(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端子電極接続部には、前記素体の端面の一部を覆わない形状の溝が形成してあり、前記溝は、前記実装面とは反対側に位置する前記素体の上側面に向けて開口する開口部を有する請求項1に記載の電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品としてのセラミックコンデンサ10を示す概略斜視図である。セラミックコンデンサ10は、チップ部品としてのチップコンデンサ20と、チップコンデンサ20のY軸方向の両端面にそれぞれ取り付けられた一対の金属端子(外部端子)30とを有する。
【0020】
なお、各実施形態の説明では、チップコンデンサ20に一対の金属端子30が取り付けられたセラミックコンデンサを例に説明を行うが、本発明のセラミック電子部品としてはこれに限らず、コンデンサ以外のチップ部品に金属端子30が取り付けられたものであっても良い。
【0021】
チップコンデンサ20は、コンデンサ素体26と、コンデンサ素体26のY軸方向の両端面にそれぞれ形成してある一対の端子電極22とを有する。コンデンサ素体26は、Y軸方向の端面に対して略垂直な4つの側面26a,26b,26c,26dを有する。
図2に示すように、これらの側面の内、1つの側面26aが、回路基板60の実装面62に対して最も近づく底側面となる。本実施形態では、底側面26aと平行に対向する側面26bが上側面となる。その他の側面26c,26dは、実装面62に対して略垂直に配置される。
【0022】
なお、各図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直であり、実装面62に対して垂直方向をZ軸とし、Y軸は、素体26の端面に垂直な方向であり、X軸は、側面26cおよび側面26dに垂直な方向である。
【0023】
コンデンサ素体26は、内部にセラミック層としての誘電体層と内部電極層とを有し、これらの誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある。誘電体層の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。各誘電体層の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。
【0024】
内部電極層に含有される導電体材料は特に限定されないが、誘電体層の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。
【0025】
端子電極22の材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極22の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。なお、端子電極22の表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていても良い。特に、Cu焼付層/Niめっき層/Snめっき層とするのが好ましい。
【0026】
また、本実施形態では、好ましくは、端子電極22は、少なくとも樹脂電極層を有する多層電極膜で構成してある。樹脂電極層が振動を吸収することで、後述する音鳴きをさらに有効に抑制することができる。樹脂電極層を有する端子電極22としては、たとえば素体26に接触する側から焼付層/樹脂電極層/Niめっき層/Snめっき層からなることが好ましい。
【0027】
また、端子電極22は、
図2に示すように、素体26のY軸方向の両端面にそれぞれ位置して端面を覆う端面電極部22aと、素体26の端面から当該端面近くの複数の側面26a〜26dを所定被覆幅L1で被覆するように端面電極部22aと一体に形成される側面電極部22bとを有する。
【0028】
本実施形態では、側面電極部22bは、実質的に形成されていなくとも良く、端子電極22は、端面電極部22aのみで実質的に構成してあることが好ましい。仮に側面電極部22bが形成されているとしても、後述する金属端子30における支持部38のY軸方向の突出長さL2が、側面電極部22bの被覆幅L1よりも長いことが好ましい。このように構成することで、端子電極22と実装接続部34との間での半田ブリッジを効果的に抑制することができる。
【0029】
図1〜
図10に示すように、各金属端子30は、素体20のY軸方向の端面に形成してある端子電極22の端面電極部22aと向き合うように配置される端子電極接続部32と、実装面62に接続可能な実装接続部34と、を有する。
図2に示すように、実装面62から最も近い素体26の底側面26aを実装面62から所定距離H5で離すように端子電極接続部32と実装接続部34とは、これらと一体に成形してある連結部36により連結してある。金属端子30の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.05〜0.10mmである。
【0030】
連結部36は、実装接続部34が底側面26aに所定距離(所定距離H5から実装接続部34の厚みを引いた距離)で向き合うように、端子電極接続部32から底側面26a方向(内側)に折り曲げられた曲折形状を有する。曲折形状の外側曲げ半径Rは、所定距離H5などとの関係で求められ、所定距離H5と同程度以下であり、好ましくは所定距離H5の0.3倍以上である。このように構成することで、部品の小型化に寄与すると共に、音鳴き防止効果が向上する。
【0031】
図4に示すように、連結部の幅W1は端子電極接続部32の幅W0よりも小さくなっている。連結部36の幅W1と端子電極接続部32の幅W0との比率W1/W0は、好ましくは、0.3〜0.8、さらに好ましくは0.5〜0.7である。このような関係にある時に、音鳴き防止効果が高まると共に、金属端子の十分な機械的強度を確保することができる。なお、端子電極接続部32の幅W0は、素体26のX軸方向幅W3と略同一か、あるいは少し小さくても良い。W3/W0は、好ましくは1.0〜1.4である。
【0032】
音鳴きは、素体26の大部分を構成するセラミック層に高周波電圧が印加されて電歪効果により振動し、その振動が金属端子30および/または実装面62に伝わることにより発生すると考えられる。本実施形態では、連結部36の幅W1が端子電極接続部32の幅W0よりも小さくなっていることから、チップコンデンサ20の電歪振動が実装面62に伝わりにくくなり、この点でも音鳴きを低減できる。
【0033】
図1に示すように、端子電極接続部32には、素体26の端面の一部を覆わない形状の溝33が形成してあり、溝33は、連結部36には達しないように形成してある。溝33は、
図4に示すように、実装面62とは反対側に位置する素体26の上側面26bに向けて開口する開口部33aを有する。また、好ましくは、溝33は、端子電極接続部32のX軸方向(幅方向)の中央部に形成してある。さらに、好ましくは、溝33の両側に位置する端子電極接続部32には、端面電極部22aに接続される一対の接続片32a,32aが形成してある。
【0034】
図4に示すように、溝33のX軸方向幅W4は、端子電極接続部32の幅W0に対しての比率(W4/W0)が、好ましくは0.3〜0.5である。なお、溝33のX軸方向の両側に形成される接続片32a,32aのそれぞれの幅W5a,W5bは、同じでも異なっていても良い。また、溝33のZ軸方向の深さH1は、特に限定されないが、素体26のZ軸方向高さH0との関係で決定されることが好ましく、H1/H0は、好ましくは0〜1、さらに好ましくは0.1〜0.6である。このような関係にある時に、端子電極22と金属端子30との接続が特に容易であると共に、接続強度が向上し、しかも半田ブリッジも抑制できる。
【0035】
なお、素体26の底側面26aからの端子電極接続部32のZ軸方向高さH2は、素体26のZ軸方向高さH0と同程度が好ましく、または少し小さくても良い。すなわち、H2/H0は、好ましくは0.7〜1.0である。
【0036】
本実施形態では、溝33を形成することで、小さいチップコンデンサ20(たとえば1mm×0.5mm×1mm以下)においても、金属端子30の端子電極接続部32と端子電極22の端面電極部22aとの半田50などによる接続が容易となると共に、これらの接続強度も向上する。また、溝33が形成してあることで、金属端子30と端子電極22との接続の確認が容易であり、接続不良を効果的に防止することができる。さらに、溝33は、連結部36には達していないために、溝33による貫通孔が連結部36には形成されず、その貫通孔に半田が充填されて半田ブリッジが生じるおそれがなくなる。
【0037】
図4に示すように、本実施形態では、連結部の幅W1と同一方向(X軸)に沿って、実装接続部34の幅W2が、連結部36の幅W1よりも大きい。このように構成することで、実装接続部34と実装面62との接続強度が向上する。また、連結部の幅W1と同一方向に沿って、実装接続部の幅W2が、素体26の幅W3と略等しいことが好ましいが、素体26の幅W3より多少狭くても良い。すなわち、W2/W3は、好ましくは0.7〜1.0である。このように構成することで、実装接続部34と実装面62との接続強度が向上するとともに、必要以上に実装接続部34が大きくならず(素体26のX軸方向幅W3からはみ出さない)、部品の小型化にも寄与する。
【0038】
図2に示すように、実装接続部34と連結部36との境界位置と素体26の端面との間のY軸方向距離L3は、支持部38の突出長さL2などとの関係で決定され、L3/L2は、好ましくは0.6〜1.0である。また、実装接続部34のY軸方向長さL4は、素体26のY軸方向長さL0との関係などにより決定され、L4/L0は、好ましくは0.2〜0.4である。
【0039】
本実施形態では、端子電極接続部32と連結部36との境界位置では、素体26の底側面26aに向けて突出して底側面26aを保持する支持部38が、端子電極接続部32と一体に成形してある。支持部38は、端子電極接続部32の幅方向(X軸)に沿った両側から、素体26の底側面26aに向けて突出する一対の支持部38,38で構成してある。
【0040】
図2に示すように、本実施形態では、金属端子30の端子電極接続部32と端子電極22の端面電極部22aとの間には、接合領域50aと非接合領域50bとが形成してあり、非接合領域50bが、端子電極接続部32から支持部38にまで形成してある。
【0041】
接合領域50aは、半田50により、金属端子30の端子電極接続部32と端子電極22の端面電極部22aとが機械的および電気的に接合してある領域である。また、非接合領域50bは、半田50が存在しない領域であり、金属端子30の端子電極接続部32と端子電極22の端面電極部22aとがハンダによる接合が成されていない領域である。この非接合領域50bは、端子電極接続部32から支持部38にまで連続的に形成してある。
【0042】
本実施形態では、非接合領域50bを、端子電極接続部32から支持部38にまで形成することで、音鳴きを低減できる。その理由としては、必ずしも明らかではないが、非接合領域50bが振動の緩和領域となり、チップコンデンサ20の電歪振動が実装面62に伝わりにくくなるためではないかと考えられる。
【0043】
接合領域50aは、端子電極接続部32のZ軸方向上端から下方に向けて所定の高さH6の範囲で形成されることが好ましい。この接合領域50aが形成される高さH6は、端子電極接続部32のZ軸方向上端から支持部38の上表面38aまでの高さH7よりも小さい。特に限定されないが、H6/H7は、好ましくは、0.2以上で1.0未満、さらに好ましくは0.3〜0.9、特に好ましくは0.4〜0.8である。少なくともこのような範囲でH6/H7を変化させても、音鳴き
現象を低減することができると共に、金属端子30と端子電極22との十分な接合強度が得られることが確認された。
【0044】
非接合領域50bを、端子電極接続部32の下方位置(高さH6の下端位置)から支持部38にまで形成するための手段としては、特に限定されないが、たとえば
図6に示すように、少なくとも支持部38の上表面38aに半田付着防止領域(
図6中の点々によるハッチング部分)を形成すれば良い。半田付着防止領域は、支持部38の上表面38aと共に、その近くに位置する端子電極接続部32における端面電極部22aとの対向面32bにも形成する。さらに、連結部36の内側面36aの少なくとも一部にまで連続して半田付着防止領域を形成しても良い。
【0045】
なお、実装接続部34の上面34aと底面34bには、
図11に示すように、半田52が付着して実装接続部34を回路基板60の実装面62に強固に接続するために、半田付着防止領域を形成しないことが好ましい。また、連結部36の外表面36bにも、半田52が付着して実装接続部34を回路基板60の実装面62に強固に接続するために、半田付着防止領域を形成しないことが好ましい。ただし、実装接続部34の上面34aは、必ずしも半田52が付着しなくても良いことから、そこに半田付着防止領域を、前述した半田付着防止領域に連続して形成しても良い。
【0046】
図6および
図7Aに示す金属端子30の端子電極接続部32において、半田付着防止領域が形成されていないZ軸方向の高さH6aは、
図2に示す接合領域50aの高さH6と略一致するが、半田50の量などによっては、必ずしも一致しなくても良い。
【0047】
なお、
図2などでは、一対の支持部38,38は、素体26の底側面26aに接触するように描いてあるが、実際には必ずしも接触していなくてもよい。また、非接合領域50bにおいて、端面電極部22aと端子電極接続部32との間には、隙間が存在するように描いてあるが、必ずしも隙間が常にある必要はなく、少なくとも一部が接触していても良い。ただし、半田50により接合ではない。
【0048】
一対の支持部38,38のX軸方向幅は、それぞれ同じであることが好ましいが、必ずしも同じではなくても良い。本実施形態では、
図2に示すように、X軸方向に沿って、連結部36と支持部38とは位置ズレしており、素体26の底側面26a側に向けて端子電極接続部32から折り曲げてある。
【0049】
本実施形態では、支持部38を設けることで、特に、半田50による接合前または半田50による接合作業に際し、金属端子30によるチップコンデンサ20の保持が確実なものとなり、半田の作業が容易になる。半田50による接合により、金属端子30は多少変形することがあり、接合後に、支持部38は、チップコンデンサ20の底側面26aに接触しなくなることもあるが、何ら問題なく、むしろ音鳴き防止の観点からは好ましい。
【0050】
また、本実施形態では、
図5に示すように、素体26のY軸方向の両端面近くでは、実装面と垂直方向(Z軸方向)から見て、実装接続部34と支持部38とは重ならない部分を有する。このように構成することで、
図11に示すように、実装面62に形成してある回路パターン64と実装接続部34とを接続する半田52が支持部38にまで延びることを有効に防止でき、いわゆる半田ブリッジ現象を抑制することができる。
【0051】
半田ブリッジが生じてしまうと、音鳴きが生じやすくなることから、半田ブリッジの低減が望まれている。なお、半田ブリッジの低減が図れるために、実装面62とチップ部品20との隙間を、たとえばH5=0.2mm以下にもすることが可能であり、装置全体の高さH3を低減することができ、装置の薄型化にも寄与する。
【0052】
チップコンデンサ20の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。チップコンデンサ20が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.6mm)×横(0.3〜5.0mm)×厚み(0.1〜5.6mm)程度である。
【0053】
セラミックコンデンサ10の製造方法
以下に、セラミックコンデンサ10の製造方法について説明する。まず、チップコンデンサ20を製造する。焼成後に誘電体層となるグリーンシートを形成するために、グリーンシート用塗料を準備する。グリーンシート用塗料は、本実施形態では、誘電体材料の原料と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
【0054】
誘電体材料の原料としては、焼成後にチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムとなる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。
【0055】
次に、上述のグリーンシート用塗料を用いて、キャリアシート上に、グリーンシートを形成する。次に、グリーンシートの一方の表面に、焼成後に内部電極層となる電極パターンを形成する。電極パターンの形成方法としては、特に限定されないが、印刷法、転写法、薄膜法などが例示される。グリーンシートの上に電極パターンを形成した後、乾燥することにより、電極パターンが形成されたグリーンシートを得る。
【0056】
内部電極層用塗料を製造する際に用いる導電体材料としては、NiやNi合金、さらにはこれらの混合物を用いることが好ましい。このような導電体材料は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。
【0057】
次に、内部電極パターンが形成されたグリーンシートを、キャリアシートから剥離しつつ所望の積層数まで積層し、グリーン積層体を得る。なお、積層の最初と最後には、内部電極パターンが形成されていない外層用グリーンシートを、積層する。
【0058】
その後、このグリーン積層体を最終加圧し、必要に応じて研磨処理を行い、脱バインダ処理を行う。続いて、グリーンチップの焼成を実施する。焼成条件は特に限定されない。焼成後に、必要に応じてアニール処理、研磨等を施すことにより、
図1に示すコンデンサ素体26を得る。
【0059】
その後、コンデンサ素体26に端子電極22を形成する。端子電極22は、たとえば端子電極用塗料を焼きつけて下地電極を形成した後、下地電極の表面にめっきによる金属被膜を形成することにより、作製する。なお、端子電極用塗料は、上記した内部電極層用塗料と同様にして調製することができる。
【0060】
また、樹脂電極層を有する端子電極22を形成する場合には、たとえば素体26の端面に焼付層から成る下地電極を形成した後、樹脂電極ペースト膜を塗布して樹脂電極層を形成する。その後に、Niめっき層およびSnめっき層を形成すれば良い。
【0061】
金属端子30の製造では、まず、平板状の金属板材を準備する。金属板材の材質は、導電性を有する金属材料であれば特に限定されず、例えば鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金を用いることができる。
【0062】
次に、金属板材を機械加工することにより、
図6〜
図10に示す金属端子30を得る。具体的な加工方法は特に限定されないが、たとえばプレス加工が好ましく用いられる。金属端子30の表面には、めっきによる金属被膜を形成してもよい。
【0063】
めっきに用いる材料としては、特に限定されないが、例えばNi、Cu、Sn等が挙げられる。めっき処理の後、またはめっき処理に際して、たとえば後述する方法により、金属端子30の表面における所定領域には、半田付着防止処理を行い、半田付着防止領域を形成する。
【0064】
上述のようにして得られたチップコンデンサ20のY軸方向の両端面に形成してある端子電極22に、金属端子30の端子電極接続部32を接続する。本実施形態では、これらを半田50により接続し、
図2に示すように、接合領域50aと非接合領域50bとを形成する。非接合領域50bは、金属端子30の所定領域の表面に形成された半田付着防止領域に対応して形成される。
【0065】
半田付着防止領域は、下記のようにして形成される。たとえば金属端子30の全表面に対して、錫めっきなどが施されて、半田が付着しやすい表面になっている場合において、金属端子30における半田付着防止領域を形成したい領域のみに、レーザ照射を行えばよい。レーザ照射により錫めっき層を除去され、半田が付着しにくい表面が露出し、希望とする表面に半田付着防止領域を形成することができる。
【0066】
あるいは、半田の付着を防止するレジスト層を、金属端子30における半田付着防止領域を形成したい領域のみに形成して、希望とする表面に半田付着防止領域を形成しても良い。レジスト層としては、たとえばプリント基板等に用いられる一般的なソルダ―レジストインクが使用可能で、その主成分は硬化性エポキシ樹脂から形成される。または、金属端子30の表面に、錫めっきを行う際に、そのめっき領域を限定して行うことで、その錫めっきがされない領域に、半田付着防止領域を形成しても良い。
【0067】
あるいは、
図7Bに示すように、端子電極接続部32のZ軸方向の上端から下方に向けて所定の高さH6aの位置に、半田溜まり用凹部32cを端子電極接続部32の内面に形成することで、その凹部32cより下方を、半田付着防止領域としても良い。凹部32cは、Y軸方向に連続的に形成してあることが好ましい。この凹部32cに余分な半田が流れ込んで溜まることにより、たとえば
図2に示す半田50が、支持部38までは到達しなくなり、その手前に、非接合領域50bが形成される。
【0068】
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態に係るセラミックコンデンサ10Aの斜視図である。本実施形態に係るセラミックコンデンサ10Aは、
図1〜
図11に示す第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10と下記に示す以外は、同様な構成を有し、同様な作用効果を奏するので、共通する部分には、共通する部材符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
【0069】
図12に示すように、本実施形態では、端子電極30Aの端子電極接続部32Aには、
図1に示す溝33が形成されていない。本実施形態のセラミックコンデンサ10Aは、
図1に示す溝33が形成されていない以外は、第1実施形態のセラミックコンデンサ10と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
【0070】
(第3実施形態)
図13は、本発明の第3実施形態に係るセラミックコンデンサ10Bの斜視図である。本実施形態に係るセラミックコンデンサ10Bは、
図1〜
図11に示す第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10と下記に示す以外は、同様な構成を有し、同様な作用効果を奏するので、共通する部分には、共通する部材符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
【0071】
図13に示すように、本実施形態では、チップコンデンサ20Bの素体26の端面に形成してある端子電極22の側面電極部22bにおけるY軸方向長さが、第1実施形態の端子電極22における側面電極部22bにおけるY軸方向長さよりも長く構成してある。本実施形態のセラミックコンデンサ10Bは、端子電極22の側面電極部22bにおけるY軸方向長さが、第1実施形態の端子電極22における側面電極部22bにおけるY軸方向長さよりも長い以外は、第1実施形態のセラミックコンデンサ10と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
【0072】
(第4実施形態)
図14は、本発明の第4実施形態に係るセラミックコンデンサ10Cの斜視図である。本実施形態に係るセラミックコンデンサ10Cは、
図1〜
図11に示す第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10と下記に示す以外は、同様な構成を有し、同様な作用効果を奏するので、共通する部分には、共通する部材符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
【0073】
図14に示すように、本実施形態では、上述した第1実施形態の金属端子30の代わりに、金属端子30Cを用いている以外は、第1実施形態のセラミックコンデンサ10と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
【0074】
図15に示すように、本実施形態では、端子電極接続部32CのZ軸方向上端のX軸方向の中央部に設けられる溝33の深さH1が、端子電極接続部
32CのZ軸方向上端から支持部
38Cの上表面38aまでの高さH7と略等しくなっている。
【0075】
この溝33のX軸方向の両側には、一対の接続片32a,32aが形成してあり、その溝33のZ軸方向の底部に、単一の支持部38Cが設けられている。支持部38Cを構成する支持片は、溝33から内側(
図14に示すチップコンデンサ20の側)に向けて折り曲げられ、連結部36Cおよび接続片32a,32aと一体に形成されている。溝33の深さH1は、
図4に示す素体26のZ軸方向高さH0と同程度が好ましく、H1/H0は、約1であることが好ましい。
【0076】
図14に示すように、本実施形態では、金属端子30Cの端子電極接続部32Cと端子電極22の端面電極部22aとの間には、接合領域50aと非接合領域50bとが形成してあり、非接合領域50bが、端子電極接続部32Cから支持部38Cにまで形成してある。
【0077】
接合領域50aは、半田50により、金属端子30Cの端子電極接続部32Cと端子電極22の端面電極部22aとが機械的および電気的に接合してある領域である。また、非接合領域50bは、半田50が存在しない領域であり、金属端子
30Cの端子電極接続部32Cと端子電極22の端面電極部22aとがハンダによる接合が成されていない領域である。この非接合領域50bは、端子電極接続部32Cから支持部
38Cにまで連続的に形成してある。
【0078】
非接合領域50bを、端子電極接続部32Cの下方位置(支持部38Cの近く)から支持部38Cにまで形成するための手段としては、特に限定されないが、たとえば
図15に示すように、少なくとも支持部
38Cの上表面38aに半田付着防止領域(
図15中の点々によるハッチング部分)を形成すれば良い。半田付着防止領域は、支持部
38Cの上表面38aと共に、その近くに位置する端子電極接続部32Cにおける端面電極部22aとの対向面32bにも形成する。さらに、連結部36Cの内側面36aの少なくとも一部にまで連続して半田付着防止領域を形成しても良い。
【0079】
なお、
図15に示す実装接続部34の上面34aと底面34bには、
図11に示す半田52が付着して実装接続部34を回路基板60の実装面62に強固に接続するために、半田付着防止領域を形成しないことが好ましい。また、
図15に示す連結部36Cの外表面36bにも、
図11に示す半田52が付着して実装接続部34を回路基板60の実装面62に強固に接続するために、半田付着防止領域を形成しないことが好ましい。ただし、
図15に示す実装接続部34の上面34aおよび支持部38Cの下面38bは、必ずしも
図11に示す半田52が付着しなくても良いことから、そこに半田付着防止領域を、前述した半田付着防止領域に連続して形成しても良い。
【0080】
図6および
図7Aに示す金属端子30の端子電極接続部32において、半田付着防止領域が形成されていないZ軸方向の高さH6aは、
図14に示す接合領域50aのZ軸方向高さと略一致するが、半田50の量などによっては、必ずしも一致しなくても良い。
【0081】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。たとえば本発明では、金属端子30の端子電極接続部32に形成する溝33の形状は、図示する実施形態に示すように底部角部が丸みを帯びた四角形状に限定されず、たとえば半円状、U字形状、楕円状、逆三角形状、その他の多角形状などであっても良い。
【0082】
また、上述した実施形態では、接合領域50aを、半田50を用いて形成してあるが、導電性接着剤により形成しても良い。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0084】
実施例1
W1/W0=0.5である
図1〜
図10に示すセラミックコンデンサ10を作製し、
図11に示すように、回路基板60の実装面62に半田52を用いてコンデンサ10を実装した。H6/H7は、0.56であった。
【0085】
この実施例1のコンデンサ10について、音鳴きを評価するために、20Hz〜20kHzの周波数の交流を印加して音圧レベルを測定する試験を行った。結果を
図16に示す。
図16において、縦軸は、音鳴きを示す音圧レベル(SPL)を示し、単位はdBである。また、横軸は、可聴範囲での音鳴きの周波数を示す。
【0086】
比較例1
H6/H7は1であり、しかも、支持部38と端子電極22との間にも、半田による接合領域10aが形成された以外は、実施例1と同様にして、音鳴きを評価するために、20Hz〜20kHzの周波数の交流を印加して音圧レベルを測定する試験を行った。結果を
図16に示す。
【0087】
比較例2
W1/W0=1とし、支持部38を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、セラミックコンデンサを作製し、同様な試験を行った。結果を
図16に示す。
【0088】
評価
図16に示すように、実施例1のコンデンサでは、比較例1および比較例2のコンデンサに比較して、音鳴きが抑制されることが確認できた。
【0089】
実施例2
H6/H7を0.3〜0.9の範囲で変化させた以外は、実施例1と同様にして、セラミックコンデンサを作製し、同様な試験を行った。実施例1と同様な結果が得られた。また、接合強度も実施例1と同等に満足できるレベルであることが確認できた。