特許第6621510号(P6621510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6621510
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】ジャッキ付ローラー台車
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20191209BHJP
   B62B 3/065 20060101ALI20191209BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20191209BHJP
   B61D 47/00 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   B66F9/06 S
   B62B3/065
   B61B13/00 A
   B61D47/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-175525(P2018-175525)
(22)【出願日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】300076655
【氏名又は名称】有限会社藤誠
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 清三
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−267670(JP,A)
【文献】 特開2009−275464(JP,A)
【文献】 実開昭62−156079(JP,U)
【文献】 特開平09−315528(JP,A)
【文献】 特開2001−158205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/06
B62B 1/00─ 5/08
B61B 13/00
B61D 47/00
B65G 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構を備えた自走式の台車本体に、この台車本体に搭載した搬送物を昇降させるジャッキを配装して成り、ジャッキは台車本体内に設けられていて、非作動時のピストンロッドの上端部を台車本体の上側壁部位に位置させてあって、ジャッキ外壁の上端部に設けたフランジ状の連結板を台車本体の上側壁下面に当接状態でネジ止めしてあり、前記駆動機構は、駆動源と、この駆動源の駆動力を適宜に減速出力させる波動歯車機構による減速機構と、減速機構からの減速出力によって駆動走行されるようにした駆動輪とを備えると共に、駆動あるいは停止を操作するクラッチ機構を設けて成ることを特徴とするジャッキ付ローラー台車。
【請求項2】
ジャッキの供給カップラを台車本体の側壁に設けた連結口を経て外出させてある請求項1に記載のジャッキ付ローラー台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量的に嵩張る搬送物である例えば各種工場、工事現場等における諸機器等の据付あるいは移動に際し、これらを搬送する場合に搬送物の例えば底面に出張り部分があるときに走行面との間隔を大きくするよう持ち上げたり、走行面に突部があるときの回避のために諸機器を一時的にでも若干高く持ち上げたりする等で、走行面との間隔高さを調整できるようにしたジャッキ付ローラー台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、諸機器その他の搬送物を移動搬送するには、移動走行面上で走行可能な車輪を有する台車上にこれらを搭載して行っている。また、搭載した搬送物を例えば所定高さ位置にある棚等の載置面に移し替えるために昇降させるようにジャッキを備えることで、これに対処可能にした台車も提案されている。例えば特許文献1に示されるような運搬台車であり、特許文献2に示されるような自走輪圧増加式牽引台車等である。
【0003】
特許文献1に示される運搬台車は、車輪を備えた台車本体上に、載置台を昇降させるジャッキを配装してあって、ジャッキ操作によって起伏する脚部材によって載置台を昇降させるようにしている。特許文献2に示される牽引台車は、搬送台車の端部下方に差し入れられるようにした牽引台車上にジャッキを配装してあって、ジャッキ操作によって搬送台車の端部を押し上げることで牽引台車自身の輪圧を増加させ、これによって搬送台車を効率的に牽引できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−23198号公報
【特許文献2】実開平4−75764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の運搬台車は、台車本体上に配した載置台をジャッキ・脚部材によって昇降させる構成としてあるため、例えば重量的に嵩張る産業用各種機器を搬送するために載置台上に搭載し、持ち上げるとしても十分に支持できず、その昇降作動はほとんど困難である。特許文献2の牽引台車は、搬送台車を牽引するためにジャッキを搬送台車端部に下方から突き当て状に持ち上げることで牽引台車自体の走行面に対する輪圧を大きくするにすぎず、ジャッキによって搬送物自体を持ち上げるものではない。
【0006】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、その目的は各種の重量的に嵩張る諸機器等の搬送物を台車に搭載して搬送するに際し、例えば搬送物底面に突起物があるときに走行面との間隔を大きくするよう持ち上げ、あるいは搬送中で走行面に存する突起物を回避するために一時的にでも持ち上げられるようにしてスムーズに搬送作業を実施できるようにしたジャッキ付ローラー台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、車輪3(23,24,27)を備えた台車本体1に、この台車本体1に搭載した搬送物Lを昇降させるジャッキ10を配装して成り、ジャッキ10は台車本体1内に設けられていて、非作動時のピストンロッド13の上端部を台車本体1の上側壁4部位に位置させてあることを特徴とする。
ジャッキ10は、ジャッキ外壁11の上端部に設けたフランジ状の連結板12を上側壁4下面に当接状態でネジ止めして構成することができる。
ジャッキ10の供給カップラ14を台車本体1の側壁に設けた連結口5を経て外出させて構成することができる。
台車本体1は、駆動機構20を配して自走式の構造にしたり、自由に転動する車輪3によって従動式の構造にしたりして構成することができる。
【0008】
以上のように構成された本発明に係るジャッキ付ローラー台車にあって、台車本体1は、この台車本体1自体に備えられた車輪3(23,24,27)によって自由に走行面上で移動走行でき、台車本体1上に搭載した搬送物Lは、例えば搬送物Lの底面に出張り部分が設けられていたり、走行面上に突起物が存在していたりするとき、ジャッキ10によって搬送物Lを所定高さ位置に一時的にでも持ち上げて上昇位置決めさせることで、走行中における搬送物Lの出張り部分の走行面との、あるいは搬送物Lの走行面の突起物との接触等を回避させる。
ジャッキ外壁11の連結板12と台車本体1の上側壁4との当接ネジ止めで、ジャッキ10自体を台車本体1内に収納させ、ジャッキ10を含めた台車本体1全体をコンパクトに構成させる。
台車本体1の側壁に設けた連結口5は、ジャッキ10の供給カップラ14への作動油を供給する作動油供給パイプPとの連結を容易にさせる。
駆動機構20を配した台車本体1は、この台車本体1に搭載した搬送物Lを直接に移動走行させ、またこの駆動機構20を組み込まずに自由に転動する車輪3を備えた台車本体1は搬送物Lを移動走行させるときの荷重を補助的にでも支持させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上説明したように構成されているため、台車本体1に搭載した搬送物Lの例えば底面に突起物があったり、走行面上に突起物があったりしたときにジャッキ10によって搬送物Lを一時的にでも持ち上げることで、例えばこれらの突起物に伴う搬送物L、走行面相互間の接触等を回避できる。
【0010】
すなわちこれは本発明において、台車本体1に搭載した搬送物Lを昇降させるジャッキ10を台車本体1内に設け、非作動時のピストンロッド13の上端部を台車本体1の上側壁4部位に位置させたからであり、搬送中における必要に応じての搬送物Lの一時的持ち上げ、台車本体1のコンパクトな構成等を可能にしている。
【0011】
また、ジャッキ外壁11の上端部に設けた連結板12を、台車本体1の上側壁4の下面に当接状態でねじ止めすることで、ジャッキ10自体は台車本体1内に収納されることになり、例えばいわゆる低身型、フラット型のジャッキ10の台車本体1内への組み込みを簡便にし、ジャッキ10を含めた台車本体1全体をコンパクトに構成できることで、車輪3を有するローラー台車としての取扱いも容易にする。
【0012】
台車本体1の側壁には連結口5を設け、この連結口5を経て外出させるようにジャッキ10の供給カップラ14を配置させることで、ジャッキ10に作動油を供給するための作動油供給パイプPとの連結、更には例えば複数台で使用するときの作動油の供給制御を容易に行える。
【0013】
台車本体1には駆動機構20を配して自走式とすることで、この台車本体1に搭載した搬送物Lを直接に移動走行でき、またこの駆動機構20を組み込まずに自由に転動する車輪3を備えたままの台車本体1とし、例えば自走式の台車本体1と適宜に組み合わせて搬送物Lを搭載することで、移動走行させるときの搬送物Lの荷重を補助的にでも分担支持して安全に、しかも安定状態で搬送することができる。
【0014】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明を実施するための一形態を示す斜視図である。
図2】同じくその側断面図である。
図3】同じく平断面図である。
図4】同じく他の形態における斜視図である。
図5】同じく使用状態の一例における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は台車本体であり、前後の側壁、左右の側壁等によって平面から見てほぼ矩形状に囲繞された枠部2内の前後に適数の車輪3を配装してあり、枠部2の上面は上側壁4によって覆われている。
【0017】
この台車本体1における上側壁4面位置に比し後述するピストンロッド13の受圧面を若干突出した状態にした低身型あるいはフラット型と称されるジャッキ10が台車本体1内に配装してある。このジャッキ10は、ジャッキ外壁11の上端部近傍に固定してあるフランジ状の連結板12を上側壁4の下面に当接させて例えば複数箇所でネジ止めすることで、台車本体1内に収納された状態で上側壁4に支持固定されている。
【0018】
また、ジャッキ10は、ジャッキ外壁11内に作動油供給パイプPを経て外部から供給される作動油によって昇降されるピストンロッド13を内装してなり、ピストンロッド13内に作動油を供給するようジャッキ外壁11に設けた供給カップラ14には、台車本体1の例えば左右の側壁のいずれか一方に開口形成した連結口5を経て外出されるように配してあり、この供給カップラ14に外部から作動油を供給する作動油供給パイプPが連結されるようにしてある。
【0019】
ジャッキ10自体は、台車本体1内に収納される程度の高さを有する、いわゆる低身型あるいはフラット型のものであり、前記したようにジャッキ10のピストンロッド13の上端部分は、ジャッキ10の非作動状態である作動前においては台車本体1の上側壁4の上面から僅かに突出させた状態となしてある。
【0020】
しかして、図1乃至図3に示される台車本体1は、内部に駆動機構20を備えた自走式構造のものとして構成してあり、図示のように、例えば前部に配した電動機の如き駆動源21と、この駆動源21の駆動力を適宜に減速出力させるようにした例えば波動歯車機構(ハーモニックドライブ…登録商標)による減速機構22と、減速機構22からの減速出力によって駆動走行されるよう後部に配した駆動輪23(3)とを備えて成る。なお、図中符号24(3)は前部左右に対状に配された補助輪であり、25は駆動輪23の駆動あるいは停止を制御するクラッチ機構、26はハンドルその他と連繋させる連繋片である。
【0021】
なお、駆動機構20を備えた台車本体1において、駆動あるいは停止を操作するクラッチ機構25を設けることで、クラッチ機構25によって駆動伝達力を一時的に遮断し、駆動輪23(3)をフリー回転できるようにすると、この場合には、後述するように、駆動機構20を組み込まない補助的な従動式構造のものと同様に使用可能である。
【0022】
この自走式の台車本体1は、入力される電力によって所定の速度で走行可能であり、搭載された搬送物Lを移動走行させることができる。
【0023】
図4に示される台車本体1は、駆動機構を備えない、補助的な従動式構造のものとして構成してあり、図示のように、自由に転動する車輪27(3)を前後に配して成る。なお、図中符号28は、ジャッキ10の供給カップラ14を外出させている連結口5の左右の側壁面に設けた支持片である。
【0024】
次にこれの使用の一例を説明すると、本発明に係るローラー台車を図5に示すように例えば重量的に嵩張る搬送物Lの底面に例えばその四隅に配し、少なくとも一つは自走式構造のものとしておく一方、それぞれの台車本体1におけるジャッキ10の供給カップラ14に作動油を供給する作動油供給パイプPを連結しておく。次いで、搬送物Lを移動させるよう自走式の台車本体1を走行させることで搬送させ、その搬送に際し、例えば搬送物Lの底面や走行面に突起物が存している場合に、作動油を供給したジャッキ10によって搬送物Lを一時的にでも持ち上げ、底面の突起部が走行面に接触したり、走行面の突起物に搬送物Lが接触したりしないようにする。こうすることで搬送物Lを安全に移動走行させることができる。
【符号の説明】
【0025】
L…搬送物
P…作動油供給パイプ
1…台車本体
2…枠部
3…車輪
4…上側壁
5…連結口
10…ジャッキ
11…ジャッキ外壁
12…連結板
13…ピストンロッド
14…供給カップラ
20…駆動機構
21…駆動源
22…減速機構
23…駆動輪
24…補助輪
25…クラッチ機構
26…連繋片
27…車輪
28…支持片
【要約】
【課題】搬送物底面の出張り部分、走行面の突部等による搬送物、走行面相互間の接触回避のために走行面との間隔を調整して搬送物を一時的にでも持ち上げるようにする。
【解決手段】車輪3(23,24)を備えた台車本体1に、この台車本体1に搭載した搬送物を昇降させるジャッキ10を配装して成り、ジャッキ10は台車本体1内に設けられていて、非作動時のピストンロッド13の上端部を台車本体1の上側壁4部位に位置させて構成する。ジャッキ10は、ジャッキ外壁11の上端部に設けたフランジ状の連結板12を上側壁4下面に当接状態でネジ止めしてあり、ジャッキ10の供給カップラ14を台車本体1の側壁に設けた連結口を経て外出させてある。台車本体1は、駆動機構20を配して自走式の構造にしたり、自由に転動する車輪3によって従動式の構造にしたりして構成してある。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5