(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620982
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】シートの回転規制構造
(51)【国際特許分類】
B60N 2/30 20060101AFI20191209BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
B60N2/30
B60N2/42
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-254972(P2015-254972)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-114447(P2017-114447A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】長江 寛之
【審査官】
中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−91053(JP,A)
【文献】
実開昭60−46442(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第1972490(EP,A1)
【文献】
実開昭60−110039(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00− 2/90
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配置されるシートの回転規制構造であって、
前記車室の下方を区画するフロアパネルの上面に載置される前側支持部材底面部を有し、前記フロアパネルに対して固定されるシート前側支持部材と、
前記シート前側支持部材の後方で前記フロアパネルに対して固定されるシート後側支持部材と、
車幅方向に延びる回転軸を中心として前記シート前側支持部材に回転自在に支持されるシートフレーム前端部と、前記シート後側支持部材に着脱自在に連結されるシートフレーム後端部とを有し、前記シートのシートクッションを保持し、前記シートフレーム後端部が前記シート後側支持部材に連結された着座位置で、前記フロアパネルから上方へ離間して前後方向に延び、前記シートに着座した乗員の臀部を前記シートクッションを介して下方から支持するとともに、前記シートフレーム後端部と前記シート後側支持部材との連結が解除された連結解除状態で、前記回転軸を中心として前記着座位置から前上方へ傾動可能なシートフレームと、
前記シートに着座した乗員を前記シートに拘束可能な乗員拘束装置と、
前記回転軸の後方で前記前側支持部材底面部と前記シートフレームとの間に配置され、前記シート前側支持部材及び前記シートフレームの少なくとも一方に固定されて、前記前側支持部材底面部と前記シートフレームとの間に挟まれることにより前記フロアパネルと前記シートフレームとの近接方向への相対移動を規制するストッパと、を備える
ことを特徴とするシートの回転規制構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車室内に配置されるシートの回転規制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートが車体に対して相対回動可能状態として支持される構造が記載されている。シートには、シートクッションのフロントレッグに回動リンク機構が備えられている。回動リンク機構は、車体側に固定された第1ベース部材と、シートクッション側に固定された第2ベース部材と、これら第1ベース部材と第2ベース部材とを相対回動可能に軸支するヒンジピンと、を有している。第1ベース部材におけるヒンジピンの架設位置近傍には、第2ベース部材の係止部位に係止して第2ベース部材の最大回動位置を規制するストッパ部材が架設されて固定されている。シートクッションのリアレッグには、シートを着座位置に保持するロック機構が備えられている。また、
図2には、ヒンジピンよりも細径なピン形状のストッパ部材が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−123578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造では、乗員がシートベルトを使用している状態で車両が前面衝突すると、シートベルトによって拘束された乗員の前方への慣性力(荷重)がシートに入力し、ロック機構に前斜め上方への引張り荷重が作用する。ロック機構に作用する引っ張り荷重が増大すると、ロック機構が前斜め上方へ移動し、回動リンク機構及びロック機構が固定されたフロアパネルは、回動リンク機構側に対してロック機構側が斜め前上方へ移動するように曲折変形する。係る曲折変形に際し、シートクッションの前端側が回動リンク機構によりフロアパネルに相対回転可能に支持されているため、回動リンク機構とロック機構との間のフロアパネルは、上方へ凸となる湾曲状(上凸湾曲状)に変形し易く、フロアパネルが上凸湾曲状に変形すると、回動リンク機構とロック機構との距離が短縮し、ロック機構に掛かる負荷荷重が増加して、シート及びフロアの変形増大や破壊に繋がりやすくなる。
【0005】
なお、ストッパ部材は、フロアパネルに近接する方向へのシートの回転を規制するため、フロアパネルの変形抑制にある程度寄与するが、ロック機構に過大な引っ張り荷重が作用した際のシート及びフロアの変形増大や破壊を確実に防止するためには、外径の増大等によって剛性を高めたストッパ部材を第1ベース部材に強固に固定する必要があり、構造の大型化や重量化を招く。
【0006】
そこで、本発明は、構造の大型化や重量化を招くことなく、シート及びフロアの変形増大や破壊を確実に防止することが可能なシートの回転規制構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は、車室内に配置されるシートの回転規制であって、シート前側支持部材と、シート後側支持部材と、シートフレームと、乗員拘束装置と、ストッパと、を備える。
【0008】
シート前側支持部材は、車室の下方を区画するフロアパネルの上面に載置される前側支持部材底面部を有し、フロアパネルに対して固定される。シート後側支持部材は、シート前側支持部材の後方でフロアパネルに対して固定される。シートフレームは、シートフレーム前端部と、シートフレーム後端部とを有する。シートフレーム前端部は、車幅方向に延びる回転軸を中心としてシート前側支持部材に回転自在に支持される。シートフレーム後端部は、シート後側支持部材に着脱自在に連結される。シートフレームは、シートのシートクッションを保持し、シートフレーム後端部がシート後側支持部材に連結された着座位置で、フロアパネルから上方へ離間して前後方向に延び、シートに着座した乗員の臀部をシートクッションを介して下方から支持するとともに、シートフレーム後端部とシート後側支持部材との連結が解除された連結解除状態で、回転軸を中心として着座位置から前上方へ傾動可能である。
【0009】
乗員拘束装置は、シートに着座した乗員をシートに拘束可能である。ストッパは、回転軸の後方で前側支持部材底面部とシートフレームとの間に配置され、シート前側支持部材及びシートフレームの少なくとも一方に固定されて、前側支持部材底面部とシートフレームとの間に挟まれることによりフロアパネルとシートフレームとの近接方向への相対移動を規制する。
【0010】
乗員が乗員拘束装置を使用している状態で車両が前面衝突すると、乗員拘束装置によって拘束された乗員の前方への慣性力(荷重)がシートに入力し、シート後側支持部材に前斜め上方への引張り荷重が作用する。シート後側支持部材に作用する引っ張り荷重が増大すると、シート後側支持部材が前斜め上方へ移動し、フロアパネルは、シート前側支持部材側に対してシート後側支持部材側が斜め前上方へ移動するように曲折変形する。係る曲折変形に際し、シートフレーム前端部がシート前側支持部材に回転可能に支持されているため、シート前側支持部材とシート後側支持部材との間のフロアパネルは、上方へ凸となる湾曲状(上凸湾曲状)へ変形し易く、フロアパネルが上凸湾曲状に変形すると、シート前側支持部材とシート後側支持部材との距離が短縮し、シートフレーム後端部とシート後側支持部材との連結部分(シートロック機構)に掛かる負荷荷重が増加して、シート及びフロアの変形増大や破壊に繋がり易くなる。
【0011】
これに対し、上記構成では、前側支持部材底面部とシートフレームとの間に挟まれることによりフロアパネルとシートフレームとの近接方向への相対移動を規制するストッパを、回転軸の後方で前側支持部材底面部とシートフレームとの間に配置してシート前側支持部材及びシートフレームの少なくとも一方に固定しているので、フロアパネルの上記上凸湾曲状の変形をストッパによって抑制することができ、シート前側支持部材とシート後側支持部材との距離の短縮化に起因したシート及びフロアの変形増大や破壊を確実に防止することができる。
【0012】
また、ストッパは、前側支持部材底面部とシートフレームとの間に挟まれることによりフロアパネルとシートフレームとの近接方向への相対移動を規制するので、ストッパをシート前側支持部材又はシートフレームに強固に固定する必要がなく、且つ小型のストッパであっても十分な剛性を確保することができる。従って、構造の複雑化や重量化を招くことがない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、構造の大型化や重量化を招くことなく、シート及びフロアの変形増大や破壊を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るシートの回転規制構造を備えたシートを車幅方向から視た側面図である。
【
図2】
図1のシートのII−II矢視断面図である。
【
図3】
図1のシートのフロントレッグを斜め上前方から視た斜視図である。
【
図4】
図1のシートに前方への荷重が入力された状態を車幅方向から視た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において、矢印FRは車両の前方を、矢印UPは上方を、矢印INは車幅内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、所謂前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両の前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0016】
図1に示すように、車両の車室内の後部には、乗員が前方を向いて着座するリヤシート(シート)2が設けられる。車室の下方を区画するフロアパネル1には、左右1対のフロントレッグ(シート前側支持部材)10と、フロントレッグ10の後方に配置される左右1対のストライカ(シート後側支持部材)13とが固定され、リヤシート2の前部は、左右のフロントレッグ10によって下方から支持され、リヤシート2の後部は、左右のストライカ13によって下方から支持される。なお、左右のフロントレッグ10と左右のストライカ13とは、それぞれ左右対称に構成されているため、以下では主に左側について説明し、右側についての説明は適宜省略する。また、本実施形態ではリヤシートを例示して説明するが、車室内の前部に配置されるフロントシートなどの他のシートであってもよい。
【0017】
フロアパネル1は、フロア前部40と、第1フロア起立面部41と、リヤシート支持面部42と、第2フロア起立面部43と、フロア後部44とを有する。フロア前部40には、フロントシート(図示省略)を支持する前席領域と、前席領域から後方へ連続して平坦面状に延びる後席前部領域とが含まれる。第1フロア起立面部41は、フロア前部40の後端縁から斜め後上方へ傾斜する。リヤシート支持面部42は、第1フロア起立面部41の上端縁から後方へ略水平に延びる。第2フロア起立面部43は、リヤシート支持面部42の後端縁から斜め後上方へ傾斜する。フロア後部44は、第2フロア起立面部43の上端縁から後方へ略水平に延びる。
【0018】
図3に示すように、フロントレッグ10は、フロアパネル1のリヤシート支持面部42の前端部に配置される。フロントレッグ10は、前後方向から視て上方に開口するU形状であり、前側支持部材底面部20と、左右1対の前側支持部材側板部21とを一体的に有する。前側支持部材底面部20は、フロアパネル1のリヤシート支持面部42の前端に面接触した状態で固定される。前側支持部材側板部21は、前側支持部材底面部20の左右の側縁部から略直角に曲折して上方に延び、左右の前側支持部材側板部21の上端部には、車幅方向に貫通する支持部材側挿通孔29が形成される。
【0019】
図1に示すように、ストライカ13は、逆U状の棒体であり、その下端部がリヤシート支持面部42の後端部に固定され、リヤシート支持面部42から上方へ突出して設けられる。
【0020】
図1及び
図2に示すように、リヤシート2は、着座者4の臀部を下方から支持するシートクッション14と、シートクッション14を保持する左右1対のシートフレーム15と、シートクッション14の後端側から上方へ延びて着座者4の背部を後方から支持するシートバック16とを有する。左右のシートフレーム15は、車幅方向に延びる複数の連結シャフト(図示省略)によって連結されている。シートクッション14及びシートバック15の各バッド材(図示省略)は、骨格部材であるクッションフレーム(図示省略)及びバックフレーム(図示省略)によってそれぞれ支持され、クッションフレームは、シートフレーム15によって下方から支持される。
【0021】
シートクッション14の下面の左右両端には、下方に開口するシートフレーム挿入溝18が前後に亘って形成され、シートフレーム挿入溝18は、シートフレーム15の車幅方向の幅と略等しい溝幅を有する。後述する着座位置において、リヤシート支持面部42の上面から上方へ離間して前後方向に直線状に延び、シートフレーム15は、シートフレーム挿入溝18に挿入された状態でシートクッション14を下方から支持する。すなわち、着座位置のシートフレーム15は、リヤシート2に着座した乗員(着座者4)の臀部をシートクッション14を介して下方から支持する。
【0022】
シートフレーム15の前端部(シートフレーム前端部25)には、支持部材側挿通孔29と連通可能なシート側挿通孔28が形成される。シートフレーム前端部25をフロントレッグ10の左右の前側支持部材側板部21の間に挿入し、左右の支持部材側挿入孔29とシート側挿通孔28とを車幅方向に連通させた状態で、支持部材側挿入孔29及びシート側挿通孔28に回転軸27を挿入することにより、シートフレーム15は、回転軸27を中心として回転自在に左右のフロントレッグ10に支持される。
【0023】
シートフレーム15の後端部(シートフレーム後端部26)の上部には、車幅方向に延びる軸を中心としてシートバック16のバックフレームを回転自在に支持するバック支持部17が突設されている。シートフレーム後端部26には、シートフレーム15(シートクッション14)に対するシートバック16の傾動位置を任意の位置で解除可能に固定するシートバックロック機構(図示省略)が設けられる。
【0024】
シートフレーム後端部26の下部には、左右1対のリヤレッグ11が下方に突設される。各リヤレッグ11には、シートロック機構22が設けられ、各シートロック機構22は、ストライカ受容部23と係合フック24とを備える。ストライカ受容部23は、リヤレッグ11の下端部において、車幅方向から視て下方に開口する凹部である。係合フック24は、車幅方向に延びる軸を中心としてリヤレッグ11に対して回転自在に取り付けられ、ストライカ13に解除可能に係合する。係合フック24は、バネ等の付勢部材(図示省略)によってストライカ13と係合する方向へ付勢され、乗員等が付勢部材の付勢力に抗して係合フック24を回転操作することにより、係合フック24とストライカ13との係合(シートロック機構22のロック)が解除される。すなわち、シートフレーム後端部26(リヤレッグ11)は、ストライカ13(シートロック機構22)に着脱自在に連結される。
【0025】
リヤシート2を使用する(リヤシート2に着座する)場合、乗員は、シートロック機構22によりシートフレーム後端部26がストライカ13に連結された着座位置にリヤシート2を設定し、シートバックロック機構を適宜操作して、シートバック16を所望の傾斜角度に設定する。
【0026】
一方、リヤシート2を使用せずに格納する場合、乗員は、シートバックロック機構のロックを解除し、シートクッション14に重なるようにシートバック16を倒伏した後、シートロック機構22のロックを解除した状態(シートフレーム後端部26とストライカ13との連結が解除された連結解除状態)で、リヤシート2の後端側を持ち上げ、リヤシート2を、着座位置から格納位置まで回転軸27を中心として前上方へ傾動させて起立させる。
【0027】
リヤシート2には、シートベルト装置(乗員拘束装置)3が設けられている。シートベルト装置3は、リトラクタ(巻き取り装置)50と、シートベルト51と、左右のアンカー部52L,52Rと、連結金具53とを有する。リトラクタ50は、例えばシートバック16の車幅方向外側の上端部に内蔵され、シートベルト51の一端部は、リトラクタ50に繰り出し可能に巻き付けられる。シートベルト51の中間部には、連結金具53が移動可能に挿通され、車幅方向外側のアンカー部52Lには、シートベルト51の他端部が固定される。車幅方向内側のアンカー部52Rには、連結金具53が着脱可能に係止されるバックル54が設けられ、リヤシート2に着座した乗員(着座者4)は、連結金具53をバックル54に係止することにより、リヤシート2に拘束された状態となる。
【0028】
図1〜
図3に示すように、回転軸27の後方には、金属製のストッパ12が設けられる。ストッパ12は、フロントレッグ10の前側支持部材底面部20の上面とシートフレーム前端部25の下面との間であって、回転軸27を中心として着座位置と格納位置との間で傾動するシートフレーム15と干渉しない位置に配置される。ストッパ12は、ストッパ底面部30とストッパ側面部31とストッパ当接面部32とを一体的に有する箱体状である。ストッパ底面部30は、前側支持部材底面部20の上面と面接触した状態で前側支持部材底面部20に溶接等によって固定され、ストッパ当接面部32の上面は、着座位置のシートフレーム前端部25の下面と近接又は接触した状態で対向する。ストッパ12は、前側支持部材底面部20とシートフレーム前端部25との間に挟まれることにより、フロアパネル1とシートフレーム15との近接方向への相対移動を規制する。
【0029】
図4に示すように、リヤシート2の着座者4がシートベルト51(シートベルト装置3)を使用している状態で車両が前面衝突すると、シートベルト51によって拘束された着座者4の前方への慣性力(荷重)がリヤシート2に入力し、ストライカ13に前斜め上方への引張り荷重が作用する。ストライカ13に作用する引張り荷重が増大すると、ストライカ13が前斜め上方へ移動し、フロアパネル1は、フロントレッグ10側に対してストライカ13側が斜め前上方へ移動するように曲折変形する。係る曲折変形に際し、シートフレーム前端部25がフロントレッグ10に回転可能に支持されているため、フロントレッグ10とストライカ13との間のフロアパネル1は、上方へ凸となる湾曲状(上凸湾曲状)へ変形し易く、フロアパネル1が上凸湾曲状に変形すると、フロントレッグ10とストライカ13との距離が短縮し、シートロック機構22に掛かる負荷荷重が増加して、リヤシート2及びフロアの変形増大や破壊に繋がり易くなる。
【0030】
これに対し、本実施形態では、前側支持部材底面部20とシートフレーム15との間に挟まれることによりフロアパネル1とシートフレーム15との近接方向への相対移動を規制するストッパ12を、回転軸27の後方で前側支持部材底面部20とシートフレーム15との間に配置してフロントレッグ10に固定しているので、フロアパネル1の上記上凸湾曲状の変形をストッパ12によって抑制することができ、フロントレッグ10とストライカ13との距離の短縮化に起因したリヤシート2及びフロアの変形増大や破壊を確実に防止することができる。
【0031】
また、ストッパ12は、前側支持部材底面部20とシートフレーム15との間に挟まれることによりフロアパネル1とシートフレーム15との近接方向への相対移動を規制するので、ストッパ12をフロントレッグ10に強固に固定する必要がなく、且つ小型のストッパ12であっても十分な剛性を確保することができる。従って、構造の複雑化や重量化を招くことがない。
【0032】
なお、上記実施形態ではストッパ12をフロントレッグ10側に固定したが、これに限定されず、ストッパ12をシートフレーム15側に固定してもよい。また、ストッパを分割し、その一方をフロントレッグ10側に固定し、他方をシートフレーム15側に固定してもよい。すなわち、ストッパは、回転軸27の後方で、且つ前面支持部材底面部20と着座位置のシートフレーム15との間に配置され、フロントレッグ10及びシートフレーム15の少なくとも一方に固定されるもの(例えば、ストッパの上面部をシートフレーム15の下面に面接触させた状態で固定して底面を当接面部とするものや、ストッパを上下分割タイプとし、上ストッパをシートフレーム15の下面に固定し、下ストッパを前側支持部材底面部20の上面に固定し、上ストッパの下面及び下ストッパの上面を当接面部としたものなど)であればよい。
【0033】
また、上記実施形態ではストッパ12を中空の箱状体としたが、ストッパ12の形態はこれに限定されず、例えば中実のブロック体としてもよく、ハニカム形状を有する構造体としてもよい。ハニカム形状を有する構造体とする場合、ストッパを樹脂等の非金属材によって形成してもよい。
【0034】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、前端側が回転自在に支持される車両用のシートに広くに適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 フロアパネル
2 リヤシート(シート)
3 シートベルト装置(乗員拘束装置)
4 乗員(着座者)
10 フロントレッグ(シート前側支持部材)
11 リヤレッグ
12 ストッパ
13 ストライカ(シ―ト後側支持部材)
14 シートクッション
15 シートフレーム
16 シートバック
17 バック支持部
18 シートフレーム挿入溝
20 前側支持部材底面部
21 前側支持部材側板部
22 シートロック機構
23 ストライカ受容部
24 係合フック
25 シートフレーム前端部
26 シートフレーム後端部
27 回転軸
28 シート側挿通孔
29 支持部材側挿通孔
30 ストッパ底面部
31 ストッパ側面部
32 ストッパ当接面部
40 フロア前部
41 第1フロア起立面部
42 リヤシート支持面部
43 第2フロア起立面部
44 フロア後部
50 リトラクタ
51 シートベルト
52L,52R アンカー部
53 連結金具
54 バックル