図23に示すように、位置L3は、AP250のセル範囲である領域Cell_aとAP252のセル範囲である領域Cell_dとが重なっている位置である。AP250に1チャンネルが割り当てられAP252に11チャネルが割り当てられているため、位置L1と同様に、信号の干渉は発生しない。そして、位置L3は、位置L1よりもAP250に近い位置であることから、最終的に無線端末270のPERは、P12>P11>P13となる。
【0135】
ここで、CPU212は、PERが閾値Ptより大きい場合を、無線端末270の運用状況が劣化していると判定する。CPU212は、閾値PtよりもPERの大きいP12の時刻T2を、運用状況が劣化していると判定し、時刻T2のPERを障害情報として、障害情報管理テーブル218に記憶する。
【0136】
図25は、この時の障害情報である。
図25には、障害情報として2015年3月20日の時刻T2において、AP251と無線端末270の無線通信におけるRSSIがR12、PERがP12であることを示している。
【0137】
[2−2−3.障害要因の絞り込み]
ステップS2220において、CPU212は、管理者の入力部214より障害情報を表示する操作を受けると、入力部214から入力された条件に一致する映像と障害情報を障害情報管理テーブル218より抽出し、表示部213に表示する。抽出の条件としては、日時、AP_ID、端末IDなどを用いる。条件が日時の場合、CPU212は、障害情報管理テーブル218において、入力された日時と一致する映像と、映像に対応付けられた障害情報を抽出し、メモリ215から情報を読み出して、表示部213に表示する。
【0138】
管理者は、映像と障害情報より、障害が生した原因を解析する。例えば、
図23における時刻T2の映像と障害情報が表示部213に表示されているとする。この場合、管理者はこの時のPER値であるP12と、AP250のセル範囲である領域Cell_aとAP253のセル範囲である領域Cell_dの重なった位置L2で無線端末270を操作している作業者の映像により、障害の要因がAP250とAP253の信号干渉が原因であることを推測できる。すなわち、時刻T2の位置L2で接続障害が発生したのは、AP250とAP253の信号干渉が障害要因であることが容易に分かる。この場合、例えば、管理者は、AP250とAP253の間で信号干渉が発生しないように、例えば、AP250とAP253のいずれか一方、又は両方のセル範囲を絞り、セル範囲が重ならないようにすることで、障害を回避することができる。また、AP250とAP253のいずれか一方、又は両方の設置位置を変更して、セル範囲を重ならないようにすることでも回避できる。また、AP250、AP253に割り当てるチャネルを見直すことで回避することも可能である。
【0139】
[2−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、ネットワーク運用管理装置210は、工場22内の無線LANシステムに接続され、無線端末270の運用情報を取得し、取得した運用情報を取得日時と対応付けて運用情報管理テーブル217で管理する。また、ネットワーク運用管理装置210は、監視カメラ260、261、262、263が撮像した映像と撮像日時を対応付けて映像管理テーブル216で管理する。さらに、接続障害があると判定した運用情報を障害情報として、映像と対応付けて障害情報管理テーブル218で管理する。ネットワーク運用管理装置210は障害情報管理テーブル218より、所望の日時に対応付けられた映像と障害情報を抽出して表示する。
【0140】
これにより、管理者は、無線LANシステムに異常が発生した場合、運用状況の情報と、同時刻の無線端末の使用状況の映像を確認できる。また、運用状況にPERを用いることにより、少なくとも2つのAPの間の信号干渉が発生したことを推測できる。
【0141】
このため、管理者は、障害が発生した後に、障害時の状況が把握できるので、障害要因の絞り込みを容易に行うことができる。
【0142】
(他の実施の形態)
以上のように、本開示する技術の例示として、実施の形態1〜2を説明した。しかしながら、本開示の技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1〜2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0143】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0144】
実施の形態1においては、無線管理サーバ120は、運用情報を無線端末170、171、172、173に問い合わせていたが、AP150、AP151に問い合わせ、AP150、AP151が応答してもよい。
【0145】
実施の形態1においては、無線管理サーバ120が判定部の機能を有していたが、映像管理サーバ110がその機能を有していてもよい。この場合、無線管理サーバ120は、運用状況を全て映像管理サーバ110に送信する。
【0146】
実施の形態1では、管理部門にいる管理者が接続障害の要因探求を行う場合を例にして説明したが、これに限定するものではない。例えば、映像管理サーバ110がある条件で抽出した障害情報とそれに対応した映像を管理部門より遠隔地にある、作業エリアにシステムを導入したシステム部門に設定されている端末にネットワークを介して送信してもよい。これにより、例えば、システム部門の障害対応者が、工場に出向くことなく、端末上で、障害要因の解析を行うことができる。従って、障害対応者は、工場に出向かないと対応出来ない接続障害以外は、システム部門において、障害対応ができる。
【0147】
各実施の形態におけるAP、監視カメラ、無線端末の台数は一例であり、実施の形態の数に限定するものではない。AP、監視カメラは作業エリアの大きさやスペースに応じて設置すればよい。
【0148】
また、作業エリアは工場に限定するものではなく、店舗、学校など無線端末を使用可能な場所であれよい。また、アプリケーションサーバとして在庫管理サーバを例として説明したが、これに限定するものではない。例えば、POS(Point Of Sales)システム、生産管理システムなど、作業エリア内の情報を収集して管理するシステムであればよい。
【0149】
また、実施の形態2のネットワーク運用管理装置210の動作を、実施の形態1の映像管理サーバ110と無線管理サーバ120で行ってもよい。同様に、実施の形態1の映像管理サーバ110と無線管理サーバ120の動作をネットワーク運用管理装置210だけで行ってもよい。
【0150】
また、実施の形態2の在庫管理サーバ130におけるアプリケーションサーバの機能をネットワーク運用管理装置210に持たせてもよい。同様に、在庫管理サーバ130の機能を実施の形態1における映像管理サーバ110や無線管理サーバ120に持たせてもよい。
【0151】
また、撮影部と基地局の代わりに、撮影部と基地局が一体化し、2つの機能を備えたAP付き監視カメラを用いてもよい。
【0152】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。