特許第6621251号(P6621251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6621251ランキンサイクル装置、制御装置、発電装置、及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621251
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】ランキンサイクル装置、制御装置、発電装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 17/00 20060101AFI20191209BHJP
   F02G 5/00 20060101ALI20191209BHJP
   F01K 13/02 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   F01D17/00 C
   F02G5/00 B
   F01K13/02 B
   F01K13/02 C
   F01K13/02 F
   F01D17/00 J
【請求項の数】21
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2015-120941(P2015-120941)
(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-2882(P2017-2882A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月30日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】富樫 仁夫
(72)【発明者】
【氏名】引地 巧
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−083829(JP,A)
【文献】 特開2014−062542(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/112326(WO,A1)
【文献】 特開2008−180462(JP,A)
【文献】 特開2005−312289(JP,A)
【文献】 特開2013−096322(JP,A)
【文献】 特開2014−238041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/00
F01K 13/02
F02G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置であって、
前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記ランキンサイクル装置の始動期間に含まれる期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が始まったことを示す条件が成立したときに終わる期間において、前記膨張機の回転数はゼロに維持され、前記ポンプの回転数Nsはゼロ以上であって予め定められた回転数N1未満の範囲に維持され、
前記始動期間に含まれる増速期間B11であって前記条件が成立したときから始まる増速期間B11において、前記ポンプの回転数Nsは前記回転数N1まで増加し、
(a)前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T1まで増加したときに成立する条件である、又は、
(b)前記条件は、任意の時間幅当たりの前記温度Tsの増加幅ΔTsが閾値幅ΔT1まで増加したときに成立する条件である、ランキンサイクル装置。
【請求項2】
前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、を備え、
前記始動期間に含まれる期間であって前記ポンプの回転数Nsがゼロから増加し始めたときから始まり前記増速期間B11が終わるときに終わる期間において、前記開閉装置の開度は80%以上100%以下の範囲に維持され、
前記始動期間に含まれる閉鎖期間B1obsであって前記増速期間B11よりも後の閉鎖期間B1obsにおいて、前記開閉装置の開度が0%以上20%以下の範囲の開度まで減少する、請求項1に記載のランキンサイクル装置。
【請求項3】
前記増速期間B11よりも後の時点であって前記閉鎖期間B1obsよりも前の時点において、前記膨張機の回転数がゼロから増加し始める、請求項2に記載のランキンサイクル装置。
【請求項4】
前記蒸発器において前記作動流体に与えられるべき単位時間当たりの熱の範囲が規定されており、
前記回転数N1は、前記蒸発器における前記作動流体の加熱が始まったときから永久に前記作動流体に前記範囲の熱が与えられ且つ前記増速期間B11が終わったときから永久に前記ポンプの回転数Nsが前記回転数N1に維持されると仮定したときに、前記増速期間B11が始まってから前記閉鎖期間B1obsが終わるまでの期間において前記温度Tsは増加するものの目標温度T2よりも高くなることがないように予め設定されており、
前記目標温度T2は、前記作動流体の分解温度未満の温度である、請求項2又は3に記載のランキンサイクル装置。
【請求項5】
前記始動期間に含まれる期間C1であって前記閉鎖期間B1obsよりも後の期間C1において、前記温度Tsが増加して目標温度T3に近づく又は目標温度T3に至るように前記ポンプの回転数Nsが減少する、請求項2〜4のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項6】
前記始動期間に含まれる期間A1であって前記ポンプの回転数Nsがゼロから増加し始めたときに始まり前記条件が成立したときに終わる期間A1において、前記ポンプの回転数Nsはゼロよりも大きい範囲に維持される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項7】
前記期間A1において、前記ポンプの回転数Nsは、ゼロよりも大きく予め定められた回転数N2以下である範囲に維持され、
前記回転数N2は、前記回転数N1の半分以下の回転数である、請求項6に記載のランキンサイクル装置。
【請求項8】
前記始動期間が始まってから前記条件が成立するまでの期間において前記ポンプの回転数Nsがゼロよりも大きい状態が一定時間続いた場合、前記ポンプの回転数Nsはゼロまで減少し前記条件が成立するときまでゼロに維持される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項9】
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記蒸発器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置であって、
前記ランキンサイクル装置の停止期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が終わったことを示す条件が成立したときから始まる停止期間に含まれる期間C2において、前記ポンプの回転数Nsがゼロまで減少し、
(m)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T4まで減少したときに成立する条件である、
(n)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記停止期間よりも前の期間であって前記条件が成立すると終わる期間において、前記温度Tsが目標温度T3よりも高いときには前記ポンプの回転数Nsが増加し、前記温度Tsが前記目標温度T3よりも低いときには前記ポンプの回転数Nsが減少し、
前記条件は、前記ポンプの回転数Nsが閾値回転数Nthまで減少したときに成立する条件である、
(o)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Psの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記圧力Psが閾値圧力Pthまで減少したときに成立する条件である、
(p)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps1の特定に用いられる第1センサと、前記膨張機の出口を始点とし前記凝縮器の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps2の特定に用いられる第2センサと、を備え、
前記条件は、前記圧力Ps1から前記圧力Ps2を差し引いた差分である圧力差ΔPsが閾値差分ΔPthまで減少したときに成立する条件である、
(q)前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機を備え、
前記条件は、前記膨張機の回転数が下限回転数Nm以上である状態で前記発電機の発電電力Wsが閾値電力Wthまで減少したときに成立する条件である、又は、
(r)前記条件は、前記膨張機のトルクTQsが閾値トルクTQthまで減少したときに成立する条件であり、
前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、を備え、
前記停止期間に含まれる期間A2であって前記期間C2よりも前の期間A2において、前記開閉装置の開度が80%以上100%以下の範囲の開度まで増加する、ランキンサイクル装置。
【請求項10】
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記蒸発器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置であって、
前記作動流体の温度の増加を抑制し又は前記作動流体の温度の減少を促進させつつ前記ランキンサイクル装置を停止させるために、
前記ポンプの回転数Nsが、期間A3において一旦増加し、前記期間A3よりも後の期間C3においてゼロまで減少し、
前記期間A3が始まるときに始まる期間において、前記開閉装置の開度が80%以上100%以下の範囲の開度まで増加する、ランキンサイクル装置。
【請求項11】
(v)前記期間A3は、前記膨張機がフリーラン状態になったときに始まる、
(w)前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機を備え、
前記期間A3は、前記発電機に過電流が流れたときに始まる、
(x)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記ランキンサイクル装置が単独運転状態になったときに始まる、
(y)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の振幅が所定の範囲から逸脱したときに始まる、又は
(z)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の周波数が所定の範囲から逸脱したときに始まる、請求項10に記載のランキンサイクル装置。
【請求項12】
前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記期間C3は、前記温度Tsが閾値温度T5まで減少したとき始まる、請求項10又は11に記載のランキンサイクル装置。
【請求項13】
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機と、前記ポンプに連結され前記ポンプを駆動する電動機と、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサと、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置を制御する制御装置であって、
前記制御装置は、
第1の3相配線を介して前記発電機と接続され、前記発電機で発電された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータから前記直流電力が入力され、第2の3相配線を介して前記電動機と接続され、前記電動機を用いて前記ポンプを駆動するポンプ駆動回路と、を有し、
前記ランキンサイクル装置の始動期間に含まれる期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が始まったことを示す条件が成立したと前記制御装置が判断したときに終わる期間において、前記膨張機の回転数をゼロに維持し、前記ポンプの回転数Nsをゼロ以上であって予め定められた回転数N1未満の範囲に維持し、
前記始動期間に含まれる増速期間B11であって前記条件が成立したと前記制御装置が判断したときから始まる増速期間B11において、前記ポンプの回転数Nsを前記回転数N1まで増加させ、
(a)前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T1まで増加したときに成立する条件である、又は、
(b)前記条件は、任意の時間幅当たりの前記温度Tsの増加幅ΔTsが閾値幅ΔT1まで増加したときに成立する条件である、制御装置。
【請求項14】
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機と、前記ポンプに連結され前記ポンプを駆動する電動機と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置を制御する制御装置であって、
前記制御装置は、
第1の3相配線を介して前記発電機と接続され、前記発電機で発電された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータから前記直流電力が入力され、第2の3相配線を介して前記電動機と接続され、前記電動機を用いて前記ポンプを駆動するポンプ駆動回路と、を有し、
前記ランキンサイクル装置の停止期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が終わったことを示す条件が成立したと前記制御装置が判断したときから始まる停止期間に含まれる期間C2において、前記ポンプの回転数Nsをゼロまで減少させ、
(m)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T4まで減少したときに成立する条件である、
(n)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記停止期間よりも前の期間であって前記条件が成立すると終わる期間において、前記温度Tsが目標温度T3よりも高いときには前記制御装置は前記ポンプの回転数Nsを増加させ、前記温度Tsが前記目標温度T3よりも低いときには前記制御装置は前記ポンプの回転数Nsを減少させ、
前記条件は、前記ポンプの回転数Nsが閾値回転数Nthまで減少したときに成立する条件である、
(o)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Psの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記圧力Psが閾値圧力Pthまで減少したときに成立する条件である、
(p)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps1の特定に用いられる第1センサと、前記膨張機の出口を始点とし前記凝縮器の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps2の特定に用いられる第2センサと、を備え、
前記条件は、前記圧力Ps1から前記圧力Ps2を差し引いた差分である圧力差ΔPsが閾値差分ΔPthまで減少したときに成立する条件である、
(q)前記制御装置は、前記発電機の発電電力Wsを特定し、
前記条件は、前記膨張機の回転数が下限回転数Nm以上である状態で前記発電電力Wsが閾値電力Wthまで減少したときに成立する条件である、
(r)前記制御装置は、前記発電機を流れる電流Isの特定に用いられるセンサを備え、
前記制御装置は、前記電流Isから前記膨張機のトルクTQsを特定し、
前記条件は、前記トルクTQsが閾値トルクTQthまで減少したときに成立する条件である、又は、
(s)前記制御装置は、前記発電機を流れる電流Isの特定に用いられるセンサを備え、
前記制御装置は、前記電流Isから、前記膨張機に流入する前記作動流体の圧力Ps1から前記膨張機から流出する前記作動流体の圧力Ps2を差し引いた差分である圧力差ΔPsを特定し、
前記条件は、前記圧力差ΔPsが閾値差分ΔPthまで減少したときに成立する条件であり、
前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、を備え、
前記停止期間に含まれる期間A2であって前記期間C2よりも前の期間A2において、前記制御装置は、前記開閉装置の開度を80%以上100%以下の範囲の開度まで増加させる、制御装置。
【請求項15】
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機と、前記ポンプに連結され前記ポンプを駆動する電動機と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置を制御する制御装置であって、
前記制御装置は、
第1の3相配線を介して前記発電機と接続され、前記発電機で発電された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータから前記直流電力が入力され、第2の3相配線を介して前記電動機と接続され、前記電動機を用いて前記ポンプを駆動するポンプ駆動回路と、を有し、
前記作動流体の温度の増加を抑制し又は前記作動流体の温度の減少を促進させつつ前記ランキンサイクル装置を停止させるために、前記制御装置は、
前記ポンプの回転数Nsを、期間A3において一旦増加させ、前記期間A3よりも後の期間C3においてゼロまで減少させ、
前記期間A3が始まるときに始まる期間において、前記開閉装置の開度を80%以上100%以下の範囲の開度まで増加させる、制御装置。
【請求項16】
(v)前記期間A3は、前記膨張機がフリーラン状態になったと前記制御装置が判断したときに始まる、
(w)前記期間A3は、前記発電機に過電流が流れたと前記制御装置が判断したときに始まる、
(x)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記ランキンサイクル装置が単独運転状態になったと前記制御装置が判断したときに始まる、
(y)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の振幅が所定の範囲から逸脱したと前記制御装置が判断したときに始まる、又は
(z)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の周波数が所定の範囲から逸脱したと前記制御装置が判断したときに始まる、請求項15に記載の制御装置。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置と、
前記ランキンサイクル装置を制御する制御装置と、を備えた発電装置。
【請求項18】
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサと、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置の制御方法であって、
前記ランキンサイクル装置の始動期間に含まれる期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が始まったことを示す条件が成立したときに終わる期間において、前記膨張機の回転数をゼロに維持し、前記ポンプの回転数Nsをゼロ以上であって予め定められた回転数N1未満の範囲に維持し、
前記始動期間に含まれる増速期間B11であって前記条件が成立したときから始まる増速期間B11において、前記ポンプの回転数Nsを前記回転数N1まで増加させ、
(a)前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T1まで増加したときに成立する条件である、又は、
(b)前記条件は、任意の時間幅当たりの前記温度Tsの増加幅ΔTsが閾値幅ΔT1まで増加したときに成立する条件である、制御方法。
【請求項19】
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記蒸発器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置の制御方法であって、
前記ランキンサイクル装置の停止期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が終わったことを示す条件が成立したときから始まる停止期間に含まれる期間C2において、前記ポンプの回転数Nsをゼロまで減少させ、
(m)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T4まで減少したときに成立する条件である、
(n)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記停止期間よりも前の期間であって前記条件が成立すると終わる期間において、前記温度Tsが目標温度T3よりも高いときには前記ポンプの回転数Nsが増加し、前記温度Tsが前記目標温度T3よりも低いときには前記ポンプの回転数Nsが減少し、
前記条件は、前記ポンプの回転数Nsが閾値回転数Nthまで減少したときに成立する条件である、
(o)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Psの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記圧力Psが閾値圧力Pthまで減少したときに成立する条件である、
(p)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps1の特定に用いられる第1センサと、前記膨張機の出口を始点とし前記凝縮器の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps2の特定に用いられる第2センサと、を備え、
前記条件は、前記圧力Ps1から前記圧力Ps2を差し引いた差分である圧力差ΔPsが閾値差分ΔPthまで減少したときに成立する条件である、
(q)前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機を備え、
前記条件は、前記膨張機の回転数が下限回転数Nm以上である状態で前記発電機の発電電力Wsが閾値電力Wthまで減少したときに成立する条件である、又は、
(r)前記条件は、前記膨張機のトルクTQsが閾値トルクTQthまで減少したときに成立する条件であり、
前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、を備え、
前記停止期間に含まれる期間A2であって前記期間C2よりも前の期間A2において、前記開閉装置の開度を80%以上100%以下の範囲の開度まで増加させる、制御方法。
【請求項20】
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記蒸発器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置の制御方法であって、
前記作動流体の温度の増加を抑制し又は前記作動流体の温度の減少を促進させつつ前記ランキンサイクル装置を停止させるために、
前記ポンプの回転数Nsを、期間A3において一旦増加させ、前記期間A3よりも後の期間C3においてゼロまで減少させ、
前記期間A3が始まるときに始まる期間において、前記開閉装置の開度を80%以上100%以下の範囲の開度まで増加させる、制御方法。
【請求項21】
(v)前記期間A3は、前記膨張機がフリーラン状態になったときに始まる、
(w)前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機を備え、
前記期間A3は、前記発電機に過電流が流れたときに始まる、
(x)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記ランキンサイクル装置が単独運転状態になったときに始まる、
(y)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の振幅が所定の範囲から逸脱したときに始まる、又は
(z)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の周波数が所定の範囲から逸脱したときに始まる、請求項20に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランキンサイクル装置、制御装置、発電装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ランキンサイクル装置を排熱利用装置として用いることが記載されている。ランキンサイクル装置の流体回路では、ポンプ、蒸発器(加熱用熱交換器)、膨張機(タービン)、及び凝縮器(放熱用熱交換器)が環状に接続されている。発電機は、膨張機に連結されている。ポンプは、作動流体を循環させる。蒸発器は、作動流体を加熱する。これにより、作動流体は過熱蒸気の状態となる。膨張機には、過熱蒸気の作動流体が流入する。流入した作動流体は、膨張機内で断熱膨張する。これにより、膨張機に駆動力が生じ、膨張機が動作する。膨張機の動作に伴い、発電機が動作し、発電する。つまり、膨張機及び発電機は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。凝縮器は、冷却空気等を用いて、膨張後の作動流体を冷却する。これにより、作動流体が凝縮する。凝縮した作動流体は、ポンプに吸い込まれる。
【0003】
典型的な流体回路では、蒸発器と凝縮器との間に、バイパス流路が設けられている。バイパス流路は、膨張機をバイパスしている流路である。バイパス流路には、開閉装置(バイパス弁)が設けられている。流体回路には、膨張機の入口における作動流体の温度を検出するための温度センサ(温度検出手段)が設けられることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−97387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの検討によれば、低コストと高信頼性との両立の観点からは、従来のランキンサイクル装置には改善の余地がある。本開示は、これらを両立させるための技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本開示は、
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置であって、
前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記ランキンサイクル装置の始動期間に含まれる期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が始まったことを示す条件が成立したときに終わる期間において、前記膨張機の回転数はゼロに維持され、前記ポンプの回転数Nsはゼロ以上であって予め定められた回転数N1未満の範囲に維持され、
前記始動期間に含まれる増速期間B11であって前記条件が成立したときから始まる増速期間B11において、前記ポンプの回転数Nsは前記回転数N1まで増加し、
(a)前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T1まで増加したときに成立する条件である、又は、
(b)前記条件は、任意の時間幅当たりの前記温度Tsの増加幅ΔTsが閾値幅ΔT1まで増加したときに成立する条件である、ランキンサイクル装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
上記のランキンサイクル装置は、低コストと高信頼性との両立の観点から優れている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】発電装置のブロック図
図2】コンバータのブロック図
図3】コンバータ制御部のブロック図
図4】dq座標系及びγδ座標系を説明するための図
図5】第1の始動運転を説明するためのフローチャート
図6】第1の始動運転を説明するためのタイムチャート
図7】第2の始動運転を説明するためのタイムチャート
図8】第1の停止運転を説明するためのフローチャート
図9】第1の停止運転を説明するためのタイムチャート
図10】第2の停止運転を説明するためのフローチャート
図11】第4の停止運転を説明するためのフローチャート
図12】第5の停止運転を説明するためのフローチャート
図13】第6の停止運転を説明するためのフローチャート
図14】第7の停止運転を説明するためのフローチャート
図15】第7の停止運転を説明するためのタイムチャート
図16】緊急停止運転を説明するためのフローチャート
図17】緊急停止運転を説明するためのタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
典型的な蒸発器では、ランキンサイクル装置内を循環する作動流体と、熱源からの熱を運ぶ熱媒体(水、ガス等)とが熱交換する。これにより、作動流体は加熱される。熱媒体の温度が増加すると、その増加が作動流体の温度に反映される。
【0010】
ランキンサイクル装置及び/又は熱源の動作によっては、作動流体の温度が過度に増加することがある。作動流体の温度の過度な増加は、ランキンサイクル装置の始動期間、停止期間等に発生し易い。作動流体の温度が過度に増加することを防止することが望まれる。このためには、例えば、熱媒体が蒸発器に運ぶ熱の量を調整する外部装置を設け、その外部装置の制御とランキンサイクル装置の制御とを連携させることが考えられる(以下、両制御を組み合わせた制御を加熱制御と称する)。上記の外部装置は、蒸発器を通る熱媒体の流量を調整する装置等で実現されうる。しかし、そのような外部装置を低コストで実現することは容易ではない。つまり、加熱制御を安価に実現することは容易ではない。
【0011】
上述の事情に鑑み、本開示は、作動流体の温度の過度な増加を低コストで防止できるランキンサイクル装置を提供することを目的とする。
【0012】
本開示の第1態様は、
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置であって、
前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記ランキンサイクル装置の始動期間に含まれる期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が始まったことを示す条件が成立したときに終わる期間において、前記膨張機の回転数はゼロに維持され、前記ポンプの回転数Nsはゼロ以上であって予め定められた回転数N1未満の範囲に維持され、
前記始動期間に含まれる増速期間B11であって前記条件が成立したときから始まる増速期間B11において、前記ポンプの回転数Nsは前記回転数N1まで増加し、
(a)前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T1まで増加したときに成立する条件である、又は、
(b)前記条件は、任意の時間幅当たりの前記温度Tsの増加幅ΔTsが閾値幅ΔT1まで増加したときに成立する条件である、ランキンサイクル装置を提供する。
【0013】
第1態様のランキンサイクル装置は、上述の外部装置のような、コストがかかる装置を要さない。従って、第1態様のランキンサイクル装置は、安価に実現できる。また、蒸発器における作動流体の加熱が始まったことを示す条件が成立したときにポンプの回転数Nsが回転数N1へと増加する。従って、始動期間において作動流体の温度が急増することが防止され、作動流体の温度が過度に高い温度に至ることが防止される。このように、第1態様のランキンサイクル装置は、低コストと高信頼性との両立の観点から優れている。なお、第1態様のランキンサイクル装置は、上述の外部装置とともに用いることもできる。この場合、作動流体の温度が過度に増加することを防止する効果が、第1態様の構成により低コストで補強されうる。
【0014】
本開示の第2態様は、第1態様に加え、
前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、を備え、
前記始動期間に含まれる期間であって前記ポンプの回転数Nsがゼロから増加し始めたときから始まり前記増速期間B11が終わるときに終わる期間において、前記開閉装置の開度は80%以上100%以下の範囲に維持され、
前記始動期間に含まれる閉鎖期間B1obsであって前記増速期間B11よりも後の閉鎖期間B1obsにおいて、前記開閉装置の開度が0%以上20%以下の範囲の開度まで減少するランキンサイクル装置を提供する。
【0015】
第2態様において、ポンプの回転数Nsがゼロから増加し始める時点は、加熱が始まったことを示す条件が成立した時点又はそれよりも前の時点に対応する。第2態様では、少なくともその時点からポンプの回転数Nsが回転数N1に達する時点(増速期間B11が終わる時点)までの期間において開閉装置の開度が大きく、その後開度が減少する。従って、同期間の加熱に伴う作動流体の温度の急増を防止しつつ、ポンプの回転数Nsが大きく開閉装置の開度が小さい状態に到達することができる。この状態は、膨張機が作動流体から駆動トルクを得るべき場合に有利である。例えば、膨張機に接続された発電機を用いて発電する場合に有利である。
【0016】
本開示の第3態様は、第2態様に加え、
前記増速期間B11よりも後の時点であって前記閉鎖期間B1obsよりも前の時点において、前記膨張機の回転数がゼロから増加し始めるランキンサイクル装置を提供する。
【0017】
第3態様では、閉鎖期間B1obsよりも前に、膨張機の回転数がゼロから増加し始める。すなわち、閉鎖期間B1obsが始まる前に、作動流体が膨張機を流れ始める。従って、開閉装置の開度の減少に伴いバイパス流路を流れる作動流体の流量が制限されても、作動流体の過度な圧力増加を招き難い。
【0018】
本開示の第4態様は、第2態様又は第3態様に加え、
前記蒸発器において前記作動流体に与えられるべき単位時間当たりの熱の範囲が規定されており、
前記回転数N1は、前記蒸発器における前記作動流体の加熱が始まったときから永久に前記作動流体に前記範囲の熱が与えられ且つ前記増速期間B11が終わったときから永久に前記ポンプの回転数Nsが前記回転数N1に維持されると仮定したときに、前記増速期間B11が始まってから前記閉鎖期間B1obsが終わるまでの期間において前記温度Tsは増加するものの目標温度T2よりも高くなることがないように予め設定されており、
前記目標温度T2は、前記作動流体の分解温度未満の温度であるランキンサイクル装置を提供する。
【0019】
第4態様は、作動流体の分解(熱分解)防止に適している。
【0020】
本開示の第5態様は、第2〜4態様のいずれか1つに加え、
前記始動期間に含まれる期間C1であって前記閉鎖期間B1obsよりも後の期間C1において、前記温度Tsが増加して目標温度T3に近づく又は目標温度T3に至るように前記ポンプの回転数Nsが減少するランキンサイクル装置を提供する。
【0021】
作動流体の温度が増加すると、ランキンサイクルの効率が上がる。また、ポンプの回転数Nsの調整によれば、作動流体の温度を容易に調整できる。
【0022】
本開示の第6態様は、第1〜5態様のいずれか1つに加え、
前記始動期間に含まれる期間A1であって前記ポンプの回転数Nsがゼロから増加し始めたときに始まり前記条件が成立したときに終わる期間A1において、前記ポンプの回転数Nsはゼロよりも大きい範囲に維持されるランキンサイクル装置を提供する。
【0023】
第6態様によれば、作動流体の温度が過度に増加するリスクが低減される。
【0024】
本開示の第7態様は、第6態様に加え、
前記期間A1において、前記ポンプの回転数Nsは、ゼロよりも大きく予め定められた回転数N2以下である範囲に維持され、
前記回転数N2は、前記回転数N1の半分以下の回転数であるランキンサイクル装置を提供する。
【0025】
作動流体の温度が低いときのポンプの回転数Nsが大きいと、ポンプに流入するべき液体の作動流体(低圧の液冷媒)が不足し易い。低圧の液冷媒が不足すると、ポンプに流入する作動流体に気体が含まれる場合がある。このような場合には、作動流体の圧送が不安定となる。期間A1は、蒸発器における作動流体の加熱がほとんどなされておらず、作動流体の温度が低い期間である。第7態様では、その期間A1における前記ポンプの回転数Nsを、回転数N2以下の範囲に維持する。回転数N2は、回転数N1の半分以下の回転数である。従って、第7態様のランキンサイクル装置では、低圧の液冷媒が不足し難い。すなわち、安定した作動流体の圧送を実現し易い。このことにより、液冷媒を長時間圧送することが可能となる。
【0026】
本開示の第8態様は、第1〜5態様のいずれか1つに加え、
前記始動期間が始まってから前記条件が成立するまでの期間において前記ポンプの回転数Nsがゼロよりも大きい状態が一定時間続いた場合、前記ポンプの回転数Nsはゼロまで減少し前記条件が成立するときまでゼロに維持されるランキンサイクル装置を提供する。
【0027】
作動流体の温度が低いときにポンプによる圧送を長時間継続すると、低圧の液冷媒が不足し、作動流体の圧送が不安定となることがある。第8態様のランキンサイクル装置では、そのような事態が発生し難い。
【0028】
本開示の第9態様は、
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記蒸発器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置であって、
前記ランキンサイクル装置の停止期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が終わったことを示す条件が成立したときから始まる停止期間に含まれる期間C2において、前記ポンプの回転数Nsがゼロまで減少し、
(m)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T4まで減少したときに成立する条件である、
(n)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記停止期間よりも前の期間であって前記条件が成立すると終わる期間において、前記温度Tsが目標温度T3よりも高いときには前記ポンプの回転数Nsが増加し、前記温度Tsが前記目標温度T3よりも低いときには前記ポンプの回転数Nsが減少し、
前記条件は、前記ポンプの回転数Nsが閾値回転数Nthまで減少したときに成立する条件である、
(o)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Psの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記圧力Psが閾値圧力Pthまで減少したときに成立する条件である、
(p)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps1の特定に用いられる第1センサと、前記膨張機の出口を始点とし前記凝縮器の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps2の特定に用いられる第2センサと、を備え、
前記条件は、前記圧力Ps1から前記圧力Ps2を差し引いた差分である圧力差ΔPsが閾値差分ΔPthまで減少したときに成立する条件である、
(q)前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機を備え、
前記条件は、前記膨張機の回転数が下限回転数Nm以上である状態で前記発電機の発電電力Wsが閾値電力Wthまで減少したときに成立する条件である、又は、
(r)前記条件は、前記膨張機のトルクTQsが閾値トルクTQthまで減少したときに成立する条件である、ランキンサイクル装置を提供する。
【0029】
第1態様のランキンサイクル装置と同様、第9態様のランキンサイクル装置は、安価に実現できる。また、ポンプの回転数Nsがゼロまで減少するタイミングが加熱終了の前となることを防止できるので、停止期間において作動流体の温度が過度に増加することが防止される。従って、第9態様のランキンサイクル装置は、低コストと高信頼性との両立の観点から優れている。
【0030】
本開示の第10態様は、第9態様に加え、
前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、を備え、
前記停止期間に含まれる期間A2であって前記期間C2よりも前の期間A2において、前記開閉装置の開度が80%以上100%以下の範囲の開度まで増加するランキンサイクル装置を提供する。
【0031】
蒸発器における作動流体の加熱終了に伴い膨張機の回転数を減少させるべき場合がある。例えば、膨張機が発電機に接続されている場合は、加熱終了に伴い膨張機の回転数を減少させることによって発電機による発電量を減少させるべきである。第10態様によれば、加熱終了に合わせて開閉装置の開度が増加するので、加熱終了に合わせて膨張機の回転数が減少し易い。
【0032】
本開示の第11態様は、
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記蒸発器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置であって、
前記作動流体の温度の増加を抑制し又は前記作動流体の温度の減少を促進させつつ前記ランキンサイクル装置を停止させるために、
前記ポンプの回転数Nsが、期間A3において一旦増加し、前記期間A3よりも後の期間C3においてゼロまで減少し、
前記期間A3が始まるときに始まる期間において、前記開閉装置の開度が80%以上100%以下の範囲の開度まで増加する、ランキンサイクル装置を提供する。
【0033】
第1態様のランキンサイクル装置と同様、第11態様のランキンサイクル装置は、安価に実現できる。また、ポンプの回転数Nsが増加することも、開閉装置の開度が増加することも、作動流体の温度の増加の抑制又は作動流体の温度の減少の促進に効果的である。第11態様によれば、これらの効果が相俟って、ランキンサイクル装置を停止させるに際して、作動流体の温度の増加が好適に抑制される、又は作動流体の温度の減少が好適に促進される。
【0034】
本開示の第12態様は、第11態様に加え、
(v)前記期間A3は、前記膨張機がフリーラン状態になったときに始まる、
(w)前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機を備え、
前記期間A3は、前記発電機に過電流が流れたときに始まる、
(x)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記ランキンサイクル装置が単独運転状態になったときに始まる、
(y)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の振幅が所定の範囲から逸脱したときに始まる、又は
(z)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の周波数が所定の範囲から逸脱したときに始まるランキンサイクル装置を提供する。電圧の振幅の所定の範囲とは、例えば、定格振幅の85%以上115%以下である。周波数の所定の範囲とは、例えば、定格周波数±1Hzである。
【0035】
膨張機がフリーラン状態になるときも、発電機に過電流が流れるときも、ランキンサイクル装置が単独運転状態になるときも、電力系統における電圧の振幅又は周波数が所定範囲を逸脱するときも、作動流体の温度の増加を抑制し又は作動流体の温度の減少を促進させつつランキンサイクル装置を停止させるべきときに該当する。
【0036】
本開示の第13態様は、第11態様又は第12態様に加え、
前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記期間C3は、前記温度Tsが閾値温度T5まで減少したとき始まるランキンサイクル装置を提供する。
【0037】
第13態様のランキンサイクル装置では、作動流体の温度が低いときのポンプの回転数Nsをゼロにできる。従って、低圧の液冷媒が不足して圧送が不安定となるリスクが低減される。
【0038】
本開示の第14態様は、
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機と、前記ポンプに連結され前記ポンプを駆動する電動機と、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサと、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置を制御する制御装置であって、
前記制御装置は、
第1の3相配線を介して前記発電機と接続され、前記発電機で発電された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータから前記直流電力が入力され、第2の3相配線を介して前記電動機と接続され、前記電動機を用いて前記ポンプを駆動するポンプ駆動回路と、を有し、
前記ランキンサイクル装置の始動期間に含まれる期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が始まったことを示す条件が成立したと前記制御装置が判断したときに終わる期間において、前記膨張機の回転数をゼロに維持し、前記ポンプの回転数Nsをゼロ以上であって予め定められた回転数N1未満の範囲に維持し、
前記始動期間に含まれる増速期間B11であって前記条件が成立したと前記制御装置が判断したときから始まる増速期間B11において、前記ポンプの回転数Nsを前記回転数N1まで増加させ、
(a)前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T1まで増加したときに成立する条件である、又は、
(b)前記条件は、任意の時間幅当たりの前記温度Tsの増加幅ΔTsが閾値幅ΔT1まで増加したときに成立する条件である、制御装置を提供する。
【0039】
第14態様の制御装置によれば、第1態様のランキンサイクル装置の動作が容易に実現される。
【0040】
本開示の第15態様は、
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機と、前記ポンプに連結され前記ポンプを駆動する電動機と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置を制御する制御装置であって、
前記制御装置は、
第1の3相配線を介して前記発電機と接続され、前記発電機で発電された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータから前記直流電力が入力され、第2の3相配線を介して前記電動機と接続され、前記電動機を用いて前記ポンプを駆動するポンプ駆動回路と、を有し、
前記ランキンサイクル装置の停止期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が終わったことを示す条件が成立したと前記制御装置が判断したときから始まる停止期間に含まれる期間C2において、前記ポンプの回転数Nsをゼロまで減少させ、
(m)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T4まで減少したときに成立する条件である、
(n)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記停止期間よりも前の期間であって前記条件が成立すると終わる期間において、前記温度Tsが目標温度T3よりも高いときには前記制御装置は前記ポンプの回転数Nsを増加させ、前記温度Tsが前記目標温度T3よりも低いときには前記制御装置は前記ポンプの回転数Nsを減少させ、
前記条件は、前記ポンプの回転数Nsが閾値回転数Nthまで減少したときに成立する条件である、
(o)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Psの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記圧力Psが閾値圧力Pthまで減少したときに成立する条件である、
(p)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps1の特定に用いられる第1センサと、前記膨張機の出口を始点とし前記凝縮器の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps2の特定に用いられる第2センサと、を備え、
前記条件は、前記圧力Ps1から前記圧力Ps2を差し引いた差分である圧力差ΔPsが閾値差分ΔPthまで減少したときに成立する条件である、
(q)前記制御装置は、前記発電機の発電電力Wsを特定し、
前記条件は、前記膨張機の回転数が下限回転数Nm以上である状態で前記発電電力Wsが閾値電力Wthまで減少したときに成立する条件である、
(r)前記制御装置は、前記発電機を流れる電流Isの特定に用いられるセンサを備え、
前記制御装置は、前記電流Isから前記膨張機のトルクTQsを特定し、
前記条件は、前記トルクTQsが閾値トルクTQthまで減少したときに成立する条件である、又は、
(s)前記制御装置は、前記発電機を流れる電流Isの特定に用いられるセンサを備え、
前記制御装置は、前記電流Isから、前記膨張機に流入する前記作動流体の圧力Ps1から前記膨張機から流出する前記作動流体の圧力Ps2を差し引いた差分である圧力差ΔPsを特定し、
前記条件は、前記圧力差ΔPsが閾値差分ΔPthまで減少したときに成立する条件である、制御装置を提供する。
【0041】
第15態様の(m)〜(r)によれば、第9態様のランキンサイクル装置の動作が容易に実現される。第15態様の(s)によれば、第15態様の(m)〜(r)の効果と同じ効果が得られる。
【0042】
本開示の第16態様は、第15態様に加え、
前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、を備え、
前記停止期間に含まれる期間A2であって前記期間C2よりも前の期間A2において、前記制御装置は、前記開閉装置の開度を80%以上100%以下の範囲の開度まで増加させる制御装置を提供する。
【0043】
第16態様によれば、第10態様のランキンサイクル装置の動作が容易に実現される。
【0044】
本開示の第17態様は、
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記膨張機をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ前記バイパス流路を開閉する開閉装置と、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機と、前記ポンプに連結され前記ポンプを駆動する電動機と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置を制御する制御装置であって、
前記制御装置は、
第1の3相配線を介して前記発電機と接続され、前記発電機で発電された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータから前記直流電力が入力され、第2の3相配線を介して前記電動機と接続され、前記電動機を用いて前記ポンプを駆動するポンプ駆動回路と、を有し、
前記作動流体の温度の増加を抑制し又は前記作動流体の温度の減少を促進させつつ前記ランキンサイクル装置を停止させるために、前記制御装置は、
前記ポンプの回転数Nsを、期間A3において一旦増加させ、前記期間A3よりも後の期間C3においてゼロまで減少させ、
前記期間A3が始まるときに始まる期間において、前記開閉装置の開度を80%以上100%以下の範囲の開度まで増加させる、制御装置を提供する。
【0045】
第17態様によれば、第11態様のランキンサイクル装置の動作が容易に実現される。
【0046】
本開示の第18態様は、第17態様に加え、
(v)前記期間A3は、前記膨張機がフリーラン状態になったと前記制御装置が判断したときに始まる、
(w)前記期間A3は、前記発電機に過電流が流れたと前記制御装置が判断したときに始まる、
(x)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記ランキンサイクル装置が単独運転状態になったと前記制御装置が判断したときに始まる、
(y)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の振幅が所定の範囲から逸脱したと前記制御装置が判断したときに始まる、又は
(z)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の周波数が所定の範囲から逸脱したと前記制御装置が判断したときに始まる制御装置を提供する。電圧の振幅の所定の範囲とは、例えば、定格振幅の85%以上115%以下である。周波数の所定の範囲とは、例えば、定格周波数±1Hzである。
【0047】
第18態様によれば、第12態様のランキンサイクル装置の動作が容易に実現される。
【0048】
本開示の第19態様は、
第1〜13態様のいずれか1つのランキンサイクル装置と、
前記ランキンサイクル装置を制御する制御装置と、を備えた発電装置を提供する。
【0049】
第19態様によれば、第1〜13態様のランキンサイクルの動作が容易に実現される。
【0050】
本開示の第20態様は、
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサと、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記凝縮器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置の制御方法であって、
前記ランキンサイクル装置の始動期間に含まれる期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が始まったことを示す条件が成立したときに終わる期間において、前記膨張機の回転数をゼロに維持し、前記ポンプの回転数Nsをゼロ以上であって予め定められた回転数N1未満の範囲に維持し、
前記始動期間に含まれる増速期間B11であって前記条件が成立したときから始まる増速期間B11において、前記ポンプの回転数Nsを前記回転数N1まで増加させ、
(a)前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T1まで増加したときに成立する条件である、又は、
(b)前記条件は、任意の時間幅当たりの前記温度Tsの増加幅ΔTsが閾値幅ΔT1まで増加したときに成立する条件である、制御方法を提供する。
【0051】
第20態様によれば、第1態様と同じ効果が得られる。
【0052】
本開示の第21態様は、
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記蒸発器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置の制御方法であって、
前記ランキンサイクル装置の停止期間であって前記蒸発器における前記作動流体の加熱が終わったことを示す条件が成立したときから始まる停止期間に含まれる期間C2において、前記ポンプの回転数Nsをゼロまで減少させ、
(m)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記温度Tsが閾値温度T4まで減少したときに成立する条件である、
(n)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサを備え、
前記停止期間よりも前の期間であって前記条件が成立すると終わる期間において、前記温度Tsが目標温度T3よりも高いときには前記ポンプの回転数Nsが増加し、前記温度Tsが前記目標温度T3よりも低いときには前記ポンプの回転数Nsが減少し、
前記条件は、前記ポンプの回転数Nsが閾値回転数Nthまで減少したときに成立する条件である、
(o)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Psの特定に用いられるセンサを備え、
前記条件は、前記圧力Psが閾値圧力Pthまで減少したときに成立する条件である、
(p)前記ランキンサイクル装置は、前記蒸発器の出口を始点とし前記膨張機の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps1の特定に用いられる第1センサと、前記膨張機の出口を始点とし前記凝縮器の入口を終点とする流路に存する前記作動流体の圧力Ps2の特定に用いられる第2センサと、を備え、
前記条件は、前記圧力Ps1から前記圧力Ps2を差し引いた差分である圧力差ΔPsが閾値差分ΔPthまで減少したときに成立する条件である、
(q)前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機を備え、
前記条件は、前記膨張機の回転数が下限回転数Nm以上である状態で前記発電機の発電電力Wsが閾値電力Wthまで減少したときに成立する条件である、又は、
(r)前記条件は、前記膨張機のトルクTQsが閾値トルクTQthまで減少したときに成立する条件である、制御方法を提供する。
【0053】
第21態様によれば、第9態様と同じ効果が得られる。
【0054】
本開示の第22態様は、
作動流体を圧送するポンプと、前記作動流体を加熱する蒸発器と、前記作動流体を膨張させる膨張機と、前記作動流体を凝縮させる凝縮器と、を備え、前記ポンプ、前記蒸発器、前記膨張機及び前記蒸発器がこの順に複数の配管で接続されており、前記ポンプの回転軸と前記膨張機の回転軸とが切り離されているランキンサイクル装置の制御方法であって、
前記作動流体の温度の増加を抑制し又は前記作動流体の温度の減少を促進させつつ前記ランキンサイクル装置を停止させるために、
前記ポンプの回転数Nsを、期間A3において一旦増加させ、前記期間A3よりも後の期間C3においてゼロまで減少させ、
前記期間A3が始まるときに始まる期間において、前記開閉装置の開度を80%以上100%以下の範囲の開度まで増加させる、制御方法を提供する。
【0055】
第22態様によれば、第10態様と同じ効果が得られる。
【0056】
本開示の第23態様は、第22態様に加え、
(v)前記期間A3は、前記膨張機がフリーラン状態になったときに始まる、
(w)前記ランキンサイクル装置は、前記膨張機に連結され前記膨張機が生成した機械エネルギーを用いて発電する発電機を備え、
前記期間A3は、前記発電機に過電流が流れたときに始まる、
(x)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記ランキンサイクル装置が単独運転状態になったときに始まる、
(y)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の振幅が所定の範囲から逸脱したときに始まる、又は
(z)前記ランキンサイクル装置は、電力系統に連系されるものであり、
前記期間A3は、前記電力系統における電圧の周波数が所定の範囲から逸脱したときに始まる制御方法を提供する。電圧の振幅の所定の範囲とは、例えば、定格振幅の85%以上115%以下である。周波数の所定の範囲とは、例えば、定格周波数±1Hzである。
【0057】
第23態様によれば、第11態様と同じ効果が得られる。
【0058】
矛盾なき限り、上述のランキンサイクル装置に関する技術は、制御装置、発電装置及び制御方法に適用することができる。制御装置に関する技術は、ランキンサイクル装置、発電装置及び制御方法に適用することができる。発電装置に関する技術は、ランキンサイクル装置、制御装置及び制御方法に適用することができる。制御方法に関する技術は、ランキンサイクル装置、制御装置及び発電装置に適用することができる。
【0059】
以下、図面を参照して本開示を説明する。
【0060】
(発電装置の構成)
図1に示すように、発電装置100は、ランキンサイクル装置1と、制御装置(ランキンサイクル制御装置)2と、を備えている。ランキンサイクル装置1は、制御装置2に接続されている。制御装置2は、外部の電力系統3に接続されうる。電力系統3は、ランキンサイクル装置1に電力を供給することができる。電力系統3には、ランキンサイクル装置1から電力が供給されることもある。電力系統3は、例えば、商用の交流電源である。
【0061】
ランキンサイクル装置1は、流体回路50と、発電機8と、電動機11とを有している。流体回路50は、作動流体が流れる回路である。流体回路50は、ランキンサイクルを構成している。
【0062】
流体回路50は、ポンプ7、蒸発器4、膨張機5及び凝縮器6を有している。これらは複数の配管によってこの順で環状に接続されている。膨張機5の入口には、作動流体の温度を特定するためのセンサ10が設けられている。流体回路50は、さらに、膨張機5をバイパスしているバイパス流路70を有している。バイパス流路70の上流端は流体回路50における蒸発器4の出口と膨張機5の入口との間の部分に接続されている。バイパス流路70の下流端は、流体回路50における膨張機5の出口と凝縮器6の入口との間の部分に接続されている。バイパス流路70は、バイパス弁(開閉装置)9を有している。
【0063】
発電機8は、膨張機5に連結されている。電動機11は、ポンプ7に連結されている。発電機8は、膨張機5によって駆動される。電動機11は、ポンプ7を駆動する。
【0064】
ポンプ7は、電動式のポンプである。ポンプ7は、液体の作動流体を循環させることができる。具体的に、ポンプ7として、一般的な容積型又はターボ型のポンプを使用できる。容積型のポンプとして、ピストンポンプ、ギヤポンプ、ベーンポンプ、ロータリポンプ等が挙げられる。ターボ型のポンプとして、遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ等が挙げられる。ポンプ7は、膨張機5とは連結されていない。つまり、ポンプ7の回転軸と膨張機5の回転軸とは切り離されている。このため、ポンプ7は、膨張機5から独立して動作できる。
【0065】
蒸発器4は、ボイラー(図示省略)で生成された燃焼ガスの熱エネルギーを吸収する熱交換器である。蒸発器4は、例えばフィンチューブ熱交換器であり、ボイラーの内部に配置されている。ボイラーで生成された燃焼ガスとランキンサイクル装置1の作動流体とが蒸発器4において熱交換する。これにより、作動流体が加熱され、蒸発する。なお、この例では、熱源はボイラーであり熱媒体は燃焼ガスであるが、他の熱源及び熱媒体を採用することもできる。例えば、工場、焼却炉等の施設から排出された廃熱エネルギーを利用した熱源を採用することもできる。
【0066】
膨張機5は、作動流体を膨張させることによって作動流体の膨張エネルギーを回転動力に変換する。膨張機5の回転軸には、発電機8が接続されている。膨張機5によって発電機8が駆動される。膨張機5は、例えば、容積型又はターボ型の膨張機である。容積型の膨張機として、スクロール膨張機、ロータリ膨張機、スクリュー膨張機、往復膨張機等が挙げられる。ターボ型の膨張機は、いわゆる膨張タービンである。
【0067】
凝縮器6は、膨張機5から吐出された作動流体を熱媒体回路(図示省略)の中の冷却水、冷却空気等の熱媒体等と熱交換させることによって、作動流体を冷却する。凝縮器6として、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器等の公知の熱交換器を使用できる。凝縮器6の種類は、熱媒体回路の中の熱媒体の種類に応じて適切に選択される。熱媒体回路の中の熱媒体が水等の液体のとき、プレート式熱交換器又は二重管式熱交換器を凝縮器6に好適に使用できる。熱媒体回路の中の熱媒体が空気等の気体のとき、フィンチューブ熱交換器を凝縮器6に好適に使用できる。
【0068】
なお、本明細書では、「蒸発器4の出口」、「膨張機5の入口」、「膨張機5の出口」、及び「凝縮器6の入口」という用語を用いることがある。蒸発器4は作動流体が加熱される前に通る開口部及び作動流体が加熱された後に通る開口部を有しており、「蒸発器4の出口」は後者の開口部を指す。膨張機5は作動流体が膨張する前に通る開口部及び作動流体が膨張した後に通る開口部を有し、「膨張機5の入口」は前者の開口部を指し、「膨張機5の出口」は後者の開口部を指す。凝縮器6は作動流体が凝縮する前に通る開口部及び作動流体が凝縮した後に通る開口部を有し、「凝縮器6の入口」は前者の開口部を指す。
【0069】
バイパス弁9(開閉装置)は、開度を変更可能な弁である。バイパス弁9の開度を変更することによって、膨張機5をバイパスする作動流体の流量を調節できる。ただし、バイパス弁9として電磁式の開閉弁を用いてもよい。
【0070】
なお、本明細書では、「開度」とは、バイパス弁9(開閉装置)を全開にしたときに作動流体が通る通路の断面積を100%としたときの、作動流体が通る通路の断面積を百分率で表したものである。
【0071】
発電機8は、例えば、永久磁石同期発電機である。電動機11は、例えば、永久磁石同期電動機である。
【0072】
センサ10は、蒸発器4の出口を始点とし膨張機5の入口を終点とする流路に存する作動流体の温度Tsの特定(検出又は推定)に用いられるセンサである。この例では、センサ10は、温度Tsの特定(検出)に用いられる温度センサである。別例では、センサ10は、温度Tsの特定(推定)に用いられる圧力センサである。圧力と温度との間には相関があるので、圧力センサの検出値(圧力の値)から温度Tsを推定することができる。この例では、センサ10は、作動流体に接触することによって温度Tsを直接的に検出するものである。ただし、センサ10は、流路を形成する壁の温度を検出することによって温度Tsを間接的に検出するものであってもよい。壁は、典型的には配管によって構成される。
【0073】
センサ10の位置は、センサ10が温度Tsの特定に利用可能な検出値を得ることができる位置であれば、特に限定されない。センサ10は、蒸発器4の出口を始点とし膨張機5の入口を終点とする流路におけるいずれかの箇所(又は該流路を形成する壁のいずれかの箇所)に設けられうる。ただし、センサ10は、バイパス流路70におけるバイパス弁9よりも上流側(蒸発器4側)の部分に設けられてもよい。つまり、センサ10は、流体回路50のうち、蒸発器4の出口及び膨張機5の入口と同程度に圧力及び温度が高くなり易い位置に設けられうる。そして、そのような位置に設けられたセンサ10は、流体回路50において作動流体の温度が過度に高い箇所が存在しないか否かの判断に好適に利用されうる。なお、膨張機5の配線とセンサ10の配線とを近づけてこれらの配線を取り扱い易くする観点からは、センサ10を膨張機5の入口に設けることができる。
【0074】
当然ながら、蒸発器4の出口を始点とし膨張機5の入口を終点とする流路に存する作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサには、同流路に存する作動流体の温度Tsを直接的に検出する温度センサが含まれる。前述の説明から明らかであるように、同流路に存する作動流体の温度Tsの特定に用いられるセンサには、圧力センサ、温度Tsを間接的に検出するセンサ、及びバイパス流路70におけるバイパス弁9よりも上流側の部分に設けられたセンサも含まれうる。なお、以下では、温度以外の物理量(圧力等)を特定するためのセンサを用いた例も説明するが、それらのセンサについても同様である。また、膨張機5の出口を始点とし凝縮器6の入口を終点とする流路に存する作動流体の所定の物理量(温度、圧力等)の特定に用いられるセンサについても同様である。すなわち、同流路に存する作動流体の該所定の物理量の特定に用いられるセンサには、同流路に存する作動流体の該所定の物理量を直接的に検出するセンサのみならず、別の物理量を検出するセンサ、該所定の物理量を間接的に検出するセンサ、バイパス流路70におけるバイパス弁9よりも下流側の部分に設けられたセンサが含まれうる。
【0075】
この例では、センサ10は、温度Tsを特定するための信号(検出信号)を制御装置2に送信する。なお、以下では、温度以外の物理量(圧力等)を特定するためのセンサを用いた例も説明するが、それらの例においても、センサは物理量を特定するための信号を制御装置2に送信する。
【0076】
ランキンサイクル装置1の作動流体として、有機作動流体を好適に使用できる。有機作動流体として、ハロゲン化炭化水素、炭化水素、アルコール等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素として、R−123、R−245fa、R−1234ze等が挙げられる。炭化水素として、プロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタン等のアルカンが挙げられる。アルコールとして、エタノール等が挙げられる。これらの有機作動流体は、単独で使用してもよいし、2種類以上の混合物を使用してもよい。作動流体として、水、二酸化炭素、アンモニア等の無機作動流体を使用することもできる。
【0077】
ランキンサイクル装置1の動作の概要は以下の通りである。ポンプ7は、作動流体を圧送し、循環させる。蒸発器4は、ボイラー等の熱源(図示省略)からの熱を用いて作動流体を加熱する。これにより、作動流体が過熱蒸気(気体)の状態となる。膨張機5には、過熱蒸気の作動流体が流入する。流入した作動流体は、膨張機5内で断熱膨張する。これにより、膨張機5に駆動力が生じ、膨張機5が動作する。つまり、膨張機5によって、膨張エネルギー(熱エネルギー)が機械エネルギーへと変換される。膨張機5の動作に伴い、発電機8が動作し、発電する。つまり、発電機8によって、機械エネルギーが電気エネルギーへと変換される。要するに、膨張機5及び発電機8によって、熱エネルギーが電気エネルギーへと変換される。凝縮器6は、冷却水、冷却空気等を用いて、膨張機5から吐出された作動流体を冷却する。これにより、作動流体が凝縮して液体の状態となる。液体の作動流体は、ポンプ7に吸い込まれる。
【0078】
制御装置2は、ランキンサイクル装置1を制御する。制御装置2は、コンバータ20と、ポンプ駆動回路21と、系統連系用電力変換器22とを有している。コンバータ20は、3相配線(第1の3相配線)23を介して発電機8に接続されている。ポンプ駆動回路21は、3相配線29(第2の3相配線)を介して電動機11に接続されている。系統連系用電力変換器22は、電力系統3に接続されうる。コンバータ20と系統連系用電力変換器22とは、直流配線24によって接続されている。制御装置2は、温度Tsを特定するための信号を取得する。
【0079】
系統連系用電力変換器22は、電力系統3から得た交流電力を直流電力へと変換する。得られた直流電力は、ポンプ駆動回路21に供給される。得られた直流電力は、コンバータ20にも供給される。発電機8が発電しているときには、コンバータ20は、発電機8で発電された交流電力を直流電力へと変換する。得られた直流電力は、ポンプ駆動回路21に供給される。得られた直流電力がポンプ駆動回路21に供給するべき直流電力よりも大きい場合には、得られた直流電力の一部(余剰電力)は系統連系用電力変換器22によって交流電力へと変換される。この交流電力は、電力系統3へと供給(逆潮流)される。制御装置2のこのような構成により、コンバータ20は、発電機8を介して膨張機5に制動トルク又は駆動トルクを与えることができる。
【0080】
系統連系用電力変換器22は、ランキンサイクル装置1が単独運転状態になったことを検出できる。単独運転状態は、電力系統3が事故等によって系統電源と切り離された状態において、ランキンサイクル装置1が線路負荷に有効電力を供給している状態である。単独運転状態(単独運転)の詳細は、日本工業規格JIS B8121(2009)等で説明されているので参照されたい。なお、単独運転状態の検出は、制御装置2における系統連系用電力変換器22以外の要素に担わせることもできる。
【0081】
また、系統連系用電力変換器22は、電力系統3の電圧の異常を検出できる。具体的に、電力系統3は、電力系統3の電圧の振幅及び周波数を検出できる。一例では、電力系統3の電圧の振幅が定格振幅の85%以上115%以下の範囲から逸脱したときに異常が発生したと判断される。別の一例では、電力系統3の電圧の周波数が定格周波数±1Hzの範囲から逸脱したときに異常が発生したと判断される。なお、電力系統3の電圧の異常の検出は、制御装置2における系統連系用電力変換器22以外の要素に担わせることもできる。
【0082】
ポンプ駆動回路21は、別途の電源回路を要さずとも、電動機11を用いてポンプ7を駆動することができる。ポンプ駆動回路21は、センサ10の検出信号等に基づいて、ポンプ7を制御する。これにより、蒸発器4を流れる作動流体の流量が調整される。
【0083】
図2に示すように、コンバータ20は、コンバータ回路部25と、コンバータ制御部30と、電流センサ26と、を備えている。
【0084】
コンバータ回路部25は、直流配線24により、系統連系用電力変換器22に結線されている。直流配線24は、プラス側配線24p及びマイナス側配線24nを有している。コンバータ回路部25は、3相配線23により、発電機8に結線されている。3相配線23は、U相配線23u、V相配線23v及びW相配線23wを有している。U相配線23uにはU相電流iuが流れる。V相配線23vにはV相電流ivが流れる。W相配線23wにはW相電流iwが流れる。コンバータ回路部25は、コンバータ制御部30から出力された制御信号27に基づいて駆動する。これにより、コンバータ回路部25において、3相交流電力が直流電力へと変換される。また、コンバータ回路部25において、直流電力が3相交流電力へと変換される。この例では、制御信号27は、いわゆるPWM(Pulse Width Modulation)信号である。また、コンバータ回路部25は、パルス幅変調を行うためのスイッチング素子を有している。
【0085】
コンバータ制御部30は、発電機8の目標回転数ω*、U相電流iu及びV相電流ivに基づいて、制御信号27を出力する。U相電流iu及びV相電流ivは、電流センサ26により検出される。
【0086】
図3に示すように、コンバータ制御部30は、電流指令生成部31と、電圧指令生成部32と、座標変換部33と、PWM信号生成部34と、位置・回転数推定部35と、座標変換部36と、を備えている。
【0087】
コンバータ制御部30の構成要素の動作は、γδ座標系を用いて説明される。γδ座標系について、dq座標系を参照しつつ、図4を用いて説明する。
【0088】
dq座標系は、回転座標系である。d軸及びq軸は、永久磁石8aが作る磁束の回転数と同じ回転数で回転する。図面の見易さを考慮して、図4ではq軸を省略している。反時計回り方向が、位相の進み方向である。永久磁石8aは、発電機8のロータにおける永久磁石を表す。d軸は、永久磁石8aが作る磁束の方向に延びる軸として設定されている。q軸は、d軸を進み方向に90度回転させた軸として設定されている。U軸は、U相巻線に対応する。V軸は、V相巻線に対応する。W軸は、W相巻線に対応する。U軸、V軸及びW軸は、ロータが回転しても、回転しない。つまり、U軸、V軸及びW軸は、固定軸である。実ロータ位置θは、U軸からみたd軸の進み角である。回転数ωは、ロータの回転数を表す。本明細書では、特に断りが無い限り、角度は電気角を意味する。
【0089】
γδ座標系は、回転座標系である。γ軸は、d軸に対応する推定軸(制御軸)として設定されている。δ軸は、γ軸を進み方向に90度回転させた軸として設定されている。図面の見易さを考慮して、図4ではδ軸を省略している。推定位置θeは、U軸からみたγ軸の進み角である。推定回転数ωeは、γ軸(推定軸、制御軸)の回転数である。
【0090】
軸誤差Δθは、γ軸から見たd軸の進み角である。軸誤差Δθは、Δθ=θ−θeで与えられる。
【0091】
図3に戻って、コンバータ制御部30の各要素について説明する。以下では、説明の便宜上、コンバータ制御部30にU相電流iu及びV相電流ivが入力されてから、コンバータ制御部30から制御信号27が出力されるまでが、同一の制御周期内に行われることとする。
【0092】
座標変換部36は、U相電流iu、V相電流iv及び推定位置θeに基づいて、γ軸電流iγ及びδ軸電流iδを算出し、出力する。U相電流iu及びV相電流ivは、電流センサ26によって検出された電流の値である。座標変換部36が用いる推定位置θeは、過去の制御周期(典型的には1制御周期前)において位置・回転数推定部35によって算出された位置である。
【0093】
位置・回転数推定部35は、γ軸電流iγ、δ軸電流iδ、γ軸目標電圧vγ*及びδ軸目標電圧vδ*に基づいて、推定位置θe及び推定回転数ωeを算出し、出力する。位置・回転数推定部35が用いるγ軸目標電圧vγ*及びδ軸目標電圧vδ*は、過去の制御周期(典型的には1制御周期前)において電圧指令生成部32によって算出された電圧値である。
【0094】
電流指令生成部31は、目標回転数ω*と推定回転数ωeとに基づいて、γ軸目標電流iγ*及びδ軸目標電流iδ*を算出し、出力する。目標回転数ω*は、上位制御装置(図示省略)で生成されうる。
【0095】
電圧指令生成部32は、γ軸電流iγ、δ軸電流iδ、γ軸目標電流iγ*及びδ軸目標電流iδ*に基づいて、γ軸目標電圧vγ*及びδ軸目標電圧vδ*を算出し、出力する。
【0096】
座標変換部33は、推定位置θe、γ軸目標電圧vγ*及びδ軸目標電圧vδ*に基づいて、3相目標電圧vu*、vv*、vw*を算出し、出力する。3相目標電圧vu*、vv*、vw*は、U相目標電圧vu*、V相目標電圧vv*及びW相目標電圧vw*をまとめて記載したものである。
【0097】
PWM信号生成部34は、3相目標電圧vu*、vv*、vw*に基づいて、制御信号27を生成し、出力する。制御信号27は、コンバータ回路部25に入力される。
【0098】
この例では、制御装置2がコンバータ20を用いて発電機8を制御する。これにより、膨張機5が作動流体を膨張させることを禁止したり、膨張機5が作動流体を膨張させることを許可したりすることができる。
【0099】
目標回転数ω*をゼロにすることにより、膨張機5が作動流体を膨張させることを禁止することができる。定性的には、制御装置2がコンバータ20を用いて発電機8に直流電流を流すことにより、膨張機5が作動流体を膨張させることを禁止することができる。膨張機5の回転軸に発電機8が接続されているので、発電機8に電流を流すと、膨張機5に制動力が働く。こうすると、膨張機5の入口と出口との間に圧力差が生じても膨張機5は動かない。つまり、膨張機5の回転数はゼロとなる。
【0100】
また、制御装置2がコンバータ20を用いて発電機8の端子間電圧をゼロにすることにより膨張機5が作動流体を膨張させることを許可することができる。このようにして作動流体の膨張禁止が解除すると、膨張機5の入口における作動流体の圧力と膨張機5の出口における作動流体の圧力との差に基づいて、膨張機5を動作させることができる。
【0101】
上述のように、コンバータ20は、位置・回転数推定部35を用いて発電機8の回転数を特定(推定)することができる。つまり、コンバータ20は、位置・回転数推定部35を用いて膨張機5の回転数を特定することができる。また、コンバータ20は、膨張機5及び発電機8の回転数を目標回転数ω*に追従させることができる。
【0102】
コンバータ20は、電流センサ26を用いて発電機8を流れる3相電流iu,iv,iwすなわちU相電流iu、V相電流iv及びW相電流iw(=−iu−iv)を特定(検出)することができる。当然ながら、コンバータ20は、発電機8を流れる電流の絶対値を特定することもできる。
【0103】
コンバータ20は、3相電流iu,iv,iwから、膨張機5のトルクTQsを特定(推定)することができる。一例では、トルクTQsは、TQs=Pnψaδ+Pn(Ld−Lq)iγδと計算される。Pnは、発電機8の極対数である。ψaは、発電機8の永久磁石が作る磁石磁束の振幅として与えられた定数である。ψaは、磁束パラメータと称されることがある。iγは、発電機8のγδ座標上におけるγ軸電流である。iδは、発電機8のγδ座標上におけるδ軸電流である。γ軸電流iγ及びδ軸電流iδは、3相電流iu,iv,iwを座標変換することによって特定される。Ldは、発電機8のd軸インダクタンスである。Lqは、発電機8のq軸インダクタンスである。別の一例では、トルクTQsは、後述の発電電力Wsを機械角回転数指令ωm*=Pnω*で割ることによって特定される。ω*は電気角回転数指令(先に言及した目標回転数)である。
【0104】
コンバータ20は、3相電流iu,iv,iwの絶対値から、膨張機5の入口における作動流体の圧力と膨張機5の出口における作動流体の圧力との圧力差ΔPsを特定(推定)することができる。圧力差ΔPsは、上述の特定されたトルクに概ね比例する。つまり、圧力差ΔPsは、ΔPs=KTQsと計算される。Kは定数である。
【0105】
コンバータ20は、発電機8の発電電力Wsを特定することができる。この例では、発電電力Wsは、軸電流iγ,iδ(γ軸電流iγ及びδ軸電流iδ)と目標電圧vγ*,vδ*(γ軸目標電圧vγ*及びδ軸目標電圧vδ*)との内積としている。つまり、この例の発電電力Wsは、有効電力である。
【0106】
(第1の始動運転)
ランキンサイクル装置1の第1の始動運転は、ランキンサイクル装置1の運転を開始すべき旨の指令(信号)が外部から制御装置2に入力されたときに開始される。以下、図5及び図6を用いて、第1の始動運転の制御シーケンスを説明する。なお、図6の上から1段目のグラフは、蒸発器4における作動流体の加熱量(作動流体に与えられる単位時間当たりの熱の量)の時間変化を模式的に示している。2段目のグラフは、バイパス弁9の開度の時間変化を模式的に示している。3段目のグラフは、ポンプ7の回転数Nsの時間変化を模式的に示している。4段目のグラフは、膨張機5の回転数の時間変化を模式的に示している。5段目のグラフは、作動流体の温度Tsの時間変化を模式的に示している。後述する図9図15及び図17の1段目〜5段目のグラフが示す内容も同様である。
【0107】
ステップS100は、バイパス弁9を開くステップである。この例では、ステップS100において、バイパス弁9の開度を80%以上100%以下まで増加させる。具体的には、バイパス弁9の開度をゼロから80%以上100%以下まで増加させる。ステップS100において、バイパス弁9の開度を100%(全開)にしてもよい。また、バイパス弁9を一気に開いてもよく、バイパス弁9の開度を徐々に増加させてもよい。この例では、ステップS150までバイパス弁9の開度は80%以上100%以下の範囲に維持される。一例では、ステップS100は、ランキンサイクル装置1の運転を開始すべき旨の指令(信号)が外部から制御装置2に入力されたタイミングで開始される。
【0108】
ステップS110は、ポンプ7の運転を開始するステップである。運転開始後には、ポンプ7を回転数Nsを徐々に増加させてもよく、回転数Nsを所定の回転数に維持してもよい。ただし、ステップS140までは、回転数Nsが予め定められた回転数N1以上となることはない。回転数N1の詳細については後述する。一例では、ステップS110は、バイパス弁9の開度が80%以上100%以下の範囲まで増加したタイミングで開始される。
【0109】
ステップS130は、温度Tsが閾値温度T1以上であるか否かを判断するステップである。ステップS130において、温度Tsが閾値温度T1以上になったと判断されると、ステップS140に進む。この例では、温度Tsとして、センサ10による測定値が使用される。閾値温度T1は、バーナーが点火されて蒸発器4における加熱が開始されたと判断できる温度に設定されている。一例では、閾値温度T1は、室温よりも5℃以上高い温度である。一例では、蒸発器4における作動流体の加熱が始まる前の温度Tsを温度T0としたとき、閾値温度T1と温度T0との差は5℃である。
【0110】
ステップS140は、ポンプ7の回転数Nsを予め定められた回転数N1まで増加させるステップである。
【0111】
ステップS150は、バイパス弁9の開度を小さくするステップである。バイパス弁9の開度を小さくすることによって、膨張機5の入口における作動流体の圧力と膨張機5の出口における作動流体の圧力との差は増加する。これにより、膨張機5の始動が容易になる。この例では、ステップS150は、バイパス弁9の開度を30%以上80%未満の範囲の開度まで減少させるステップである。一例では、ステップS150は、ポンプ7の回転数NsがN1まで増加した後のタイミング(典型的には温度Tsが概ね落ち着いたタイミング)で開始される。
【0112】
ステップS160は、膨張機5の運転を開始するステップである。運転開始後、膨張機5の回転数は所定の回転数まで増加する。具体的には、まず、制御装置2がコンバータ20を用いて発電機8の端子間電圧をゼロにする。これにより、膨張機5が作動流体を膨張させることが許可され、膨張機5の入口における作動流体の圧力と膨張機5の出口における作動流体の圧力との差に基づいて膨張機5の回転数がゼロから増加し始める。その後、コンバータ20を用いた発電機8の回転数の調整により、膨張機5(発電機8)の回転数は徐々に増加し、所定の回転数に到達する。この例では、所定の回転数に到達した後は、膨張機5の回転数を該所定の回転数に維持する。なお、この例では、ステップS110においてポンプ7の運転が開始されているが、ステップS160までは膨張機5の回転数はゼロに維持される。これは、ステップS160までは、制御装置2がコンバータ20を用いて膨張機5が作動流体を膨張させることを禁止しているためである。この例では、ステップS160は、ステップS150が終わったときに開始される。
【0113】
ステップS170では、バイパス弁9を閉じる。バイパス弁9を閉じると、膨張機5を流れる作動流体の流量が増える。この例では、ステップS170は、バイパス弁9の開度を0%以上20%以下の開度まで減少させるステップである。ステップS170において、バイパス弁9の開度をゼロにしてもよい。バイパス弁9を徐々に閉じてもよく、一気に閉じてもよい。この例では、ステップS170は、膨張機5の回転数が上記の所定の回転数に達したときに開始される。別の例では、ステップS170は、膨張機5の回転数が上記の所定の回転数へと増加しているときに開始される。
【0114】
ステップS180は、温度Tsが予め定められた目標温度T3になるように、ポンプ7の回転数Nsを調整するステップである。ステップS180において、温度Tsが目標温度T3に近いと判断されると、通常運転へと移行する(ステップS190)ことにより、始動運転は終了する。なお、この例では、ステップS180の回転数の調整は、温度Tsが目標温度T2まで増加したときに始まる。目標温度T2は、作動流体の分解温度未満の温度である。また、この例では、温度Tsが目標温度T2から目標温度T3まで増加するように、ポンプ7の回転数Nsを減少させる。
【0115】
通常運転では、膨張機5の回転数を制御する。膨張機5の回転数制御には公知の制御を行うことができる。例えば、膨張機5の入口における作動流体の圧力と膨張機5の出口における作動流体の圧力との差が所定の大きさとなるように、発電機8の回転数を制御すればよい。これらの圧力は、圧力センサにより検出すればよい。また例えば、蒸発器4の出口における作動流体の圧力の推定値に基づいて、発電機8の回転数を制御すればよい。この推定値は、発電機8を流れる電流と、蒸発器4の出口における作動流体の温度Tsとから得ることができる(特開2008−106946号公報参照)。このような推定値を用いた制御によれば、圧力センサを省略できる。
【0116】
この例では、通常運転において、ポンプ7の回転数Nsは、始動運転終了時の回転数に維持される。ただし、温度Tsが目標温度T3になるように、ポンプ7の回転数Nsを調整してもよい。
【0117】
図5及び図6における期間A1は、ポンプ7がゼロよりも大きく回転数N1よりも小さい回転数で運転する期間である。期間A1は、ステップS110及びステップS130に対応する。期間B1は、ポンプ7の回転数Nsを回転数N1まで増加させる増速期間B11と、ポンプ7の回転数Nsを回転数N1に維持する定速期間B12とからなる期間である。増速期間B11は、ステップS140に対応する。定速期間B12は、ステップS150〜ステップS170に対応する。つまり、期間B1は、ステップS140〜ステップS170に対応する。期間B1(具体的には定速期間B12)は、バイパス弁9の開度が0%以上20%以下の範囲の開度まで減少する閉鎖期間B1obsを含む。閉鎖期間B1obsはステップS170に対応する。期間C1は、蒸発器4の出口における作動流体の温度Tsが目標温度T3になるように、ポンプ7の回転数Nsを調整する期間である。期間C1は、ステップS180に対応する。
【0118】
期間A1においては、発電機8は発電しない。期間A1においては、電力系統3から系統連系用電力変換器22に交流電力が供給される。系統連系用電力変換器22は、供給された交流電力を、直流電力へと変換する。ポンプ7を駆動するためにポンプ駆動回路21に供給されるべき電力は、電力系統3から系統連系用電力変換器22を介して供給される。
【0119】
期間B1において、バイパス弁9を閉じると発電機8は発電する。期間C1及び通常運転の期間においても、発電機8は発電する。発電が行われている期間において、コンバータ20は、発電された交流電力を、直流電力へと変換する。発電機8で発電された電力は、コンバータ20を介してポンプ駆動回路21に供給される。コンバータ20から出力される電力がポンプ駆動回路21に供給されるべき電力よりも小さい場合には、電力の不足分は、電力系統3から系統連系用電力変換器22を介してポンプ駆動回路21に供給される。コンバータ20から出力された電力がポンプ駆動回路21に供給されるべき電力よりも大きい場合には、電力の余剰分は、系統連系用電力変換器22を介して電力系統3に供給される。つまり、発電機8で発電された電力が、コンバータ20及び系統連系用電力変換器22を介して電力系統3にも供給される。
【0120】
第1の始動運転をまとめる。以下のまとめでは、ランキンサイクル装置1の始動運転が行われる期間をランキンサイクル装置1の始動期間と称する。
【0121】
すなわち、第1の始動運転では、蒸発器4における作動流体の加熱が始まったことを示す条件として、温度Tsが閾値温度T1まで増加したときに成立する条件を採用している。始動期間に含まれる期間であって上記の条件が成立したときに終わる期間(具体的には始動期間が始まってから上記の条件が成立するまでの期間)において、膨張機5の回転数はゼロに維持される。同期間において、ポンプ7の回転数Nsはゼロ以上であって予め定められた回転数N1未満の範囲に維持される。始動期間に含まれる増速期間B11であって上記の条件が成立したときから始まる増速期間B11において、ポンプ7の回転数Nsは回転数N1まで増加する。この例では、増速期間B11においても膨張機5の回転数はゼロに維持される。制御装置2が、温度Tsを特定するための信号を取得し、上記の条件が成立しているか否かの判断、膨張機5の回転数の調整及びポンプ7の回転数Nsの調整を担う。具体的には、ポンプ駆動回路21が、温度Tsを特定するための信号を取得し、上記の条件が成立しているか否かの判断及びポンプ7の回転数Nsの調整を担う。コンバータ20が、膨張機5の回転数の調整を担う。第1の始動運転は、安価な構成で実現できる。また、このような運転によれば、膨張機5における作動流体の加熱開始に合わせてポンプ7の回転数Nsが回転数N1へと増加する。これにより、温度Tsの急増が防止され、温度Tsが過度に高い温度に至ることが防止される。
【0122】
なお、閾値温度T1を用いた条件に代えて、任意の時間幅当たりの温度Tsの増加幅ΔTsが閾値幅ΔT1まで増加したときに成立する条件を採用してもよい。この条件も、作動流体の加熱が始まったことを示す条件に該当するためである。一例では、tを任意の時間幅と定義したとき、閾値幅ΔT1は0.2×t以上である。ここで、tの単位は分であり、ΔT1の単位は℃である。tは、例えば1〜30分である。例えば、時間幅tを1分とし、閾値幅ΔT1を0.2℃以上とすることができる。また例えば、時間幅tを20分とし、閾値幅ΔT1を5℃以上とすることができる。時間幅t及び閾値幅ΔT1は、熱源等に応じて適切に設定することができる。
【0123】
ところで、液体の作動流体を膨張機が吸い込むことにはデメリットがある。すなわち、液体の作動流体は、膨張機から潤滑オイルを吐出させ、膨張機における潤滑オイルの不足を招く。潤滑オイルの不足は、膨張機の摩耗を早めたり、膨張機における損失を大きくしたりする。また、潤滑オイルを使用しない膨張機(例えばターボ型膨張機)がランキンサイクル装置に使用されている場合、液体の作動流体は、膨張機の腐食(物理的な腐食)を招く。作動流体の温度が低いときには、作動流体が液体の成分を多く含み易い。既に述べたように作動流体の温度の過度な増加を防止する意味の信頼性を確保することも重要であるが、膨張機が液体の作動流体を吸い込むことを防ぐという意味の信頼性を併せて確保することが尚望ましい。この点、ランキンサイクル装置1では、ポンプ7の軸と膨張機5との軸とが切り離されている。従って、ポンプ7は、膨張機5から独立して動作できる。そして、第1の始動運転では、ポンプ7の回転数Nsがゼロから増加し始めてからも暫くの間は、この例では少なくとも増速期間B11が終わるまでは、膨張機5の回転数をゼロに維持する。これにより、温度Tsの過度な増加を防止するのみならず、温度が低く液体を多く含む作動流体が膨張機5に流入することを防止している。
【0124】
また、第1の始動運転では、始動期間に含まれる期間であってポンプ7の回転数Nsがゼロから増加し始めたときから始まり増速期間B11が終わるときに終わる期間において、バイパス弁(開閉装置)9の開度は80%以上100%以下の範囲に維持される。始動期間に含まれる期間であって増速期間B11よりも後の閉鎖期間B1obsにおいて、バイパス弁9の開度が0%以上20%以下の範囲の開度まで減少する。第1の始動運転では、加熱が始まったことを示す条件が成立した時点又はそれよりも前の時点からポンプ7の回転数Nsが回転数N1に達する時点(増速期間B11が終わる時点)までの期間においてバイパス弁9の開度が大きく、同期間よりも後に開度が減少する。従って、同期間の加熱に伴う作動流体の温度の増加を抑制しつつ、ポンプ7の回転数Nsが大きくバイパス弁9の開度が小さい状態(発電機8を用いた発電に適した状態)に到達することができる。
【0125】
また、第1の始動運転では、増速期間B11よりも後の時点であって閉鎖期間B1obsよりも前の時点において、膨張機5の回転数がゼロから増加し始める。従って、バイパス弁9の開度の減少に伴いバイパス流路70を流れる作動流体の流量が制限されても、作動流体の過度な圧力増加を招き難い。
【0126】
また、第1の始動運転では、蒸発器4において作動流体に与えられるべき単位時間当たりの熱の範囲が規定されている。回転数N1は、蒸発器4における作動流体の加熱が始まったときから永久に作動流体にこの範囲の熱が与えられ且つ増速期間B11が終わったときから永久にポンプ7の回転数Nsが回転数N1であると仮定したときに、増速期間B11が始まってから閉鎖期間B1obsが終わるまでの期間において温度Tsは増加するものの目標温度T2よりも高くなることがないように予め設定されている。目標温度T2は、作動流体の分解温度未満の温度である。従って、作動流体の熱分解が発生し難い。
【0127】
また、第1の始動運転では、始動期間に含まれる期間C1であって閉鎖期間B1obsよりも後の期間C1において、温度Tsが増加して目標温度T3に近づく又は目標温度T3に至るようにポンプ7の回転数Nsが減少する。これにより、高い効率でランキンサイクル装置1を運転することが可能となる。しかも、ポンプ7の回転数Nsの調整によれば、作動流体の温度を容易に調整できる。なお、この例では、目標温度T2と同様、目標温度T3もまた、作動流体の分解温度未満の温度である。作動流体の種類にもよるが、一例では、T2は50℃以上170℃以下であり、T3は120℃以上175℃以下である。
【0128】
また、第1の始動運転では、始動期間に含まれる期間A1であってポンプ7の回転数Nsがゼロから増加し始めたときに始まり条件が成立したときに終わる期間A1において、ポンプの回転数Nsはゼロよりも大きい範囲に維持される。ランキンサイクル装置1内に熱源からの熱エネルギーが流入する前にポンプ7が起動するので、温度Tsが過度に増加するリスクが低減される。
【0129】
なお、期間A1が存在しない場合もある。その場合、ポンプ7の回転数Nsがゼロから増加し始める時点は上記条件成立時となる。
【0130】
(第2の始動運転)
第2の始動運転と第1の始動運転との相違点は、期間A1(始動期間に含まれ、ポンプの回転数Nsがゼロから増加し始めたときに始まり条件が成立したときに終わる期間)におけるポンプ7の回転数Nsである。第2の始動運転の期間A1におけるポンプ7の回転数Nsを、図7に示す。
【0131】
第2の始動運転では、期間A1において、ポンプ7の回転数Nsは、ゼロよりも大きく予め定められた回転数N2以下である範囲に維持される。ここで、回転数N2は、回転数N1の半分以下の回転数である。具体的には、期間A1において、ポンプ7の回転数Nsは、ゼロから回転数N2まで増加しその後回転数N2に維持される。
【0132】
第2の始動運転では、期間A1におけるポンプ7の回転数Nsを、回転数N2以下の小さい範囲に維持する。従って、低圧の液冷媒が不足し難い。このことにより、液冷媒を長時間圧送することが可能となる。
【0133】
(第3の始動運転)
第3の始動運転では、始動期間が始まってから蒸発器4における作動流体の加熱が始まったことを示す条件が成立するまでにおいて、第1の始動運転とは異なる動作が行われることがある。
【0134】
第3の始動運転では、上記の条件が成立するまでの期間においてポンプ7の回転数Nsがゼロよりも大きい状態が一定時間続いた場合、ポンプ7の回転数Nsはゼロまで減少し条件が成立するときまでゼロに維持される。この一定時間は、一例では、10分以上30分以下である。
【0135】
第3の始動運転によれば、作動流体の温度が低い期間においてポンプ7による圧送が一定時間を超えて続くことが防止される。従って、低圧の液冷媒が不足し、作動流体の圧送が不安定となる事態が防止される。
【0136】
[第1の停止運転]
ランキンサイクル装置1の第1の停止運転は、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件が成立したときに開始される。典型的には、上記の条件が成立するときに、通常運転から第1の停止運転に切り替わる。また、この例では、バイパス弁9の開度が0%以上20%以下の範囲(具体的には0%)である運転から第1の停止運転に切り替わる。図8及び図9を用いて、第1の停止運転の制御シーケンスを説明する。
【0137】
ステップS230は、温度Tsが閾値温度T4以下であるか否かを判断するステップである。ステップS230において、温度Tsが閾値温度T4以下になったと判断されると、ステップS240に進み、停止運転が開始される。このステップの閾値温度T4は、バーナーが消火されて蒸発器4における加熱が終了したと判断できる温度に設定されている。一例では、閾値温度T4は、100℃以上175℃以下である。
【0138】
ステップS240では、バイパス弁9を開く。この例では、ステップS240において、バイパス弁9の開度を80%以上100%以下の範囲の開度まで増加させる。ステップS240において、バイパス弁9の開度を100%にしてもよい。また、バイパス弁9を一気に開いてもよく、バイパス弁9の開度を徐々に増加させてもよい。
【0139】
ステップS260は、膨張機5の運転を停止させるステップである。ステップS260では、コンバータ20を用いた発電機8の回転数の調整(停止制御)により、膨張機5を停止させる。膨張機5の入口と出口との間の圧力差がある程度小さくなってから、コンバータ20を用いた発電機8の回転数の調整を始めてもよい。具体的に、この圧力差と温度Tsとの間には相関があるので、温度Tsが所定の閾値まで減少したときに回転数の調整を始めればよい。なお、この例では、ステップS260で膨張機5の回転数が減少するまでは、発電機8の回転数及び膨張機5の回転数は一定である。
【0140】
ステップS270は、温度Tsが閾値温度T5以下であるか否かを判断するステップである。このステップの閾値温度T5は、蒸発器4に流れ込む熱媒体(この例ではガス)の温度が作動流体の熱分解温度未満となったと判断できる温度である。膨張機5の入口における作動流体の温度が閾値温度T5以下であると判断されるとステップS280に進む。一例では、閾値温度T5は、50℃以上120℃以下である。
【0141】
ステップS280は、ポンプ7を停止させるステップである。ステップS280では、ポンプ駆動回路21を用いた電動機11の回転数の調整(停止制御)により、ポンプ7を停止させる。ステップS280で停止運転は終了する。
【0142】
図8及び図9における期間A2は、蒸発器4における作動流体の加熱終了に対応してバイパス弁9の開度を大きくする期間である。期間A2は、ステップS240に対応する。期間B2は、膨張機5の停止制御が行われる期間である。期間B2は、ステップS260に対応する。期間C2は、ポンプ7の停止制御が行われる期間である。期間C2は、ステップS280に対応する。
【0143】
第1の停止運転をまとめる。以下のまとめでは、ランキンサイクル装置1の停止運転が行われる期間をランキンサイクル装置1の停止期間と称する。
【0144】
すなわち、第1の停止運転では、停止期間は、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件が成立したときから始まる。その停止期間に含まれる期間C2において、ポンプ7の回転数Nsがゼロまで減少する。上記の条件は、温度Tsが閾値温度T4まで減少したときに成立する条件である。制御装置2が、温度Tsを特定するための信号を取得し、上記の条件が成立しているか否かの判断及びポンプ7の回転数Nsの調整を担う。具体的には、ポンプ駆動回路21が、温度Tsを特定するための信号を取得し、上記の条件が成立しているか否かの判断及びポンプ7の回転数Nsの調整を担う。第1の停止運転は、安価な構成で実現できる。また、このような第1の停止運転によれば、ポンプ7の回転数Nsがゼロまで減少するタイミングが加熱終了の前となることを防止できる。すなわち、作動流体の温度が過度に増加することを防止できる。
【0145】
また、第1の停止運転では、停止期間が期間A2を含む。期間A2は、期間C2よりも前の期間である。具体的には、期間A2は、停止期間が始まるときに始まる。その期間A2において、バイパス弁(開閉装置)9の開度が80%以上100%以下の範囲の開度まで増加する。具体的には、バイパス弁9の開度が0%以上20%以下の開度から80%以上100%以下の範囲の開度まで増加する。制御装置2が、バイパス弁9の開度の調整を担う。このようにすれば、蒸発器4における作動流体の加熱終了に合わせて膨張機5の回転数を減少させることができる。従って、加熱終了に伴い発電機8による発電量を減少させることができる。
【0146】
(第2の停止運転)
第2の停止運転と第1の停止運転との相違点は、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件である。第2の始動運転のフローチャートを、図10に示す。
【0147】
図10のフローチャートは、図8のフローチャート(第1の停止運転)のステップS230をステップS230bに変更したものである。ステップS230bは、膨張機5の入口の圧力Ps1と膨張機5の出口の圧力Ps2との圧力差ΔPsが閾値差分ΔPth以下であるか否かを判断するステップである。ステップS230bにおいて、圧力差ΔPsが閾値差分ΔPth以下になったと判断されると、ステップS240に進み、第2の停止運転が開始される。このステップの閾値差分ΔPthは、バーナーが消火されて蒸発器4における加熱が終了したと判断できる値に設定されている。一例では、閾値差分ΔPthは、通常発電時の圧力差ΔPsの30%以上80%以下である。例えば、通常発電時における圧力Ps1が1MPaであり圧力Ps2が0.2MPaであり圧力差ΔPsが0.8MPaである場合に、閾値差分ΔPthは0.6MPaに設定される。「通常発電時」とは、例えば図6の通常運転が行われている時を指す。典型的な通常発電においては、発電電力は目標電力(一定電力)の90%以上110%以下の範囲に維持される。
【0148】
すなわち、第2の停止運転では、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件は、作動流体の圧力Ps1から作動流体の圧力Ps2を差し引いた差分である圧力差ΔPsが閾値差分ΔPthまで減少したときに成立する条件である。この例では、圧力Ps1は膨張機5の入口の圧力である。ただし、圧力Ps1は、蒸発器4の出口を始点とし膨張機5の入口を終点とする流路に存する作動流体の圧力であればよい。圧力Ps1として、バイパス流路70におけるバイパス弁9よりも上流側の流路に存する作動流体の圧力を用いることもできる。これらの流路における作動流体の圧力は、これらの流路に設けられた第1センサ(第1圧力センサ)を用いて特定することができる。また、この例では、圧力Ps2は膨張機5の出口の圧力である。ただし、圧力Ps2は、膨張機5の出口を始点とし凝縮器6の入口を終点とする流路に存する作動流体の圧力であればよい。圧力Ps2として、バイパス流路70におけるバイパス弁9よりも下流側の流路に存する作動流体の圧力を用いることもできる。これらの流路における作動流体の圧力は、これらの流路に設けられた第2センサ(第2圧力センサ)を用いて特定することができる。制御装置2が、圧力Ps1を特定するための信号及び圧力Ps2を特定するための信号を取得し、上記の条件が成立しているか否かの判断及びポンプ7の回転数Nsの調整を担う。具体的には、ポンプ駆動回路21が、圧力Ps1を特定するための信号及び圧力Ps2を特定するための信号を取得し、上記の条件が成立しているか否かの判断及びポンプ7の回転数Nsの調整を担う。第2の停止運転においても、第1の停止運転と同様の効果を得ることができる
【0149】
(第3の停止運転)
第3の停止運転と第2の停止運転との相違点は、圧力差ΔPsの特定方法である。
【0150】
すなわち、第3の停止運転の制御装置2は、発電機8を流れる電流Isの特定(検出)に用いられるセンサ26を備える。制御装置2は、電流Isから、圧力差ΔPsを特定(推定)する。具体的には、制御装置2は、電流Isから、膨張機5のトルクTQsを特定(推定)し、そのトルクTQsから圧力差ΔPsを特定(推定)する。より具体的には、コンバータ20が、電流Isの特定に用いられるセンサ26を備え、電流Isの特定、トルクTQsの特定、圧力差ΔPsの特定及び上記の条件が成立しているか否かの判断を担う。第3の停止運転においても、第1の停止運転と同様の効果を得ることができる。
【0151】
(第4の停止運転)
第4の停止運転と第1の停止運転との相違点は、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件である。第4の始動運転のフローチャートを、図11に示す。
【0152】
図11のフローチャートは、図8のフローチャート(第1の停止運転)のステップS230をステップS230cに変更したものである。ステップS230cは、膨張機5のトルクTQsが閾値トルクTQth以下であるか否かを判断するステップである。ステップS230cにおいて、トルクTQsが閾値トルクTQth以下になったと判断されると、ステップS240に進み、停止運転が開始される。このステップの閾値トルクTQthは、バーナーが消火されて蒸発器4における加熱が終了したと判断できる値に設定されている。一例では、閾値トルクTQthは、通常発電時のトルクTQsの30%以上80%以下である。
【0153】
すなわち、第4の停止運転では、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件は、膨張機5のトルクTQsが閾値トルクTQthまで減少したときに成立する条件である。制御装置2が、発電機8を流れる電流Isの特定に用いられるセンサ26を備え、発電機8を流れる電流IsからトルクTQsを特定し、上記の条件が成立しているか否かの判断及びポンプ7の回転数Nsの調整を担う。具体的には、コンバータ20が、電流Isの特定に用いられるセンサ26を備え、電流Isの特定、トルクTQsの特定及び上記の条件が成立しているか否かの判断を担う。ポンプ駆動回路21が、ポンプ7の回転数Nsの調整を担う。第4の停止運転においても、第1の停止運転と同様の効果を得ることができる。
【0154】
(第5の停止運転)
第5の停止運転と第1の停止運転との相違点は、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件である。第4の始動運転のフローチャートを、図12に示す。
【0155】
図12のフローチャートは、図8のフローチャート(第1の停止運転)のステップS230をステップS230dに変更したものである。ステップS230dは、膨張機5の入口の圧力Psが閾値圧力Pth以下であるか否かを判断するステップである。ステップS230dにおいて、圧力Psが閾値圧力Pth以下になったと判断されると、ステップS240に進み、停止運転が開始される。このステップの閾値圧力Pthは、バーナーが消火されて蒸発器4における加熱が終了したと判断できる値に設定されている。一例では、閾値圧力Pthは、通常発電時の圧力Psの30%以上80%以下である。
【0156】
すなわち、第5の停止運転では、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件は、圧力Psが閾値圧力Pthまで減少したときに成立する条件である。この例では、圧力Psは膨張機5の入口の圧力である。ただし、圧力Psは、蒸発器4の出口を始点とし膨張機5の入口を終点とする流路に存する作動流体の圧力であればよい。圧力Psとして、バイパス流路70におけるバイパス弁9よりも上流側の流路に存する作動流体の圧力を用いることもできる。これらの流路における作動流体の圧力は、これらの流路に設けられたセンサ(圧力センサ)を用いて特定することができる。制御装置2が、圧力Psを特定するための信号を取得し、上記の条件が成立しているか否かの判断及びポンプ7の回転数Nsの調整を担う。具体的には、ポンプ駆動回路21が、圧力Psを特定するための信号を取得し、上記の条件が成立しているか否かの判断及びポンプ7の回転数Nsの調整を担う。膨張機5の入口の圧力に比べると、膨張機5の出口の圧力の変化は小さい。このため、技術的にみて、膨張機5の入口の圧力を閾値と対比することは、膨張機5の出入口の圧力差を閾値と対比することに対応すると言える。すなわち、第5の停止運転によれば、第3の停止運転と同様の効果を、第3の停止運転よりも簡易な構成で得ることができる。
【0157】
(第6の停止運転)
第6の停止運転と第1の停止運転との相違点は、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件である。第6の始動運転のフローチャートを、図13に示す。
【0158】
図13のフローチャートは、図8のフローチャート(第1の停止運転)のステップS230をステップS230eに変更したものである。ステップS230eは、膨張機5の回転数が下限回転数Nm以上であり且つ発電機8の発電電力Wsが閾値電力Wth以下であるか否かを判断するステップである。ステップS230eにおいて、膨張機5の回転数が下限回転数Nm以上であり且つ発電機8の発電電力Wsが閾値電力Wth以下であると判断されると、ステップS240に進み、停止運転が開始される。このステップの閾値電力Wthは、バーナーが消火されて蒸発器4における加熱が終了したと判断できる値に設定されている。一例では、下限回転数Nmは、通常発電時の膨張機5の回転数の30%以上80%以下である。一例では、閾値電力Wthは、通常発電時の発電電力Wsの30以上80以下である。
【0159】
すなわち、第6の停止運転では、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件は、膨張機5の回転数が下限回転数Nm以上である状態で発電機8の発電電力Wsが閾値電力Wthまで減少したときに成立する条件である。制御装置2が、膨張機5の回転数の特定、発電電力Wsの特定、ポンプ7の回転数Nsの調整及び上記の条件が成立しているか否かの判断を担う。具体的には、コンバータ20が、膨張機5の回転数の特定(推定回転数ωeの特定)、発電電力Wsの特定、及び上記の条件が成立しているか否かの判断を担う。ポンプ駆動回路21が、ポンプ7の回転数Nsの調整を担う。第6の停止運転においても、第1の停止運転と同様の効果を得ることができる。なお、発電電力Wsは、膨張機5の回転数とトルクTQsとの積である。このため、膨張機5の回転数が所定以上であるという条件下で発電電力Wsを閾値と対比することは、技術的にみて、トルクTQsを閾値と対比することに対応すると言える。
【0160】
(第7の停止運転)
第7の停止運転と第1の停止運転との相違点は、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件である。また、第7の停止運転は、この条件が成立する前の期間におけるランキンサイクル装置1の動作の特徴を活かしたものである。
【0161】
図14のフローチャートでは、図8のフローチャート(第1の停止運転)のステップS230をステップS200及びステップS230fに変更したものである。
【0162】
ステップS200は、温度Tsが目標温度T3になるようにポンプ7の回転数Nsを調整するステップである。温度Tsが目標温度T3よりも高い場合はポンプ7の回転数Nsを増加させる。温度Tsが目標温度T3よりも低い場合はポンプ7の回転数Nsを減少させる。回転数の調整後に、ステップS230fに進む。
【0163】
ステップS230fは、ポンプ7の回転数Nsが閾値回転数Nth以下であるか否かを判断するステップである。ステップS230fにおいて、ポンプ7の回転数Nsが閾値回転数Nth以下になったと判断されると、ステップS240に進み、停止運転が開始される。このステップの閾値回転数Nthは、バーナーが消火されて蒸発器4における加熱が終了したと判断できる値に設定されている。一例では、閾値回転数Nthは、通常発電時の回転数Nsの30%以上80%以下である。
【0164】
ステップS240へと移行するまでは、ステップS200に基づくポンプ7の回転数Nsの調整が繰り返される。図15に示すように、蒸発器4における加熱が終了するまでは、回転数Nsの調整により温度Tsは目標温度T3に維持される。一方、蒸発器4における加熱が終了すると、温度Tsは減少していく。作動流体への熱の供給がなされていない状況では、回転数Nsが減少しても温度Tsの減少が止まらないためである。温度Ts及びポンプ7の回転数Nsは減少し続ける。そして、ポンプ7の回転数Nsは、閾値回転数Nthに至る。
【0165】
以上のように、第7の停止運転は、蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件が成立する前の期間におけるランキンサイクル装置1の動作の特徴を活かしたものである。すなわち、該前の期間において、温度Tsが目標温度T3よりも高いときにはポンプ7の回転数Nsが増加する。温度Tsが目標温度T3よりも低いときにはポンプ7の回転数Nsが減少する。蒸発器4における作動流体の加熱が終わったことを示す条件は、ポンプ7の回転数Nsが閾値回転数Nthまで減少したときに成立する条件である。制御装置2が、温度Tsを特定するための信号を取得し、ポンプ7の回転数Nsの特定、回転数Nsの調整及び上記の条件が成立しているか否かの判断を担う。具体的には、ポンプ駆動回路21が、温度Tsを特定するための信号を取得し、回転数Nsの特定、回転数Nsの調整及び上記の条件が成立しているか否かの判断を担う。第7の停止運転においても、第1の停止運転と同様の効果を得ることができる。
【0166】
(緊急停止運転)
ランキンサイクル装置1の緊急停止運転は、作動流体の温度Tsの増加を抑制し又は作動流体の温度Tsの減少を促進させつつランキンサイクル装置1を停止させるための運転である。ランキンサイクル装置1、制御装置2、又は電力系統3に異常が発生したときにこの運転を行うことができる。
【0167】
以下、図16及び図17を用いて、緊急停止運転の制御シーケンスを説明する。図17は、発電機8において過電流が流れ、コンバータ20による発電機8の回転数の制御が不可能となり、発電機8及び膨張機5がフリーラン状態になって、膨張機5の回転数が急増する場合を示す。つまり、膨張機5に異常が発生する場合を示す。この例では、制御装置2等が異常発生を熱源に通知し、その通知を受けた熱源が動作を終了する(バーナーの火を消す)場合を想定している。図17の上から1段目のグラフに示されているように、異常発生後タイムラグを経て蒸発器4における作動流体の加熱量が減少する。なお、「フリーラン状態」は、制御装置2によって回転数が制御されていない状態であって膨張機5の出入口の圧力差を動力源としてロータが回転している状態である。
【0168】
ステップS300は、バイパス弁9を開くステップである。具体的には、ステップS300において、バイパス弁9の開度を80%以上100%以下まで増加させる。より具体的には、バイパス弁9の開度を0%以上20%以下の開度から80%以上100%以下の範囲の開度まで増加させる。ステップS300において、バイパス弁9の開度を100%にしてもよい。また、バイパス弁9を一気に開いてもよく、バイパス弁9の開度を徐々に増加させてもよい。図17に示されているように、ステップS300でバイパス弁9が開かれた後は、フリーラン状態にある膨張機5の出入口の圧力差が減少するため、膨張機5の回転数は自然に減少し、やがてゼロになる。
【0169】
ステップS310は、ポンプ7の回転数Nsを回転数N1まで増加させるステップである。ステップS310が始まるタイミングは、ステップS300が始まるタイミングと同じである。つまり、バイパス弁9の開度が増加し始めるタイミングと、ポンプ7の回転数Nsが増加し始めるタイミングは同じである。
【0170】
ステップS330は、温度Tsが閾値温度T5以下であるか否かを判断するステップである。温度Tsが減少して閾値温度T5に達したと判断されるとステップS340に進む。
【0171】
ステップS340では、ポンプ7を停止させる。具体的に、ステップS340では、ポンプ駆動回路21を用いた電動機11の回転数の調整(停止制御)により、ポンプ7を停止させる。ポンプ7の停止後、緊急停止運転は終了する。
【0172】
説明の便宜上、ステップS310が行われる期間を期間A3とし、ステップS340が行われる期間を期間C3とする。図16及び図17に示されているように、ポンプ7の回転数Nsは、期間A3において一旦増加し、期間A3よりも後の期間C3においてゼロまで減少する。ステップS300は、期間A3が始まるときに始まる期間において行われる。同期間において、バイパス弁9の開度が80%以上100%以下の範囲の開度まで増加する。制御装置2が、ポンプ7の回転数Nsの調整と、バイパス弁9の開度の調整とを行うことができる。
【0173】
この例の緊急停止運転では、期間A3は、膨張機5がフリーラン状態になったときに始まる。フリーラン状態が継続されると膨張機5の回転数が過度に増加して膨張機5が損傷するおそれがある。従って、フリーラン状態となった膨張機5は、速やかに停止させるべきである。このためには、機械的なブレーキにより、膨張機5の回転数を強制的にゼロにすることが考えられる。しかしながら、単に膨張機5の回転数を強制的にゼロにするだけでは、電気エネルギーとして回収され電力系統3に送られていたエネルギーがランキンサイクル装置1内に熱エネルギーとして留まることになる。結果として、作動流体の温度が過度に増加し易い状況になる。膨張機5の回転数をゼロにしつつも作動流体の温度の過度な増加を避けることが望ましい。加熱制御を併用して作動流体の温度の過度な増加を避けることも考えられるが、上述のとおり加熱制御にはコストがかかる。この点、この例の緊急停止運転によれば、フリーラン状態となったときに、バイパス弁9の開度が増加する。これにより、フリーラン状態にある膨張機5の出入口の圧力差が減少し、膨張機5の回転数は自然に減少し、ゼロになる。しかも、この例の緊急停止運転では、フリーラン状態となったときに、バイパス弁9の開度が増加するのみならず、ポンプ7の回転数Nsが増加する。バイパス弁9の開度の増加とポンプ7の回転数Nsの増加との両方に作用により、作動流体の温度Tsが過度な増加が好適に防止される。従って、この例の緊急停止運転によれば、安価に信頼性を確保できる。なお、フリーラン状態が開始されたことは、例えば、発電機8の端子電圧を検出する電圧センサを用いて膨張機5又は発電機8の回転数の急増を検出することにより特定できる。回転数の増加に伴って端子電圧も増加するためである。
【0174】
この例では、発電機8において過電流が流れコンバータ20による発電機8及び膨張機5の回転数の制御が不可能となったことが原因で、膨張機5がフリーラン状態になっている。発電機8において過電流が流れたときには膨張機5がフリーラン状態となる等の異常が発生することが予想されるので、発電機8に過電流が流れたときに期間A3を始めるようにランキンサイクル装置1を構成することも、作動流体の温度Tsが過度に増加することを防止する上で有効である。例えば、コンバータ20が、電流センサ26を用いて発電機8の過電流検出を行うことができる。
【0175】
この例の緊急運転では、期間C3は、温度Tsが閾値温度T5まで減少したとき始まる。このため、作動流体の温度が低いときのポンプ7の回転数Nsをゼロになる。従って、低圧の液冷媒が不足して圧送が不安定となるリスクが低減される。
【0176】
また、電力系統3の停電等が原因で、ランキンサイクル装置1が単独運転状態となることがある。単独運転状態となったときにも、作動流体の温度Tsが過度に増加することを防止する必要性が生じうる。すなわち、単独運転状態が長期間にわたり継続すると、感電及び電気機器が損傷するリスクが高まったり、消防活動への悪影響が生じたりする。従って、単独運転状態となった場合には、速やかにランキンサイクル装置1を電力系統3から解列させるべきである。解列がなされた後には速やかに発電機8の発電電力Wsを減少させるべきである。しかしながら、発電機8及び膨張機5の回転数を急減させてゼロにするのみでは、電気エネルギーとして回収され電力系統3に送られていたエネルギーがランキンサイクル装置1内に熱エネルギーとして留まることになる。つまり、作動流体の温度が過度に増加し易い状況になる。従って、上述のフリーラン状態(過電流)が発生した場合と同様に、単独運転状態になった場合も、緊急停止運転に基づく効果が活かされる。なお、単独運転状態が原因で緊急停止運転を始める場合には、膨張機5の回転数が自然に減少するわけではない。そこで、一例では、バイパス弁9の開度を80%以上100%以下の範囲の開度まで増加させた後に、膨張機5の回転数をゼロまで減少させる。なお、典型的には、単独運転状態になるときには、発電装置100外の機器から熱源に異常の発生が通知され、その通知を受けた熱源が動作を終了する(バーナーの火を消す)ので、温度Tsが減少しうる状況となる。
【0177】
また、電力系統3における電圧の異常が発生した場合も、ランキンサイクル装置1が単独運転状態となった場合と同様に、温度Tsの過度な増加を防止すべき場合に該当する。すなわち、緊急停止運転に基づく効果が活かされる場合に該当する。例えば、電力系統3における電圧の振幅が定格振幅の85%以上115%以下の範囲を逸脱したり、該電圧の周波数が定格周波数±1Hzの範囲を逸脱したりした場合には、該電圧に異常が発生したと言える。
【符号の説明】
【0178】
1 ランキンサイクル装置
2 制御装置
3 電力系統
4 蒸発器
5 膨張機
6 凝縮器
7 ポンプ
8 発電機
8a 永久磁石
9 バイパス弁
10 センサ
11 電動機
20 コンバータ
21 ポンプ駆動回路
22 系統連系用電力変換器
23 3相配線
23u U相配線
23v V相配線
23w W相配線
24 直流配線
24p プラス側配線
24n マイナス側配線
25 コンバータ回路部
26 電流センサ
27 制御信号
29 3相配線
30 コンバータ制御部
31 電流指令生成部
32 電圧指令生成部
33 座標変換部
34 PWM信号生成部
35 位置・回転数推定部
36 座標変換部
50 流体回路
70 バイパス流路
100 発電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17