(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
物流設備の実施形態について説明する。本実施形態では、一例として、例えば工場等の生産設備に併設される物流設備1について説明する。本実施形態の物流設備1は、例えば生産設備で用いられる原料を入荷したり、生産された製品を出荷したりするのに利用される。
図1に示すように、物流設備1は、物品Aの荷捌きを行うためのプラットホーム2と、当該プラットホーム2に設けられたバース4とを備えている。また、物流設備1は、プラットホーム2とバース4に停車している搬送車両Tとの間を車両幅方向Wに往復移動する移載装置5を備えている。そして、バース4に搬送車両Tが停車した状態で、移載装置5により、物品Aの積み降ろしが行われる。
【0015】
なお、以下の説明において「車両幅方向W」と言う場合には、搬送車両Tがバース4に停車した状態での搬送車両Tの幅方向を意味するものとする。同様に、「車両前後方向L」と言う場合には、搬送車両Tがバース4に停車した状態での搬送車両Tの前後方向を意味するものとする。
【0016】
搬送車両Tは、例えばトラックである。搬送車両Tのサイズ(或いは、最大積載重量)は特に限定されず、中型トラック(例えば4トン)や大型トラック(例えば11トン)等、各種サイズの搬送車両Tを利用することができる。搬送車両Tは、物品Aを積載するための荷台Cを備えている。本実施形態の荷台Cは、箱型のバンボディの両側面が開く、いわゆるウイング式に構成されている。このようなウイング式の搬送車両Tでは、物品Aの積み降ろしが荷台Cにおける側方側の開口部を介して行われる。なお、本実施形態では、搬送車両Tは、複数の物品Aを単一のベースパレットB(
図2を参照)に載置した状態で運搬する。
【0017】
バース4は、プラットホーム2のホーム端2eに沿って、搬送車両Tが横付けで接車するように設けられている。「横付けで接車する」とは、搬送車両Tの車両前後方向Lがプラットホーム2のホーム端2eの延在方向に対して平行状となるように搬送車両Tを停車させることを言う。このような態様でバース4が設けられることで、走行路Rを通って進入してきた搬送車両Tは、前進走行によってそのまま横付けでバース4に停車することができる。例えば搬送車両Tが縦付け(搬送車両Tの車両前後方向Lがプラットホーム2のホーム端2eの延在方向に対して直交状となる状態)で接車するようにバースが設けられる場合とは異なり、搬送車両Tを後進走行させる必要がほとんどない。
【0018】
プラットホーム2は、物流設備1において、床面の高さ位置が地盤面よりも上部に設定された高床領域である。地盤面を基準とするプラットホーム2の床面高さは、例えば0.8m〜1.5m程度であって良い。本実施形態では、プラットホーム2は、平面視(上下方向に沿って上から見た状態)で一部が矩形状に切り欠かれた形状となるように形成されている。この切欠部2Rの外側には、プラットホーム2の外側の端部であるホーム端2eから走行路R側に突出する状態で、平面視で矩形状のバース形成デッキ20が設けられている。これらの切欠部2R及びバース形成デッキ20を、車両幅方向Wに移載装置5が往復移動する。
【0019】
バース形成デッキ20の外側(プラットホーム2とは反対側)の端部であるデッキ端20eは、プラットホーム2のホーム端2eよりも走行路R側において、ホーム端2eに平行に配置されている。そして、デッキ端20eの外側に、当該デッキ端20eに沿ってバース4が設けられている。このバース4に停車する搬送車両Tは、上述したように、プラットホーム2に対して横付けで接車される。このとき、バース4が設けられるデッキ端20eはホーム端2eよりも走行路R側に位置しているので、搬送車両Tの横付け接車を容易に行うことができる。なお、
図1では1つのバース4だけを示しているが、走行路Rに沿う複数箇所にバース4が設けられても良い。
【0020】
プラットホーム2には、第一搬送部21と第二搬送部26とが設置されている。第一搬送部21は、その搬送方向の上流側端部が生産設備に接続されるとともに、下流側端部が切欠部2Rに臨む状態に設けられている。第一搬送部21は、例えばチェーンコンベヤやベルトコンベヤ、ローラコンベヤ等のコンベヤ22を主要な構成要素として含んでいる。
第一搬送部21は、旋回テーブルや段積み装置等をさらに含んでも良い。第一搬送部21は、出荷される物品Aを搬送する。ここで、出荷される物品Aは、例えば生産設備で生産された工業製品や中間製品等であり、本例では箱詰めされた上でパレットに載置された状態で供給される。第一搬送部21は、生産設備で生産されて搬送車両Tによって出荷される物品Aを、プラットホーム2の切欠部2Rに設けられた移載装置5に搬送する。
【0021】
本実施形態では、第一搬送部21は、互いに並列にかつ平行に設けられた2つの出荷路23(第一出荷路23A,第二出荷路23B)を含む。第一出荷路23A及び第二出荷路23Bは、物流設備1に乗り入れるものの中で最大サイズの搬送車両T(例えば最大積載重量が11トンの大型トラック)の荷台CのおよそN倍(ここで、Nは自然数であり、本例ではN=2)の長さに形成されている。そして、出荷路23には、最大で、上記の最大サイズの搬送車両Tの荷台Cの(2×N)台分に積込可能な個数の物品Aが載置される。
出荷される予定の物品Aは、運搬先の事業所毎に分別された状態で、その物品Aを運搬する搬送車両Tが物流設備1に到着する前に予め出荷路23に載置される。
【0022】
第二搬送部26は、その搬送方向の上流側端部が切欠部2Rに臨むとともに、下流側端部が生産設備に接続される状態に設けられている。第二搬送部26は、例えばチェーンコンベヤやベルトコンベヤ、ローラコンベヤ等のコンベヤ27を主要な構成要素として含んでいる。第二搬送部26は、テーブルリフトや段ばらし装置等をさらに含んでも良い。第二搬送部26は、入荷した物品Aを搬送する。入荷した物品Aは、例えば生産設備における各種製品の生産のために供される原料や中間製品等であって良く、この場合、箱詰めされた上でパレットに載置された状態で供給される。或いは、入荷した物品Aは、パレットに載置された空箱であっても良い。第二搬送部26は、到着した搬送車両Tが運搬してきて移載装置5で受け取った物品Aを、生産設備に搬送する。
【0023】
本実施形態では、第二搬送部26は、上記の最大サイズの搬送車両Tの荷台Cに相当する大きさの入荷路28を含む。入荷路28は、ホーム端2eに沿って、第一搬送部21の2つの出荷路23のうちの1つ(第一出荷路23A)と同一直線状に配置されている。第二搬送部26の入荷路28には、入荷された搬送車両Tの荷台Cの1台分の物品Aが搬送されてくる。第二搬送部26は、入荷された物品Aを1つずつ生産設備に搬送する。
【0024】
また、プラットホーム2には、操作卓31が設置されている。操作者は、この操作卓31に設けられたコンピュータを操作して、第一搬送部21や第二搬送部26に対する作動指令を入力したり、移載装置5に対する作動指令を入力したりすることができる。また、プラットホーム2には、安全柵33が設置されている。安全柵33は、切欠部2Rの端縁を含むホーム端2eの全域に設置されている。これらのうち、第一搬送部21の出荷路23の下流側端部及び第二搬送部26の入荷路28の上流側端部に対向する安全柵33は、上下方向にスライド移動して開閉自在な可動柵33Aとなっている。なお、それ以外の安全柵33は、開閉不能な固定柵である。可動柵33Aは、第一搬送部21から移載装置5へと物品Aを搬送し、又は、移載装置5から第二搬送部26へと物品Aを搬送する際に、開門する。
【0025】
プラットホーム2とバース4に停車している搬送車両Tとの間で物品Aの受け渡しを行うため、移載装置5が設けられている。移載装置5は、プラットホーム2の切欠部2Rと当該切欠部2Rから連続するバース形成デッキ20とに亘る領域を、車両幅方向Wに沿って往復移動するように設けられている。ここで、プラットホーム2の切欠部2Rは、第一搬送部21の下流側端部と第二搬送部26の上流側端部との間に設けられており、この切欠部2Rの配置領域を本実施形態では「中間搬送領域Ri」と言う。また、バース形成デッキ20は、バース4に停車している搬送車両Tの荷台Cに隣接し、このバース形成デッキ20の配置領域を本実施形態では「荷台隣接領域Ra」と言う。なお、荷台隣接領域Raが切欠部2Rにおけるバース形成デッキ20側の一部を含むように設定されて、中間搬送領域Riと荷台隣接領域Raとが部分的に重複しても良い。こうして、移載装置5は、中間搬送領域Riと荷台隣接領域Raとの間を車両幅方向Wに往復移動するように設けられている。また、本実施形態の移載装置5は、複数の物品Aを単一のベースパレットBに載置した状態で、搬送車両Tとの間で物品Aの受け渡しを一括的に行うように構成されている。
【0026】
図2に示すように、ベースパレットBは、平面視で扁平な矩形状に形成されている。ベースパレットBは、搬送車両Tの荷台Cと同程度の大きさに形成されている。本実施形態では、1台の搬送車両Tに対して1つの同一のベースパレットBが、移載装置5による移載作業中を除き、常時帯同するように構成されている。複数の搬送車両Tで荷台Cのサイズが互いに同じであれば、それぞれに対応するベースパレットBの大きさも互いに同じとなるし、荷台Cのサイズが互いに異なれば、それぞれに対応するベースパレットBの大きさも互いに異なることになる。なお、搬送車両Tの荷台CやベースパレットBの大きさは、短手方向(搬送車両Tの車両幅方向Wに一致;以下同様)の長さを概ね同一としたままで長手方向(搬送車両Tの車両前後方向Lに一致;以下同様)の長さを調節することによって規定される。
【0027】
ベースパレットBは、物品Aを載置状態で支持する本体部91と、本体部91に回転自在に軸支された転動ローラ92とを有する。本体部91は、ベースパレットBの長手方向及び短手方向に延びる複数のフレーム材を組み合わせて構成されている。転動ローラ92は、複数設けられているとともに、長手方向の複数箇所において、その枢支軸を長手方向に沿わせる状態で短手方向に一列に並ぶように設けられている。転動ローラ92は、その下端部が本体部91の下面よりも下方側に突出する状態に設けられている。
【0028】
また、ベースパレットBは、長手方向の複数箇所(本例では2箇所)に、上下方向に延びる柱状の被係止部93を有している。被係止部93は、本体部91を構成する短手方向両側のフレーム材よりも外側に位置するように設けられている。本体部91の長手方向における被係止部93の各設置位置に隣接する部位には、引退部94が形成されている。引退部94は、平面視で、本体部91を構成する短手方向両側のフレーム材に対して、短手方向の中央部側に向かって窪み形成されている。ベースパレットBの被係止部93には、移載装置5を構成するスライド部53に設けられるフック部53Eの係止爪53f(係止部の一例)が引っ掛けられる。このとき、フック部53Eが回動することによって係止爪53fが被係止部93に係止されるが、その際、係止爪53fが被係止部93の根元部分にある引退部94を通過することで、係止爪53fと本体部91との干渉が回避される。
【0029】
また、ベースパレットBは、短手方向の中央部付近に、長手方向に沿う一対の隙間開口95を有している。
【0030】
図3〜
図5に示すように、移載装置5は、走行部51と、支持部52と、スライド部53と、昇降部54と、コンベヤユニット55とを主要な構成要素として含んでいる。走行部51は、車両幅方向Wに沿って設置された走行レール61上を走行する。走行レール61は、プラットホーム2の切欠部2Rからバース形成デッキ20に亘って、地盤面に設置されている。走行レール61は、移載装置5の長手方向の複数箇所(本例では4箇所)において、それぞれ車両幅方向Wに沿うように互いに平行に設置されている。走行部51は、走行部本体51Aと、この走行部本体51Aに回転自在に軸支された駆動輪51B及び転輪51Cとを有する。駆動輪51B及び転輪51Cは、それぞれ走行レール61上を転動する。駆動輪51Bは、走行部本体51Aに設置された駆動モータ(図示せず)によって回転駆動(正転駆動/逆転駆動)されて、走行部51に推進力を付与する。転輪51Cは、走行部51が走行する際に遊転する。走行部51を構成する各部は、ケーシング内に収容されている。
【0031】
支持部52は、他物を下方から支持する。支持部52は、物品Aを載置するベースパレットBを下方から支持する。支持部52は、平坦面からなる支持面52bを有する複数の支持デッキ52Aで構成されている。複数の支持デッキ52Aは、移載装置5の長手方向及び短手方向にそれぞれ所定の大きさの隙間52cを隔てる状態で同一平面状をなすように配置されている。互いに隣り合う支持デッキ52Aどうしの間の隙間52cは、スライド部53を構成するフック支持体53Dの可動域や、コンベヤユニット55を構成するチェーンコンベヤ55Bのチェーン55cの配設領域となっている。複数の支持デッキ52Aは、それぞれスライド部53に設けられたデッキ支持体53Bに上方から載置されて固定されている。
【0032】
スライド部53は、支持部52に対して車両幅方向Wに沿ってスライド移動する。スライド部53は、矩形枠状に形成された枠体53Aと、この枠体53Aに固定されたデッキ支持体53B及びフックガイド53Cと、フック支持体53Dに支持されたフック部53Eと、フックガイド53Cに沿ってフック支持体53Dをスライド駆動するチェーン駆動機構53Gとを有する。デッキ支持体53Bには、支持デッキ52Aが上方から載置された状態で固定されている。フックガイド53Cは、移載装置5の長手方向の複数箇所(本例では2箇所)において、それぞれ車両幅方向Wに沿うように互いに平行に設置されている。このフックガイド53Cに案内されて、フック支持体53D及びそれに支持されたフック部53Eが車両幅方向Wに沿ってスライド可能となっている。
【0033】
フック部53Eは、棒状部材の両端部から互いに反対向きに延出する係止爪53fを有する(
図3を参照)。また、フック部53Eは、上下方向に沿う軸を中心として回動可能とされている。この回動は、駆動モータ(図示せず)によって制御される。フック部53Eは、上記の軸を中心とする回動により、係止爪53fとベースパレットBの被係止部93とが係止した状態となり、或いは、その係止状態が解除される。なお、フック部53E(係止爪53f)は、その頭部が単にベースパレットBに当接するだけの状態ともなり得る。
【0034】
チェーン駆動機構53Gは、フック支持体53Dに係止されるとともに複数のスプロケットに無端状に架け渡されたチェーンと、複数のスプロケットのうちの1つを回転駆動(正転駆動/逆転駆動)する駆動モータ(図示せず)とを有する。フック支持体53Dの基準位置は移載装置5の後端部(プラットホーム2側の端部)であり、駆動モータが正転駆動するとフック部53Eが前端部(搬送車両T側の端部)に前進移動し、駆動モータが逆転駆動するとフック部53Eが後端部側に向かって後進移動する。このとき、例えば係止爪53fがベースパレットBの被係止部93に係止した状態で駆動モータを逆転駆動させることで、ベースパレットBを搬送車両Tの荷台Cから引き出すことができる。また、例えば係止爪53fの頭部がベースパレットBに当接(係止の一例)した状態で駆動モータを正転駆動させることで、ベースパレットBを搬送車両Tの荷台Cに押し込むことができる。
【0035】
昇降部54は、走行部51に設置されてスライド部53及びそれに固定された支持部52を昇降移動させる。本実施形態では、昇降部54は、パンタアーム式のシザーリフト54Aで構成されている。昇降部54としてのシザーリフト54Aは、走行部本体51Aに設置されている。シザーリフト54Aは、パンタアーム間に設置されたシリンダの推力により、パンタアームを開閉して昇降台54Bを昇降させる。昇降台54Bには、スライド部53及びこれに固定された支持部52が載置された状態で固定されているので、シザーリフト54Aは、スライド部53及び支持部52を、下限位置PL(
図6及び
図8を参照)と上限位置PU(
図7を参照)との間で昇降させることができる。
【0036】
本実施形態では、移載装置5は、走行部51に設置されてコンベヤユニット55を昇降移動させる油圧リフト56をさらに備えている。油圧リフト56は、上下方向に沿って配置された油圧シリンダにより、ピストンロッドの先端に固定されたコンベヤユニット55を昇降させる。シザーリフト54Aと油圧リフト56とは、協働して、支持部52とスライド部53とコンベヤユニット55とを昇降させる。
【0037】
シザーリフト54Aと油圧リフト56とは、2つの油圧リフト56が1つのシザーリフト54Aに対して車両幅方向Wの両側に配置される状態で設置されている(
図5を参照)。また、そのような1つのシザーリフト54Aと2つの油圧リフト56とからなる組を1セットの昇降部54として、3セットの昇降部54が、移載装置5の長手方向の複数箇所(本例では3箇所)に分散して設けられている(
図4を参照)。
【0038】
コンベヤユニット55は、車両幅方向Wに直交する方向(車両前後方向L)に沿って物品Aを搬送可能に設けられている。コンベヤユニット55は、枠体55Aと、この枠体55Aに固定されたチェーンコンベヤ55Bと、枠体55A及びチェーンコンベヤ55Bを下方から支持するように設けられた複数の支持柱体55Dとを有する。チェーンコンベヤ55Bは、左右一対の無端状のチェーン55cを含んで構成されている。左右一対のチェーン55cは駆動モータによって同期駆動される。左右一対のチェーン55cは、車両前後方向Lに沿って配置されている。本実施形態では、複数のチェーンコンベヤ55Bが、移載装置5の短手方向及び長手方向に並んで配置されている。個々のチェーンコンベヤ55Bにおける左右一対のチェーン55cどうしの間や、短手方向に隣り合うチェーンコンベヤ55Bどうしの間には、支持部52を構成する支持デッキ52Aが収まるように配置される。別の見方をすれば、各チェーンコンベヤ55Bのチェーン55cは、短手方向に隣り合う支持デッキ52Aどうしの間の隙間52cに収まるように配置される。
【0039】
本実施形態では、コンベヤユニット55は、長手方向の両端部に補助コンベヤ55Eを有している。補助コンベヤ55Eは、ローラコンベヤで構成することができ、例えば駆動式のローラコンベヤであって良い。
【0040】
コンベヤユニット55は、昇降部54を構成する油圧リフト56のピストンロッドの先端に固定されている。ここで、昇降部54を構成するシザーリフト54Aと油圧リフト56とは、基本的には同期して作動可能に構成されているとともに、互いに独立して作動することもできるように構成されている。シザーリフト54Aと油圧リフト56とが同期作動することで、支持部52とスライド部53とコンベヤユニット55とが一括的に昇降する。シザーリフト54Aと油圧リフト56とが非同期で作動することで、コンベヤユニット55は、支持部52及びスライド部53に対して上下方向に相対移動可能となっている。
【0041】
ここで、本実施形態では、中間搬送領域Riと荷台隣接領域Raとの間を車両幅方向Wに往復移動する移載装置5が、中間搬送領域Riのうち第一搬送部21の第一出荷路23A及び第二搬送部26の入荷路28と一直線状に並ぶ位置を、「第一位置P1」と定義する(
図1を参照)。また、移載装置5が、中間搬送領域Riのうち第一搬送部21の第二出荷路23Bと一直線状に並ぶ位置を、「第二位置P2」と定義する。また、移載装置5が、荷台隣接領域Raにおいて前進限まで前進している位置を、「第三位置P3」と定義する。
【0042】
本実施形態では、中間搬送領域Riの第一位置P1及び第二位置P2に位置している移載装置5におけるコンベヤユニット55の各支持柱体55Dの配設位置にそれぞれ対応する位置の地盤面に、所定高さを有する直方体状の架台62が設置されている。油圧リフト56がコンベヤユニット55を降下させたとき、各支持柱体55Dが対応する架台62上に載置される。このとき、油圧リフト56の降下が停止した状態で昇降部54であるシザーリフト54Aが下限位置PLまで低下することで、コンベヤユニット55を構成する各チェーンコンベヤ55Bのチェーン55cが、支持部52の支持面52bから上方に突出する(
図8を参照)。こうして、コンベヤユニット55は、移載装置5が中間搬送領域Riにおける第一位置P1又は第二位置P2に位置しかつ昇降部54が下限位置PLまで低下している状態で、支持部52の支持面52bから上方に突出するように構成されている。本実施形態では、第一位置P1及び第二位置P2がそれぞれ「特定位置」に相当する。
【0043】
コンベヤユニット55は、移載装置5が第一位置P1又は第二位置P2に位置しかつ昇降部54が下限位置PLまで低下している状態で、支持部52の支持面52bから、ベースパレットBの厚みに応じた高さ分だけ上方に突出するように構成されている。具体的には、コンベヤユニット55は、支持部52の支持面52bから、ベースパレットBの厚みに所定の余裕代(クリアランス分)を加えた高さ分だけ上方に突出するように構成されている。このため、コンベヤユニット55は、支持部52にベースパレットBが載置されている場合でも、移載装置5が第一位置P1又は第二位置P2に位置しかつ昇降部54が下限位置PLまで低下している状態で、支持部52上のベースパレットBの上面から上方に突出する。なお、その際、チェーンコンベヤ55Bのチェーン55cは、ベースパレットBの隙間開口95を通過してベースパレットBの上面から突出する。
【0044】
一方、昇降部54が上限位置PUまで上昇している状態、又は、昇降部54が下限位置PLまで低下していても移載装置5が第一位置P1及び第二位置P2以外の位置に位置している状態では、コンベヤユニット55を構成する各チェーンコンベヤ55Bのチェーン55cは、互いに隣り合う支持デッキ52Aどうしの間の隙間52cに収まる(
図6及び
図7を参照)。こうして、コンベヤユニット55は、移載装置5が中間搬送領域Riにおける第一位置P1及び第二位置P2以外の位置に位置している状態で、支持部52の支持面52bよりも下方に収まるように構成されている。
【0045】
なお、以下では、昇降部54が下限位置PLにありコンベヤユニット55の支持柱体55Dが架台62上に載っていない状態(
図6の状態)を「第一状態」と言う。また、昇降部54が上限位置PUにある状態(
図7の状態)を「第二状態」と言う。また、昇降部54が下限位置PLにありコンベヤユニット55の支持柱体55Dが架台62上に載っている状態(
図8の状態)を「第三状態」と言う。
【0046】
本実施形態の移載装置5では、昇降部54の昇降移動により、支持部52の支持面52bの高さが、第一搬送部21及び第二搬送部26の支持面の高さに応じた第一高さH1と、搬送車両Tの荷台Cの支持面の高さに応じた第二高さH2とに切替自在に構成されている。ここで、第一搬送部21及び第二搬送部26の支持面の高さは、コンベヤ22,27の搬送面の高さである。また、荷台Cの支持面の高さは、バース4に停車している搬送車両Tの荷台Cにおける床面の高さである。
【0047】
第一高さH1は、第一搬送部21及び第二搬送部26の支持面の高さを基準として、ベースパレットBの厚み相当分だけ低い位置から±10mm程度の範囲内の高さに設定される。本例では、第一搬送部21及び第二搬送部26の支持面の高さよりもベースパレットBの厚み相当分だけ低い位置よりも5mm程度低い高さが第一高さH1として設定されている。この場合、コンベヤユニット55のチェーン55cが、ベースパレットBよりも5mm程度上方に突出することになる。
【0048】
移載装置5が中間搬送領域Riにおける第一位置P1又は第二位置P2に位置している状態で、コンベヤユニット55(チェーンコンベヤ55B)は、第一搬送部21から搬入されてくる物品Aを移載装置5上に搬送する。また、コンベヤユニット55(チェーンコンベヤ55B)は、移載装置5が第一位置P1に位置している状態で、移載装置5上にある物品Aを第二搬送部26に搬出する。
【0049】
第二高さH2は、荷台Cの支持面の高さを基準として±15mm程度の範囲内の高さに設定される。この場合、第二高さH2は、ベースパレットBを荷台Cから引き出す時とベースパレットBを荷台Cに押し込むときとで異なる高さに設定されても良い。本例では、ベースパレットBの引出時には荷台Cの支持面の高さよりも10mm程度低い高さが第二高さH2として設定され、ベースパレットBの押込時には荷台Cの支持面の高さよりも10mm程度高い高さが第二高さH2として設定されている。
【0050】
以下、本実施形態の物流設備1における物品Aの入出荷の手順について説明する。ここでは、移載装置5が中間搬送領域Riにおける第一位置P1に位置しかつ昇降部54が下限位置PLまで低下している状態(
図9を参照)を初期状態として説明する。この初期状態では、第一位置P1において、移載装置5が第三状態(
図8の状態)となっている。なお、本実施形態では、第三状態で、支持部52の支持面52bの高さが第一高さH1となるように設定されている。また、初期状態では、フック部53Eは、その軸部が移載装置5の長手方向に沿う姿勢となっている。
【0051】
この状態で、物品A(パレット上に載置された、空箱や箱詰めされた原料等)を積載した搬送車両Tが到着すると、
図10に示すように、昇降部54は、支持部52を上昇させてその支持面52bの高さを第二高さH2よりも高い第三高さH3とする。ここで、第三高さH3は、例えば搬送車両Tの荷台Cの支持面の高さよりも50mm±15mm程度高い高さに設定される。以下では、この状態を「第四状態」と言う。この高さ調整は、ある程度ラフに行って良い。
【0052】
次に、第四状態の移載装置5は、
図11に示すように、車両幅方向Wに沿って配置された走行レール61に沿って、搬送車両Tに向かって近接移動する。移載装置5は、前進限まで前進して荷台隣接領域Raにある第三位置P3に到達した後、
図12に示すように、昇降部54が支持部52を低下させてその支持面52bの高さを第二高さH2とする。ここでは、ベースパレットBを荷台Cから引き出すための準備段階であるので、支持部52の支持面52bの高さは、荷台Cの支持面の高さよりも10mm程度低い高さとされる。
なお、この高さ調整は、移載装置5を構成する走行部51のケーシングの外面にセンサ(例えばレーザスキャナ)を取り付けておき、搬送車両Tの荷台Cの一部に取り付けられた被検知部(例えばあおりの内面に貼付された反射板)を検出することによって行うことができる。また、フック部53Eが90°旋回して、その軸部が移載装置5の短手方向(車両幅方向W)に沿う姿勢となる。
【0053】
次に、チェーン駆動機構53G(
図5等を参照)を正転駆動して、
図13に示すように、フック部53Eを前進させてベースパレットBに近接させる。この状態で、自動制御又は操作者の手動操作により、フック部53Eの係止爪53f(
図3を参照)をベースパレットBの被係止部93(
図2を参照)に引っ掛ける。その後、係止爪53fが被係止部93に引っ掛かっている状態でチェーン駆動機構53Gを逆転駆動して、
図14に示すように、フック部53Eを後進させてベースパレットBを搬送車両Tの荷台Cから引き出す。
このとき、ベースパレットB上に載置されている複数の物品Aは荷台Cからまとめて引き出される。ベースパレットBはその下面側に転動ローラ92を有しているので(
図2を参照)、抵抗少なく円滑に引き出すことができる。
【0054】
次に、
図15に示すように、昇降部54は、支持部52を上昇させてその支持面52bの高さを第三高さH3とする。その後、第四状態の移載装置5は、
図16に示すように、走行レール61に沿って、搬送車両Tから離間移動する。移載装置5は、中間搬送領域Riにおける第一位置P1に到達するまで移動する。その後、
図17に示すように、昇降部54が下限位置PLまで低下して、支持部52の支持面52bの高さを第一高さH1とする。その際、第一位置P1ではコンベヤユニット55の支持柱体55Dが架台62上に載るので、移載装置5が第三状態となって、コンベヤユニット55を構成するチェーンコンベヤ55Bのチェーン55cがベースパレットBよりも上方に突出する。また、フック部53Eが90°旋回して、その軸部が移載装置5の長手方向に沿う姿勢となる。
【0055】
次に、移載装置5から見て搬送方向下流側にある安全柵33を開くとともにチェーンコンベヤ55B及び第二搬送部26のコンベヤ28を作動して、チェーンコンベヤ55B上に直接載置された複数の物品Aを第二搬送部26に搬出する。複数の物品Aは、支持部52上に留まるベースパレットBから離別して、第二搬送部26に搬出されていく(
図18を参照)。
【0056】
荷降ろしが完了すると、次に、移載装置5から見て搬送方向上流側にある安全柵33を開くとともに第一搬送部21のコンベヤ23及びチェーンコンベヤ55Bを作動して、第一搬送部21の第一出荷路23Aで待機していた複数の物品A(パレット上に載置された、箱詰めされた工業製品等)を移載装置5に搬入する。なお、第一搬送部21から搬入される複数の物品Aは、その物品Aを運搬する予定の搬送車両Tが物流設備1に到着する前に、作業者によってまとめられて第一出荷路23Aで待機されている。複数の物品Aは、前工程で移載装置5の支持部52上に留まっていたベースパレットBの直上の位置に搬入されてくる(
図19を参照)。
【0057】
複数の物品Aの搬入が完了すると、
図20に示すように、昇降部54は、支持部52を上昇させてその支持面52bの高さを第三高さH3とする。次に、第四状態の移載装置5は、
図21に示すように、走行レール61に沿って搬送車両Tに向かって近接移動する。
移載装置5は、前進限まで前進して荷台隣接領域Raにある第三位置P3に到達した後、
図22に示すように、昇降部54が支持部52を低下させてその支持面52bの高さを第二高さH2とする。ここでは、ベースパレットBを荷台Cに押し出すための準備段階であるので、支持部52の支持面52bの高さは、荷台Cの支持面の高さよりも10mm程度高い高さとされる。また、フック部53Eが90°旋回して、その軸部が移載装置5の短手方向(車両幅方向W)に沿う姿勢となる。そして、フック部53Eの頭部がベースパレットBに当接する状態となる。
【0058】
次に、チェーン駆動機構53G(
図5等を参照)を正転駆動して、
図23に示すように、フック部53Eを前進させてベースパレットBを搬送車両Tの荷台Cに押し出す。このとき、ベースパレットB上に載置されている複数の物品Aはまとめて荷台Cに押し出される。ベースパレットBはその下面側に転動ローラ92を有しているので(
図2を参照)、抵抗少なく円滑に押し出すことができる。複数の物品Aを載置したベースパレットBが完全に荷台Cに移載されると、チェーン駆動機構53Gを逆転駆動して、
図24に示すように、フック部53Eを後進限までさせ後退させる。また、昇降部54は、支持部52を上昇させてその支持面52bの高さを第三高さH3とする。荷積みされた搬送車両Tは、準備が整い次第、運搬先の事業所に向けて出発する。
【0059】
次に、第四状態の移載装置5は、
図25に示すように、走行レール61に沿って、搬送車両Tから離間移動する。移載装置5は、中間搬送領域Riにおける第一位置P1に到達するまで移動する。その後、
図26に示すように、昇降部54が下限位置PLまで低下して、支持部52の支持面52bの高さを第一高さH1とする。この場合も、コンベヤユニット55の支持柱体55Dが架台62上に載るので、移載装置5が第三状態となって、コンベヤユニット55を構成するチェーンコンベヤ55Bのチェーン55cがベースパレットBよりも上方に突出する。こうして、初期状態に戻って、次便の搬送車両Tの到着を待つ。
【0060】
本実施形態の物流設備1は、車両幅方向Wに往復移動する移載装置5を備えるので、ウイング式の搬送車両Tを横付け接車する場合でも、移載装置5が荷台Cに対して近接移動して荷台Cとの隙間を埋めることができる。よって、搬送車両Tの運転者は、搬送車両Tをプラットホーム2のホーム端2eに対して平行にかつほとんど隙間なく横付けする必要がなく、横付け接車をラフに短時間で行うことができる。また、そのような移載装置5が、入荷した物品Aを搬送する第二搬送部26と出荷される物品Aを搬送する第一搬送部21との間に設けられるので、搬送車両Tの1回の停車中に荷降ろしと荷積みとを連続して行うことができる。これらの作業は自動化されているので、効率良く短時間で行うことができる。1台の搬送車両Tが停車してから、荷降ろし及び荷積みを行った後に再出発するまでを、例えば10分以内で行うことも可能である。プラットホーム2では、フォークリフトレスで荷捌きできるので、当該プラットホーム2で作業を行う作業者にとって安全性が高い。
【0061】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、支持部52の支持面52bの高さについての第二高さH2が、ベースパレットBを荷台Cから引き出す時とベースパレットBを荷台Cに押し込むときとで異なる高さに設定されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばベースパレットBを荷台Cから引き出す時とベースパレットBを荷台Cに押し込むときとで、第二高さH2が互いに同じ高さ(具体的には、荷台Cの支持面の高さと同じ高さ)に設定されても良い。
【0062】
(2)上記の実施形態では、ベースパレットBがその下面側に転動ローラ92を有している構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばベースパレットBが転動ローラ92を有さずに構成されても良い。この場合、移載装置5と荷台Cとの間でのベースパレットBの移載時には、ベースパレットBは、支持部52の支持面52bや荷台Cにおける床面と摺動しながらスライド移動する。
【0063】
(3)上記の実施形態では、プラットホーム2のホーム端2e付近に設けられたバース形成デッキ20に沿ってバース4が形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、バース4の形成態様は任意であって良い。
【0064】
(4)上記の実施形態では、移載装置5が走行部51と支持部52とスライド部53と昇降部54とコンベヤユニット55とを含んで構成される例について説明した。また、それらの各構成要素について具体的構造を示しつつ説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、移載装置5の具体的構造は任意であって良い。
【0065】
(5)上記の実施形態では、第一搬送部21の第一出荷路23Aと第二搬送部26の入荷路28とを利用して、移載装置5が第一位置P1と第三位置P3との間を往復移動しながら物品Aの入出荷を行うことを主に想定してその手順を説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第一搬送部21の第二出荷路23Bと第二搬送部26の入荷路28とを利用して物品Aの入出荷を行うことももちろん可能である。この場合、荷台CからベースパレットB(物品A)を受け取り、第一位置P1で物品Aを第二搬送部26に搬出した移載装置5は、第二位置P2に移動して第一搬送部21の第二出荷路23Bから物品Aを受け取り、その後、第三位置P3でベースパレットB(物品A)を荷台Cに受け渡す。
【0066】
(6)上記の実施形態では、第一搬送部21に2つの出荷路23が設けられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第一搬送部21に1つの出荷路23だけが設けられ、或いは、第一搬送部21に3つ以上の出荷路23が設けられても良い。また、第二搬送部26に関しても、1つの入荷路28だけを有する構成に限定されることなく、第二搬送部26に2つ以上の入荷路28が設けられても良い。
【0067】
(7)上記の実施形態では、プラットホーム2が走行路Rの片側だけに面するように設けられた構成の物流設備1を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば
図27に示すように、走行路Rの両側に、当該走行路Rを挟んで互いに向かい合うように一対のプラットホーム2が設けられた物流設備1にも、本技術を適用することが可能である。このような構成の物流設備1では、移載装置5は、一対のプラットホーム2のそれぞれの中間搬送領域Riどうしの間を車両幅方向Wに往復移動可能に構成される。つまり、一対のプラットホーム2で移載装置5が共用される。そして、移載装置5は、一方のプラットホーム2とそれに対応するバース4に停車している搬送車両Tとの間で物品Aを受渡可能に構成されるとともに、他方のプラットホーム2とそれに対応するバース4に停車している搬送車両Tとの間で物品Aを受渡可能に構成される。
【0068】
(8)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0069】
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係る物流設備は、好適には、以下の各構成を備える。
【0070】
物流設備であって、
出荷される物品を搬送する第一搬送部と、入荷した物品を搬送する第二搬送部と、が設置されているプラットホームと、
前記プラットホームのホーム端に沿って、搬送車両が横付けで接車するように設けられたバースと、
前記第一搬送部の下流側かつ前記第二搬送部の上流側に位置する中間搬送領域と前記バースに停車している前記搬送車両の荷台に隣接する荷台隣接領域との間を車両幅方向に往復移動して、前記プラットホームと前記搬送車両との間で前記物品の受け渡しを行う移載装置と、を備え、
前記移載装置は、前記車両幅方向に沿って設置された走行レール上を走行する走行部と、前記物品を載置するベースパレットを下方から支持する支持部と、前記ベースパレットに係止した状態で前記支持部に対して前記車両幅方向に沿ってスライド移動するスライド部と、前記走行部に設置されて前記スライド部及び前記支持部を昇降移動させる昇降部と、を含み、
前記昇降部の昇降移動により、前記支持部の支持面の高さが、前記第一搬送部及び前記第二搬送部の支持面の高さに応じた第一高さと、前記搬送車両の前記荷台の支持面の高さに応じた第二高さと、に切替自在に構成されている。
【0071】
この構成によれば、車両幅方向に往復移動する移載装置を備えることで、バースに停車している搬送車両の荷台に対して移載装置を近接移動させることができる。このため、搬送車両の運転者は、プラットホームのホーム端に対してある程度近づけられれば当初の隙間の大きさをあまり意識することなく、搬送車両をホーム端に平行に接車させるだけで良い。よって、搬送車両の横付け接車をラフに短時間で行うことができる。
また、プラットホームにおいて第一搬送部により物品を中間搬送領域に搬送し、第二搬送部により物品を中間搬送領域から搬送することができる。このため、搬送車両の荷台から降ろして移載装置で受け取った物品を中間搬送領域まで運搬した後、第二搬送部で搬出するとともに、予め準備されていた物品を第一搬送部で中間搬送領域にある移載装置に搬入した後、荷台隣接領域まで運搬して搬送車両の荷台に積み込むことができる。これら一連の動作を、第一搬送部と第二搬送部と移載装置との協働によって、短時間で円滑に行うことができる。
このように、搬送車両の横付け接車及び物品の入出荷の両方を短時間で行えるので、搬送車両の稼働効率を大きく向上させることができる。
さらにこの構成によれば、走行部と支持部とを含む移載装置を、走行レールに沿って適切に車両幅方向に往復移動させることができる。また、スライド部を物品が載置されたベースパレットに係止した状態でスライド移動させることで、搬送車両の荷台からベースパレットを引き出して当該ベースパレットを介して物品を降ろすことができる。逆に、ベースパレットを押し込んで当該ベースパレットを介して搬送車両の荷台に物品を積み込むことができる。さらに、プラットホーム側の第一搬送部及び第二搬送部の支持面の高さと搬送車両側の荷台の支持面の高さとの間に差異がある場合にも、昇降部を少なくとも第一高さと第二高さとの間で昇降移動させることで、その差異を吸収することができる。よって、移載装置と第一搬送部及び第二搬送部並びに搬送車両の荷台との間での物品の積み降ろしを円滑に行うことができる。
【0072】
一態様として、
前記移載装置は、前記車両幅方向に直交する方向に沿って前記物品を搬送可能に設けられたコンベヤユニットをさらに含み、
前記コンベヤユニットが、前記支持部に対して上下方向に相対移動可能に構成されているとともに、前記移載装置が前記中間搬送領域における特定位置に位置しかつ前記昇降部が下限位置まで低下している状態で前記支持部の支持面から上方に突出し、かつ、前記移載装置が前記特定位置以外の位置に位置している状態で前記支持部の支持面よりも下方に収まるように構成されていることが好ましい。
【0073】
この構成によれば、移載装置が中間搬送領域における特定位置に位置している状態で、支持部の支持面から少なくとも一部が上方に突出するコンベヤユニットを用いて、第一搬送部や第二搬送部との間で、物品の受け渡しを円滑に行うことができる。移載装置が特定位置以外の位置に位置している状態では、コンベヤユニットは支持部の支持面よりも下方に収まるので、スライド部のスライド移動に伴う支持部上でのベースパレットの車両幅方向に沿う移動が妨げられることもない。よって、搬送車両の荷台との間においても、ベースパレット上に載置された物品の受け渡しを円滑に行うことができる。
【0074】
一態様として、
前記搬送車両が通行する走行路を挟んで互いに向かい合うように一対の前記プラットホームが設けられ、
前記移載装置が、一対の前記プラットホームのそれぞれの前記中間搬送領域どうしの間を前記車両幅方向に往復移動可能に構成されているとともに、一対の前記プラットホームのそれぞれと対応する前記バースに停車している前記搬送車両との間で前記物品を受渡可能に構成されていることが好ましい。
【0075】
この構成によれば、走行路を挟んで互いに向かい合うように設けられる一対のプラットホームで移載装置が共用される。よって、一対のプラットホームのそれぞれに移載装置が各別に設けられる構成に比べて、個々の移載装置の稼働率がそれほど高くはないような状況で、搬送車両の稼働効率にほとんど影響を与えることなく設備の設置面積の小型化を図ることができる。
【0076】
物流設備であって、
出荷される物品を搬送する第一搬送部と、入荷した物品を搬送する第二搬送部と、が設置されているプラットホームと、
前記プラットホームのホーム端に沿って、搬送車両が横付けで接車するように設けられたバースと、
前記第一搬送部の下流側かつ前記第二搬送部の上流側に位置する中間搬送領域と前記バースに停車している前記搬送車両の荷台に隣接する荷台隣接領域との間を車両幅方向に往復移動して、前記プラットホームと前記搬送車両との間で前記物品の受け渡しを行う移載装置と、を備え、
前記搬送車両が通行する走行路を挟んで互いに向かい合うように一対の前記プラットホームが設けられ、
前記移載装置が、一対の前記プラットホームのそれぞれの前記中間搬送領域どうしの間を前記車両幅方向に往復移動可能に構成されているとともに、一対の前記プラットホームのそれぞれと対応する前記バースに停車している前記搬送車両との間で前記物品を受渡可能に構成されている。
【0077】
この構成によれば、上記同様に、搬送車両の横付け接車及び物品の入出荷の両方を短時間で行えるので、搬送車両の稼働効率を大きく向上させることができる。
また、この構成によれば、走行路を挟んで互いに向かい合うように設けられる一対のプラットホームで移載装置が共用される。よって、一対のプラットホームのそれぞれに移載装置が各別に設けられる構成に比べて、個々の移載装置の稼働率がそれほど高くはないような状況で、搬送車両の稼働効率にほとんど影響を与えることなく設備の設置面積の小型化を図ることができる。
【0078】
一態様として、
前記移載装置は、複数の前記物品を単一のベースパレットに載置した状態で、前記物品の受け渡しを一括的に行うことが好ましい。
【0079】
この構成によれば、搬送車両の荷台から物品を降ろす工程及び搬送車両の荷台に物品を積み込む工程を、それぞれ単一の動作でまとめて行える。よって、搬送車両と移載装置との間での物品の積み降ろしを短時間で円滑に行うことができ、搬送車両の稼働効率をさらに向上させることができる。
【0080】
本開示に係る物流設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。