(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
(送風装置の概要)
以下、本発明に係る送風装置の実施形態につき、
図1〜
図25に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る送風装置100の概要を示す斜視図である。
図1に示す通り、送風装置100は、吸入したエアを使用者へ送出するよう構成されており、送風機構120を収容する送風ハウジング110を有する。送風機構120は、送風ハウジング110とは独立して形成された操作ハウジング200の操作部210により操作される。この送風装置100が本発明に係る「送風装置」の一例であり、送風ハウジング110が本発明に係る「送風ハウジング」の一例であり、操作ハウジング200が本発明に係る「操作ハウジング」の一例であり、操作部210が本発明に係る「操作部」の一例である。
図1に示す通り、操作ハウジング200には、送風機構120を駆動するためのバッテリ230aが装着されるとともに、使用者による操作部210の操作に基づき送風機構120を制御する制御部220が設けられる。このバッテリ230aが本発明に係る「バッテリ」の一例であり、制御部220が本発明に係る「制御部」の一例である。
【0026】
バッテリ230aからの電流と、制御部220からの信号を送風機構120へ伝達するために、操作ハウジング200から第2接続部250が延出される。第2接続部250は、バッテリ230aの電流を伝える導電線と制御部220の信号を伝える信号伝達線とが一体化された接続線251と、接続線251の先端に形成されたコネクタ252とを有する。一方、送風ハウジング110は、第2接続部250と接続される第1接続部150が延出される。第1接続部150は、接続線251からの電流や信号を送風機構120へ送出する接続線151と、接続線151の先端に形成されるとともにコネクタ252と接続されるコネクタ152とを有する。
図1に示す通り、送風ハウジング110および操作ハウジング200は、使用者の衣服に装着される。より具体的には、送風ハウジング110は使用者が所定の作業を行う際に着用する作業上着300に装着され、操作ハウジング200は作業ズボン400に装着される。この作業上着300または作業ズボン400が本発明に係る「衣服」の一例である。
【0027】
(送風ハウジングの構成)
次に送風ハウジング110の構成を
図2〜
図5に基づき説明する。まずは
図2および3に基づき送風機構120およびエアの吸排気に係る構成を説明するが、説明の便宜上、
図2および
図3においては送風ハウジング110を作業上着300に装着するための構成については図示を省略する。
後述する通り、送風機構120は、駆動モータ121と、駆動モータ121により回転駆動される送風部材123とにより構成される。送風部材123は複数のファン123aにより構成される。
図2に示す通り、本実施形態に係る送風装置100においては、2つのファン123aが設けられる。この駆動モータ121が本発明に係る「駆動モータ」の一例であり、送風部材123が本発明に係る「送風部材」の一例であり、ファン123aが本発明に係る「ファン」の一例である。なお、実現すべき送風装置100の構成によって、ファン123aの数は任意の数を選択することができる。
ファン123aが送風ハウジング110内に複数個配置されているため、送風装置100はエアを効率的に送出することが可能となる。
【0028】
図3は送風ハウジング110の断面図である。
図3に示す通り、送風機構120は、出力軸部122を備える駆動モータ121と、出力軸部122により回転駆動される送風部材123としてのファン123aとを有する。本実施形態においては、駆動モータ121は二つ設けられており、それぞれの駆動モータ121における出力軸部122に、ファン123aが配置されている。二つの出力軸部122の延在方向は互いに平行とされている。なお、出力軸部122は回転軸121aを規定する。この回転軸121aが本発明に係る「回転軸」の一例である。
【0029】
図3に示す通り、送風機構120は送風ハウジング110に収容される。送風ハウジング110は、第1ハウジング111と第2ハウジング112とが接続されることより構成される。送風ハウジング110は、回転軸121aと平行な方向である第1方向100aと、第1方向100aと交差する方向である第2方向100bとを規定する。また、送風ハウジング110は、第1方向100a上に位置する第1端部110aと、第1端部110aとは反対側に位置する第2端部110bと、第1端部110aを含む領域である第1端部領域110a1と、第2端部110bを含む領域である第2端部領域110b1と、第1方向100aにおいて第1端部領域110a1と第2端部領域110b1との中間に位置する中間領域110cとを有する。第1端部110aおよび第1端部領域110a1は第1ハウジング111に形成される。また、第2端部110bおよび第2端部領域110b1は第2ハウジング112に形成される。第1端部領域110a1は、送風ハウジング110が作業上着300に装着された場合において、作業上着300の外側(使用者から離れる側)へ位置する。また、第2端部領域110b1は、作業上着300の内側(作業者へ向かう側)へ位置する領域を有する。
この第1方向100aが本発明に係る「第1方向」の一例であり、第2方向100bが本発明に係る「第2方向」の一例であり、第1端部110aが本発明に係る「第1端部」の一例であり、第1端部領域110a1が本発明に係る「第1端部領域」の一例であり、第2端部110bが本発明に係る「第2端部」の一例であり、第2端部領域110b1が本発明に係る「第2端部領域」の一例であり、中間領域110cが本発明に係る「中間領域」の一例である。
【0030】
図3に示す通り、第1ハウジング111の第1端部領域110a1は、複数の第1柱状部111aと、隣接する第1柱状部111aの間に形成される第1開放部111bとを有する。また、第2ハウジング112の第2端部領域110b1は、複数の第2柱状部112aと、隣接する第2柱状部112aの間に形成される第2開放部112bとを有する。第1開放部111bは、第2方向100b上に設けられており吸気口を構成する。第2開放部112bは第1方向100a上に設けられており排気口を構成する。この第1開放部111bが本発明に係る「吸気口」の一例であり、第2開放部112bが本発明に係る「排気口」の一例である。
図3に示す通り、駆動モータ121の駆動によりファン123aが駆動されると、第1開放部111b周辺の吸入領域100cからエアが取り込まれ、第2開放部112bを経由して排出領域100dへエアが送出される。
【0031】
次に、作業上着300に送風ハウジング110を装着するための送風ハウジング係合部に係る構成を
図4および
図5に基づき説明する。送風ハウジング係合部は、
図4に示される第1係合部130と、
図5に示される第2係合部140とを有する。
図4に示す通り、送風ハウジング110は作業上着300の後身頃312に装着されるが、当該後身頃312における送風ハウジング110の装着領域には挿通開口312aが形成されている。この挿通開口312aが本発明に係る「挿通開口」の一例である。当該挿通開口312aに送風ハウジング110を装着するために、送風ハウジング110と作業上着300にはファスナーが構成される。より具体的には、送風ハウジング110には第1係合部130が構成される。第1係合部130は、中間領域110cにおける第1方向100a周りに設けられた第1務歯131により構成される。作業上着300には、第1係合部130と係合される第1被係合部が構成される。第1被係合部は、挿通開口312aの縁部に設けられた第2務歯361により構成される。第1務歯131と第2務歯361の係合および係合解除を行うスライダー132は第1務歯131に設けられる。また、当該ファスナー構造は一般的な構造を有するものであるため、第1務歯131と第2務歯361以外のピンやボックスなどの構成については説明を省略する。
この第1係合部130が本発明に係る「第1係合部」の一例であり、第2務歯361が本発明に係る「第1被係合部」の一例である。
【0032】
図4に示す通り、第1務歯131と第2務歯361は、スライダー132を矢印130aの方向に移動させることにより係合され、スライダー132を矢印130aとは逆の方向に移動させることにより係合が解除される。第1務歯131と第2務歯361とを係合させた状態において、第1係合部130は、第1方向100a周りの全周に亘り送風ハウジング110と作業上着300とを係止するよう構成される。この意味において、第1係合部130は、送風ハウジング110における第1方向100a周りの全周に亘り設けられているということができる。
これによって、第1係合部130は、作業上着300に対して送風ハウジング110を確実に装着できるのみならず、第2開放部112bからのエアが第1開放部111bへ移動することを規制することが可能となる。この意味において、第1係合部130は、エアが第2開放部112bから第1開放部111aへ移動することを規制する規制部を兼用するということができる。
【0033】
図5は、第2係合部140の構成を示す説明図である。送風装置100は、送風ハウジング110を作業上着300に装着する構成として、第1係合部130とは独立して形成される第2係合部140をさらに有する。この第2係合部140が本発明に係る「第2係合部」の一例である。
第2係合部140は、第1係合部130が装着される作業上着300の領域とは異なる領域において送風ハウジング110を作業上着300に装着可能に構成される。具体的には、第2係合部140は、送風ハウジング110の中間領域110cから延出された延出片141と、延出片141に設けられた係合ボタン142とにより構成される。作業上着300には、第2係合部140と係合される第2被係合部が構成される。第2被係合部は、被係合ボタン362により構成される。この被係合ボタン362が本発明に係る「第2被係合部」の一例である。係合ボタン142と被係合ボタン362はそれぞれ係合および係合解除が可能な構造を有する。また、延出片141は布帛などの可撓性を有する素材により構成される。
第2係合部140が構成されることによって、第1係合部130による送風ハウジング110と作業上着300との装着状態が不完全な場合であっても、第2係合部140により送風ハウジング110と作業上着とを接続することが可能となる。すなわち、作業上着300からの送風ハウジング110の脱落可能性を低減することができる。なお、作業上着300における第1係合部130と第2係合部140が形成される領域は、衣服側装着部360を構成する。
【0034】
(操作ハウジングの構成)
次に操作ハウジング200の構成を
図6〜
図10に基づき説明する。操作ハウジング200には、使用者によって操作される操作部210と、当該操作部210の操作に基づき駆動モータ121の駆動状態を切替える制御部220と上述した接続部250と、操作ハウジング200を作業ズボン400に装着するための操作ハウジング係合部240と、バッテリ230aを着脱自在に配置するバッテリ装着部230とを有する。この操作ハウジング係合部240が本発明に係る「操作ハウジング係合部」の一例であり、バッテリ230aが本発明に係る「バッテリ」の一例であり、バッテリ装着部230が本発明に係る「バッテリ装着部」の一例である。
【0035】
図5に示す通り、操作ハウジング係合部240は、金属片によるクリップにより構成される。本実施形態においては、
図1に示す通り操作ハウジング係合部240と操作ハウジング200とで作業ズボン400の胴周り開口縁部410を含む領域を挟持することにより、操作ハウジング200を作業ズボン400に固定する。
これによって、操作部210を使用者の操作に適した箇所に取付けることが可能となるため、送風装置100の操作性を向上することができる。
【0036】
次に、
図7〜
図9に基づき操作部210の構成および制御部220の動作につき説明する。
図7に示す通り、操作部210は風量切替スイッチ211と、強風切替スイッチ213と、表示部212とを有する。なお便宜上、風量切替スイッチ211により切替えられる動作を「通常モード」とし、強風切替スイッチ213により切替えられる動作を「強制モード」とする。この「通常モード」が本発明に係る「第1モード」の一例であり、「強制モード」が本発明に係る「第2モード」の一例である。
制御部220は、風量切替スイッチ211が操作される度に、風量がゼロの第1通常モード(駆動モータ121が停止する状態)、風量が少ない状態の第2通常モード、風量が中程度の状態の第3通常モード、風量が多い状態の第4通常モードを順次切替える。また制御部220は、強風切替スイッチ213が操作された場合には、第4通常モードよりもさらに多い風量となる強制モードにて駆動モータ121を駆動する。より具体的には、制御部220は、駆動モータ121をパルス幅変調制御にて駆動するものであり、強制モード時のデューティ比を100パーセントとした場合、第2通常モードのデューティ比を30パーセント、第3通常モードのデューティ比を50パーセント、第4通常モードのデューティ比を70パーセントとする制御を行う。
【0037】
また、表示部212は3つのLEDにより構成されており、通常モードおよび強制モードの状態を示すべく点灯される。すなわち、制御部220は、第1通常モードの場合は全てのLEDを非点灯とし、第2通常モードの場合は1つのLEDを点灯し、第3通常モードの場合は2つのLEDを点灯し、第4通常モードの場合は3つのLEDを点灯し、強制モードの場合は全てのLEDを点滅動作するよう表示部212を制御する。
【0038】
次に、強制モードに係る制御部220の構成および動作を
図8および
図9に基づき説明する。
図8は制御部220の構成を示すブロック図である。制御部220は、モード判別部221と、期間計測部223と、復帰部224と、デューティ比変更部222とを有する。このデューティ比変更部222が本発明に係る「切替部」の一例であり、復帰部224が本発明に係る「復帰部」の一例である。
図8に示す制御部220の動作を、
図9に示すフローチャートに基づき説明する。S101により制御部220の動作が開始される。S102により、モード判別部221によりいずれの通常モードで駆動モータ121を駆動しているかが判別される。S103により、強風切替スイッチ213の操作があったかどうかが判別される。強風切替スイッチ213が操作された場合には、S104によりモード判別部221からデューティ比変更部222へと信号が送出され、駆動モータ121が強制モードにおけるデューティ比により駆動される。そして、S105により期間計測部223による所定期間の計測が開始される。当該所定期間計測部はタイマーにより構成される。S105により期間計測部223が所定期間の計測を完了した場合には復帰部224に信号が送出され、S102にて判別されていた通常モードへと復帰される。
これによって、使用者が通常モードにて送風装置を駆動している状態において、さらなる冷却を要望した場合に強制モードへ切替えることが可能となる。この場合、強制モードは所定期間の経過後に通常モードへと復帰するため、使用者が冷却され過ぎることを防止することが可能となる。
【0039】
次に
図10に基づきバッテリ装着部230の構成を説明する。バッテリ装着部230はバッテリ230aを着脱自在とするよう構成される。バッテリ装着部230に対するバッテリ230aの装着は、バッテリ230aに構成された延在溝と、当該延在溝と係合するようバッテリ装着部230に構成された延在凹部との先端同士を係合させ、バッテリ230aを矢印230c方向へスライドすることにより行われる。なお、当該スライド動作が行われた場合、バッテリ装着230とバッテリ230aとを固定するための固定部が構成されている。なお、当該固定部に係る構成の説明は、便宜上省略する。バッテリ装着部230からバッテリ230を取り外す場合には、バッテリ230aに形成された解除部230bを操作し、バッテリ装着部230とバッテリ230aの固定を解除する。そして、バッテリ230aを矢印230cとは逆の方向へスライドする。当該構成によって、操作ハウジング220とバッテリ230aとを一体化して使用者に装着することができる。
なお、バッテリ230aは複数種類の電動工具を駆動可能なバッテリにより構成されている。この場合、複数種類の電動工具とはハンマドリル、レシプロソー、掃除機などに代表される電気機器を含むものである。これによって、例えば使用者が工事現場における作業者である場合、電動工具のバッテリ230aを送風装置100に適用することが可能となる。よって、使用者は、送風装置100にのみ使用するバッテリ230aを別途に購入する必要が無くなる場合がある。なお、この意味において、バッテリ装着部230の構成は、同一のバッテリ230aを使用可能な電動工具のバッテリ装着部と同一の構成とすることが可能となる。
【0040】
次に、
図11および
図12に基づき外部機器端子260の説明を行う。
図11に示す通り、操作ハウジング200には外部機器端子260が形成されている。外部機器端子260は接続されるべき外部機器に適合して構成することが可能であり、本実施形態における外部機器端子260は、携帯電話を充電するためのUSBケーブル260aが接続されるUSBポートとされている。この外部機器端子260が本発明に係る「端子」の一例である。当該構成により、使用者が加工作業を行っている場合において、送風装置100により身体を冷却するとともに携帯電話の充電を行うことが可能となる。
なお、
図12に示す通り、USBケーブル260aの配線にあたっては、作業上着300の内側に複数のケーブル固定部370が形成される。さらに、作業上着300の内側と外側を連通するケーブル挿通開口371が形成される。これによって、USBケーブル260aが使用者の邪魔にならない状態とすることが可能となる。
【0041】
(作業上着の構成)
次に作業上着300の構成および送風ハウジング110を作業上着300に装着した場合の動作を
図13〜
図18に基づき説明する。
図13および
図14に示す通り、作業上着300は、外部に露出する外装体310を有する。外装体310は、
図13に示す前身頃311と袖部313と、
図14に示す後身頃312を有する。
図13に示す通り、前身頃311は右半身部と左半身部とがファスナーによる前身頃締結部311aにより係合される。後身頃312は、上述した挿通開口312a、第2務歯361および被係合ボタン362を有する。また、袖部313は、腕を挿通するための腕部開口を有する。
図14に示す通り、送風ハウジング100は後身頃312に配置される。この外装体310が本発明に係る「外装体」の一例である。
【0042】
図15に示す通り、後身頃312における使用者側には、内装体320が設けられる。すなわち、内装体320は、外装体310と使用者の間に介在する。内装体320と後身頃312に包囲された領域には、内部空間部340が形成される。内部空間部340は、送風ハウジング110からのエアが送出される。この内装体320が本発明に係る「内装体」の一例であり、内部空間部340が本発明に係る「内部空間部」の一例である。
送風ハウジングから内部空間部140内に送出されたエアは、内部空間部140を経由して、使用者が送風を所要する領域へと誘導される。本実施形態においては、当該送風を所要する領域は首および脇とされる。首および脇に対応する内部空間部340には、エアを誘導するための誘導開口330が形成される。なお、脇における誘導開口330にはファスナーによる開口締結部331が形成される。すなわち、脇における誘導開口330の大きさは、開口締結部331により調整可能である。この誘導開口330が本発明に係る「誘導開口」の一例である。
また、作業上着300に送風ハウジング110を装着した場合において、接続部150と対応する内装体320の領域には、当該接続部150を挿通するための開口350が形成される。なお、内装体320と外装体310は、誘導開口330および開口350が形成されていない領域にて互いに縫製などの方法によって接合される。
【0043】
なお、外装体310は、撥水性および透湿性が高く、肌触りが良好な素材により構成される。具体的には、綿、毛糸、コットン、麻などの天然繊維や、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなどの合成繊維、およびこれらを混紡した繊維による布地が好適に使用される。また、内装体320は、エアが通過する内部空間部140を形成するため、通気性の低い素材にて構成することが好ましい。具体的には、ポリ塩化ビニル(PVC)に代表される、いわゆる軟質プラスチックによるフィルムや、通気性の低いポリエステルによるフィルムなどが好適には使用される。
【0044】
図15に示した脇の誘導開口330が開いている状態(開口締結部331が誘導開口330を締結していない状態)の動作を、
図16に基づき説明する。当該状態においては、矢印100eに示される通り、送風ハウジング110からのエアは内部空間部340を介して首および脇の誘導開口330から使用者へ送風される。脇の誘導開口330からのエアは袖部313を介して袖周り開口から排出される。これによって、使用者は首と腕を冷却することが可能となる。
また、
図17に示す通り、開口締結部331におけるスライダを矢印331aへ移動させると、脇の誘導開口330を塞ぐことが可能となる。この場合における送風ハウジング110からのエアは、
図18に示す通り首の誘導開口330のみから使用者へ送出される。
【0045】
(バッテリホルダの構成)
次に、
図19〜
図22に基づきバッテリホルダ500につき説明する。このバッテリホルダ500が本発明に係る「バッテリホルダ」の一例である。バッテリホルダ500は、上述した操作ハウジング200に対し操作部210を有さない構成とされる。一方、操作ハウジング200はバッテリ装着部230を有するものであるため、以下に説明するバッテリホルダ500の構成を、操作ハウジング200に適宜使用することが可能である。この意味において、操作ハウジング200はバッテリホルダ500の一形態であるであると考えることができる。
【0046】
図19および
図20は、バッテリホルダ500の構成を示す斜視図である。
図19に示す通り、バッテリホルダ500は、バッテリ230aが着脱自在とされるバッテリ装着部501と、第1係合部510と、第2係合部520とを有する。この第1係合部510が本発明に係る「第1係合部」の一例であり、第2係合部520が本発明に係る「第2係合部」の一例である。
【0047】
図19に示す通り、第1係合部510は、連接部511によりバッテリホルダ500に連接され、バッテリホルダ500に沿って延在状に形成された延在部512を有する。この連接部511が本発明に係る「バッテリホルダ連接部」の一例であり、延在部512が本発明に係る「延在部」の一例である。延在部512は、開放端部513と、当該開放端部513と連接部511との間に設けられるとともにバッテリホルダ500に近接された近接部514とを有する。当該構成によって、開放端部513から挿通された衣服を、延在部512とバッテリホルダ500との間に形成された保持領域515に保持することができる。この保持領域515が本発明に係る「保持領域」の一例である。なお、延在部512は弾性を有しており、クリップとして機能するよう構成されている。すなわち、第1係合部は、衣服がズボンである場合はバッテリホルダ500と近接部514との間で当該ズボンを挟持することができ、衣服がベルトである場合は、保持領域515にベルトを配置することができる。
【0048】
図19に示す通り、第2係合部520は、バッテリホルダ500の表面から突出する突出部521を有する。この突出部521が本発明に係る「突出部」の一例である。突出部521は、使用者に操作される引込操作部522に連接されている。また、バッテリホルダ500の内部において、突出部521はバネなどの付勢部材によりバッテリホルダ500の外側方向へ付勢される。バッテリホルダ500は、突出部521を露出させる開口502と、引込操作部522を露出させる開口503とを有する。当該構成によって、突出部521が押圧されたり、使用者が引込操作部522を操作した場合は、
図20に示す通り突出部521がバッテリホルダ500内に収容される。すなわち、突出部521はバッテリホルダ521に対し出没自在に構成される。
【0049】
図19に示す通り、突出部521は壁部521aと傾斜部521bとを有する。延在部512において連接部511と開放端部513とを通過する方向をバッテリホルダ500の延在方向とし、当該延在方向において開放端部513から連接部511へと向かう側を第1側とし、連接部511から開放端部513からへ向かう側を第2側とした場合、壁部521aは突出部521の第1側に形成される。また、傾斜部521bは、第1側から第2側へ向かい暫時突出高さを減少するように構成される。
なお、
図19に示す通り、第1係合部510と第2係合部520とは離間した位置に配置される。これによって、第1係合部510と第2係合部520の設計自由度を向上させることができる。
また、バッテリホルダ500の延在方向において、突出部521は連接部511から開放端部513に亘る領域に配置することが好ましい。これによって、突出部521を保持領域515と隣接する位置に配置することが可能となる。
【0050】
バッテリホルダ500の動作を
図21および
図22に基づき説明する。なお、
図21および
図22においては、説明の便宜上、引込操作部522や接続線251などの記載を省略する。
図21は、バッテリホルダ500を使用者のベルト420に装着した状態を示す。この場合、使用者は起立しているものとする。
使用者がベルト420にバッテリホルダ500を装着する場合、開放端部513とバッテリホルダ500の表面の間にベルト420を配置させ、バッテリホルダ500を押し込む。これによって、保持領域515にベルト420を配置させることができる。この場合、突出部521は、傾斜部521bがベルト420に押圧されることによりバッテリホルダ500内に収容され、ベルト420が突出部421を通過した後にバッテリホルダ500から突出される。
図21に示す状態においては、ベルト420は保持領域515に保持されるとともに、ベルト420の上側縁部が連接部511とバッテリホルダ500とに亘る領域に当接する。この場合、バッテリホルダ500は自重により重力方向に向かおうとするため、ベルト420の上側縁部と当該領域とは当接する。これによって、バッテリホルダ500はベルト420に保持される。
【0051】
図22は、使用者が前かがみになった状態を示す。この場合、バッテリホルダ500は自重により移動するため、ベルト420の下側縁部と突出部521の壁部521aとが当接する。これによって、バッテリホルダ500がベルト420から離間する方向への移動が規制される。すなわち、ベルト420からのバッテリホルダ500の脱落を抑制することが可能となる。
なお、ベルト420からバッテリホルダ500を取り外す場合には、使用者が引込操作部522を操作し、突出部521をバッテリホルダ500に収容させることにより、バッテリホルダ500をベルト420から引き抜くことができる。
【0052】
(支持具の構造)
次に、
図23〜
図25に基づき支持具600の構成につき説明する。この支持具600が本発明に係る「支持具」の一例である。送風ハウジング110を作業上着300に係合した場合においては、送風ハウジング110が自重により使用者の背面側に倒れこむことがある。このような状況にあっては、送風ハウジング100から作業上着300の内部にエアを安定して供給しにくい場合が生じ得る。そこで、作業上着300に対する送風ハウジング110の姿勢を安定化させるために、支持具600を使用することができる。
【0053】
図23は、送風ハウジング110に支持具600を取り付けた状態を示す。支持具600は、送風ハウジング110に取り付けられる送風ハウジング取付部610と、使用者の衣服に止着される衣服止着部620と、を有する。この送風ハウジング取付部610が本発明に係る「送風ハウジング取付部」の一例であり、衣服止着部620が本発明に係る「衣服止着部」の一例である。送風ハウジング取付部610と衣服止着部620とは、ゴムなどによる可撓性部材630を介して連結される。この可撓性部材630が本発明に係る「可撓性部材」の一例である。
【0054】
図24に示す通り、送風ハウジング取付部610は、延在部611と、延在部611から延出された係合部612とを有する。係合部612は、送風ハウジング610に係合可能に構成されている。なお、送風ハウジング610と係合部612とを係合し、さらに延在部611と送風ハウジング610をネジなどの固定部材により締結することもできる。
図24に示す通り、衣服止着部620は第1延在部621と、第2延在部622とを有する。この第1延在部621が本発明に係る「第1止着部延在部」の一例であり、第2延在部622が本発明に係る「第2止着部延在部」の一例である。第1延在部621と第2延在部622は回動可能に連結される。
【0055】
より具体的には、
図24に示す通り、第2延在部622の回動端部622bとベース部622aとが回動軸部621を介して連結される。なお、第2延在部622とベース部622aとの間には、トーションバネが配置されている。当該トーションバネにより、第1延在部621と第2延在部622は互いに近接する方向に付勢される。
図25に示す通り、第1延在部621とベース部622aとは、第1延在部621に形成された孔部621bとベース部622aの孔部(図示省略)とを位置決めした後、ネジによる固定部材640により締結される。なお、孔部621bは複数個所設けられている。この複数個所の孔部621bのいずれを選択するかによって、第1延在部621と第2延在部622の位置関係を決定することができる。すなわち、使用者は自己の身長や衣服のサイズに合わせて、第1延在部621と第2延在部622の位置関係を適宜調整することが可能となる。
なお、第1延在部621における第2延在部622が配置される側には、複数の凸部621aが形成される。当該凸部621aは、
図25における左右方向に延在されている。当該凸部621aにより、使用者は孔部621bとベース部622aの位置決めを容易に行うことができる。さらに、凸部621aが左右方向に延在されているため、第1延在部621とベース部622aを固定部材640に締結する場合に、ねじ締めに伴うベース部622aの回転を抑制することが可能となる。
【0056】
図24に示す通り、第2延在部622は、回動端部622bと、開放端部622cと、当該回動端部622bと開放端部622cとの間に形成されるとともに第1延在部621に近接するよう構成された屈曲部622dと、複数の凸部622eとを有する。
【0057】
次に、
図23に基づき支持具600の動作につき説明を行う。なお、衣服用止着部620は、使用者のズボン上縁部に止着されるものとする。作業上着300に係合された送風ハウジング110に送風ハウジング取付部610を取り付ける。この場合、送風ハウジング110に送風ハウジング取付部610を取り付けた後に、送風ハウジング110と作業上着300を係合することもできる。
当該状態において、第1延在部621と第2延在部622との間に使用者のズボン上縁部を配置する。この場合、第1延在部621を人体側に配置し、第2延在部622を人体から離れる側に配置する。第1延在部621と第2延在部622は回動軸部623を介して互いに近接する方向に付勢されているため、ズボンを第1延在部621と第2延在部622とにより挟持することができる。なお、
図24に示される凸部621aおよび凸部622eとにより、第1延在部621と第2延在部622によるズボンの挟持を安定化させることができる。
これによって、操作ハウジング110は、下方から支持されることとなる。よって、作業上着300と操作ハウジング110との位置関係を安定化することが可能となる。
なお、使用者が上体を倒すなどの動作を行った場合には、可撓性部材630が撓むことにより、送風ハウジング取付部610が使用者の動作に追随して可撓性部材630を中心として回動する。これによって、使用者が動作を行っても、支持具600は送風ハウジング110を支持可能となり、さらに、支持具600の破損を防止することが可能となる。
【0058】
本発明に係る送風装置100は上述した構成に限定されるものではない。例えば送風部材123を単一のファン123aにより構成することが可能である。当該構成であっても、操作部210により通常モードと強制モードの切替を行うことができるため、使用者を効率よく冷却する送風装置100を提供することが可能となる。
【0059】
(本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応)
上述した実施形態における各構成要素と、本発明における各構成要素の対応関係を次の通り示す。
送風装置100は本発明に係る「送風装置」の一例である。送風ハウジング110は本発明に係る「送風ハウジング」の一例である。操作ハウジング200、バッテリホルダ500の各々は本発明に係る「操作ハウジング」の一例である。操作部210は本発明に係る「操作部」の一例である。バッテリ230aは本発明に係る「バッテリ」の一例である。バッテリ装着部230、501の各々は本発明に係る「バッテリ装着部」の一例である。制御部220は本発明に係る「制御部」の一例である。作業上着300、作業ズボン400、ベルト420の各々は本発明に係る「衣服」の一例である。駆動モータ121は本発明に係る「駆動モータ」の一例である。送風部材123は本発明に係る「送風部材」の一例である。回転軸121aは本発明に係る「回転軸」の一例である。挿通開口312aは本発明に係る「挿通開口」の一例である。第1係合部130は本発明に係る「第1係合部」の一例である。第2装着部140は本発明に係る「第2係合部」の一例である。操作ハウジング係合部240は本発明に係る「操作ハウジング係合部」の一例である。第1係合部510および第2係合部520は本発明に係る「操作ハウジング係合部」の別の一例である。操作ハウジング係合部240、第1係合部510の各々は本発明に係る「クリップ」の一例である。突出部521は本発明に係る「突出部」の一例である。「通常モード」は本発明に係る「第1モード」の一例である。「強制モード」は本発明に係る「第2モード」の一例である。デューティ比変更部222は本発明に係る「切替部」の一例である。復帰部224は本発明に係る「復帰部」の一例である。第2接続部250は本発明に係る「接続部」の一例である。風量切替スイッチ211は本発明に係る「第1切替スイッチ」の一例である。強風切替スイッチ213は本発明に係る「第2切替スイッチ」の一例である。外部機器端子260は本発明に係る「端子」の一例である。外装体310は本発明に係る「外装体」の一例である。内装体320は本発明に係る「内装体」の一例である。内部空間部340は本発明に係る「内部空間部」の一例である。誘導開口330は本発明に係る「誘導開口」の一例である。開口締結部331は本発明に係る「開口締結部」の一例である。
【0060】
以上の発明の趣旨に鑑み、本発明に係る衣服は、下記の態様が構成可能である。
(態様1)
吸入したエアを送出する送風装置であって、
回転軸を規定する駆動モータと、前記駆動モータにより回転駆動される送風部材とが収容される送風ハウジングを有し、
前記送風ハウジングは、
前記回転軸と平行な方向である第1方向と、前記第1方向と交差する方向である第2方向とを規定し、
前記第1方向上に位置する第1端部と、前記第1方向上において前記第1端部とは反対側に位置する第2端部と、
前記第1端部を含む領域である第1端部領域と、
前記第2端部を含む領域である第2端部領域と、
前記第1方向において前記第1端部領域と前記第2端部領域との中間に位置する中間領域と、
前記第2方向上における前記第1端部領域に設けられた吸気口と、
前記第1方向上における前記第2端部領域に設けられた排気口と、を有し、
前記送風部材はファンにより構成され、
前記送風装置は、さらに、前記駆動モータの駆動状態を切替えるために使用者に操作される操作部と、前記操作部が設けられた操作ハウジングと、使用者による前記操作部の操作に基づき前記駆動モータの駆動状態を切替える制御部と、を有し、
前記制御部は、前記駆動モータにおける所定時間あたりの回転数を所定の第1回転数により駆動する第1モードと、前記所定時間あたりの回転数を前記第1回転数よりも多い第2回転数により駆動する第2モードとの間で切替える切替部と、
前記第1モードから前記第2モードに切替えられた場合において所定期間の経過後に前記第1モードへと切替える復帰部とを有することを特徴とする送風装置。
【0061】
(態様2)
態様1に記載された送風装置であって、
使用者の衣服に前記送風ハウジングを係合可能に構成された送風ハウジング係合部を有することを特徴とする送風装置。
【0062】
(態様3)
態様2に記載された送風装置であって、
前記送風ハウジング係合部は、前記中間領域における前記第1方向周りに設けられる第1係合部を有することを特徴とする送風装置。
【0063】
(態様4)
態様2または3に記載された送風装置であって、
前記送風ハウジング係合部は、前記中間領域から延出して設けられる第2係合部を有することを特徴とする送風装置。
【0064】
(態様5)
態様1〜4のいずれかに記載された送風装置であって、
前記操作ハウジングは、使用者の衣服に係合するための操作ハウジング係合部を有することを特徴とする送風装置。
【0065】
(態様6)
態様1〜5のいずれかに記載された送風装置であって、
前記駆動モータは、複数種類の電動工具を駆動可能なバッテリにより駆動されることを特徴とする送風装置。
【0066】
(態様7)
態様6に記載された送風装置であって、
前記操作ハウジングは、前記バッテリを装着するためのバッテリ装着部を有することを特徴とする送風装置。
【0067】
(態様8)
態様7に記載された送風装置であって、
前記操作ハウジングには、外部機器に電流を供給するための端子が設けられていることを特徴とする送風装置。
【0068】
(態様9)
態様1〜8に記載された送風装置が装着される衣服であって、
前記送風ハウジングの前記排出口を使用者側に挿通するための挿通開口を有することを特徴とする衣服。
【0069】
(態様10)
態様9に記載された送風装置が装着される衣服であって、
前記挿通開口の開口縁部に設けられるとともに前記第1係合部と係合されるように構成された第1被係合部とを有することを特徴とする衣服。
【0070】
(態様11)
態様9または10に記載された送風装置が装着される衣服であって、
前記第2係合部と係合されるように構成された第2被係合部とを有することを特徴とする衣服。
【0071】
(態様12)
態様9〜11のいずれかに記載された衣服であって、
外部に露出されるとともに前記挿通開口が設けられる外装体と、
前記外装体と使用者の間に介在する内装体と、
前記外装体と前記内装体とにより包囲された領域に形成される内部空間部と、を有し、
前記内装体は、前記内部空間部におけるエアを使用者における送風所要領域へと誘導するための誘導開口を有することを特徴とする衣服。
【0072】
(態様A)
バッテリが装着されるバッテリホルダにおいて、
バッテリ装着部と、前記バッテリホルダに設けられた第1係合部および第2係合部と、を有し、
前記第1係合部は、バッテリホルダ連接部と、前記バッテリホルダ連接部に接続されるとともに前記バッテリホルダに沿って延在状に形成された延在部と、前記延在部と前記バッテリホルダの表面の間に形成されて、使用者の衣服を保持する保持領域と、を有し、
前記第2係合部は、前記バッテリホルダの表面から突出して、前記保持領域に保持された衣服が前記保持領域から離脱することを規制する突出部を有することを特徴とするバッテリホルダ。
【0073】
(態様B)
態様Aに記載されたバッテリホルダであって、
前記第2係合部と、前記第1係合部とは離間して配置されることを特徴とするバッテリホルダ。
【0074】
(態様C)
態様AまたはBに記載されたバッテリホルダであって、
前記突出部は、前記バッテリホルダの外側に付勢されるとともに、前記バッテリホルダ内に収容可能に構成されることを特徴とするバッテリホルダ
【0075】
(態様a)
使用者の衣服に取付可能に構成された送風ハウジングの支持具であって、
前記送風ハウジングに取り付けられる送風ハウジング取付部と、使用者の衣服に止着される衣服止着部と、を有することを特徴とする送風ハウジングの支持具。
【0076】
(態様b)
態様aに記載された送風ハウジングの支持具であって、
前記送風ハウジング取付部と前記衣服止着部とは可撓性部材を介して連結されていることを特徴とする送風ハウジングの支持具。
【0077】
(態様c)
態様aまたは態様bに記載された送風ハウジングの支持具であって、
前記衣服止着部は、第1止着部延在部と、第2止着部延在部と、前記第1止着部延在部と前記第2止着部延在部とを相対的に回動可能に連結する回動軸部と、を有することを特徴とする送風ハウジングの支持具。