(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に記載の差動伝送線路の場合、信号線に屈曲部が設けられた箇所において、一対の信号線の配線間隔が場所によって異なる。配線間隔が異なる領域では、配線間隔が一定の領域に対して特性インピーダンスが変動する。そのため、特性インピーダンスの変動に起因して信号品質が低下する虞が大きくなる。また、特許文献1,2に記載の差動伝送線路では、信号線の設計の自由度が制限される、差動伝送線路の占有面積が大きくなる、等の設計上の問題が生じる虞がある。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであり、信号品質の低下を抑制することができるプリント配線板を提供することを目的の一つとする。本発明の一つの態様は、差動伝送線路の設計上の問題点を解決することができるプリント配線板を提供することを目的の一つとする。本発明の一つの態様は、上記のプリント配線板を備えた情報通信装置を提供することを目的の一つとする。本発明の一つの態様は、上記の情報通信装置を備えた表示システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様のプリント配線板は、第1配線と第2配線とを有する差動伝送線路を備え、前記第1配線は、直線状の配線からなる複数の第1直線部と、前記複数の第1直線部に接続され、前記第1直線部の延びる第1方向に対して交差する方向に延びる直線状の配線を含む第1迂回部と、を備え、前記第2配線は、直線状の配線からなる複数の第2直線部と、前記複数の第2直線部に接続され、前記第2直線部の延びる第2方向に対して交差する方向に延びる曲線状の配線を含む第2迂回部と、を備え、前記第1方向と前記第2方向とは、略平行であり、前記第1迂回部と前記第2迂回部とは、前記第1直線部および前記第2直線部に対して同じ側に突出しており、前記第1迂回部が設けられた領域と前記第2迂回部が設けられた領域とは、前記第1方向および前記第2方向において少なくとも一部が重なっている。
【0007】
本発明の一つの態様のプリント配線板においては、差動伝送線路を構成する2本の配線のうち、第1配線は直線状の配線を含む第1迂回部を備え、第2配線は曲線状の配線を含む第2迂回部を備えているため、第2迂回部の配線長を第1迂回部の配線長よりも長くすることができる。これにより、例えば第1迂回部を除く部分の第1配線の配線長が第2迂回部を除く部分の第2配線の配線長よりも長い場合に、第1配線全体の配線長と第2配線全体の配線長とを等しく揃えることができる。また、第1迂回部と第2迂回部とは、第1直線部および第2直線部に対して同じ側に突出し、第1方向および第2方向において、第1迂回部が設けられた領域と第2迂回部が設けられた領域とが少なくとも一部重なっていることにより、第1迂回部、第2迂回部の各々を構成する配線間の間隔の変動を極力小さくすることができる。これにより、特性インピーダンスの変動を抑制することができ、信号品質の低下を抑制することができる。
【0008】
本発明の一つの態様のプリント配線板において、前記第1迂回部は、前記第1方向と略平行な方向に延びる直線状の配線からなる第3直線部と、前記第3直線部の一端と一の第1直線部とを接続し、前記第1方向に対して交差する方向に延びる直線状の配線からなる第4直線部と、前記第3直線部の他端と他の第1直線部とを接続し、前記第1方向に対して交差する方向に延びる直線状の配線からなる第5直線部と、を備えていてもよい。
この構成によれば、第1迂回部が第3直線部と第4直線部と第5直線部、すなわち直線状の3つの配線で構成されているため、曲線状の配線を含む第2迂回部の配線長と第1迂回部の配線長の差を大きくすることができる。
【0009】
本発明の一つの態様のプリント配線板において、前記第1直線部と前記第4直線部とのなす角度、および前記第1直線部と前記第5直線部とのなす角度は、120°以上、150°以下であってもよい。
この構成によれば、迂回部の占有面積の増大を抑えつつ、特性インピーダンスの変動を効果的に抑制することができる。
【0010】
本発明の一つの態様のプリント配線板において、前記第2迂回部は、前記第2方向と略平行な方向に延びる直線状の配線からなる第6直線部と、前記第6直線部の一端と一の第2直線部とを接続し、前記第2方向に対して交差する方向に延びる曲線状の配線からなる第1曲線部と、前記第6直線部の他端と他の第2直線部とを接続し、前記第2方向に対して交差する方向に延びる曲線状の配線からなる第2曲線部と、を備えていてもよい。
この構成によれば、第2迂回部の第6直線部と第1迂回部の第3直線部とが略平行に配置されるため、第1迂回部、第2迂回部の各々を構成する配線間の間隔の変動がさらに小さくなる。これにより、特性インピーダンスの変動を効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明の一つの態様のプリント配線板において、前記第1直線部の配線幅に対する前記第1直線部の中心線から前記第
3直線部の中心線までの距離の第1の比は、0.5以上、1.0以下であってもよい。
この構成によれば、迂回部の占有面積の増大を抑えつつ、特性インピーダンスの変動を効果的に抑制することができる。
【0012】
本発明の一つの態様のプリント配線板において、前記第2直線部の配線幅に対する前記第2直線部の中心線から前記第6直線部の中心線までの距離の第2の比は、0.5以上、1.0以下であってもよい。
この構成によれば、迂回部の占有面積の増大を抑えつつ、特性インピーダンスの変動を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の一つの態様のプリント配線板において、前記第1の比と前記第2の比とは略等しくてもよい。
この構成によれば、迂回部の占有面積の増大を抑えつつ、特性インピーダンスの変動を効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明の一つの態様の情報通信装置は、本発明の一つの態様のプリント配線板を備える。
この構成によれば、信号品質に優れた情報通信装置を提供することができる。
【0015】
本発明の一つの態様の表示システムは、映像情報を転送する情報転送装置と、前記情報転送装置により転送された前記映像情報に基づいて光を投射するプロジェクターと、を備え、前記情報転送装置および前記プロジェクターのうち少なくとも一方は、第1配線と第2配線とを有する差動伝送線路を含むプリント配線板を備え、前記第1配線は、直線状の配線からなる複数の第1直線部と、前記複数の第1直線部に接続され、前記第1直線部の延びる第1方向に対して交差する方向に延びる直線状の配線を含む第1迂回部と、を備え、前記第2配線は、直線状の配線からなる複数の第2直線部と、前記複数の第2直線部に接続され、前記第2直線部の延びる第2方向に対して交差する方向に延びる曲線状の配線を含む第2迂回部と、を備え、前記第1方向および前記第2方向は、略平行であり、前記第1迂回部と前記第2迂回部とは、前記第1直線部および前記第2直線部に対して同じ側に突出しており、前記第1迂回部が設けられた領域と前記第2迂回部が設けられた領域とは、前記第1方向および前記第2方向において少なくとも一部が重なっている。
この構成によれば、映像情報の品質の低下が抑えられるため、映像品質に優れた表示システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、
図1〜
図5を用いて説明する。
本実施形態の表示システムは、表示装置としてプロジェクターを備えた表示システムの一例である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0018】
図1は、本実施形態の表示システム1の構成を示す。
図1に示すように、表示システム1は、情報転送装置100と、プロジェクター500と、を備える。表示システム1は、外部装置300から出力される映像信号を、WirelessHD(登録商標)通信対応の情報転送装置100により送信し、WirelessHD通信対応の受信部を備えたプロジェクター500で受信して、映像信号に基づく映像をスクリーンに投射する。
本実施形態において、映像情報を送信する送信機としての情報転送装置100、および映像情報を受信する受信機としてのプロジェクター500は、特許請求の範囲の情報通信装置に対応する。また、本実施形態において、映像情報は、映像データ、音声データおよび同期信号等を含む。
【0019】
外部装置300は、情報転送装置100に接続されている。外部装置300は、表示システム1に対して映像情報を供給する。より具体的には、外部装置300は、情報転送装置100の映像情報入力部104に映像情報を出力する。
【0020】
情報転送装置100は、ポート102を含む有線送信部101と、無線送信部103と、映像情報入力部104と、制御部105と、を備える。
【0021】
映像情報入力部104には、外部装置300から各種形式の映像情報が入力される。映像情報入力部104は、制御部105による制御に従って、入力された映像情報を、有線送信部101または無線送信部103に出力する。
【0022】
有線送信部101は、ケーブル150を介してプロジェクター500等の表示装置と接続されるポート102を有する。有線送信部101は、ポート102への表示装置の接続を検知すると、その旨を制御部105に通知する。ケーブル150は、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)規格に対応しているケーブルであり、映像データ、音声データ、同期信号、およびCEC(Consumer Electronics Control Line)コマンド等のデータを伝送する。有線送信部101は、制御部105の制御に従って、映像情報入力部104から出力された映像情報を、ケーブル150を介してプロジェクター500に送信する。
【0023】
無線送信部103は、制御部105により制御され、プロジェクター500との間で映像情報等の無線通信を行う。無線送信部103は、制御部105の制御に従って、映像情報入力部104から出力された映像情報を、無線接続されたプロジェクター500に送信する。無線送信部103は、後述するプリント配線板10を備える。
【0024】
制御部105は、図示しない操作部が受け付けたユーザーの操作入力、もしくは、例えば無線通信が実行されている場合には無線通信を優先させる、等の予め定められた制御に従って、映像情報をプロジェクター500に送信する転送手段として、有線送信部101または無線送信部103を選択する。
【0025】
プロジェクター500は、光学部540と、回路部530と、受信部520と、を備える。
【0026】
光学部540は、光源590と、3つの液晶ライトバルブ(光変調装置)560R,560G,560Bと、クロスダイクロイックプリズム565と、投射光学系567と、を備える。
【0027】
光源590は、白色の光を射出する。光源590から射出された光は、図示しない照明光学系により、液晶ライトバルブ560R,560G,560B上における照度が均一化されるとともに、偏光方向が調整される。本実施形態において、光源590は、高圧放電灯等を含む放電灯、半導体レーザー、もしくはLED(発光ダイオード)等、種々の光源装置を含む。また、本実施形態において、光源590は、白色の光を射出するが、これに限らない。光源590は、例えば、白色以外の所定の色光を射出する一以上の発光素子と、入射する光を所定の色光に変換する蛍光体とを含む光源装置で構成されてもよい。この場合、後述する図示しない色分離光学系は省略されてもよい。
【0028】
照明光学系から射出された光は、図示しない色分離光学系により、赤色光(R)、緑色光(G)、および青色光(B)の3つの色光に分離される。3つの色光は、各色光に対応付けられた液晶ライトバルブ560R,560G,560Bにより、映像信号572R,572G,572Bに応じてそれぞれ変調される。液晶ライトバルブ560R,560G,560Bは、液晶パネルと偏光板とを備える。偏光板は、液晶パネルの光入射側および光射出側に配置される。
【0029】
変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム565により合成される。合成光は、投射光学系567に入射する。投射光学系567は、入射光をスクリーン700に投射する。これにより、スクリーン700上に映像が表示される。
【0030】
回路部530は、映像信号変換部510と、直流電源装置575と、映像処理装置570と、CPU(Central Processing Unit)580と、光源駆動装置577と、を備える。
【0031】
映像信号変換部510は、外部から入力された映像信号(輝度−色差信号やアナログRGB信号など)を所定のワード長のデジタルRGB信号に変換して画像信号512R,512G,512Bを生成し、映像処理装置570に供給する。
【0032】
映像処理装置570は、3つの画像信号512R,512G,512Bに対してそれぞれ映像処理を行う。映像処理装置570は、液晶ライトバルブ560R,560G,560Bをそれぞれ駆動するための映像信号572R,572G,572Bを液晶ライトバルブ560R,560G,560Bに供給する。
【0033】
直流電源装置575は、外部の交流電源600から供給される交流電圧を一定の直流電圧に変換する。直流電源装置575は、映像信号変換部510、映像処理装置570および光源駆動装置577に直流電圧を供給する。
【0034】
光源駆動装置577は、起動時に光源590に駆動電流を供給し、光源590を点灯させる。
【0035】
液晶ライトバルブ560R,560G,560Bは、それぞれ映像信号572R,572G,572Bに基づいて、前述した光学系を介して各液晶ライトバルブ560R,560G,560Bに入射される色光の透過率(輝度)を変調する。
【0036】
CPU580は、プロジェクター500の点灯開始から消灯に至るまでの各種の動作を制御する。例えば、通信信号582を介して点灯命令や消灯命令を光源駆動装置577に出力する。CPU580は、光源駆動装置577から通信信号584を介して光源590の点灯情報を受け取る。
【0037】
受信部520は、有線受信部501と、無線受信部503と、を備える。本実施形態において、有線受信部501および無線受信部503は、後述する制御部としてのCPU580と制御信号線で接続されているが、
図1では制御信号線の図示を省略している。
【0038】
有線受信部501は、ケーブル150を介して情報転送装置100と接続されるポート502を備える。有線受信部501は、ポート502への情報転送装置100の接続を検知すると、その旨をCPU580に通知する。また、有線受信部501は、ケーブル150を介して情報転送装置100から映像情報を受信した場合、CPU580の制御に従って、受信した映像情報を映像信号変換部510に出力する。
【0039】
無線受信部503は、CPU580により制御され、情報転送装置100の無線送信部103との間で映像情報等の無線通信を行う。無線受信部503は、情報転送装置100との無線通信により情報転送装置100から映像情報を受信した場合、CPU580の制御に従って、受信した映像情報を映像信号変換部510に出力する。無線受信部503は、後述するプリント配線板10を備える。
【0040】
本実施形態のプリント配線板10は、
図1に示す情報転送装置100の無線送信部103およびプロジェクター500の無線受信部503に用いられる。
【0041】
図2は、本実施形態におけるプリント配線板10の構成を示す。
図2に示すように、プリント配線板10は、第1配線11と第2配線12とを有する差動伝送線路13を備える。差動伝送線路13を構成する一対の配線のうち、左側の配線が第1配線11であり、右側の配線が第2配線12である。第1配線11および第2配線12は、プリント配線板10の仕様により、入力端から出力端までの配線経路が一直線ではなく全体として屈曲して、配線されている。後述するように、第1配線11に第1迂回部16(
図3参照)が設けられ、第2配線12に第2迂回部19(
図3参照)が設けられたことにより、第1配線11の入力端から出力端までの配線長と第2配線12の入力端から出力端までの配線長とが略等しくなっている。
【0042】
図3は、プリント配線板10における差動伝送線路13の、
図2に示される領域Bにおける拡大図を示す。
図3に示すように、第1配線11は、直線状の配線からなる複数の第1直線部15と、複数の第1直線部15に接続された複数の第1迂回部16と、を備える。第2配線12は、直線状の配線からなる複数の第2直線部18と、複数の第2直線部18に接続された複数の第2迂回部19と、を備える。各第1迂回部16は、各第1直線部15の延びる第1方向(
図3におけるY方向)に対して交差する方向に延びる直線状の配線を含み、第1直線部15に対して一方側(
図3における+X方向)に突出している。各第2迂回部19は、各第2直線部18の延びる第2方向(
図3におけるY方向)に対して交差する方向に延びる曲線状の配線を含み、第2直線部18に対して一方側(
図3における+X方向)に突出している。したがって、第1迂回部16と第2迂回部19とは、第1直線部15および第2直線部18に対して同じ側に突出している。
【0043】
一つの第1迂回部16が設けられた領域R1と一つの第2迂回部19が設けられた領域R2とは、第1方向および第2方向において、少なくとも一部が重なっている。換言すると、第1迂回部が設けられた領域R1および第2迂回部が設けられた領域R2は、第1直線部15または第2直線部18が延びる方向に直交する方向から見て、少なくとも一部が重なっている。本実施形態の場合、第1迂回部16が設けられた領域R1は、第2迂回部19が設けられた領域R2の範囲内に位置している。なお、第1迂回部16の数および第2迂回部19の数は設計に応じて適宜変更が可能であるが、第1迂回部16の数と第2迂回部19の数とは等しいことが望ましい。また、本実施形態において、第1配線11および第2配線12は、プリント配線板10内で略平行に配線されている。すなわち、各第1直線部15の延びる第1方向と各第2直線部18の延びる第2方向とは、略平行である。
【0044】
図4は、差動伝送線路13の
図3に示される領域Dにおける拡大図を示す。
図4に示すように、第1配線11は、第1直線部15A,15Bと、第1迂回部16と、を備える。第2配線12は、第2直線部18A,18Bと、第2迂回部19とを備える。第1迂回部16は、第3直線部21と、第4直線部22と、第5直線部23と、を備える。第3直線部21は、第1直線部15A,15Bの延びる第1方向と略平行な方向に延びる直線状の配線で構成される。第4直線部22は、第3直線部21の一端と第1直線部15Aとを接続し、第1方向に対して交差する方向に延びる直線状の配線で構成される。第5直線部23は、第3直線部21の他端と第1直線部15Bとを接続し、第1方向に対して交差する方向に延びる直線状の配線で構成される。
【0045】
本実施形態の場合、第1直線部15Aと第4直線部22とのなす角度θ1、および第1直線部15Bと第5直線部23とのなす角度θ2は、ともに135°である。第1直線部15Aと第4直線部22とのなす角度θ1、および第1直線部15Bと第5直線部23とのなす角度θ2は必ずしも135°でなくてもよいが、120°以上、150°以下であることが望ましい。第1直線部15Aと第4直線部22とのなす角度θ1と、第1直線部15Bと第5直線部23とのなす角度θ2とは、必ずしも一致していなくてもよい。
【0046】
第3直線部21の中心線C3は、第1直線部15A,15Bの中心線C1の延長線上から+X方向にずれている。第1直線部15A,15Bの配線幅をW1とし、第1直線部15A,15Bの中心線C1から第3直線部21の中心線C3までのX方向における距離をG1とする。本実施形態の場合、配線幅W1に対する距離G1の比G1/W1(第1の比)は、0.5である。すなわち、第3直線部21は、第1直線部15A,15Bの中心線C1の延長線上から、第1直線部15A,15Bの配線幅W1の1/2の距離、X方向においてずれている。
【0047】
第2迂回部19は、第1曲線部25と、第6直線部26と、第2曲線部27と、を備える。第6直線部26は、第2直線部18A,18Bの延びる第2方向と略平行な方向に延びる直線状の配線で構成される。第1曲線部25は、第6直線部26の一端と第2直線部18Aとを接続し、第2方向に対して交差する方向に延びる曲線状の配線で構成される。第2曲線部27は、第6直線部26の他端と第2直線部18Bとを接続し、第2方向に対して交差する方向に延びる曲線状の配線で構成される。
【0048】
本実施形態において、第1配線11における第1直線部15A,15Bは、Y方向において、第2配線12における第2直線部18A,18Bと対応する位置に配置されている。第1配線11における第3直線部21は、Y方向において、第2配線12における第6直線部26と対応する位置に配置されている。第4直線部22は、Y方向において、第2配線12における第1曲線部25と対応する位置に配置されている。第5直線部23は、Y方向において、第2配線12における第2曲線部27と対応する位置に配置されている。
【0049】
第6直線部26の中心線C6は、第2直線部18A,18Bの中心線C2の延長線上から+X方向にずれている。第2直線部18A,18Bの配線幅をW2とし、第2直線部18A,18Bの中心線C2から第6直線部26の中心線C6までのX方向における距離をG2とする。本実施形態の場合、配線幅W2に対する距離G2の比G2/W2(第2の比)は、0.5である。すなわち、第6直線部26は、第2直線部18A,18Bの中心線C2の延長線上から、第2直線部18A,18Bの配線幅W1の1/2の距離、X方向においてずれている。
【0050】
第1の比G1/W1は、0.5以上、1.0以下であることが望ましい。第1の比G1/W1が0.5よりも小さいと、第1迂回部16と第2迂回部19との配線長の差が小さくなり過ぎ、第1配線11と第2配線12との配線長を同じにすることが難しくなる。第1の比G1/W1が1.0よりも大きいと、第1迂回部16のプリント配線板10上における占有面積が大きくなり過ぎ、差動伝送線路13の設計が難しくなる。
【0051】
同様に、第2の比G2/W2は、0.5以上、1.0以下であることが望ましい。第2の比G2/W2が0.5よりも小さいと、第1迂回部16と第2迂回部19との配線長の差が小さくなり過ぎ、第1配線11と第2配線12との配線長を同じにすることが難しくなる。第2の比G2/W2が1.0よりも大きいと、第2迂回部19のプリント配線板10上における占有面積が大きくなり過ぎ、差動伝送線路13の設計が難しくなる。本実施形態において、第1の比G1/W1と第2の比G2/W2とは、略等しいことが望ましい。
【0052】
本実施形態において、各部の寸法の一例を示すと、第1直線部15A,15Bの配線幅W1は約100μmである。第2直線部18A,18Bの配線幅W2は約100μmである。第1直線部15A,15Bと第2直線部18A,18BとのX方向における間隔S1は約100μmである。第3直線部21と第6直線部26とのX方向における間隔S2は約100μmである。第1曲線部25の曲率半径F1は約200μmである。第2曲線部27の曲率半径F2は約200μmである。ただし、これらの寸法は一例であり、適宜変更が可能である。
【0053】
図5は、差動伝送線路13における
図3のA−A線に沿う断面図を示す。
図5に示すように、プリント配線板10は、基材31の上面にグラウンド層32、誘電体層33、第1配線11および第2配線12が順次積層された積層体で構成される。プリント配線板10の構成材料としては、一般的な材料を用いることができる。
【0054】
本実施形態の差動伝送線路13において、仮に一対の配線のそれぞれに迂回部16,19を設けなかったとすると、第1配線11の入力端から出力端までの配線長は、第2配線12の入力端から出力端までの配線長よりも長い。そこで、第1配線11および第2配線12の入力端から出力端までの配線長を揃えるために、第1配線11に直線部からなる複数の第1迂回部16が設けられ、第2配線12には曲線部を含む複数の第2迂回部19が設けられている。
【0055】
すなわち、平面上の任意の2点間を配線で接続する場合、曲線状の配線で接続した場合の配線長は、直線状の配線で接続した場合の配線長よりも長くなる。したがって、曲線部を含む第2迂回部19の配線長は、直線部からなる第1迂回部16の配線長よりも長くなる。
【0056】
第1迂回部16の数と第2迂回部19の数が等しいことを前提として、第1迂回部16および第2迂回部19の数をnとし、一つの第1迂回部16の配線長と一つの第2迂回部19の配線長との差をΔtとする。このとき、第1配線11および第2配線12の全体で見れば、第1迂回部16および第2迂回部19が設けられたことにより、第2配線12の配線長は第1配線11の配線長よりもΔt×nだけ長くなる。第1迂回部16および第2迂回部19を設けなかった場合の第1配線11の配線長と第2配線12の配線長との差をΔTとしたとき、ΔT=Δt×nとなるように各配線を設計すれば、双方の配線の入力端から出力端までの配線長を揃えることができる。
【0057】
差動伝送線路13の特性インピーダンスは、
図5に示す誘電体層33の比誘電率εr、誘電体層33の厚さh、第1配線11の配線幅W1および第2配線12の配線幅W2、および第1配線11と第2配線12との間隔Sによって決まる。プリント配線板10の仕様により誘電体層33の比誘電率εrおよび誘電体層33の厚さhは一定であり、第1配線11の配線幅W1および第2配線12の配線幅W2を一定に設計したとすると、特性インピーダンスの値は第1配線11と第2配線12との間隔Sに応じて変動する。したがって、差動伝送線路13の全体にわたって特性インピーダンスを一定にするためには、第1配線11と第2配線12との間隔Sを一定に保つことが重要である。
【0058】
本実施形態のプリント配線板10は、第1配線11と第2配線12とを有する差動伝送線路13を備え、第1配線11は、直線状の配線からなる複数の第1直線部15A,15Bと、複数の第1直線部15A,15Bに接続され、第1直線部15A,15Bの延びる第1方向に対して交差する方向に延びる直線状の配線を含む第1迂回部16と、を備え、第2配線12は、直線状の配線からなる複数の第2直線部18A,18Bと、複数の第2直線部18A,18Bに接続され、第2直線部18A,18Bの延びる第2方向に対して交差する方向に延びる曲線状の配線を含む第2迂回部19と、を備え、第1方向および第2方向は、略平行であり、第1迂回部16と第2迂回部19とは、第1直線部15A,15Bおよび第2直線部18A,18Bに対して同じ側に突出しており、第1迂回部16が設けられた領域R1と第2迂回部19が設けられた領域R2とは、第1方向および前記第2方向において少なくとも一部が重なっている。
【0059】
このように、直線部からなる第1迂回部16と曲線部を含む第2迂回部19とを用いて第1配線11および第2配線12の配線長を略同じにするとともに、第1直線部15A,15Bが延びる第1方向および第2直線部18A,18Bが延びる第2方向を略平行とし、第1迂回部16および第2迂回部19をそれぞれ第1直線部15および第2直線部18に対して同じ側に突出させ、且つ、第1迂回部16が設けられた領域R1と第2迂回部19が設けられた領域R2とを第1方向および第2方向において少なくとも一部で重ねることにより、第1配線11と第2配線12との間隔の変動を抑制して特性インピーダンスを安定化させ、差動伝送線路13によって伝送するデータ(映像情報)の品質を維持することができる。
【0060】
さらに、本実施形態におけるプリント配線板10の差動伝送線路13は、
図4に示されるように、第1直線部15A,15Bおよび第2直線部18A,18Bの位置、第3直線部21および第6直線部26の位置、第4直線部22および第1曲線部25の位置、第5直線部23および第2曲線部27の位置が、第1方向および第2方向においてそれぞれ対応するように配線されている。したがって、差動伝送線路13の全体を見た場合、第1配線11と第2配線12との間隔Sの変動を最小限に抑えることができる。
【0061】
従来のプリント配線板は、たとえ一対の配線の配線長を揃えることができたとしても、一対の配線間の間隔が大きく変動することに伴い、特性インピーダンスが不安定になるという問題があった。これに対し、本実施形態のプリント配線板10によれば、差動伝送線路13を構成する一対の配線の配線長を揃えることができるとともに、特性インピーダンスの変動を最小限に抑えることができる。これにより、差動伝送線路により映像情報等の信号を伝送する際に信号品質の低下を抑制することができるプリント配線板を提供することができる。
【0062】
さらに、本実施形態のプリント配線板10においては、第1配線11および第2配線12の直線箇所に、第1迂回部16および第2迂回部19を自由に配置することができる。また、
図3に示すように、第1迂回部16および第2迂回部19が第1直線部15および第2直線部18の延長線上からわずかに突出するだけであり、第1迂回部16および第2迂回部19の占有面積がそれ程大きくならない。そのため、差動伝送線路13の設計の自由度が高く、プリント配線板10の小型化に寄与することができる。
【0063】
本実施形態においては、上記のプリント配線板10を備えたことにより、映像情報を送受信する際に、映像情報の劣化を抑制することができる情報転送装置100およびプロジェクター500等の情報通信装置を提供することができる。また、映像品質に優れた表示システム1を提供することができる。
【0064】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、第2迂回部19が2つの曲線部と1つの直線部とで構成されているが、この構成に代えて、第2迂回部19は、例えば楕円弧状の曲線部のみで構成されていてもよい。プリント配線板10を構成する各構成要素の形状、寸法、配置、数等の具体的な記載については、適宜変更が可能である。本発明は、リジッドタイプのプリント配線板、フレキシブルプリント配線板のいずれにも適用が可能である。
【0065】
また、本実施形態において、情報通信装置を構成する送信機の例として情報転送装置100を示し、情報通信装置を構成する受信機の例としてプロジェクター500を示したが、これらの例に限らない。本発明は、例えば、携帯電話や液晶表示装置等の情報を送受信する種々の情報通信装置に適用可能である。
【0066】
また、本実施形態において、プリント配線板10は、表示システム1において、情報転送装置100の無線送信部103およびプロジェクター500の無線受信部503の両方に設けられたが、これに限らない。プリント配線板10は、情報転送装置100およびプロジェクター500のうちの一方に設けられる構成としてもよい。
【0067】
上記実施形態では透過型のプロジェクターに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型のプロジェクターにも適用することも可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味する。「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味する。なお、光変調装置は、液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
【0068】
また、上記の各実施形態において、3つの液晶パネル(液晶ライトバルブ560R,560G,560B)を用いたプロジェクター500の例を挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクター、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも適用可能である。