特許第6621548号(P6621548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621548
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】半導体製造装置用部材及びその製法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20191209BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALN20191209BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   !H01L21/302 101G
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-552259(P2018-552259)
(86)(22)【出願日】2018年6月13日
(86)【国際出願番号】JP2018022504
(87)【国際公開番号】WO2019009028
(87)【国際公開日】20190110
【審査請求日】2018年10月4日
(31)【優先権主張番号】特願2017-132363(P2017-132363)
(32)【優先日】2017年7月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高崎 秀明
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−232641(JP,A)
【文献】 特開2016−225616(JP,A)
【文献】 特開2010−123712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ載置面を有し厚さ方向に貫通する細孔が設けられた絶縁性の静電チャックと、厚さ方向に貫通するガス供給孔が設けられた導電性の冷却板とが接合された半導体製造装置用部材であって、
前記静電チャックのうち前記ウエハ載置面とは反対側の面から前記ウエハ載置面に向かって設けられた静電チャック側凹部及び前記冷却板のうち前記静電チャックと対向する対向面から該対向面とは反対側の面に向かって設けられた冷却板側凹部のうちの少なくとも一方で構成され、前記細孔及び前記ガス供給孔と連通するプラグ室と、
前記プラグ室に配置された多孔質で絶縁性の円柱部材である通気性プラグと、
前記通気性プラグの表面を、前記細孔に対向する部分を含み前記冷却板に直接は面しない細孔側表面と前記ガス供給孔に対向する部分を含むガス供給孔側表面とに分離するように、前記通気性プラグの表面に設けられた環状の緻密質層と、
前記緻密質層と前記プラグ室の壁面との間に充填された接着層と、
を備えた半導体製造装置用部材。
【請求項2】
前記緻密質層は、耐熱樹脂膜である、
請求項1に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項3】
前記耐熱樹脂膜は、フッ素系樹脂膜又はポリイミド系樹脂膜である、
請求項2に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項4】
前記緻密質層は、溶射膜である、
請求項1に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項5】
前記溶射膜は、前記通気性プラグと同じ材質である、
請求項4に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項6】
前記プラグ室は、少なくとも前記静電チャック側凹部を有しており、
前記緻密質層は、前記通気性プラグの側面のうち前記静電チャック側凹部の壁面に面する位置に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項7】
前記プラグ室は、前記冷却板側凹部で構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材を製造する方法であって、(a)互いに接合する前の前記静電チャックと前記冷却板とを用意すると共に、前記プラグ室に配置される前で且つ前記緻密質層が設けられる前の前記通気性プラグを用意する工程と、
(b)前記通気性プラグに前記緻密質層を設けた後、前記通気性プラグの前記緻密質層に接着剤スラリーを塗布し、その後、前記通気性プラグを後にプラグ室になる所定の部位に配置して前記緻密質層と前記部位の壁面との間の前記接着剤スラリーを硬化させることにより前記接着層を形成する工程と、
(c)前記静電チャックと前記冷却板とを互いに接合する工程と、
を含む半導体製造装置用部材の製法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置用部材及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ウエハ載置面を有する静電チャックが冷却板上に設けられた半導体製造装置用部材が知られている。こうした半導体製造装置用部材としては、静電チャックに載置したウエハから熱を奪う目的で、ウエハの裏面にヘリウム(He)等のバックサイドガスを流すものも知られている。こうした半導体製造装置用部材において、冷却板のうち静電チャックに接合された接合面から該接合面とは反対側の面まで貫通するガス供給孔と、静電チャックのうちガス供給孔に対向する面からウエハ載置面に向かって形成されたザグリ穴と、このザグリ穴の底面からウエハ載置面まで貫通する細孔と、ザグリ穴に充填された通気性プラグとを備えたものが考えられる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−232640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ザグリ穴に通気性プラグを配置する際、通気性プラグの外周面に接着剤スラリーを塗布したあとザグリ穴に挿入することがある。しかしながら、その場合、接着剤スラリーが通気性プラグの外周面に染み込んで通気性プラグと凹部との間を接着層ですべて充填することができず、静電チャック側から冷却板側まで接着層を貫通する隙間が生じるおそれがある。このような隙間が生じると、使用時にこの隙間を通じてウエハとの間で放電が起きることがある。ウエハとの間で放電が起きると、ウエハ上に放電痕が生じ、パーティクル等の原因となるばかりでなく、ウエハ上の回路を破壊することもあるため、好ましくない。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、半導体製造装置用部材においてウエハとの間で放電が起きるのを防止することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体製造装置用部材は、
ウエハ載置面を有し厚さ方向に貫通する細孔が設けられた絶縁性の静電チャックと、厚さ方向に貫通するガス供給孔が設けられた導電性の冷却板とが接合された半導体製造装置用部材であって、
前記静電チャックのうち前記ウエハ載置面とは反対側の面から前記ウエハ載置面に向かって設けられた静電チャック側凹部及び前記冷却板のうち前記静電チャックに対向する対向面から該対向面とは反対側の面に向かって設けられた冷却板側凹部のうちの少なくとも一方で構成され、前記細孔及び前記ガス供給孔と連通するプラグ室と、
前記プラグ室に配置された多孔質で絶縁性の通気性プラグと、
前記通気性プラグの表面を、前記細孔に対向する部分を含み前記冷却板に直接は面しない細孔側表面と前記ガス供給孔に対向する部分を含むガス供給孔側表面とに分離するように、前記通気性プラグの表面に設けられた環状の緻密質層と、
前記緻密質層と前記プラグ室の壁面との間に充填された接着層と、
を備えたものである。
【0007】
ここで、「緻密質」とは、通気性プラグの多孔質部分に比べて接着剤スラリーが浸透しにくい程度の緻密さを有することをいう。なお、接着剤スラリーが浸透しない程度の緻密さを有すれば更によい。
【0008】
本発明の半導体製造装置用部材では、通気性プラグの表面のうち少なくとも接着層と接触する部分が緻密質層であるため、接着剤スラリーが通気性プラグに染み込みにくい。このため、通気性プラグに設けられた緻密質層とプラグ室の壁面との間を、冷却板に直接は面しない細孔側空間とガス供給孔側空間とを連通する隙間が生じないように接着層で充填できる。つまり、静電チャック側から冷却板側まで接着層を貫通する隙間が生じるのを抑制できる。こうして、半導体製造装置用部材においてウエハとの間で放電が起きるのを防止できる。
【0009】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記緻密質層は、耐熱樹脂膜としてもよい。こうすれば、比較的容易に緻密質層を作製することができる。前記耐熱樹脂膜は、フッ素系樹脂膜又はポリイミド系樹脂膜としてもよい。
【0010】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記緻密質層は、溶射膜としてもよい。こうしても、比較的容易に緻密質層を作製することができる。前記溶射膜は、前記通気性プラグと同じ材質としてもよい。
【0011】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記プラグ室は、少なくとも前記静電チャック側凹部を有しており、前記緻密質層は、前記通気性プラグの側面のうち前記静電チャック側凹部の壁面に面する位置に設けられていてもよい。こうすれば、接着層は通気性プラグの側面と静電チャック側凹部の壁面との間に環状に設けられるため、通気性プラグが安定な状態でプラグ室に固定される。
【0012】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記プラグ室は、前記冷却板側凹部で構成されていてもよい。
【0013】
本発明の半導体製造装置用部材の製法は、
上述した半導体製造装置用部材を製造する方法であって、
(a)互いに接合する前の前記静電チャックと前記冷却板とを用意すると共に、前記プラグ室に配置される前で且つ前記緻密質層が設けられる前の前記通気性プラグを用意する工程と、
(b)前記通気性プラグに前記緻密質層を設けた後、前記通気性プラグの前記緻密質層に接着剤スラリーを塗布し、その後、前記通気性プラグを後にプラグ室になる所定の部位に配置して前記緻密質層と前記部位の壁面との間の前記接着剤スラリーを硬化させることにより前記接着層を形成する工程と、
(c)前記静電チャックと前記冷却板とを互いに接合する工程と、
を含むものである。
【0014】
本発明の半導体製造装置用部材の製法では、通気性プラグの表面に緻密質層を設けたあと、通気性プラグの緻密質層に接着剤スラリーを塗布するため、接着剤スラリーが通気性プラグに染み込みにくい。このため、接着剤スラリーを塗布した通気性プラグを後にプラグ室になる所定の部位に配置し、半導体製造装置用部材を組み立てたとき、通気性プラグに設けられた緻密質層とプラグ室の壁面との間は、細孔側空間とガス供給孔側空間とを連通する隙間が生じないように接着層で充填される。つまり、静電チャック側から冷却板側まで接着層を貫通する隙間が生じるのを抑制できる。こうして、半導体製造装置用部材においてウエハとの間で放電が起きるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】半導体製造装置用部材10の縦断面図。
図2図1のA部拡大図。
図3図2のB−B断面図。
図4】半導体製造装置用部材10の製造工程図。
図5】半導体製造装置用部材10Bの図2に対応する拡大図。
図6】半導体製造装置用部材10Cの図2に対応する拡大図。
図7】半導体製造装置用部材110の図2に対応する拡大図。
図8】半導体製造装置用部材210の図2に対応する拡大図。
図9】比較形態の半導体製造装置用部材60における図2に対応する拡大図。
図10図9のC−C断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好適な一実施形態について、図面を用いて説明する。図1は半導体製造装置用部材10の縦断面図、図2図1のA部拡大図、図3図2のB−B断面図(半導体製造装置用部材10の正面図(全体図)を図2のB−B切断線で切断したときの断面図)である。
【0017】
半導体製造装置用部材10は、ウエハ載置面22を有する絶縁性の静電チャック20が導電性の冷却板40の上に設けられた部材である。半導体製造装置用部材10の内部には、プラグ室31が設けられ、絶縁材料からなる多孔質の通気性プラグ30が配置されている。ウエハ載置面22には、プラズマ処理が施されるウエハWが載置される。
【0018】
静電チャック20は、アルミナなどのセラミックス製の緻密な円盤状の部材であり、図示しない静電電極が埋設されている。静電チャック20は、ザグリ穴(静電チャック側凹部)26と、このザグリ穴26に連通する細孔28とを有している。ザグリ穴26は、ウエハ載置面22と反対側の面24からウエハ載置面22に向かって形成されている。また、ザグリ穴26の内部空間は、円筒形となっている。細孔28は、ザグリ穴26より小径であり、ウエハ載置面22からザグリ穴26の上底27まで貫通している。つまり、細孔28は、静電チャック20を厚さ方向に貫通している。
【0019】
冷却板40は、アルミニウムなどの金属製の円盤状の部材であり、ガス供給孔42を有している。このガス供給孔42は、冷却板40のうち静電チャック20に対向する対向面44から該対向面44とは反対側の面46まで貫通している。ガス供給孔42は、ザグリ穴26に対向する位置に形成されており、ガス供給孔42はザグリ穴26と連通している。
【0020】
プラグ室31は、ザグリ穴26で形成されている。ザグリ穴26は細孔28及びガス供給孔42と連通しているため、プラグ室31も細孔28及びガス供給孔42と連通している。
【0021】
通気性プラグ30は、多孔質材料製の円柱部材である。通気性プラグ30としては、例えば、絶縁性のセラミックスを細かく砕いたものを通気性を有するように無機接着剤で固めたものとか、セラミックスの多孔質体などが挙げられる。さらには、グラスファイバーや、耐熱性テフロン樹脂スポンジなどであっても良い。セラミックス多孔質体が非常に細かい通気孔を形成しやすいので好ましい。
【0022】
緻密質層36は、通気性プラグ30の表面を、細孔28に対向する部分を含み冷却板40に直接は面しない細孔側表面47とガス供給孔42に対向する部分を含むガス供給孔側表面48とに分離するように、通気性プラグ30の表面に環状に設けられている。ここでは、通気性プラグ30の外周面32の全面を緻密質層36とした。緻密質層36は、通気性プラグ30の多孔質部分に比べて接着剤スラリーが浸透しにくい。緻密質層36は、例えば、通気性プラグ30に設けられた耐熱樹脂膜や、溶射膜などである。耐熱樹脂膜を密着させたり溶射膜を形成することで、比較的容易に緻密質層36を作製することができる。耐熱樹脂膜としては、テフロン(テフロンは登録商標)のようなフッ素系樹脂膜やポリイミド系樹脂膜などが好ましい。これらは、静電チャックに求められる200℃以上の耐熱性を有し、真空下で用いてもガスが生じにくいので好ましい。溶射膜は通気性プラグ30と同じ材質、例えば通気性プラグ30がアルミナの場合には溶射膜もアルミナとしてもよい。同じ材質であれば、熱膨張差が小さく、熱サイクルを受けても両者の間でクラックや剥離などが生じにくい。緻密質層36の厚みは、通気性プラグ30の通気性を大きく損なわない程度が好ましく、例えば、通気性プラグ30の直径の1/10以下などが好ましい。
【0023】
接着層38は、通気性プラグ30の外周面32に設けられた緻密質層36と静電チャック20に設けられたザグリ穴26の側面(プラグ室31の壁面)25との間に充填されている。通気性プラグ30とザグリ穴26とは接着層38を介して接着されている。ここでは、接着層38は、通気性プラグ30の外周の全周にわたって設けられているものとした。この接着層38によって、通気性プラグ30の周囲の空間は、細孔側空間29とガス供給孔側空間43とに分離され、細孔側空間29が冷却板40に面しないようになっている。接着層38としては、例えばエポキシ系接着剤などが挙げられる。これらは、静電チャックに求められる200℃以上の耐熱性を有し、真空下で用いてもガスが生じにくいので好ましい。200℃以上の耐熱性を有する接着剤は、比較的粘度が低く、緻密質層36がないと通気性プラグ30の内部に浸透しやすい。
【0024】
冷却板40と静電チャック20とは、絶縁性のボンディングシート50を介して接合されている。ボンディングシート50のうち、ガス供給孔42に対向する部分には貫通穴52が開けられている。
【0025】
こうした半導体製造装置用部材10は、図示しないチャンバ内に設置される。そして、ウエハ載置面22にウエハWを載置し、図示しない静電電極に直流電圧を印加してウエハ載置面22にウエハWを吸着させる。また、チャンバー内に原料ガスを導入すると共に冷却板40にプラズマを立てるためのRF電圧を印加することにより、プラズマを発生させてウエハWの処理を行う。このとき、ガス供給孔42には、ガスボンベ(図示せず)からヘリウム等のバックサイドガスが導入される。バックサイドガスは、ガス供給孔42、プラグ室31内の通気性プラグ30、細孔28を通ってウエハWの裏面54に供給される。
【0026】
次に、半導体製造装置用部材10の製法の一例について、図4に基づいて説明する。図4は、半導体製造装置用部材10の製造工程図である。まず、互いに接合する前の静電チャック20及び冷却板40を用意すると共に、プラグ室31に配置される前で且つ緻密質層36が設けられる前の通気性プラグ30を用意する(工程(a))。次に、通気性プラグ30に緻密質層36を設けたあと、その緻密質層36に接着剤スラリー39を塗布し、その後、通気性プラグ30を後にプラグ室31になるザグリ穴26に配置して緻密質層36とザグリ穴26の側面25との間の接着剤スラリー39を硬化させることにより接着層38を形成する(工程(b))。続いて、静電チャック20と冷却板40とをボンディングシート50を介して互いに接合する(工程(c))。こうして得られた半導体製造装置用部材10では、少なくとも接着層38と接触する部分(接着層接触部分33とする)は緻密質となっている。
【0027】
緻密質層36を設ける方法としては、例えば、通気性プラグ30の表面に耐熱樹脂製のチューブやシートを被せて熱風加熱や炉内加熱により耐熱樹脂膜を密着させる方法や、通気性プラグ30の表面に溶射により溶射膜を形成する方法などが好ましい。通気性プラグ30の表面に高粘度の耐熱樹脂スラリーを塗布して耐熱樹脂膜を密着させる方法としてもよいが、耐熱樹脂製のチューブやシートを用いる方法や溶射のほうが通気性プラグ30に緻密質層36の材料が染み込みにくいため、好ましい。耐熱樹脂製のチューブやシートは、熱収縮チューブや熱収縮シートであれば、より容易に通気性プラグ30の外周面に耐熱樹脂膜を密着させることができるため、好ましい。耐熱樹脂製のチューブやシートとしては、テフロンのようなフッ素系樹脂製のものやポリイミド系樹脂製のものが好ましく、フッ素系樹脂製のものがより好ましい。溶射材としては、通気性プラグ30と同じ材質、例えば通気性プラグ30がアルミナの場合には溶射膜もアルミナとしてもよい。接着剤スラリー39としては、例えばエポキシ系接着剤などが挙げられる。
【0028】
以上説明した本実施形態の半導体製造装置用部材10によれば、通気性プラグ30の表面のうち少なくとも接着層38と接触する部分が緻密質層36であるため、接着剤スラリーが通気性プラグ30に染み込みにくい。このため、通気性プラグ30に設けられた緻密質層36とプラグ室31の壁面との間を、冷却板40に直接は面しない細孔側空間29とガス供給孔側空間43とを連通する隙間が生じないように接着層38で充填できる。つまり、静電チャック20側から冷却板40側まで接着層38を貫通する隙間が生じることを抑制でき、放電経路が接着層38で遮断される。こうして、半導体製造装置用部材10においてウエハWとの間で放電が起きるのを防止できる。
【0029】
また、本実施形態の半導体製造装置用部材10の製法によれば、通気性プラグ30の表面のうち少なくとも接着層38と接触する部分に緻密質層36を設けたあと、緻密質層36に接着剤スラリー39を塗布するため、接着剤スラリー39が通気性プラグ30に染み込みにくい。このため、接着剤スラリー39を塗布した通気性プラグ30を後にプラグ室31になるザグリ穴26に配置し、半導体製造装置用部材10を組み立てたとき、通気性プラグ30に設けられた緻密質層36とプラグ室31の壁面との間は、細孔側空間29とガス供給孔側空間43とを連通する隙間が生じないように接着層38で充填される。つまり、静電チャック20側から冷却板40側まで接着層38を貫通する隙間が生じるのを抑制できる。こうして、半導体製造装置用部材10においてウエハWとの間で放電が起きるのを防止できる。
【0030】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0031】
例えば、上述した実施形態では、緻密質層36は、通気性プラグ30の外周面32に設けられているものとしたが、図5に示すように通気性プラグ30の上面34に設けられていてもよい。図5は、半導体製造装置用部材10の別例である半導体製造装置用部材10Bの図2に対応する拡大図である。図5において、半導体製造装置用部材10と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する(以下の別例でも同様とする)。ここでは、緻密質層36Bは通気性プラグ30の上面34に、細孔28に対向する部分を囲うように環状に設けられている。接着層38Bは、通気性プラグ30の上面34に設けられた緻密質層36Bと静電チャック20に設けられたザグリ穴26の上底(プラグ室31の壁面)27との間に充填されている。この接着層38Bによって、通気性プラグ30の周囲の空間は、細孔側空間29とガス供給孔側空間43とに分離され、細孔側空間29や細孔側表面47が冷却板40に面しないようになっている。こうした半導体製造装置用部材10Bでも、上述した実施形態と同様、ウエハとの間で放電が起きるのを防止できる。
【0032】
例えば、上述した実施形態では、緻密質層36は、通気性プラグ30の外周面32に設けられているものとしたが、図6に示すように通気性プラグ30の下面35に設けられていてもよい。図6は、半導体製造装置用部材10の別例である半導体製造装置用部材10Cの図2に対応する拡大図である。ここでは、緻密質層36Cは通気性プラグ30の下面35に、ガス供給孔42に対向する部分を囲うように環状に設けられている。接着層38Cは、通気性プラグ30の下面35に設けられた緻密質層36Cと冷却板40の対向面(プラグ室31の壁面)44との間に充填されている。この接着層38Cによって、通気性プラグ30の周囲の空間は、細孔側空間29とガス供給孔側空間43とに分離されている。細孔側空間29と冷却板40との間には絶縁性のボンディングシート50が設けられているため、細孔側空間29や細孔側表面47は冷却板40に直接は面しない。こうした半導体製造装置用部材10Cでも、上述した実施形態と同様、ウエハとの間で放電が起きるのを防止できる。
【0033】
例えば、上述した実施形態では、プラグ室31は、静電チャック20に設けられたザグリ穴26で構成されているものとしたが、図7に示すように静電チャック20に設けられたザグリ穴26及び冷却板140に設けられたザグリ穴(冷却板側凹部)148で構成されていてもよい。図7は、半導体製造装置用部材10の別例である半導体製造装置用部材110の図2に対応する拡大図である。こうした半導体製造装置用部材110でも、上述した実施形態と同様、ウエハとの間で放電が起きるのを防止できる。半導体製造装置用部材110において、緻密質層36及び接着層38は、図5に示す別例のように通気性プラグ30の上面34に設けられていてもよい。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、プラグ室31は、静電チャック20に設けられたザグリ穴26で構成されているものとしたが、図8に示すように静電チャック20に設けられたザグリ穴26に代えて、冷却板140に設けられたザグリ穴148で構成されていてもよい。図8は、半導体製造装置用部材10の別例である半導体製造装置用部材210の図2に対応する拡大図である。この半導体製造装置用部材210では、緻密質層36Bは通気性プラグ30の上面34に、細孔228に対向する部分を囲うように環状に設けられている。接着層38Bは、通気性プラグ30の上面34に設けられた緻密質層36と静電チャック220のウエハ載置面222と反対側の面(プラグ室31の壁面)224との間に充填されている。この接着層38Bによって、通気性プラグ30の周囲の空間は、細孔側空間29とガス供給孔側空間43とに分離され、細孔側空間29や細孔側表面47が冷却板140に面しないようになっている。こうした半導体製造装置用部材210でも、上述した実施形態と同様、ウエハとの間で放電が起きるのを防止できる。なお、図8では、冷却板140と静電チャック220との接合部以外の部分にも面224上に絶縁性のボンディングシート50が設けられているものとしたが、この部分のボンディングシート50を省略してもよい。
【0035】
例えば、上述した実施形態では、通気性プラグ30の外周面32の全面を緻密質層36としたが、通気性プラグ30の表面のうち、少なくとも接着層38と接触する部分が緻密質層36であればよく、接着層38と対向する面のみを緻密質層36としてもよい。また、通気性プラグ30の外周面32の全面を緻密質層36にしたが、通気性プラグ30の表面のうち、少なくとも接着剤スラリー39と接触する部分を緻密質層36にすればよく、接着剤スラリー39と接触する面のみを緻密質層36にしてもよい。こうしても、静電チャック20側から冷却板40側まで接着層38を貫通する隙間が生じることを抑制できる。また、通気性プラグ30の上面34や下面35にも、細孔28やガス供給孔42に対向する部分を除き、緻密質層を設けてもよい。こうしたものでは、緻密質層の部分が多くなるため通気性がやや劣ることもあるが、この緻密質層上にも接着層を設けることで、静電チャック20側から冷却板40側まで接着層38を貫通する隙間が生じることをより抑制できる。こうした態様は、上述した図5〜8の別例にも適用できる(以下同様とする)。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、緻密質層36は、通気性プラグ30に設けられた緻密質の膜としたが、通気性プラグ30を作製する際に、接着層接触部分33の気孔径が小さく、接着層接触部分33以外の部分の気孔径が大きくなるようにしてもよい。例えば、無機材料等の骨材と樹脂等の造孔材とを含む坏土を用意し、接着層接触部分33に粒径の小さな造孔材を含む(又は造孔材を含まない)坏土が、それ以外の部分に粒径の大きな造孔材を含む坏土が、各々配置されるように成形し、焼成したものとしてもよい。こうすれば、焼成により造孔材が消失し、接着層接触部分33に気孔径の小さな緻密質の層が形成され、その他の部分に気孔径の大きな多孔質部分が形成された通気性プラグ30となる。このように、緻密質層36は、多孔質部分との一体成形や一体焼成によっても設けることができる。
【0037】
例えば、上述した実施形態では、凹部としてザグリ穴(後から穴をあけたもの)を例示したが、特にザグリ穴に限られるものではない。例えば静電チャックの成形体を作製するときにその成形体が凹部を有するように成形し、その後焼成してセラミックにしてもよい。あるいは、冷却板を金型で鋳造して作製する場合にはその鋳造した冷却板が凹部を有するような金型を使用してもよい。
【0038】
上述した実施形態との比較のため、緻密質層36が設けられていない半導体製造装置用部材を用いた場合(比較形態という)について、図9,10を用いて説明する。図9は比較形態の半導体製造装置用部材60における図2に対応する拡大図、図10図9のC−C断面図である。なお、半導体製造装置用部材10と同じ構成については同じ符号を用いて説明する。比較形態の半導体製造装置用部材60では、通気性プラグ30の外周面32に緻密質層36が設けられていない。このため、通気性プラグ30をザグリ穴26に挿入したときは外周面32とザグリ穴26との間が接着剤スラリーですべて充填されていても、その後接着剤スラリーが通気性プラグ30に染み込み、ザグリ穴26との間に接着剤スラリーで充填されていない部分ができることがある。この状態で接着剤スラリーが硬化すると、通気性プラグ30とザグリ穴26との間を接着層38ですべて充填することができず、静電チャック20側から冷却板40側まで接着層38を貫通する隙間Sが生じるおそれがある。このような隙間Sが生じると、使用時にこの隙間Sを通じて、冷却板40とウエハWとの間で放電経路R(点線参照)などに沿った放電が起きることがある。ウエハWとの間で放電が起きると、ウエハW上に放電痕が生じ、パーティクル等の原因となるばかりでなく、ウエハW上の回路を破壊することもあるため、好ましくない。上述した実施形態では、放電経路Rが接着層38で遮断されているため、放電が起きるのを防止することができる。
【0039】
本出願は、2017年7月6日に出願された日本国特許出願第2017−132363号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、半導体製造装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10,10B,10C,60,110,210 半導体製造装置用部材、20,220 静電チャック、22,222 ウエハ載置面、24,224 面、25 側面、26 ザグリ穴、27 上底、28,228 細孔、29 細孔側空間、30 通気性プラグ、31 プラグ室、32 外周面、33 接着層接触部分、34 上面、35 下面、36,36B,36C 緻密質層、38,38B,38C 接着層、39接着剤スラリー、40,140 冷却板、42,142 ガス供給孔、43 ガス供給孔側空間、44 対向面、46 面、47 細孔側表面、48 ガス供給孔側表面、50 ボンディングシート、52 貫通穴、54 裏面、147 側面、148 ザグリ穴、R 放電経路、S 隙間、W ウエハ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10