(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の熱伝導層は、硬化性を有する液状の熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)が硬化することによって形成される。このように液状の熱伝導材料が用いられる場合、当該熱伝導材料が硬化するまでは流動性を有しているので、ケースにおいて上記対向面に対向する領域以外に流れ出ることがある。この場合、例えばケースにおける上記領域の周囲に設けられるねじ穴等が熱伝導材料によって埋まってしまい、電池モジュールがケースに取付けられること等が困難になるおそれがある。
【0005】
本発明は、液状の熱伝導材料を用いた場合であっても、当該熱伝導材料が意図しない領域へ流れ出ることを抑制できる電池パック及び電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電池パックは、複数の電池セルを一方向に配列してなる配列体を有する電池モジュールと、電池モジュールが固定される筐体と、配列体と筐体とによって挟まれ、液状の熱伝導材料が硬化してなる固体状の熱伝導部材と、電池モジュールと筐体との間にて一方向に沿って延在し、熱伝導部材を挟むように位置する第1隔壁及び第2隔壁と、を備える。
【0007】
この電池パックによれば、第1隔壁及び第2隔壁によって画定される領域に固体状の熱伝導部材が設けられる。この熱伝導部材は、液状の熱伝導材料を硬化することにより形成される。例えば、上記領域に液状の熱伝導材料を塗布して熱伝導部材を形成する場合、第1隔壁及び第2隔壁によって液状の熱伝導材料が上記領域外に流れ出ることを抑制できる。したがって、上記電池パックによれば、液状の熱伝導材料が意図しない領域へ流れ出ることを抑制できる。
【0008】
電池モジュールは、一方向において配列体を挟持する第1プレート及び第2プレートをさらに有し、第1プレート及び第2プレートの筐体側の端面は、配列体の筐体に対向する対向面よりも筐体側に位置してもよい。例えば、第1隔壁及び第2隔壁によって画定される領域に液状の熱硬化材料を塗布した後、電池モジュールを固定した状態にて熱伝導材料を硬化して熱伝導部材を形成する場合、第1隔壁、第2隔壁、第1プレート、及び第2プレートによって液状の熱伝導材料を取り囲む枠が形成される。つまり、第1隔壁及び第2隔壁に加えて、第1プレート及び第2プレートによって液状の熱伝導材料を取り囲むので、上記領域外に該熱伝導材料が流れ出ることがさらに抑制される。
【0009】
上記電池パックは、一方向に対して交差する方向に延在する第3隔壁をさらに備え、電池モジュールは、第1プレートと配列体との間に設けられる弾性部材を有し、第3隔壁は弾性部材と筐体との間に設けられてもよい。この構成では、第1隔壁〜第3隔壁によって画定される領域に液状の熱伝導材料を塗布して熱伝導部材を形成できる。上記領域の3方向が第1〜第3領域によって囲まれるので、液状の熱伝導材料が上記領域外へ流れ出ることをさらに抑制できる。
【0010】
第1隔壁の一端は、第1プレートに対して配列体の反対側に位置し、第1隔壁の他端は、第2プレートに対して配列体の反対側に位置してもよい。この場合、第1隔壁は、少なくとも第1プレート及び第2プレートにわたって存在する。このため、第1隔壁、第2隔壁、第1プレート、及び第2プレートによって形成される枠において、例えば第1隔壁と第1プレートとによって形成される角部の隙間を小さくできる。したがって、熱伝導材料が当該隙間から枠によって画定される領域外へ流れ出ることを抑制できる。
【0011】
第1隔壁及び第2隔壁は、筐体と一体化されてもよい。この場合、第1隔壁及び第2隔壁によって筐体に熱伝導材料を形成する領域が定めやすくなる。
【0012】
第1隔壁及び第2隔壁は、電池モジュールと一体化されてもよい。この場合、例えば電池モジュールにおいて電池セルを保持する樹脂製のホルダーと、第1隔壁及び第2隔壁とを一体成形することができる。これにより、安価且つ容易に第1隔壁及び第2隔壁を設けることができる。
【0013】
第1隔壁は、筐体と一体化され、第2隔壁は、電池モジュールと一体化されてもよい。この場合、第1隔壁によって筐体に熱伝導材料を形成する領域が定めやすくなる。また、例えば電池モジュールにおいて電池セルを保持する樹脂製のホルダーと第2隔壁とを一体成形することにより、当該第2隔壁を安価且つ容易に設けることができる。
【0014】
第1隔壁は、一方向に沿って延在する複数の隔壁を有してもよい。この場合、熱伝導材料が第1隔壁を越えるためには、複数の隔壁の全てを越える必要がある。したがって、熱伝導材料が第1隔壁を越えることをさらに抑制できる。
【0015】
第1隔壁は、一方向に沿って延在する複数の隔壁を有し、複数の隔壁の一部は、筐体と一体化され、複数の隔壁の他部は、電池モジュールと一体化されてもよい。この場合、熱伝導材料が第1隔壁を越えるためには、複数の隔壁の全てを越える必要がある。したがって、筐体及び電池モジュールに設けられる複数の隔壁により、熱伝導材料が第1隔壁を越えることをさらに抑制できる。加えて、例えば電池モジュールにおいて電池セルを保持する樹脂製のホルダーと複数の隔壁の一部とを一体成形することにより、当該一部の隔壁を安価且つ容易に設けることができる。
【0016】
第1隔壁及び第2隔壁は、筐体及び電池モジュールと別体である隔壁部材であってもよい。この場合、第1隔壁及び第2隔壁を構成する材質等の自由度が向上する。
【0017】
電池モジュールは、電池セルにおいて一方向に交差する面である主面に接触する伝熱プレートを備え、伝熱プレートは、主面に接触する第1本体部と、第1本体部の筐体側の端から主面に交差する方向に延在する第2本体部とを有し、第2本体部は、熱伝導部材に接触してもよい。この場合、電池セルにて発生した熱は、伝熱プレートを介して熱伝導部材に伝導でき、電池セルの放熱性を向上できる。
【0018】
本発明の他の側面に係る電池モジュールは、液状の熱伝導材料が硬化してなる固体状の熱伝導部材を挟んで筐体に固定される電池モジュールであって、複数の電池セルを一方向に配列してなる配列体と、電池セルを保持する樹脂製のホルダーと、電池セルにおいて一方向に交差する面である主面に接触する第1本体部、及び第1本体部の一端から一方向に延在する第2本体部を有する伝熱プレートと、一方向において配列体を挟持する第1プレート及び第2プレートと、を備え、第2本体部は、ホルダーに接する第1主面と、第1主面に対向する第2主面とを有し、ホルダーは、第1隔壁及び第2隔壁を有し、第1隔壁及び第2隔壁は、一方向に沿って延在し、第2本体部を挟むように設けられると共に、第2主面よりも配列体から離間する方向に突出し、第1プレート及び第2プレートは、第2主面よりも配列体から離間する方向に突出する。
【0019】
この電池モジュールによれば、ホルダーが第2本体部の第2主面よりも配列体から離間する方向に突出する第1隔壁及び第2隔壁を有すると共に、第1プレート及び第2プレートが第2主面よりも配列体から離間する方向に突出する。これにより、第1隔壁、第2隔壁、第1プレート、及び第2プレートは、電池モジュールが筐体に固定される場合に配列体が筐体と対向する面よりも突出した枠を形成する。このため、例えば筐体において電池モジュールを固定する場合において、液状の熱伝導材料を筐体の所定の領域に塗布した後に、上記電池モジュールを筐体に固定した状態にて当該熱伝導材料を硬化して熱伝導材料を形成する際に液状の熱伝導材料を上記枠によって取り囲むことができるので、熱伝導材料が上記領域外へ流れ出ることを抑制できる。したがって、上記電池モジュールを筐体に固定することにより、当該筐体上の液状の熱伝導材料が意図しない領域へ流れ出ることを抑制できる。また、樹脂製のホルダーが第1隔壁及び第2隔壁を有することにより、例えばホルダーと第1隔壁及び第2隔壁とを一体成形できるので、安価且つ容易に第1隔壁及び第2隔壁を設けることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、液状の熱伝導材料を用いた場合であっても、当該熱伝導材料が意図しない領域へ流れ出ることを抑制できる電池パック及び電池モジュールを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電池モジュールを備える電池パックの概略図である。
図1に示されるように、電池パック10は、筐体11と、ジャンクションボックス12と、複数の電池モジュール20と、を備える。
【0024】
筐体11は、箱型形状を呈し、ジャンクションボックス12及び複数の電池モジュール20を収容するための収容空間を有する。筐体11は、四角板状の底板11aと、底板11aと対向して設けられる天板11bと、底板11aの周縁から立設される板状の前板11c、後板11d及び一対の側板11eと、を有する。筐体11は、例えばフォークリフト又は自動車等の車両に搭載された際に、底板11aが鉛直方向下方に位置し、天板11bが鉛直方向上方に位置するように配置される。
図1には、一方の側板11eを除いた状態が図示される。他方の側板11eには複数の孔11fが設けられ、これらの孔11fを用いてジャンクションボックス12及び電池モジュール20が他方の側板11eに取り付けられる。複数の孔11fは、貫通孔でもよく、ねじ穴でもよい。複数の孔11fの大きさは、他方の側板11eの場所等によって変化する。
【0025】
以下では、筐体11において、天板11bが設けられる方向を「上」、底板11aが設けられる方向を「下」、前板11cが設けられる方向を「前」、後板11dが設けられる方向を「後」として説明を行う。また、底板11aから天板11bへ向かう方向又は天板11bから底板11aへ向かう方向を「上下方向である方向X」とし、前板11cから後板11dへ向かう方向又は後板11dから前板11cへ向かう方向を「前後方向である方向Y」とし、一方の側板11eから他方の側板11eへ向かう方向又は他方の側板11eから一方の側板11eへ向かう方向を「横方向である方向Z」として説明を行う。
【0026】
図2は、筐体の一部を拡大した図である。
図2に示されるように、電池パック10は、固体状の熱伝導部材13と、方向Xにおいて互いに並列して離間する第1隔壁14及び第2隔壁15とを備える。熱伝導部材13、第1隔壁14、及び第2隔壁15は、後述する
図4及び
図5に示されるように、電池モジュール20と他方の側板11eとによって挟まれるように設けられる。第1実施形態では、第1隔壁14及び第2隔壁15の形状は、略同一である。
【0027】
熱伝導部材13は、液状の熱伝導材料(TIM)が硬化してなる固体状の層である。熱伝導材料は、例えば高い熱伝導率を有する材料であり、例えば1.5W/m・K以上の熱伝導率を有する。熱伝導材料の熱伝導率は、2W/m・K以上でもよく、2.5W/m・Kでもよく、3.0W/m・K以上でもよい。熱伝導材料としては、例えばポリウレタン樹脂が挙げられる。また、固体状の層とは、一定の体積及び形状を有する層であればよく、ゲル状の層でもよい。第1実施形態では熱伝導部材13は平坦化されているが、熱伝導部材13は平坦化されなくてもよい。熱伝導部材13を平坦化するために、例えばドクターブレード法等の平坦化処理を行ってもよいし、所定の塗布装置を用いてもよいし、熱伝導材料の組成を調整してもよい。熱伝導部材13は、接着性を有してもよい。
【0028】
熱伝導部材13は、筐体11の他方の側板11eにおいて第1隔壁14及び第2隔壁15によって画定される領域R上に設けられる。この領域Rは、他方の側板11eにおいて、筐体11に電池モジュール20を取り付けた際に配列体50(
図3参照)と対向する領域である。領域Rの方向Xに沿った長さは、第1隔壁14及び第2隔壁15の方向Xにおける離間距離に相当し、領域Rの方向Yに沿った長さは、第1隔壁14及び第2隔壁15の方向Yに沿った長さに相当する。換言すれば、領域Rの方向Xにおける両端と方向Yにおける両端とは、第1隔壁14及び第2隔壁15によって規定される。領域Rの方向Yに沿った長さは、後述する
図3,4に示される第1ブラケット23と第2ブラケット24との方向Yに沿った離間距離に相当してもよい(
図9参照)。つまり、領域Rの方向Yにおける両端は、第1ブラケット23及び第2ブラケット24によって規定されてもよい。
【0029】
第1隔壁14及び第2隔壁15は、筐体11と一体化されると共に、筐体11から電池モジュール20に向かって突出する。具体的には、第1隔壁14及び第2隔壁15は、他方の側板11e上に設けられ、他方の側板11eから一方の側板11eに向かって突出する。第1隔壁14及び第2隔壁15は、方向Yに沿って延在する略直方体形状を有する。第1隔壁14は熱伝導部材13よりも上側に位置し、第2隔壁15は熱伝導部材13よりも下側に位置する。他方の側板11eにおいて、第1隔壁14よりも上側には、ジャンクションボックス12を取り付けるために用いられる孔11fが設けられ、熱伝導部材13等よりも左側には、後述する第2ブラケット24を取り付けるために用いられる孔11fが設けられる。
【0030】
第1隔壁14及び第2隔壁15の厚さは、熱伝導部材13の厚さよりも大きい。また、第1隔壁14及び第2隔壁15の方向Yに沿った長さは、電池モジュール20の方向Yに沿った長さ未満であり、後述する配列体50(
図3参照)の方向Yに沿った長さ以上である。
【0031】
図1に示されるように、ジャンクションボックス12は、収容空間において、天板11bと前板11cとによって成す角部に設けられる。ジャンクションボックス12には、端子台12a及びリレー(不図示)等が収容される。端子台12aは、ケーブルの端子等が接続される複数の接続部(不図示)を含む。ジャンクションボックス12は、ケーブルC1〜C3等を介して電池モジュール20に接続される。
【0032】
複数の電池モジュール20は、収容空間の後方において方向Xに沿って配置されると共に、収容空間の前方において方向Xに沿って配置される。第1実施形態では、収容空間内の電池モジュール20の数は5つである。収容空間の後方に配置される電池モジュール20の数は3つであり、前方に配置される電池モジュール20の数は2つである。前方に配置される電池モジュール20よりも上側には、ジャンクションボックス12が設けられる。
【0033】
図3は、電池パックに固定される電池モジュールの斜視図である。
図4は、
図1のIV−IV線に沿った模式端面図である。
図5は、
図1のV−V線に沿った模式端面図である。
図3〜
図5に示されるように、電池モジュール20は、複数の電池セル21を方向Yに配列してなる配列体50と、複数の伝熱プレート22と、第1ブラケット(第1プレート)23と、第2ブラケット(第2プレート)24と、弾性部材25と、制御装置26と、を備える。第1実施形態の電池モジュール20は、7つの電池セル21を含んでおり、各電池セル21は、セルホルダ(ホルダー)31に保持される。
【0034】
図6は、電池セル、伝熱プレート、及びセルホルダの一例を示す分解斜視図である。
図6に示されるように、電池セル21は、例えば、リチウムイオン電池またはニッケル水素蓄電池などの二次電池である。電池セル21は、略直方体形状を呈しており、方向Yに交差する矩形状の面である一対の主面21aと、矩形状の面である4つの側面21bとを有する。電池セル21は、外部装置又は他の電池セル21に接続されるための第1端子T1及び第2端子T2を有する。なお、以下では複数の電池セル21を配列してなる配列体50において筐体11に対向する面を、対向面50aとする。
【0035】
伝熱プレート22は、
図4に示されるように、方向Yにおいて複数の電池セル21と交互に配列されており、高い熱伝導性を有する金属製又は合金製の部材である。伝熱プレート22は、セルホルダ31から露出した電池セル21の主面21aに接触する断面L字状の板状部材であって、電池セル21にて発生した熱を外部へ伝導することにより、電池セル21の温度を調整するための部材である。伝熱プレート22は、主面21aに接触する第1本体部22aと、第1本体部22aの一端から方向Yに延在する第2本体部22bとを有する。
図4に示されるように、第1本体部22aは、方向Yにおいて隣り合う電池セル21の両方に接触し、各電池セル21間の温度差を低減するように配置される。
【0036】
図4〜
図6に示されるように、第2本体部22bは、後述するセルホルダ31の側面部33に接触し、セルホルダ31から露出する。第2本体部22bは、
図5に示されるように、側面部33に接する第1主面22b
1と、第1主面22b
1の反対側の面である第2主面22b
2とを有する。第2本体部22bは、電池セル21において他方の側板11e側の側面21bに沿って延在する。したがって、第1本体部22aの一端とは、第1本体部22aの他方の側板11e側の端に相当し、配列体50の対向面50a側の端に相当する。また、第2本体部22bは、電池モジュール20が筐体11に取り付けられる際に熱伝導部材13に接する。具体的には、第2主面22b
2が熱伝導部材13に接する。これにより、電池セル21にて発生する熱は、伝熱プレート22及び熱伝導部材13を介して筐体11に伝達される。なお、第2本体部22b同士は、互いに接触してもよいし、互いに離間してもよい。
【0037】
図5及び
図6に示されるように、セルホルダ31は、電池セル21が嵌め込まれる枠形状を有しており、電池セル21の側面21bを囲んで保持可能な部材である。セルホルダ31は、樹脂製の成形部材で構成される。セルホルダ31は、電池セル21が嵌め込まれたときに、電池セル21の主面21aと、伝熱プレート22の第1本体部22aとの接触を許容する開口部32を有する。また、セルホルダ31は、開口部32を画定する側面部33,34、底面部35、及び仕切部36を有する。側面部33は、電池セル21と伝熱プレート22の第1本体部22aとが接触したときに、第2本体部22bと対向する部分である。側面部34は、開口部32を挟んで側面部33と対向する部分である。底面部35は、側面部33,34の一端側をつなぐ部分である。仕切部36は、側面部33,34の他端側をつなぐ部分である。底面部35の方向Zにおける両端には、後述する連結部材43が挿通される挿通孔35aが設けられる。仕切部36には、電池セル21の第1端子T1及び第2端子T2がそれぞれ収容される端子収容部36aが設けられる。また、仕切部36には、後述する連結部材43が挿通される2つの挿通孔36bが設けられる。
【0038】
図3及び
図4に示されるように、第1ブラケット23及び第2ブラケット24は、剛性の高い材料で構成され、例えば、鉄等の金属で構成される。第1ブラケット23及び第2ブラケット24は、方向Yの両側にて配列体50を挟持することにより、当該配列体50に拘束荷重を付すものである。また、第1ブラケット23及び第2ブラケット24は、電池パック10の筐体11に電池モジュール20を固定するものでもある。第1ブラケット23は、配列体50において方向Yの一方側に配置される。第2ブラケット24は、配列体50において方向Yの他方側に配置される。第1ブラケット23及び第2ブラケット24のそれぞれは、挟持部41及び取付部42を有する。
【0039】
挟持部41は、略矩形の平板である。第1ブラケット23の挟持部41と第2ブラケット24の挟持部41とは、例えばボルト等の連結部材43によって連結される。この挟持部41同士は、連結部材43によって方向Yにおいて互いに近づくように力を加えられて連結される。これにより、当該挟持部41同士は、方向Yにおける拘束荷重を複数の電池セル21に付加する。挟持部41の筐体11側の端は、方向Zにおいて第2本体部22bの第2主面22b
2よりも筐体11側に突出する。換言すれば、挟持部41の上記端は、方向Zにおいて第2主面22b
2よりも配列体50の対向面50aから離間する方向に突出する。
【0040】
取付部42は、挟持部41の筐体11側の端から配列体50と反対側に延在する略矩形の平板である。取付部42には、方向Zに沿って貫通する複数の孔42aが設けられる。この孔42aを挿通すると共に孔11fに螺合されるボルト44により、取付部42は他方の側板11e上の熱伝導部材13を方向Yにおいて挟むように取り付けられる。取付部42の筐体11側であって、当該筐体11に接する端面42bは、第2本体部22bの第2主面22b
2よりも筐体11側に位置する。端面42bと第2本体部22bの第2主面22b
2との方向ZにおけるオフセットD1は、例えば1mm程度である。端面42bは第2本体部22bよりも筐体11側に位置することから、当該端面42bは、当然に配列体50の対向面50aよりも筐体11側に位置する。
【0041】
弾性部材25は、第1ブラケット23と、配列体50との間に設けられる板状部材である。弾性部材25は、ゴム及び樹脂系のスポンジなどの弾性変形可能な材料から構成される。一般に電池セル21は、電池セル21の使用期間が長くなるにつれて膨張するので、弾性部材25は、電池モジュール20において電池セル21の膨張を吸収する。取付部42の端面42bは、弾性部材25よりも筐体11側に位置する。端面42bと弾性部材25との方向ZにおけるオフセットD2は、セルホルダ31の側面部33、伝熱プレート22の第2本体部22b、及び熱伝導部材27の合計厚さと略同一である。
【0042】
制御装置26は、電池モジュール20に関する各種制御(例えば、放電制御又は温度制御等)を行う装置であり、電池セル21上に設けられると共に電池セル21に接続される。制御装置26は、中央演算装置(CPU)、電子制御ユニット(ECU)等によって構成される。
【0043】
次に、第1実施形態に係る電池パックの製造方法について
図7を用いながら説明する。
図7は、第1実施形態に係る電池パックの製造方法を説明するための工程図である。
【0044】
図7に示されるように、まず、電池セル21等の組み立てを行う(ステップS1)。ステップS1では、電池セル21をセルホルダ31に組み込む。これにより、セルホルダ31によって電池セル21を保持する。また、ステップS1では、電池セル21の主面21aに伝熱プレート22を接触し、セルホルダ31の側面部33上に伝熱プレート22の第2本体部22bを配置する。
【0045】
次に、複数の電池セル21を配列及び拘束する(ステップS2)。ステップS2では、ステップS1にてセルホルダ31に組み込んだ複数の電池セル21を、主面21aに交差する方向(一方向)に沿って配列する。この際、隣り合う電池セル21同士の間に伝熱プレート22の第1本体部22aを挟む。複数の電池セル21を配列させた後、配列した複数の電池セル21を第1ブラケット23及び第2ブラケット24にて一方向において挟持する。この際、第1ブラケット23の挟持部41と、当該挟持部41の隣に位置する電池セル21との間に弾性部材25を挟持する。そして、連結部材43を用いて第1ブラケット23及び第2ブラケット24を連結し、配列した複数の電池セル21に対して一方向に沿った拘束荷重を付加する。これにより、複数の電池セル21を配列してなる配列体50を設ける。
【0046】
次に、電池セル21を自己放電する(ステップS3)。ステップS3では、まず拘束された複数の電池セル21の起電力をテスターによってそれぞれ測定する。具体的には、電池セル21の第1端子T1及び第2端子T2にテスターを接続することによって、電池セル21の起電力を測定する。電池セル21の自己放電を開始した後、配列体50を放置する。例えば1日以上5日以下の間、空気雰囲気下且つ常温常圧にて配列体50を静置させておくことによって、電池セル21が自然放電する。第1実施形態では、2.5日から3日程度配列体50を放置する。
【0047】
次に、電池セル21の自己放電が終了した後、配列体50に対して制御装置26等を取り付ける(ステップS4)。ステップS4では、例えばバスバーによって各電池セル21同士を電気的に接続すると共に、制御装置26を電池セル21に電気的に接続するように取り付ける。これにより、
図2に示される電池モジュール20を製造する。
【0048】
次に、筐体11上に液状の熱伝導材料(TIM)を塗布する(ステップS5)。ステップS4では、筐体11の他方の側板11eにおける領域Rに熱伝導材料を塗布する。この際、筐体11を静置させることによって、熱伝導材料が領域R外へ流れ出ることを抑制する。
【0049】
次に、筐体11に電池モジュール20を固定する(ステップS6)。ステップS6では、
図5に示されるように、電池モジュール20の伝熱プレート22における第2本体部22bが、第1隔壁14及び第2隔壁15によって方向Xにおいて挟まれると共に筐体11上に塗布された熱伝導材料に接するように、電池モジュール20を筐体11に固定する。この際、
図4に示されるように、第1ブラケット23及び第2ブラケット24の挟持部41によって熱伝導材料を方向Yにおいて挟むように、電池モジュール20を筐体11上に配置する。これによりステップS6では、第1隔壁14、第2隔壁15、第1ブラケット23、及び第2ブラケット24にて形成される枠によって領域Rが画定され、当該領域Rから熱伝導材料が流れ出ることを抑制する。そして熱伝導材料を硬化させることによって、上記領域R内に第2本体部22bの第2主面22b
2に接する熱伝導部材13が形成される。ステップS6においては、挟持部41は、熱伝導部材13に接触してもよいし、熱伝導部材13と離間してもよい。また、ステップS6においては、複数の電池モジュール20を上述した方法にて筐体11に固定することによって、
図1に示される電池パック10を製造する。
【0050】
以上に説明した電池モジュール20を用いた第1実施形態の電池パック10によれば、第1隔壁14及び第2隔壁15によって画定される領域Rに固体状の熱伝導部材13を設けることができる。この熱伝導部材13は、液状の熱伝導材料を硬化することにより形成される。このため、上述したように領域Rに液状の熱伝導材料を塗布して熱伝導部材13を形成する場合、第1隔壁14及び第2隔壁15によって液状の熱伝導材料が領域R外、特に方向Xにおいて第1隔壁14を越えた領域及び第2隔壁15を越えた領域へ流れ出ることを抑制できる。このため、例えば第1隔壁14よりも上側に設けられる孔11fに熱伝導材料が流れ込むことが抑制され、ジャンクションボックス12を筐体11に取り付けることが困難になることを防止できる。したがって、上記電池パック10によれば、液状の熱伝導材料が意図しない領域へ流れ出ることを抑制できる。
【0051】
また、電池モジュール20は、方向Yにおいて配列体50を挟持する第1ブラケット23及び第2ブラケット24を有し、第1ブラケット23及び第2ブラケット24の端面42bは、配列体50の対向面50aよりも筐体11側に位置する。この場合、筐体11において第1隔壁14及び第2隔壁15によって画定される領域Rに液状の熱硬化材料を塗布した後、電池モジュール20を固定した状態にて熱伝導材料を硬化して熱伝導部材13を形成した場合、第1隔壁14、第2隔壁15、第1ブラケット23、及び第2ブラケット24によって液状の熱伝導材料を取り囲む枠が形成される。つまり、第1隔壁14及び第2隔壁15に加えて、第1ブラケット23及び第2ブラケット24によって液状の熱伝導材料を取り囲むので、第1ブラケット23及び第2ブラケット24によって、方向Yにおける領域R外に熱伝導材料が流れ出ることが抑制される。したがって、液状の熱伝導材料が意図しない領域へ流れ出ることをさらに抑制できる。
【0052】
また、第1隔壁14及び第2隔壁15は、筐体11と一体化される。この場合、例えば液状の熱伝導材料を筐体11に塗布する領域Rが定めやすくなる。
【0053】
また、電池モジュール20は、電池セル21において主面21aに接触する伝熱プレート22を備え、伝熱プレート22は、第1本体部22aと、第2本体部22bとを有し、第2本体部22bは、熱伝導部材13に接触する。この場合、電池セル21にて発生した熱は、伝熱プレート22を介して熱伝導部材13に伝導でき、電池セル21の放熱性を向上できる。
【0054】
図8は、第1実施形態の第1変形例の筐体の一部を拡大した図である。
図8に示されるように、第1変形例は第1実施形態と比較して、電池パック10が第3隔壁61をさらに備える点で相違する。具体的には、第3隔壁61は、筐体11Aの他方の側板11eにおいて領域Rの後ろ側に設けられる。また、第3隔壁61は、方向Xにおいて第1隔壁14と第2隔壁15との間に設けられる。この第3隔壁61は、電池モジュール20が筐体11Aに固定される際に、弾性部材25と筐体11Aとの間に位置するように設けられる。第3隔壁61は、筐体11Aと一体化されると共に、筐体11Aから電池モジュール20に向かって突出し、方向Xに沿って延在する略直方体形状を有する。第3隔壁61の厚さは、熱伝導部材13の厚さよりも大きい。また、第3隔壁61の厚さは、第1隔壁14の厚さ及び第2隔壁15の厚さに対して略同一又は大きくなっている。また、第3隔壁61の長さは、例えば第1隔壁14と第2隔壁15との方向Xにおける離間距離未満であり、熱伝導部材13の方向Xの長さ以上である。第3隔壁61は、電池モジュール20が筐体11に取り付けられた場合に弾性部材25に重なるように設けられてもよい。
【0055】
上記第1変形例では、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、
図8に示されるように、筐体11上の第1隔壁14、第2隔壁15、及び第3隔壁61によって画定される領域Rに液状の熱伝導材料を塗布して熱伝導部材13を形成できる。上記領域Rの3方向が第1隔壁14、第2隔壁15、及び第3隔壁61によって囲まれるので、液状の熱伝導材料が領域R外、特に筐体11上において第3隔壁61を越えた領域へも流れ出ることを抑制できる。したがって、液状の熱伝導材料が意図しない領域へ流れ出ることをさらに抑制できる。また、電池モジュール20が筐体11に取り付けられた場合、弾性部材25と筐体11との間にはオフセットD2が生じる。ここで、第3隔壁61が弾性部材25と重なるように設けられることによって、上記オフセットD2を埋めることができる。これにより、さらに液状の熱伝導材料が意図しない領域へ流れ出ることを抑制できる。
【0056】
図9は、第1実施形態の第2変形例の筐体の一部を拡大した図である。
図9に示されるように、第2変形例は第1実施形態と比較して、第1隔壁14及び第2隔壁15の方向Yに沿った長さが異なる点で相違する。具体的には、第1隔壁14Aの方向Yに沿った長さは、第1実施形態の第1隔壁14の方向Yに沿った長さよりも大きい。同様に、第2隔壁15Aの方向Yに沿った長さは、第1実施形態の第2隔壁15の方向Yに沿った長さよりも大きい。
図9において、電池モジュール20が筐体11に固定される際に、第1ブラケット23の挟持部41が配置される位置を領域62、第2ブラケット24の挟持部41が配置される位置を領域63とする。この場合、第1隔壁14A及び第2隔壁15Aのそれぞれは、領域63より前側から領域62の後側まで延在する。換言すれば、第1隔壁14Aの一端は、第1ブラケット23に対して配列体50の反対側に位置し、第1隔壁14Aの他端は、第2ブラケット24に対して配列体50の反対側に位置する。同様に、第2隔壁15Aの一端は、第1ブラケット23に対して配列体50の反対側に位置し、第2隔壁15Aの他端は、第2ブラケット24に対して配列体50の反対側に位置する。
【0057】
第2変形例では、第1実施形態と同様の作用効果が奏されると共に、第1隔壁14A及び第2隔壁15Aによって、方向Xにおける液状の熱伝導材料の領域R外への流出がより抑制される。具体的には、第1隔壁14A及び第2隔壁15Aは、方向Yにおいて少なくとも第1ブラケット23及び第2ブラケット24にわたって存在し、第1実施形態における第1隔壁14及び第2隔壁15の方向Yに沿った長さよりも長い。このため、第1隔壁14A、第2隔壁15A、第1ブラケット23、及び第2ブラケット24によって形成される枠において、各角部の隙間を小さくできるので、熱伝導材料が当該隙間から領域R外へ流れ出ることを抑制できる。
【0058】
図10は、第1実施形態の第3変形例を説明するための模式端面図である。
図10に示されるように、第3変形例は第1実施形態と比較して、第1隔壁及び第2隔壁の数が異なる点で相違する。具体的には、第1隔壁14Bは、方向Yに沿って延在する略直方体形状の隔壁64,65を有する。隔壁64,65は、筐体11と一体化しており、方向Xにおいて互いに並列して離間する。同様に、第2隔壁15Bは、方向Yに沿って延在する略直方体形状の隔壁66,67を有する。隔壁66,67は、筐体11と一体化しており、方向Xにおいて互いに並列して離間する。したがって、方向Xにおいて、隔壁64と隔壁65との間及び隔壁66と隔壁67との間には、それぞれ隙間が形成される。
【0059】
第3変形例では、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。ここで、第3変形例において例えば領域Rに塗布された熱伝導材料が第1隔壁14Bを越えるためには、隔壁64,65の両方を越える必要がある。したがって、筐体11に設けられる複数の隔壁64〜67により、領域Rに塗布された熱伝導材料が第1隔壁14B及び第2隔壁15Bを越えて領域R外に流れ出ることをさらに抑制できる。
【0060】
第3変形例においては、第1隔壁14B及び第2隔壁15Bを構成する隔壁の数は限定されない。例えば、第1隔壁14B及び第2隔壁15Bの数は3つ以上でもよい。また、第1隔壁14Bを構成する隔壁の数と、第2隔壁15Bを構成する隔壁の数とは互いに異なってもよい。この場合、第1隔壁14Bを構成する隔壁の数、又は第2隔壁15Bを構成する隔壁の数は、1つでもよい。
【0061】
図11は、第1実施形態の第4変形例を説明するための模式端面図である。
図11に示されるように、第4変形例は第1実施形態と比較して、電池パック10が熱伝導部材13に代えて袋68及び熱伝導材料69を備える点で相違する。具体的には、袋68は、方向Xにおいて第1隔壁14と第2隔壁15との間であって、方向Zにおいて電池モジュール20と筐体11との間に配置される。この袋68は密閉されており、袋68の内部には液状の熱伝導材料69が充填されている。袋68は、筐体11及び第2本体部22bの第2主面22b
2に接触する。袋68は、第1隔壁14及び第2隔壁15に接してもよいし、第1隔壁14及び第2隔壁15に接しなくてもよい。袋68は、高い熱伝導率を有する材料から構成される。したがって、電池セル21にて発生した熱は、伝熱プレート22、袋68、及び熱伝導材料69を介して筐体11に伝導する。
【0062】
第4変形例では、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、袋68内に液状の熱伝導材料69を充填することによって、当該熱伝導材料69を硬化しなくてもよい。これにより、電池パックの製造中に熱伝導材料を硬化する期間を省略できるので、電池パックの生産性を向上できる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電池パックについて説明する。以下では、第1実施形態と異なる箇所のみを説明し、第1実施形態と重複する説明を省略する。
【0064】
図12は、第2実施形態の電池パックを説明するための模式端面図である。
図12に示されるように、第2実施形態は第1実施形態と比較して、電池モジュール20Aが第1隔壁71及び第2隔壁72を有する点で相違する。具体的には、筐体11Bに第1隔壁及び第2隔壁が設けられず、電池モジュール20Aは、第1隔壁71及び第2隔壁72を有する。第1隔壁71及び第2隔壁72は、方向Yに沿って延在する略直方体形状を有し、電池モジュール20Aと一体化している。第1隔壁71及び第2隔壁72は、セルホルダ31Aを構成する側面部33の表面から筐体11Bに向かって突出する。具体的には、第1隔壁71及び第2隔壁72は、方向Zにおいて第2本体部22bの第2主面22b
2よりも配列体50から離間する方向に突出する。第1隔壁71及び第2隔壁72の厚さは、熱伝導部材13の厚さよりも大きい。第1隔壁71は、熱伝導部材13及び第2本体部22bよりも上側に設けられる。第2隔壁72は、熱伝導部材13及び第2本体部22bよりも下側に設けられる。電池モジュール20Aが筐体11Bに固定される際に、熱伝導部材13は、方向Xにおいて第1隔壁71及び第2隔壁72によって挟まれるように位置する。また、第2本体部22bは、方向Xにおいて第1隔壁71及び第2隔壁72によって挟まれるように位置する。
【0065】
各セルホルダ31Aは、側面部33にて互いに離間して設けられる突出部33a,33bを有する。突出部33aは側面部33の一端側に設けられ、突出部33bは側面部33の他端側に設けられる。これらの突出部33a,33bは、セルホルダ31Aと同じ樹脂製であり、セルホルダ31Aの側面部33等と一体成形される。第1隔壁71は、各セルホルダ31Aの突出部33aを組み合わせて構成されたものであり、第2隔壁72は、各セルホルダ31Aの突出部33bを組み合わせて構成されたものである。隣り合う突出部33a同士は方向Yにおいて連接してもよいし、連接しなくてもよい。隣り合う突出部33a同士が連接しない場合、当該突出部33a同士の隙間には樹脂等が充填されてもよい。同様に、隣り合う突出部33b同士が連接しない場合、当該突出部33b同士の隙間には樹脂等が充填されてもよい。
【0066】
以上に説明した第2実施形態の電池パック10Aによれば、電池モジュール20Aが第1隔壁71及び第2隔壁72を有すると共に、第1ブラケット23及び第2ブラケット24の端面42bが、第2本体部22bの第2主面22b
2よりも方向Zにおいて配列体50から離間する方向に位置する。これにより、第1隔壁71、第2隔壁72、第1ブラケット23、及び第2ブラケット24は、電池モジュール20Aが筐体11Bに固定される場合に配列体50の対向面50aよりも突出すると共に、枠を形成する。このため、筐体11Bにおいて電池モジュール20Aを固定する場合において、液状の熱伝導材料を筐体11Bの領域Rに塗布した後に、電池モジュール20Aを筐体11Bに固定した状態にて当該熱伝導材料を硬化して熱伝導部材を形成する際に液状の熱伝導材料を上記枠によって取り囲むことができるので、熱伝導材料が領域R外へ流れ出ることを抑制できる。したがって、第2実施形態の電池パックによれば、第1実施形態と同様に液状の熱伝導材料が意図しない領域へ流れ出ることを抑制できる。加えて、電池モジュール20Aにおいて電池セル21を保持する樹脂製のセルホルダ31Aは、第1隔壁71を構成するための突出部33a、及び第2隔壁72を構成するための突出部33bを有する。これらの突出部33a,33bがセルホルダ31Aと一体成形されることにより、安価且つ容易に第1隔壁71及び第2隔壁72を設けることができる。
【0067】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る電池パックについて説明する。以下では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる箇所のみを説明し、第1実施形態及び第2実施形態と重複する説明を省略する。
【0068】
図13は、第3実施形態の電池パックを説明するための模式端面図である。
図13に示されるように、第3実施形態は第1実施形態と比較して、筐体11と電池モジュール20Aとの両方が第1隔壁及び第2隔壁を有する点で相違する。具体的には、第3実施形態では、第1実施形態の筐体11と、第2実施形態の電池モジュール20Aとが用いられる。換言すれば、第3実施形態では、第1隔壁14及び第2隔壁15が設けられた筐体11と、第1隔壁71及び第2隔壁72が設けられた電池モジュール20Aとを用いて電池パック10Bが構成される。第3実施形態では、電池モジュール20Aが筐体11に固定されたとき、第1隔壁14,71をあわせて第1隔壁としてよく、第2隔壁15,72をあわせて第2隔壁としてよい。
【0069】
筐体11の第1隔壁14の頂面14aは、電池モジュール20Aの第1隔壁71の頂面71aに隙間なく接触される。同様に、筐体11の第2隔壁15の頂面15aは、電池モジュール20Aの第2隔壁72の頂面72aに隙間なく接触される。この場合、筐体11の第1隔壁14及び第2隔壁15の厚さは、熱伝導部材13の厚さ以上であればよい。
【0070】
筐体11の第1隔壁14の方向Xに沿った長さは、電池モジュール20Aの第1隔壁71の方向Xに沿った長さと同じでもよいし、異なってもよい。例えば、筐体11の第1隔壁14の方向Xに沿った長さは、電池モジュール20Aの第1隔壁71の方向Xに沿った長さよりも大きくてもよい。同様に、筐体11の第2隔壁15の方向Xに沿った長さは、電池モジュール20Aの第2隔壁72の方向Xに沿った長さと同じでもよいし、異なってもよい。例えば、筐体11の第2隔壁15の方向Xに沿った長さは、電池モジュール20Aの第2隔壁72の方向Xに沿った長さよりも大きくてもよい。
【0071】
以上に説明した電池モジュール20Aを用いた第3実施形態の電池パック10Bによっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0072】
図14は、第3実施形態の第1変形例を説明するための模式端面図である。
図14に示されるように、第3実施形態の第1変形例は第3実施形態と比較して、筐体11の第1隔壁14の頂面14aと、電池モジュール20Aの第1隔壁71の頂面71aとは、互いに接しない点で相違する。具体的には、第1隔壁14の頂面14aはセルホルダ31Aの側面部33に接し、第1隔壁71の頂面71aは筐体11の他方の側板11eに接する。また、第1隔壁14の熱伝導部材13と反対側の側面14bと、第1隔壁71の熱伝導部材13側の側面71bとが互いに接する。すなわち、筐体11の第1隔壁14は、電池モジュール20Aの第1隔壁71よりも熱伝導部材13側に位置する。同様に、筐体11の第2隔壁15の頂面15aと、電池モジュール20Aの第2隔壁72の頂面72aとは、互いに接しない。第2隔壁15の頂面15aはセルホルダ31Aの側面部33に接し、第2隔壁72の頂面72aは筐体11の他方の側板11eに接する。また、第2隔壁15の熱伝導部材13と反対側の側面15bと、第2隔壁72の熱伝導部材13側の側面72bとが互いに接する。すなわち、筐体11の第2隔壁15は、電池モジュール20Aの第2隔壁72よりも熱伝導部材13側に位置する。
【0073】
本変形例では、第3実施形態と同様の作用効果が奏されると共に、硬化する前の熱伝導材料が筐体11上において第1隔壁14,71を越えた領域及び第2隔壁15,72を越えた領域へ流れ出ることを一層抑制できる。また、第1隔壁14,71及び第2隔壁15,72によって筐体11に対する電池モジュール20Aの位置決めが容易になるので、電池モジュール20Aの組み付け性が向上する。
【0074】
第3実施形態の第1変形例において、電池モジュール20Aの第1隔壁71は、筐体11の第1隔壁14よりも熱伝導部材13側に位置してもよい。同様に、電池モジュール20Aの第2隔壁72は、筐体11の第2隔壁15よりも熱伝導部材13側に位置してもよい。また、第1隔壁14,71は互いに離間してもよく、第2隔壁15,72は互いに離間してもよい。
【0075】
図15は、第3実施形態の第2変形例を説明するための模式端面図である。
図15に示されるように、第3実施形態の第2変形例は第3実施形態と比較して、電池モジュール20Aの隔壁に凹部が設けられる点で相違する。具体的には、筐体11の第1隔壁14と、電池モジュール20Aの第1隔壁71とは、互いに嵌合可能に構成され、筐体11の第2隔壁15と、電池モジュール20Aの第2隔壁72とは、互いに嵌合可能に構成される。より具体的には、第1隔壁71の頂面71aには凹部81が形成され、第2隔壁72の頂面72aには凹部82が形成される。電池モジュール20Aが筐体11に固定されるときには、第1隔壁14は当該凹部81に挿入され、第2隔壁15は当該凹部82に挿入される。
【0076】
本変形例では、第3実施形態と同様の作用効果が奏される。また、第1隔壁14及び第2隔壁15が凹部81,82に嵌合されるための目印となるため、筐体11に対する電池モジュール20Aの位置決めが容易になり、電池モジュール20Aの組み付け性が向上する。
【0077】
第3実施形態の第2変形例において、第1隔壁14の頂面14aに凹部が設けられてもよい。この場合、第1隔壁71は、上記凹部に挿入される。同様に、第2隔壁15の頂面15aに凹部が設けられてもよい。この場合、第2隔壁72は、上記凹部に挿入される。なお、第1隔壁14の表面は、凹部81の表面に接してもよいし、接しなくてもよい。同様に第2隔壁15の表面は、凹部82の表面に接してもよいし、接しなくてもよい。
【0078】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る電池パックについて説明する。以下では、第1〜第3実施形態実施形態と異なる箇所のみを説明し、第1〜第3実施形態と重複する説明を省略する。
【0079】
図16は、第4実施形態の電池パックを説明するための模式端面図である。
図16に示されるように、第4実施形態は第1実施形態と比較して、筐体11B及び電池モジュール20に第1隔壁及び第2隔壁が設けられない点で相違する。具体的には、電池パック10Cは、筐体11B及び電池モジュール20とは別体の隔壁部材である第1隔壁91及び第2隔壁92を備える。
【0080】
第1隔壁91は、方向Yに沿って延在する略直方体形状を有し、方向Zにおいて筐体11Bと電池モジュール20との間に位置する部材である。第2隔壁92は、方向Yに沿って延在する略直方体形状を有し、方向Zにおいて筐体11Bと電池モジュール20との間に位置する部材である。第1隔壁91及び第2隔壁92は、方向Xにおいて並列して離間しており、第1隔壁91は、方向Xにおいて熱伝導部材13よりも上側に配置され、第2隔壁92は、方向Xにおいて熱伝導部材13よりも下側に配置される。換言すれば、第1隔壁91及び第2隔壁92は、熱伝導部材13及び伝熱プレート22の第2本体部22bを方向Xにおいて挟むように配置される。また、第1隔壁91及び第2隔壁92の方向Yに沿った長さは、電池モジュール20の方向Yに沿った長さ未満、かつ配列体50(
図3参照)の方向Yに沿った長さ以上である。第1隔壁91及び第2隔壁92は、樹脂から構成されるゴム材料である。第1隔壁91及び第2隔壁92の厚さは、熱伝導部材13の厚さよりも大きい。第1隔壁91及び第2隔壁92は、筐体11B及び電池モジュール20の少なくとも一方に対して、接着剤等を介して固定される。
【0081】
以上に説明した電池モジュール20を用いた第4実施形態の電池パック10Cによっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、第1隔壁91及び第2隔壁92は筐体11B及び電池モジュール20と別体の部材となっているので、第1隔壁91及び第2隔壁92を構成する材質等の自由度が向上する。
【0082】
なお、本発明に係る電池モジュール及び電池パックは、上記実施形態及び変形例に限定されない。また、上記実施形態及び変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせることによって、第1隔壁及び第2隔壁の一方を筐体と一体化した隔壁とし、第1隔壁及び第2隔壁の他方を電池モジュールと一体化した隔壁としてもよい。また、例えば第1実施形態の第3変形例と第3実施形態とを組み合わせることによって、複数の隔壁を有する第1隔壁において、一部を筐体と一体化した隔壁とし、他部を電池モジュールと一体化した隔壁としてもよい。第2隔壁についても同様である。また、例えば第1実施形態の第1変形例〜第4変形例のそれぞれを、第2〜第4実施形態又は他の変形例に適用してもよい。
【0083】
また、上記実施形態においては、第1ブラケット23及び第2ブラケット24は取付部42を有しているが、これに限られない。例えば、第1ブラケット23及び第2ブラケット24は挟持部41のみを有してもよい。この場合、第1ブラケット23及び第2ブラケット24は、例えばL字型の金具等を用いて筐体11に固定されてもよい。また、この場合、第1ブラケット23及び第2ブラケット24の挟持部41の筐体側の端面が、伝熱プレート22の第2本体部22bよりも筐体側に位置すればよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、電池モジュールは、第1本体部22a及び第2本体部22bを含む複数の伝熱プレート22を有しているが、これに限られない。例えば、電池モジュールは、伝熱プレート22を有しなくてもよい。
【0085】
また、上記実施形態における電池パックの製造方法は、ステップS1〜S6を有するが、これに限られない。例えば、ステップS5をステップS3の前に実施してもよい。