特許第6620587号(P6620587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6620587画像処理装置、IPアドレス通知方法、IPアドレス通知プログラム及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620587
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】画像処理装置、IPアドレス通知方法、IPアドレス通知プログラム及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20191209BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20191209BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20191209BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
   H04M1/00 U
   H04N1/00 127B
   B41J29/00 E
   B41J29/38 Z
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-27892(P2016-27892)
(22)【出願日】2016年2月17日
(65)【公開番号】特開2017-147595(P2017-147595A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】川村 勇司
(72)【発明者】
【氏名】日比野 健
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英幸
(72)【発明者】
【氏名】市山 征平
(72)【発明者】
【氏名】久田 幸奈
【審査官】 花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−280572(JP,A)
【文献】 特開2014−168213(JP,A)
【文献】 特開2007−188226(JP,A)
【文献】 特開2014−030979(JP,A)
【文献】 特開2009−140116(JP,A)
【文献】 特開2014−102588(JP,A)
【文献】 特開2010−130103(JP,A)
【文献】 特開2004−304324(JP,A)
【文献】 特開2013−162377(JP,A)
【文献】 特開2016−019043(JP,A)
【文献】 特開2007−151048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00 −29/70
H04M 1/00
1/24 − 1/82
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置を制御するCPUと、
携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、
有線ネットワーク接続手段と、
無線ネットワーク接続手段と、
前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記CPUの使用状況を確認する確認手段と、
前記確認手段により確認された前記CPUの使用状況に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定手段と、
前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定手段で決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記確認手段は前記CPUの使用率を確認し、
前記決定手段は、前記CPUの使用率が予め設定された閾値以上であるときは、有線IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記確認手段は過去のジョブ履歴から前記CPUの平均使用率を確認し、
前記決定手段は、前記CPUの平均使用率が予め設定された閾値以上の時間帯であるときは、有線IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満の時間帯であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記確認手段は、予約ジョブにより予想されるCPUの使用状況をも確認し、
前記決定手段は、予約ジョブによるCPUの使用状況に応じて、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記確認手段は、自装置が受け付けた設定指示に基づくCPUの使用状況を確認し、
前記決定手段は、設定指示に基づくCPUの使用状況に応じて、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、
有線ネットワーク接続手段と、
無線ネットワーク接続手段と、
前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量を確認する確認手段と、
前記確認手段により確認された前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定手段と、
前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定手段で決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記確認手段は、前記無線ネットワーク接続手段による一定時間内のデータ通信量を確認し、
前記決定手段は、一定時間内のデータ通信量が予め設定された閾値以上であるときは、有線IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記確認手段は、過去の履歴から前記無線ネットワーク接続手段によるデータ通信量を確認し、
前記決定手段は、前記無線ネットワーク接続手段によるデータ通信量が、予め設定された閾値以上の時間帯であるときは有線IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満の時間帯であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、
有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、
前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記無線ネットワーク接続手段の通信状況を確認する確認手段と、
前記確認手段により確認された前記無線ネットワーク接続手段の通信状況に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定手段と、
前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定手段で決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知手段と、
自装置を制御するCPUを備え、
前記確認手段は前記CPUの使用率と、前記無線ネットワーク接続手段による無線接続数を確認し、
前記決定手段は、前記CPUの使用率が50〜70%の場合に、前記無線接続数が予め設定された閾値以上であるときは有線IPアドレスを通知することを決定し、前記無線接続数が予め設定された閾値未満であるときは無線IPアドレスを通知することを決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
前記確認手段は、前記携帯端末装置との過去のデータ通信量を確認し、
前記決定手段は、前記過去のデータ通信量が予め設定された閾値以上であるときは有線IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記確認手段による確認、前記決定手段による決定、及び該決定に基づく前記IPアドレス通知手段による通知を行うかどうかをユーザーが設定可能な設定手段を備えている請求項1〜10のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
自装置を制御するCPUと、携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、を備えた画像処理装置が、
前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記CPUの使用状況を確認する確認ステップと、
前記確認ステップにより確認された前記CPUの使用状況に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定ステップと、
前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定ステップで決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知ステップと、
を実行することを特徴とするIPアドレス通知方法。
【請求項13】
携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、を備えた画像処理装置が、
前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量を確認する確認ステップと、
前記確認ステップにより確認された前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定ステップと、
前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定ステップで決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知ステップと、
を実行することを特徴とするIPアドレス通知方法。
【請求項14】
自装置を制御するCPUと、携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、を備えた画像処理装置の前記CPUに、
前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記CPUの使用状況を確認する確認ステップと、
前記確認ステップにより確認された前記CPUの使用状況に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定ステップと、
前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定ステップで決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知ステップと、
を実行させるためのIPアドレス通知プログラム。
【請求項15】
携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、を備えた画像処理装置のコンピュータに、
前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量を確認する確認ステップと、
前記確認ステップにより確認された前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定ステップと、
前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定ステップで決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知ステップと、
を実行させるためのIPアドレス通知プログラム。
【請求項16】
携帯端末装置と請求項1〜11のいずれかに記載の画像処理装置とを備え、
前記携帯端末装置は、
前記画像処理装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、
前記近距離無線通信手段により、前記画像処理装置に携帯端末装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを送信する送信手段と、
前記問い合わせに対して画像処理装置からの無線IPアドレスまたは有線IPアドレスの通知を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した無線IPアドレスまたは有線IPアドレスに対して接続を行う接続手段と、
を備えたことを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、有線ネットワーク及び無線ネットワークのいずれによっても接続可能な画像処理装置、IPアドレス通知方法、IPアドレス通知プログラム及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、スキャン機能等の複数の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)と称される画像処理装置として、有線ネットワークの一例である有線LAN(Local Area Network)インターフェース、及び無線ネットワークの一例である無線LANインターフェースの両方を備えるとともに、タブレット端末やスマートフォン等の携帯端末装置と近距離無線通信を行うための近距離無線通信部を備えたものが知られている。
【0003】
このような画像処理装置では、携帯端末装置のユーザーが携帯端末装置から例えば印刷データを画像処理装置に送信して画像処理装置で印刷を行いたい場合、携帯端末装置を画像処理装置の近距離無線通信部にタッチないし近接させて、近距離無線通信により画像処理装置にIPアドレスの問い合わせを行い、画像処理装置から有線LANに接続するための有線IPアドレスまたは無線LANに接続するための無線IPアドレスのいずれかの通知を受け、通知されたIPアドレスに対して接続を行い、印刷データを送信するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−236701号公報
【特許文献2】特開2008−060695号公報
【特許文献3】特開2015−097114号公報
【特許文献4】特開2014−179926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像処理装置に搭載されている制御用のCPUに対しては、通信状態が安定している有線LANでの接続時よりも無線LANでの接続時の方が負荷が高くなる。このため、例えばCPUの使用率が高い状況では有線用LANと接続させた方が、画像処理装置の負荷の増大を可及的に抑制できる点で望ましいにもかかわらず、従来ではこのような配慮はなされていなかった。また、既に他の携帯端末装置が無線LANに接続されていて無線通信量が多い状況では、無線LANの接続回線に空きがあっても有線用LANと接続させた方が良いにもかかわらず、やはりこのような配慮はなされていなかった。
【0006】
このため、CPUの使用率が高い状況や無線通信量が多い状況であっても、画像処理装置が無線IPアドレスを携帯端末装置に通知してしまい、益々負荷が増大するといった問題があった。
【0007】
なお、上述の特許文献1には、子機載置部を有し、外部と通信可能な親機と、子機載置部に載置可能であるとともに、親機と無線通信可能であり、親機を介して外部と通信可能な子機とを備えた通信装置において、子機が子機載置部に載置された場合には、子機と親機とが有線接続される構成の通信装置が開示されている。
【0008】
特許文献2には、複数の通信手段を用いて効率良くデータ通信を行うようにした情報通信システムとして、 ホスト端末は、印刷データを所定の分割レートに基づき分割するとともに、それを送信に適したサイズの分割データに分け、その分けられた分割データ各々に分割ヘッダを付し、有線LANインターフェース宛ての分割データ群を宛先、無線LANインターフェース宛ての分割データ群を宛先へ向けてそれぞれ送信し、プリンタでは、有線LANインターフェースおよび無線LANインターフェースを用いて受信した分割データ群を、分割データ各々に付された分割ヘッダに基づき結合し、分割前の状態に印刷データを復元させ、この印刷データに基づき印刷を行うシステムが開示されている。
【0009】
特許文献3には、無線インターフェースの設定を有線インターフェースを使って、より容易に実現できる情報処理装置として、無線インターフェースを備えるプリンタと有線インターフェースを介して通信し、当該プリンタが検索したアクセスポイントを示す情報を取得する取得手段と、取得手段が取得した情報に基づきプリンタに使用させるアクセスポイントを決定する決定手段と、決定手段により決定されたアクセスポイントをプリンタに通知する通知手段と、を備えたものが開示されている。
【0010】
特許文献4には、通信装置の通信モードを、通信装置自体の動作状態に応じた適切なタイミングに自動的に切り替える技術として、通信装置(印刷装置)は、第1の無線通信モード(または有線通信モード)と第2の無線通信モードとのいずれかの通信モードで、外部装置との通信を制御し、印刷装置は、動作状態が省電力状態等の他の状態に移行する際に、通信モードが第2の無線通信モードに設定されている場合には、通信モードを第1の無線通信モード(または有線通信モード)に切り替える技術が開示されている。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1〜4は、携帯端末装置を画像処理装置の近距離無線通信部にタッチないし近接させて、近距離無線通信により画像処理装置にIPアドレスの問い合わせを行い、画像処理装置から有線ネットワークまたは無線ネットワークに接続可能なIPアドレスの通知を受け、通知されたIPアドレスに対して接続を行い印刷データ等を送信する場合に、画像処理装置のCPUの使用率が高い場合や無線通信量が多い場合であっても、画像処理装置が無線ネットワークと接続するための無線IPアドレスを携帯端末装置に通知してしまい、画像処理装置の負荷が益々増大するといった問題に対して、解決策を提供しうるものではなかった。
【0012】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、携帯端末装置から近距離無線通信によりIPアドレスの問い合わせがあった場合に、CPUの使用状況や無線ネットワークの通信状況に応じて、有線IPアドレスまたは無線IPアドレスのうち適切な方を通知することにより、負荷の増大を可及的に抑制できる画像処理装置、IPアドレス通知方法、IPアドレス通知プログラム及び通信システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)自装置を制御するCPUと、携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記CPUの使用状況を確認する確認手段と、前記確認手段により確認された前記CPUの使用状況に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定手段と、前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定手段で決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
(2)前記確認手段は前記CPUの使用率を確認し、前記決定手段は、前記CPUの使用率が予め設定された閾値以上であるときは、有線IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する前項1に記載の画像処理装置。
(3)前記確認手段は過去のジョブ履歴から前記CPUの平均使用率を確認し、前記決定手段は、前記CPUの平均使用率が予め設定された閾値以上の時間帯であるときは、有線
IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満の時間帯であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する前項1に記載の画像処理装置。
(4)前記確認手段は、予約ジョブにより予想されるCPUの使用状況をも確認し、前記決定手段は、予約ジョブによるCPUの使用状況に応じて、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定する前項1に記載の画像処理装置。
(5)前記確認手段は、自装置が受け付けた設定指示に基づくCPUの使用状況を確認し、前記決定手段は、設定指示に基づくCPUの使用状況に応じて、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定する前項1に記載の画像処理装置。
(6)携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量を確認する確認手段と、前記確認手段により確認された前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定手段と、前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定手段で決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
(7)前記確認手段は、前記無線ネットワーク接続手段による一定時間内のデータ通信量を確認し、前記決定手段は、一定時間内のデータ通信量が予め設定された閾値以上であるときは、有線IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する前項6に記載の画像処理装置。
(8)前記確認手段は、過去の履歴から前記無線ネットワーク接続手段によるデータ通信量を確認し、前記決定手段は、前記無線ネットワーク接続手段によるデータ通信量が、予め設定された閾値以上の時間帯であるときは有線IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満の時間帯であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する前項6に記載の画像処理装置。
(9)携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記無線ネットワーク接続手段の通信状況を確認する確認手段と、前記確認手段により確認された前記無線ネットワーク接続手段の通信状況に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定手段と、前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定手段で決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知手段と、自装置を制御するCPUを備え、前記確認手段は前記CPUの使用率と、前記無線ネットワーク接続手段による無線接続数を確認し、前記決定手段は、前記CPUの使用率が50〜70%の場合に、前記無線接続数が予め設定された閾値以上であるときは有線IPアドレスを通知することを決定し、前記無線接続数が予め設定された閾値未満であるときは無線IPアドレスを通知することを決定することを特徴とする画像処理装置。
(10)前記確認手段は、前記携帯端末装置との過去のデータ通信量を確認し、前記決定手段は、前記過去のデータ通信量が予め設定された閾値以上であるときは有線IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する前項6に記載の画像処理装置。
(11)前記確認手段による確認、前記決定手段による決定、及び該決定に基づく前記IPアドレス通知手段による通知を行うかどうかをユーザーが設定可能な設定手段を備えている前項1〜10のいずれかに記載の画像処理装置。
(12)自装置を制御するCPUと、携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、を備えた画像処理装置が、前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記CPUの使用状況を確認する確認ステップと、前記確認ステップにより確認された前記CPUの使用状況に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定ステップと、前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定ステップで決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知ステップと、を実行することを特徴とするIPアドレス通知方法。
(13)携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、を備えた画像処理装置が、前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量を確認する確認ステップと、前記確認ステップにより確認された前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定ステップと、前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定ステップで決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知ステップと、を実行することを特徴とするIPアドレス通知方法。
(14)自装置を制御するCPUと、携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、を備えた画像処理装置の前記CPUに、前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記CPUの使用状況を確認する確認ステップと、前記確認ステップにより確認された前記CPUの使用状況に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定ステップと、前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定ステップで決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知ステップと、を実行させるためのIPアドレス通知プログラム。
(15)携帯端末装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、有線ネットワーク接続手段と、無線ネットワーク接続手段と、を備えた画像処理装置のコンピュータに、前記近距離無線通信手段により、前記携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量を確認する確認ステップと、前記確認ステップにより確認された前記無線ネットワーク接続手段のデータ通信量に応じて、前記有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、前記無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定する決定ステップと、前記携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、前記決定ステップで決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを、前記近距離無線通信手段を介して前記携帯端末装置に通知するIPアドレス通知ステップと、を実行させるためのIPアドレス通知プログラム。
(16)携帯端末装置と請求項1〜11のいずれかに記載の画像処理装置とを備え、前記携帯端末装置は、前記画像処理装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信手段により、前記画像処理装置に携帯端末装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを送信する送信手段と、前記問い合わせに対して画像処理装置からの無線IPアドレスまたは有線IPアドレスの通知を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した無線IPアドレスまたは有線IPアドレスに対して接続を行う接続手段と、を備えたことを特徴とする通信システム。
【発明の効果】
【0014】
前項(1)に記載の発明によれば、携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、CPUの使用状況を確認し、確認した使用状況に応じて有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定し、携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを携帯端末装置に通知するから、CPUの使用率が高い場合等に有線IPアドレスを通知することにより、無線ネットワークに接続される場合に較べて負荷の増大を抑制できる。
【0015】
前項(2)に記載の発明によれば、CPUの使用率が予め設定された閾値以上か否かに応じて最適なIPアドレスを通知することができ、画像処理装置の負荷の増大を確実に抑制できる。
【0016】
前項(3)に記載の発明によれば、CPUの平均使用率が予め設定された閾値以上の時間帯であるか否かに応じて最適なIPアドレスを通知することができ、画像処理装置の負荷の増大を確実に抑制できる。
【0017】
前項(4)に記載の発明によれば、予約ジョブにより予想されるCPUの使用状況に応じて最適なIPアドレスを通知することができ、画像処理装置の負荷の増大を確実に抑制できる。
【0018】
前項(5)に記載の発明によれば、画像処理装置が受け付けた設定指示に基づくCPUの使用状況に応じて最適なIPアドレスを通知することができ、画像処理装置の負荷の増大を確実に抑制できる。
【0019】
前項(6)に記載の発明によれば、携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、無線ネットワーク接続手段のデータ通信量を確認し、確認したデータ通信量に応じて有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定し、携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを携帯端末装置に通知するから、例えば無線通信量が多い場合等に有線IPアドレスを通知することにより、無線ネットワークに接続される場合に較べて負荷の増大を抑制できる。
【0020】
前項(7)に記載の発明によれば、無線ネットワーク接続手段による一定時間内のデータ通信量が予め設定された閾値以上か否かに応じて最適なIPアドレスを通知することができ、画像処理装置の負荷の増大を確実に抑制できる。
【0021】
前項(8)に記載の発明によれば、無線ネットワーク接続手段によるデータ通信量が、過去の履歴から、予め設定された閾値以上の時間帯であるか否かに応じて最適なIPアドレスを通知することができ、画像処理装置の負荷の増大を確実に抑制できる。
【0022】
前項(9)に記載の発明によれば、CPUの使用率が50〜70%の場合に、無線ネットワーク接続手段による無線接続数が予め設定された閾値以上か否かに応じて最適なIPアドレスを通知することができ、画像処理装置の負荷の増大を確実に抑制できる。
【0023】
前項(10)に記載の発明によれば、携帯端末装置との過去のデータ通信量が予め設定された閾値以上か否かに応じて最適なIPアドレスを通知することができ、画像処理装置の負荷の増大を確実に抑制できる。
【0024】
前項(11)に記載の発明によれば、確認手段による確認、決定手段による決定、及び決定に基づく通知手段による通知を行うかどうかをユーザーが設定することができる。
【0025】
前項(12)に記載の発明によれば、CPUの使用率が高い場合等に有線IPアドレスを通知することにより、無線ネットワークに接続される場合に較べて負荷の増大を抑制できる。
【0026】
前項(13)に記載の発明によれば、無線ネットワーク接続手段によるデータ通信量が多い場合等に有線IPアドレスを通知することにより、無線ネットワークに接続される場合に較べて負荷の増大を抑制できる。
【0027】
前項(14)に記載の発明によれば、携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、CPUの使用状況を確認し、確認した使用状況に応じて有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定し、携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを携帯端末装置に通知する処理を、画像処理装置のコンピュータに実行させることができる。
【0028】
前項(15)に記載の発明によれば、携帯端末装置から自装置と接続するためのIPアドレスの問い合わせを受信したときに、無線ネットワーク接続手段のデータ通信量を確認し、確認したデータ通信量に応じて有線ネットワーク接続手段との接続用の有線IPアドレスを通知するか、無線ネットワーク接続手段との接続用の無線IPアドレスを通知するかを決定し、携帯端末装置からのIPアドレスの問い合わせに対し、決定された有線IPアドレスまたは無線IPアドレスを携帯端末装置に通知する処理を、画像処理装置のコンピュータに実行させることができる。
【0029】
前項(16)に記載の発明によれば、CPUの使用状況が高い場合等に有線IPアドレスを通知することにより、無線ネットワークに接続される場合に較べて負荷の増大を抑制できるシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】この発明の一実施形態に係る画像処理装置と携帯端末装置を備えた通信システムの構成を示す図である。
図2】画像処理装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図3】携帯端末装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図4】画像処理装置がCPUの使用状況または無線LAN接続手段の通信状況に基づいてIPアドレスを決定し、決定したIPアドレスを携帯端末装置に通知する処理を示すフローチャートである。
図5】CPUの使用状況または無線LAN接続手段の通信状況を示す表である。
図6】画像処理装置と過去に接続されたことのある携帯端末装置のデータ通信量の管理テーブルの一例である。
図7】ジョブ毎に設定されたCPUの使用率を示す表である。
図8】予約ジョブによるCPUの使用状況に基づいて、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定し携帯端末装置に通知する処理を示すフローチャートである。
図9】画像処理装置が受け付けた設定指示に基づくCPUの使用状況に応じて、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定し携帯端末装置に通知する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像処理装置100と携帯端末装置300を備えた通信システムの構成を示す図である。この通信システムでは、画像処理装置100は近距離無線通信(NFC:Near field radio communication)を行うためのNFCリーダライタ400を備えており、携帯端末装置300がNFCリーダライタ400にタッチないし近接(以下、まとめてタッチという)されることにより、画像処理装置100と携帯端末装置300との間で近距離無線通信が行われる。なお、図1に示す符号500は画像処理装置100に接続されたユーザー端末装置としてのパーソナルコンピュータである。
【0033】
図2は画像処理装置100の電気的な構成を示すブロック図である。この実施形態では、画像処理装置100として、多機能デジタル画像形成装置である前述したMFPが用いられている。以下の説明では画像処理装置をMFPとも記す。
【0034】
図1に示すように、MFP100は、制御部201、プリンタ207、スキャナ209、及び操作パネル211を備える。制御部201は、CPU202、RAM203、ROM204、ハードディスク装置(HDD)214、プリンタインターフェース(I/F)206、スキャナI/F208、操作パネルI/F210、無線ネットワーク接続手段としての無線LAN I/F212、及び有線ネットワーク接続手段としての有線LAN I/F213を備える。制御部201内の各デバイスは、システムバス205を介して相互に接続されている。
【0035】
CPU202を含む制御部201は、MFP100の全体の動作を制御する。CPU202は、ROM204等に記憶された制御プログラムを読み出して実行することで、通信制御などの各種制御を行う。RAM203は、CPU202の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD214は、データや各種プログラム、或いは各種情報テーブルを記憶する。
【0036】
プリンタI/F206は、プリンタ207(プリンタエンジン)と制御部201とを接続する。プリンタ207は、プリンタI/F206を介して入力された印刷データに基づいて、給紙カセット(図示せず)から給紙されたシートに印刷処理を実行する。スキャナI/F208は、スキャナ209と制御部201とを接続する。スキャナ209は、載置された原稿を読み取り、画像データを生成し、出力する。スキャナ209から出力された画像データは、プリンタ207で印刷されたり、HDD214に記憶されたり、無線LAN I/F212や有線LAN I/F213を介して外部装置に送信されたりする。
【0037】
操作パネルI/F210は、操作パネル211と制御部201とを接続する。操作パネル211には、タッチパネル機能を有する液晶表示部、キーボード、各種ファンクションキー等が備えられている。ユーザーは、操作パネル211に表示された画面を確認し、またタッチパネルを用いて様々な指示をMFP100に入力することができる。
【0038】
さらに、操作パネル211には前述のNFCリーダライタ400が備えられている。このNFCリーダライタ400は、この実施形態では、NFC機能が搭載された携帯端末装置300からMFP100にLAN接続するためのIPアドレスの問い合わせがあったとき、有線LANI/F213に接続するための有線IPアドレスと無線LANI/F212に接続するための無線IPアドレスのうち、制御部201で決定された方のIPアドレスを携帯端末装置300に通知する役割を果たす。制御部201によるIPアドレスの決定方法については後述する。
【0039】
無線LAN I/F212は、携帯端末やPC(パーソナルコンピュータ)等の外部装置と無線通信を実行する。また、有線LAN I/F213には、LANケーブル(図示せず)が接続され、外部装置と通信(有線通信)を実行する。無線LAN I/F212を介した無線通信または有線LAN I/F213を介した有線通信によって、MFP100は、外部装置に各種情報を送信し、また各種情報を外部装置から受信することができる。例えば、MFP100は、携帯端末装置300から印刷データを受信し、受信した印刷データに基づいてプリンタ207に印刷処理を実行させることができる。また、MFP100は、スキャナ209が生成した画像データを外部装置に送信することもできる。
【0040】
この実施形態では、携帯端末装置300から有線LANI/F213に接続するためのアクセスポイント600が使用環境内に存在しており、携帯端末装置300からアクセスポイント600を介して有線LANI/F213に接続されるようになっている。
【0041】
図3は携帯端末装置300の電気的な構成を示すブロック図である。携帯端末装置300は、例えばタブレット端末やスマートフォンなどからなり、CPU311、制御プログラムの格納されたROM312、CPU301の作業用のRAM313を備え、ROM312及びRAM313はそれぞれバスを介してCPU311に接続されている。また、CPU311、ROM312及びRAM313により、携帯端末装置300の全体を統括的に制御する制御部310を形成している。
【0042】
制御部310には、各種の情報を表示するとともに画面を直接タッチして操作入力を行うタッチパネル330、無線LANインターフェース(I/F)340、短距離無線I/F350が、バスを介してそれぞれ接続されている。無線LANI/F340は、MFP1の無線LANI/F212やアクセスポイント600を介した有線LANI/F213との通信に利用され、短距離無線I/F207は短距離無線通信を行うためのインターフェースである。
【0043】
さらに、制御部310にはHDD320がバスを介して接続されている。HDD320には、各種のデータが記憶されている。
【0044】
次に、携帯端末装置300からMFP100へデータ通信を行う場合の動作の一例を説明する。
【0045】
携帯端末装置300のユーザーが、携帯端末装置300にインストールされたMFP100との通信用アプリケーションを起動した状態で、携帯端末装置300をMFP100のNFCリーダライタ400にタッチさせると、携帯端末装置300とMFP100との間で近距離無線通信が確立され、携帯端末装置300はMFP100へデータ通信を行うためのMFP100側のIPアドレスを問い合わせる。
【0046】
IPアドレスの問い合わせを受信したMFP100の制御部201は、CPU202の使用状況または無線LANI/F212の通信状況を確認し、CPU202の使用状況または無線LANI/F212の通信状況に応じて、有線IPアドレスまたは無線IPアドレスのうちいずれのIPアドレスを通知するかを決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。
【0047】
携帯端末装置300のアプリケーションは、通知されたIPアドレスが有線IPアドレスの場合には、無線LANI/F340、アクセスポイント600を介してMFP100の有線LANI/F213と接続し、例えば印刷ジョブ等をMFP100に送信する。通知されたIPアドレスが無線IPアドレスの場合には、無線LANI/F340を介してMFP100の無線LANI/F212と接続する。
【0048】
図4は、MFP100がCPU202の使用状況または無線LANI/F212の通信状況に基づいて通知するIPアドレスを決定し、決定したIPアドレスを携帯端末装置300に通知する処理を示すフローチャートである。図4の例では、CPU202の使用状況がCPUの現在の使用率であり、無線LANI/F212の通信状況が無線LANI/F212の現在の一定時間内のデータ通信量である場合を示している。なお、図4及びそれ以降のフローチャートに示される処理は、MFP100のCPU202がROM204等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0049】
MFP100の電源がONになると、ステップS01では、NFCリーダライタ400に携帯端末装置300がタッチされたかどうか、換言すれば携帯端末装置300から近距離無線通信によるIPアドレスの問い合わせがあったかどうかを判定する。タッチされていなければ(ステップS01でNO)、ステップS01の処理を繰り返す。タッチされると(ステップS01でYES)、ステップS02では、CPU202の現在の使用率が閾値である50%以上かどうかを調べる。使用率が50%以上であれば(ステップS02でYES)、ステップS04で有線IPアドレスの通知を決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。
【0050】
CPU202の使用率が50%未満の場合は(ステップS02でNO)、ステップS03で、他の携帯端末装置等の接続による現在の無線LANI/F212の1秒間の無線データ通信量が閾値である50Mbps以上かどうかを調べる。無線データ通信量が50Mbps以上であれば(ステップS03でYES)、ステップS04で有線IPアドレスの通知を決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。無線データ通信量が50Mbps未満であれば(ステップS03でNO)、ステップS05で無線IPアドレスの通知を決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。
【0051】
携帯端末装置300は、アプリケーションにより、MFP100から通知されたIPアドレスに接続を行う。通知されたIPアドレスが有線IPアドレスの場合は、アクセスポイント600を介して有線LANI/F213と接続し、通知されたIPアドレスが無線IPアドレスの場合は、無線LANI/F212と接続する。そして、画像処理装置に対して印刷データ等を送信する。
【0052】
このように、この実施形態では、CPU202の使用率が50%以上か、または1秒間の無線データ通信量が50Mbps以上の場合には、携帯端末装置300に有線IPアドレスを通知するから、CPU202の使用率が高い場合や無線LANI/F212のデータ通信量の多い場合等に有線IPアドレスが通知されることにより、携帯端末装置300から無線LANI/F212に接続されてデータ通信される場合に較べて負荷の増大を抑制できる。
【0053】
図4の例では、CPU202の使用状況がCPU202の現在の使用率であり、また無線LANI/F212の通信状況が無線LANI/F212の現在の一秒間のデータ通信量であり、CPU202の現在の使用率または無線LANI/F212の現在の一秒間のデータ通信量に基づいて、有線IPアドレスまたは無線IPアドレスのいずれを通知するかを決定したが、CPU202の過去の使用率、または無線LANI/F212の過去のデータ通信量に基づいて、有線IPアドレスまたは無線IPアドレスのいずれを通知するかを決定しても良い。
【0054】
例えば、CPU202の過去の使用率に関しては、過去1時間のCPU202の平均使用率が一定量以上か否か、あるいは過去1時間以内にCPU202の使用率が50%以上になったことが3回以上あったかどうか、あるいは過去1時間以内にCPU202の使用率が50%以上になったことが10分以上あったかどうか、等を基準にして決定しても良い。この場合の処理は図4のフローチャートのステップS02において、過去1時間のCPU202の平均使用率が一定値以上か否か、あるいは過去1時間以内にCPU202の使用率が50%以上になったことが3回以上あったかどうか、あるいは過去1時間以内にCPU202の使用率が50%以上になったことが10分回以上あったかどうか等を判定し、YESの場合にステップS04に進んで有線IPアドレスを決定・通知し、NOの場合にステップS05に進んで無線IPアドレスを決定・通知すれば良い。
【0055】
また、無線LANI/F212の過去のデータ通信量に関しては、過去1時間の無線データの平均通信量が一定量以上か否か、あるいは過去1時間以内にデータ通信量が50Mbps以上になったことが3回以上あったかどうか、あるいは過去1時間以内にデータ通信量が50Mbps以上になったことが10分以上あったかどうか等を基準にして決定しても良い。この場合の処理は図4のフローチャートのステップS03において、過去1時間のデータ通信量が一定値以上か否か、あるいは過去1時間以内にデータ通信量が50Mbps以上になったことが3回以上あったかどうか、あるいは過去1時間以内にデータ通信量が50Mbps以上になったことが10分以上あったかどうか等を判定し、YESの場合にステップS04に進んで有線IPアドレスを決定・通知し、NOの場合にステップS05に進んで無線IPアドレスを決定・通知すれば良い。
【0056】
さらには、過去のジョブ履歴からCPU202の平均使用率が予め設定された閾値以上の時間帯であるかどうか、あるいは過去の履歴から、無線LANI/F212のデータ通信量が予め設定された閾値以上の時間帯であるかどうかに基づいて、有線IPアドレスまたは無線IPアドレスのいずれを通知するかを決定しても良い。
【0057】
図5は、過去のジョブ履歴から、CPU202の平均使用率または無線LANI/F212のデータ通信量が、予め設定された閾値以上の時間帯であるかどうかを判定するための、CPU202の使用状況または無線LANI/F212の通信状況を示す表である。この表のデータはHDD214等に保存されている。
【0058】
MFP100は、月曜日〜日曜日までの1週間について、各曜日の0時〜24時までの1時間毎に、「1時間以内に、CPU202の使用率が50%以上であった時間」または「1時間以内に、無線LANI/F212のデータ通信量が50Mbps以上であった時間」を記録していく。1週間分を1ファイルに記録し、過去4週間分と今週分の合計5ファイルを確保する。5ファイル分全て記憶したら最も古いファイルのデータを削除し、過去4週間分のデータを常時保持しておく。
【0059】
そして、携帯端末装置300がNFCカードリーダライタ400にタッチされると、CPU202は、過去4週間分のファイルから、「1時間以内に、CPU202の使用率が50%以上であった時間」または「1時間以内に、無線LANI/F212のデータ通信量が50Mbps以上であった時間」が10分以上であった時間帯を、現在の時間(携帯端末装置300がタッチされた時間)に照らし合わせて確認する。図5のファイルでは斜線を付した時間帯が相当する。
【0060】
そして、現在の時間が、過去4週間の内1回でも「1時間以内に、CPU202の使用率が50%以上であった時間」または「1時間以内に、無線LANI/F212による無線データ通信量が50Mbps以上であった時間」が10分以上であった時間帯に相当する場合は、有線IPアドレスの通知を決定し、1回も相当しない場合は無線IPアドレスの通知を決定する。なお、4週間分の内1回でも相当する場合に有線IPアドレスの通知を決定する構成としたが、2回以上、あるいは3回以上、あるいは全てにおいて相当する場合に有線IPアドレスの通知を決定し、それ以外は無線IPアドレスの通知を決定する構成としても良い。
【0061】
なお、現在の時間が「1時間以内に、CPU202の使用率が50%以上であった時間」が10分以上であった時間帯に相当するか否かの判定タイミングは、図4のフローチャートにおけるステップS02であり、「1時間以内に、無線LANI/F212による無線データ通信量が50Mbps以上であった時間」が10分以上であった時間帯に相当するか否かの判定タイミングは、図4のフローチャートにおけるステップS03である。
【0062】
また、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかの判定基準の他の例として、CPU202の使用率と、無線LANI/F212に接続されている携帯端末装置の無線接続数とを確認し、CPU202の使用率が50〜70%の場合に、無線接続数が予め設定された閾値以上(例えば4回線以上)であるときは有線IPアドレスを通知し、閾値未満のときは無線IPアドレスを通知することを決定する例を挙げることができる。
【0063】
また、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかの判定基準の他の例として、携帯端末装置300との過去のデータ通信量を携帯端末装置300毎に管理テーブルに記録しておき、携帯端末装置300がNFCリーダライタ400にタッチされたときに、その携帯端末装置300との過去のデータ通信量を確認し、過去のデータ通信量が予め設定された閾値以上であるときは有線IPアドレスを通知することを決定し、予め設定された閾値未満であるときは無線IPアドレスを通知することを決定する例を挙げることができる。接続が複数回行われた場合はその都度データ通信量が記録される。
【0064】
図6に、MFP100と過去に接続されたことのある携帯端末装置300のデータ通信量の管理テーブルの一例を示す。
【0065】
この例では複数の携帯端末装置を管理するために、携帯端末装置300がNFCリーダライタ400にタッチされたときに、MFP100は携帯端末装置300から固有の識別情報(端末ID)を取得し、この識別情報を基にデータ通信量を管理している。なお、識別情報として携帯端末装置300が排他的に保持している情報を使用しても良い。また、携帯端末装置300にインストールされているアプリケーションに基づいて、携帯端末装置300のユーザーに識別情報を入力させることにより、MFP100に識別情報を通知しても良い。
【0066】
図6の例では、識別情報が「ABC12345」の携帯端末装置300については、過去5回の接続機会があり、識別情報が「DEF98765」の携帯端末装置300については、過去3回の接続機会があることが示されており、それぞれの接続時のデータ通信量が記憶されている。
【0067】
携帯端末装置300がNFCリーダライタ400にタッチされると、MFP100は、タッチされた携帯端末装置300の通信履歴が記憶されているかどうかを確認する。記憶されていない場合は、管理テーブルに新規に識別情報を登録する。この場合は、無線IPアドレスを携帯端末装置300に通知する。
【0068】
既に識別情報が存在していれば、過去の接続機会におけるデータ通信量の平均値を計算する。このデータ通信量が予め設定された閾値(例えば10MBps)以上の場合は、有線IPアドレスを、閾値未満の場合は無線IPアドレスを通知することを決定する。なお、過去の接続機会におけるデータ通信量の平均値ではなく最大値等であっても良い。
【0069】
なお、過去のデータ通信量を直接に記憶しておくのではなく、携帯端末装置300が特定のアプリケーションを使用したかどうかを記憶しておく構成であっても良い。例えば、MFP100の操作パネル211に表示される操作画面を、携帯端末装置300に送信してリモート画面として表示させ、このリモート画面を操作することでMFP100の操作を行う携帯端末装置300では、専用のアプリケーションを使用して一定時間(例えば0.5秒)毎に、操作画面情報を常にフルサイズでMFP100に通知し続けるため、この専用のアプリケーションを使用し続けるだけでもデータ通信量は多くなる。
【0070】
そこで、接続時に専用のアプリケーションを使用したかどうかをMFP100に記録しておき、例えば過去5回の接続機会において3回以上そのアプリを使用している場合は、データ通信量が閾値以上であると判断して有線IPアドレスを通知するようにしても良い。
【0071】
また、具体的な過去のデータ通信量の数値と、専用のアプリケーションを使用した接続回数との組み合わせにより判断しても良い。例えば、データ通信量の平均値が閾値以上で専用のアプリケーションを使用した接続回数が閾値以上の場合に、有線IPアドレスを通知する構成としても良い。
【0072】
さらに、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかの判定基準の他の例として、予約ジョブにより予想されるCPU202の使用率を確認し、予約ジョブによるCPU202の使用率に基づいて、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定する例を挙げることができる。
【0073】
MFP100は、マルチジョブ(2つ以上のジョブを同時に実施するジョブ)を実施する場合に、CPU202の使用率が上昇しやすい。また、同じジョブでも内容によってはCPU202の使用率が大きく変わる。たとえばスキャナ209で読み取った原稿の画像データを所定の画像フォーマットに変換し、電子メールで所定宛先に送信する「Scan to E-mail」機能において、画像フォーマットに応じて、ハードウェアで画像処理する場合とソフトウエアで画像処理する場合とがある。MFP100は、携帯端末装置300がNFCリーダライタ400にタッチされたときに、MFP100が所有している予約ジョブの内容を確認したうえで、例えば、マルチジョブを多数(たとえば5個以上)所有している場合や、予約されたジョブと現在のジョブとの合算でCPU202の使用率が一定量以上になるような場合は、有線IPアドレスを通知する。
【0074】
ここで、CPU202の使用率については、ジョブごとにある程度決定される。また、画像変換ファイルの種類(例えばPDF、Tiff、Jpeg)等によってもCPU202の使用率は変動する。この実施形態では、MFP100は内蔵されている図7の表によりCPU202の使用率を仮計算している。
【0075】
図7の表に示すように、例えばカラーコピージョブをコピープロテクト(地紋等)つきで予約した場合、そのジョブの順番が来てコピーを実行する際、CPU使用率は10+2=12%上昇する。予約ジョブが複数あって、モノクロコピー→ダイレクトプリントの順で予約されている場合に、別ユーザーが画像フォーマットとしてコンパクトPDF、応用設定としてOCRをそれぞれ設定して「Scan to E-mail」ジョブを開始した場合、CPU使用率は、コンパクトPDF分のCPU使用率25%とOCR設定分のCPU使用率10%の合算となり、25+10=35%となる。
【0076】
現在実行中の「Scan to E-mail」ジョブと予約ジョブ(ダイレクトプリント)とのCPU使用率の合算は35+20=55%となる。このようにCPU202の使用率が十分大きいことが予想される状態で、無線LANI/F212が使用されると、CPU202の負荷がさらに増大するため、携帯端末装置300がNFCリーダライタ400にタッチされた場合は、IPアドレスとして有線IPアドレスの通知を決定する。
【0077】
このように、予約ジョブにより予想されるCPU202の使用状況をも確認し、予約ジョブによるCPU202の使用状況に基づいて、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定し携帯端末装置300に通知する処理を、図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0078】
MFP100の電源がONになると、ステップS11では、NFCリーダライタ400に携帯端末装置300がタッチされたかどうか、換言すれば携帯端末装置300から近距離無線通信によるIPアドレスの問い合わせがあったかどうかを判定する。タッチされていなければ(ステップS11でNO)、ステップS11の処理を繰り返す。タッチされると(ステップS11でYES)、ステップS12では、CPU202の今現在の使用率を確認する。
【0079】
次いで、ステップS13で予約ジョブの有無を調べる。予約ジョブがなければ(ステップS13でNO)、ステップS14でCPU202の使用率が50%以上かどうかを判定する。使用率が50%以上であれば(ステップS14でYES)、ステップS16で有線IPアドレスの通知を決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。CPU202の使用率が50%未満の場合は(ステップS14でNO)、ステップS15で無線IPアドレスの通知を決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。
【0080】
ステップS13において予約ジョブがある場合は(ステップS13でYES)、予約ジョブの変数nをn=0に設定した後、予約ジョブの中で最もCPU使用率が大きい予約ジョブを検索する。具体的には、ステップS18で、予約ジョブの中のCPU使用率の最大値である予約ジョブMaxを0に設定した後、ステップS19で、n番目の予約ジョブのCPU使用率である予約ジョブ(n・%)が、予約ジョブMaxよりも大きいかどうかを判定する。
【0081】
予約ジョブ(n・%)が予約ジョブMaxよりも大きい場合(ステップS19でYES)、ステップS20で、予約ジョブMax=予約ジョブ(n・%)を設定したのち、ステップS21に進む。予約ジョブ(n・%)が予約ジョブMaxよりも大きい場合は(ステップS19でNO)、そのままステップS21に進む。ステップS21ではnを1インクリメントする。
【0082】
次いで、ステップS22で次の予約ジョブ(n)が存在するか否かを調べる。存在すれば(ステップS22でYES)、ステップS19に戻り、予約ジョブ(n)が存在しなくなるまでステップS19〜S22を繰り返し、予約ジョブMaxを求める。
【0083】
予約ジョブ(n)が存在しないと(ステップS22でNO)、ステップS23で、ステップS12で確認した現在のCPU使用率と、予約ジョブの中で最も大きいCPU使用率である予約ジョブMaxとの合計値が、閾値である50%以上かどうかを判断する。
【0084】
合計値が50%以上であれば(ステップS23でYES)、ステップS24で有線IPアドレスの通知を決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。合計値が50%未満の場合は(ステップS23でNO)、ステップS25で無線IPアドレスの通知を決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。
【0085】
このように、予約ジョブにより予想されるCPU202の使用率をも確認することにより、最適なIPアドレスを携帯端末装置300に通知することができ、MFP100の負荷の増大を確実に抑制できる。
【0086】
さらに、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかの判定基準の他の例として、MFP100が受け付けた設定指示に基づくCPU202の使用状況を確認し、この設定指示に基づくCPU202の使用状況に応じて、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定する例を挙げることができる。
【0087】
MFP100は、マルチジョブでなくても、単独の印刷等の指示でCPU202による処理が大量に必要となるものがある。たとえば別のMFPから画像データを取得しながら印刷するような処理である。このような処理をユーザーが実行しそうかどうかを、操作パネル211や他のUI(たとえばWeb経由での指示、アプリ経由での指示)の画面遷移で判断できる。そこで、たとえば上記のようなCPU202による処理が大量に必要となる処理の設定画面で詳細設定を行っている場合に、携帯端末装置300がNFCリーダライタ400にタッチされたときは、負荷のさらなる増大を抑制するためIPアドレスとして有線IPアドレスを指定する。
【0088】
このように、MFP100が受け付けた設定指示に基づくCPU202の使用状況を確認し、この設定指示に基づくCPU202の使用状況に応じて、有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定し携帯端末装置に通知する処理を、図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0089】
MFP100の電源がONになると、ステップS31では、NFCリーダライタ400に携帯端末装置300がタッチされたかどうか、換言すれば携帯端末装置300から近距離無線通信によるIPアドレスの問い合わせがあったかどうかを判定する。タッチされていなければ(ステップS31でNO)、ステップS31の処理を繰り返す。
【0090】
タッチされると(ステップS31でYES)、ステップS32で、操作パネル211に表示されている画面が、予め設定された特定の画面(たとえば別のMFPから画像データを取得しながら印刷する機能の設定画面)であるか否かを確認する。特定の画面でなければ(ステップS32でNO)、ステップS33で無線IPアドレスの通知を決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。
【0091】
特定の画面である場合(ステップS32でYES)、ステップS34で、その画面で設定が変更されたかどうかを確認する。設定が変更されていれば(ステップS34でYES)、大量の処理が発生しCPU202の使用率が高くなることが予想されるから、ステップS35で有線IPアドレスの通知を決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。設定が変更されていなければ(ステップS34でNO)、ステップS33で無線IPアドレスの通知を決定し、NFCリーダライタ400を介して携帯端末装置300に通知する。
【0092】
このように、MFP100が受け付けた設定指示に基づくCPU202の使用状況に応じて最適なIPアドレスを通知することができ、MFP100の負荷の増大を確実に抑制できる。
【0093】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。
【0094】
例えば、携帯端末装置300がNFCリーダライタ400にタッチされたときに、CPU202の使用状況や無線LANI/F212の通信状況を確認し、確認結果に応じて有線IPアドレスを通知するか無線IPアドレスを通知するかを決定し、携帯端末装置300に通知する動作を行うかどうかをユーザーが設定できるようにしても良い。具体的には、設定ボタンを操作画面に表示し、該設定ボタンがユーザーによって押された場合にのみ、上記動作が行われる構成としても良い。
【符号の説明】
【0095】
100 画像処理装置
201 制御部
202 CPU
211 操作パネル
212 無線LANインターフェース
213 有線LANインターフェース
300 携帯端末装置
400 NFCリーダライタ(近距離無線通信部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9