特許第6620436号(P6620436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620436
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】研削盤
(51)【国際特許分類】
   B24B 5/42 20060101AFI20191209BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20191209BHJP
   B24B 49/04 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   B24B5/42
   B24B49/12
   B24B49/04 Z
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-125485(P2015-125485)
(22)【出願日】2015年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-7038(P2017-7038A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 明
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−105078(JP,A)
【文献】 特開2006−150525(JP,A)
【文献】 特開2005−138201(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105403148(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 5/42
B24B 49/02−49/06
B24B 49/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトのクランクピン又はクランクジャーナルを研削する研削盤であって、
前記クランクシャフトを回転可能に支持する主軸装置と、
前記主軸装置に対して前記クランクシャフトの軸線方向であるZ軸方向及びその直交方向であるX軸方向に相対移動可能な砥石台と、
前記砥石台に回転可能に設けられ、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルを研削する砥石車と、
前記砥石台に設けられ、前記クランクシャフトが前記主軸装置に支持された状態での前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの位置状態を、前記クランクシャフトから前記X軸方向に離れた位置にて非接触で検出する非接触式検出器と、
前記非接触式検出器による検出情報に基づいて前記クランクピンの位相を算出する位置算出装置と、
前記砥石台を前記Z軸方向に相対移動することで前記非接触式検出器を前記クランクピン又は前記クランクジャーナルに対応する位置に移動し、前記位置にて前記非接触式検出器による検出を行った後に、記砥石車による前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの研削を行う制御装置と、
を備え、
前記非接触式検出器は、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルを前記X軸方向から撮像するカメラであり、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの撮像情報を前記位置状態として検出し、
前記位置算出装置は、前記非接触式検出器の焦点から撮像センサの検出面までの距離をLsとし、前記クランクシャフトの回転中心から前記焦点までの距離をL0とし、前記クランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLaとし且つY軸方向距離をH1とし、前記クランクピンの中心の旋回半径をRとし、前記撮像センサにおける位置での前記クランクピンの中心位置に対応する位置と前記撮像センサの検出面における中心との距離をh1とし、前記焦点における前記クランクピンへの角度をα1とすると共に、
前記クランクシャフトを旋回後の前記クランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLbとし且つY軸方向距離をH2とし、前記撮像センサにおける位置であって前記旋回後の前記クランクピンの中心位置に対応する位置と前記撮像センサの検出面における中心との距離をh2とし、前記焦点における前記旋回後の前記クランクピンへの角度をα2とし、前記旋回後の前記クランクピンの位相をθ2としたとき、以下の式(1)−(9)を解くことにより、
或いは、前記クランクシャフトを旋回させない状態で前記クランクピンとは異なる位相に位置する他のクランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLcとし且つY軸方向距離をH3とし、前記撮像センサにおける位置であって前記他のクランクピンの中心位置に対応する位置と前記撮像センサの検出面における中心との距離をh3とし、前記焦点における前記他のクランクピンへの角度をα3としたとき、以下の式(21)−(27)を解くことにより、前記クランクピンの位相θ1を算出する、研削盤。

tanα1=h1/Ls ・・・(1)
tanα2=h2/Ls ・・・(2)
H1=(L0−La)×tanα1 ・・・(3)
H2=(L0−Lb)×tanα2 ・・・(4)
H1=La×tanθ1 ・・・(5)
H2=Lb×tanθ2 ・・・(6)
sinθ1=H1/R ・・・(7)
sinθ2=H2/R ・・・(8)
θ1+θ2=90° ・・・(9)

tanα1=h1/Ls ・・・(21)
tanα3=h3/Ls ・・・(22)
H1=(L0−La)×tanα1 ・・・(23)
H3=(L0−Lc)×tanα3 ・・・(24)
H1=La×tanθ1 ・・・(25)
H1=H3 ・・・(26)
sinθ1=H1/R ・・・(27)
【請求項2】
クランクシャフトのクランクピン又はクランクジャーナルを研削する研削盤であって、
前記クランクシャフトを回転可能に支持する主軸装置と、
前記主軸装置に対して前記クランクシャフトの軸線方向であるZ軸方向及びその直交方向であるX軸方向に相対移動可能な砥石台と、
前記砥石台に回転可能に設けられ、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルを研削する砥石車と、
前記砥石台に設けられ、前記クランクシャフトが前記主軸装置に支持された状態での前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの位置状態を、前記クランクシャフトから前記X軸方向に離れた位置にて非接触で検出する非接触式検出器と、
前記非接触式検出器による検出情報に基づいて前記クランクピンの位相を算出する位置算出装置と、
前記砥石台を前記Z軸方向に相対移動することで前記非接触式検出器を前記クランクピン又は前記クランクジャーナルに対応する位置に移動し、前記位置にて前記非接触式検出器による検出を行い、前記砥石車による前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの研削を行う制御装置と、
を備え、
前記非接触式検出器は、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルまでの前記X軸方向の距離を計測するレーザ測定器であり、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルまでの距離を前記位置状態として検出し、
前記位置算出装置は、前記クランクシャフトの回転中心から前記非接触式検出器までの距離をL0とし、前記非接触式検出器による前記クランクピンの外周面までの離間距離をL1とし、前記クランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLaとし且つY軸方向距離をH1とし、前記クランクピンの半径をdとし、前記非接触式検出器における前記クランクピンへの角度をα1とし、前記クランクピンの中心の旋回半径をRとすると共に、
前記クランクシャフトを旋回後の前記クランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLbとし且つY軸方向距離をH2とし、前記非接触式検出器における前記旋回後の前記クランクピンへの角度をα2とし、前記旋回後の前記クランクピンの位相をθ2としたとき、以下の式(11)−(19)を解くことにより、
或いは、前記クランクシャフトを旋回させない状態で前記クランクピンとは異なる位相に位置する他のクランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLcとし且つY軸方向距離をH3とし、前記非接触式検出器による前記他のクランクピンの外周面までの離間距離をL3とし、前記非接触式検出器における前記他のクランクピンへの角度をα3としたとき、以下の式(31)−(37)を解くことにより、前記クランクピンの位相θ1を算出する、研削盤。

cosα1=(L0−La)/(L1+d) ・・・(11)
cosα2=(L0−Lb)/(L2+d) ・・・(12)
H1=(L0−La)×tanα1 ・・・(13)
H2=(L0−Lb)×tanα2 ・・・(14)
H1=La×tanθ1 ・・・(15)
H2=Lb×tanθ2 ・・・(16)
sinθ1=H1/R ・・・(17)
sinθ2=H2/R ・・・(18)
θ1+θ2=90° ・・・(19)

cosα1=(L0−La)/(L1+d) ・・・(31)
cosα3=(L0−Lc)/(L3+d) ・・・(32)
H1=(L0−La)×tanα1 ・・・(33)
H3=(L0−Lc)×tanα3 ・・・(34)
H1=La×tanθ1 ・・・(35)
H1=H3 ・・・(36)
sinθ1=H1/R ・・・(37)
【請求項3】
前記位置算出装置は、前記非接触式検出器による検出情報に基づいてクランクウェブの前記Z軸方向を向く端面位置を算出し、前記クランクウェブの端面位置に基づいて、前記クランクウェブに接続する前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの軸方向における端面位置を算出する、請求項1又は2に記載の研削盤。
【請求項4】
前記位置算出装置は、前記非接触式検出器による検出情報に基づいて前記クランクピンの位相を算出し、
前記制御装置は、前記位置算出装置により算出された前記端面位置に基づいて前記砥石台を前記Z軸方向に相対的に位置決めして前記砥石車による前記クランクピンの研削を行う、請求項3に記載の研削盤。
【請求項5】
前記位置算出装置は、前記非接触式検出器により検出された検出情報に基づいて、前記クランクシャフトの一の前記クランクウェブのZ軸方向を向く一端面における複数の径方向位置を算出し、前記複数の径方向位置に基づいて前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの端面位置を算出する、請求項3又は4に記載の研削盤。
【請求項6】
前記位置算出装置は、前記非接触式検出器により検出された検出情報に基づいて、一の前記クランクピンの外周面における複数の軸線方向位置を算出し、前記複数の軸線方向位置に基づいて前記一のクランクピンの位相を算出する、請求項4又は5に記載の研削盤。
【請求項7】
前記制御装置は、前記砥石台を前記非接触式検出器による検出位置に移動した後に、前記砥石台を原点位置に戻すことなく、前記砥石台を研削位置に移動する、請求項1−の何れか一項に記載の研削盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クランクシャフトのクランクピンを研削する場合、砥石車をクランクピンに合わせた位置に位置決めした後に研削を開始する。クランクピンの軸方向長さが短いほど、クランクシャフトの剛性が高くなるため、クランクピンの軸方向長さを短くすることが求められる。そのため、クランクピンを研削する場合に、砥石車をクランクピンに対して高精度に位置決めする必要がある。そこで、研削前に、クランクピンの端面位置の計測が行われる。また、クランクピンを研削するためには、クランクピンの位相についても計測しなければならない。
【0003】
そこで、研削盤の主軸装置にクランクシャフトを設置した状態で、クランクピンの端面位置及び位相を検出するために、測定器の接触子をクランクウェブの端面及びクランクピンの外周面に直接接触することが知られている。また、特許文献1には、研削盤の加工領域とは異なる領域に各部の測定を行うプリセットステーションが設けられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5315927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、研削盤の主軸装置にクランクシャフトを設置した状態において、測定器の接触子を該当箇所に直接接触する方法では、測定器をクランクピン及びクランクウェブに接触する位置まで移動させる必要がある。そのため、測定のために多大の時間を要する。また、プリセットステーションにて測定を行う場合には、プリセットステーションの領域を確保する必要があり、装置の大型化及び複雑化を招く。
【0006】
本発明は、研削盤の主軸装置にクランクシャフトが支持された状態において研削に必要な情報を取得することにより装置の大型化及び複雑化を解消しつつ、測定時間を短縮することができる研削盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1.第一の研削盤)
第一の研削盤は、クランクシャフトのクランクピン又はクランクジャーナルを研削する研削盤であって、前記クランクシャフトを回転可能に支持する主軸装置と、前記主軸装置に対して前記クランクシャフトの軸線方向であるZ軸方向及びその直交方向であるX軸方向に相対移動可能な砥石台と、前記砥石台に回転可能に設けられ、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルを研削する砥石車と、前記砥石台に設けられ、前記クランクシャフトが前記主軸装置に支持された状態での前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの位置状態を、前記クランクシャフトから前記X軸方向に離れた位置にて非接触で検出する非接触式検出器と、前記非接触式検出器による検出情報に基づいて前記クランクピンの位相を算出する位置算出装置と、前記砥石台を前記Z軸方向に相対移動することで前記非接触式検出器を前記クランクピン又は前記クランクジャーナルに対応する位置に移動し、前記位置にて前記非接触式検出器による検出を行った後に、記砥石車による前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの研削を行う制御装置と、を備え、前記非接触式検出器は、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルを前記X軸方向から撮像するカメラであり、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの撮像情報を前記位置状態として検出し、前記位置算出装置は、前記非接触式検出器の焦点から撮像センサの検出面までの距離をLsとし、前記クランクシャフトの回転中心から前記焦点までの距離をL0とし、前記クランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLaとし且つY軸方向距離をH1とし、前記クランクピンの中心の旋回半径をRとし、前記撮像センサにおける位置での前記クランクピンの中心位置に対応する位置と前記撮像センサの検出面における中心との距離をh1とし、前記焦点における前記クランクピンへの角度をα1とすると共に、前記クランクシャフトを旋回後の前記クランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLbとし且つY軸方向距離をH2とし、前記撮像センサにおける位置であって前記旋回後の前記クランクピンの中心位置に対応する位置と前記撮像センサの検出面における中心との距離をh2とし、前記焦点における前記旋回後の前記クランクピンへの角度をα2とし、前記旋回後の前記クランクピンの位相をθ2としたとき、以下の式(1)−(9)を解くことにより、或いは、前記クランクシャフトを旋回させない状態で前記クランクピンとは異なる位相に位置する他のクランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLcとし且つY軸方向距離をH3とし、前記撮像センサにおける位置であって前記他のクランクピンの中心位置に対応する位置と前記撮像センサの検出面における中心との距離をh3とし、前記焦点における前記他のクランクピンへの角度をα3としたとき、以下の式(21)−(27)を解くことにより、前記クランクピンの位相θ1を算出する。

tanα1=h1/Ls ・・・(1)
tanα2=h2/Ls ・・・(2)
H1=(L0−La)×tanα1 ・・・(3)
H2=(L0−Lb)×tanα2 ・・・(4)
H1=La×tanθ1 ・・・(5)
H2=Lb×tanθ2 ・・・(6)
sinθ1=H1/R ・・・(7)
sinθ2=H2/R ・・・(8)
θ1+θ2=90° ・・・(9)

tanα1=h1/Ls ・・・(21)
tanα3=h3/Ls ・・・(22)
H1=(L0−La)×tanα1 ・・・(23)
H3=(L0−Lc)×tanα3 ・・・(24)
H1=La×tanθ1 ・・・(25)
H1=H3 ・・・(26)
sinθ1=H1/R ・・・(27)
【0008】
(2.第二の研削盤)
第二の研削盤は、クランクシャフトのクランクピン又はクランクジャーナルを研削する研削盤であって、前記クランクシャフトを回転可能に支持する主軸装置と、前記主軸装置に対して前記クランクシャフトの軸線方向であるZ軸方向及びその直交方向であるX軸方向に相対移動可能な砥石台と、前記砥石台に回転可能に設けられ、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルを研削する砥石車と、前記砥石台に設けられ、前記クランクシャフトが前記主軸装置に支持された状態での前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの位置状態を、前記クランクシャフトから前記X軸方向に離れた位置にて非接触で検出する非接触式検出器と、前記非接触式検出器による検出情報に基づいて前記クランクピンの位相を算出する位置算出装置と、前記砥石台を前記Z軸方向に相対移動することで前記非接触式検出器を前記クランクピン又は前記クランクジャーナルに対応する位置に移動し、前記位置にて前記非接触式検出器による検出を行い、前記砥石車による前記クランクピン又は前記クランクジャーナルの研削を行う制御装置と、を備え、前記非接触式検出器は、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルまでの前記X軸方向の距離を計測するレーザ測定器であり、前記クランクピン又は前記クランクジャーナルまでの距離を前記位置状態として検出し、前記位置算出装置は、前記クランクシャフトの回転中心から前記非接触式検出器までの距離をL0とし、前記非接触式検出器による前記クランクピンの外周面までの離間距離をL1とし、前記クランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLaとし且つY軸方向距離をH1とし、前記クランクピンの半径をdとし、前記非接触式検出器における前記クランクピンへの角度をα1とし、前記クランクピンの中心の旋回半径をRとすると共に、前記クランクシャフトを旋回後の前記クランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLbとし且つY軸方向距離をH2とし、前記非接触式検出器における前記旋回後の前記クランクピンへの角度をα2とし、前記旋回後の前記クランクピンの位相をθ2としたとき、以下の式(11)−(19)、を解くことにより、或いは、前記クランクシャフトを旋回させない状態で前記クランクピンとは異なる位相に位置する他のクランクピンの中心位置と回転中心とのX軸方向距離をLcとし且つY軸方向距離をH3とし、前記非接触式検出器による前記他のクランクピンの外周面までの離間距離をL3とし、前記非接触式検出器における前記他のクランクピンへの角度をα3としたとき、以下の式(31)−(37)、を解くことにより、前記クランクピンの位相θ1を算出する。

cosα1=(L0−La)/(L1+d) ・・・(11)
cosα2=(L0−Lb)/(L2+d) ・・・(12)
H1=(L0−La)×tanα1 ・・・(13)
H2=(L0−Lb)×tanα2 ・・・(14)
H1=La×tanθ1 ・・・(15)
H2=Lb×tanθ2 ・・・(16)
sinθ1=H1/R ・・・(17)
sinθ2=H2/R ・・・(18)
θ1+θ2=90° ・・・(19)

cosα1=(L0−La)/(L1+d) ・・・(31)
cosα3=(L0−Lc)/(L3+d) ・・・(32)
H1=(L0−La)×tanα1 ・・・(33)
H3=(L0−Lc)×tanα3 ・・・(34)
H1=La×tanθ1 ・・・(35)
H1=H3 ・・・(36)
sinθ1=H1/R ・・・(37)
【0009】
(3.効果)
上記研削盤によれば、クランクシャフトが主軸装置に支持された状態において、非接触式検出器がクランクピン又はクランクジャーナルの位置状態を検出する。そのため、プリセットステーションなどが不要であるため、装置の大型化及び複雑化を招くことがない。
【0010】
また、制御装置が、砥石台をZ軸方向に相対移動することにより、非接触式検出器をクランクピン又はクランクジャーナルに対応するZ軸方向位置に移動させる。この位置にて、非接触式検出器は、クランクピン又はクランクジャーナルの位置状態を検出する。このように、非接触式検出器は、クランクシャフトからX軸方向に離れた位置にて位置状態を検出する。従って、検出器をクランクピン又はクランクジャーナルの近傍にまで移動させる必要がなく、検出に要する時間が短縮できる。
【0011】
また、非接触式検出器及び砥石車が、砥石台に設けられる。従って、砥石台のX軸方向への移動に伴って、非接触式検出器がX軸方向に移動すると共に、砥石車がX軸方向に移動する。そのため、非接触式検出器による検出動作の後に、砥石台を研削位置までの移動量を少なくできるため、砥石車による研削が早く開始できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態における研削盤の平面図である。
図2】研削盤を構成する非接触式検出器、位置算出装置、制御装置及び各モータのブロック構成図である。
図3】制御装置による第一例の処理を示すフローチャートである。
図4図3のS3,S5における非接触式検出器による検出位置を示す図である。
図5図3のS6,S7における砥石台の移動方向を示す図である。
図6図3のS3及び図10のS25におけるクランクピン及びカメラとしての非接触式検出器の位置関係を示す図である。
図7図3のS5におけるクランクピン及びカメラとしての非接触式検出器の位置関係を示す図である。
図8図3のS3及び図10のS25におけるクランクピン及びレーザ測定器としての非接触式検出器の位置関係を示す図である。
図9図3のS5におけるクランクピン及びレーザ測定器としての非接触式検出器の位置関係を示す図である。
図10】制御装置による第二例の処理を示すフローチャートである。
図11図10のS23,S25における非接触式検出器による検出位置を示す図である。
図12図10のS23におけるクランクピン及びカメラとしての非接触式検出器の位置関係を示す図である。
図13図10のS23におけるクランクピン及びレーザ測定器としての非接触式検出器の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1.研削盤の構成)
研削盤1の一例として、砥石台14をベッド11に対してトラバース(Z軸方向への移動)を行う砥石台トラバース型研削盤を例に挙げて説明する。ただし、本発明の研削盤1は、主軸装置12がベッド11に対してトラバース(Z軸方向への移動)を行うテーブルトラバース型研削盤にも適用できる。
【0014】
研削盤1による工作物は、クランクシャフトWである。クランクシャフトWは、クランクジャーナルWa、クランクピンWb及びクランクウェブWcを備える。研削盤1による研削部位は、クランクジャーナルWa及びクランクピンWbである。
【0015】
研削盤1について、図1及び図2を参照して説明する。研削盤1は、以下のように構成される。設置面にベッド11が固定され、ベッド11には、クランクシャフトWを回転可能に両端支持する主軸装置12及び心押装置13が取り付けられる。クランクシャフトWは、クランクジャーナルWaを中心に回転するように、主軸装置12及び心押装置13に支持される。つまり、クランクピンWbは、クランクシャフトWの回転中心から偏心した位置に位置する。主軸装置12は、クランクシャフトWを回転駆動するモータ12aを備える。
【0016】
さらに、ベッド11上には、Z軸方向(クランクシャフトWの軸線方向)及びX軸方向(クランクシャフトWの軸線に直交する方向)に移動可能な砥石台14が設けられる。砥石台14は、モータ14aによってZ軸方向に移動し、モータ14bによってX軸方向に移動する。
【0017】
砥石台14には、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaを研削する砥石車15が回転可能に設けられる。砥石車15は、モータ15aによって回転駆動される。さらに、砥石台14には、クランクシャフトWが主軸装置12に支持された状態でのクランクピンWb又はクランクジャーナルWaの位置状態を、クランクシャフトWからX軸方向に離れた位置にて非接触で検出する非接触式検出器16が設けられる。
【0018】
非接触式検出器16の一例は、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaをX軸方向から撮像するカメラであり、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaの撮像情報を前述した位置状態として検出する。非接触式検出器16の他の例は、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaまでのX軸方向の距離を計測するレーザ測定器であり、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaまでの距離を前述した位置状態として検出する。
【0019】
さらに、ベッド11には、クランクシャフトWの研削部位であるクランクピンWb又はクランクジャーナルWaの外径を計測する定寸装置17が設けられる。さらに、研削盤1には、制御装置18が設けられる。制御装置18は、主軸装置12及び砥石車15を回転するモータ12a,15aを制御し、且つ、クランクシャフトWに対する砥石車15又は非接触式検出器16を相対移動するモータ14a,14bを制御する。
【0020】
研削盤1の上記の他の構成について、図2を参照して説明する。図2に示すように、研削盤1は、上記の他に、位置算出装置19を備える。位置算出装置19は、非接触式検出器16による検出情報に基づいてクランクピンWb又はクランクジャーナルWaの端面位置及び位相を算出する。位置算出装置19により端面位置及び位相を算出する際の算出方法については後述する。
【0021】
(2.制御装置による第一例の処理)
次に、複数のクランクピンWbを研削する場合について、制御装置18による処理のうち、クランクピンWbの端面位置及び位相を検出し、研削を開始するまでの処理について、図3図5を参照して説明する。なお、クランクジャーナルWaを研削する場合には、以下において、クランクピンWbの位相の検出を行う箇所を除き、実質的に共通する。
【0022】
まず、ロボット(図示せず)が、クランクシャフトWを主軸装置12による支持位置に搬送する。このとき、ロボットは、クランクシャフトWの回転姿勢を所定位相範囲内となるように把持している。そして、制御装置18は、主軸装置12及び心押装置13による支持処理を行う(S1)。つまり、主軸装置12及び心押装置13により、クランクシャフトWを把持する。この状態において、クランクシャフトWの回転姿勢は、所定位相範囲内となるが、研削ができる程度の高精度な位置決めではない。
【0023】
続いて、制御装置18は、図4に示すように、砥石台14を原点位置からZ軸方向(図4の左側)に移動して、非接触式検出器16を主軸装置12に最も近いクランクピンWbに対応する検出位置に位置決めする(S2)。検出位置は、図4に示すように、該当するクランクピンWbに対して、X軸方向に離れた位置であって、クランクピンWbにX軸方向に対向する位置である。ここで、検出位置は、検出位置から砥石台14をZ軸方向に移動させた場合に、砥石台14に取り付けられる部材、すなわち、砥石車15及び非接触式検出器16がクランクシャフトWに干渉しない位置となる。つまり、検出位置は、クランクピンWbからX軸方向に離れているだけでなく、クランクウェブWcからもX軸方向に離れた位置となる。
【0024】
続いて、制御装置18は、非接触式検出器16による検出処理を行う(S3)。検出処理は、クランクシャフトWが主軸装置12に支持された状態でのクランクピンWbの位置状態を検出する処理である。非接触式検出器16は、カメラの場合にはクランクピンWb及びその周囲を撮像し、レーザ測定器の場合にはクランクピンWbの外周面及び端面、並びに、クランクウェブWcの端面までの距離を測定する。
【0025】
続いて、制御装置18は、主軸装置12のモータ12aを制御して、クランクシャフトWを所定角度旋回する(S4)。本実施形態においては、旋回角度は、90°とする。再び、制御装置18は、非接触式検出器16による検出処理を行う(S5)。このように、非接触式検出器16は、1つのクランクピンWbの2か所の位相について検出処理を行う。
【0026】
ここで、位置算出装置19が、非接触式検出器16により検出されたクランクピンWbの2か所の位置状態に関する検出情報に基づいて、クランクピンWbの端面位置及び位相を算出する(S10)。この処理については、後述する。
【0027】
続いて、制御装置18は、図5に示すように、位置算出装置19により算出されたクランクピンWbの端面位置に基づいて、砥石台14をZ軸方向に移動して、砥石車15をクランクピンWbの研削位置に位置決めする(S6)。このとき、砥石台14は、原点位置に戻ることなく、検出位置から研削位置に移動する。
【0028】
研削位置とは、砥石車15がクランクピンWbの軸線方向の中央に位置する状態である。つまり、研削時において、砥石車15の両端面とクランクウェブWcの端面との距離が、ほぼ等しい状態となる。続いて、制御装置18は、図5に示すように、砥石台14をX軸方向に移動して、研削を行う(S7)。
【0029】
(3.非接触式検出器がカメラのときの位置算出装置による位相の算出処理)
次に、非接触式検出器16がカメラである場合において、位置算出装置19によるクランクピンWbの位相の算出処理について、図3のフローチャートの他に、図6及び図7を参照して説明する。図3のS3におけるクランクシャフトWを旋回する前のクランクピンWb1の位置状態(検出情報、撮像情報)の検出処理(撮像処理)は、図6に示す。また、図3のS5におけるクランクシャフトWの旋回後のクランクピンWb2の位置状態(検出情報、撮像情報)の検出処理(撮像処理)は、図7に示す。
【0030】
ここで、図6及び図7において、クランクシャフトWの回転中心をP0とし、クランクピンWbの中心の旋回半径をRとし、カメラである非接触式検出器16の焦点をP10とし、撮像センサ(イメージセンサ)の検出面をSとし、回転中心P0から焦点P10までの距離をL0とし、焦点P10から撮像センサの検出面Sまでの距離をLsとする。
【0031】
図6に示す状態における旋回前のクランクピンWb1の中心位置をP1とし、撮像センサにおいて位置P1に対応する位置をP11とし、撮像センサの検出面Sにおいてセンサ中心と位置P11とのY軸方向距離をh1とし、クランクピンWb1の中心位置P1と回転中心P0とのX軸方向距離をLaとし、Y軸方向距離をH1とする。クランクピンWb1の位相をθ1とし、焦点P10におけるクランクピンWb1への角度をα1とする。
【0032】
図7に示す状態における旋回後のクランクピンWb2の中心位置をP2とし、撮像センサにおいて位置P2に対応する位置をP12とし、撮像センサの検出面Sにおいてセンサ中心と位置P12とのY軸方向距離をh2とし、クランクピンWb2の中心位置P2と回転中心P0とのX軸方向距離をLbとし、Y軸方向距離をH2とする。クランクピンWb2の位相をθ2とし、焦点P10におけるクランクピンWb2への角度をα2とする。
【0033】
この場合、以下の式(1)−(9)が成り立つ。L0、Ls、Rは、既知である。h1、h2は、検出可能な値である。従って、式(1)−(9)を解くことにより、位相θ1が算出される。
【0034】
【数1】
【0035】
ここで、上記の算出方法において、位置算出装置19は、クランクピンWb1,Wb2の外周面位置に基づいて、位置P11,P12を算出する。ここで、位置算出装置19は、クランクピンWb1,Wb2の外周面のある1点に基づいて、位置P11,P12を算出することができる。
【0036】
ただし、位置算出装置19は、クランクピンWb1,Wb2の外周面における複数の軸線方向位置に基づいて、例えば、平均処理や近似処理を行うことにより、位置P11,P12を算出してもよい。具体的には、位置算出装置19は、クランクピンWbの外周面における複数の軸線方向位置を算出し、複数の軸線方向位置に基づいてクランクピンWbの位相を算出する。この場合、例えば、クランクピンWb1,Wb2の表面に異物が付着している場合などに、その影響を受けにくくすることができ、高精度に位相の算出ができる。
【0037】
(4.クランクシャフトWの初期位置決め位相)
ここで、制御装置18による処理の図3のS1の前において、ロボット(図示せず)が、クランクシャフトWを主軸装置12による支持位置に搬送するとき、ロボットは、クランクシャフトWの回転姿勢を所定位相範囲内となるように把持している。
【0038】
図4に示すように、初期状態において、クランクピンWb1の位相θ1が45°付近となるように、クランクシャフトWは主軸装置12に支持される。そして、制御装置18は、図3のS4において、クランクシャフトWを90°旋回させる。つまり、図5に示すように、クランクピンWb2の位相θ2が45°付近となるように、クランクシャフトWは主軸装置12に支持される。
【0039】
つまり、旋回前後の位相θ1、θ2が、所定位相範囲内となるように、初期状態のクランクシャフトWの位相が決定される。換言すると、図5に示すように、旋回前のクランクピンWb1の中心位置P1と旋回後のクランクピンWb2の中心位置P2とのX軸方向距離ΔLが、所定値以内となるようにされる。
【0040】
上記により、検出する2か所の位相において、非接触式検出器16の撮像センサ面Sからの距離が同程度となるため、非接触式検出器16による検出誤差が小さくなる。その結果、クランクピンWb1の位相θ1が高精度に算出される。
【0041】
(5.非接触式検出器がレーザ測定器のときの位置算出装置による位相の算出処理)
次に、非接触式検出器16がレーザ測定器である場合において、位置算出装置19によるクランクピンWbの位相の算出処理について、図3のフローチャートの他に、図8及び図9を参照して説明する。図3のS3におけるクランクシャフトWを旋回する前のクランクピンWb1の位置状態(検出情報、撮像情報)の検出処理(撮像処理)は、図8に示す。また、図3のS5におけるクランクシャフトWの旋回後のクランクピンWb2の位置状態(検出情報、撮像情報)の検出処理(撮像処理)は、図9に示す。
【0042】
ここで、図8において、レーザ測定器の位置をP10とし、レーザ測定器によるクランクピンWb1の外周面までの離間距離をL1とし、クランクピンWb1の半径をdとする。また、図9において、レーザ測定器によるクランクピンWb2の外周面までの離間距離をL2とする。その他の符号は、図6,7と同様である。
【0043】
この場合、以下の式(11)−(19)が成り立つ。L0、R、dは、既知である。L1、L2は、検出可能な値である。従って、式(11)−(19)を解くことにより、位相θ1が算出される。
【0044】
【数2】
【0045】
(6.位置算出装置による端面位置の算出処理)
次に、位置算出装置19は、図3のS3におけるクランクシャフトWを旋回する前のクランクピンWb1の端面位置(クランクウェブWcの端面位置)を算出する。非接触式検出器16は、カメラである場合においては、クランクピンWb1の撮像情報を、クランクピンWb1の位置状態として検出する。
【0046】
そして、位置算出装置19は、撮像情報に基づいて、クランクピンWb1の端面位置(クランクウェブWcの端面位置)を算出する。ここで、位置算出装置19は、クランクピンWb1の端面位置に相当するある1点に基づいて、クランクピンWb1の端面位置を算出することができる。
【0047】
ただし、位置算出装置19は、クランクピンWb1の端面位置に相当する複数位置に基づいて、例えば、平均処理や近似処理を行うことにより、端面位置を算出してもよい。具体的には、位置算出装置19は、クランクウェブWcの端面における複数の径方向位置を算出し、複数の径方向位置に基づいてクランクピンWbの端面位置を算出する。この場合、例えば、クランクウェブWcの表面に異物が付着している場合などに、その影響を受けにくくすることができ、高精度に端面位置の算出ができる。
【0048】
(7.制御装置による第二例の処理)
次に、制御装置18による第二例の処理について、図10図11を参照して説明する。まず、ロボット(図示せず)が、クランクシャフトWを主軸装置12による支持位置に搬送する。そして、制御装置18は、主軸装置12及び心押装置13による支持処理を行う(S21)。
【0049】
続いて、制御装置18は、図11に示すように、砥石台14を原点位置からZ軸方向(図11の左側)に移動して、非接触式検出器16を主軸装置12から2番目のクランクピンWb3に対応する検出位置に位置決めする(S22)。検出位置は、図11に示すように、該当するクランクピンWb3に対して、X軸方向に離れた位置であって、クランクピンWbにX軸方向に対向する位置である。
【0050】
続いて、制御装置18は、非接触式検出器16による検出処理を行う(S23)。検出処理は、クランクシャフトWが主軸装置12に支持された状態でのクランクピンWbの位置状態を検出する処理である。
【0051】
続いて、制御装置18は、図11に示すように、砥石台14をさらにZ軸方向(図11の左側)に移動して、非接触式検出器16を主軸装置12に最も近いクランクピンWb1に対応する検出位置に位置決めする(S24)。再び、制御装置18は、非接触式検出器16による検出処理を行う(S25)。ここで、クランクピンWb1,Wb3は、異なる位相に位置する。つまり、非接触式検出器16は、異なる位相に位置する2つのクランクピンWb1,Wb3の位置状態について検出処理を行う。
【0052】
ここで、位置算出装置19が、非接触式検出器16により検出された2つのクランクピンWb1,Wb3の位置状態に関する検出情報の何れか一方に基づいて、クランクピンWbの端面位置を算出する(S30)。さらに、位置算出装置19が、非接触式検出器16により検出された2つのクランクピンWb1,Wb3の位置状態に関する検出情報に基づいて、クランクピンWbの位相を算出する(S30)。この処理については、後述する。
【0053】
続いて、制御装置18は、位置算出装置19により算出されたクランクピンWb1,Wb3の端面位置に基づいて、砥石台14をZ軸方向に移動して、砥石車15を原点位置に戻すことなくクランクピンWbの研削位置に位置決めする(S26)。続いて、制御装置18は、砥石台14をX軸方向に移動して、研削を行う(S27)。
【0054】
(8.非接触式検出器がカメラのときの位置算出装置による位相の算出処理)
次に、第二例の制御処理のときに、非接触式検出器16がカメラである場合において、位置算出装置19によるクランクピンWbの位相の算出処理について、図10のフローチャートの他に、図6及び図12を参照して説明する。図10のS23におけるクランクピンWb3の位置状態(検出情報、撮像情報)の検出処理(撮像処理)は、図12に示す。また、図10のS25におけるクランクピンWb1の位置状態(検出情報、撮像情報)の検出処理(撮像処理)は、図6に示す。なお、図6については、上述したとおりである。
【0055】
図12に示す状態におけるクランクピンWb3の中心位置をP3とし、撮像センサにおいて位置P3に対応する位置をP13とし、撮像センサの検出面Sにおいてセンサ中心と位置P13とのY軸方向距離をh3とし、クランクピンWb3の中心位置P3と回転中心P0とのX軸方向距離をLcとし、Y軸方向距離をH3とする。クランクピンWb3の位相をθ1であり、焦点P10におけるクランクピンWb3への角度をα3とする。
【0056】
この場合、以下の式(21)−(27)が成り立つ。L0、Ls、Rは、既知である。h1、h3は、検出可能な値である。従って、式(21)−(27)を解くことにより、位相θ1が算出される。
【0057】
【数3】
【0058】
(9.非接触式検出器がレーザ測定器のときの位置算出装置による位相の算出処理)
次に、第二例の制御処理のときに、非接触式検出器16がレーザ測定器である場合において、位置算出装置19によるクランクピンWbの位相の算出処理について、図10のフローチャートの他に、図8及び図13を参照して説明する。図10のS23におけるクランクピンWb3の位置状態(検出情報、撮像情報)の検出処理(撮像処理)は、図13に示す。また、図10のS25におけるクランクピンWb1の位置状態(検出情報、撮像情報)の検出処理(撮像処理)は、図8に示す。なお、図8については、上述したとおりである。
【0059】
ここで、図13において、レーザ測定器によるクランクピンWb3の外周面までの離間距離をL3とし、クランクピンWb3の半径をdとする。その他の符号は、図6,7と同様である。
【0060】
この場合、以下の式(31)−(37)が成り立つ。L0、R、dは、既知である。L1、L3は、検出可能な値である。従って、式(31)−(37)を解くことにより、位相θ1が算出される。
【0061】
【数4】
【0062】
(10.実施形態の効果)
上述した研削盤1は、クランクシャフトWのクランクピンWb又はクランクジャーナルWaを研削する。研削盤1は、クランクシャフトWを回転可能に支持する主軸装置12と、主軸装置12に対してクランクシャフトWの軸線方向であるZ軸方向及びその直交方向であるX軸方向に相対移動可能な砥石台14と、砥石台14に回転可能に設けられ、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaを研削する砥石車15と、砥石台14に設けられ、クランクシャフトWが主軸装置12に支持された状態でのクランクピンWb又はクランクジャーナルWaの位置状態を、クランクシャフトWからX軸方向に離れた位置にて非接触で検出する非接触式検出器16と、非接触式検出器16による検出情報に基づいてクランクピンWb又はクランクジャーナルWaの端面位置を算出する位置算出装置19と、制御装置18とを備える。
【0063】
制御装置18は、砥石台14をZ軸方向に相対移動することで非接触式検出器16をクランクピンWb又はクランクジャーナルWaに対応する位置に移動し、当該位置にて非接触式検出器16による検出を行い、その次に位置算出装置19により算出された端面位置に基づいて砥石台14をZ軸方向に相対的に位置決めして砥石車15によるクランクピンWb又はクランクジャーナルWaの研削を行う。
【0064】
また、位置算出装置19は、非接触式検出器16による検出情報に基づいてクランクピンWbの位相を算出し、制御装置18は、位置算出装置19により算出された端面位置及び位相に基づいて砥石台14をZ軸方向に相対的に位置決めして砥石車15によるクランクピンWbの研削を行う。
【0065】
なお、位置算出装置19は、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaの端面位置のみの算出を行ってもよいし、クランクピンWbの位相のみの算出を行うようにしてもよい。
【0066】
上記研削盤1によれば、クランクシャフトWが主軸装置12に支持された状態において、非接触式検出器16がクランクピンWb又はクランクジャーナルWaの位置状態を検出する。そのため、プリセットステーションなどが不要であるため、装置の大型化及び複雑化を招くことがない。
【0067】
また、制御装置18が、砥石台14をZ軸方向に相対移動することにより、非接触式検出器16をクランクピンWb又はクランクジャーナルWaに対応するZ軸方向位置に移動させる。この位置にて、非接触式検出器16は、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaの位置状態を検出する。このように、非接触式検出器16は、クランクシャフトWからX軸方向に離れた位置にて位置状態を検出する。従って、非接触式検出器16をクランクピンWb又はクランクジャーナルWaの近傍にまで移動させる必要がなく、検出に要する時間が短縮できる。
【0068】
また、非接触式検出器16及び砥石車15が、砥石台14に設けられる。従って、砥石台14のX軸方向への移動に伴って、非接触式検出器16がX軸方向に移動すると共に、砥石車15がX軸方向に移動する。そのため、非接触式検出器16による検出動作の後に、砥石台14を研削位置までの移動量を少なくできるため、砥石車15による研削が早く開始できる。
【0069】
また、非接触式検出器16は、第一例としては、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaをX軸方向から撮像するカメラであり、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaの撮像情報を位置状態として検出する。この場合、位置算出装置19は、カメラによる撮像情報に基づいて、容易に且つ確実にクランクピンWbの端面位置及び位相、又は、クランクジャーナルWaの端面位置を算出できる。
【0070】
また、非接触式検出器16は、第二例としては、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaまでのX軸方向の距離を計測するレーザ測定器であり、クランクピンWb又はクランクジャーナルWaまでの距離を位置状態として検出する。この場合も、位置算出装置19は、レーザ測定器により測定された距離に基づいて、容易に且つ確実にクランクピンWbの端面位置及び位相、又は、クランクジャーナルWaの端面位置を算出できる。
【0071】
また、制御装置18の第一例の処理として説明したように、非接触式検出器16は、クランクシャフトWを旋回させて位置決めされた少なくとも2か所の位相におけるクランクピンWbの位置状態をそれぞれ検出し、位置算出装置19は、クランクピンWbの複数の位相における検出情報に基づいて、クランクピンWbの位相を算出するようにしてもよい。この場合、確実にクランクピンWbの位相の算出ができる。
【0072】
また、非接触式検出器16により検出する際のクランクピンWbの2か所の位相は、非接触式検出器16からそれぞれのクランクピンWbまでの距離が所定範囲内に含まれる位相に設定される。例えば、位相θ1、θ2を、同程度の角度となるようにしている。これにより、誤差を小さくできるため、高精度に位相の算出が可能となる。
【0073】
また、制御装置18の第二例の処理として説明したように、クランクシャフトWは、異なる位相に位置する複数のクランクピンWbを備える場合には、非接触式検出器16は、クランクシャフトWを旋回させない状態で複数のクランクピンWbの位置状態をそれぞれ検出し、位置算出装置19は、検出された複数のクランクピンWbの検出情報に基づいて、複数のクランクピンWbの位相を算出することもできる。この場合も、確実にクランクピンWbの位相の算出ができる。
【0074】
また、位置算出装置19は、非接触式検出器16により検出された検出情報に基づいて、クランクシャフトWのクランクウェブWcの端面における複数の径方向位置を算出し、複数の径方向位置に基づいてクランクピンWb又はクランクジャーナルWaの端面位置を算出するようにしてもよい。この場合、クランクウェブWcの端面に異物が付着している場合であっても、その影響を受けにくくすることができ、高精度にクランクピンWb又はクランクジャーナルWaの端面位置の算出ができる。
【0075】
また、位置算出装置19は、非接触式検出器16により検出された検出情報に基づいて、クランクピンWbの外周面における複数の軸線方向位置を算出し、複数の軸線方向位置に基づいてクランクピンWbの位相を算出するようにしてもよい。この場合、クランクピンWbの外周面に異物が付着している場合であっても、その影響を受けにくくすることができ、高精度にクランクピンWbの位相の算出ができる。
【0076】
また、制御装置18は、砥石台14を非接触式検出器16による検出位置に移動した後に、砥石台14を原点位置に戻すことなく、砥石台14を研削位置に移動する。これにより、端面位置及び位相の算出後に、早期に研削を開始できる。
【符号の説明】
【0077】
1:研削盤、 11:ベッド、 12:主軸装置、 13:心押装置、 14:砥石台、 15:砥石車、 16:非接触式検出器、 17:定寸装置、 18:制御装置、 19:位置算出装置、 W:クランクシャフト、 Wa:クランクジャーナル、 Wb:クランクピン、 Wc:クランクウェブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13