(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バリアフィルムが、第一の高分子フィルムと、該第一の高分子フィルム上に形成された不透湿層とを備え、前記易接着層は前記バリアフィルムの前記不透湿層側に形成されている、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
前記不透湿層は、アルミニウム、チタン、銅、インジウム及び珪素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有する酸化物、窒化物、又は窒化酸化物の層を含む、請求項3に記載の積層フィルム。
前記バリアフィルムがさらに、前記不透湿層上に配置された第二の高分子フィルムを備え、前記易接着層は前記第二の高分子フィルム上に形成されている、請求項3又は4に記載の積層フィルム。
前記バリアフィルムが、第一の高分子フィルムと、該第一の高分子フィルム上に形成された不透湿層とを備え、前記易接着層は前記バリアフィルムの前記不透湿層側に形成されている、請求項7又は8に記載の積層フィルム。
前記不透湿層は、アルミニウム、チタン、銅、インジウム及び珪素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有する酸化物、窒化物、又は窒化酸化物の層を含む、請求項9に記載の積層フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
[積層フィルム20]
図1は本発明の一実施形態に係る積層フィルムの概略断面図である。本実施形態に係る積層フィルム20は、第一の高分子フィルム2と、第一の高分子フィルム2上に形成された不透湿層4と、不透湿層4上に形成された第二の高分子フィルム8と、第二の高分子フィルム8上に形成された易接着層10とを備える。
図1において、第二の高分子フィルム8は粘着層又は接着層6を介して不透湿層4上に配置されている。
【0020】
図1において、易接着層10以外の層をまとめてバリアフィルム11と称することができる。バリアフィルム11はガスバリア性を有するフィルムであり、バリアフィルム11の構成は
図1に示した構成に限定されない。例えば、積層フィルム20において、バリアフィルム11は、第一の高分子フィルム2と、該第一の高分子フィルム2上に形成された不透湿層4とを含んでいてもよい。この場合、易接着層10はバリアフィルム11の不透湿層4側に形成することができる。バリアフィルム11が第一の高分子フィルム2と不透湿層4を備えることにより、十分な強度と不透湿性が得られやすくなる。また、積層フィルム20では、バリアフィルム11がさらに、不透湿層4上に配置された第二の高分子フィルム8を含んでいてもよい。この場合、易接着層10は第二の高分子フィルム8上に形成することができる。バリアフィルム11が第二の高分子フィルム8を備えることにより、加工及び流通等における破損を一層抑制することができる。
【0021】
本実施形態に係る積層フィルム20において、不透湿層4はアンカーコート層(図示しない)を介して第一の高分子フィルム2上に形成されていてもよい。また、第二の高分子フィルム8は粘着層又は接着層6を介さずに不透湿層4上に配置されていてもよい。また、易接着層10はアンカーコート層(図示しない)を介して第二の高分子フィルム8上に形成されていてもよい。
【0022】
本実施形態に係る積層フィルム20は、発光体又は蛍光体用の保護フィルムとして好適に用いることができる。発光体又は蛍光体用の保護フィルムとして好適に使用する観点から、積層フィルム20の全光線透過率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
【0023】
(第一の高分子フィルム2)
第一の高分子フィルム2は加工及び流通等における破損を抑制するための層である。第一の高分子フィルム2の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;ポリプロピレン及びシクロオレフィン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;並びにトリアセチルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されない。第一の高分子フィルム2はポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム又はポリオレフィンフィルムであることが好ましく、ポリエステルフィルム又はポリアミドフィルムであることがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることがさらに好ましい。また、第一の高分子フィルム2は二軸延伸されていることが好ましい。
【0024】
第一の高分子フィルム2は、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び滑り剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、第一の高分子フィルム2の表面は、コロナ処理、フレーム処理又はプラズマ処理がされていてもよい。
【0025】
第一の高分子フィルム2の厚さは、特に制限されないが、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0026】
(不透湿層4)
不透湿層4は発光ユニットへの水蒸気の浸入を抑制するための層である。不透湿層4は単層であってもよく、多層であってもよい。不透湿層4は透明であることが好ましい。また、不透湿層4は、透明性の観点から、真空成膜によって形成されることが好ましい。
【0027】
不透湿層4は、必要に応じてアンカーコート層を介して、第一の高分子フィルム2上に形成される。アンカーコート層としてはポリエステル樹脂等が挙げられ、アンカーコート層の厚さは0.01〜10μm程度である。不透湿層4の形成方法は特に限定されないが、より不透湿性を高める点から、真空成膜であることが好ましい。真空成膜としては物理気相成長法及び化学気相成長法等が挙げられる。物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。化学気相成長(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD法及び光CVD法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
不透湿層4の形成方法は真空蒸着法、スパッタリング法又はプラズマCVD法であることが好ましく、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法、反応性スパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法又はプラズマ化学気相堆積法(PECVD法)であることがより好ましい。不透湿層4の形成方法は、不透湿性の観点からは、スパッタリング法であってもよく、コストの観点からは、真空蒸着法であってもよく、用途に応じて選択することができる。
【0029】
スパッタリング法及びプラズマCVD法におけるプラズマの生成方法としては、DC(Direct Current)方式、RF(Radio Frequency)方式、MF(Middle Frequency)方式、DCパルス方式、RFパルス方式、及びDC+RF重畳方式等を挙げることができる。
【0030】
スパッタリング法の場合、陰極であるターゲットに負の電位勾配が生じ、Ar+イオンが電位エネルギーを受け、ターゲットに衝突する。ここで、プラズマが発生しても負の自己バイアス電位が生じないとスパッタリングを行うことができない。したがって、MW(Micro Wave)プラズマは自己バイアスが生じないため、スパッタリングには適していない。しかし、PECVD法では、プラズマ中の気相反応を利用して化学反応、堆積とプロセスが進むため、自己バイアスがなくとも膜の形成が可能であるため、MWプラズマを利用することができる。
【0031】
真空成膜で形成する場合、金属又は酸化物の膜が形成されるのが一般的であり、アルミニウム、チタン、銅、インジウム若しくはスズ等の金属、これらの金属酸化物(アルミナ等)、又は、珪素の酸化物の膜が通常形成される。また、金属又は酸化物だけでなく、窒化物等の膜が形成されてもよい。また、複数の金属を含む膜が形成されてもよい。不透湿層4は、透明性と不透湿性の両方に優れる点から、アルミニウム、チタン、銅、インジウム、及び珪素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有する酸化物、窒化物、又は窒化酸化物の層を含むことが好ましい。不透湿層4は、不透湿性により優れる点から、珪素酸化物又は窒化酸化物の層を含むことがより好ましい。
【0032】
真空成膜により形成された不透湿層4の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましい。真空成膜により形成された不透湿層4の厚さが5nm以上であると、水蒸気バリア性を得ることができる傾向がある。また、真空成膜により形成された不透湿層4の厚さが100nm以下であると、硬化収縮によるクラックの発生を抑制し、クラックによる水蒸気バリア性の低下を防止できる傾向がある。さらに、不透湿層4の厚さが1000nm以下であると、材料使用量の低減及び膜形成時間の短縮等に起因してコストを低減できることから、経済的観点から好ましい。
【0033】
不透湿層4は大気中で形成することもできる。不透湿層4を大気中で形成する場合は、例えば、ポリ塩化ビニリデン等の塩素を含む化合物、並びに、Si原子、Ti原子、Al原子及びZr原子等の原子を含む化合物を含む塗布液を使用して、金属等の酸化物膜を形成することができる。また、真空中で形成された層と大気中で形成された層とを組み合わせて、不透湿層4を構成してもよい。
【0034】
不透湿層4を大気中で形成する際の塗布液の塗布方法としては、具体的には、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
【0035】
Si原子を含む化合物としては、例えば、シラン化合物が挙げられる。酸化物膜は、シラン化合物が有するシラノール基が反応して形成されることが好ましい。このようなシラン化合物としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
R
1n(OR
2)
4−nSi (1)
式(1)中、nは0〜3の整数、R
1及びR
2はそれぞれ炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。上記式(1)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。窒素を含むポリシラザンを使用してもよい。
【0036】
Ti原子を含む化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
R
1n(OR
2)
4−nTi (2)
式(2)中、nは0〜3の整数、R
1及びR
2はそれぞれ炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。上記式(2)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、及びテトラブトキシチタニウム等が挙げられる。
【0037】
Al原子を含む化合物としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
R
1n(OR
2)
4−nAl (3)
式(3)中、nは0〜3の整数、R
1及びR
2はそれぞれ炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。上記式(3)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシアルミニウム、テトラエトキシアルミニウム、テトライソプロポキシアルミニウム、及びテトラブトキシアルミニウム等が挙げられる。
【0038】
Zr原子を含む化合物としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
R
1n(OR
2)
4−nZr (4)
式(4)中、nは0〜3の整数、R
1及びR
2はそれぞれ炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。上記式(4)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、及びテトラブトキシジルコニウム等が挙げられる。上記式(1)〜(4)において、R
1、R
2及びnはそれぞれ独立しているものとする。
【0039】
不透湿層4を大気中で形成する場合、上記塗布液を塗布後、硬化される。硬化方法としては、特に限定されないが、紫外線硬化及び熱硬化等が挙げられる。紫外線硬化の場合、塗布液は重合開始剤及び二重結合を有する化合物を含んでいてもよい。また必要に応じて、加熱エージングされてもよい。
【0040】
不透湿層4を大気中で形成する場合、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム等の無機酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して脱水縮合することで得られる反応生成物を不透湿層4とすることもできる。具体的には、無機酸化物の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)と、当該無機酸化物と反応可能なリン化合物の部位(例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子、又は、リン原子に直接結合した酸素原子)とが、縮合反応を起こし、結合する。反応生成物は、例えば、無機酸化物とリン化合物を含む塗布液を基材の表面に塗布し、形成した塗膜を熱処理することにより、無機酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して結合する反応を進行させることで得られる。熱処理の温度の下限は、110℃であり、120℃であることが好ましく、140℃であることがより好ましく、170℃であることがさらに好ましい。熱処理温度が低いと、充分な反応速度を得ることが難しくなり、生産性が低下する原因となる。熱処理の温度の好ましい上限は、基材の種類などによって異なるが、220℃であり、190℃であることが好ましい。熱処理は、空気中、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下などで実施することができる。
【0041】
不透湿層4を大気中で形成する場合は、凝集等しない限り、上記塗布液はさらに樹脂を含んでいてもよい。上記樹脂としては、具体的にはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドン等が挙げられる。上記塗布液は、これらの樹脂のうち、塗布液中の他の材料との相溶性が高い樹脂を含むことが好ましい。
【0042】
上記塗布液は、さらに、フィラー、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、並びに、上記とは別のシランカップリング剤及びチタンキレート剤等を必要に応じて含んでいてもよい。
【0043】
大気中で形成される不透湿層4の厚さは50nm〜1000nmであることが好ましく、100nm〜800nmであることがより好ましい。大気中で形成される不透湿層4の厚さが50nm以上であると、膜形成がしやすくなる傾向がある。大気中で形成される不透湿層4の厚さが1000nm以下であると、割れ又はカールを抑制できる傾向がある。
【0044】
不透湿層4は、真空成膜によって形成された層と、塗布液によって形成された層とを備える多層膜であってもよい。また、上記多層膜は、真空成膜によって形成された層と塗布液によって形成された層とを交互に複数回積層した構造とすることによって、バリア性をさらに向上させることができる。
【0045】
また、粘着層又は接着層6との接着性向上又は不透湿層4の屈曲耐性向上のために、不透湿層4上にコーティング層が形成されていてもよい。真空成膜によって形成された不透湿層4上に上記コーティング層を形成する場合、例えば、PAA(ポリアクリル酸)及びPMAA(ポリメタクリル酸)等の、アクリル酸又はメタクリル酸の単独重合体、EAA(エチレンアクリル酸共重合体)、EMAA(エチレンメタクリル酸共重合体)等の、アクリル酸又はメタクリル酸を含む単量体を共重合させた共重合体を用いてコーティング層を形成することが、粘着層又は接着層6とコーティング層との密着性を向上させる観点から好ましい。
【0046】
(第二の高分子フィルム8)
第二の高分子フィルム8は、必要に応じて粘着層又は接着層6を介して、不透湿層4上に配置される。第二の高分子フィルム8としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;ポリプロピレン及びシクロオレフィン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;並びにトリアセチルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されない。第二の高分子フィルム8はポリエステルフィルム又はポリアミドフィルムであることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることがより好ましい。また、第二の高分子フィルム8は二軸延伸されていることが好ましい。
【0047】
第二の高分子フィルム8は、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び滑り剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、第二の高分子フィルム8の表面は、コロナ処理、フレーム処理及びプラズマ処理がされていてもよい。
【0048】
第二の高分子フィルム8の厚さは、特に制限されないが、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0049】
粘着層又は接着層6は不透湿層4上に好ましくは粘接着剤の溶液を塗布し、塗布面上に第二の高分子フィルム8を貼り合わせることにより形成される。粘着剤又は接着剤(粘接着剤)としては、高分子フィルム用の粘接着剤として一般的なものを使用することができ、不透湿層4の表面によって適宜選択される。粘接着剤としては、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系、フェノール系、及びウレタン系等の粘接着剤が挙げられる。
【0050】
粘接着剤の溶剤の塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
【0051】
また粘着層又は接着層6の厚さは1μm以上20μm以下であることが好ましい。粘着層又は接着層6が1μm以上であることにより接着性が得られる傾向があり、20μm以下であることにより面不良又はコストアップを抑制することができる傾向がある。また、粘接着剤の溶液の塗布面上に第二の高分子フィルム8を貼り合わせた後、エージングすることができる。エージングは、例えば、20〜80℃、1〜10日間行われる。
【0052】
粘接着剤は、必要に応じて、硬化剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、及び分散剤等を含んでいてもよい。
【0053】
本発明に係る積層フィルム20において、バリアフィルム11は下記構成例1〜10に示される構成を有していてもよい。積層フィルム20が有し得る構成例1〜10について、
図1を参照して説明する。
【0054】
構成例1:第一の高分子フィルム2/不透湿層4
バリアフィルム11の基本的な構成としては、少なくとも第一の高分子フィルム2と、不透湿層4から成る。
【0055】
構成例1−a:高分子フィルム/真空成膜で形成された不透湿層
不透湿層4の形成方法は特に限定されないが、より不透湿性を高める点から、緻密な膜が形成できる真空成膜であることが好ましい。
【0056】
構成例1−b:高分子フィルム/大気中で形成された不透湿層
不透湿層4は大気中で形成することもできる。不透湿層4を大気中で形成する場合は、例えば、ポリ塩化ビニリデン等の塩素を含む化合物、及び、Si原子、Ti原子、Al原子、Zr原子等を含む化合物を含有する塗布液を使用して、酸化物膜を形成し、不透湿層とすることができる。
【0057】
構成例2:第一の高分子フィルム2/アンカーコート層/不透湿層4
不透湿層4は、アンカーコート層を介して第一の高分子フィルム2上に形成されていてもよい。
【0058】
構成例3:第一の高分子フィルム2/不透湿層4/シール層
さらに、不透湿層4上にシール層(図示せず)を形成してもよい。不透湿層4の損傷を防ぐことで不透湿性をさらに向上させることができる。不透湿層4上に上記シール層を形成する場合、例えば、PAA(ポリアクリル酸)又はPMAA(ポリメタクリル酸)等の、アクリル酸又はメタクリル酸の単独重合体、EAA(エチレンアクリル酸共重合体)、EMAA(エチレンメタクリル酸共重合体)等の、アクリル酸又はメタクリル酸を含む単量体を共重合させた共重合体を用いて、シール層が形成されることが好ましい。
【0059】
構成例4:第一の高分子フィルム2/真空成膜で形成された不透湿層/大気中で形成された不透湿層
不透湿層4は、真空成膜によって形成された不透湿層と、大気中で塗布液によって形成された不透湿層とを備える多層膜であってもよい。
【0060】
構成例5:第一の高分子フィルム2/真空成膜で形成された不透湿層/大気中で形成された不透湿層/・・・/真空成膜で形成された不透湿層/大気中で形成された不透湿層
不透湿層4は、真空成膜によって形成された不透湿層と、大気中で塗布液によって形成された不透湿層とを交互に複数回積層した多層膜であってもよい。不透湿層4が上記多層膜の構造を有することによって、バリア性をさらに向上させることができる。
【0061】
構成例6:第一の高分子フィルム2/真空成膜で形成された不透湿層4/(メタ)アクリレート樹脂層
構成例7:第一の高分子フィルム2/(メタ)アクリレート樹脂層/真空成膜で形成された不透湿層4/(メタ)アクリレート樹脂層
構成例8:第一の高分子フィルム2/(メタ)アクリレート樹脂層/真空成膜で形成された不透湿層/(メタ)アクリレート樹脂層/・・・/真空成膜で形成された不透湿層/(メタ)アクリレート樹脂層
また、真空成膜で形成された不透湿層と、(メタ)アクリレート樹脂層とを積層した構成(構成例6)、又は、真空成膜で形成された不透湿層をアクリレート樹脂層で挟み込んだ構成(構成例7)を採用することで不透湿層4の不透湿性を向上させることができる。特に、架橋性の官能(メタ)アクリレートを不透湿層上にフラッシュ蒸着又は塗布して、電子線又は熱により架橋させ、(メタ)アクリレート樹脂層と不透湿層とを複数回積層した構成(構成例8)とすることによって、不透湿性をさらに向上させることができる。
【0062】
構成例9:第一の高分子フィルム2/不透湿層4/粘着層又は接着層6/第二の高分子フィルム8
別の構成として、不透湿層4上に粘着剤の溶液を塗布して塗布膜上に第二の高分子フィルム8を貼り合わせてもよい。不透湿層4上に粘着層又は接着層6を介して第二の高分子フィルム8を貼り合わせることにより、不透湿層4の損傷を抑制し、不透湿性をさらに向上させることができる。
【0063】
構成例10:第一の高分子フィルム2/第一の不透湿層4/粘着層又は接着層6/第二の不透湿層/第二の高分子フィルム8
さらに、第二の高分子フィルム8には、第二の不透湿層(図示せず)が形成されていてもよい。これにより不透湿性をさらに向上させることができる。なお、第二の高分子フィルム8に第二の不透湿層を形成する場合には、粘着層側に第二の不透湿層を配置した構成が好ましい。
【0064】
(易接着層10)
易接着層10は第二の高分子フィルム8上(バリアフィルム11上)に形成される。易接着層10は、反応性炭素炭素二重結合を有する基及び2つ以上の水酸基を含む重合体、並びに、ポリイソシアネートを含有する。易接着層10は、さらに後述する反応性炭素炭素二重結合を有する基及び水酸基を含む単量体を含有していてもよい。反応性炭素炭素二重結合とは、ラジカル重合又はカチオン重合可能な炭素炭素二重結合を指す。反応性炭素炭素二重結合を有する基は、エチレン性不飽和二重結合を有する基であることが好ましく、例えば、スチリル基又は(メタ)アクリロイル基等であることがより好ましく、アクリロイル基であることがさらに好ましい。反応性炭素炭素二重結合を有する基がアクリロイル基であることにより、反応性が向上し、より優れた密着性が得られる傾向がある。
【0065】
反応性炭素炭素二重結合を有する基及び2つ以上の水酸基を含む重合体は、反応性炭素炭素二重結合を有する基を含む単量体を重合することにより得られる。上記単量体は1種類の単量体から構成されていてもよく、複数種類の単量体から構成されていてもよい。重合体の製造に用いられる単量体が1種類の単量体から構成される場合、上記単量体は反応性炭素炭素二重結合を有する基及び水酸基を有する基を含む単量体である。また、重合体の製造に用いられる単量体が複数種類の単量体から構成される場合、上記単量体は反応性炭素炭素二重結合を有する基及び水酸基を含む単量体と、反応性炭素炭素二重結合を有する基を含む別の単量体との組み合わせであることができる。
【0066】
上記反応性炭素炭素二重結合を有する基を含む単量体は、(メタ)アクリロイル基を含む単量体又はスチリル基を含む単量体であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基を含む単量体であることがより好ましい。(メタ)アクリロイル基を含む単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、及びエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は例えば1〜5である。また、反応性炭素炭素二重結合を有する基及び水酸基を含む単量体は、(メタ)アクリロイル基及び水酸基を含む単量体又はスチリル基及び水酸基を含む単量体であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基及び水酸基を含む単量体であることがより好ましい。(メタ)アクリロイル基及び水酸基を含む単量体としては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は例えば1〜5である。
【0067】
また、上記重合体は単量体のみから重合して得られてもよく、予め得られたアクリルプレポリマーと単量体とを重合して得られてもよい。上記アクリルプレポリマーはアクリル酸、メタクリル酸、及びグリシジル(メタ)アクリレート等のアクリル単量体を重合して得られるポリマーであり、水酸基を含むアクリル単量体を少なくとも1種重合して得られる。水酸基を含むアクリル単量体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びN−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。上記アクリルプレポリマーの重量平均分子量は5000〜10000であることが好ましい。
【0068】
上記重合体を紫外線照射をして得る場合、重合は光重合開始剤の存在下で行われる。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、及びチオキサントン類等が挙げられる。
【0069】
また、重合は、必要に応じて、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等の光増感剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、及び分散剤等の存在下で行われてもよい。
【0070】
上記ポリイソシアネートとしては、原材料としてトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。上記ポリイソシアネートはイソシアネート同士を反応させて得られるプレポリマー、又は、イソシアネートとアルコールとを反応させて得られるプレポリマーであってもよい。易接着層10中のポリイソシアネートの含有量は、反応性炭素炭素二重結合を有する基及び2つ以上の水酸基を含む重合体100質量部に対し、1〜100質量部であることが好ましく、3〜60質量部であることがより好ましい。
【0071】
易接着層10は、例えば、反応性炭素炭素二重結合を有する基及び2つ以上の水酸基を含む重合体、並びに、ポリイソシアネートを含有する接着剤を、第二の高分子フィルム8上(バリアフィルム11上)に塗布し、塗布膜を乾燥することにより得られる。上記接着剤は反応性炭素炭素二重結合を有する基及び2つ以上の水酸基を含む重合体と、ポリイソシアネートと、上記重合体及びポリイソシアネートを溶解する溶媒とを含有することが好ましい。溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、及びブタノール等を使用することができる。
【0072】
上記接着剤が溶媒を含有する場合における、上記接着剤の固形分量は接着剤全量を基準として、0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
【0073】
第二の高分子フィルム8上(バリアフィルム11上)への接着剤の塗布方法としては、例えば、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等が挙げられる。また、塗布膜の乾燥は、例えば、50〜250℃、1秒〜20分加熱することにより行われる。
【0074】
上述のようにして得られた易接着層10の厚さは0.01μm以上1μm以下である。易接着層10の厚さは0.02μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることがさらに好ましい。易接着層10の厚さが0.01μm以上であることにより、密着性が向上する傾向がある。また、易接着層10の厚さは0.8μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。易接着層10の厚さが1μm以下であることにより、易接着層10が外部からの応力の影響を受けにくくなり、密着性が向上する傾向がある。
【0075】
上記反応性炭素炭素二重結合を有する基及び2つ以上の水酸基を含む重合体、並びに、ポリイソシアネートを含有する易接着層は、第一の高分子フィルム2の不透湿層4が形成されている面と反対側の面上にさらに形成されていてもよい。
【0076】
[積層体30]
図2は本発明の一実施形態に係る積層体の概略断面図である。本実施形態に係る積層体30は、一つの側面において、第一の高分子フィルム2と、該第一の高分子フィルム2上に形成された不透湿層4と、該不透湿層4上に形成された第二の高分子フィルム8と、該第二の高分子フィルム8上に形成された硬化接着層10’と、該硬化接着層10’上に形成された樹脂フィルム22とを備える。上記硬化接着層10’は上記積層フィルム20の上記易接着層10を、例えば光照射及び/又は加熱することにより、硬化させて得られる。また、積層フィルム20の易接着層10を硬化させ、硬化した上記易接着層(硬化接着層)10’を備える積層フィルムを、硬化積層フィルムと言うことがある。本実施形態の積層体30は、別の側面において、上記硬化積層フィルム20’と、該硬化積層フィルム20’の硬化した上記易接着層(硬化接着層)10’側の表面上に形成された樹脂フィルム22とを備える。
図2において、硬化接着層10’及び樹脂フィルム22以外の層をまとめてバリアフィルム11と称することができる。本実施形態に係る積層体30は、バリアフィルム11と、該バリアフィルム11上に形成された硬化接着層10’と、該硬化接着層10’上に形成された樹脂フィルム22とを備えていればよく、積層フィルム20と同様に、バリアフィルム11の構成は
図2に示した構成に限定されない。
【0077】
本実施形態に係る積層体30は、例えば、上記積層フィルム20の上記易接着層10表面上に樹脂フィルム22を貼り合わせ、光照射及び/又は加熱することにより得られてもよい。上記光照射又は加熱により、易接着層10中の重合体の水酸基とポリイソシアネートのイソシアネート基が反応してウレタン結合を形成し、易接着層10は硬化接着層10’となる。本実施形態に係る積層体30は、例えば、上記積層フィルム20の上記易接着層10表面上に樹脂層を形成し、光照射及び/又は加熱することにより得られてもよい。この場合、上記光照射又は加熱により、易接着層において上述の反応が起こるとともに、樹脂層が硬化して樹脂フィルム22となる。なお、上記樹脂層は、光照射又は加熱により硬化可能な液状樹脂組成物(硬化性液状樹脂組成物)を、例えば、塗布・乾燥して得られた層である。
【0078】
上記樹脂フィルム22に用いられる樹脂としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂、並びに、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂及び紫外線硬化性樹脂等の硬化物が挙げられる。したがって、樹脂フィルム22が樹脂層を硬化して得られる場合、上記硬化性液状樹脂組成物は上記熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂及び紫外線硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含んでいてもよい。上記熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂及びウレタン樹脂及びポリカーボネート樹脂等が挙げられる。また、上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。樹脂フィルム22に用いられる樹脂は、耐光性又は光学的特性に優れる点から、アクリル樹脂、又は、硬化エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0079】
樹脂フィルム22(又は硬化性液状樹脂組成物)は、例えば、微粒子を含んでいてもよい。樹脂フィルム22の表面は、微粒子が露出することによる微細な凹凸を有していてもよい。樹脂フィルム22の表面に上記凹凸を有する積層体30を発光ユニットに用いた場合、ニュートンリング発生を抑制することができる傾向がある。
【0080】
上記樹脂フィルム22に含まれる微粒子としては、特に制限されないが、例えば、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン及びアルミナ等の無機微粒子、並びに、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びアクリル樹脂等の有機微粒子を用いることができる。上記微粒子は単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0081】
樹脂フィルム22は光学フィルムであることが好ましい。樹脂フィルム22が光学フィルムであることにより、発光ユニットに光学的機能を付与することができる。上記光学的機能としては、特に制限されないが、干渉縞(モアレ)防止機能、反射防止機能、及び拡散機能等が挙げられる。樹脂フィルム22に光学的機能を付与する観点から、上記樹脂フィルム22に用いられる樹脂は、光学的透明性に優れた樹脂であることが好ましい。
【0082】
光照射は、例えば、メタルハライドランプ及び高圧水銀灯等で行うことができる。また、加熱は、例えば、50〜250℃、1秒〜20分で行うことができる。
【0083】
[波長変換シート100]
上記積層フィルム20及び積層体30を用いて、波長変換シートを提供することができる。
図3は本発明の第一の実施形態に係る波長変換シートの概略断面図である。
図3において、波長変換シート100は、波長変換層13と、波長変換層13の両面上に形成された一対の硬化積層フィルム20’a,20’bを保護フィルムとして備える。第一硬化積層フィルム20’aは第一の高分子フィルム2aと、第一の高分子フィルム2a上に形成された不透湿層4aと、不透湿層4a上に形成された硬化接着層10’aを備え、第二硬化積層フィルム20’bは第一の高分子フィルム2bと、第一の高分子フィルム2b上に形成された不透湿層4bと、不透湿層4b上に形成された硬化接着層10’bを備える。第一硬化積層フィルム20’aは、第一硬化接着層10’aが波長変換層13と対向するように、波長変換層13の一方の面上に形成され、第二硬化積層フィルム20’bは、第二硬化接着層10’bが波長変換層13と対向するように、波長変換層13の他方の面上に形成されている。また、波長変換シート100は、波長変換層13と、波長変換層13の両面上に形成された一対の保護フィルムとを備え、上記保護フィルムの一方のみが硬化積層フィルム20’であってもよい。
【0084】
図3において、第一硬化積層フィルム20’aにおける硬化接着層10’a以外の層をまとめて第一バリアフィルム11aと称することができ、第二硬化積層フィルム20’bにおける硬化接着層10’b以外の層をまとめて第二バリアフィルム11bと称することができる。
図3において、第一バリアフィルム11aは、第一の高分子フィルム2aと、第一の高分子フィルム2a上に形成された不透湿層4aとを含み、第二バリアフィルム11bは、第一の高分子フィルム2bと、第一の高分子フィルム2b上に形成された不透湿層4bとを含む。第一硬化接着層10’aは第一バリアフィルム11aの不透湿層4a上に形成されており、第二硬化接着層10’bは第二バリアフィルム11bの不透湿層4b上に形成されている。硬化積層フィルム20’の構成の詳細は上述のとおりである。
【0085】
本実施形態に係る波長変換シート100は、例えば、2枚の積層フィルム20を準備し、一方の積層フィルム20の易接着層10上に、波長変換層13を形成し、他方の積層フィルム20を、易接着層10と波長変換層13とが対向するように貼り合わせ、易接着層10を硬化させることにより得られる。
【0086】
波長変換層13は外部からのエネルギーを光に変換して発光する発光体層であり、励起光の入射によって発光することができる。波長変換層13は、第一の高分子フィルム2を内側にした状態で一対の上記積層フィルム20によって蛍光体層を挟持するとともに密封し、必要に応じて、蛍光体層と積層フィルム20の間を封止樹脂で封止することにより得られる。波長変換層13の厚さは、例えば、10〜500μmである。
【0087】
蛍光体層は樹脂及び蛍光体を含む。上記樹脂としては、例えば、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることができる。上記蛍光体としては、例えば、発光部としてのコアが保護膜としてのシェルで被覆されたものが挙げられる。上記コアとしては、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)等が挙げられ、上記シェルとしては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)等が挙げられる。CdSeの粒子の表面欠陥がバンドギャップの大きいZnSにより被覆されることで量子効率が向上する。また、蛍光体は、コアが第1シェル及び第2シェルにより二重に被覆されたものであってもよい。この場合、コアにはCsSe、第1シェルにはセレン化亜鉛(ZnSe)、第2シェルにはZnSが使用できる。上記蛍光体は2種類以上を組み合わせて用いられる。また、1種類の蛍光体のみを含む蛍光体層と別の種類の蛍光体のみを含む蛍光体層とが積層されていてもよい。上記2種類の蛍光体は、励起波長が同一のものが選択される。励起波長は、発光ダイオード光源が照射する光の波長に基づいて選択される。2種類の蛍光体の蛍光色は相互に異なる。各蛍光色はそれぞれ、赤色及び緑色である。各蛍光の波長、及び発光ダイオード光源が照射する光の波長は、カラーフィルタの分光特性に基づき選択される。蛍光のピーク波長は、例えば、赤色が610nmであり、緑色が550nmである。上記蛍光体は量子ドットであることが好ましい。上記蛍光体の平均粒子径は、例えば、1nm〜20nmである。
【0088】
図4は本発明の第二の実施形態に係る波長変換シートの概略断面図である。本実施形態の波長変換シート100では、第一硬化積層フィルム20’aが備えるバリアフィルム11aが、第一の高分子フィルム2aと、第一の高分子フィルム2a上にアンカーコート層3aを介して形成された不透湿層4aと、不透湿層4a上に粘着層又は接着層6aを介して形成された第二の高分子フィルム8aを含み、第二硬化積層フィルム20’bが備えるバリアフィルム11bが、第一の高分子フィルム2bと、第一の高分子フィルム2b上にアンカーコート層3bを介して形成された不透湿層4bと、不透湿層4b上に粘着層又は接着層6bを介して形成された第二の高分子フィルム8bを含む点で、第一の実施形態に係る波長変換シートと異なる。第一硬化接着層10’aはバリアフィルム11aの第二の高分子フィルム8a上に形成されており、第二硬化接着層10’bはバリアフィルム11bの第二の高分子フィルム8b上に形成されている。硬化積層フィルム20’及び波長変換層13の構成の詳細は上述のとおりである。
【0089】
本実施形態に係る波長変換シート100において、硬化積層フィルム20’aはバリアフィルム11aと、該バリアフィルム11a上に形成された硬化接着層10’aとを備え、硬化積層フィルム20’bはバリアフィルム11bと、該バリアフィルム11b上に形成された硬化接着層10’bとを備えていればよく、積層フィルム20と同様に、バリアフィルム11a,11bの構成は、
図3及び
図4に示した構成に限定されない。
【0090】
波長変換シート100が積層体30を用いて製造される場合、例えば、2枚の積層体30を準備し、一方の積層体30の第一の高分子フィルム2上に、波長変換層13を形成し、他方の積層体30を、第一の高分子フィルム2と波長変換層13とが対向するように貼り合わせることにより得られる。波長変換層13は、第一の高分子フィルム2を内側にした状態で一対の積層体30によって蛍光体層を挟持するとともに密封し、必要に応じて、蛍光体層と積層体30の間を封止樹脂で封止することにより得られる。
【0091】
封止樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び紫外線硬化型樹脂等を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース及びメチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニルとその共重合体、塩化ビニルとその共重合体、及び塩化ビニリデンとその共重合体等のビニル系樹脂;ポリビニルホルマール及びポリビニルブチラール等のアセタール樹脂;アクリル樹脂とその共重合体、メタアクリル樹脂とその共重合体等のアクリル系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリアミド樹脂;線状ポリエステル樹脂;フッ素樹脂;並びに、ポリカーボネート樹脂等を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、及びシリコーン樹脂等が挙げられる。光硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、及びポリエステルアクリレート等の光重合性プレポリマーが挙げられる。また、これら光重合性プレポリマーを主成分とし、希釈剤として単官能又は多官能のモノマーを使用することもできる。
【0092】
図4は本発明の第二の実施形態に係る波長変換シートの概略断面図である。本実施形態の波長変換シート100では、第一硬化積層フィルム20’aが備えるバリアフィルム11aが、第一の高分子フィルム2aと、第一の高分子フィルム2a上にアンカーコート層3aを介して形成された不透湿層4aと、不透湿層4a上に粘着層又は接着層6aを介して形成された第二の高分子フィルム8aを含み、第二硬化積層フィルム20’bが備えるバリアフィルム11bが、第一の高分子フィルム2bと、第一の高分子フィルム2b上にアンカーコート層3bを介して形成された不透湿層4bと、不透湿層4b上に粘着層又は接着層6bを介して形成された第二の高分子フィルム8bを含む点で、第一の実施形態に係る波長変換シートと異なる。第一硬化接着層10’aはバリアフィルム11aの第二の高分子フィルム8a上に形成されており、第二硬化接着層10’bはバリアフィルム11bの第二の高分子フィルム8b上に形成されている。硬化積層フィルム20’及び波長変換層13の構成の詳細は上述のとおりである。
【0093】
本実施形態に係る波長変換シート100において、硬化積層フィルム20’aはバリアフィルム11aと、該バリアフィルム11a上に形成された硬化接着層10’aとを備え、硬化積層フィルム20’bはバリアフィルム11bと、該バリアフィルム11b上に形成された硬化接着層10’bとを備えていればよく、積層フィルム20と同様に、バリアフィルム11a,11bの構成は、
図3及び
図4に示した構成に限定されない。
【0094】
波長変換シート100が積層体30を用いて製造される場合、例えば、2枚の積層体30を準備し、一方の積層体30の第一の高分子フィルム2上に、波長変換層13を形成し、他方の積層体30を、第一の高分子フィルム2と波長変換層13とが対向するように貼り合わせることにより得られる。波長変換層13は、第一の高分子フィルム2を内側にした状態で一対の積層体30によって蛍光体層を挟持するとともに密封し、必要に応じて、蛍光体層と積層体30の間を封止樹脂で封止することにより得られる。
【0095】
[バックライトユニット50]
上記積層フィルム20及び積層体30を用いて発光ユニットを提供することができる。上記積層フィルム20及び積層体30を用いて得られる発光ユニットの例を以下に示す。
【0096】
図5は本発明の一実施形態に係る液晶ディスプレイ用のバックライトユニットの概略断面図である。本実施形態に係るバックライトユニット50は、発光ダイオード光源40と、波長変換シート100とを備える。波長変換シート100の一方の面上にはさらに導光板36及び反射板38がこの順で配置され、発光ダイオード光源40は上記導光板36の側方(導光板36の面方向)に配置される。このようなバックライトユニット50によれば、外部の酸素又は水蒸気が蛍光体層に接触することを抑制することができ、蛍光体層の劣化なくバックライトを長時間使用することが可能となる。
【0097】
導光板36及び反射板38は、発光ダイオード光源40から照射された光を効率的に反射し、導くものであり、公知の材料が使用される。導光板36としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、及びシクロオレフィンフィルム等が使用される。
【0098】
発光ダイオード光源40には発光色が青色の発光ダイオード素子が複数個設けられている。この発光ダイオード素子は、紫色発光ダイオード、又はさらに低波長の発光ダイオードであってもよい。発光ダイオード光源40から照射された光は、導光板36(D1方向)に入射した後、反射及び屈折等を伴って波長変換層13(D2方向)に入射する。波長変換層13を通過した光は、波長変換層13を通過する前の光に波長変換層13で発生した波長範囲の広い黄色光が混ざることで、白色光となる。
【0099】
[エレクトロルミネッセンス発光ユニット70]
図6は本発明の一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス発光ユニットの概略断面図である。本実施形態に係るエレクトロルミネッセンス発光ユニット70は、エレクトロルミネッセンス発光層56と、硬化積層フィルム20’とを備える。硬化積層フィルムは上記と同義である。エレクトロルミネッセンス発光層56は外部からのエネルギーを光に変換して発光する発光層であり、電界の印加によって発光することができる。エレクトロルミネッセンス発光ユニット70は、例えば、透明電極層54と、該透明電極層54上に設けられたエレクトロルミネッセンス発光層56と、該エレクトロルミネッセンス発光層56上の設けられた誘電体層58と、該誘電体層58上に設けられた背面電極層60を含む電極要素を、一方の面上にシーラント層52が形成された一対の硬化積層フィルム20’で挟持するとともに密封することにより得られる。上記積層フィルムを用いたバックライトユニットによれば、外部の酸素又は水蒸気が蛍光体層に接触することを抑制することができ、エレクトロルミネッセンス発光層の劣化なくエレクトロルミネッセンス発光ユニットを長時間使用することが可能となる。また、上記各電極とエレクトロルミネッセンス発光体層との間には、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等が、必要に応じて、積層されていてもよい。
【0100】
各電極層、エレクトロルミネッセンス発光層及び誘電体層は、例えば、蒸着及びスパッタ法等により形成することができる。また、シーラント層としてはポリオレフィン系樹脂を酸でグラフト変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂や、封止樹脂として挙げた上述の樹脂等が用いられる。
【実施例】
【0101】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0102】
[積層フィルム及び積層体の作製]
(実施例1)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第一の高分子フィルム2、商品名:P60、厚さ:12μm、東レ株式会社製)のコロナ放電処理された面上に、ポリエステル樹脂溶液をバーコート法により塗布し、80℃1分乾燥硬化させることにより、厚さ100nmのアンカーコート層を形成した。
【0103】
電子ビーム加熱式の真空蒸着装置を用いて、酸化珪素材料(SiO、キヤノンオプトロン株式会社製)を1.5×10
−2Paの圧力下で電子ビーム加熱によって蒸発させ、上記アンカーコート層上に厚さ80nmのSiO
x膜(不透湿層4)を形成した。なお、蒸着における加速電圧は40kVであり、エミッション電流は0.2Aであった。
【0104】
上記不透湿層4上に接着剤(商品名:タケラックA525、三井化学株式会社製)を塗布し、上記接着剤を介して上記不透湿層4と二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第二の高分子フィルム8、商品名:FE2001、厚さ:25μm、フタムラ化学株式会社製)のコロナ放電処理された面を貼り合わせ、50℃2日間エージングを実施した。貼り合わせ後の接着層6の厚さは5μmであった。
【0105】
アクリル酸35質量部、ヒドロキシエチルアクリレート35質量部、及びノルマルブチルアクリレート30質量部を重合して得られたアクリル樹脂(重量平均分子量:30000)70質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名:デスモジュールN3300、住化バイエルウレタン社製)30質量部との混合溶液を作製し、上記第二の高分子フィルム8上に塗布した。塗布液を乾燥し、厚さ0.2μmの易接着層10を形成して、積層フィルム20を得た。
【0106】
得られた積層フィルム20の易接着層10上に、エポキシシート(光学フィルム22、商品名:XNR5516Z、ナガセケムテックス株式会社製)を貼り合わせた。エポキシシートが貼り合わせられた積層フィルムに露光量6J/cm
2でUV(紫外線)を照射し、80℃60分ベークして、積層体30を得た。
【0107】
(実施例2)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第一の高分子フィルム2、商品名:A4100、厚さ:50μm、東洋紡株式会社製)上に、ポリエステル樹脂溶液をバーコート法により塗布し、80℃1分乾燥硬化させることにより、厚さ100nmのアンカーコート層を形成した。
【0108】
抵抗加熱式の真空蒸着装置を用いて、アルミニウム材料(商品名:4N、株式会社高純度化学研究所製)を3.0×10
−2Paの圧力下で加熱によって蒸発させ、上記アンカーコート層上に厚さ10nmのAlO
x膜を形成した。なお、蒸着における加速電圧は50kVであり、エミッション電流は0.5Aであった。
【0109】
テトラエトキシシランの加水分解物とポリビニルアルコールを1/1の質量比で混合した混合液を、上記AlO
x膜上にバーコート法により塗布し、120℃1分乾燥硬化させることにより、厚さ400nmのSiO
x膜を形成した。このようにしてアンカーコート層上に形成された、AlO
x膜とSiO
x膜とを備える多層膜を不透湿層4とした。
【0110】
上記不透湿層4上に接着剤(商品名:タケラックA525、三井化学株式会社製)を塗布し、上記接着剤を介して上記不透湿層4と二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第二の高分子フィルム8、商品名:FE2001、厚さ:25μm、フタムラ化学株式会社製)のコロナ放電処理された面を貼り合わせ、50℃2日間エージングを実施した。貼り合わせ後の接着層6の厚さは5μmであった。
【0111】
アクリル酸35質量部、ヒドロキシエチルアクリレート35質量部、及びノルマルブチルアクリレート30質量部を重合して得られたアクリル樹脂(重量平均分子量:30000)70質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名:デスモジュールN3300、住化バイエルウレタン社製)30質量部との混合溶液を作製し、上記第二の高分子フィルム8上に塗布した。塗布液を乾燥し、厚さ0.2μmの易接着層10を形成して、積層フィルム20を得た。
【0112】
得られた積層フィルム20の易接着層10上に、エポキシシート(光学フィルム22、商品名:XNR5516Z、ナガセケムテックス株式会社製)を貼り合わせた。エポキシシートが貼り合わせられた積層フィルムに露光量6J/cm
2でUV(紫外線)を照射し、80℃60分ベークして、積層体30を得た。
【0113】
(比較例1)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第一の高分子フィルム、商品名:P60、厚さ:12μm、東レ株式会社製)のコロナ放電処理された面上に、ポリエステル樹脂溶液をバーコート法により塗布し、80℃1分乾燥硬化させることにより、厚さ100nmのアンカーコート層を形成した。
【0114】
電子ビーム加熱式の真空蒸着装置を用いて、酸化珪素材料(SiO、キヤノンオプトロン株式会社製)を1.5×10
−2Paの圧力下で電子ビーム加熱によって蒸発させ、上記アンカーコート層上に厚さ80nmのSiO
x膜(不透湿層)を形成した。なお、蒸着における加速電圧は40kVであり、エミッション電流は0.2Aであった。
【0115】
上記不透湿層上に接着剤(商品名:タケラックA525、三井化学株式会社製)を塗布し、上記接着剤を介して上記不透湿層と二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第二の高分子フィルム、商品名:FE2001、厚さ:25μm、フタムラ化学株式会社製)のコロナ放電処理された面を貼り合わせ、50℃2日間エージングを実施した。貼り合わせ後の接着層の厚さは5μmであった。
【0116】
アクリル酸35質量部、ヒドロキシエチルアクリレート35質量部、及びノルマルブチルアクリレート30質量部を重合して得られたアクリル樹脂(重量平均分子量:30000)の溶液を作製し、上記第二の高分子フィルム上に塗布した。塗布液を乾燥し、厚さ0.2μmの易接着層を形成して、積層フィルムを得た。
【0117】
得られた積層フィルムの易接着層上に、エポキシシート(光学フィルム、商品名:XNR5516Z、ナガセケムテックス株式会社製)を貼り合わせた。エポキシシートが貼り合わせられた積層フィルムに露光量6J/cm
2でUV(紫外線)を照射し、80℃60分ベークして、積層体を得た。
【0118】
(比較例2)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第一の高分子フィルム、商品名:A4100、厚さ:50μm、東洋紡株式会社製)上に、ポリエステル樹脂溶液をバーコート法により塗布し、80℃1分乾燥硬化させることにより、厚さ100nmのアンカーコート層を形成した。
【0119】
抵抗加熱式の真空蒸着装置を用いて、アルミニウム材料(商品名:4N、株式会社高純度化学研究所製)を酸素導入下3.0×10
−2Paの圧力下で加熱によって蒸発させ、上記アンカーコート層上に厚さ10nmのAlO
x膜を形成した。なお、蒸着における加速電圧は50kVであり、エミッション電流は0.5Aであった。
【0120】
テトラエトキシシランの加水分解物とポリビニルアルコールを1/1の質量比で混合した混合液を、上記AlO
x膜上にバーコート法により塗布し、120℃1分乾燥硬化させることにより、厚さ400nmのSiO
x膜を形成した。このようにしてアンカーコート層上に形成された、AlO
x膜とSiO
x膜とを備える多層膜を不透湿層とした。
【0121】
上記不透湿層上に接着剤(商品名:タケラックA525、三井化学株式会社製)を塗布し、上記接着剤を介して上記不透湿層と二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第二の高分子フィルム、商品名:FE2001、厚さ:25μm、フタムラ化学株式会社製)のコロナ放電処理された面を貼り合わせ、50℃2日間エージングを実施した。貼り合わせ後の接着層の厚さは5μmであった。
【0122】
ポリエステルウレタン樹脂(商品名:UR1350、東洋紡株式会社製)70質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体30質量部とを含む混合溶液を作製し、上記第二の高分子フィルム上に塗布した。塗布液を乾燥し、厚さ0.2μmの易接着層を形成して、積層フィルムを得た。
【0123】
得られた積層フィルムの易接着層上に、エポキシシート(光学フィルム、商品名:XNR5516Z、ナガセケムテックス株式会社製)を貼り合わせた。エポキシシートが貼り合わせられた積層フィルムに露光量6J/cm
2でUV(紫外線)を照射し、80℃60分ベークして、積層体を得た。
【0124】
(比較例3)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第一の高分子フィルム、商品名:P60、厚さ:12μm、東レ株式会社製)のコロナ放電処理された面上に、接着剤(商品名:タケラックA525、三井化学株式会社製)を塗布し、上記接着剤を介して上記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第二の高分子フィルム、商品名:FE2001、厚さ:25μm、フタムラ化学株式会社製)のコロナ放電処理された面とを貼り合わせ、50℃2日間エージングを実施した。貼り合わせ後の接着層の厚さは5μmであった。
【0125】
アクリル酸35質量部、ヒドロキシエチルアクリレート35質量部、及びノルマルブチルアクリレート30質量部を重合して得られたアクリル樹脂(重量平均分子量:30000)70質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名:デスモジュールN3300、住化バイエルウレタン社製)30質量部との混合溶液を作製し、上記第二の高分子フィルム上に塗布した。塗布液を乾燥し、厚さ0.2μmの易接着層を形成して、積層フィルムを得た。
【0126】
得られた積層フィルムの易接着層上に、エポキシシート(光学フィルム、商品名:XNR5516Z、ナガセケムテックス株式会社製)を貼り合わせた。エポキシシートが貼り合わせられた積層フィルムに露光量6J/cm
2でUV(紫外線)を照射し、80℃60分ベークして、積層体を得た。
【0127】
(比較例4)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第一の高分子フィルム、商品名:A4100、厚さ:50μm、東洋紡株式会社製)上に、ポリエステル樹脂溶液をバーコート法により塗布し、80℃1分乾燥硬化させることにより、厚さ100nmのアンカーコート層を形成した。
【0128】
抵抗加熱式の真空蒸着装置を用いて、アルミニウム材料(商品名:4N、株式会社高純度化学研究所製)を3.0×10
−2Paの圧力下で加熱によって蒸発させ、上記アンカーコート層上に厚さ10nmのAlO
x膜を形成した。なお、蒸着における加速電圧は50kVであり、エミッション電流は0.5Aであった。
【0129】
テトラエトキシシランの加水分解物とポリビニルアルコールを1/1の質量比で混合した混合液を、上記AlO
x膜上にバーコート法により塗布し、120℃1分乾燥硬化させることにより、厚さ400nmのSiO
x膜を形成した。このようにしてアンカーコート層上に形成された、AlO
x膜とSiO
x膜とを備える多層膜を不透湿層とした。
【0130】
上記不透湿層上に接着剤(商品名:タケラックA525、三井化学株式会社製)を塗布し、上記接着剤を介して上記不透湿層と二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:FE2001、厚さ:25μm、フタムラ化学株式会社製)のコロナ放電処理された面を貼り合わせ、50℃2日間エージングを実施した。貼り合わせ後の接着層の厚さは5μmであった。
【0131】
アクリル酸35質量部、ヒドロキシエチルアクリレート35質量部、及びノルマルブチルアクリレート30質量部を重合して得られたアクリル樹脂(重量平均分子量:30000)70質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名:デスモジュールN3300、住化バイエルウレタン社製)30質量部との混合溶液を作製し、上記第二の高分子フィルム上に塗布した。塗布液を乾燥し、厚さ2μmの易接着層を形成して、積層フィルムを得た。
【0132】
得られた積層フィルムの易接着層上に、エポキシシート(光学フィルム、商品名:XNR5516Z、ナガセケムテックス株式会社製)を貼り合わせた。エポキシシートが貼り合わせられた積層フィルムに露光量6J/cm
2でUV(紫外線)を照射し、80℃60分ベークして、積層体を得た。
【0133】
[評価方法]
(不透湿性)
実施例1〜2及び比較例1〜4で得られた積層フィルムの不透湿性を、JIS K 7129の赤外線センサ法に準ずる方法で水蒸気透過度を測定することにより評価した。水蒸気透過度の測定には水蒸気透過率測定装置(商品名:Permatran、MOCON社製)を用いた。透過セルの温度は40℃とし、高湿度チャンバの相対湿度は90%RHとし、低湿度チャンバの相対湿度を0%RHとした。水蒸気透過度の測定結果を表1に示す。
【0134】
(全光線透過率)
実施例1〜2及び比較例1〜4で得られた積層フィルムの全光線透過率を、曇り度計装置(商品名:NDH2000、日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。全光線透過率の測定結果を表1に示す。
【0135】
(易接着層と第二の高分子フィルムとの密着性)
JIS K 5600−5−6(ISO2409)のクロスカット法による付着性評価試験方法に準じて、実施例1〜2及び比較例1〜4で得られた積層フィルムの易接着層部分を1mm間隔で格子状にカットし、易接着層上にセロハンテープを貼り付けた。易接着層からセロハンテープを引き剥がした後、下記基準に従って密着性を評価した。易接着層と第二の高分子フィルムとの密着性の評価結果を表1に示す。
A:易接着層が第二の高分子フィルムから剥離しない(JIS K 5600−5−6の分類0〜2)。
B:易接着層が第二の高分子フィルムから剥離する(JIS K 5600−5−6の分類3〜5)。
【0136】
(光学フィルムと易接着層との密着性)
実施例1〜2及び比較例1〜4で得られた積層体を幅1cmの短冊状にカットし、積層体のエポキシシート(光学フィルム)側をガラス板上に固定した。固定された短冊状の積層体の積層フィルムを、テンシロン万能材料試験機(エーアンドデイ社製)を用いて、ガラス板に対して垂直な方向に、300mm/分の速度で、エポキシシートから剥離し、剥離に要した強度を測定した。光学フィルムと易接着層との密着性を下記基準に従って評価した。光学フィルムと易接着層との密着性の評価結果を表1に示す。
A:剥離強度が2N/cm以上である。
B:剥離強度が2N/cm未満である。
【0137】
【表1】
【0138】
表1に示されるように、実施例1〜2の積層フィルム及び積層体では優れた不透湿性及び優れた密着性が得られた。これに対し、比較例1の積層フィルム及び積層体では、易接着層をポリイソシアネートを用いて形成しなかったため、易接着層と第二の高分子フィルムとの間で十分な密着性を得ることができず、光学フィルムと易接着層との間で十分な密着性を得ることができなかった。また、比較例2の積層体では、易接着層を反応性炭素炭素二重結合を有しないポリエステルウレタン樹脂を用いて形成したため、光学フィルムと易接着層との間で十分な密着性を得ることができなかった。また、比較例3の積層フィルムは不透湿層を備えていなかったため、十分な不透湿性を得ることができなかった。また、比較例4の積層体では、易接着層の厚さが1μmを超えていたため、光学フィルムと易接着層との間で十分な密着性を得ることができなかった。
【0139】
[波長変換シートの作製]
(実施例3)
図4に示す波長変換シートを作製するために、第一の高分子フィルム2aとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:P60、厚さ:12μm、東レ株式会社製)をコロナ放電処理し、その面上にポリエステル樹脂溶液をバーコート法により塗布し、80℃1分乾燥硬化させることにより、厚さ100nmのアンカーコート層3aを形成した。
【0140】
電子ビーム加熱式の真空蒸着装置を用いて、酸化珪素材料(キヤノンオプトロン株式会社製)を1.5×10
−2Paの圧力下で電子ビーム加熱によって蒸発させ、上記アンカーコート層3a上に厚さ40nmのSiO
x膜を形成した。なお、蒸着における加速電圧は40kVであり、エミッション電流は0.2Aであった。
【0141】
テトラエトキシシランの加水分解物とポリビニルアルコールを1/1の質量比で混合した混合液を、上記SiO
x膜上にバーコート法により塗布し、120℃1分乾燥硬化させることにより、厚さ400nmのSiO
x膜を形成した。さらに、同様の手順で真空蒸着による厚さ40nmのSiO
x膜と塗布による厚さ400nmのSiO
x膜とをこの順で形成した。このようにしてアンカーコート層上に形成された、真空蒸着によるSiO
x膜と塗布によるSiO
x膜とを交互に2層備える多層膜を不透湿層4aとした。
【0142】
上記不透湿層4a上に接着剤(商品名:タケラックA525、三井化学株式会社製)を塗布して粘着層6aとし、上記接着剤を介して上記不透湿層4aと、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第二の高分子フィルム8a、商品名:FE2001、厚さ:25μm、フタムラ化学株式会社製)のコロナ放電処理された面を貼り合わせ、50℃2日間エージングを実施し、第一バリアフィルム11aを得た。貼り合わせ後の接着層6aの厚さは5μmであった。
【0143】
アクリル酸35質量部、ヒドロキシエチルアクリレート35質量部、及びノルマルブチルアクリレート30質量部を重合して得られたアクリル樹脂(重量平均分子量:30000)70質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名:デスモジュールN3300、住化バイエルウレタン社製)30質量部との混合溶液を作製し、第一バリアフィルム11aの第二の高分子フィルム8aの表面上に塗布した。塗布液を乾燥し、厚さ0.2μmの第一易接着層10aを形成した。以上のようにして、第一バリアフィルム11a上に第一易接着層10aが形成された、第一積層フィルム20aを作製した。
【0144】
第一バリアフィルム11aと同様の方法で、第一の高分子フィルム2b、アンカーコート層3b、不透湿層4b、接着層6b、及び第二の高分子フィルム8bがこの順に積層された、第二バリアフィルム11bを作製した。また、第二バリアフィルム11bの第二の高分子フィルム8bの表面上に、第一易接着層10aと同様の方法で、厚さ0.2μmの第二易接着層10bを形成した。以上のようにして、第二バリアフィルム11b上に第二易接着層10bが形成された、第二積層フィルム20bを作製した。
【0145】
第一バリアフィルム11a上の第一易接着層10a上に、コアがセレン化カドミウム(CdSe)、シェルが硫化亜鉛(ZnS)の量子ドット発光体が熱硬化型エポキシ樹脂に分散した材料を滴下し、第二バリアフィルム11b上の第二易接着層10bを、滴下した材料に接触させ、ラミネーターを用いて、滴下した材料が均一な膜となるように第一バリアフィルム11aと第二バリアフィルム11bとを滴下した材料を介してラミネートした。
【0146】
室温で24時間エージングすることにより、上記エポキシ樹脂を硬化させ、第一バリアフィルム11aと第二バリアフィルム11bとの間に波長変換層13を形成し、波長変換シート100を作製した。このとき、波長変換層13の厚みは100μmであった。
【0147】
(比較例5)
第一易接着層と第二易接着層を設けずに、波長変換層を第一バリアフィルムの第二の高分子フィルムと第二バリアフィルムの第二の高分子フィルムとの間に形成したこと以外は、実施例3と同様にして、波長変換シートを作製した。
【0148】
[評価方法]
(発光体層との密着性)
実施例3及び比較例5で得られた波長変換シートを幅1cmの短冊状にカットし、波長変換シートの第一バリアフィルム側をガラス板上に固定した。固定された短冊状の波長変換シートの第二バリアフィルムを、テンシロン万能材料試験機(エーアンドデイ社製)を用いて、ガラス板に対して垂直な方向に、300mm/分の速度で、発光体層である波長変換層から剥離し、剥離に要した強度を測定した。第二バリアフィルムと発光体層との密着性は、下記基準に従って評価した。
A:剥離強度が1N/cm以上である。
B:剥離強度が1N/cm未満である。
【0149】
(長期信頼性外観)
実施例3及び比較例5で得られた波長変換シートを85℃のオーブンに投入し、1000時間経過した。1000時間経過後の波長変換シートを用いて、長期信頼性外観評価用バックライトユニットとして、各々
図5に示すバックライトユニットを作製した。バックライトユニット中の光源として、青色発光ダイオードを用いた。バックライトユニットからの光を目視にて観察し、外観不良の有無を確認した。
【0150】
(長期信頼性発光効率)
実施例3及び比較例5で得られた波長変換シートを用いて、長期信頼性発光効率評価用バックライトユニットとして、各々
図5に示すバックライトユニットを作製した。バックライトユニット中の光源として青色発光ダイオードを用いた。上記作製したバックライトユニットについて、輝度計(コニカミノルタ社製、商品名:LS−100)を用いて青色発光ダイオード発光時の輝度(初期輝度A)を測定した。その後、各々の波長変換シートをバックライトユニットから取り出し、85℃のオーブンに投入し、300時間保存した。その後、300時間保存後の波長変換シートを用いて、再び
図5に示すバックライトユニットを作製し、初期輝度Aと同様に、保存後の輝度Bを測定した。初期輝度Aと、保存後の輝度Bとの比(B/A)を算出し、比(B/A)が90%以上である場合に、十分な長期信頼性発光効率が得られているものと判断した。
【0151】
易接着層と発光体層との密着性、長期信頼性外観、長期信頼性発光効率の評価結果を表2に示す。
【0152】
【表2】
【0153】
表2に示されるように、実施例3の波長変換シートでは、優れた密着性が得られ、上記波長変換シートを用いて作製したバックライトユニットでは、優れた長期信頼性が得られた。これに対し、比較例5の波長変換シートでは、十分な密着性が得られず、上記波長変換シートを用いて作製したバックライトユニットでは、長期信頼性試験中に第一バリアフィルム及び第二バリアフィルムが波長変換層から剥がれた。このため、量子ドット発光体が失活し、保存後の波長変換シートを用いて作製したバックライトユニットからは光源からの青色光が確認された。これは、光源からの青色光が波長変換層によって変換されなかった(白色光とならなかった)ことを意味し、波長変換層からの発光が著しく低減したと判断することができる。これは、易接着層形成の有無による相違である。