(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に開示された従来の予約システムでは、与えられた会議室スケジュールに基づいて空調が連動することで、空調の消し忘れを無くし、省エネルギーを実現するようにしている。
しかしながら、従来の予約システムでは、会議室予約に制約がないため、利用者が条件に適合する会議室を任意に選択できてしまう。その結果、1日の中で会議室を使う時間帯と使われない時間帯が発生することがあった(会議室の間欠利用)。このような間欠利用が発生すると、最初の会議室の利用が終わり、次に会議室を利用するときに再度空調立ち上げ運転が必要となり、多くのエネルギーを使ってしまうという問題点があった。
【0007】
例えば上記の予約の例では、
図19に示すように、会議室2が9時から10時まで使われた後、10時から14時まで使われない時間帯がある。14時から会議室2の利用を開始すると、再度、空調立ち上げ運転が必要となり、多くのエネルギーを使ってしまう。
以上のように、従来の予約システムでは、会議室の間欠利用が発生してしまい、省エネルギーのために会議室利用の更なる改善が求められている。なお、以上の問題は、会議室に限らず、事前予約が必要な共用エリアであれば同様に発生する。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、会議室等の共用エリアの間欠利用を減らすことができる予約システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の予約システムは、複数の共用エリアの予約スケジュールを共用エリアごとに記憶する予約スケジュール記憶手段と、前記予約スケジュールを参照し、利用者が入力した予約条件に適合する予約可能な共用エリア候補を抽出する共用エリア候補抽出手段と、前記予約スケジュールに基づいて、前記利用者が予約したい日における各共用エリアの予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を計算すると共に、前記共用エリア候補のうちいずれか1つが予約された場合の、各共用エリアの予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を共用エリア候補ごとに計算する空き時間計算手段と、この空き時間計算手段が計算した結果から、前記共用エリア候補のうち、予約後に予約前よりも各共用エリアの空き時間の総計の減少幅が最大となる共用エリア候補を推奨共用エリアとして前記利用者に提示する推奨共用エリア抽出手段とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の予約システムの1構成例は、さらに、前記推奨共用エリア抽出手段が抽出した推奨共用エリアが複数存在する場合に、これらの推奨共用エリアの各々について、前記利用者が利用したい利用開始日時の室温を予測する室温予測手段と、室温設定値と前記室温予測手段が計算した室温予測値との偏差の絶対値を推奨共用エリアごとに計算する室温偏差計算手段と、前記推奨共用エリアのうち、前記室温偏差計算手段が計算した偏差の絶対値が最小の共用エリアを最終的な推奨共用エリアとして前記利用者に提示する推奨共用エリア確定手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の予約システムの1構成例は、さらに、各共用エリアの空き時間の総計が変化した場合に、空き時間の総計が変化した日の利用者について、前記共用エリア候補抽出手段と前記空き時間計算手段と前記推奨共用エリア抽出手段に処理を実行させ、前記推奨共用エリア抽出手段に推奨共用エリアを抽出させる再実行指示手段と、この再実行指示手段の指示に応じて前記推奨共用エリア抽出手段が抽出した推奨共用エリアを前記利用者に通知する通知手段とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の予約システムの1構成例は、さらに、各共用エリアの空き時間の総計が変化した場合に、空き時間の総計が変化した日の利用者について、前記共用エリア候補抽出手段と前記空き時間計算手段と前記推奨共用エリア抽出手段と前記室温予測手段と前記室温偏差計算手段と前記推奨共用エリア確定手段に処理を実行させ、前記推奨共用エリア確定手段に推奨共用エリアを抽出させる再実行指示手段と、この再実行指示手段の指示に応じて前記推奨共用エリア確定手段が抽出した推奨共用エリアを前記利用者に通知する通知手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の予約システムの1構成例は、さらに、前記予約スケジュール記憶手段に記憶されている共用エリアごとの予約スケジュールに基づいて、設備機器の運転スケジュールを共用エリアごとに決定し、決定した運転スケジュールを前記設備機器の制御システムに対して設定する運転スケジュール決定手段を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者が入力した予約条件に適合する予約可能な共用エリア候補を抽出し、利用者が予約したい日における各共用エリアの予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を計算すると共に、共用エリア候補のうちいずれか1つが予約された場合の、各共用エリアの予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を共用エリア候補ごとに計算し、共用エリア候補のうち、予約後に予約前よりも各共用エリアの空き時間の総計の減少幅が最大となる共用エリア候補を推奨共用エリアとして利用者に提示することにより、共用エリアの間欠利用を減らすことができる。したがって、予約スケジュールに合わせて共用エリアの設備機器の運転スケジュールを連動させるようにすれば、設備機器の運用効率を向上させることができる。
【0013】
また、本発明では、推奨共用エリアが複数存在する場合に、これらの推奨共用エリアの各々について、利用者が利用したい利用開始日時の室温を予測し、室温設定値と室温予測値との偏差の絶対値を推奨共用エリアごとに計算し、推奨共用エリアのうち、偏差の絶対値が最小の共用エリアを最終的な推奨共用エリアとして利用者に提示することにより、設備機器の運用効率の向上に適した推奨共用エリアを決定することができる。
【0014】
また、本発明では、各共用エリアの空き時間の総計が変化した場合に、推奨共用エリア抽出手段に推奨共用エリアを再度抽出させ、推奨共用エリア抽出手段が抽出した推奨共用エリアを利用者に通知することにより、各共用エリアの空き時間の総計が変化したときに、共用エリアの間欠利用が減る方向に予約スケジュールを変えることが可能になる。
【0015】
また、本発明では、各共用エリアの空き時間の総計が変化した場合に、推奨共用エリア確定手段に推奨共用エリアを再度抽出させ、推奨共用エリア確定手段が抽出した推奨共用エリアを利用者に通知することにより、各共用エリアの空き時間の総計が変化したときに、共用エリアの間欠利用が減る方向に予約スケジュールを変えることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[発明の原理1]
会議室は、会議室ごとに個別空調が導入されていることが多い。会議室利用者は、会議室の利用開始時に空調を起動し、利用終了時に空調を停止する。会議室利用が終わり、会議室の空調が停止して一定時間が経過すると、夏の場合には会議室の室温が高くなり、冬の場合には室温が低くなる。会議室が一定時間利用されないと、次の利用者が会議室の利用開始時に空調を起動しても、会議室の温熱環境が快適域に達するまでに時間がかかってしまい、会議開始時に会議効率が落ちる恐れがある。さらに、空調の立ち上がり時はフル稼働になるので、エネルギーの使用量が大きくなる。
【0018】
発明者は、業務時間中に連続利用される執務室とは異なり、会議室は間欠利用される特性があることに着目した。そして発明者は、会議室の間欠利用をできるだけなくすことができれば、会議室の空調の運用効率が上がり、省エネルギー性を向上できることに想到した。具体的には、会議室の空調の間欠利用が結果的に低減される予約状況になるように、会議室の予約システムにおいて推奨会議室(会議室候補)を提示する。
【0019】
[発明の原理2]
会議室の間欠利用を減らす候補が唯一であることは稀で、通常は複数の候補が残る場合が多い。発明の原理1の予約システムにおいて、利用者が例えば14時から15時まで1時間予約する条件を入力すると、予約システムは会議室の現在の予約状況を確認し、予約条件に適合する予約可能な会議室候補1,2,3を抽出する。そして、予約システムは、会議室の間欠利用が減るように推奨会議室を選択する。その結果として、予約システムは、例えば
図1に示すような予約画面100を提示する。
図1の例では、会議室1と会議室3が推奨会議室(推奨候補)として提示される。会議室1を予約した場合と会議室3を利用した場合、いずれも間欠利用が1時間減少する。
【0020】
このように、発明の原理1の予約システムでは、複数の推奨候補が残ってしまうことがある。複数の候補が残った場合、空調運用効率の向上という観点で何らかの判断指標をもつことが好適である。そこで発明者は、判断指標として会議室にある空調情報、すなわち温度設定値と温度計測値を用いることに着目した。そして発明者は、予約可能な会議室のうち、室温計測値と室温設定値との偏差が小さい会議室を優先して案内すれば、さらに空調の運用効率が上がることに想到した。
【0021】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態に係る予約システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態は、上記発明の原理1に対応する例である。予約システムは、複数の会議室の予約スケジュールを会議室ごとに記憶する予約スケジュール記憶部10と、利用者からの予約を受け付ける予約受付部11と、利用者が操作する端末等の入力部12と、例えば液晶ディスプレイ等の出力部13と、利用者が入力した予約条件に適合する予約可能な会議室候補を抽出する会議室候補抽出部14(共用エリア候補抽出手段)と、利用者が予約したい日における各会議室の予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を計算すると共に、会議室候補のうちいずれか1つが予約された場合の、各会議室の予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を会議室候補ごとに計算する空き時間計算部15と、会議室候補のうち、予約後に予約前よりも各会議室の空き時間の総計の減少幅が最大となる会議室候補を推奨会議室として利用者に提示する推奨会議室抽出部16(推奨共用エリア抽出手段)とを備えている。
【0022】
本実施の形態では、利用者Aが予約システムを用いて例えば14時から15時までの1時間、5人で会議室を予約する場合について説明する。予約システムは、予約前よりも間欠利用が減る会議室として、後述のように会議室1,3を推奨会議室候補として利用者Aに提示する。
【0023】
図3は本実施の形態の予約システムの動作を説明するフローチャートである。最初に、予約受付部11は、利用者からの入力内容を表す予約条件入力画面を出力部13に表示させる。利用者Aは、予約システムの入力部12を操作し、表示された予約条件入力画面上で会議室の予約条件(予約者名、日付、人数、利用開始時間、利用終了時間)の入力を行う(
図3ステップS100)。入力後の予約条件入力画面101は、例えば
図4のようになる。
【0024】
予約スケジュール記憶部10は、会議室ごとの予約スケジュールを記憶している。予約スケジュールは、会議室が予約済みか否かを示す情報と、予約時に利用者が入力した予約条件とからなる。
【0025】
利用者Aによる会議室予約前の、9月14日の予約スケジュールは
図5の状態であったとする。会議室1については、予約済みの時間帯に挟まれた予約無しの空き時間が12時から13時までの1時間と、14時から15時までの1時間であり、会議室3については、予約済みの時間帯に挟まれた空き時間が14時から15時までの1時間である。したがって、予約済みの時間帯に挟まれた空き時間が計3時間あることになる。
【0026】
予約システムの会議室候補抽出部14は、予約スケジュール記憶部10に記憶された予約スケジュールを参照し、利用者Aが入力した予約条件に適合する予約可能な会議室候補を抽出する(
図3ステップS101)。
図5の例によると、会議の出席者の人数が5人で、9月14日の14時から15時までという予約条件に適合する予約可能な会議室としては、会議室1〜3がある。
【0027】
予約システムの空き時間計算部15は、予約スケジュール記憶部10に記憶された現在の予約スケジュールに基づいて、利用者が予約したい日(9月14日)における各会議室の予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を計算する(
図3ステップS102)。上記のとおり、
図5の例では、予約済みの時間帯に挟まれた空き時間は計3時間である。
【0028】
続いて、空き時間計算部15は、利用者が予約したい日について会議室候補抽出部14がステップS101で抽出した会議室候補1〜3のうちいずれか1つが予約された場合の、各会議室の予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を、予約可能な会議室候補1〜3ごとに計算する(
図3ステップS103)。
【0029】
利用者Aが14時から15時までの時間帯で会議室1を予約した場合の9月14日の予約スケジュールは
図6のようになる。会議室1については、予約済みの時間帯に挟まれた空き時間が12時から13時までの1時間であり、会議室2については、予約済みの時間帯に挟まれた空き時間が無く、会議室3については、空き時間が14時から15時までの1時間である。したがって、利用者Aが会議室1を予約した場合、空き時間は計2時間となる。
【0030】
利用者Aが14時から15時までの時間帯で会議室2を予約した場合の9月14日の予約スケジュールは
図7のようになる。会議室1については、予約済みの時間帯に挟まれた空き時間が12時から13時までの1時間と、14時から15時までの1時間であり、会議室2については、空き時間が10時から14時までの4時間であり、会議室3については、空き時間が14時から15時までの1時間である。したがって、利用者Aが会議室2を予約した場合、空き時間は計7時間となる。
【0031】
利用者Aが14時から15時までの時間帯で会議室3を予約した場合の9月14日の予約スケジュールは
図8のようになる。会議室1については、予約済みの時間帯に挟まれた空き時間が12時から13時までの1時間と、14時から15時までの1時間であり、会議室2,3については、空き時間が無い。したがって、利用者Aが会議室3を予約した場合、空き時間は計2時間となる。
【0032】
予約システムの推奨会議室抽出部16は、空き時間計算部15がステップS102,S103で求めた空き時間の計算結果から、会議室候補1〜3のうち、予約後に予約前よりも各会議室の空き時間の総計の減少幅が最大となる会議室候補を推奨会議室として抽出し(
図3ステップS104)、この推奨会議室を出力部13を通して利用者Aに提示する(
図3ステップS105)。
【0033】
推奨会議室抽出部16が出力部13に表示させる予約画面100の例を
図9に示す。上記の例では、予約前の空き時間が3時間、利用者Aが会議室1または3を予約した場合の空き時間が2時間、利用者Aが会議室2を予約した場合の空き時間が7時間である。したがって、推奨会議室抽出部16は、予約後に予約前よりも各会議室の空き時間の総計の減少幅が最大となる推奨会議室として会議室1,3を抽出し、会議室1または3の予約を利用者Aに薦める内容のメッセージを予約画面100に表示する。
【0034】
利用者Aは、
図9のような予約画面100を見て、入力部12を操作し、会議室1または3を予約する(
図3ステップS106)。予約受付部11は、利用者Aの操作を受けて、予約スケジュール記憶部10に記憶されている予約スケジュールを更新する(
図3ステップS107)。ここでは、利用開始時間(14時)から利用終了時間(15時)までの時間帯で、利用者Aが選択した会議室1または3が予約済みであることを示す内容に、予約スケジュールを更新する。
こうして、本実施の形態では、会議室の間欠利用を減らすことができる推奨会議室を利用者に提示することが可能となる。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図10は本発明の第2の実施の形態に係る予約システムの構成を示すブロック図であり、
図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、上記発明の原理2に対応する例である。本実施の形態の予約システムは、予約スケジュール記憶部10と、予約受付部11と、入力部12と、出力部13と、会議室候補抽出部14と、空き時間計算部15と、推奨会議室抽出部16と、推奨会議室が複数存在する場合に、これらの推奨会議室の各々について、利用者が利用したい利用開始日時の室温を予測する室温予測部17と、室温設定値と室温予測値との偏差の絶対値を推奨会議室ごとに計算する室温偏差計算部18と、推奨会議室のうち、室温偏差計算部18が計算した偏差の絶対値が最小の会議室を最終的な推奨会議室として利用者に提示する推奨会議室確定部19(推奨共用エリア確定手段)とを備えている。
【0036】
第1の実施の形態と同様に、利用者Aが予約システムを用いて例えば14時から15時までの1時間、5人で会議室を予約する場合について説明する。予約システムは、予約前よりも各会議室の空き時間の総計が同じ時間幅だけ減少する会議室候補1,3について、後述のように利用時間帯の室温を予測し、室温設定値と室温予測値との偏差の絶対値がより小さい、会議室1を推奨会議室候補として利用者Aに提示する。
【0037】
図11は本実施の形態の予約システムの動作を説明するフローチャートである。
図11のステップS100〜S104の処理は第1の実施の形態で説明したとおりであるので、説明は省略する。
【0038】
予約システムの室温予測部17は、推奨会議室抽出部16がステップS104で抽出した推奨会議室が複数存在する場合(
図11ステップS108においてYES)、これらの推奨会議室の各々について、現在の室温計測値と室温設定値とを当該推奨会議室の空調の制御システム(不図示)から取得すると共に、利用者Aによる利用開始日時(9月14日14時)前の当該推奨会議室の予約スケジュール(すなわち、推奨会議室の利用状況)を予約スケジュール記憶部10から取得し、これらの取得した情報に基づいて、利用開始日時(9月14日14時)の室温を推奨会議室ごとに予測する(
図11ステップS109)。室温の予測手法としては、移動平均法、多変量解析、ARIMAモデルなど様々な予測手法を用いることができる。例えば特開2011−80656号公報には、外気温度計測値と室温計測値と空調機状態から簡易な物理モデルを用いて室温を予測する手法が開示されている。
【0039】
ここでは、予測の結果として、推奨会議室1の利用開始日時の室温が25.5℃と予測され、推奨会議室3の利用開始日時の室温が26.5℃と予測されたものとする。
予約システムの室温偏差計算部18は、推奨会議室1,3の各々について、現在の室温設定値(例えば25.0℃)を当該推奨会議室の空調の制御システムから取得し、この室温設定値と室温予測部17が計算した室温予測値との偏差の絶対値を推奨会議室ごとに計算する(
図11ステップS110)。
【0040】
推奨会議室1の温度偏差は|25.0−25.5|=0.5℃、推奨会議室3の温度偏差は|25.0−26.5|=1.5℃となる。
予約システムの推奨会議室確定部19は、推奨会議室抽出部16が抽出した推奨会議室1,3のうち、室温偏差計算部18が計算した温度偏差の絶対値が最小の会議室1を最終的な推奨会議室として決定し(
図11ステップS111)、この推奨会議室を出力部13を通して利用者Aに提示する(
図11ステップS112)。
【0041】
推奨会議室確定部19が出力部13に表示させる予約画面100の例を
図12に示す。
図11のステップS106,S107の処理は、第1の実施の形態で説明したとおりである。なお、推奨会議室抽出部16が抽出した推奨会議室が1つの場合(ステップS108においてNO)、推奨会議室確定部19は、この推奨会議室を利用者Aに提示する。
【0042】
第1、第2の実施の形態において、予約後に予約前よりも各会議室の空き時間の総計が増大してしまう場合、推奨会議室抽出部16は、各会議室の空き時間の総計の増大幅が最小となる会議室候補を推奨会議室として抽出すればよい。
【0043】
[第3の実施の形態]
第1、第2の実施の形態を特許文献1に開示された予約システムに適用し、予約スケジュールに合わせて空調や照明のスケジュールを連動させるようにしてもよい。
図13は本発明の第3の実施の形態に係る予約システムの構成を示すブロック図であり、
図2、
図10と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の予約システムは、予約スケジュール記憶部10と、予約受付部11と、入力部12と、出力部13と、会議室候補抽出部14と、空き時間計算部15と、推奨会議室抽出部16と、室温予測部17と、室温偏差計算部18と、推奨会議室確定部19と、運転スケジュール決定部20とを備えている。
【0044】
図14は運転スケジュール決定部20の動作を説明するフローチャートである。運転スケジュール決定部20は、予約スケジュール記憶部10に記憶されている会議室ごとの予約スケジュールに基づいて、空調や照明等の設備機器の運転スケジュール(オン/オフ)を会議室ごとに決定し(
図14ステップS200)、決定した運転スケジュールを設備機器の制御システムに対して設定する(
図14ステップS201)。
【0045】
運転スケジュール決定部20は、会議室が予約済みであれば、予約された利用開始日時(あるいは利用開始日時よりも所定の前倒し時間だけ早い時刻)に当該会議室の設備機器をオンにし、予約された利用終了日時に当該会議室の設備機器をオフにする運転スケジュールを作成する。
【0046】
こうして、予約スケジュールに合わせて会議室の空調や照明のスケジュールを連動させることができる。なお、
図13では、1例として運転スケジュール決定部20を第2の実施の形態の構成に適用した場合で説明しているが、運転スケジュール決定部20を第1の実施の形態に適用してもよいことは言うまでもない。
【0047】
[第4の実施の形態]
推奨案内は予約時に限定するものではない。キャンセル発生などの理由により各会議室の空き時間の総計が変化したタイミングで、空き時間の総計を再計算して推奨会議室を再度抽出し、抽出した推奨会議室を予約済利用者またはキャンセル待ち利用者に電子メールなどで通知してもよい。
【0048】
図15は本発明の第4の実施の形態に係る予約システムの構成を示すブロック図であり、
図2、
図10、
図13と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の予約システムは、予約スケジュール記憶部10と、予約受付部11と、入力部12と、出力部13と、会議室候補抽出部14と、空き時間計算部15と、推奨会議室抽出部16と、室温予測部17と、室温偏差計算部18と、推奨会議室確定部19と、運転スケジュール決定部20と、連絡先記憶部21と、再実行指示部22と、通知部23とを備えている。
【0049】
図16は各会議室の空き時間の総計が変化したときの予約システムの動作を説明するフローチャートである。
利用者は、予約時に前記予約条件の他に、電子メールアドレスなどの連絡先情報を入力部12に入力するが、この連絡先情報は連絡先記憶部21に記憶される。
【0050】
予約システムの再実行指示部22は、所定の周期ごとに、各会議室の予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を空き時間計算部15に計算させ、この空き時間計算部15が計算した最新の値が、直前の予約確定時の各会議室の空き時間の総計の計算値に対して変化した場合(
図16ステップS300においてYES)、会議室候補抽出部14に対して会議室候補の抽出を指示する。再実行指示部22は、各会議室の空き時間の総計が変化したか否かの判定を予約日毎に行う。
【0051】
ここで、直前の予約確定時の空き時間の総計の計算値とは、空き時間の最新の値を計算しようとしている予約日について最後に空き時間計算部15が会議室候補ごとにステップS103で計算した空き時間の総計のうち、最終的に予約された会議室についての計算値のことを言う。例えば第1の実施の形態の例では、利用者Aが会議室1または3を予約すれば、予約確定時の各会議室の空き時間の総計は2時間となる。
【0052】
予約システムの会議室候補抽出部14は、再実行指示部22からの指示を受けると、予約スケジュール記憶部10に記憶された予約スケジュールを参照し、空き時間の総計が変化した日の予約済利用者または空き時間の総計が変化した日の予約をしたいキャンセル待ち利用者が入力した予約条件に適合する予約可能な会議室候補を抽出する(
図16ステップS101a)。このとき、予約済利用者について予約条件に適合する予約可能な会議室候補を再度抽出する場合には、この予約済利用者が予約した会議室も会議室候補に含まれる。
【0053】
予約システムの空き時間計算部15は、予約スケジュール記憶部10に記憶された現在の予約スケジュールに基づいて、予約済利用者が予約した予約日またはキャンセル待ち利用者が予約したい日における各会議室の予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を計算する(
図16ステップS102a)。
【0054】
続いて、空き時間計算部15は、会議室候補抽出部14がステップS101aで抽出した会議室候補のうちいずれか1つが予約された場合の、各会議室の予約済みの時間帯に挟まれた空き時間の総計を、予約可能な会議室候補ごとに計算する(
図16ステップS103a)。
【0055】
予約システムの推奨会議室抽出部16は、空き時間計算部15がステップS102a,S103aで求めた空き時間の計算結果から、会議室候補のうち、予約後に予約前よりも各会議室の空き時間の総計の減少幅が最大となる会議室候補を推奨会議室として抽出する(
図16ステップS104a)。
【0056】
予約システムの室温予測部17は、推奨会議室抽出部16がステップS104aで抽出した推奨会議室が複数存在する場合(
図16ステップS108aにおいてYES)、これらの推奨会議室の各々について、利用開始日時の室温を予測する(
図16ステップS109a)。
予約システムの室温偏差計算部18は、推奨会議室抽出部16がステップS104aで抽出した推奨会議室の各々について、室温設定値と室温予測部17が計算した室温予測値との偏差の絶対値を計算する(
図16ステップS110a)。
【0057】
予約システムの推奨会議室確定部19は、推奨会議室抽出部16が抽出した推奨会議室のうち、室温偏差計算部18が計算した温度偏差の絶対値が最小の会議室を最終的な推奨会議室として決定する(
図16ステップS111a)。
【0058】
予約システムの再実行指示部22は、推奨会議室確定部19がステップS111aで決定した推奨会議室を予約済利用者またはキャンセル待ち利用者に通知するよう通知部23に対して指示する。通知部23は、再実行指示部22からの指示に応じて、連絡先記憶部21に記憶されている連絡先情報を基に、予約済利用者またはキャンセル待ち利用者に対して電子メールなどで推奨会議室を通知する(
図16ステップS112a)。
【0059】
利用者は、通知部23からの通知を受けて、入力部12を操作し、予約していた会議室の変更を行う(
図16ステップS106a)。予約受付部11は、利用者の操作を受けて、予約スケジュール記憶部10に記憶されている予約スケジュールを更新する(
図16ステップS107a)。なお、予約済利用者が予約している会議室と、推奨会議室確定部19がステップS111aで決定した推奨会議室とが同じ場合には、予約済利用者に対して推奨会議室を改めて通知する必要はない。
【0060】
予約システムは、ある1日の各会議室の空き時間の総計が変化した場合に、ステップS101a〜S104a,S108a〜S112a,S106a,S107aの処理を、空き時間の総計が変化した日の全ての予約済利用者およびキャンセル待ち利用者について、予約済利用者毎およびキャンセル待ち利用者毎に行えばよい。処理の順番としては、利用開始日時が早い予約済利用者またはキャンセル待ち利用者から順番に処理すればよい。
こうして、本実施の形態では、各会議室の空き時間の総計が変化したときに、会議室の間欠利用が減る方向に予約スケジュールを変えることが可能になる。
【0061】
なお、
図15では、1例として連絡先記憶部21と再実行指示部22と通知部23とを第3の実施の形態に適用した場合で説明しているが、連絡先記憶部21と再実行指示部22と通知部23とを第1、第2の実施の形態に適用してもよいことは言うまでもない。第1の実施の形態に適用する場合、再実行指示部22は、推奨会議室抽出部16がステップS104aで決定した推奨会議室を予約済利用者またはキャンセル待ち利用者に通知するよう通知部23に対して指示すればよい。予約済利用者が予約している会議室と、推奨会議室抽出部16がステップS104aで決定した推奨会議室とが同じ場合には、予約済利用者に対して推奨会議室を改めて通知する必要はない。
【0062】
第1〜第4の実施の形態では、推奨会議室を利用者に提示して利用者が予約操作を行うシステムとしたが、第1の実施の形態のステップS104、第2の実施の形態のステップS111で抽出した推奨会議室のうち1つを利用者が予約したものとして、予約受付部11が自動的に予約スケジュールを更新するようにしてもよい。
【0063】
また、第1〜第4の実施の形態の例では、事前予約が必要な共用エリアの例として会議室を例に挙げて説明しているが、会議室に限定する必要はなく、例えば応接室の予約に適用してもよい。
【0064】
第1〜第4の実施の形態で説明した予約システムは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1〜第4の実施の形態で説明した処理を実行する。