特許第6621101号(P6621101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6621101-橋梁上の風向調整方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6621101
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】橋梁上の風向調整方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 18/00 20060101AFI20191209BHJP
【FI】
   E01D18/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-127539(P2019-127539)
(22)【出願日】2019年7月9日
【審査請求日】2019年7月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519250464
【氏名又は名称】有限会社宇川建設
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】宇川 嘉一
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−228319(JP,A)
【文献】 実開昭60−072858(JP,U)
【文献】 特開2003−314156(JP,A)
【文献】 特開2007−224603(JP,A)
【文献】 実開昭55−050198(JP,U)
【文献】 韓国登録特許第10−0655464(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 18/00
E01F 7/00、8/00
E06B 7/084
E01D 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の両側に配置された欄干に、
複数の風向調整器と、一定間隔を有する空隙部とを、交互に前記欄干とそれぞれ並列して配備し、
該風向調整器を構成する複数の各風向板の設置角度を定めるに際し、橋梁の長手方向の中央部を境に、左側と右側に分け、
該橋梁と並列する一方の欄干側の、左側に位置する各風向板の角度は左に一定角度曲げ、右側に位置する各風向板の角度は右に一定角度曲げて配備し、
該橋梁と並列する他方の欄干側の、左側に位置する各風向板の角度は右に一定角度曲げ、右側に位置する各風向板の角度は左に一定角度曲げて配備し、
一方及び他方の欄干側の、右側に位置する風向調整器における風向板間を通過する橋梁上の風を橋梁の右端方向に向けて流れるようにし、
一方及び他方の欄干側の、左側に位置する風向調整器における風向板間を通過する橋梁上の風を橋梁の左端方向に向けて流れるようにした
ことを特徴とする橋梁上の風向調整方法。
【請求項2】
前記風向調整器は、欄干の外側に列設した
ことを特徴とする請求項1記載の橋梁上の風向調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、橋梁用の風向調整方法に関するものであり、特に、橋梁に向けて吹く川風の向きを変更させて、都市部のヒートアイランド現象の低下を図るためのものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機器や自動車などから排出される人工排熱や道路舗装、建築物の増加による地表面の人口化によって都市部、特に都心部の気温が郊外に較べて高くなっており、この状態が年間を通じており、特に夏季の気温上昇が都市生活の快適性を著しく低下させている。
【0003】
都市部には、数多くの高層ビル等の建築物が並列しており、たまに吹く風もこれらの建造物によって遮られて無風状態となっている、唯一、河川上に吹く風だけが通り抜ける状態となっている。
【0004】
そこで、この発明は、都心部のヒートアイランド現象を低下させるべく、都市部の河川に架かった橋梁を利用する発明を思いついた。しかし、橋梁を利用する発明としては、「橋の欄干を走行できる足場」が存在し、公開されている。例えば、特許文献1のように。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−68104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は、都市部における河川に架けられた橋梁を利用し、該橋梁の川上・川下の両側の欄干にそれぞれ風向板を設け、風上より風下に向けて吹く風を橋梁上の左・右方向に分散させ、橋梁上や橋梁の左右に続く道路及びビル街に向けて風向きを変えてヒートアイランド現象を低下させる橋梁用の風向調整方法を開発・提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこでこの発明の橋梁上の風向調整方法は、橋梁の両側に配置された欄干に、複数の風向調整器と、一定間隔を有する空隙部とを、交互に前記欄干とそれぞれ並列して配備し、該風向調整器を構成する複数の各風向板の設置角度を定めるに際し、橋梁の長手方向の中央部を境に、左側と右側に分け、該橋梁と並列する一方の欄干側の、左側に位置する各風向板の角度は左に一定角度曲げ、右側に位置する各風向板の角度は右に一定角度曲げて配備し、該橋梁と並列する他方の欄干側の、左側に位置する各風向板の角度は右に一定角度曲げ、右側に位置する各風向板の角度は左に一定角度曲げて配備し、風向板を通過する橋梁上の風を、橋梁の左右両端方向に向けて流れるようにしたことを特徴とする。
【0008】
そして、前記風向調整器は、欄干の外側に列設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によると、橋梁(X)の欄干(Y)(Y´)のそれぞれ外側近傍であって、且つ橋梁(X)の長手方向に所定間隔をおいて、風向調整器(1)(1´)を設け、風向板(2)(2´)を列設することにより、風の流れを強制的に変更させ、橋梁の端部に連続する道路に面して位置するビル群、アスファルト道路に向け、風を送って冷やすことにより、ヒートアイランド現象を低下させる等の効果を奏する。
【0010】
また、風向調整器(1)は橋梁(X)の欄干(Y)の外側に設けることにより、通行人あるいは、通行車両の邪魔にならない。
【0011】
さらに、橋梁(X)が架かる方向(例えば、東西方向)によっては、風向調整器(1)(1´)の各風向板(2)(2´)が日差しを避ける遮光板にもなり、橋梁上の道路の温度を下げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施例を示す一部を切り欠いた側面図である。
図2】この発明の一実施例を示す一部を切り欠いた拡大断面図である。
図3】この発明の一実施例を示す一方の欄干の風の流れ(矢印)を示す説明図である。
図4】この発明の一実施例を示す他方の欄干の風の流れ(矢印)を示す説明図である。
図5】この発明の一実施例を示す橋梁の全体を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明について詳細に説明する。なお、この発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲においては適宜変更可能である。
【実施例】
【0014】
次に、この発明の一実施例を図1図5に基づいて詳述すると、橋梁(X)の両側に配置された欄干(Y,Y´)に、それぞれ所定の縦寸法と横幅寸法を有する複数の風向調整器(1,1´)と、一定間隔を有する空隙部(3,3´)とを、交互に前記欄干(Y,Y´)とそれぞれ並列して配備し、該風向調整器(1,1´)を構成する複数の各風向板(2,2´)の設置角度を定めるに際し、橋梁(X)の長手方向の中央部(C)を境に、左側と右側に分け、該橋梁(X)と並列する一方の欄干(Y)側の左側に位置する各風向板(2)の角度は左に一定角度曲げて配備し、右側に位置する各風向板(2)の角度は、右に一定角度曲げて配備し、該橋梁(X)と並列する他方の欄干(Y´)側の、右側に位置する各風向板(2,2´)の角度は、右に一定角度曲げ、該橋梁(X)の右側に位置する各風向板(2´)の角度は、左に一定角度曲げ、風向板(1,1´)間を通過する橋梁(X)上の風を、橋梁(X)の左右両端方向に向けて流れるようにしたことを特徴とする橋梁上の風向調整方法から構成したものである。
【0015】
そして、風の流れを説明すると、図3に記載した矢印が示すように、橋梁(X)の一方の欄干(Y)の外側から吹く風であり、風は左・右の風向調整器(1)と中央部に位置する空隙部(3)に向けてそれぞれ吹き、風向調整器(1)の各風向板(2,2・・・)の隙間を通り、中央部より左に位置する風向板(2)は、左側に角度を傾けて設けられており、中央部より右に位置する風向板(2)は、右側に角度を傾けて設けられており、それぞれ左・右に強制的に吹く向きを変更させ、空隙部(3)を通過する風は、他方の欄干(Y´)側に設けた空隙部(3´)より抜けて行くものである。
【0016】
なお、前記図3には、橋梁(X)の一部分を示し、橋梁(X)上の長手方向の中央に位置する空隙部(3)と、該空隙部(3)の両側に、左側の風向調整器(1)と右側の風向調整器(1)とを一台ずつ描いたものであり、橋梁(X)の全体は、図5に示している。
【0017】
さらに、他方の欄干(Y´)の外側から吹く風の流れを説明すると、図4に記載した矢印が示すように、風は左・右の風向調整器(1´)と中央部に位置する空隙部(3)に向けてそれぞれ吹き、風向調整器(1´)の各風向板(2´,2´・・・)の隙間を通り、中央部より左に位置する風向板(2´)は、左側に設置角度を設けられており、中央部より右側に位置する風向板(2´)は、右側に設置角度を設けられており、それぞれ左・右に強制的に吹く風向きを変更させ、空隙部(3´)を通過する風は、一方の欄干(Y)側に設けた空隙部(3)より抜けて行くものである。
【0018】
なお、図面に示した橋梁(X)及びその両側にそれぞれ設けられている欄干(Y,Y´)の形状には、特に限定されるものではない。
【0019】
前記各風向調整器(1,1´)の一例を述べると、縦・横それぞれ200mの寸法エリア内に、11枚の風向板(2,2´)を適宜な設置に揃えて立設している。そして、各風向板(2,2´)は、それぞれ20cm間隔を保って列設したものである。
【0020】
そして、前記風向調整器(1,1´)は、橋梁(X)の左・右均等に設けるため、橋梁の長手方向の中央部(C)に、先ず空隙部(3,3´)を設け、該空隙部(3,3´)の左右にそれぞれ風向調整器(1,1´)を順次、空隙部(3,3´)と交互に設けながら橋梁(X)の長さまで設置するものである。
【0021】
さらに、該風向調整器(1,1´)は、橋梁(X)の欄干(Y,Y´)の外側に設け、該欄干(Y,Y´)と平行に設けるものである。
【0022】
さらに、前記風向調整器(1,1´)を構成する各風向板(2,2´)の一例を述べると、縦200cm、横20cm、厚み1.5cmであり、また、素材の一例としてはアルミ板、或いはアルミ材であるが、この素材に限定しない。
【0023】
なお、風向板(2,2´)の角度は、一例としては橋梁(X)に対し、30°〜45°前後が適当であるが、その角度は、特に限定はしない。
【0024】
また、前記欄干(Y,Y´)の外側部に、前記風向調整器(1,1´)を設置する場所がない場合は、欄干(Y,Y´)の外側の側壁面に直接固定するよう構成してもよいものである。
【0025】
そして、前記風向調整器(11´)の天端部は、補強用天板(図示せず)を設けて、11枚の風向板(2,2´)の上端をそれぞれ固定して各風向板(2,2´)を強風に対して堅牢に保護するように構成してもよい。
【0026】
さらに、前記風向調整器(1,1´)は、橋梁(X)の両脇側にそれぞれ設けており、時間等により風向きが変更した場合でも、他方の風向調整器が風を有効に橋梁の長手方向の左・右に導くよう構成しているものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明の橋梁上の風向調整方法の技術を確立し、実施することにより産業上の利
用可能性を有する。
【符号の説明】
【0028】
1,1´ 風向調整器
2,2´ 風向板
3,3´ 空隙部
C 中央部
X 橋梁
Y 一方の欄干
Y´ 他方の欄干
【要約】
【課題】都市部における河川に架けられた橋梁を利用し、ヒートアイランド現象を
低下させる橋梁上の風向調整方法を開発・提供するものである。
【解決手段】橋梁(X)の欄干(Y)に、所定の高さ寸法と横幅寸法を有する風向
調整器(1)を、空隙部(3)と順次、交互に設けて立設し、該風向調整器を構成
する各風向板(2)の向きは、橋梁の中央部(C)を中心に、左側の風向調整器の
各風向板の角度は右に一定角度曲げて設け、右側の風向調整器の各風向板の角度は
左に一定角度曲げて設けた橋梁上の風向調整方法。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5