(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621467
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】視覚的なアニメーションを備えたオルゴール
(51)【国際特許分類】
G10F 1/06 20060101AFI20191209BHJP
【FI】
G10F1/06 N
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-510752(P2017-510752)
(86)(22)【出願日】2015年5月5日
(65)【公表番号】特表2017-515170(P2017-515170A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2015059827
(87)【国際公開番号】WO2015169792
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2018年6月1日
(31)【優先権主張番号】00677/14
(32)【優先日】2014年5月6日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】516331247
【氏名又は名称】リュージュ エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ジュノー、フランソワ
【審査官】
岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−163047(JP,A)
【文献】
実開昭64−024394(JP,U)
【文献】
実開昭63−130095(JP,U)
【文献】
西独国実用新案公開第8907416(DE,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10F 1/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルゴールであって、前記オルゴールは、
振動ブレード(3)が振動するときに異なる周波数の可聴音を生成するように異なる長さの複数の前記振動ブレード(3)が備えられたコーム(30)と、
プレート若しくはシリンダ(2)が回転するときに異なる前記振動ブレード(3)を交互に振動させるようにチップ(20)が備えられた前記プレート若しくは前記シリンダ(2)と、
前記振動ブレード(3)によって作動される視覚的なアニメーション装置(4、5)とを含んで構成され、
前記視覚的なアニメーション装置(4、5)は、前記振動ブレード(3)の変位によって発射されるように、前記振動ブレード(3)によって作動されるべく配置された複数の発射体(5)を含んで構成されていることを特徴とするオルゴール。
【請求項2】
前記発射体(5)は、前記振動ブレード(3)のそれぞれに関連付けられている請求項1記載のオルゴール。
【請求項3】
前記振動ブレードが前記発射体(5)を上向きに発射させ、そして前記発射体(5)を重力の影響下に逆戻りさせることを許容するように配置されている請求項1または2に記載のオルゴール。
【請求項4】
前記発射体(5)が前記振動ブレード上に逆戻りすることを確実にするために、保持要素(6、9、11)がそれぞれの発射体(5)に関連付けられている請求項1から3のいずれか一項に記載のオルゴール。
【請求項5】
前記発射体(5)を発射させた前記振動ブレード(3)上にその発射体(5)が逆戻りすることを確実にするために、それぞれの発射体(5)に関連付けられている前記保持要素としてのチューブ(11)を含んで構成されている請求項4に記載のオルゴール。
【請求項6】
前記チューブ(11)の数は、前記振動ブレード(3)の数に等しい請求項5に記載のオルゴール。
【請求項7】
前記チューブ(11)は、少なくとも部分的に透明である請求項5または6に記載のオルゴール。
【請求項8】
前記チューブ(11)は、上向きに漸拡している請求項5から7のいずれか一項に記載のオルゴール。
【請求項9】
前記チューブ(11)は、ランダムな配置で配列されている請求項5から8のいずれか一項に記載のオルゴール。
【請求項10】
前記チューブ(11)の複数は、単一の射出成形プラスチック要素を形成している請求項5から9のいずれか一項に記載のオルゴール。
【請求項11】
前記チューブ(11)のそれぞれは、上向きに配置されていて、前記チューブの底から前記発射体(5)が飛び出すことを防止するためのリテーナを含んで構成される請求項5から10のいずれか一項に記載のオルゴール。
【請求項12】
各発射体に関連付けられた保持要素としてのロッド(9)を含んで構成され、前記ロッドは、前記発射体の変位の際に回転および/または変形する請求項4に記載のオルゴール。
【請求項13】
各発射体に関連付けられた保持要素としてのワイヤ(6)を含んで構成される請求項4に記載のオルゴール。
【請求項14】
前記ワイヤ(6)のそれぞれは、前記発射体(5)を通して通過させる請求項13に記載のオルゴール。
【請求項15】
前記ワイヤ(6)のそれぞれは、さらに前記振動ブレード(3)または前記振動ブレード(3)上方の減衰ブレードを通して通過させる請求項14に記載のオルゴール。
【請求項16】
前記振動ブレードのそれぞれの上方の中間ブレードを含んで構成され、前記中間ブレードのそれぞれは、対応する前記振動ブレード(3)により振動され、そして対応する前記発射体に対して、この振動を伝達する請求項1から15のいずれか一項に記載のオルゴール。
【請求項17】
前記発射体は、合成材料からなるビーズで構成されている請求項1から16のいずれか一項に記載のオルゴール。
【請求項18】
前記発射体は、貴石または半貴石またはセラミック石で構成されている請求項1から16のいずれか一項に記載のオルゴール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的なアニメーションを備えたオルゴールに関する。
【背景技術】
【0002】
オルゴールは、クランクを回すか、またはスプリングがキーによって引き伸ばされたときに音楽を生成する。シリンダオルゴールは、楽しむこと、または装飾目的で18世紀後半から生産されている。
【0003】
これらのオルゴールは、定められた順序で上昇し解放するスパイクを備えたシリンダと、金属のコームと完全に認められるブレードとを含んでいる。ブレードの長さの異なる振動は、シリンダ上のピンの位置によって定められるトラックの様々な曲譜を生成する。
【0004】
一部の高度なオルゴールは、スパイクの別のセットを提示するためにシリンダをわずかにシフトさせることにより、曲を変更することができることを可能とする。他のオルゴールでは、シリンダは、円盤またはプレートに置き換えられる。
【0005】
オルゴールは、例えばキャビネットボックスに統合されて、それ自体が目的物であるか、または、例えば振り子、スナッフボックスなどのような他の目的物の中に統合することができる。
【0006】
本出願では、簡略化のために、そのメカニズムが異なる機能を達成する目的物の中に統合されたとしても「オルゴール」という用語を使用する。
【0007】
これらのオルゴールを役立たせるために、視覚的アニメーションを装備することが知られており、それは例えばシリンダの速度に関連した速度で旋回するダンサー、ソングバードなどである。
【0008】
しかしながら、アニメーションの速度は、シリンダまたはトレイ上のピンの位置によって決定される音楽のリズムから独立したものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、既知のアニメーションとは異なる視覚的なアニメーションを備えたオルゴールを提案することである。
【0010】
別の目的は、再生される楽曲に依存する視覚的なアニメーションを備えたオルゴールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、これらの目的が以下を含むオルゴールによって特に達成される。
振動ブレードが振動するときに異なる周波数の可聴音を生成するように異なる長さの複数の振動ブレードが備えられたコーム:
プレート若しくはシリンダが回転するときに異なる振動ブレードを交互に振動させるようにチップが備えられたプレート若しくはシリンダ;
利点は、ディスクまたはシリンダ上のチップの位置、つまり演奏曲に依存するアニメーションを生成することである。
【0012】
例えば、メロディのリズムが、アニメーション装置の異なる部分での変位の回数を決定することができる。
【0013】
例えば、演奏される曲譜のシーケンスが、そのシーケンスに従って動くアニメーション装置のコンポーネントを決定し、演奏される曲譜を視覚化することを可能にする。
【0014】
視覚的なアニメーション装置は、異なるブレードまたはチップによって独立して作動するいくつかの構成要素を含ませることができる。
【0015】
視覚的なアニメーション装置は、ブレードが振動するときに上方に発射されるように、これらブレードによって作動されるべく配置された複数の発射体を含ませることができる。
【0016】
発射体は、それぞれのブレードに関連付けることができる。
【0017】
発射体は、ボールで構成されてもよく、例えばビーズとすることができる。
【0018】
発射体がブレード上に逆戻りすることを確実にするために保持要素を、それぞれの発射体に関連付けることができる。
【0019】
保持要素は、チューブ内の発射体がその発射体を発射したブレード上に逆戻りすることを確実にするために、それぞれの発射体に関連付けられたチューブで構成することができる。
【0020】
チューブの数は、ブレードの数に等しくすることができる。
【0021】
発射体が発射されたときに少なくともそれら発射体の軌道の一部で、発射体を視認するために、チューブは少なくとも部分的に透明とすることができる。
【0022】
発射体が意図した場所に逆戻りすることを確実にする一方で、チューブと軌道の上方での発射体との間での接触の危険性を最小限にするように、チューブは、上向きに漸拡させてもよい。
【0023】
チューブは、直列に配置することができる。
【0024】
チューブは、それぞれのチューブの直径とチューブ内のそれぞれの発射体を拡大するたに、ランダムな配列で配置することができる。
【0025】
いくつかのチューブは、単一の射出成形プラスチック要素に一緒に組み込ませることができる。
【0026】
それぞれのチューブは、
上向きに配置することができる。
【0027】
それぞれのチューブは、発射体を、対応する振動ブレードに接触させるための開口部を含むことができる。
【0028】
それぞれのチューブは、発射体が逆戻りしたときに、チューブの底から抜け出ることを防止するためのリテーナを含むことができる。
【0029】
ロッドは、それぞれの発射体に関連付けられた保持要素として使用することができる。このロッドは、発射体の変位の際に回転および/または変形することができる。
【0030】
可撓性のワイヤまたは剛性のロッドは、それぞれの発射体に関連付けられた保持要素として使用することができる。
【0031】
発射体は、たとえば合成材料、金属、ガラスなどで製造することができる。
【0032】
中間ブレードを、発せられる音を減衰するために、それぞれの振動ブレードに関連付けてもよい。
【0033】
逆戻りする発射体のノイズを減衰するために、発射体を、この減衰ブレード上に逆戻りさせることができる。
【0034】
発射体は、たとえばダイヤモンドのような貴石、ジルコニウム、カットガラスなどのような半貴石、セラミックスで製造することができる。
【0035】
発射体は、軟質の材料および/またはコームのブレードの材料よりも低い密度で製造することができる。
【0036】
発射体は、発射体が逆戻りした後に、ブレードの振動を減衰するための減衰器として機能することができる。
【0037】
本発明の実施形態は、添付した以下の図面によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るオルゴールの全体図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の第6の実施形態に係るオルゴールの全体図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施形態に係るオルゴールの全体図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第3の実施形態に係るオルゴールの全体図を示す。
【
図5A】
図5Aは、本発明の第4の実施形態に係るオルゴールのブレードの斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の第4の実施形態に係るオルゴールのブレードの上面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第5の実施形態に係るオルゴールの全体図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の第6の実施形態に係るオルゴールの全体図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の第7の実施形態に係るオルゴールの全体図を示す。
【
図9A】
図9Aは、コームのブレードが、シリンダのチップによって振動させられる方法を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、コームのブレードが、シリンダのチップによって振動させられる方法を示す図である。
【
図9C】
図9Cは、コームのブレードが、シリンダのチップによって振動させられる方法を示す図である。
【
図9D】
図9Dは、コームのブレードが、シリンダのチップによって振動させられる方法を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明において使用することができるチューブの側面図で第1の例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明において使用することができるチューブの平面図で第1の例を示す図です。
【
図12】
図12は、本発明において使用することができるチューブの第2の例の側面図を示す。
【
図13】
図13は、チューブを可視化するためのウインドウを含むオルゴールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
第1の実施形態のオルゴールは、
図1に側面図として示されている。
【0040】
オルゴールは、シリンダ2が搭載されたフレーム1を備えている。シリンダ2は、図示しない機構により回転することができ、それは例えばクランク、速度制御器に関連したバレルなどである。シリンダ2の外周にはチップ20が付与されていて、その配置によりオルゴールによって演奏される曲が決定される。
【0041】
これらのチップ20は、音符を生成するようにコームのブレード3を振動させることを可能にする。
【0042】
図面では一つだけのブレード3を示しているが、コームが紙面に対して垂直な平面内で複数のブレード3を含んでおり、ブレード3の長さが音符に対応するように調整されていることが理解されるであろう。
【0043】
コームは、ソケット32とネジ31によってシリンダ2とは反対の右上で固定されている。ここまではオルゴールは従来どおりである。
【0044】
シリンダ2は、また、チップ20を装備したプレートに置き換えることができる。シリンダ2は、複数の一連のチップ20を備えることができ、その位置に応じて異なる曲を再生するように、紙面に対して垂直な方向に従ってシフトすることを許容する機構を設けてもよい。シリンダ2は、他の曲に対応する他のシリンダによって交換可能であってもよい。
【0045】
さらに、本実施形態のオルゴールは、ブレード3の振動によって上方に発射されるように意図された発射体5のセットを含んでいる。発射体5は、例えばボールで構成され、ビーズを含み、真上に発射されるに十分に軽く構成することができる。そのボールは、合成物質、金属、ガラス、または任意の他の材料で作られ、この目的のために使用することができる。また、それは、例えば、円筒状の発射体のような非球形の発射体を使用することも可能である。
【0046】
一つの実施形態では、発射体5は、石で構成することができ、たとえばダイヤモンドのような貴石、ジルコニウムなどの半貴石、合成石、セラミック石で構成される。石は、虹の効果を生成するためのファセットを備える、及び/又は、カットされる。この変形は、特に数センチメートルまたは数十センチメートルの高さに石を発射することが可能な比較的大型のオルゴールに適している。
【0047】
直接、ガラスの下で、ガラスおよびダイヤルに平行に、石をより短い距離で変位させて、たとえば腕時計にオルゴールを埋め込むことに適用してもよい。
【0048】
発射体5は、それぞれの振動ブレード3に関連付けることができる。それぞれの発射体5は、色を有したり、異なる側面を有していてもよい。たとえば異なる長さを有する異なるブレード3によって伝達される運動エネルギーの差を補償するように異なる発射体5の質量は、異なっていてもよい。
【0049】
オルゴールは、さらに、望ましくない方向に発射されることによって発射体が紛失されることを予防するために保持手段を含んで構成することができる。本実施形態では、保持手段は、チューブ4で構成され、例えばチューブ4は、透明、半透明または部分的に透明なチューブで構成され、その中で発射体5が変位する。チューブ4は、それぞれのブレード3およびそれぞれの発射体5に関連付けることができる。
【0050】
チューブ4は、機構を含んでおり、この図に示されていないボックス内に固定されてもよい。チューブ4の部分は、ボックスの上方に延長させてもよい。
【0051】
チューブ4は、それらの下端における開口を含んでおり、それにより、振動ブレード3がチップ20の作用の下で振動したときにこれらの振動ブレード3がチューブ4内で発射体5に当たることを可能とする。リテーナは、たとえば環状の保持器または環状の要素であり、発射体5がこれらのチューブ4から底部より離脱することを防止する。しかしながら、発射体5の一部分は、対応する振動ブレードによって当たることが可能となるように、チューブ4の下から外に出ている。
【0052】
チューブ4の上端は、ボックスが裏返しにされたり、または揺り動かされたりしたときに、発射体5の紛失を防止するために閉じられてもよく、または発射体5が上昇したときに、チューブ4の上部における空気の圧縮を防止するために開放されていてもよい。リテーナは、また、完全にチューブ4を妨げることなく、発射体5がチューブ4から離脱することを防止するために、チューブ4の上部に設けられていてもよい。
【0053】
また、発射体5が逆戻りしたときの衝撃を低減するために、それぞれの振動ブレード3の上面の少なくとも一部に、減衰のカーペットまたはコーティングを施すことも可能である。
【0054】
図2は、第1の実施形態に係るオルゴールの斜視図を示す。
【0055】
コーム30の異なるブレード3およびコーム30の上に整列された異なるチューブ11は、それぞれのブレード3の上方のチューブ11と一緒に、この斜視図に特に示されている。
【0056】
図3は、
図1と同様の別の実施例を示している。
【0057】
発射体5は、たとえばオルゴールのカバー上で保持された可撓性のワイヤ4によって吊るされている。可撓性のワイヤ4は、発射体5の紛失を防止するための保持手段としてのチューブ11と置換されており、ホックの付いた発射体が、対応する振動ブレード3に当たったときに変形される。
【0058】
図4は、第3の実施形態を示しており、それぞれの発射体5には、剛性のワイヤ4が貫通する孔が開いており、例えば透明なワイヤが、ネックレスのワイヤ上の真珠と同様にして発射体5を通過させる。
【0059】
ワイヤ4の下端のランチャ8は、ブレード3の衝撃時に受信された運動エネルギーを発射体5に伝達することができ、発射体5は、その後、剛性のワイヤ4に沿って上昇する。
【0060】
この解決法は、チューブの使用を回避して、発射体5のよりよい見栄えを可能にする。
【0061】
図5Aおよび
図5Bは、第4の実施形態を示しており、
図4の実施形態と同様に、それぞれの発射体5には、ピンと張られたワイヤ6、たとえば透明のワイヤが貫通する孔が開けられている。
【0062】
中間ブレード33は、それぞれの振動ブレード3の上方に搭載されている。それは、このワイヤ6が貫通する終端に向けて垂直に突出する部分330を含んでいる。
【0063】
中間ブレード33は、対応する振動ブレード3が作動したときに振動させられる。
【0064】
有利には、静止時に、発射体5が、その部分330に置かれ、メインの振動ブレード3がシリンダ2のチップ20によって作動されたときに、そのメインの振動ブレード3によって、この中間ブレード33に対して伝達される振動によって空中に発射される。
【0065】
図4のバージョンに関して、この解決法は、振動が直接に中間ブレード33によって発射体5に伝達されるために、ランチャ8および剛性のワイヤ4の使用を回避することを可能にする。
【0066】
中間ブレード33は、有利には、鋼製の振動ブレード3よりも柔らかい材料によって作られており、それは発射体5が逆戻りしたとき、特に例えば貴石またはガラスの発射体5であるときに発射体5の破損の危険あるいは騒音を回避することを可能にする。
【0067】
この中間ブレード33は、さらに、メインの振動ブレード3の振動を減衰することを可能にし、したがって放射される音の持続時間を減少させることを可能にする。
【0068】
また、異なる振動ブレード3の上方に配置された異なる中間ブレード33の厚さは、振動ブレード3の長さに対応する発射体5に伝達されるエネルギーの差を少なくとも部分的に補償するために変化させることができ、したがって、音符にかかわらずに発射体5の出射される高さを一定にすることができる。
【0069】
最終的に、中間ブレード33は、また、振動ブレード3の振動を減衰し、そして音符が演奏される間の時間を制御し、そして次のチップ20との衝突の危険性を低減するための減衰器として作用する。
【0070】
また、それぞれの中間ブレード33の上面の少なくとも一部に、発射体5が逆戻りしたときの衝撃を低減するために、減衰のカーペットまたはコーティングを施すことも可能である。
【0071】
図6は、第5の実施形態を示しており、ピアノのハンマーと同様に、ロッド9の第1の端部に発射体5が固定され、ロッド9の他方の端部が水平軸90を中心に回動可能となっている。
【0072】
ブレード3の振動は、発射体5に伝達され、発射体5は、その後、軸90の軸周りにロッド9と一緒に回転する。ロッド9の直径は、好ましくは、ロッド9の重量を軽減し、発射体5が到達する最大高さを増加させるために、減少される。微細なロッドの危険性は柔軟であることであるために、発射体が発射されていないロッド9が水平位置にあるときの発射体5と、水平軸90との間に、示されていない支持体を設けることが可能である。その支持体は、また、ロッド9のためのガイドとして機能することができ、そして、この目的のために、ロッド9の回転中にロッド9を案内するための垂直なガイドスロットを設けてもよい。
【0073】
静止時に、それぞれのロッド9は、対応するブレード3の上方での正確な位置決めを保証するためのスロットの中に挿入することができる。
【0074】
図7は、第6の実施形態を示しており、発射体5は、ファンネル状に上方に漸拡しているチューブ11内に保持されている。
【0075】
この解決法では、発射体5が逆戻りする前に、発射体5と、対応するチューブ11の壁との間における衝突の危険なしに、発射体5が、厳密には垂直ではない方向に従うことを促進させることができる。開放されたチューブ11の上部は、上部から発射体5を見られるように透明カバーによって閉じられていてもよく、開いていてもよい。
【0076】
また、異なる発射体5と共有している単一の直線のチューブまたファンネル状のチューブを設けることも可能である。したがって発射体5を空中に発射したブレード3上にその発射体5が逆戻りしないという危険性はあるが、この実施形態では、ブレード3を近接させることが可能となり、透明であろうが発射体5の視認性を妨げる内壁を回避することが可能となる。
【0077】
ユーザーが例えば容器を回したり、振ったりして、発射体5を逆戻りさせることを決定する前に発射体を収容するために、1つまたは複数のバスケットまたは他の容器をチューブの上に設けることも可能である。したがって、この実施形態は、例えば、これらの容器に、より容易に称賛されるべき装飾的な、または貴重な発射体5に適合している。
【0078】
一つの実施形態では、それぞれの発射体5は、水平な、または傾斜したプレート内に、たとえば複数のハウジングのような、いくつかの可能性のある容器内に着地させることができる。
【0079】
さらにオルゴールは、宝くじやスキルゲームを構成することができ、発射体5が着地した容器の数に対応する数値を生成することができる。発射体5がプレート内における小さな孔を通過しなければならないゲームを提供することも可能である。さらに目的は、ほとんどの発射体5を、与えられた時間内に、この開口部を通過させることに成功することである。
【0080】
図8は、
図5A、
図5Bの変形例としての第7の実施形態を示しており、中間ブレード33は、それぞれのチューブ4の底部と、対応する振動ブレード3との間に設けられている。
【0081】
中間ブレード33の下または振動ブレード3上に設けられたハンマー34によって、対応する振動ブレード3が作動したときに中間ブレード33は振動する。
【0082】
有利には、発射体5は、この中間ブレード33上にセットされ、静止された状態にされて、そしてメインの振動ブレード3によってこの中間ブレード33に対して伝達された振動によって空中に発射される。
【0083】
図5の変形例として、中間ブレード33は、減衰のブレードであり、有利には、鋼製の振動ブレード3よりも柔らかい材料で作られており、そして、ことによると制振材で被覆されている。
【0084】
図9Aから
図9Dは、振動ブレード3がシリンダ2のチップ20によって振動される方法を示している。振動ブレード3が
図9Dの位置で、最初に上向きに振動すると、発射体5が上方に推進される。
【0085】
コームのそれぞれ個別のブレード3の上方で発射体5を保持する働きをする異なるチューブ11は、
図10および
図11に示されるように、たとえば異なるチューブを溶接し、または接着することによって、あるいはいくつかのプラスチックのチューブを並べて射出成形することによって、一体的に組み立てることができる。
【0086】
図12の有利な実施形態に示すように、チューブは複数の列で配置されてもよく、たとえば2列に、例えばランダムに配置することができる。この配置は、発射体5をより見やすくするために、チューブの直径、したがって、発射体5の直径を大きくすることを可能にする。
【0087】
チューブ11および発射体5の直径は、オルゴールのサイズに依存する。発射体5は、それらの質量を低減するように十分に小さくしなければならないが、見えるように十分に大きくなければならない。満足のいくテストでは、1ミリメートルから5ミリメートルの間のピッチだけ離間したコームのブレード3と協働して1.5ミリメートルから4ミリメートルの間に含まれる直径のビーズで行われた。
【0088】
上述したオルゴールの機構は、たとえば、ボックス内に配置されるか、または例えば振り子、スナッフボックスなどの別の目的物内に配置することができる。
【0089】
図13に示す変形例では、このオルゴール10は、コームとシリンダを隠す窓14を含んでいるが、チューブ11が見えるようにすることを許容しており、したがってオルゴールの外側から発射体5の移動が見えるようにすることを可能にする。したがって、その装置は、短い間隔で演奏される音符に対応する発射体5が煩雑に空中に存在するイコライザのようにみえる。
【0090】
上述したオルゴールのメカニズムは、たとえばガラスに平行な方向に対応して、ガラスの下で、石やその他の発射体5を移動させるために、時計のケース内に配置することができる。
【0091】
移動の方向は、このケースに対して必ずしも垂直である必要はなく、それは、少なくとも要求される短い距離を超えて、必然的にブレードを減少させて、比較的重い石の移動を可能にする。
【0092】
石は、重力によって、あるいは、垂直位置に時計を位置決めすることによって、あるいは例えば弾性手段のような適合するリターン手段によって、ブレード上に戻すことができる。