特許第6620416号(P6620416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620416
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20191209BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-96758(P2015-96758)
(22)【出願日】2015年5月11日
(65)【公開番号】特開2016-209351(P2016-209351A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100094787
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100097777
【弁理士】
【氏名又は名称】韮澤 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100091971
【弁理士】
【氏名又は名称】米澤 明
(74)【代理人】
【識別番号】100145920
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 聡
(72)【発明者】
【氏名】久保田 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】関 将志
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】 尾崎 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−285583(JP,A)
【文献】 特開2007−193058(JP,A)
【文献】 特開2009−236957(JP,A)
【文献】 特開2004−309733(JP,A)
【文献】 特開2004−145252(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/119407(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
G02B 5/30
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
G02B 26/10−26/12
G03B 21/00−21/10
G03B 21/12−21/13
G03B 21/134−21/30
G03B 33/00−33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め想定された視覚者の視覚領域から、視覚者に対し、表示を虚像として視覚させる表示部を備える遊技機であって、
前記表示部は、
像を投影するプロジェクター部と、
前記プロジェクター部によって投影された像を結像させる中間スクリーンと、
前記中間スクリーンで結像された像を反射することで表示を行う透明体と、を備え、
前記中間スクリーンが、
2つの主面を有し、一方の主面に複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイが設けられ、他方の主面が平滑面であるマイクロレンズアレイ基材と、
2つの主面を有し、一方の主面に光拡散面が設けられ、他方の主面が平滑面である光拡散基材と、
からなり、
前記マイクロレンズアレイ基材の前記マイクロレンズアレイが設けられた主面と、前記光拡散基材の前記光拡散面が設けられた主面と、が対向配置され
前記複数のマイクロレンズは、第1方向と、前記第1方向と直交する第2方向に対して周期的に配列されており、
前記複数のマイクロレンズは、前記第1方向に曲率半径R1の曲率を有しており、前記第2方向に曲率半径R2の曲率を有しており、前記曲率半径R1と前記曲率半径R2とが異なることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記プロジェクター部が、
レーザー光を発生するレーザー光源と、
前記レーザー光を前記中間スクリーンに走査する走査部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記プロジェクター部が、
光を発生する光源と、
前記光を前記中間スクリーンに反射するLCOS素子と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記プロジェクター部が、
光を発生する光源と、
前記光を前記中間スクリーンに反射するDMD素子と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記虚像が形成される近傍に立体構造物を配することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚者に対し、表示を虚像として視覚させる表示部を有する、パチンコ、スロット、アーケードゲームなどの遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ、スロット、アーケードゲームなどの遊技機においては、絵柄合わせや数字合わせなどの演出を行う表示部を設けることが知られている。さらに、遊技者に、興趣を与えるために、虚像を視覚させる表示部が知られている。このような表示部によれば、虚像と、この虚像の背景とを同時に視覚することができるようになるので、遊技者は視線を移すことなく、遊技に集中することができる。
【0003】
このような遊技機の一例としては、引用文献1(特許第4495227号公報)には、画像表示装置と、ハーフミラーと、ハーフミラーの背後にハーフミラーを透過して視認可能に配置された立体物と、を備えた遊技機が開示されている。
【特許文献1】特許第4495227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遊技機では、ハーフミラーを使用するため、遊技場の照明や遊技機の演出に使用されるランプの意図しない映り込みが発生しやすく、遊技者にハーフミラーの使用を想起させて興趣を削ぐおそれがある、という問題があった。
【0005】
なお、ハーフミラーの代わりに、通常のガラスや透明樹脂を用いると、反射率が低くなるため、虚像が暗くなり視認しづらくなる、という新たな問題が生じることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以上のような課題を解決するためのものであり、本発明に係る遊技機は、予め想定された視覚者の視覚領域から、視覚者に対し、表示を虚像として視覚させる表示部を備える遊技機であって、前記表示部は、像を投影するプロジェクター部と、前記プロジェクター部によって投影された像を結像させる中間スクリーンと、前記中間スクリーンで結像された像を反射することで表示を行う透明体と、を備え、前記中間スクリーンが、2つの主面を有し、一方の主面に複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイが設けられ、他方の主面が平滑面であるマイクロレンズアレイ基材と、2つの主面を有し、一方の主面に光拡散面が設けられ、他方の主面が平滑面である光拡散基材と、からなり、前記マイクロレンズアレイ基材の前記マイクロレンズアレイが設けられた主面と、前記光拡散基材の前記光拡散面が設けられた主面と、が対向配置され、前記複数のマイクロレンズは、第1方向と、前記第1方向と直交する第2方向に対して周期的に配列されており、前記複数のマイクロレンズは、前記第1方向に曲率半径R1の曲率を有しており、前記第2方向に曲率半径R2の曲率を有しており、前記曲率半径R1と前記曲率半径R2とが異なることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る遊技機は、前記プロジェクター部が、レーザー光を発生するレーザー光源と、前記レーザー光を前記中間スクリーンに走査する走査部と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る遊技機は、前記プロジェクター部が、光を発生する光源と、前記光を前記中間スクリーンに反射するLCOS素子と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る遊技機は、前記プロジェクター部が、光を発生する光源と、前記光を前記中間スクリーンに反射するDMD素子と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る遊技機は、前記虚像が形成される近傍に立体構造物を配することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る遊技機においては、表示部にハーフミラーを用いていないため、遊技場の照明や遊技機の演出に使用されるランプの意図しない映り込みが発生することなく、遊技者の興趣を削ぐことがない。
【0015】
本発明に係る遊技機においては、プロジェクター部と、中間スクリーンが用いられており、このような本発明に係る遊技機によれば、従来に比べ、ハーフミラーを用いることなく、光源の出力を抑制したまま効率的に高輝度な虚像を表示することが可能となり、虚像の視認性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る遊技機1を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る遊技機1に用いられる表示部100の構成を示す図である。
図3】中間スクリーン40として用いられるマイクロレンズアレイ基材50の斜視図である。
図4】第1方向と第2方向に広がるマイクロレンズアレイ54をz軸方向から見た図である。
図5】拡散角の定義を説明する図である。
図6】視覚者が視認する立体構造物3に重畳された虚像を示す図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る遊技機1の表示部100に用いられる中間スクリーン40を示す図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る遊技機1の表示部100に用いられる中間スクリーン40を示す図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る遊技機1の表示部100に用いられる中間スクリーン40を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る遊技機1を示す図である。また、図2は本発明の実施形態に係る遊技機1に用いられる表示部100の構成を示す図である。なお、以下に説明する図面は、模式的に示した図であって、実際の形状、寸法、配置とは異なる場合もある。
【0018】
以下の例では、パチンコ、スロット、アーケードゲームなどの遊技機1の遊技者(視覚者)が、表示部100を図中のEから視覚することを前提としている。このような遊技機1の表示部100においては、模型などの立体構造物3が配されており、この立体構造物3の近傍に虚像I’が遊技者(視覚者)により視覚し得るように設計されることで、遊技
者に興趣を与えるようにしている。
【0019】
表示部100は、像の投影を行う投影ユニット85と、透明ガラススクリーン90とを有している。透明ガラススクリーン90は、投影ユニット85による表示を虚像として視認させることで、前記虚像を前方視野にある立体構造物3に重畳表示するものである。また、投影ユニット85は、中間スクリーン40とプロジェクター部83とから構成されている。
【0020】
次に、表示部100を構成する投影ユニット85の詳細について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る表示部100の投影ユニット85の構造の一例を示している。
【0021】
なお、投影ユニット85内の座標を、図2に示すxyzの3次元直交座標により定義する。例えば、第1光源11から出射される光はz方向と平行な方向に向けて出射される光である。また、コリメータレンズ35の光軸はy方向と平行な方向にあるものとする。
【0022】
投影ユニット85における投影部10からは、表示部100により表示される投影像の光が出射される。投影部10は、第1光源11、第2光源12、第3光源13、第1ダイクロイックプリズム21、第2ダイクロイックプリズム22、集光レンズ26等を有している。
【0023】
第1光源11、第2光源12及び第3光源13は相互に異なる波長の光を出射するものであって、第1光源11からは第1の波長の光、第2光源12からは第2の波長の光、第3光源13からは第3の波長の光が出射される。本実施の形態においては、例えば、第1光源11から出射される第1の波長の光を青色の光、第2光源12から出射される第2の波長の光を緑色の光、第3光源13から出射される第3の波長の光を赤色の光とすることができる。
【0024】
第1光源11、第2光源12及び第3光源13は、コヒーレント光としてのレーザー光を出射する半導体レーザー装置(レーザー光源)など各種レーザー装置を用いることができる。
【0025】
本実施形態においては、第1光源11より出射された第1の波長の光と第2光源12より出射された第2の波長の光は、第1ダイクロイックプリズム21の異なる面に各々入射し、第3光源13より出射された第3の波長の光は、第2ダイクロイックプリズム22に入射するように配置されている。
【0026】
第1ダイクロイックプリズム21においては、第1光源11より出射された第1の波長の光は透過し、第2光源12より出射された第2の波長の光は反射される。これにより、第1の波長の光と第2の波長の光が合波される。
【0027】
このように合波された第1の波長の光と第2の波長の光は、第2ダイクロイックプリズム22に入射する。
【0028】
第2ダイクロイックプリズム22においては、第1光源11より出射された第1の波長の光及び第2光源12より出射された第2の波長の光は透過し、第3光源13より出射された第3の波長の光は反射される。これにより、第1の波長の光、第2の波長の光、第3の波長の光が合波される。
【0029】
このように、第2ダイクロイックプリズム22において合波された第1の波長の光、第2の波長の光及び第3の波長のレーザー光は、集光レンズ26を介し、投影ミラー30に
おいて反射され、コリメータレンズ35に入射する。投影ミラー30は、2次元的に角度を変えることのできる機能を有しており、これにより、入射した光を2次元的にスキャンニングすることができ、所望のレーザー光による投影像が形成される。
【0030】
なお、投影ミラー30は、x軸と平行な第1軸(不図示)を中心として回動する(a)方向の動き得るように、さらに、前記第1軸と直交する第2軸(不図示)を中心として回動する(b)方向の動きえるようになっている。
【0031】
また、投影ミラー30としては、入射した光を2次元的にスキャンニングすることができるものであれば、適宜他の光学部材に置換することが可能であり、このような光学部材としては、ガルバノメータミラー、ガルバノメータスキャナー、ポリゴンミラー、プリズム、音響光学素子、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いた光学素子等を適宜利用することができる。
【0032】
投影ミラー30によって反射されるレーザー光は、コリメータレンズ35を走査し、所望とするレーザー光による投影像が形成される。本実施形態においては、投影ミラー30においてレーザー光が入射し、これを反射する点(r0)は、コリメータレンズ35の光
軸上に存在するように設定されている。コリメータレンズ35は、投影ミラー30から入射されたレーザー光をコリメートし、ミラー80に向けて出射する。
【0033】
ミラー80は、反射したレーザー光を中間スクリーン40に入射する。中間スクリーン40には、入射されたレーザー光による投影像が結像する。透明ガラススクリーン90は、中間スクリーン40で結像した像Iを、反射することで表示する。これにより、予め想定された視覚者の視覚領域(E)から、視覚者に対し、表示を虚像I’として視覚させることができる。図6は視覚者が視認する立体構造物3に重畳された虚像を示す図である。図6(A)乃至(C)は、立体構造物3に種々の模様の虚像I’を重畳した様子を示している。このように、本発明においては、立体構造物3の近傍に虚像I’が遊技者(視覚者)により視覚し得るように設計されることで、遊技者に興趣を与えるようにしている。
【0034】
なお、中間スクリーン40は、所定以上の透過度を有する透明基材からなる光学部材である。中間スクリーン40は、有機樹脂材料を用いて成型することによって構成することもできるし、ガラスなどの無機材料を用いることで構成することもできる。
【0035】
また、本実施形態においては、中間スクリーン40としてマイクロレンズアレイ基材50が用いられているが、他の基材を用いるようにしてもよい。また、透明ガラススクリーン90には、平板状の透明体であれば他のものを用いることができる。例えば、透明ガラススクリーン90に代えて、透明な合成樹脂等を用いることができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、投影ミラー30と中間スクリーン40との間には、コリメータレンズ35やミラー80などからなる光学系が配されているが、これらは必ずしも必須の構成要件ではない。また、中間スクリーン40と透明ガラススクリーン90との間に、適宜投影光学系を用いるようにすることもできる。
【0037】
ここで、表示部100で用いられる中間スクリーン40についてより詳しく説明する。図3は中間スクリーン40として用いられるマイクロレンズアレイ基材50の斜視図である。
【0038】
マイクロレンズアレイ基材50は、第1主面51、第2主面52を有しており、第1主面51には、複数のマイクロレンズ53が周期的に配列されてなるマイクロレンズアレイ54が設けられ、第2主面52が平滑面55となっている。このマイクロレンズアレイ基
材50は、透明基材により構成される。
【0039】
x軸に平行な軸の方向を第1方向、及び、y軸に平行な軸の方向を第2方向(第1方向とは直交関係)として定義する。
【0040】
ここで、視覚者が透明ガラススクリーン90を視覚する際に、中間スクリーン40(マイクロレンズアレイ基材50)の第1方向は、視覚者によって水平方向の像として視覚される像を結像する方向であり、中間スクリーン40(マイクロレンズアレイ基材50)の第2方向は、視覚者によって垂直方向の像として視覚される像を結像する方向である。
【0041】
上記のような定義の下、中間スクリーン40でるマイクロレンズアレイ基材50は、第1方向と、前記第1方向と直交する第2方向に広がる主面を有している。
【0042】
図4は第1方向と第2方向に広がるマイクロレンズアレイ54をz軸方向から見た図である。図に示すように、本実施形態に係る中間スクリーン40(マイクロレンズアレイ基材50)においては、z軸方向から見たとき、マイクロレンズ53が、1辺の長さがdである正方形であるものを用いている。なお、マイクロレンズ53は正方形でなくてもよく、例えば、正六角形であってもよい。ただし、隣接するマイクロレンズ53同士は密接していて、隣接するマイクロレンズ53同士の間隙には、レンズを形成しない平滑面が残っていないことが好ましい。これは、直進透過光を減らすようにするためである。
【0043】
また、各マイクロレンズ53は球面レンズ乃至非球面レンズであり、第1主面51側の頂点において、第1方向に曲率半径R1の曲率を有しており、第2方向に曲率半径R2の曲率を有している。なお、頂点とは、各マイクロレンズ53が最もz軸方向に突出している点をいう。
【0044】
そして、各マイクロレンズ53の第1方向と平行な面であってマイクロレンズ53の光軸を含む面における断面形状を、第2方向と平行な面であってマイクロレンズ53の光軸を含む面における断面形状と異ならせることが好ましい。より詳しくは、各マイクロレンズ53の第1主面51側の頂点における第1方向の曲率半径R1と、第2方向の曲率半径
2とは等しくすることも可能であるが、異ならせることが好ましい。
【0045】
これは、一般的に、表示部100で表示する画像情報の縦横比が異なっており、画像周辺部の輝度低下の抑制を、画像の上下端部周辺と、画像の左右端部周辺と同程度とするには、各マイクロレンズ53の第1主面51側の頂点における第1方向の曲率半径R1と、
第2方向の曲率半径R2とが異なっていた方がよいからである。
【0046】
さらに、一般的には、表示部100で表示する画像情報は横長であることを考慮に入れると、各マイクロレンズ53の第1主面51側の頂点における第1方向の曲率半径R1
、第2方向の曲率半径R2より小さいことが好ましい。
【0047】
なお、表示部100の光源としてレーザー光源を用いた表示部では、マイクロレンズアレイ54を用いることにより、レーザー光によるスペックルノイズが抑制されるという利点を有している。
【0048】
次に、中間スクリーン40(マイクロレンズアレイ基材50)を表示部100に用いる場合、中間スクリーン40として好ましい光学的な特性について説明する。まず、以下、拡散角を頻用するので、これを定義する。
【0049】
図5は拡散角の定義を説明する図である。本明細書においては、中間スクリーン40を
構成するマイクロレンズアレイ基材50、光拡散基材60から、主面法線方向に対して略平行な光が入射した際に出射される光の最大散乱光強度Imaxの2分の1になる2つの角
度の差である半値幅(FWHM)を拡散角θと定義する。なお、散乱光強度は、XYZ表色
系(CIE1931表色系)のY値によっており、三次元変角分光測色システム(GCMS−13型、株式会社村上色彩技術研究所製)により計測を行っている。
【0050】
上記のような定義の下、マイクロレンズアレイ基材50としては、表示部100による表示の水平方向(第1方向)に対応する拡散角θ1と、表示部100による表示の垂直方
向(第2方向)に対応する拡散角θ2と、間には、θ1>θ2の関係があることが好ましい
。これは、表示部100で表示する画像情報は横長であることに起因している。
【0051】
さらに、水平拡散角θ1が20°以上60°以下であり、垂直方向拡散角θ2が5°以上35°以下であることが好ましい。より好ましくは、水平拡散角θ1が20°以上50°
以下であり、垂直方向拡散角θ2が10°以上30°以下であると、表示部100に用い
る中間スクリーン40としては最適なものとなる。これは、遊技機の表示部に固定される遊技者の視野に向けて効率的に拡散光を届けられるためである。
【0052】
次に、中間スクリーン40のベースとなる母材の材質について説明する。中間スクリーン40のベースとなる母材の材質は、透明材質であればどのようなものでもよく、例えば、熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂・UV硬化性樹脂・電子線硬化性樹脂・ガラスなどを用いることできる。
【0053】
中間スクリーン40のベースとなる母材の材質として、熱可塑性樹脂を用いるのであれば、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン等を挙げることができる。
【0054】
また、中間スクリーン40は、一つのベース母材から形成する必要は必ずしも無い。例えば、マイクロレンズアレイ基材50の場合には、マイクロレンズアレイ54などと、基板状部材とを別部材で構成しておき、これらを接着材など接合するようにしてもよい。ただし、この場合、全ての部材の屈折率が等しいことが好ましい。
【0055】
以上のような本発明に係る遊技機1においては、表示部100にハーフミラーを用いていないため、遊技場の照明や遊技機の演出に使用されるランプの意図しない映り込みが発生することなく、遊技者の興趣を削ぐことがない。
【0056】
本発明に係る遊技機1においては、プロジェクター部と、中間スクリーン40が用いられており、このような本発明に係る遊技機1によれば、従来に比べ、高輝度な虚像を表示することが可能となり、虚像の視認性が向上する。本発明によるこのような効果は、中間スクリーン40の拡散角が制御されていることによるところが大きい。
【0057】
なお、以上の実施形態においては、表示部100の描画方式として、投影部10及び投影ミラー30とからなるレーザースキャン方式を、表示部100に適用した例に基づいて説明したが、本発明に係る表示部100は、描画方式として、光源と、LCOS(Liquid crystal on silicon)素子とを用いたLCOS方式を採用したもの、或いは、光源と、DMD(Digital Mirror Device)素子とを用いたDLP(Digital Light Processing)方式を採用したものなどにも適用することができる。光源としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、LED、半導体レーザー等を挙げることができる。
【0058】
なお、LCOS方式の場合には、光源からの光を、反射型の液晶素子であるLCOS素子が、前記光を中間スクリーン40に対して選択的に反射することで、また、DLP方式の場合には、光源からの光を、複数のマイクロミラーが配置された反射型の素子であるDMD素子が、前記光を中間スクリーン40に対して選択的に反射することで、表示部100を実現することができる。
【0059】
また、遊技機1に内蔵する表示部100としては、コンパクトであることが求められるが、このような観点からは、表示部100に用いる描画方式としては、レーザースキャン方式が最も好ましい。
【0060】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本発明の他の実施形態に係る表示部100は、用いられる中間スクリーン40が先の実施形態に係る表示部100と異なっているので、中間スクリーン40の相違について説明する。
【0061】
図7は本発明の他の実施形態に係る遊技機1の表示部100に用いられる中間スクリーン40を示す図である。本実施形態においては、中間スクリーン40として、マイクロレンズアレイ/光拡散基材70が用いられる。なお、図中の矢印はミラー80からの光が入射する光を示している。
【0062】
マイクロレンズアレイ/光拡散基材70は、第1主面71、第2主面72を有しており、第1主面71には、複数のマイクロレンズ73が周期的に配列されてなるマイクロレンズアレイ74が設けられ、第2主面72が光拡散面75となっている。このマイクロレンズアレイ基材70は、透明基材により構成される。
【0063】
光拡散面75は、周期がランダムである微細凹凸からなっている。このような光拡散面75は、例えば、すりガラス同様、平滑面に微細な傷が設けられることによって構成される。光拡散面75を構成するためには、サンドブラスト加工や、ビーズブラスト加工などのブラスト加工が好適である。
【0064】
上記のようなマイクロレンズアレイ/光拡散基材70を用いても、先の実施形態同様の効果を享受することができる。
【0065】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本発明の他の実施形態に係る表示部100も、用いられる中間スクリーン40が先の実施形態に係る表示部100と異なっているので、中間スクリーン40の相違について説明する。
【0066】
図8及び図9は本発明の他の実施形態に係る遊技機1の表示部100に用いられる中間スクリーン40を示す図である。 本実施形態においては、中間スクリーン40として、これまで説明したマイクロレンズアレイ基材50と、光拡散基材60の2枚が用いられる。なお、図中の矢印はミラー80からの光が入射する方向を示している。
【0067】
光拡散基材60は、第1主面61、第2主面62を有し、第1主面61に光拡散面64が設けられ、第2主面62が平滑面65となっている。
【0068】
光拡散面64は、周期がランダムである微細凹凸からなっている。このような光拡散面64は、例えば、すりガラス同様、平滑面に微細な傷が設けられることによって構成される。光拡散面64を構成するためには、サンドブラスト加工や、ビーズブラスト加工などのブラスト加工が好適である。
【0069】
本発明に係る中間スクリーン40においては、マイクロレンズアレイ基材50のマイクロレンズアレイ54が設けられた第1主面51と、光拡散基材60の光拡散面64が設けられた第1主面61と、が対向配置されている。さらに、マイクロレンズアレイ基材50と光拡散基材60との間の対向間隔は0μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0070】
ミラー80からの光を入射させる面は、図8に示すようにマイクロレンズアレイ基材50の平滑面55側としてもよいし、図9に示すように光拡散基材60の平滑面65としてもよい。ただし、前者のレイアウトの方が、虚像の輝度をより均一にすることができる。
【0071】
なお、上記の対向間隔は、マイクロレンズアレイ基材50の主面からマイクロレンズアレイ54が最も突出した頂部と、光拡散基材60の主面から光拡散面64の最も突出した頂部と、の間の間隔をいう。
【0072】
本実施形態においては、中間スクリーン40として、マイクロレンズアレイ基材50と光拡散基材60とにより像を形成するため、単なるスクリーンを使用して像を形成する場合と比較して、有効に光を伝達することが可能となり、輝度の増加を図ることが可能となる。また、少ない光量でも十分な輝度を得ることが可能となるため、各レーザー光源などの出力を抑制して省電力化を図ることができる。
【0073】
なお、光拡散基材60としては拡散角θDが5°以上6°以下であることが好ましい。
本実施形態に係る中間スクリーン40のように、マイクロレンズアレイ基材50と光拡散基材60とを組み合わせて用いる場合、マイクロレンズアレイ基材50の異方性拡散の性質(水平方向と垂直方向で拡散プロファイルが異なる性質)を保持するためには、拡散角が小さい光拡散基材60と組み合わせることが望ましい(拡散角の大きい光拡散基材と組み合わせると、光拡散基材の等方性拡散の性質が支配的となり、全体として等方性拡散に近づいていくため)。しかしながら、光拡散基材60の拡散角が5°以下では回折光起因の虹模様が消えないため、本発明においては、拡散基材60としては拡散角θDが5°以
上6°以下であるものを採用している。
【0074】
上記のようなマイクロレンズアレイ基材50と、光拡散基材60とからなる中間スクリーン40を用いても、先の実施形態同様の効果を享受することができる。
【0075】
以上、本発明に係る遊技機においては、表示部にハーフミラーを用いていないため、遊技場の照明や遊技機の演出に使用されるランプの意図しない映り込みが発生することなく、遊技者の興趣を削ぐことがない。
【0076】
また、本発明に係る遊技機においては、プロジェクター部と、中間スクリーンが用いられており、このような本発明に係る遊技機によれば、従来に比べ、ハーフミラーを用いることなく、光源の出力を抑制したまま効率的に高輝度な虚像を表示することが可能となり、虚像の視認性が向上する。
【符号の説明】
【0077】
1・・・遊技機
3・・・立体構造物
10・・・投影部
11・・・第1光源
12・・・第2光源
13・・・第3光源
21・・・第1ダイクロイックプリズム
22・・・第2ダイクロイックプリズム
26・・・集光レンズ
30・・・投影ミラー(走査部)
35・・・コリメータレンズ
40・・・中間スクリーン
50・・・マイクロレンズアレイ基材
51・・・第1主面
52・・・第2主面
53・・・マイクロレンズ
54・・・マイクロレンズアレイ
55・・・平滑面
60・・・光拡散基材
61・・・第1主面
62・・・第2主面
64・・・光拡散面
65・・・平滑面
70・・・マイクロレンズアレイ/光拡散基材
71・・・第1主面
72・・・第2主面
73・・・マイクロレンズ
74・・・マイクロレンズアレイ
75・・・光拡散面
80・・・ミラー
83・・・プロジェクター部
85・・・投影ユニット
90・・・透明ガラススクリーン(透明体)
100・・・表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9