特許第6620780号(P6620780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6620780動的圧壊試験装置および動的圧壊試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620780
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】動的圧壊試験装置および動的圧壊試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/30 20060101AFI20191209BHJP
【FI】
   G01N3/30 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-89541(P2017-89541)
(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公開番号】特開2018-189393(P2018-189393A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2018年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二塚 貴之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健太郎
【審査官】 長谷川 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−33579(JP,A)
【文献】 特開2009−31193(JP,A)
【文献】 実開昭62−81045(JP,U)
【文献】 特開2008−216082(JP,A)
【文献】 特開平02−222824(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0178496(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/30
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験体に衝撃を加えた際の衝撃荷重を測定する動的圧壊試験装置であって、
荷重検出部を有する出力棒と、
前記出力棒の先端に固定され、前記試験体を支持する支持部材と、
前記試験体に衝撃負荷を与えるインパクターと、を備え、
前記支持部材は、衝撃入力方向で前記試験体の前方側の端部を支持する支持端部と、衝撃入力方向で前記試験体の後方側に位置し前記出力棒の先端に固定される固定端部と、前記支持端部および前記固定端部間をつなぐ連結部を有することを特徴とする動的圧壊試験装置。
【請求項2】
連結部は、互いに対向しその間に前記試験体を収容するとともに露出させる開口部を形成する対向壁からなることを特徴とする、請求項1に記載の動的圧壊試験装置。
【請求項3】
衝撃入力方向で前記試験体の後方側の端部に固定されるとともに前記開口部から突出し、前記インパクターからの衝撃負荷を受ける衝撃ブロックをさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の動的圧壊試験装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の動的圧壊試験装置を用いて、試験体に衝撃を加えた際の衝撃荷重を測定する動的圧壊試験方法であって、
前記インパクターで前記試験体に衝撃負荷を与え、該試験体の前方側の端部に到達した弾性応力波を前記支持部材によって衝撃入力方向と逆方向に伝播させるとともに出力棒に入力させ、出力棒の弾性変形を前記荷重検出部で検出することにより衝撃荷重を測定することを特徴とする動的圧壊試験方法。
【請求項5】
前記インパクターまたは衝撃ブロックにターゲットマークを配置し、前記試験体に衝撃を加えた際のターゲットマークの変位を高速度カメラによって撮像し、試験体の荷重―変位曲線を求めることを特徴とする、請求項4に記載の動的圧壊試験方法。
【請求項6】
前記試験体の表面に、規則的に配列されたグリッドパターンを形成し、前記試験体を高速度カメラで撮像した画像から前記グリッドパターンの3次元位置を演算して前記試験体の3次元形状の変化を測定することを特徴とする、請求項4または5に記載の動的圧壊試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試験体に衝撃を加えた際の衝撃荷重を測定する動的圧壊試験装置および動的圧壊試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に求められる重要な性能の1つとして、衝突性能がある。自動車メーカーでは試作車による衝突試験を実施し、衝突安全性能を評価するが、一方で車体開発の開発期間、コスト低減に対する要求も大きく、試作、評価試験の回数を削減することも望まれている。開発期間短縮のために、コンピュータ上でのシミュレーションが広く行われており、CAE解析の役割は年々重要となってきており、解析精度の向上も強く求められている。自動車部品の高速変形時の変形挙動を精度よく解析するためには、材料を高精度にモデル化する必要があり、材料評価試験の高精度化は重要と言える。
【0003】
材料の動的圧壊性能を評価する試験方法として、代表的なものに落錘方式と油圧制御方式がある。しかしながら、静的な圧壊試験と比べて、動的な、つまり高速の圧壊試験では弾性応力波(衝撃弾性波)が発生するとともに往復伝播することで応力が振動してしまうため、測定データの正確性に欠けてしまうという問題がある。
【0004】
従来からこの課題に対して、弾性応力波を十分に長い応力棒に伝播させて、互いに干渉なく独立に計測するバー方式での試験方法が提案されており、スプリットホプキンソンバー法やワンバー法が挙げられる。スプリットホプキンソンバー法は、図9(a)に示すように、2本の長い入力棒と出力棒の間に試験体を配置し、一端から衝撃を与える方法であるが、応力棒が長くなると、試験機長が増大し、応力棒の軸調整に時間を要するとともに広い設置スペースを必要とする。そこで軸調整の時間や設置スペースの課題に対し、特許文献1に開示されるように、入力棒の代わりに長さの短い衝撃ブロックを用いたワンバー法が開発された。しかし、図9(b)に示すように、ワンバー法を用いて圧壊試験を行う場合には、出力棒からみて衝撃ブロックの先方にインパクターを配置し、インパクターを出力棒側へ加速させて衝撃ブロックに衝撃を与える必要があり、インパクターの加速距離を確保しようとすると設置スペースの優位性が失われてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−4032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上記従来の問題点を解消し、コンパクトでかつ簡便に動的圧壊試験を行うことができる装置および方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、試験体に衝撃を加えた際の衝撃荷重を測定する動的圧壊試験装置であって、上記目的を達成するため、荷重検出部を有する出力棒と、前記出力棒の先端に固定され、前記試験体を支持する支持部材と、前記試験体に衝撃負荷を与えるインパクターと、を備え、前記支持部材は、衝撃入力方向で前記試験体の前方側の端部を支持する支持端部と、衝撃入力方向で前記試験体の後方側に位置し前記出力棒の先端に固定される固定端部と、前記支持端部および前記固定端部間をつなぐ連結部を有している。
【0008】
なお、この発明の動的圧壊試験装置にあっては、連結部は、互いに対向しその間に前記試験体を収容するとともに露出させる開口部を形成する対向壁からなることが好ましい。
【0009】
また、この発明の動的圧壊試験装置にあっては、衝撃入力方向で前記試験体の後方側の端部に固定されるとともに前記開口部から突出し、前記インパクターからの衝撃負荷を受ける衝撃ブロックをさらに備えることが好ましい。
【0010】
この発明は、この発明の動的圧壊試験装置を用いて、試験体に衝撃を加えた際の衝撃荷重を測定する動的圧壊試験方法であって、上記目的を達成するため、前記インパクターで前記試験体に衝撃負荷を与え、該試験体の前方側の端部に到達した弾性応力波を前記支持部材によって衝撃入力方向と逆方向に伝播させるとともに出力棒に入力させ、出力棒の弾性変形を前記荷重検出部で検出することにより衝撃荷重を測定するものである。
【0011】
なお、この発明の動的圧壊試験方法にあっては、前記インパクターまたは衝撃ブロックにターゲットマークを配置し、前記試験体に衝撃を加えた際のターゲットマークの変位を高速度カメラによって撮像し、試験体の荷重―変位曲線を求めることが好ましい。
【0012】
また、この発明の動的圧壊試験方法にあっては、前記試験体の表面に、規則的に配列されたグリッドパターンを形成し、前記試験体を高速度カメラで撮像した画像から前記グリッドパターンの3次元位置を演算して前記試験体の3次元形状の変化を測定することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
この発明の動的圧壊試験装置および動的圧壊試験方法によれば、試験体で発生する弾性応力波を支持部材を介して衝撃入力方向とは逆方向に反転させて出力棒に入力させるようにしたので、試験体に衝撃負荷を与えるインパクターを出力棒とオーバーラップして配置することができ、インパクターのための十分な加速距離を確保しつつその構造をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の一実施形態の動的圧壊試験装置の概略側面図である。
図2図1の動的圧壊試験装置における支持部材を示す斜視図である。
図3】試験体アセンブリの斜視図である。
図4】各々図1の動的圧壊試験装置の平面図であり、(a)は初期状態を示し、(b)はインパクターが衝撃ブロックに衝突した状態を示し、(c)は試験体が圧壊された状態を示している。
図5】各々図1の動的圧壊試験装置の側面図であり、(a)は初期状態を示し、(b)はインパクターが衝撃ブロックに衝突した状態を示し、(c)は試験体が圧壊された状態を示している。
図6】この発明の実施例の動的圧壊試験方法に用いた試験体を示し、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
図7】この発明の実施例の動的圧壊試験方法で測定した荷重―変位曲線(実線)と、油圧制御方式の高速衝撃試験機を用いて測定した荷重―変位曲線(破線)である。
図8】試験体の3次元形状の変化を測定した結果を示す図である。
図9】(a)はスプリットホプキンソンバー法を説明する概略図であり、(b)はワンバー法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここで図1は、この発明の一実施形態の動的圧壊試験装置の概略側面図であり、図2は、図1の動的圧壊試験装置における支持部材を示す斜視図であり、図3は試験体アセンブリの斜視図である。
【0016】
図1に示すように、動的圧壊試験装置10は、基本的にはワンバー法に従うものであり、主として出力棒12と、支持部材14と、衝撃ブロック16と、固定ブロック18と、インパクター20とを備えている。
【0017】
出力棒12は、金属製、例えば鋼製の中実円柱体であり、基端において動的圧壊試験装置10のフレーム等に固定されている。出力棒12には、衝撃時に試験体Tで発生した弾性応力波が先端から入力される。弾性応力波は出力棒12を伝播し、基端において反射される。出力棒12の表面には、出力棒12の、弾性応力波の伝播に伴う弾性変形を荷重(応力)として検出する、荷重検出部としてのひずみゲージ22が貼り付けられている。出力棒12の長さは、試験体Tの圧壊が終わる前に、出力棒12の基端で反射した弾性応力波が再びひずみゲージ22に到達しないよう十分な長さを有している。これによって、出力棒12における弾性応力波の反射の影響をなくすことが可能となる。また、ひずみゲージ22は、衝撃による弾性応力波が発生する場所からできるだけ近くに配置されることが好ましい。このため、ひずみゲージ22は、出力棒12の先端に隣接して配置されている。
【0018】
支持部材14は、金属製、例えば鋼製であり、図1および図2に示すように、衝撃入力方向で試験体Tの前方側の端部を固定ブロック18を介して支持する支持端部14aと、衝撃入力方向で試験体Tの後方側に位置し出力棒12の先端に固定される固定端部14bと、支持端部14aおよび固定端部14b間をつなぐ連結部14cとを有している。固定端部14bには孔23が形成されており、この孔23にネジを挿通させることで固定端部14bを出力棒12の先端に着脱可能に固定することができる。しかし、固定端部14bは、出力棒12の先端に溶接等で着脱不能に固定されてもよい。支持端部14aにも孔24が形成されており、この孔24にネジを挿通させることで固定ブロック18を支持部材14に着脱可能に取り付けることができる。
【0019】
連結部14cは、互いに上下方向で対向しその間に試験体アセンブリTA(図3参照)を収容する開口部Oを形成する一対の対向壁14c1,14c2からなる。一対の対向壁14c1,14c2間に配置された試験体アセンブリTAは、開口部Oから露出している。これにより、衝撃ブロック16の位置および試験体Tの変形の様子を高速度カメラ等で側方から撮像することができる。各対向壁14c1,14c2は支持端部14aから衝撃入力方向とは反対方向へ試験体アセンブリTAを越える位置まで延出して固定端部14bにつながっている。
【0020】
図1に示すように、インパクター20はスプリングやゴム等の図示しない動力発生手段により加速されて衝撃ブロック16に衝突することで試験体Tに衝撃負荷を与えるものである。インパクター20は、側面視で出力棒12とオーバーラップするよう配置されており、出力棒12の側方に敷設されたガイドレール26にガイドされて衝撃ブロック16に衝突する。インパクター20は、衝撃ブロック16に衝突した後も前方に配置された衝撃吸収部材28に当接するまで走行し、試験体Tを圧壊させる。
【0021】
このように、実施形態の動的圧壊試験装置よれば、試験体に衝撃負荷を与えるインパクター20を出力棒12とオーバーラップして配置することができるので、インパクター20のための十分な加速距離を確保しつつその構造をコンパクトにすることができる。
【0022】
次に、上記動的圧壊試験装置10を用い、試験体Tに衝撃を加えた際の衝撃荷重を測定する、この発明の一実施形態の動的圧壊試験方法について説明する。
【0023】
実施形態の動的圧壊試験方法は、基本的にはワンバー法に従うものであり、インパクター20によって試験体Tに衝撃負荷を与え、試験体Tに発生した弾性応力波を支持部材14によって衝撃入力方向とは逆方向に反転させた上で出力棒12に入力させることで出力棒12を弾性変形させ、該弾性変形を荷重検出部としてのひずみゲージ22により荷重(応力)として測定するものである。以下、詳細に説明する。
【0024】
まず、図3に示すように、衝撃ブロック16、固定ブロック18および試験体Tは溶接等で互いに接合し、試験体アセンブリTAとしておく。ここで、インパクター20および衝撃ブロック16の少なくとも一方にはターゲットマークを形成しておく。図示例では、衝撃ブロック16の、支持部材14の開口部Oから露出する面にドット状のターゲットマーク30が形成されている。ターゲットマーク30は少なくとも1つあればよい。さらに、試験体Tの、支持部材14の開口部Oから露出する面にも規則的な格子状に配置された複数のドットからなるグリッドパターン32を形成しておく。
【0025】
次に、試験体アセンブリTAを支持部材14にネジ等で固定するとともに、この支持部材14を出力棒12の先端にネジ等で固定する。この初期状態を図4(a)および図5(a)に示す。衝撃ブロック16のターゲットマーク30が形成された面および試験体Tのグリッドパターン32が形成された面に対向する位置には、これらの面を撮像可能な高速度カメラ(好ましくはステレオカメラ)34を配置しておく。
【0026】
そして、図4(b)および図5(b)に示すように、インパクター20をスプリングやゴム等の張力によって衝撃入力方向に加速させ、衝撃ブロック16に衝突させる。衝撃ブロック16は、図4(c)および図5(c)に示すように衝撃入力方向へさらに移動し、試験体Tは衝撃ブロック16の変位に伴って塑性変形し(圧壊され)、このときの衝撃荷重(応力)に応じた弾性応力波が発生する。
【0027】
試験体Tで発生した弾性応力波は、固定ブロック18を透過して支持部材14の支持端部14aに到達した後、一対の対向壁14c1,14c2からなる連結部14cを介して衝撃入力方向とは反対方向へ反転され、固定端部14bを通って出力棒12の先端に入力されるとともに基端側へ伝播しながら出力棒12を弾性変形させる。荷重検出部としてのひずみゲージ22は、この弾性変形(ひずみ)に基づいて荷重(応力)を測定する。
【0028】
また、実施形態の動的圧壊試験方法では、ターゲットマーク30が形成された衝撃ブロック16にインパクター20を衝突させる際の様子を高速度カメラ34により撮像する。高速度カメラ34で撮像されたターゲットマーク30の画像の出力信号は通常のコンピュータからなる画像処理手段に入力されるようになっている。画像処理手段は、高速度カメラ34から取得したターゲットマーク30の撮像画像情報に基づいて衝撃ブロック16の時々刻々と変化する位置(変位)を求める。これにより、出力棒12のひずみゲージ22で測定した荷重と衝撃ブロック16の変位との関係から試験体Tの荷重−変位曲線を求めることが可能となる。
【0029】
さらに、実施形態の動的圧壊試験方法では、試験体Tに衝撃を与えて圧壊する際の様子も上記高速度カメラ34で撮影する。高速度カメラ34で撮像されたグリッドパターン32の画像の出力信号は画像処理手段に入力される。画像処理手段によって、高速度カメラ34から取得したグリッドパターン32の撮像画像情報に基づいて試験体Tの3次元形状の変化が測定される。
【実施例】
【0030】
次に、本発明の実施例を説明する。引張強度270MPa、板厚0.7mmの鋼材から、図6に示すように略ハット形状のフレームを形成するとともに、フレームのフランジ部に同じ材質、板厚のパネルを溶接して閉断面形状を有する試験体とし、さらに、この試験体に衝撃ブロックおよび固定ブロックを溶接により固定して試験体アセンブリを製作した。この試験体アセンブリを図1に示す動的圧壊試験装置に組み付け、インパクターで衝撃ブロックに衝撃を負荷することにより試験体を圧壊し、そのときの衝撃荷重をひずみゲージで測定した。また、衝撃ブロックの側面にターゲットマークを貼り付けるとともに、試験体の側面に、複数のドットが規則的に印刷されたグリッドパターンを貼り付けて、ステレオタイプの高速度カメラでこれらのターゲットマークおよびグリッドパターンの画像を記録し、衝撃ブロックの変位および試験体の3次元形状の変化を測定した。なお、出力棒は、直径30mm、有効長5mの鋼製とし、ひずみゲージの位置は出力棒の先端から300mmとした。また、支持部材は、出力棒と同様のヤング率をもつ鋼製とし、その各寸法は高さ100mm、長さ230mm、厚み5mmとした。
【0031】
図7は実施例の動的圧壊試験方法により得られた試験体の荷重―変位曲線(実線)である。油圧制御方式の高速衝撃試験機による同じ試験体についての試験結果(荷重―変位曲線)も併せて破線で示した。この図によると、実線で示した実施例の動的圧壊試験方法では、油圧制御方式の高速衝撃試験機で測定した場合よりも振幅の小さな荷重―変位曲線が得られており、弾性応力波の反射の影響が小さいことが確認された。
【0032】
また、図8は、試験体に形成したグリッドパターンの画像を高速度カメラでの撮像し、その画像に基づき試験体の3次元形状の変化の大きさを算出した結果であり、図中、青色で示す領域は変形が小さく、赤色で示す領域は変形が大きいことを示している。
【0033】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は、上述の例に限られるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものである。例えば、上記実施形態の動的圧壊試験装置および方法は、断面ハット形状の試験体に適用されているが、試験体はこれに限定されず種々の形状、材質、大きさとすることができる。また、試験体に形成するグリッドパターンは、マグネットシートやフィルムの表面に印刷して試験体の表面に貼りつけてもよいが、試験体に直接印刷してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明により、コンパクトでかつ簡便に動的圧壊試験を行うことができる装置および方法が提案される。
【符号の説明】
【0035】
10 動的圧壊試験装置
12 出力棒
14 支持部材
14a 支持端部
14b 固定端部
14c 連結部
14c1,14c2 対向壁
16 衝撃ブロック
18 固定ブロック
20 インパクター
22 ひずみゲージ
23,24 孔
26 ガイドレール
28 衝撃吸収部材
30 ターゲットマーク
32 グリッドパターン
34 高速度カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9