特許第6621062号(P6621062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6621062干渉駆動式変速機及びこれを用いた干渉駆動式変速駆動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621062
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】干渉駆動式変速機及びこれを用いた干渉駆動式変速駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 48/05 20120101AFI20191209BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20191209BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20191209BHJP
   F16H 1/14 20060101ALI20191209BHJP
   B25J 17/00 20060101ALN20191209BHJP
【FI】
   F16H48/05
   F16H1/06
   F16H1/16 Z
   F16H1/14
   !B25J17/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-227545(P2015-227545)
(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公開番号】特開2017-96359(P2017-96359A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】高山 俊男
(72)【発明者】
【氏名】工藤 仁
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−296856(JP,A)
【文献】 特表2006−527820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 48/05
F16H 1/00
B25J 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2のギヤと、
前記第1、第2のギヤに噛み合わせられた第3のギヤと、
互いに噛み合わされた第4、第5のギヤと、
前記第1のギヤに結合された固定部、入力軸、及び前記第4のギヤに結合された出力軸を有する第1の差動歯車機構と、
前記第2のギヤに結合された固定部、入力軸、及び前記第5のギヤに結合された出力軸を有する第2の差動歯車機構と、
前記第3のギヤに結合された入力軸、及び出力軸を有する減速機と、
固定部、前記減速機の出力軸に結合された入力軸、及び出力軸を有する第3の差動歯車機構と、
前記第3の差動歯車機構の固定部に結合されたウォームホイールと、
前記ウォームホイールとウォームギヤを構成するウォームスクリューと、
前記第2の差動歯車機構の出力軸に結合された第1の傘歯車と、
前記第1の傘歯車に噛み合わされ、前記ウォームスクリューに結合された第2の傘歯車と
を具備し、前記第1、第2の差動歯車機構の各入力軸を変速機の入力とし、前記第3の差動歯車機構の出力軸を変速機の出力とした干渉駆動式変速機。
【請求項2】
前記各第1、第2、第3のギヤを第1、第2、第3のプーリに置換し、前記第1、第2のプーリと前記第3のプーリとの間をベルトで接続した請求項1に記載の干渉駆動式変速機。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載の干渉駆動式変速機と、
前記第1の差動歯車機構の入力軸に結合した回転軸を有する第1のモータと、
前記第2の差動歯車機構の入力軸に結合した回転軸を有する第2のモータと
を具備する干渉駆動式変速駆動装置。
【請求項4】
前記第1のモータの回転軸と前記第1の差動歯車機構の入力軸との結合をベルトによって行い、
前記第2のモータの回転軸と前記第2の差動歯車機構の入力軸との結合をベルトによって行う請求項に記載の干渉駆動式変速駆動装置。
【請求項5】
さらに、前記第3の差動歯車機構の出力軸に結合された他の減速機を具備する請求項4に記載の干渉駆動式変速駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットの関節等の制御に用いられる干渉駆動式変速機及びこれを用いた干渉駆動式変速駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
変速駆動装置(ギヤドモータ)において、正転高速低トルク駆動状態、正転低速高トルク駆動状態、逆転高速低トルク駆動状態及び逆転低速高トルク駆動状態の4つの駆動状態を1つのモータで実現する場合には、十分なトルクを発生させる高出力モータと低いギヤ比の減速機の組み合わせを必要とし、この結果、モータ自身が大型化して製造コストが高くなる。さらに、ロボットハンドが物体を把持している間等の高速度を必要としない時にあっても、高出力モータの消費電力は大きくなる。
【0003】
近年、モータを小型化して製造コストを低くしかつ消費電力を小さくする干渉駆動式変速駆動装置が開発されている(参照:非特許文献1)。つまり、干渉駆動式変速駆動装置においては、2つの小型の低出力モータを設け、干渉駆動によって高速低トルク駆動状態及び低速高トルク駆動状態の両方において、2つの小型低出力モータを同時に駆動させるので、小型化かつ低消費電力を同時に実現できる。
【0004】
図6は従来の干渉駆動式出力切替装置を示す概略斜視図である。尚、図6の干渉駆動式出力切替装置は2モータ2出力型である。
【0005】
図6において、干渉駆動式出力切替機1は2つの出力軸OUT1、OUT2を有し、2つの小型の低出力モータ2、3によって駆動され、モータ2、3は制御ユニット(マイクロコンピュータ)4によって制御される。
【0006】
干渉駆動式出力切替機1は、ギヤ11、12と、ギヤ11、12に噛み合わされたギヤ13と、互いに噛み合わされたギヤ14、15と、ギヤ11に結合された枠(固定部)、モータ2に結合された入力軸、及びギヤ14に結合された出力軸を有する差動歯車機構16と、ギヤ12に結合された枠(固定部)、モータ3に結合された入力軸及びギヤ15に結合された出力軸を有する差動歯車機構17とによって構成され、ギヤ15の回転軸が装置の出力軸OUT1として作用し、ギヤ13の回転軸が装置の出力軸OUT2として作用する。制御ユニット4はモータ2、3に4つの駆動状態に応じて駆動電流±Iを供給する。尚、ギヤ11、12とギヤ13とのギヤ比を大きくすれば、出力軸OUT2の回転速度は減速されて出力軸OUT1の回転速度より小さくなる。
【0007】
図7図6の差動歯車機構16(17)の動作を説明する図である。図7に示すように、差動歯車機構16(17)は、四角い枠(固定部)701内に、入力軸に結合された傘歯車702−1、出力軸に結合された傘歯車702−2、及び傘歯車702−1、702−2間に噛み合わされた傘歯車702−3、702−4を有してなる。この場合、入力軸と出力軸は同軸上に並んでいる。たとえば、図7の(A)に示すように、機構自体つまり枠701を固定して入力軸を回転速度νで回転させると、出力軸は入力軸の回転方向と反対方向に同一回転速度νで回転する。他方、図7の(B)に示すように、出力軸を固定して入力軸を回転速度νで回転させると、機構全体つまり枠701が入力軸の回転方向と同一方向に1/2の回転速度ν/2で回転する。同様に、入力軸を固定して枠701を回転速度νで回転させると、出力軸が枠701と同一方向に2倍の回転速度2νで回転する。尚、差動歯車機構16(17)は入力軸と出力軸とが同軸上で並んだ遊星ギヤ、ハーモニックドライブ(登録商標)等のギヤボックスで構成してもよい。
【0008】
図8図6の干渉駆動式出力切替装置の駆動状態を説明するための図である。
【0009】
図8の(A)に示す出力軸OUT1駆動状態においては、モータ2、3に駆動電流−I、+Iを供給すると、モータ2、3は互いに反対方向に回転する。従って、ギヤ11、12が互いに反対方向に回転しようとするが、ギヤ13を介して干渉して回転できない。この結果、差動歯車機構16、17内の傘歯車が回転して、ギヤ14、15が互いに反対方向に回転し、これにより、出力軸OUT1がモータ2、3の合わせたトルクによって正転駆動状態となる。尚、モータ2、3に駆動電流+I、−Iを供給すると、出力軸OUT1が逆転駆動状態となる。
【0010】
図8の(B)に示す出力軸OUT2駆動状態においては、モータ2、3に駆動電流+I、+Iを供給すると、モータ2、3は同一方向に回転する。従って、差動歯車機構16、17が互いに同一方向に回転しようとするが、差動歯車機構16、17の出力軸に結合されたギヤ14、15が干渉して回転できない。この結果、ギヤ11、12が同一方向に回転して、ギヤ13が反対方向に回転し、これにより、出力軸OUT2がモータ2、3の合わせたトルクによって正転駆動状態となる。尚、モータ2、3に駆動電流−I、−Iを供給すると、出力軸OUT2が逆転駆動状態となる。
【0011】
図9は非特許文献1に示された従来の干渉駆動式変速装置を示す概略側面図である。尚、図9の干渉駆動式変速装置は2モータ1出力型である。
【0012】
図9においては、図6の干渉駆動式出力切替機1の代りに、干渉駆動式変速機1’を設けてある。干渉駆動式変速機1’においては、図6のギヤ14、15の代りに、ウォームスクリュー11’、12’及びウォームホイール13’よりなるウォームギヤを設ける。また、図6の出力軸OUT2には、ギヤボックス14’及びピニオンギヤ15’を設ける。これにより、ギヤ13の回転速度をギヤボックス14’によって減速した後90°方向変化させてピニオンギヤ15’を回転駆動する。ピニオンギヤ15’はモータ2、3の外側に設けられた大きな内歯車16’内を転がり、低速高トルク駆動状態となる。このとき、ウォームギヤのウォームホイール13’の回転中心とピニオンギヤ15’の移動中心(内歯車16’の中心)は同一であるので、図9の干渉駆動式変速装置は1出力型となる。
【0013】
図10図9の干渉駆動式変速装置の駆動状態を説明するための図である。
【0014】
図10の(A)に示す正転高速低トルク駆動状態においては、モータ2、3に駆動電流−I、+Iを供給すると、モータ2、3は互いに反対方向に回転する。従って、ギヤ11、12が互いに反対方向に回転しようとするが、ギヤ13を介して干渉して回転できない。この結果、差動歯車機構16、17内の傘歯車が回転して、ウォームスクリュー11’、12’が互いに反対方向に回転し、これにより、ウォームホイール13’の出力軸OUT1がモータ2、3の合わせたトルクによって正転高速回転して低トルク駆動状態となる。尚、モータ2、3に駆動電流+I、−Iを供給すると、逆転高速低トルク駆動状態となる。
【0015】
図10の(B)に示す正転低速高トルク駆動状態においては、モータ2、3に駆動電流+I、+Iを供給すると、モータ2、3は同一方向に回転する。従って、差動歯車機構16、17が互いに同一方向に回転しようとするが、差動歯車機構16、17の出力軸に結合されたウォームスクリュー11’、12’がウォームホイール13’を介して干渉して回転できない。この結果、ギヤ11、12が同一方向に回転して、ギヤ13が反対方向に回転する。ギヤ13の回転速度はギヤボックス14’によって減速された後に90°方向変化してピニオンギヤ15’を回転駆動する。この結果、モータ2、3の合わせたトルクによってピニオンギヤ15’が内歯車16’内を転がりながら、矢印Aのごとく、移動して低速高トルク駆動状態となる。尚、モータ2、3に駆動電流−I、−Iを供給すると、逆転低速高トルク駆動状態となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】高山 俊男、荒川 貴文、小俣 透、 “干渉駆動を用いた変速駆動装置の開発”、 日本機械学会論文集(C編)、第78巻第794号、pp.3541−3551(2012−10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、図6に示す従来の干渉駆動式出力切替装置においては、高速低トルク駆動状態用の出力軸と低速高トルク駆動状態用の出力軸とは異なる2出力型であるので、汎用性に乏しいという課題がある。
【0018】
また、図9に示す従来の干渉駆動式変速装置においては、たとえば、図10の(B)に示す低速高トルク駆動状態では、装置全体が回転してしまうので、モータ2、3用の配線が捻れてしまう。この結果、ロボットの関節等の無限回転しない部位には使用できるが、やはり、汎用性に乏しいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述の課題を解決するために、本発明に係る干渉駆動式変速機は、第1、第2のギヤと、第1、第2のギヤに噛み合わせられた第3のギヤと、互いに噛み合わされた第4、第5のギヤと、第1のギヤに結合された固定部、入力軸、及び第4のギヤに結合された出力軸を有する第1の差動歯車機構と、第2のギヤに結合された固定部、入力軸、及び第5のギヤに結合された出力軸を有する第2の差動歯車機構と、第3のギヤに結合された入力軸、及び出力軸を有する減速機と、固定部、減速機の出力軸に結合された入力軸、及び出力軸を有する第3の差動歯車機構と、第3の差動歯車機構の固定部に結合されたウォームホイールと、ウォームホイールとウォームギヤを構成するウォームスクリューと、第2の差動歯車機構の出力軸に結合された第1の傘歯車と、第1の傘歯車に噛み合わされ、ウォームスクリューに結合された第2の傘歯車とを具備し、第1、第2の差動歯車機構の各入力軸を変速機の入力とし、第3の差動歯車機構の出力軸を変速機の出力としたものである。
【0020】
また、本発明に係る干渉駆動式変速駆動装置は、上述の干渉駆動式変速機と、第1の差動歯車機構の入力軸に結合した回転軸を有する第1のモータと、第2の差動歯車機構の入力軸に結合した回転軸を有する第2のモータとを具備するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、装置全体が回転することなく、汎用性が高い2モータ1出力型の干渉駆動式変速駆動装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る干渉駆動式変速駆動装置の実施の形態を示す概略斜視図である。
図2図1の干渉駆動式変速駆動装置の駆動状態を説明するための図である。
図3図1の干渉駆動式変速駆動装置の組立内部写真である。
図4図1の干渉駆動式変速駆動装置の組立外部写真である。
図5図1の干渉駆動式変速駆動装置の動作タイミング図である。
図6】従来の干渉駆動式出力切替装置を示す概略斜視図である。
図7図6の差動歯車機構の動作を説明する図である。
図8図6の干渉駆動式出力切替装置の駆動状態を説明するための図である。
図9】従来の干渉駆動式変速装置を示す概略側面図である。
図10図9の干渉駆動式変速装置の駆動状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明に係る干渉駆動式変速駆動装置の実施の形態を示す概略斜視図である。尚、図1の干渉駆動式変速駆動装置は2モータ1出力型である。
【0024】
図1の干渉駆動式変速機1”においては、図8の干渉駆動式変速機1の構成要素に、減速機18、差動歯車機構19、ウォームホイール20、ウォームスクリュー21、及び傘歯車22、23を付加したものである。
【0025】
減速機18はギヤ13に結合された入力軸、及び出力軸を有する。
【0026】
差動歯車機構19は、枠(固定部)、減速機18の出力軸に結合された入力軸、及び干渉駆動式変速機1”の出力軸OUT1としての出力軸を有する。
【0027】
ウォームホイール20は差動歯車機構19の枠(固定部)に結合され、ウォームスクリュー21とウォームギヤを構成する。
【0028】
傘歯車22、23は互いに噛み合わされる。また、傘歯車22は差動歯車機構17の出力軸に結合され、他方、傘歯車23はウォームスクリュー21に結合される。
【0029】
図2図1の干渉駆動式変速駆動装置の駆動状態を説明するための図である。
【0030】
図2の(A)に示す正転高速低トルク駆動状態においては、モータ2、3に駆動電流−I、+Iを供給すると、モータ2、3は互いに反対方向に回転する。従って、ギヤ11、12が互いに反対方向に回転しようとするが、ギヤ13を介して干渉して回転できない。この結果、差動歯車機構16、17内の傘歯車が回転して、ギヤ14、15が互いに反対方向に回転する。従って、傘歯車22、23を介してウォームスクリュー21及びウォームホイール20よりなるウォームギヤが回転し、差動歯車機構19の出力軸OUT1はウォームホイール20の回転速度の2倍の回転速度で回転する。これにより、差動歯車機構19の出力軸OUT1がモータ2、3の合わせたトルクによって正転高速回転して低トルク駆動状態となる。尚、モータ2、3に駆動電流+I、−Iを供給すると、逆転高速低トルク駆動状態となる。
【0031】
図2の(B)に示す正転低速高トルク駆動状態においては、モータ2、3に駆動電流+I、+Iを供給すると、モータ2、3は同一方向に回転する。従って、差動歯車機構16、17が互いに同一方向に回転しようとするが、差動歯車機構16、17の出力軸に結合されたギヤ14、15は干渉して回転できない。この結果、ギヤ11、12が同一方向に回転して、ギヤ13は反対方向に回転する。ギヤ13の回転速度は減速機18によって減速され、差動歯車機構19の入力軸を回転させる。この場合、差動歯車機構19の枠(固定部)は固定されているので、差動歯車機構19の入力軸の回転は反転して差動歯車機構19の出力軸の回転となる。これにより、差動歯車機構19の出力軸OUT1がモータ2、3の合わせたトルクによって正転低速回転して高トルク駆動状態となる。尚、モータ2、3に駆動電流−I、−Iを供給すると、逆転低速高トルク駆動状態となる。
【0032】
図3図4は実際に組立てられた図1の干渉駆動式変速駆動装置の組立内部写真及び組立外部写真である。
【0033】
図3図4において、図2の(A)の高速低トルク駆動状態の減速比を1/5とし、図2の(B)の低速高トルク駆動状態の減速比を1/25とし、高速低トルク駆動状態と低速高トルク駆動状態との変速比5とする。さらに、図3図4においては、差動歯車機構19の出力軸に減速比を1/15の最終段減速機5を結合する。つまり、減速比が大きい減速機は大型化するので、全体の共通の減速比の減速機を外付けとすることにより、干渉駆動式変速駆動装置を小型化できる。また、モータ2、3を分離して干渉駆動式変速機単体で組立て、モータ2、3を後工程で結合してもよい。
【0034】
図5図3図4の干渉駆動式変速駆動装置を半径100mmのプーリをワイヤで巻き上げる力(N)の測定結果を示すグラフである。図5に示すように、高速低トルク駆動状態の力と低速高トルク駆動状態の力との間には明瞭な差が見られた。
【0035】
尚、上述の実施の形態におけるギヤは、適宜、プーリ及びベルトに置換することにより、干渉駆動式変速駆動装置を小型化できる。たとえば、差動歯車機構16、17とモータ2、3との結合において、モータ2、3にプーリを設け、これらのプーリと差動歯車機構16、17の入力軸との結合をベルト31(図3参照)で行う。さらに、ギヤ11、12、13をプーリに置換し、プーリ間の結合をベルトで行う。同様に、減速機18と差動歯車機構19の入力軸との結合も、プーリ及びベルトで行うことができる。
【0036】
また、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲のいかなる変更にも適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1:干渉駆動式出力切替機
1’、1”:干渉駆動式変速機
11、12、13、14、15:ギヤ
16:第1の差動歯車機構
17:第2の差動歯車機構
18:減速機
19:第3の差動歯車機構
20:ウォームホイール
21:ウォームスクリュー
22:第1の傘歯車
23:第2の傘歯車
11’、12’:ウォームスクリュー
13’:ウォームホイール
14’:ギヤボックス
15’:ピニオンギヤ
16’:内歯車
2、3:モータ
4:制御ユニット
5:最終段減速機
701:枠(固定部)
702−1、702−2、702−3、702−4:傘歯車
OUT1、OUT2:出力軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10