特許第6621050号(P6621050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6621050楽音制御信号発生装置その制御方法、楽音制御信号通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621050
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】楽音制御信号発生装置その制御方法、楽音制御信号通信システム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20191209BHJP
   G10H 1/32 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   G10H1/00 Z
   G10H1/32 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-196628(P2015-196628)
(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-81049(P2016-81049A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2018年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2014-212641(P2014-212641)
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】早渕 功紀
【審査官】 須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−026149(JP,A)
【文献】 特開2006−195264(JP,A)
【文献】 特開2001−22355(JP,A)
【文献】 特開2013−195705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00
G10H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏操作による動作を動力源として発電する発電手段と、
前記発電手段により発電された電力を用いて、演奏操作を演奏操作のストロークにおける複数位置で検出して、ベロシティを示す信号を含む楽音制御用信号を取得する取得手段と、
前記発電手段により発電された電力を用いて、前記取得手段により取得された楽音制御用信号を無線で出力する出力手段と、を有することを特徴とする楽音制御信号発生装置。
【請求項2】
さらに、演奏操作によって操作される演奏操作部を有し、
前記取得手段は、前記演奏操作部の動作を前記演奏操作として検出し、
前記演奏操作部の操作ストロークの範囲内に、前記発電手段による発電が可能な区間を有し、
前記演奏操作部の操作ストロークにおける、前記取得手段による前記演奏操作部の動作の検出位置は、前記発電が可能な区間内に含まれることを特徴とする請求項1記載の楽音制御信号発生装置。
【請求項3】
前記演奏操作部は、演奏操作として押下操作及び離操作が可能であり、
前記取得手段は、前記演奏操作部の押下操作行程及び離操作行程のそれぞれにおいて、前記演奏操作部の動作を検出し、
前記演奏操作部の押下操作行程においては、当該押下操作行程において前記発電手段により発電された電力を用いて、前記取得手段による前記楽音制御用信号の取得、及び前記出力手段による前記楽音制御用信号の無線出力が可能であり、
前記演奏操作部の離操作行程においては、当該離操作行程において前記発電手段により発電された電力を用いて、前記取得手段による前記楽音制御用信号の取得、及び前記出力手段による前記楽音制御用信号の無線出力が可能であることを特徴とする請求項2記載の楽音制御信号発生装置。
【請求項4】
演奏操作として押下操作及び離操作が可能な演奏操作部と、
前記演奏操作部の演奏操作による動作を動力源として発電する発電手段と、
前記発電手段により発電された電力を用いて、前記演奏操作部の押下操作行程及び離操作行程のそれぞれにおいて、前記演奏操作部の動作を検出して楽音制御用信号を取得する取得手段と、
前記発電手段により発電された電力を用いて、前記取得手段により取得された楽音制御用信号を無線で出力する出力手段と、を有し、
前記演奏操作部の押下操作行程においては、当該押下操作行程において前記発電手段により発電された電力を用いて、前記取得手段による前記楽音制御用信号の取得、及び前記出力手段による前記楽音制御用信号の無線出力が可能であり、
前記演奏操作部の離操作行程においては、当該離操作行程において前記発電手段により発電された電力を用いて、前記取得手段による前記楽音制御用信号の取得、及び前記出力手段による前記楽音制御用信号の無線出力が可能であることを特徴とする楽音制御信号発生装置。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の楽音制御信号発生装置と、
前記楽音制御信号発生装置の前記出力手段から出力された楽音制御用信号を受信し、該受信した受信した楽音制御用信号を、楽音発生装置の信号入力端子を介して前記楽音発生装置に入力する受信装置と、有することを特徴とする楽音制御信号通信システム。
【請求項6】
演奏操作による動作を動力源として発電する発電手段を有する楽音制御信号発生装置の制御方法であって、
前記発電手段により発電された電力を用いて、演奏操作を演奏操作のストロークにおける複数位置で検出して、ベロシティを示す信号を含む楽音制御用信号を取得し、
前記発電手段により発電された電力を用いて、前記取得された楽音制御用信号を無線で出力することを特徴とする楽音制御信号発生装置の制御方法。
【請求項7】
演奏操作として押下操作及び離操作が可能な演奏操作部と、前記演奏操作部の演奏操作による動作を動力源として発電する発電手段と、を有する楽音制御信号発生装置の制御方法であって、
前記発電手段により発電された電力を用いて、前記演奏操作部の押下操作行程及び離操作行程のそれぞれにおいて、前記演奏操作部の動作を検出して楽音制御用信号を取得し、
前記演奏操作部の押下操作行程においては、当該押下操作行程において前記発電手段により発電された電力を用いて、前記楽音制御用信号を取得すると共に前記楽音制御用信号を無線で出力し、
前記演奏操作部の離操作行程においては、当該離操作行程において前記発電手段により発電された電力を用いて、前記楽音制御用信号を取得すると共に前記楽音制御用信号を無線で出力することを特徴とする楽音制御信号発生装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏操作により取得される信号を出力する楽音制御信号発生装置及びその制御方法、楽音制御信号通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、楽音制御信号を発生する装置として、電子楽器の楽音を制御するための楽音制御用信号を演奏操作により出力するペダル等の演奏操作装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、サスティンペダルの操作を検出し、その検出により発生させた信号を電子ピアノ本体において楽音の制御に使用する構成が記載されている。具体的には、サスティンペダルの操作ストローク中に設けた2つのスイッチのうち1つによってオンを検出すると共に、2つのスイッチのオンの時間差によって操作速度を検出する。そして、操作がオンであると、共鳴音等を発生させ、その際、操作速度に応じて共鳴音等の長さやレベル等を制御する。
【0003】
一方、ペダル等の演奏操作装置を楽器本体に対して無線で接続し、操作による信号を楽器本体へワイヤレス送信できるようにした技術も知られている(下記非特許文献1)。この例では、ギター用のペダルがギターに対して無線で接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3024191号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“SHURE 製品情報 ワイヤレスシステム GLXD16 ボディパック型 / ギターペダルワイヤレスシステム”、[online]、〔2014年9月6日検索〕、インターネット<URL:http://www.shure.co.jp/ja/products/wireless_systems/glxd16>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1においては、ペダルの駆動源は有線接続による給電か、または充電装置(バッテリ)による給電である。そのため、有線給電の場合は、電源コードが邪魔となる。また、充電装置を利用する場合は、演奏途中で電池切れとなるおそれがある。さらに、いずれの場合も、電力の使用はランニングコストとしてユーザが負担することになる。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、有線による電力供給を必要とすることなく、また電力切れを心配することなく、演奏操作により楽音制御用信号を無線で出力することができる楽音制御信号発生装置及び楽音制御信号通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の楽音制御信号発生装置は、演奏操作による動作を動力源として発電する発電手段(25)と、前記発電手段により発電された電力を用いて、演奏操作を演奏操作のストロークにおける複数位置で検出して、ベロシティを示す信号を含む楽音制御用信号を取得する取得手段(18、30)と、前記発電手段により発電された電力を用いて、前記取得手段により取得された楽音制御用信号を無線で出力する出力手段(30)と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために本発明の請求項の楽音制御信号通信システムは、請求項1〜のいずれか1項に記載の楽音制御信号発生装置と、前記楽音制御信号発生装置の前記出力手段から出力された楽音制御用信号を受信し、該受信した受信した楽音制御用信号を、楽音発生装置の信号入力端子(41)を介して前記楽音発生装置に入力する受信装置(50)と、有することを特徴とする。
【0010】
なお、上記括弧内の符号は例示である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有線による電力供給を必要とすることなく、また電力切れを心配することなく、演奏操作により楽音制御用信号を無線で出力することができる。
【0012】
請求項2によれば、発電期間中に演奏操作部の動作検出を行え、充電機能を要しない。請求項3によれば、充電機能を要することなく、押下操作及び離操作の各々の行程において楽音制御用信号を無線出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係る楽音制御信号発生装置を含む楽音制御信号通信システムの構成を示す図(図(a))、楽音制御信号発生装置の斜視図(図(b))である。
図2】楽音制御信号発生装置の縦断面による内部透視図である。
図3】ペダル部の演奏操作ストロークと発電可能期間と操作検出位置との関係を示す概念図(図(a))、発電手段、楽音制御用信号を取得する取得手段、及び、楽音制御用信号を無線で出力する出力手段を実現する電気的構成を示す図(図(b))である。
図4】受信モジュールと楽器との接続状態を示す図である。
図5】検出部等の変形例を示す図(図(a)、(b)、(d))、ペダル部の演奏操作ストロークと発電可能期間と操作検出位置との関係を示す概念図(図(c))である。
図6】各種の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1(a)は、本発明の一実施の形態に係る楽音制御信号発生装置を含む楽音制御信号通信システムの構成を示す図である。図1(b)は、楽音制御信号発生装置の斜視図、図2は、楽音制御信号発生装置の縦断面による内部透視図である。この楽音制御信号発生装置として例示される演奏操作装置(以下、ペダル装置10と記す)は、一例としてフットペダルとして構成される。図1(a)、(b)に示したペダル装置10は、カバー13を取り外した状態で示されている。楽音制御信号通信システムは、ペダル装置10、受信モジュール50及び楽器40で構成される。楽器40は楽音発生装置の例示である。楽器40として電子鍵盤楽器を例示するが、特に種類は問わず、ギター等の他の電子楽器であってもよい。
【0016】
以降、詳細に説明するように、ペダル装置10は、楽音制御用信号をワイヤレスで受信モジュール50へ送信する。受信モジュール50を楽器40の入力端子41に接続し、ペダル装置10から受信モジュール50へ楽音制御用信号を送信する。楽音制御用信号は、楽器40において楽音制御に反映される。本実施の形態では、ペダル装置10を、楽器40で発音される楽音にサスティン効果を付加するためのサスティンペダルとして用いる構成を例示する。ペダル装置10は演奏により楽音制御用信号を取得して、受信モジュール50へ送信する。ペダル装置10は、外部から電力の供給を受けることなく、演奏操作により発電した電力を用いて信号の取得及び送信を行える。
【0017】
ペダル装置10は、ベース部11上に、回動支点P1(図2)を中心に回動自在に配設されたペダル部12を有する。ペダル部12の回動支点P1側の半部及びその近傍の構成要素はカバー13で覆われている。ペダル部12は、スプリング19(図1(a))によって、その自由端部が常に上方に付勢されている。奏者は、演奏操作として、ペダル部12の自由端部を足で踏む押下操作と、足を離す離操作とを行える。非操作状態におけるペダル部12の初期位置(レスト位置)は上ストッパ14で規定され、演奏操作の往行程におけるペダル部12の回動終了位置(エンド位置)は下ストッパ15によって規定される。上ストッパ14及び下ストッパ15には、ペダル部12と当接する緩衝材ないし弾性材が配置される。
【0018】
ペダル部12の、回動支点P1に近い位置には、取り付け部9がネジで固定される(図1(a))。取り付け部9はスイッチ駆動部17を有する。また、ベース部11上において、スイッチ駆動部17に対応する位置に、検出部18が配設される。検出部18は、接触式のスイッチ18aを有する。スイッチ18aとして、例えば、リーフスイッチが採用され、スイッチ18aはスイッチ駆動部17により下方に押圧駆動されるように配置される(図5も参照)。スイッチ18aは、演奏における操作ストロークにおける所定の位置(図3(a)の検出位置ST1)でオンとオフとが切り替わり、演奏操作の往行程において所定の位置を通過するとオン、復行程において所定の位置を通過するとオフとなる。
【0019】
図2に示すように、回動支点P1よりもペダル部12の自由端部寄りで、カバー13内においてベース部11上に、発電機構部20が配設される。発電機構部20には、被駆動片21、伝達小ギア22、伝達大ギア23、被駆動ギア24及び回転型の発電機25が含まれる。被駆動片21は、回動支点P2を中心に回動自在である。被駆動片21には、往側係合部21a及び復側係合部21bで蟹爪型を呈する係合部が形成され、回動支点P2を挟んで係合部の反対側に駆動ギア部21cが形成される。往側係合部21a及び復側係合部21bで形成される凹部には、ペダル部12に固定的に設けられた駆動ピン16が係合されている。ペダル部12が往方向/復方向に回動すると、往側係合部21a/復側係合部21bが駆動されて、被駆動片21が回動する。
【0020】
伝達小ギア22と伝達大ギア23とは固定関係にあって、共通の回動支点P3を中心に一体に回動自在である。被駆動片21の駆動ギア部21cが伝達小ギア22と歯合しており、被駆動片21の回動が伝達小ギア22を介して伝達大ギア23に伝達される。発電機25はモータと同じ構成であり、その軸部の端部に被駆動ギア24が固着される。発電機25の軸部及び被駆動ギア24は共通の回動支点P4を中心に回動自在である。伝達大ギア23は被駆動ギア24と歯合しており、伝達大ギア23の回動が被駆動ギア24を介して発電機25の軸部に伝達され、発電機25が発電する。
【0021】
各ギアの回転方向を、図2における方向で呼称して動作を例示する。奏者がペダル部12を踏み込むと、駆動ピン16が往側係合部21aを駆動することで被駆動片21が時計方向に回動し、駆動ギア部21cが伝達小ギア22を駆動し、伝達小ギア22及び伝達大ギア23は反時計方向に回動する。伝達大ギア23は被駆動ギア24を駆動して被駆動ギア24が時計方向に回動する。これにより、操作往行程においては、発電機25の軸部が時計方向に回動して発電がなされる。
【0022】
奏者がペダル部12から足を離すと、スプリング19(図1(b))の力によってペダル部12が復方向に回動していく。そのとき、駆動ピン16が復側係合部21bを駆動することで被駆動片21が反時計方向に回動し、駆動ギア部21cが伝達小ギア22を駆動し、伝達小ギア22及び伝達大ギア23は時計方向に回動する。伝達大ギア23は被駆動ギア24を駆動して被駆動ギア24が反時計方向に回動する。これにより、操作往行程とは回動方向が逆となるが、操作復行程においては、発電機25の軸部が反時計方向に回動して発電がなされる。このように、操作の往復双方の行程において、操作に連動して発電機25が発電を行う。なお、近年のマグネットの性能向上により、ペダル部12の通常の操作によって、十分な電力が得られる。
【0023】
図3(a)は、ペダル部12の演奏操作ストロークと発電可能期間と操作検出位置との関係を示す概念図である。上述したように、ペダル部12の演奏操作ストローク(レスト位置とエンド位置との間の行程)は、上ストッパ14、下ストッパ15で規定される。すなわち、ペダル部12の上ストッパ14との当接によってレスト位置が規定され、下ストッパ15との当接によってエンド位置が規定される。
【0024】
演奏操作ストロークにおいて、発電機25が適切に動作して安定的な発電を行える区間として、発電可能区間を考える。レスト位置付近ではペダル部12に移動の「遊び」があるのが通常である。また、レスト位置付近及びエンド位置付近では、上ストッパ14及び下ストッパ15にそれぞれ設けた緩衝材にペダル部12が当接する際に、緩衝材の沈み込みが生じることから発電機25の軸部の回動速度が遅くなる。そのため、発電可能区間は、余裕を考慮して、レスト位置より少し深い側の位置からエンド位置より少し浅い側の位置までの区間とする。一方、スイッチ18aによるペダル部12の位置が検出される検出位置ST1が、発電可能区間の範囲内となるように、スイッチ18aが配置されている。
【0025】
図3(b)は、発電手段、楽音制御用信号を取得する取得手段、及び、楽音制御用信号を無線で出力する出力手段を実現する電気的構成を示す図である。発電機25には電圧安定部26が接続され、電圧安定部26にセンサ信号無線搬送部30が接続され、センサ信号無線搬送部30に検出部18が接続される。電圧安定部26には、ブリッジ型の全波整流回路27、安定化電源部28、及び、平滑用のコンデンサ29が含まれる。全波整流回路27は4つのダイオードを組み合わせて構成される。全波整流回路27は、発電機25側からの交流信号を全波整流して安定化電源部28側へ出力する。安定化電源部28は、例えば、DC/DCコンバータで構成される。電圧安定部26によって、センサ信号無線搬送部30に直流出力が与えられる。センサ信号無線搬送部30は、アンテナ(ANT)から信号を無線送信することができる。
【0026】
本実施の形態では、楽音制御用信号を無線送信する通信規格として、近距離無線規格である「Bluetooth Low Energy(BLE)(登録商標)」を採用する。センサ信号無線搬送部30として、テキサス・インスツルメンツ社の「CC2541(登録商標)」を採用する。CC2541はCPUを備えるが、それのプログラムメモリの内容を一部書き替えることで、センサ信号無線搬送部30が実現される。CC2541は端子「P1_1/LED」を有し、端子「P1_1/LED」には、LEDを外付けすることが推奨されている。本実施の形態では、この端子「P1_1/LED」に、検出部18の出力端子を割り当ててスイッチ入力ポートとして用いると共に、それに応じてプログラムメモリを書き替えた。なお、BLEの変調方式において、ビットデータの0/1に応じて周波数が変調され、2進数が表現される。
【0027】
図3(b)に示す端子Cが端子「P1_1/LED」に相当する。ペダル部12の非操作状態においてスイッチ18aは導通しておらず、端子Cは所定電圧値(例えば、5V)であり、レベルは「H」となっている。ペダル部12が検出位置ST1まで踏み込まれスイッチ18aが導通すると、端子Cは接地されて0Vとなり、レベルが「L」となる。このようにして、検出部18におけるセンサ状態がセンサ信号無線搬送部30に取り込まれてCPUによって判断される。
【0028】
このほか、センサ信号無線搬送部30における端子Aが、CC2541における電力供給を受ける端子Vccに相当する。また、端子B、Eが、CC2541におけるGND端子に相当する。端子Dが、CC2541におけるアンテナ出力を行う端子RF_P、RF_Nに相当する。このように、ペダル部12が操作されると発電機25が発電し、その発電可能期間中に、センサ信号無線搬送部30は、検出部18のオンまたはオフの状態を検出し、その検出結果を楽音制御用信号として取得し、その楽音制御用信号をアンテナから無線送信する。
【0029】
受信モジュール50にもCC2541が採用され、プログラムメモリを書き替えて用いるが、受信モジュール50では、端子「P1_1/LED」は楽器等の楽音発生装置側への出力ポートに用いられる。センサ信号無線搬送部30が送信する信号を受信モジュール50が適切に受信するために、両者を対応付ける情報を用いる。例えば、センサ信号無線搬送部30は、楽音制御用信号に、IDコード「035」を付加してこれらを一緒に送信する。受信モジュール50では、受信した楽音制御用信号とIDコードとを楽器40に送る。
【0030】
図4は、受信モジュール50と楽器40との接続状態を示す図である。受信モジュール50は、センサ信号無線受電部51及び出力プラグ52を有する。楽器40の背面等に入力端子41が設けられる。入力端子41は例えば、サスティンペダル用の入力端子であり、一般的な有線接続のサスティンペダルを接続するための端子であってもよい。ペダル装置10を無線サスティンペダルとして使用する場合は、出力プラグ52を入力端子41に差し込む。
【0031】
楽器40において、演奏情報発生部47は、例えば、鍵盤操作子である。楽音信号発生部45は、演奏情報発生部47から入力された演奏データを楽音信号に変換する。入力端子41の端子43を介して入力された入力信号は楽音発生部46に供給される。楽音発生部46は、楽音信号発生部45から入力される楽音信号等と入力端子41から入力される入力信号とに基づいて音響信号を発生させる。
【0032】
かかる構成において、センサ信号無線受電部51は、アンテナから、センサ信号無線搬送部30から送信された楽音制御用信号及びIDコードを受信すると、それらの信号が、出力プラグ52を介して入力端子41の端子43へ送られ、入力信号として楽音発生部46へ入力される。本実施の形態では、一例として、楽音発生部46から発生する楽音のサスティン時間(長さ)が、楽音制御用信号に基づき制御される。具体的には、押鍵により発生する楽音は、ペダルオンを示す楽音制御用信号が入力された場合は、離鍵しても消音されずに楽音レベルが自然減衰する。しかし自然減衰中にペダルオフを示す楽音制御用信号が入力されると消音される。押鍵により発生する楽音は、ペダルオンを示す楽音制御用信号が入力されていない場合は、離鍵すると速やかに消音される。
【0033】
本実施の形態によれば、演奏操作によるペダル部12の動作を動力源として発電機25が発電し、センサ信号無線搬送部30が、発電された電力を用いてペダル部12の動作を検出して楽音制御用信号を取得し、発電された電力を用いて楽音制御用信号をアンテナから無線で出力する。これにより、有線による電力供給を必要とすることなく、また電力切れを心配することなく、演奏操作により楽音制御用信号を無線で出力することができる。
【0034】
また、ペダル部12の操作ストロークの範囲内に、発電可能区間を有し、操作ストロークにおけるペダル部12の動作の検出位置ST1は、発電可能区間内に含まれる。従って、発電期間中にペダル部12の動作検出を行え、充電機能を要しない。しかも、押下操作行程と離操作行程のそれぞれにおいて、操作により発電された電力を用いて、楽音制御用信号の取得、及び楽音制御用信号の無線出力が可能である。従って、充電機能を要することなく、押下操作及び離操作の各々の行程において楽音制御用信号を無線出力することができる。電力コストもかからない。なお、発電した電力を蓄えるための充電装置を設けてもよい。
【0035】
なお、検出部18は、ペダル部12の動作を検出できればよいので、接触式でなくてもよく、光学式や磁気方式でもよい。また、検出位置は1箇所でなく2箇所以上設けて、操作速度(ベロシティ)も検出できるようにしてもよい。図5に変形例を示す。
【0036】
例えば、図5(a)、(b)に示すように、検出部18として、端子33に接触し得る導電片31、32を上下に設ける。図5(c)は、変形例の検出部18を採用した場合のペダル部12の演奏操作ストロークと発電可能期間と操作検出位置との関係を示す概念図である。
【0037】
ペダル部12の初期状態においては端子33が上側の導電片31に接触している(図5(a))。ペダル部12が押下操作され、端子33が導電片31から離れるときのストローク位置を検出位置ST1、さらに押下操作されて端子33が下側の導電片32に当接するとき(図5(b))のストローク位置を検出位置ST2とする。操作往行程において、検出位置ST1でオンが検出されてから検出位置ST2でオンが検出されるまでの時間差を取得することで、ベロシティが把握される。ただし、無線送信する信号としては、検出位置ST1でのオンまたはオフの信号、検出位置ST2でのオンまたはオフの信号でよく、ベロシティの算出は楽器40で行えばよい。この場合は、検出位置ST1、ST2でのオンまたはオフの信号が楽音制御用信号となる。なお、センサ信号無線搬送部30にベロシティの算出機能を設けて、ベロシティを示す信号を、送信する楽音制御用信号に含めるようにしてもよい。
【0038】
図5(c)に示すように、操作ストロークにおけるペダル部12の動作の検出位置ST1、ST2は、いずれも発電可能区間内に含まれる。なお、図5(a)〜(c)に示す例では、往行程と復行程とで検出位置が一致するものであったが、別の位置で検出するスイッチ構成としてもよい。その場合でも、いずれの検出位置も、発電可能区間内に含まれるようにするのが望ましい。
【0039】
また、図5(d)に他の変形例を示すように、検出部18に可変抵抗を採用してもよい。ペダル部12の変位に伴って接触子が可変抵抗に沿って移動することで抵抗値が連続的に変化する。この構成を採用した場合、ペダル部12の踏み込みの程度に応じた信号を取得できる。つまり、端子Cはレベル「H」、「L」だけでなく、これらの中間値も執り得る。そして、検出信号が、センサ信号無線搬送部30に取り込まれてCPUによって踏み込み量が判断される。踏み込み量のように、楽音制御用信号が、オンまたはオフ以外の中間値も含むものとした場合、楽器40側での楽音制御としては、例えば、楽音の音量等に反映させことが考えられる。
【0040】
結局、楽音制御用信号は、汎用的なものでもよく、受信する楽器や音源モジュール等(音源を有する楽音発生装置)の側でどのように用いるかを決めることができる。従って、楽音制御の内容は、サスティン長さに限られず、共鳴音等の効果の付加であってもよい。また、ベロシティの情報を楽音制御用信号に含めるようにした場合は、ボリュームの他、共鳴音の深さ等、付与する効果の程度に反映させてもよい。
【0041】
なお、採用可能な無線通信規格は問わず、BLEに限られない。例えば、市販されている受信モジュールに対して送信が可能な通信方式や信号方式を採用してもよい。また、受信モジュール50の機能を楽器40に予め設けてもよい。なお、ペダル部12の操作における復行程での復帰力を高める観点からは、往行程でのみ、ペダル部12の駆動力が発電機25に伝わるように構成してもよい。例えば、回動支点P3、P4の少なくともいずれかにワンウェイクラッチを設けてもよい。これにより、往行程と復行程との間でヒステリシスを設けることができると共に、復行程でのメカノイズを低減できる。また、例示したものは、効果付与用のペダルであったが、操作部は手で操作する演奏操作部であってもよい。また、楽音制御用信号は、楽音を発生させるための信号であってもよく、例えば、演奏操作装置として足鍵盤を採用してもよい。
【0042】
次に、図6(a)〜(f)で、各種の変形例を説明する。まず、楽音制御用信号を受信する側の装置は楽器に限られず、音源ユニット等を有する楽音発生装置であってもよい。例えば、図6(a)に示すように、楽音制御信号発生装置としてMIDIキーボード60を設けると共に、楽音制御用信号を受信する装置として楽音発生装置62をMIDIキーボード60とは別体に設ける。MIDIキーボード60の鍵の各々に、発電機能と楽音制御用信号の取得機能とを設ける。さらに、MIDIキーボード60に、上記したセンサ信号無線搬送部30に相当する出力機能(出力手段73)を設け、各鍵の操作による取得される楽音制御用信号を出力手段73から無線で出力するようにする。楽音発生装置62は、受信モジュール50(または無線受信用I/F)、楽音信号発生部45、楽音発生部46及び演奏情報発生部47(図4)を有する。演奏操作に応じて発電され、演奏操作の検出信号に基づき取得・生成されたMIDI信号が無線送信され、楽音発生装置62が、受信したMIDI信号に基づく発音を発生させる。
【0043】
なお、演奏操作により発電する発電手段(図3(b)の発電機25相当)、楽音制御用信号を取得する取得手段(センサ信号無線搬送部30及び検出部18相当)、及び、楽音制御用信号を無線で出力する出力手段(センサ信号無線搬送部30相当)を有する楽音制御信号発生装置は、既存(市販)の楽器または演奏操作装置に取り付けて使用してもよい。従って、楽音制御信号発生装置それ自体に操作部を有することは必須でなく、取り付けた楽器等が有する操作部の演奏操作によって発電がなされるようにしてもよい。これらの例を図6(b)〜(f)で説明する。
【0044】
例えば、図6(b)に示すように、演奏操作装置としてのペダル装置63の操作ペダルによって駆動される位置に楽音制御信号発生装置70を配置して用いる。また、図6(c)に示すように、電子バスドラム用のペダル装置64によって回動駆動されるビータ65の回動軸の部分に楽音制御信号発生装置70を配設し、ビータ65の回動動作によって発電するようにしてもよい。あるいは、図6(d)に示すように、演奏操作するペダル装置側ではなく、電子バスドラムの打面の裏側に楽音制御信号発生装置70を接着等で配設して用いてもよい。また、図6(e)に示すように、電子シンバルのパッド67の裏面に楽音制御信号発生装置70を接着等で配設して用いてもよい。あるいは、図6(f)に示すように、電子スネアドラムのパッド69の裏面とシェル形の筐体59の内側とに、楽音制御信号発生装置70を分離して配設して用いてもよい。例えば、発電手段71をパッド69の裏面に接着等で配設し、取得手段72及び出力手段73を筐体59の内側に接着等で配設する。図6(d)や図6(e)のように、ビータやスティックによる打撃力を利用して発電するときには、上述の図2等で説明した機構に代えて圧電素子等を備えるようにして、打撃力を電力に変えるようにすればよい。すなわち、発電機構は、操作の形態や入力の形態に応じて適切に発電できる構成であればよい。なお、楽音制御信号発生装置70の配置や固定方法は問わない。
【0045】
なお、図6(e)、(f)に示す構成のように、楽音制御信号発生装置に、パッド67、69には通常、市販の段階で、圧電素子等で成る振動センサ68が設けられている。楽音制御信号発生装置70で発電を行うにあたって、もともとから存在する振動センサ68を用いる必要はない。しかし、振動センサ68で打撃操作等の検出ができるとともにその検出信号の出力に十分な電力を得られるときには、振動センサ68を用いて発電を行うようにしてもよい。
【0046】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10 ペダル装置(楽音制御信号発生装置)、 12 ペダル部(演奏操作部)、 18 検出部(取得手段)、 25 発電機(発電手段)、 30 センサ信号無線搬送部(取得手段、出力手段)、 40 楽器(楽音発生装置)、 41 入力端子、 50 受信モジュール(受信装置)、 70 楽音制御信号発生装置、 71 発電手段、 72 取得手段、 73 出力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6