(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凹凸部は、前記周縁部のうち、前記傾斜方向の一方側であって、前記衝突面に沿って流れる前記流体の流れる方向の下流側に位置する周縁部に形成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記したような冷却装置では、シェルの内部に流体が流れ込むときに、シェルの内部に設けられた冷却部等の部材に衝突し、流体の流れに剥離や渦等が生じる。その結果、シェル内部の部材やシェル自体が共鳴してしまい、騒音が発生することがある。そのため、冷却装置では、このような騒音を低減することが望まれている。
【0008】
この発明は、騒音を低減することができる冷却装置、圧縮機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る第一態様によれば、冷却装置は、圧縮機に送り込む流体を冷却する冷却装置であって、中空のシェルと、前記シェルの内部に設けられた冷却器と、
前記シェルの軸線の延びる軸線方向と直交する断面において、前記冷却器の鉛直方向の上方から前記シェルの内部に前記流体を送り込む入口ノズルと、前記冷却器を経た前記流体を前記シェルの外部に送り出す出口ノズルと、
矩形板状をなし、前記入口ノズルから前記シェルの内部に送り込まれた前記流体の流れる方向を
前記シェルの内周面に向かうように変えるガイド部材と、を備え、前記ガイド部材は、前記入口ノズルから前記シェルの内部に送り込まれる前記流体の流入方向に対して傾斜する傾斜方向に広がり、前記流体と衝突する衝突面と、前記衝突面の周縁部の少なくとも一部に、前記周縁部に沿って凹凸形状が連続するよう形成された凹凸部と、を有
し、前記ガイド部材は、前記断面において、前記衝突面が前記鉛直方向の上方を向いた状態で、前記シェルの幅方向の中心位置から外側に向かうにしたがって、前記鉛直方向の下方に向かうように傾斜して配置される。
【0010】
このような構成によれば、入口ノズルからシェルの内部に送り込まれた流体は、ガイド部材によって流れ方向が変わった後に冷却部に送られる。このため、シェルの内部に設けられた冷却器に入口ノズルから送り込まれた流体が直接衝突することを抑えることができる。さらに、ガイド部材には、衝突面の周縁部に凹凸部が形成されているため、衝突面の周縁部で流体が剥離するときに生じる渦の強さを抑えることができる。
【0011】
この発明に係る第二態様によれば、第一態様の冷却装置では、前記凹凸部は、前記周縁部のうち、前記傾斜方向の一方側であって、前記衝突面に沿って流れる前記流体の流れる方向の下流側に位置する周縁部に形成されているようにしてもよい。
【0012】
入口ノズルからシェルの内部に送り込まれ、ガイド部材の衝突面に衝突した流体は、ガイド部材の傾斜方向に沿って流れる。衝突面に沿って流れる流体の流れ方向の下流側で流体が剥離するときに生じる渦の強さを、凹凸部によってより有効に抑えることができる。
【0013】
この発明に係る第三態様によれば、第一又は第二態様の冷却装置では、前記凹凸部は、前記周縁部のうち、前記ガイド部材の傾斜方向に対して交差する側方に位置する周縁部に形成されているようにしてもよい。
【0014】
傾斜方向と交差する方向に流れた一部の流体が衝突面の側方で剥離するときに生じる渦による影響を抑えることができる。
【0015】
この発明に係る第四態様によれば、第一態様から第三態様のいずれか一つの冷却装置では、前記入口ノズルが複数設けられ、前記ガイド部材は、前記入口ノズル毎に設けられ、互いに間隔を空けて配置されていてもよい。
【0016】
これにより、それぞれの入口ノズルからシェルの内部に送り込まれた流体は、ガイド部材によって、流れの向きが変えつつ、渦の発生を抑えて騒音が生じることを抑えることができる。ここで、ガイド部材を入口ノズル毎に間隔を空けて設けることで、各ガイド部材の大きさを小さくすることができる。これによって、ガイド部材を、例えば入口ノズル等を通してシェルの内部に持ち込むことができ、既設の冷却装置にガイド部材を容易に取り付けることができる。
【0017】
この発明に係る第五態様によれば、圧縮機システムは、直列に複数設けられ、流体を順次圧縮する複数の圧縮機と、複数の前記圧縮機同士の間に設けられ、前段側の前記圧縮機で圧縮された流体を冷却し、後段側の前記圧縮機に送り込む第一態様から第四態様のいずれか一つの冷却装置を備える。
【0018】
これにより、冷却装置に流体が流れ込むときに生じる騒音を抑えつつ、流体を冷却して後段の圧縮機を運転することができる。
【発明の効果】
【0019】
上述した冷却装置、圧縮機システムによれば、冷却装置に流体が流れ込むときに生じる騒音を低減することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、この発明の実施形態における圧縮機システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、遠心圧縮機システム(圧縮機システム)1は、動力を発生させる駆動源19と、駆動軸2と、従動軸3と、圧縮機4と、増速機10と、第一冷却装置(冷却装置)40と、第二冷却装置28とを備える。
【0022】
駆動軸2は、駆動源19によって、その中心軸回りに回転駆動される。
【0023】
従動軸3は、増速機10から伝達された動力により、その中心軸回りに回転駆動される。従動軸3は、駆動軸2を挟んで両側に配置され、それぞれ駆動軸2と平行に延びる、第一従動軸5と第二従動軸6とを有する。
【0024】
増速機10は、駆動軸2の回転を増速し、第一従動軸5と第二従動軸6とに伝達させる。増速機10は、ケーシング20内に、駆動歯車11と、第一従動歯車12及び第二従動歯車13と、第一中間歯車14及び第二中間歯車15と、を備える。
【0025】
駆動歯車11は、ケーシング20を貫通してケーシング20内に挿入された駆動軸2の先端部に設けられ、駆動軸2と一体に回転する。ここで、駆動軸2は、ケーシング20に軸受(図示無し)を介して支持されている。
【0026】
第一従動歯車12は、第一従動軸5と一体に設けられている。第二従動歯車13は、第二従動軸6と一体に設けられている。第一従動軸5及び第二従動軸6は、ケーシング20に軸受(図示無し)を介して支持されている。これら第一従動歯車12及び第二従動歯車13は、駆動歯車11を挟んだ両側に、それぞれ間隔を空けて配置されている。
【0027】
第一中間歯車14は、駆動歯車11と第一従動歯車12との間に配置されている。第一中間歯車14は、駆動歯車11と第一従動歯車12とに噛み合っている。第二中間歯車15は、駆動歯車11と第二従動歯車13との間に配置されている。第二中間歯車15は、駆動歯車11と第二従動歯車13とに噛み合っている。第一中間歯車14及び第二中間歯車15は、いわゆるアイドル歯車である。
【0028】
このような増速機10は、駆動源19の駆動力によって駆動軸2が回転すると、駆動歯車11が駆動軸2と一体に回転する。駆動歯車11の回転は、第一中間歯車14及び第二中間歯車15を介して第一従動歯車12及び第二従動歯車13に伝達され、第一従動歯車12及び第二従動歯車13が回転する。この第一従動歯車12の回転に伴って第一従動軸5が回転する。第二従動歯車13の回転に伴って第二従動軸6が回転する。すなわち、駆動軸2が駆動されることによって、第一従動軸5及び第二従動軸6が回転する。
【0029】
圧縮機4は、直列に複数設けられている。複数の圧縮機4は、流体を順次圧縮している。圧縮機4は、駆動軸2から増速機10を介して従動軸3に伝達された動力により駆動される。圧縮機4は、二つの第一段圧縮機(圧縮機)7a及び7bと、第二段圧縮機(圧縮機)8と、第三段圧縮機(圧縮機)9と、を備える。
【0030】
第一段圧縮機7a及び7bは、遠心圧縮機システム1において、流体Fが最初に流入する圧縮機である。第一段圧縮機7a及び7bは、第一従動軸5の中心軸方向両側の端部にそれぞれ設けられている。二つの第一段圧縮機7a及び7bは、同一の構成を有しており、それぞれ、ガス導入部23と、インペラ25と、を備えている。
【0031】
ガス導入部23は、圧縮対象となる流体Fを外部から導入する。
インペラ25は、第一従動軸5に取り付けられ、ガス導入部23から供給された流体Fを圧縮する。
【0032】
第二段圧縮機8は、第二従動軸6において駆動源19が設けられた側とは反対側の端部に設けられている。第二段圧縮機8は、流体Fを圧縮するインペラ37を有している。
【0033】
第三段圧縮機9は、第二従動軸6において駆動源19が設けられた側と同じ側に設けられている。第三段圧縮機9は、流体Fを圧縮するインペラ38を有している。
【0034】
次に、圧縮機同士の接続構成について説明する。
二つの第一段圧縮機7a及び7bは、第一段配管30を介して第二段圧縮機8と接続されている。第一段配管30は、2つの第一段圧縮機吐出配管31a及び31bと第二段圧縮機吸込配管32とから構成されている。
【0035】
第一段圧縮機吐出配管31a及び31bは、第一段圧縮機7a及び7bのガス排出口25eに接続されている。
第二段圧縮機吸込配管32は、第二段圧縮機8のガス導入口37iに接続されている。
【0036】
第一段圧縮機吐出配管31a及び31bと第二段圧縮機吸込配管32との間には、第一冷却装置40が配置されている。第一段圧縮機吐出配管31a及び31bは、第一冷却装置40に接続されている。第二段圧縮機吸込配管32は、第一冷却装置40に接続されている。
【0037】
第一冷却装置40は、複数の圧縮機4同士の間に設けられている。第一冷却装置40は、第二段圧縮機8に送り込む流体を冷却している。第一冷却装置40は、前段側の第一段圧縮機7a及び7bの二系統によって圧縮された流体Fを冷却し、後段側の第二段圧縮機8に送り込む。つまり、第一冷却装置40は、第一段圧縮機7a及び7bから吐出されて第一段圧縮機吐出配管31a及び31bを流通してきた流体Fを冷却して、第二段圧縮機吸込配管32に送っている。第一冷却装置40は、圧縮過程での流体Fを中間的に冷却することによって、第二段圧縮機8の駆動に必要とされる動力を低減している。
【0038】
第二段圧縮機8は、第二段配管33を介して第三段圧縮機9と接続されている。第二段配管33は、第二段圧縮機吐出配管34と第三段圧縮機吸込配管35とから構成されている。
【0039】
第二段圧縮機吐出配管34は、第二段圧縮機8のガス排出口37eに接続されている。第三段圧縮機吸込配管35は、第三段圧縮機9のガス導入口38iに接続されている。
【0040】
第二段圧縮機吐出配管34と第三段圧縮機吸込配管35との間には、第二冷却装置28が設けられている。第二段圧縮機吐出配管34は、第二冷却装置28に接続されている。第三段圧縮機吸込配管35は、第二冷却装置28に接続されている。
【0041】
第二冷却装置28は、複数の圧縮機4同士の間に設けられている。第二冷却装置28は、第三段圧縮機9に送り込む流体を冷却している。第二冷却装置28は、前段側の第二段圧縮機8によって圧縮された流体Fを冷却し、後段側の第三段圧縮機9に送り込む。つまり、第二冷却装置28は、第二段圧縮機8から吐出されて第二段圧縮機吐出配管34を流通してきた流体Fを冷却して、第三段圧縮機吸込配管35に送っている。第二冷却装置28は、圧縮過程での流体Fを中間的に冷却することによって、第三段圧縮機9の駆動に必要とされる動力を低減している。
【0042】
第三段圧縮機9のガス排出口38eには、第三段圧縮機吐出配管36が接続されている。第三段圧縮機吐出配管36は、流体Fの供給先である所定のプラントPに接続されている。
【0043】
上記したような遠心圧縮機システム1においては、圧縮すべき流体Fは、第一段圧縮機7a及び7bを構成する二つのガス導入部23,23より導入され、二つの第一段圧縮機7a及び7bにおいて圧縮される。
【0044】
第一段圧縮機7a及び7bで圧縮された流体Fは、第一段圧縮機吐出配管31a及び31bを通り、第一冷却装置40に導入されて合流する。合流した流体Fは、第一冷却装置40で中間冷却された後、第二段圧縮機吸込配管32を通って第二段圧縮機8に導入される。
【0045】
流体Fは、第二段圧縮機8において圧縮された後、第二段圧縮機吐出配管34を通して第二冷却装置28に送り込まれる。第二冷却装置28では、送り込まれた流体Fを中間冷却する。中間冷却された流体Fは、第三段圧縮機吸込配管35を通して第三段圧縮機9に導入される。
【0046】
流体Fは、第三段圧縮機9において圧縮された後、第三段圧縮機吐出配管36を通し、圧縮された流体Fの需要先である所定のプラントPに供給される。
【0047】
ここで、第一冷却装置40の構成について説明する。
図2は、この発明の実施形態における圧縮機システムに設けられた第一冷却装置の構成を示す斜視断面図である。
図3は、第一冷却装置の軸線に直交する断面図である。
図4は、第一冷却装置に設けられたバッフルプレートを示す斜視図である。
【0048】
図2、
図3に示すように、本実施形態の第一冷却装置40は、シェル41と、冷却器42と、二つの入口ノズル45A及び45Bと、出口ノズル46と、バッフルボード(ガイド部材)50と、を備えている。
【0049】
シェル41は、中空構造をなしている。シェル41は、軸線Cを中心とする有底筒状の部材である。本実施形態のシェル41は、円筒状をなして水平方向に延びる筒状部43と、筒状部43の両端を閉塞する端板部44と、を備える。
【0050】
筒状部43には、二つの入口ノズル45A及び45Bと、一つの出口ノズル46とが一体的に接続されている。
【0051】
二つの入口ノズル45A及び45Bは、シェル41の内部に流体Fを送り込む。二つの入口ノズル45A及び45Bは、筒状部43の上部に、筒状部43の軸線C方向に間隔を空けて配置されている。
図2に示すように、本実施形態の入口ノズル45A及び45Bは、筒状部43の鉛直方向の上方に位置する頂部43t付近にそれぞれ設けられている。入口ノズル45A及び45Bは、頂部43tに対し、筒状部43の軸線C方向(
図2参照)に直交する断面における横方向(以下、この方向を幅方向Xと称する)の一方側にオフセットした位置に形成されている。入口ノズル45Aには、第一段圧縮機吐出配管31aが接続されている。入口ノズル45Bには、第一段圧縮機吐出配管31bが接続されている。入口ノズル45A及び45Bは、それぞれ筒状部43を貫通する開口部45hを有している。
【0052】
出口ノズル46は、冷却器42を経た流体Fをシェル41の外部に送り出す。出口ノズル46は、筒状部43の側部に配置されている。出口ノズル46は、頂部43tに対し、幅方向Xの他方側にずれた位置に形成されている。この出口ノズル46には、第二段圧縮機吸込配管32が接続されている。
【0053】
冷却器42は、シェル41の内部に設けられている。冷却器42は、冷媒を介して入口ノズル45A及び45Bから流入した流体Fを冷却する。冷却器42は、筒状部43の軸線C方向に延びる複数本の管体42pを備える。これらの管体42pには、水等の冷媒が流通される。冷却器42は、筒状部43に支柱(図示無し)を介して支持された底板47と、冷却器42の上方を覆う天板48と、天板48から上方に延びる仕切板49とを備えている。
【0054】
底板47は、幅方向Xの一方側に延びている。底板47は、その端部47aが筒状部43の内周面に接合されている。これにより、底板47は、冷却器42の下部において、筒状部43内の空間を上下に仕切っている。
【0055】
仕切板49は、天板48の上面の幅方向Xの中間位置から鉛直方向の上方に向かって延びている。つまり、仕切板49は、シェル41の幅方向Xの中心位置に設けられている。仕切板49は、筒状部43の頂部43tで筒状部43の内周面側に接合されている。この仕切板49により、冷却器42の上部において、筒状部43内の空間を左右に仕切っている。
【0056】
これらの底板47と仕切板49とにより、筒状部43内の空間が、冷却器42に対して入口側42i(
図3において右方)と、出口側42e(
図3において左方)とで区画されている。入口側42iは、冷却器42に対して入口ノズル45A及び45Bは接続された側である幅方向Xの一方側である。出口側42eは、冷却器42に対して出口ノズル46が接続された側である幅方向Xの他方側である。
【0057】
バッフルボード50は、入口ノズル45A及び45Bからシェル41の内部に送り込まれた流体Fの流れ方向を変える。バッフルボード50は、冷却器42の天板48上に設けられている。バッフルボード50は、少なくとも、各入口ノズル45A及び45Bの開口部45hの鉛直方向の下方に配置されている。本実施形態のバッフルボード50は、入口ノズル毎に設けられ、互いに間隔を空けて配置されている。バッフルボード50は、矩形板状をなしている。バッフルボードは、仕切板49に近い側の第一端部50aから、仕切板49から幅方向Xに離間した側の第二端部50bに向かって、漸次低くなるよう傾斜している。つまり、バッフルボード50は、軸線C方向と直交する断面において、幅方向Xの中心位置から外側に向かうにしたがって、鉛直方向の下方に向かうよう傾斜している。バッフルボード50の第一端部50aは、天板48から鉛直方向の上方に離間した位置で仕切板49に固定されている。バッフルボード50の第二端部50bは、天板48に固定されている。本実施形態のバッフルボード50は、衝突面50tと、凹凸部51とを有する。
【0058】
衝突面50tは、入口ノズル45A及び45Bから流入した流体と衝突する面である。衝突面50tは、入口ノズル45A及び45Bからシェル41の内部に送り込まれる流体Fの流入方向に対して傾斜する傾斜方向に広がっている。本実施形態の衝突面50tは、バッフルボード50の鉛直方向の上方を向く平面である。
【0059】
ここで、本実施形態のバッフルボード50の衝突面50tは、平面であるが、このような形状に限定されるものではなく、傾斜方向に広がって形成されていればよい。衝突面50tは、例えば、第一端部50aと第二端部50bとの間が鉛直方向の上方に膨出した凸面状であってもよいし、第一端部50aと第二端部50bとの間が鉛直方向の下方に窪んだ凹面状であってもよい。
【0060】
ここで、
図2に示すように、一方の入口ノズル45Aの下方に設けられたバッフルボード50Aと、他方の入口ノズル45Bの下方に設けられたバッフルボード50Bとは、筒状部43の軸線C方向に間隔を空けて設けられている。
【0061】
図4に示すように、凹凸部51は、衝突面50tの周縁部の少なくとも一部に設けられている。つまり、凹凸部51は、衝突面50tと交差するバッフルボード50の側端面の一部を形成している。凹凸部51は、周縁部のうち、傾斜方向の一方側であって、衝突面50tに沿って流れる流体Fの流れる方向の下流側に位置する周縁部に形成されている。凹凸部51は、周縁部のうち、バッフルボード50の傾斜方向に対して交差する側方に位置する周縁部に形成されている。本実施形態の凹凸部51は、矩形板状をなす各バッフルボード50の周囲の四つの側端面のうち、第一端部50a以外の側端面に形成されている。つまり、凹凸部51は、第二端部50bと、軸線C方向の両側の側端部50c及び50cとに形成されている。凹凸部51は、周縁部に沿って凹凸形状が連続するよう形成されている。具体的には、凹凸部51は、凹部52と凸部53とが交互に形成されることで、凹凸形状が連続するよう形成されている。
【0062】
凸部53は、バッフルボード50の外方に向かって、衝突面50tと直交する方向から見た際に、バッフルボード50の外方に向かって三角形状に突出している。凹部52は、衝突面50tと直交する方向から見た際に、バッフルボード50の内方に向かって三角形状に窪んでいる。凹部52は、隣り合う二つの凸部53及び53の間に配置されている。
【0063】
このような構成によれば、
図2、
図3に示すように、入口ノズル45A及び45Bからシェル41の内部に流れ込んだ流体Fは、バッフルボード50に衝突し、その流れる方向が変換される。バッフルボード50によって流れる方向が変換された流体Fは、衝突面50tに沿って傾斜方向に流れる。その後、流体Fは、シェル41の内周面に沿うように流れ、シェル41内で冷却器42に対して幅方向Xの一方側である入口側42i側に至る。流体Fは、冷却器42を、入口側42iから冷却器42に対して幅方向Xの他方側である出口側42eに向かって通過する。この際、流体Fは、冷却器42の各管体42pの外周面に接触することで、各管体42p内を流れる冷媒と熱交換して冷却される。冷却器42を通過し、冷却された流体Fは、シェル41の他方側に開口した出口ノズル46からシェル41の外部に送り出される。
【0064】
このようにして、第一冷却装置40は、二つの第一段圧縮機7a及び7bから吐出される二系統の流体Fを合流させて冷却し、一系統の流体Fとする機能を有している。
【0065】
上述した実施形態の第一冷却装置40及び遠心圧縮機システム1によれば、入口ノズル45A及び45Bからシェル41内に送り込まれた流体Fは、バッフルボード50によって流れ方向が変わる。具体的には、
図4に示すように、入口ノズル45A及び45Bから鉛直方向の下方に向かってシェル41内に流れ込み、バッフルボード50に衝突した流体Fは、流体Fの流入方向に対して流れる方向がバッフルボード50の衝突面50tに沿うように変換される。このため、シェル41内に設けられた冷却器42や天板48に、入口ノズル45A及び45Bから送り込まれた流体Fが直接衝突することが抑えられる。
【0066】
流れ方向が変換された流体Fは、第一端部50aから第二端部50bや両側端部50c及び50cに向かって流れる。バッフルボード50の第二端部50bや両側端部50c及び50cにおいて、流体Fはバッフルボード50の衝突面50tから剥離するが、第二端部50b及び両側端部50c及び50cには、凹部52と凸部53とが交互に形成されている。そのため、流体Fがバッフルボード50から剥離して渦Sを生成する位置が、凹部52と凸部53とでは流体Fの流れる方向において異なる。したがって、凹部52の位置で生じた渦S1と、凸部53の位置で生じた渦S2とは、互いに繋がりにくい。これにより、全体として渦Sによる影響を抑えることができ、バッフルボード50近傍における圧力変動を抑えることができる。したがって、渦Sの影響によって、シェル41や、シェル41内の部材等が共鳴してしまうことを抑えることができる。その結果、第一冷却装置40に流体Fが流れ込むときに生じる騒音を低減することが可能となる。
【0067】
また、バッフルボード50の傾斜方向の下流側の第二端部50bには、凹凸部51が形成されている。そのため、流体Fの流れる方向の下流側である第二端部50bで流体Fが剥離するときに生じる渦Sによる影響を抑えることができる。したがって、衝突面50tに衝突した流体Fが最も多く流れる第二端部50bで効果的に流体Fによる騒音への影響を抑えることができる。
【0068】
また、凹凸部51は、バッフルボード50の両側端部50c及び50cに形成されている。これにより、入口ノズル45A及び45Bからシェル41内に送り込まれ、傾斜方向と交差する方向に流れた一部の流体Fが両側端部50c及び50cで剥離するときに生じる渦Sによる影響を抑えることができる。したがって、第二端部50bと両側端部50c及び50cとに凹凸部51が設けられていることで、流体Fが剥離するときに生じる渦Sの抑制を、より広い範囲で行うことができる。
【0069】
また、バッフルボード50は、複数の入口ノズル45A及び45Bのそれぞれの開口部45hに対向した位置に、互いに間隔を空けて設けられている。これにより、それぞれの入口ノズル45A及び45Bからシェル41内に送り込まれた流体Fは、別々のバッフルボード50によって、流れの向きが変えられる。ここで、バッフルボード50を入口ノズル45A及び45B毎に別々に設けることで、一つのバッフルボード50の大きさを小さくすることができる。これによって、バッフルボード50を、例えば入口ノズル45A及び45B等を通してシェル41内に持ち込むことができ、既設の第一冷却装置40にバッフルボード50を取り付けることができる。
【0070】
(実施形態の第一変形例)
なお、上記の実施形態では、第一冷却装置40において、二つの入口ノズル45A及び45Bのそれぞれに対応して二枚のバッフルボード50を備えるようにしたが、これに限られない。
図5は、この発明の実施形態における冷却装置の第一変形例の構成を示す斜視図である。
【0071】
図5に示すように、第一変形例としてバッフルボード50Dをシェル41の軸線C方向において連続する一枚の部材としてもよい。バッフルボード50Dを、入口ノズル45A及び45Bに対応する位置だけでなく、シェル41の軸線C方向において、冷却器42の全長にわたって連続させるように設けてもよい。
【0072】
凹凸部51は、バッフルボード50Dの周囲の四辺のうち、第一端部50a以外の側端面に形成されている。つまり、凹凸部51は、上記実施形態と同様に、第二端部50bと軸線C方向の両側の両側端部50c及び50cとに形成されている。
【0073】
このような構成のバッフルボード50Dを備えた第一冷却装置40においても、上記実施形態と同様、バッフルボード50Dの第二端部50b及び両側端部50c及び50cには凹凸部51が形成されている。そのため、衝突面50tの第二端部50b及び両側端部50c及び50cで流体Fが剥離するときに生じる渦S(
図4参照)の強さを抑えることができる。したがって、渦Sの影響によって、シェル41や、シェル41内の部材が共鳴して騒音が生じることを抑えることができる。
【0074】
(実施形態の第二変形例)
また、上記実施形態では、第一冷却装置40には、複数の入口ノズル45A及び45Bを備えた構成を例示したが、このような構成に限られない。例えば、入口ノズルの数は、3以上であってもよい。また、入口ノズルは、1つのみを備えるようにしても良い。
【0075】
図6は、この発明の実施形態における冷却装置の第二変形例の構成を示す斜視図である。
図6に示すように、第二変形例に示す冷却装置40Eは、入口ノズル45Cを一つのみ有している。
【0076】
バッフルボード50は、一つの入口ノズル45Cのみの開口部45hの鉛直方向の下方に配置されている。本実施形態のバッフルボード50は、入口ノズル45Cの開口部45hのみを覆うように形成されている。
【0077】
このような構成の冷却装置40Eにおいても、入口ノズル45Cからシェル41内に送り込まれた流体Fは、バッフルボード50によって流れ方向が変わる。このため、シェル41内に設けられた冷却器42や天板48に、入口ノズル45Cから送り込まれた流体Fが直接衝突することを抑えることができる。さらに、バッフルボード50の第二端部50b及び両側端部50c及び50cには凹凸部51が形成されているため、衝突面50tの第二端部50b及び両側端部50c及び50cで流体Fが剥離するときに生じる渦S(
図4参照)の強さを抑えることができる。したがって、渦Sの影響によって、シェル41や、シェル41内の部材が共鳴して騒音が生じることを抑えることができる。
【0078】
なお、上記したような第二変形例の冷却装置40Eは、例えば、
図1に示した第二冷却装置28に適用可能である。
【0079】
(その他の実施形態)
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、設計変更可能である。
【0080】
例えば、凹凸部51を、バッフルボード50の第二端部50b及び両側端部50c及び50cに形成したが、これに限られるものではない。凹凸部51は、バッフルボード50の周縁部の少なくとも一部に形成されていればよく、例えば第二端部50bにのみ形成してもよい。また、凹凸部51は、側端部50c及び50cの一方のみに形成してもよく、バッフルボード50の周縁部の全てに形成してもよい。
【0081】
また、凹凸部51は、三角形状の凹部52と凸部53とから形成したが、凹部52や凸部53は、三角形状に限らず、例えば半円状、放物線状、矩形状等、適宜他の形状としてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、遠心圧縮機システム1の構成を示したが、圧縮機の段数、増速機10の具体的構成等、各部の構成については適宜変更してもよい。