(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチは、前記連携点と前記負荷とを電気的に非接続にしている場合、前記負荷と商用電源とを電気的に接続することを特徴とする請求項1または2に記載の蓄電システム。
前記スイッチは、前記マスタ蓄電装置および前記スレーブ蓄電装置が出力開始の信号を出力してから、前記連携点と前記負荷とを電気的に接続することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄電システム。
マスタ蓄電装置と、前記マスタ蓄電装置の出力端子と負荷とを結ぶ電路間の連携点に接続されることによって、前記マスタ蓄電装置に並列に接続されるスレーブ蓄電装置と、前記連携点と前記負荷との間に配置されるスイッチとを備えるとともに、前記マスタ蓄電装置は電圧制御を実行し、前記スレーブ蓄電装置は電流制御を実行する蓄電システムにおける運転方法であって、
前記マスタ蓄電装置の出力が開始され、かつ前記スレーブ蓄電装置の出力が開始されるステップと、
前記マスタ蓄電装置の出力が開始され、かつ前記スレーブ蓄電装置の出力が開始されてから、前記スイッチが前記連携点と前記負荷とを電気的に接続するステップと、
を備えることを特徴とする運転方法。
マスタ蓄電装置と、前記マスタ蓄電装置の出力端子と負荷とを結ぶ電路間の連携点に接続されることによって、前記マスタ蓄電装置に並列に接続されるスレーブ蓄電装置と、前記連携点と前記負荷との間に配置されるスイッチとを備えるとともに、前記マスタ蓄電装置は電圧制御を実行し、前記スレーブ蓄電装置は電流制御を実行する蓄電システムにおける運転方法であって、
前記連携点と前記負荷とが前記スイッチによって電気的に非接続にされるステップと、
前記連携点と前記負荷とが前記スイッチによって電気的に非接続にされてから、前記マスタ蓄電装置の出力および前記スレーブ蓄電装置の出力が停止されるステップと、
を備えることを特徴とする運転方法。
マスタ蓄電装置と、前記マスタ蓄電装置の出力端子と負荷とを結ぶ電路間の連携点に接続されることによって、前記マスタ蓄電装置に並列に接続されるスレーブ蓄電装置と、前記連携点と前記負荷との間に配置されるスイッチと、前記連携点と前記スイッチとの間に配置される電圧センサとを備えるとともに、前記マスタ蓄電装置は電圧制御を実行し、前記スレーブ蓄電装置は電流制御を実行する蓄電システムにおける運転方法であって、
前記スイッチが前記連携点と前記負荷とを電気的に接続している場合において、前記電圧センサが電圧非印加を検出するステップと、
前記電圧センサが電圧非印加を検出すれば、前記スイッチが前記連携点と前記負荷とを電気的に非接続にするステップと、
を備えることを特徴とする運転方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
本発明の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。実施例1は、マスタ蓄電装置とスレーブ蓄電装置が負荷に対して並列に接続される蓄電システムに関する。蓄電システムは、商用電源によって供給される商用電力に協調するように動作する連系運転と、商用電源からの商用電力の供給が停止している場合に自立的に動作する自立運転とを切りかえながら実行する。蓄電システムが自立運転を実行している場合、前述のごとく、マスタ蓄電装置は電圧制御を実行し、スレーブ蓄電装置は電流制御を実行するので、マスタ蓄電装置からの電力の出力を確認してから、スレーブ蓄電装置は電力の出力を開始する。
【0016】
ここで、マスタ蓄電装置とスレーブ蓄電装置のそれぞれが供給可能な電力よりも大きな消費電力を有する負荷が蓄電システムに接続されている場合を想定する。なお、負荷の消費電力は、自立運転の蓄電システムが供給可能な電力以下であるとする。マスタ蓄電装置だけが電力の出力を開始し、スレーブ蓄電装置が電力の出力を開始していないと、マスタ蓄電装置だけが負荷に電力を供給する。このような状況が継続すると、マスタ蓄電装置の運転は、過負荷のために停止してしまう。さらに、マスタ蓄電装置の運転停止は、蓄電システムの自立運転の停止につながる。
【0017】
このような状況に対応するために、本実施例に係る蓄電システムでは、マスタ蓄電装置およびスレーブ蓄電装置(これらを「蓄電装置」と総称する場合もある)と、負荷との間にスイッチが配置される。蓄電システムが連系運転を実行している場合、スイッチは、蓄電装置と負荷とを電気的に非接続にする。蓄電システムが連系運転から自立運転に切りかわった場合において、マスタ蓄電装置から電力が出力され、かつスレーブ蓄電装置からも電力が出力されてから、スイッチは、蓄電装置と負荷とを電気的に接続する。このようなスイッチの制御によって、マスタ蓄電装置だけが負荷に電力を供給している状況の発生が抑制される。
【0018】
以下では、説明を明瞭にするために、(1)蓄電システム100の構成をまず説明する。その際、
図1をもとにした蓄電システムの全体的な構成、
図2をもとにした蓄電装置の構成、
図3をもとにした蓄電システムの自立運転に関する構成を説明する。これに続いて、(2)蓄電システム100において連系運転から自立運転に切りかわる際の動作、(3)蓄電システム100において連系運転から自立運転に切りかわる際の動作、(4)蓄電システム100の動作終了を説明する。
【0019】
(1)蓄電システム100の構成
図1は、本発明の実施例1に係る蓄電システム100の構成を示す。蓄電システム100は、商用電源10、分電盤12、マスタ蓄電装置14、スレーブ蓄電装置16と総称される第1スレーブ蓄電装置16a、第2スレーブ蓄電装置16b、トランス18、切替盤20、自立負荷22、系統負荷24、第1電流センサ60、第2電流センサ62、第3電流センサ64、第4電流センサ66を含む。また、分電盤12は、主電源ブレーカ30、分散電源用ブレーカ32、分岐ブレーカ34と総称される第1分岐ブレーカ34a、第2分岐ブレーカ34bを含む。マスタ蓄電装置14とスレーブ蓄電装置16は、連系接続部40、自立接続部42を含む。トランス18は、一次巻線70、二次巻線72を含む。切替盤20は、連携点50、第1スイッチ52、第2スイッチ54、制御部56、検出器58、電圧センサ80を含む。
図1においては、スレーブ蓄電装置16の数および分岐ブレーカ34の数は「2」とされているが、これに限定されない。
【0020】
電力会社の商用電源10は、幹線電路200を介して単相3線式200V/100Vの商用電力を供給する。幹線電路200は、2本の電圧線と1本の中性線とによって構成される。分電盤12は、建物内に引き込まれた幹線電路200に接続される。分電盤12内において、幹線電路200は、主電源ブレーカ30を介して、分散電源用ブレーカ32、第1分岐ブレーカ34a、第2分岐ブレーカ34bに接続される。分岐ブレーカ34は、幹線電路200を分岐電路202、分岐電路204に分岐する。分岐電路202には系統負荷24が接続される。系統負荷24は、例えば、照明機器、空調機器、家電機器などであり、200Vあるいは100Vの交流電力によって動作する。分岐電路204は、切替盤20に接続されており、単相3線式200V/100Vの交流電力を切替盤20に供給する。
【0021】
蓄電システム100内に備えられた複数の蓄電装置のうちの1台がマスタ蓄電装置14であり、残りがスレーブ蓄電装置16である。ここで、マスタ蓄電装置14は電圧制御を実行し、スレーブ蓄電装置16は電流制御を実行する。このようなマスタ蓄電装置14とスレーブ蓄電装置16は共通の構成を有しているが、マスタ蓄電装置14とスレーブ蓄電装置16とを切りかえるための操作部(図示せず)への操作によって、マスタ蓄電装置14あるいはスレーブ蓄電装置16に設定される。なお、マスタ蓄電装置14とスレーブ蓄電装置16とが異なった構成であってもよい。
【0022】
図2は、スレーブ蓄電装置16の構成を示す。スレーブ蓄電装置16は、連系接続部40、自立接続部42、パワーコンディショナ44、制御部46、蓄電池48を含む。マスタ蓄電装置14も
図2と同様に構成される。この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0023】
蓄電池48は、直列または直並列接続された複数の蓄電池セルにより構成される。蓄電池セルには、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池などが使用される。なお、蓄電池48として、電気二重層コンデンサが使用されてもよい。パワーコンディショナ44は、交流電力を直流電力に変換して蓄電池48を充電するためのAC/DC変換機能を備えるとともに、蓄電池48の直流電力を交流電力、例えば、2線式200V(線間電圧200V)に変換して出力するDC/AC変換機能を備える。
【0024】
パワーコンディショナ44は、連系接続部40と自立接続部42とに接続される。連系接続部40は、
図1のごとく、交流電路206に接続され、交流電路206は分散電源用ブレーカ32を介して幹線電路200に接続される。ここで、交流電路206は、2線式200Vの交流電力を伝達するための電路である。このような接続によって、連系接続部40は、分散電源用ブレーカ32、交流電路206を介して商用電源10からの商用電力である交流電力を受け、受電した交流電力をパワーコンディショナ44に出力する。パワーコンディショナ44は、連系接続部40に入力される交流電圧を検出することによって、通常時と停電時とを判別する。通常時とは、商用電源10が商用電力を供給している場合であり、停電時とは、商用電源10が商用電力の供給を停止している場合である。パワーコンディショナ44は、通常時と判別した場合、連系運転を実行し、停電時と判別した場合、自立運転を実行する。
【0025】
連系運転時、パワーコンディショナ44は、商用電源10と連系して、2線式200Vの交流電力を連系接続部40から出力する。出力された交流電力は、交流電路206、分散電源用ブレーカ32を介して幹線電路200に供給されることによって、分岐ブレーカ34を介して、分岐電路202、分岐電路204に供給される。自立運転時、パワーコンディショナ44は、商用電源10と連系せずに、2線式200Vの交流電力を自立接続部42から出力する。なお、制御部46は、蓄電池48、パワーコンディショナ44を管理制御するが、その説明は後述する。
図1に戻る。
【0026】
マスタ蓄電装置14の自立接続部42は2線式のマスタ交流電路208に接続され、マスタ交流電路208はトランス18の一次巻線70に接続される。また、トランス18の二次巻線72には、3線式の自立電路212が接続される。トランス18は、2線式200Vの交流電力を単相3線式200V/100Vの交流電力に変換する。また、スレーブ蓄電装置16の自立接続部42は、2線式のスレーブ交流電路210に接続され、スレーブ交流電路210は、連携点50において自立電路212に接続される。このように、スレーブ蓄電装置16は、マスタ蓄電装置14の自立接続部42と後述の自立負荷22とを結ぶ自立電路212間の連携点50に接続されることによって、マスタ蓄電装置14に並列に接続される。
【0027】
連携点50と後述の自立負荷22との間には、自立電路212、第1スイッチ52、自立電路214、第2スイッチ54、自立電路216が順に配置される。ここで、自立電路212、自立電路214、自立電路216は、いずれも単相3線式200V/100Vの交流電力を伝達するための3線式の電路である。連携点50と第1スイッチ52の間には電圧センサ80が配置されるが、ここでは電圧センサ80の説明を省略する。第1スイッチ52は、自立電路212と自立電路214とを接続あるいは非接続に切りかえる。一方、第2スイッチ54は、自立電路216の接続先を、分岐電路204あるいは自立電路214に切りかえる。
【0028】
第1スイッチ52と第2スイッチ54は制御部56に接続される。制御部56は、検出器58での検出結果をもとに通常時と停電時を判別し、判別結果に応じて、第1スイッチ52と第2スイッチ54の接続状態を制御する。制御部56は、通常時と判別した場合、第1スイッチ52を非接続にするとともに、第2スイッチ54において自立電路216と分岐電路204とを接続する。これにより、幹線電路200の交流電力、つまり商用電源10からの商用電力と蓄電装置からの交流電力の和が自立電路216に供給される。一方、制御部56は、停電時と判別した場合、第1スイッチ52を接続するとともに、第2スイッチ54において自立電路216と自立電路214とを接続する。マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16からの交流電力が自立電路216に供給される。
【0029】
自立電路216には自立負荷22が接続される。自立負荷22は、例えば、照明機器、空調機器、家電機器などであるが、その消費電力は、マスタ蓄電装置14から供給可能な電力、後述のスレーブ蓄電装置16から供給可能な電力のそれぞれよりも大きく、かつマスタ蓄電装置14とスレーブ蓄電装置16によって供給可能な電力以下である。例えば、マスタ蓄電装置14が供給可能な電力が「3kW」であり、スレーブ蓄電装置16が供給可能な電力も「3kW」である場合、自立負荷22の消費電力は、3kWよりも大きく、かつ9kW以下である。この自立負荷22には、通常時および停電時のいずれの場合であっても電力が供給される。一方、系統負荷24には、通常時にのみ電力が供給される。
【0030】
図3は、蓄電システム100における自立運転の場合の接続形態を示す。マスタ蓄電装置14の自立接続部42には第1電圧線L1および第2電圧線L2が接続される。第1電圧線L1、第2電圧線L2の2線によって2線式のマスタ交流電路208が構成される。マスタ交流電路208は、トランス18を介して、3線式の自立電路212に電気的に接続される。具体的に説明すると、マスタ交流電路208における第1電圧線L1は、トランス18の一次巻線70の一端に接続され、第2電圧線L2は、一次巻線70の他端に接続される。トランス18は、一次巻線70に加えて二次巻線72も備えており、二次巻線72の一端は、自立電路212の第1電圧線L11に接続され、二次巻線72の他端は、自立電路212の第2電圧線L12に接続される。さらに、自立電路212の中性点は、自立電路212の中性線L10に接続される。
【0031】
このトランス18は、前述のごとく、マスタ交流電路208からの2線式200Vの交流電力を単相3線式200/100Vの交流電力に変換して自立電路212に出力する。そのため、第1電圧線L11と第2電圧線L12との間の線間電圧は200Vであり、第1電圧線L11と中性線L10との間の線間電圧は100Vであり、第2電圧線L12と中性線L10との間の線間電圧は100Vである。
【0032】
スレーブ蓄電装置16の自立接続部42には第1電圧線L21および第2電圧線L22が接続される。第1電圧線L21、第2電圧線L22の2線によって2線式のスレーブ交流電路210が構成される。スレーブ交流電路210は、スレーブ蓄電装置16の反対側において自立電路212に接続される。具体的に説明すると、スレーブ交流電路210の第1電圧線L21は、第1連携点50aにおいて、自立電路212の第1電圧線L11に接続され、スレーブ交流電路210の第2電圧線L22は、第2連携点50bにおいて、自立電路212の第2電圧線L12に接続される。前述のごとく、自立電路212、第1スイッチ52、自立電路214、第2スイッチ54、自立電路216が順に配置され、自立電路216には自立負荷22が接続される。
【0033】
自立運転においてマスタ蓄電装置14では、制御部46が、パワーコンディショナ44に電圧制御を実行させる。ここで、制御部46は、マスタ蓄電装置14の出力電圧が目標電圧となるようパワーコンディショナ44を制御する。なお、目標電圧は、商用電源の公称電圧に設定されており、例えば、200Vである。制御部46は、マスタ蓄電装置14の出力電圧が目標電圧と目標周波数に一致するようなPWM(Pulse Width Modulation)信号をパワーコンディショナ44に出力する。これにより、パワーコンディショナ44は、目標電圧と目標周波数を有した交流電力を出力する。
【0034】
一方、自立運転においてスレーブ蓄電装置16では、制御部46が、パワーコンディショナ44に電流制御を実行させる。ここで、制御部46は、スレーブ蓄電装置16の出力電流が目標電流となるようパワーコンディショナ44を制御する。スレーブ蓄電装置16の制御部46が目標電流を決定するために、
図1のごとく、自立電路216の第1電圧線L11には、第1電流センサ60および第3電流センサ64が設けられ、第2電圧線L12には、第2電流センサ62および第4電流センサ66が設けられる。第1電流センサ60は、第1電圧線L11の第1負荷電流I11を測定し、測定結果を第1スレーブ蓄電装置16aに出力し、第3電流センサ64は、第1電圧線L11の第1負荷電流I11を測定し、測定結果を第2スレーブ蓄電装置16bに出力する。
【0035】
第2電流センサ62は、第2電圧線L12の第2負荷電流I12を測定し、測定結果を第1スレーブ蓄電装置16aに出力し、第4電流センサ66は、第2電圧線L12の第2負荷電流I12を測定し、測定結果を第2スレーブ蓄電装置16bに出力する。ここで、第1負荷電流I11、第2負荷電流I12は、
図3中の矢印の方向を正とする。なお、第1電流センサ60から第4電流センサ66の測定結果は、各スレーブ蓄電装置16の制御部46がサンプリング周期毎に取得する。
【0036】
第1スレーブ蓄電装置16aは、第1電流センサ60から、第1負荷電流I11の測定結果を取得するとともに、第2電流センサ62から、第2負荷電流I12の測定結果を取得する。第1スレーブ蓄電装置16aの制御部46は、第1負荷電流I11の測定結果と第2負荷電流I12の測定結果とをもとに、自立負荷22の消費電力を導出する。ここで、第1負荷電流I11は、第1電圧線L11および中性線L10で構成される100V系の負荷電流に相当し、第2負荷電流I12は、第2電圧線L12および中性線L10で構成される100V系の負荷電流に相当する。そのため、制御部46は、(第1負荷電流I11+第2負荷電流I12)×100を計算することによって、自立負荷22の消費電力を導出する。次に、制御部46は、自立負荷22の消費電力を、パワーコンディショナ44から出力する交流出力の電圧200Vで除算することによって、換算電流を導出する。換算電流は、マスタ交流電路208、スレーブ交流電路210において、自立負荷22の消費電力を供給可能な電流である。換算電流が目標電流として使用される。なお、第2スレーブ蓄電装置16bにおいても同様の処理が実行される。
【0037】
(2)蓄電システム100において自立運転が開始される際の動作
前述のごとく、蓄電システム100は、通常時において連系運転を実行する。その際、
図1において、第1スイッチ52は非接続にされ、第2スイッチ54は自立電路216と分岐電路204とを接続する。後者では、自立負荷22と商用電源10とが電気的に接続されており、これによって、連携点50と自立負荷22とが電気的に非接続にされる。このような状況において、商用電源10による商用電力の供給が停止した場合、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16では、連系接続部40に入力される交流電圧の低下を検出することによって、通常時から停電時への移行を判定する。この判定により、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16におけるパワーコンディショナ44は、連系運転を自立運転に切りかえる。そのため、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16は、停電を検出してから、所定の時間内で自立運転に切りかわる。
【0038】
商用電源10による商用電力の供給が停止した場合、検出器58も、交流電圧の低下を検出することによって、商用電源10の停電を検出する。検出器58は、商用電源10の停電を検出した場合、停電の検出を制御部56に通知する。制御部56は、検出器58からの通知を受けつけると、所定時間以降に第1スイッチ52および第2スイッチ54を切りかえる。ここで、所定時間は、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16において、停電を検出してから自立運転に切りかわるまでの時間以上に設定される。制御部56による切替によって、第1スイッチ52は接続にされ、第2スイッチ54は自立電路216と自立電路214とを接続する。これにより、連携点50と自立負荷22とが電気的に接続される。
【0039】
つまり、第1スイッチ52は、マスタ蓄電装置14の出力が開始され、かつスレーブ蓄電装置16の出力が開始されてから、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続する。このことは、第2スイッチ54についても同様である。
【0040】
(3)蓄電システム100において連系運転から自立運転に切りかわる際の動作
蓄電システム100が停電時において自立運転を実行している状況下において、商用電源10による商用電力の供給が再開した場合、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16では、連系接続部40に入力される交流電圧の上昇を検出することによって、停電時から通常時への移行を判定する。この判定により、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16におけるパワーコンディショナ44は、自立運転を連系運転に切りかえる。連系運転の実行によって、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16の自立接続部42から交流電力が出力されなくなる。それにより、電圧センサ80は交流電圧の低下を検出し、低下の検出を制御部56に通知する。制御部56は、電圧センサ80からの通知を受けつけると、第1スイッチ52および第2スイッチ54を切りかえる。制御部56による切替によって、第1スイッチ52は非接続にされ、第2スイッチ54は自立電路216と分岐電路204とを接続する。
【0041】
(4)蓄電システム100の動作終了
蓄電システム100が自立運転を実行している状況下において、蓄電システム100を停止する場合、制御部56は、外部から停止の指示を受けつける。制御部56は、指示を受けつけると、第1スイッチ52を非接続にする。これにより、連携点50と自立負荷22とが電気的に非接続にされる。これに続いて、マスタ蓄電装置14の出力およびスレーブ蓄電装置16の出力が停止される。
【0042】
一方、蓄電システム100が自立運転を実行している状況下において、マスタ蓄電装置14の出力あるいはスレーブ蓄電装置16の出力が停止してしまった場合は、次の処理が実行される。スレーブ蓄電装置16の出力が停止した場合、マスタ蓄電装置14の出力は継続しているので、電圧センサ80において検出される交流電圧の大きさはゼロにならない。そのため、制御部56は、第1スイッチ52および第2スイッチ54を切りかえない。これにより、第1スイッチ52は接続され、第2スイッチ54は自立電路216と自立電路214とを接続するままである。マスタ蓄電装置14および動作しているスレーブ蓄電装置16によって供給可能な電力よりも自立負荷22での消費電力が低下している場合、マスタ蓄電装置14および動作しているスレーブ蓄電装置16は、自立負荷22に電力を供給し続ける。
【0043】
一方、マスタ蓄電装置14の出力が停止した場合、電圧センサ80は電圧非印加を検出する。これにより、第1スイッチ52は非接続にされるので、連携点50と自立負荷22とが電気的に非接続にされる。つまり、マスタ蓄電装置14の出力が停止した場合、自立負荷22への電力供給は停止される。
【0044】
本実施例によれば、第1スイッチ52は、マスタ蓄電装置14の出力が開始され、かつスレーブ蓄電装置16の出力が開始されてから、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続するので、消費電力の大きな自立負荷22が接続されている場合であっても電力の供給を安定化できる。また、第2スイッチ54は、マスタ蓄電装置14の出力が開始され、かつスレーブ蓄電装置16の出力が開始されてから、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続するので、消費電力の大きな自立負荷22が接続されている場合であっても電力の供給を安定化できる。また、第2スイッチ54は、連携点50と自立負荷22とを電気的に非接続にしている場合、自立負荷22と商用電源とを電気的に接続するので、自立運転がなされていない場合に連系運転を実行できる。
【0045】
また、商用電源の停電を検出して所定時間経過してから、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続するので、マスタ蓄電装置14の出力が開始され、かつスレーブ蓄電装置16の出力が開始されたタイミングを推定できる。また、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16において、停電を検出してから自立運転に切りかわるまでの時間以上になるように所定時間が設定されるので、消費電力の大きな自立負荷22が接続されている場合であっても電力の供給を安定化できる。
【0046】
また、連携点50と自立負荷22とが電気的に非接続にされてから、マスタ蓄電装置14の出力およびスレーブ蓄電装置16の出力が停止されるので、安定した動作を実行させることができる。また、電圧センサ80が電圧非印加を検出すれば、連携点50と自立負荷22とを電気的に非接続にするので、安定した動作を実行させることができる。また、電圧センサ80が電圧非印加を検出しなければ、連携点50と自立負荷22とを電気的に非接続にしないので、自立負荷22に安定して電力を供給できる。
【0047】
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様の蓄電システム100は、マスタ蓄電装置14と、マスタ蓄電装置14の自立接続部42と自立負荷22とを結ぶ電路間の連携点50に接続されることによって、マスタ蓄電装置14に並列に接続されるスレーブ蓄電装置16と、連携点50と自立負荷22との間に配置される第1スイッチ52、第2スイッチ54とを備える。マスタ蓄電装置14は電圧制御を実行し、スレーブ蓄電装置16は電流制御を実行し、第1スイッチ52、第2スイッチ54は、マスタ蓄電装置14の出力が開始され、かつスレーブ蓄電装置16の出力が開始されてから、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続する。
【0048】
第2スイッチ54は、連携点50と自立負荷22とを電気的に非接続にしている場合、自立負荷22と商用電源10とを電気的に接続してもよい。
【0049】
商用電源の停電を検出する検出器58をさらに備えてもよい。第1スイッチ52、第2スイッチ54は、検出器58が停電を検出してから、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続してもよい。
【0050】
本発明の別の態様もまた、蓄電システム100である。この蓄電システム100は、マスタ蓄電装置14と、マスタ蓄電装置14の自立接続部42と自立負荷22とを結ぶ電路間の連携点50に接続されることによって、マスタ蓄電装置14に並列に接続されるスレーブ蓄電装置16と、連携点50と自立負荷22との間に配置される第1スイッチ52、第2スイッチ54とを備える。マスタ蓄電装置14は電圧制御を実行し、スレーブ蓄電装置16は電流制御を実行し、マスタ蓄電装置14の出力およびスレーブ蓄電装置16の出力は、連携点50と自立負荷22とが第1スイッチ52、第2スイッチ54によって電気的に非接続にされてから停止される。
【0051】
本発明のさらに別の態様もまた、蓄電システム100である。この蓄電システム100は、マスタ蓄電装置14と、マスタ蓄電装置14の自立接続部42と自立負荷22とを結ぶ電路間の連携点50に接続されることによって、マスタ蓄電装置14に並列に接続されるスレーブ蓄電装置16と、連携点50と自立負荷22との間に配置される第1スイッチ52、第2スイッチ54と、連携点50と第1スイッチ52、第2スイッチ54との間に配置される電圧センサ80とを備える。マスタ蓄電装置14は電圧制御を実行し、スレーブ蓄電装置16は電流制御を実行し、第1スイッチ52、第2スイッチ54は、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続している場合に、電圧センサ80が電圧非印加を検出すれば、連携点50と自立負荷22とを電気的に非接続にする。
【0052】
本発明のさらに別の態様は、運転方法である。この方法は、マスタ蓄電装置14と、マスタ蓄電装置14の自立接続部42と自立負荷22とを結ぶ電路間の連携点50に接続されることによって、マスタ蓄電装置14に並列に接続されるスレーブ蓄電装置16と、連携点50と自立負荷22との間に配置される第1スイッチ52、第2スイッチ54とを備えるとともに、マスタ蓄電装置14は電圧制御を実行し、スレーブ蓄電装置16は電流制御を実行する蓄電システム100における運転方法であって、マスタ蓄電装置14の出力が開始され、かつスレーブ蓄電装置16の出力が開始されるステップと、マスタ蓄電装置14の出力が開始され、かつスレーブ蓄電装置16の出力が開始されてから、第1スイッチ52、第2スイッチ54が連携点50と自立負荷22とを電気的に接続するステップと、を備える。
【0053】
本発明のさらに別の態様もまた、運転方法である。この方法は、マスタ蓄電装置14と、マスタ蓄電装置14の自立接続部42と自立負荷22とを結ぶ電路間の連携点50に接続されることによって、マスタ蓄電装置14に並列に接続されるスレーブ蓄電装置16と、連携点50と自立負荷22との間に配置される第1スイッチ52、第2スイッチ54とを備えるとともに、マスタ蓄電装置14は電圧制御を実行し、スレーブ蓄電装置16は電流制御を実行する蓄電システム100における運転方法であって、連携点50と自立負荷22とが第1スイッチ52、第2スイッチ54によって電気的に非接続にされるステップと、連携点50と自立負荷22とが第1スイッチ52、第2スイッチ54によって電気的に非接続にされてから、マスタ蓄電装置14の出力およびスレーブ蓄電装置16の出力が停止されるステップと、を備える。
【0054】
本発明のさらに別の態様もまた、運転方法である。この方法は、マスタ蓄電装置14と、マスタ蓄電装置14の自立接続部42と自立負荷22とを結ぶ電路間の連携点50に接続されることによって、マスタ蓄電装置14に並列に接続されるスレーブ蓄電装置16と、連携点50と自立負荷22との間に配置される第1スイッチ52、第2スイッチ54と、連携点50と第1スイッチ52、第2スイッチ54との間に配置される電圧センサ80とを備えるとともに、マスタ蓄電装置14は電圧制御を実行し、スレーブ蓄電装置16は電流制御を実行する蓄電システム100における運転方法であって、第1スイッチ52、第2スイッチ54が連携点50と自立負荷22とを電気的に接続している場合において、電圧センサ80が電圧非印加を検出するステップと、電圧センサ80が電圧非印加を検出すれば、第1スイッチ52、第2スイッチ54が連携点50と自立負荷22とを電気的に非接続にするステップと、を備える。
【0055】
(実施例2)
次に実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、マスタ蓄電装置とスレーブ蓄電装置が負荷に対して並列に接続される蓄電システムに関する。また、実施例2でも、マスタ蓄電装置とスレーブ蓄電装置のそれぞれが供給可能な電力よりも大きな消費電力を有する負荷が蓄電システムに接続されている場合を想定する。実施例1の(2)では、検出器が商用電源の停電を検出してから所定時間以降経過したタイミングが、マスタ蓄電装置の出力が開始されるとともに、スレーブ蓄電装置の出力が開始されたタイミングと推定されている。実施例2では、実施例1と異なった方法でこのタイミングを検出する。実施例2に係る蓄電システム100は、
図1、
図3と同様のタイプであり、スレーブ蓄電装置16は、
図2と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
【0056】
図4は、本発明の実施例2に係る切替盤20の構成を示す。切替盤20は、連携点50、第1スイッチ52、第2スイッチ54、制御部56、電圧センサ80、電流センサ82と総称される第1電流センサ82a、第2電流センサ82bを含む。第1電流センサ82aは第1スレーブ交流電路210aに配置され、第2電流センサ82bは第2スレーブ交流電路210bに配置される。つまり、電流センサ82は、連携点50とスレーブ蓄電装置16との間に配置される。各電流センサ82は、電流を検出して制御部56に出力する。また、電圧センサ80は、実施例1と同様に配置される。
【0057】
制御部56は、電圧センサ80および電流センサ82からの検出結果をもとに、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16の出力開始タイミングを検出する。ここでは、この検出処理を
図5を使用しながら説明する。
図5は、制御部56の動作概要を示す。連系運転から自立運転に切りかわった場合、自立運転のマスタ蓄電装置14だけが交流電力の出力を開始する(以下、この状態を「第1状態」という)と、電圧センサ80では交流電圧が検出される。一方、スレーブ蓄電装置16の出力は開始されていないので、電流センサ82では交流電流が検出されない。このような電流の状態が「第1電流状態」である。
【0058】
第1状態に続いて、自立運転のスレーブ蓄電装置16、具体的にはパワーコンディショナ44が交流電力を出力するための準備を開始する(以下、この状態を「第2状態」という)。第2状態では、パワーコンディショナ44とスレーブ交流電路210との間の導通が確立されるが、パワーコンディショナ44から交流電力が出力されていない。そのため、パワーコンディショナ44と自立接続部42との間に配置されたコンデンサ(図示せず)に対して、スレーブ交流電路210側から電流が流れ込む。そのため、電流センサ82では、電圧センサ80において検出された交流電圧に対して90度進相した交流電流が検出される。このような電流の状態が「第2電流状態」である。
【0059】
第2状態に続いて、自立運転のスレーブ蓄電装置16、具体的にはパワーコンディショナ44が交流電力を出力する(以下、この状態を「第3状態」という)。第3状態では、第2電流状態における交流電流を打ち消すような交流電流がパワーコンディショナ44から出力される。そのため、電流センサ82では、第1電流状態と同様に、交流電流が検出されない。そのため、このような電流の状態も「第1電流状態」である。なお、第1状態から第3状態にわたって、電圧センサ80は交流電力を検出する。
【0060】
制御部56は、電圧センサ80からの検出結果が交流電力を示している場合に、電流センサ82からの検出結果が第1電流状態、第2電流状態、第1電流状態の順に遷移すれば、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16の出力開始のタイミングを検出する。第1電流状態、第2電流状態、第1電流状態の順の遷移は、ゼロ、90度進相電流、ゼロの順の遷移といえる。制御部56は、出力開始のタイミングを検出すれば、第1スイッチ52を接続し、第2スイッチ54において自立電路216と自立電路214とを接続する。
【0061】
本実施例によれば、電流センサ82において検出した電流状態の変化をもとに、マスタ蓄電装置14の出力が開始され、かつスレーブ蓄電装置16の出力が開始されたタイミングを検出するので、検出精度を向上できる。また、検出精度が向上するので、停電時に自立負荷22に電力を供給していない期間を短縮できる。
【0062】
本発明の一態様の概要は、次の通りである。連携点50とスレーブ蓄電装置16との間に配置される電流センサ82をさらに備えてもよい。第1スイッチ52、第2スイッチ54は、電流センサ82が、(1)マスタ蓄電装置14だけが出力を開始している場合での第1電流状態、(2)第1電流状態とは異なった第2電流状態、(3)第1電流状態の順に検出してから、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続してもよい。
【0063】
(実施例3)
次に実施例3を説明する。実施例3は、これまでと同様に、マスタ蓄電装置とスレーブ蓄電装置が負荷に対して並列に接続される蓄電システムに関する。また、実施例3でも、マスタ蓄電装置とスレーブ蓄電装置のそれぞれが供給可能な電力よりも大きな消費電力を有する負荷が蓄電システムに接続されている場合を想定する。これまでは、マスタ蓄電装置とすべてのスレーブ蓄電装置から出力が開始された場合に、連携点と自立負荷とが接続されている。実施例3では、これまでよりも接続のタイミングを早めることを目的とする。実施例3に係る蓄電システム100は、
図1、
図3と同様のタイプであり、スレーブ蓄電装置16は、
図2と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0064】
図1において、制御部56は、定常時、つまり連系運転がなされている場合に、自立負荷22において消費される電力量を測定する。なお、電力量の測定には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。このような状態において、制御部56は、検出器58からの停電検出の通知を受けつけた場合、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16が自立運転する際に、それらから出力される交流電力の電力量を測定する。この電力量の測定にも公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。ここで、マスタ蓄電装置14の出力が開始され、かつ複数のスレーブ蓄電装置16のうちの一部の出力が開始されている状態の電力量を制御部56が受けつけた場合を想定する。これは、すべてのスレーブ蓄電装置16が出力を開始していない状態といえる。
【0065】
このような電力量、つまりマスタ蓄電装置14と一部のスレーブ蓄電装置16によって供給可能な電力量が自立負荷22の電力量よりも大きい場合、制御部56は、第1スイッチ52と第2スイッチ54の切替を制御する。制御部56による切替によって、第1スイッチ52は接続にされ、第2スイッチ54は自立電路216と自立電路214とを接続する。つまり、第1スイッチ52および第2スイッチ54は、マスタ蓄電装置14および一部のスレーブ蓄電装置16の出力が開始されている状態であっても、供給可能な電力量が自立負荷22の電力量よりも大きい場合、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続する。
【0066】
本実施例によれば、マスタ蓄電装置14と一部のスレーブ蓄電装置16出力が開始されている場合でも、供給可能な電力量が自立負荷22の電力量よりも大きければ、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続するので、停電時に自立負荷22に電力を供給していない期間を短縮できる。また、マスタ蓄電装置14と一部のスレーブ蓄電装置16の出力が開始されている場合でも、供給可能な電力量が自立負荷22の電力量よりも大きければ、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続するので、起動しないスレーブ蓄電装置16があっても自立負荷22に電力を供給できる。
【0067】
本発明の一態様の概要は、次の通りである。マスタ蓄電装置14には、複数のスレーブ蓄電装置16が並列に接続されており、第1スイッチ52、第2スイッチ54は、マスタ蓄電装置14の出力が開始され、かつ複数のスレーブ蓄電装置16のうちの一部の出力が開始されている状態であっても、供給可能な電力量が自立負荷22の電力量よりも大きい場合、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続してもよい。
【0068】
(実施例4)
次に実施例4を説明する。実施例4は、これまでと同様に、マスタ蓄電装置とスレーブ蓄電装置が負荷に対して並列に接続される蓄電システムに関する。また、実施例4でも、マスタ蓄電装置とスレーブ蓄電装置のそれぞれが供給可能な電力よりも大きな消費電力を有する負荷が蓄電システムに接続されている場合を想定する。実施例1の(2)では、検出器が商用電源の停電を検出してから所定時間以降経過したタイミングが、マスタ蓄電装置の出力が開始されるとともに、スレーブ蓄電装置の出力が開始されたタイミングと推定されている。実施例4では、これまでと異なった方法でこのタイミングを推定する。実施例4に係る蓄電システム100は、
図1、
図3と同様のタイプであり、スレーブ蓄電装置16は、
図2と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0069】
図1において、電圧センサ80は、前述のごとく、連携点50と第1スイッチ52との間に配置される。電圧センサ80は、電圧印加を検出した場合、電圧印加の検出を制御部56に通知する。制御部56は、電圧センサ80からの通知を受けつけると、所定時間以降に第1スイッチ52および第2スイッチ54を切りかえる。ここで、所定時間は、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16において、停電を検出してから自立運転に切りかわるまでの時間以上に設定される。制御部56による切替によって、第1スイッチ52は接続にされ、第2スイッチ54は自立電路216と自立電路214とを接続する。これにより、連携点50と自立負荷22とが電気的に接続される。
【0070】
本実施例によれば、電圧センサ80が電圧印加を検出した場合、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続するので、処理を簡易にできる。
【0071】
本発明の一態様の概要は、次の通りである。連携点50と第1スイッチ52、第2スイッチ54との間に配置される電圧センサ80をさらに備えてもよい。第1スイッチ52、第2スイッチ54は、電圧センサ80が電圧印加を検出してから、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続してもよい。
【0072】
(実施例5)
次に実施例5を説明する。実施例5は、これまでと同様に、マスタ蓄電装置とスレーブ蓄電装置が負荷に対して並列に接続される蓄電システムに関する。また、実施例5でも、マスタ蓄電装置とスレーブ蓄電装置のそれぞれが供給可能な電力よりも大きな消費電力を有する負荷が蓄電システムに接続されている場合を想定する。実施例1の(2)では、検出器が商用電源の停電を検出してから所定時間以降経過したタイミングが、マスタ蓄電装置の出力が開始されるとともに、スレーブ蓄電装置の出力が開始されたタイミングと推定されている。実施例5では、これまでと異なった方法でこのタイミングを検出する。実施例5に係る蓄電システム100は、
図1、
図3と同様のタイプであり、スレーブ蓄電装置16は、
図2と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0073】
マスタ蓄電装置14と制御部56との間は、図示しない通信回線によって接続されており、スレーブ蓄電装置16と制御部56との間も、図示しない通信回線によって接続される。マスタ蓄電装置14は、自立運転における交流電力の出力を開始した場合、出力開始の信号を制御部56に出力する。また、スレーブ蓄電装置16は、自立運転における交流電力の出力を開始した場合、出力開始の信号を制御部56に出力する。制御部56は、マスタ蓄電装置14からの出力開始の信号を入力するとともに、スレーブ蓄電装置16からの出力開始の信号を入力した場合、第1スイッチ52および第2スイッチ54を切りかえる。制御部56による切替によって、第1スイッチ52は接続にされ、第2スイッチ54は自立電路216と自立電路214とを接続する。これにより、連携点50と自立負荷22とが電気的に接続される。
【0074】
本実施例によれば、マスタ蓄電装置14とスレーブ蓄電装置16が、自立運転における交流電力の出力を開始した場合、出力開始の信号を出力するので、出力開始を正確に認識できる。
【0075】
本発明の一態様の概要は、次の通りである。第1スイッチ52、第2スイッチ54は、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16が出力開始の信号を出力してから、連携点50と自立負荷22とを電気的に接続してもよい。
【0076】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0077】
本実施例において、マスタ蓄電装置14およびスレーブ蓄電装置16には蓄電池48が接続される。しかしながらこれに限らず例えば、マスタ蓄電装置14あるいはスレーブ蓄電装置16に、太陽電池が接続されてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。