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前記プレス処理部により前記第1のガラス材料をプレス処理する際に前記第1のプレス成形型に加えられる加圧力は、前記プレス処理部により前記第2のガラス材料をプレス処理する際に前記第2のプレス成形型に加えられる加圧力と異なっている、請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は対応する部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本発明の第1実施形態のガラス成形体の製造装置の構成を示す水平断面図、
図2は、
図1におけるII-II断面図、
図3は、
図1におけるIII-III断面図である。また、
図4は、
図1に示すガラス成形体の製造装置で用いられる成形型ユニットの鉛直断面図である。
【0013】
図1から
図3に示すように、本実施形態のガラス成形体の製造装置1は、略円柱状に形成された外部ケーシング2と、外部ケーシング2内に設けられ、複数の成形型ユニット8を搬送する回転テーブル4と、外部ケーシング2内の回転テーブル4の上方に設けられた水平断面円弧状の内部ケーシング6と、を有する。これら外部ケーシング2、内部ケーシング6及び回転テーブル4は同心同軸に配置されている。
【0014】
外部ケーシング2は、内部に略円柱状の空間が画成されており、上面の交換部24の上方にあたる位置に成形型ユニット8を搬入及び搬出するための開口部が形成されている。この開口部にはシャッターが取り付けられており、このシャッターは、成形型ユニット8を搬入及び搬出する際に開かれる。外部ケーシング2の内部空間は不活性ガス雰囲気とされている。不活性ガスとしては、窒素やアルゴンなどが使用され、酸素濃度が5ppm以下であることが好ましい。なお、このように内部空間を不活性ガス雰囲気とすることで、成形型ユニット8の酸化やガラス材料の表面変質を防止できる。
【0015】
回転テーブル4は、所定の停止時間おきに、間歇的に一定角度ずつ回転することにより、所定の半径の円周状の経路に沿って成形型ユニット8を搬送する。この成形型ユニット8の搬送される円周状の経路が、本発明の搬送経路に相当する。また、回転テーブル4は、各回転動作の間に、予め設定された所定のタクトタイムにわたり、停止する。この停止状態では、回転テーブル4上に設置された成形型ユニット8は、後述する各処理部の各室内に滞留する。
【0016】
内部ケーシング6は、外部ケーシング2と同心に水平方向に所定の角度範囲にわたって円弧状に延びる内壁6Aと、内壁6Aの半径方向外側に位置し、水平方向に所定の角度範囲にわたって円弧状に延びる外壁6Bと、内壁6Aと外壁6Bの間の上部を塞ぐ天井部6Cと、内壁6Aと外壁6Bの間の下部を塞ぐ底部6Dと、搬送方向前後端を閉鎖する前部及び後部を有する。これら内壁6A、外壁6B、天井部6C、底部6D、前部及び後部により、内部ケーシング6内には水平断面が円弧形状の処理空間が形成されている。
【0017】
内部ケーシング6の処理空間は、回転テーブル4の回転方向に一定の角度範囲で6対の室(すなわち、12個の室)に区切られている。各対の室は、成形型ユニット8の搬送経路に沿って、第1急熱部10、第2急熱部12、均熱部14、第1プレス部16、徐冷部18、徐冷プレス部20を構成している。内部ケーシング6の前部及び後部、並びに各室の間の壁には、それぞれ開口部が形成されており、各壁の開口部にはシャッターSが設けられている。これらシャッターSは、回転テーブル4が回転駆動される直前に開かれ、回転テーブル4の停止直後に閉鎖される。
【0018】
図2に示すように、第1急熱部10を構成する上流側の室10Aには、搬送経路の両側にヒータ28が設けられている。また、同様に、第1急熱部10を構成する下流側の室10Bにも搬送経路の両側にヒータが設けられている。これら第1急熱部10の各室10A、10Bのヒータは独立して温度設定可能である。また、これと同様に、第2急熱部12、均熱部14、第1プレス部16、徐冷部18、徐冷プレス部20の各室にも、搬送経路の両側にヒータが設けられている。これら処理部の各室のヒータも、それぞれ独立して室内の温度を、所定の温度に加熱することができる。
【0019】
図3に示すように、外部ケーシング2の第1プレス部16の第1のプレス室16Aの上方には、それぞれプレス機構30が設けられている。プレス機構30は、外部ケーシング2の天井部の上方に設けられたケーシング32内に収容された、例えば、油圧ジャッキ等のアクチュエータ30Aと、アクチュエータ30Aのピストン30Bの先端に取り付けられた押圧板30Cとを備える。
【0020】
外部ケーシング2及び内部ケーシング6の天井部2C,6Cのアクチュエータ30Aの下方には、それぞれ開口が形成されている。アクチュエータ30Aのピストン30Bは、これら外部ケーシング2及び内部ケーシング6の天井部2C、6Cの開口を挿通し、下端が第1のプレス室16A内まで到達している。そして、アクチュエータ30Aを駆動することにより、押圧板30Cが下降し、第1のプレス室16A内の成形型ユニット8を上方から押圧する。アクチュエータ30Aにより成形型に付与されるプレス圧力は、製造すべきガラスレンズに応じて変更可能である。
なお、第1プレス部16の第2のプレス室16B、並びに、徐冷プレス部20の各プレス室は、第1プレス部16の第1のプレス室16Aと同様の構成である。
【0021】
図1に示すように、外部ケーシング2内の搬送経路の徐冷プレス部20と、第1急熱部10との間には、急冷部22及び交換部24が形成されている。急冷部22は、徐冷プレス部20から搬送された成形型ユニット8を急速に冷却するための領域であり、周囲にヒータが配置されておらず装置外部と略同じ温度となっている。また、交換部24は外部ケーシング2の上板の開口を通じて、成形が完了したガラス成形体が収容された成形型ユニット8と、成形処理が行われていない新たなガラス材料が収容された成形型ユニット8とを交換するための領域である。急冷部22及び交換部24内には搬送経路に沿って2つずつの成形型ユニット8を収容することができる区画22A、22Bが設けられている。
【0022】
なお、本実施形態のガラス成形体の製造装置1は、制御部を備えており、制御部は各処理部、及び回転テーブルの作動を制御する。そして、制御部により、各処理部における温度、及び、第1プレス部16及び徐冷プレス部20におけるプレス圧力を変更することができる。
【0023】
図4に示すように、成形型ユニット8は、プレス成形型40と、型支持部材41とを含み、プレス成形型40が型支持部材41に取り付けられている。プレス成形型40は、製造すべきガラス成形体の形状に合わせて形成された成形面を有する上型42、下型44と、これら上型42及び下型44の径方向の相互位置を規制する胴型46とを有する。上型42及び下型44の成形面には離型膜が成膜されている。ガラス材料48は、例えば、プリフォームからなり、上型42と下型44の間に挟み込まれた状態で配置されている。ガラス材料48をガラス屈伏点温度以上に加熱した状態で、上下型42、44を相対的に近接する方向に加圧することにより、ガラス材料に成形面形状が転写され、所望の形状のガラス成形体(光学素子)にプレス成形することができる。
【0024】
本実施形態のガラス成形体の製造装置は、複数の成形型ユニット8を各処理部10、12、14、16、18、20、22、24に所定のタクトタイムにわたり滞在させて各処理部において並行して所定の処理を行う処理ステップと、回転テーブル4上の成形型ユニット8を回転テーブル4の回転により次の処理部に移動する搬送ステップと、を繰り返す。これにより、交換部24に搬入された新たなガラス材料48が収容された成形型ユニット8は、第1急熱部10、第2急熱部12、均熱部14、第1プレス部16、徐冷部18、徐冷プレス部20、急冷部22に、順次、移送される。そして、成形型ユニット8には、第1急熱部10及び第2急熱部12において、ガラス材料48をガラス屈伏点温度以上に加熱する急熱処理(加熱処理)が行われ、均熱部14においてプレス成形型40内の熱の不均一がなくなるように均熱処理が行われる。次に、第1プレス部16においてプレス成形型40に対して1度目のプレス処理が行われる。次に、徐冷部18においてプレス成形型40に対して所定の温度まで冷却する徐冷処理が行われ、徐冷プレス部20においてプレス成形型40に対して1度目のプレス処理よりも低い温度で、2度目の徐冷プレス処理が行われる。そして、急冷部22においてプレス成形型40に急速に冷却する急冷処理が行われ、交換部24において成形処理が完了したプレス成形型40が搬出される。これにより、各処理部において複数の成形型ユニット8に対して並行して異なる処理を行い、多数のガラスレンズを連続的に製造することができる。
【0025】
以下、本実施形態のガラス成形体の製造装置により4種類のガラスレンズ(以下、種類A〜Dとする)を並行して製造する方法を説明する。種類A〜Dのガラスレンズは、ガラス材料やレンズの寸法が異なっており、各処理部において必要とされる処理温度、及び、プレス部において必要とされるプレス圧力が異なっている。本実施形態では、種類A〜Dのガラスレンズ(以下、単に種類A〜Dという)を、種類A:種類B:種類C:種類D=2:2:1:1の数量の割合で製造する場合について説明する。
図5〜
図12は、
図1に示すガラス成形体の製造装置により4種類のガラスレンズを並行して製造する方法を説明するための図である。各図における成形型ユニットに付された参照符号A〜Dは、製造すべきガラスレンズの種類A〜Dに対応し、Zはダミー成形型に対応する。
【0026】
ダミー成形型Zは、内部にガラス材料が収容されておらず、成形型を模した形状を有する。好ましくは、ダミー成形型Zは非熱容量が正規の成形型と同等であり、材質としては、好ましくは、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si
3N
4)、タングステンカーバイト(WC)、タングステン合金、ステンレス鋼、ニッケルクロム鉱、炭素鋼などのセラミックスもしくは金属であり、より好ましくは成形型と同じ材料である。
【0027】
以下の説明では、
図5に示す状態から説明を開始する。
図5に示す状態では、搬送ステップが終了した状態であり、第1急熱部10、第2急熱部12、均熱部14、及び、第1プレス部16の各室にそれぞれ種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bがそれぞれ位置し、徐冷プレス部20の各室及び急冷部22の各区画22A、22Bには種類C及び種類Dの成形型ユニットC、Dがそれぞれ位置し、徐冷部18の各室及び交換部24の各区画22A、22Bにはダミー成形型Zがそれぞれ位置している。
【0028】
まず、各処理部において、所定のタクトタイムにわたり、以下に説明する第1の処理ステップが行われる。
第1急熱部10の各室10A、10Bは、ヒータにより種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されており、各室10A、10Bにおいて成形型ユニット8に急熱処理が行われる。
【0029】
第2急熱部12の各室12A、12Bは、ヒータにより種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されており、各室12A、12Bにおいて成形型ユニット8に急熱処理が行われる。
また、均熱部14の各室14A、14Bは、ヒータにより種類A及び種類Bの均熱処理に適した温度に設定されており、各室14A、14Bにおいてプレス成形型40の温度が均一になるように均熱処理が行われる。
【0030】
また、第1プレス部16の各室16A、16Bは、ヒータにより種類A及び種類Bのプレス処理に適した温度に設定されている。また、第1プレス部16の各室16A、16Bにおいて、プレス機構30により種類A及び種類Bに適したプレス圧力で各成形型ユニットA、Bにプレス処理が行われる。
徐冷部18の各室18A、18Bは、前の処理ステップにおいて種類C及び種類Dに対して徐冷処理が行われたため、種類C及び種類Dに適した温度になっている。そこで、第1の処理ステップにおいて、徐冷部18の各室18A、18Bでは、ダミー型Zを収容した状態で、種類A及び種類Bの徐冷処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。
【0031】
徐冷プレス部20の各室20A、20Bは、ヒータにより種類C及び種類Dの徐冷プレス処理に適した温度に設定されている。徐冷プレス部20の各室20A、20Bにおいて、プレス機構30により種類C及び種類Dに適したプレス圧力で各成形型ユニットC、Dにプレス処理が行われる。
【0032】
急冷部22の各区画22A、22Bでは、種類C及び種類Dの成形型ユニットC、Dに対して急冷処理が行われる。
交換部24にダミー成形型Zが搬送された場合には、交換部24ではダミー成形型Zの交換処理を行わなくてもよいし、十分に冷却されたダミー成形型Zに交換する交換処理を行ってもよい。
【0033】
次に、所定のタクトタイムが経過すると、各処理部の開口のシャッターSが開かれ、回転テーブル4が回転して第1の搬送ステップが行われる。この第1の搬送ステップにより、各処理部内に位置している一対の成形型はそれぞれ次の処理部に搬送される。具体的には、
図6に示すように、第1急熱部10の各室10A、10Bに収容されていた成形型ユニットA,Bは、それぞれ、第2急熱部12の各室12A、12Bに搬送される。また、第2急熱部12の各室12A、12Bに収容されていた成形型ユニットA,Bは、それぞれ、均熱部14の各室14A、14Bに搬送される。均熱部14の各室14A、14Bに収容されていた成形型ユニットA,Bは、それぞれ、第1プレス部16の各室16A、16Bに搬送される。第1プレス部16の各室16A、16Bに収容されていた成形型ユニットA,Bは、それぞれ、徐冷部18の各室18A、18Bに搬送される。徐冷部18の各室18A、18Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、徐冷プレス部20の各室20A、20Bに搬送される。徐冷プレス部20の各室20A、20Bに収容されていた成形型ユニットC,Dは、それぞれ、急冷部22の各区画22A、22Bに搬送される。急冷部22の各区画22A、22Bに収容されていた成形型ユニットC,Dは、それぞれ、交換部24の各区画24A、24Bに搬送される。交換部24の各区画24A、24Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、第1急熱部10の各室10A、10Bに搬送される。
【0034】
次に、各処理部において、所定のタクトタイムにわたり、以下に説明する第2の処理ステップが行われる。
上述の通り、第1の処理ステップにおいて、第1急熱部10の各室10A、10Bでは種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bに対して急熱処理が行われていたため、第1急熱部10の各室10A、10Bは、種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度になっている。そこで、第2の処理ステップにおいて、第1急熱部10の各室10A、10Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。
【0035】
第2急熱部12の各室12A、12Bは、ヒータにより種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されており、各室12A、12Bにおいて成形型ユニット8に急熱処理が行われる。
また、均熱部14の各室14A、14Bは、ヒータにより種類A及び種類Bの均熱処理に適した温度に設定されており、各室14A、14Bにおいて成形型ユニットA、Bの温度が均一になるように均熱処理が行われる。
【0036】
また、第1プレス部16の各室16A、16Bは、ヒータにより種類A及び種類Bのプレス処理に適した温度に設定されている。そして、第1プレス部16の各室16A、16Bにおいて、プレス機構30により種類A及び種類Bに適したプレス圧力で各成形型ユニットA、Bにプレス処理が行われる。
徐冷部18の各室18A、18Bは、第1の処理ステップにおいて温度変更処理が行われ、ヒータにより室温が種類A及び種類Bの徐冷処理に適した温度に設定されており、各室18A、18Bにおいてプレス成形型40に徐冷処理が行われる。
【0037】
徐冷プレス部20の各室20A、20Bは、第1の処理ステップにおいて、成形型ユニットC、Dに対して徐冷プレス処理が行われており、ヒータにより種類C及び種類Dの徐冷プレス処理に適した温度に設定されている。そこで、第2の処理ステップにおいて、徐冷プレス部20の各室20A、20Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類A、Bの徐冷プレス処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。なお、この温度変更処理と並行して、徐冷プレス部20の各室20A、20Bのプレス機構によりダミー成形型Zにプレス処理を行うとよい。
【0038】
急冷部22の各区画22A、22Bでは、種類C及び種類Dの成形型ユニットC、Dに対して急冷処理が行われる。
交換部24では、成形が完了した種類C及び種類Dの成形型ユニットC、Dを外部に搬出し、新たなガラス材料が収容された成形型ユニットC、Dを搬入する交換処理が行われる。
【0039】
次に、所定のタクトタイムが経過すると、各処理部の開口のシャッターSが開かれ、回転テーブル4が回転して第2の搬送ステップが行われる。この第2の搬送ステップにより、各処理部に位置している一対の成形型はそれぞれ次の処理部に搬送される。具体的には、
図7に示すように、第1急熱部10の各室10A、10Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、第2急熱部12の各室12A、12Bに搬送される。また、第2急熱部12の各室12A、12Bに収容されていた成形型ユニットA,Bは、それぞれ、均熱部14の各室14A、14Bに搬送される。均熱部14の各室14A、14Bに収容されていた成形型ユニットA,Bは、それぞれ、第1プレス部16の各室16A、16Bに搬送される。第1プレス部16の各室16A、16Bに収容されていた成形型ユニットA,Bは、それぞれ、徐冷部18の各室18A、18Bに搬送される。徐冷部18の各室18A、18Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、徐冷プレス部20の各室20A、20Bに搬送される。徐冷プレス部20の各室20A、20Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、急冷部22の各区画22A、22Bに搬送される。急冷部22の各区画22A、22Bに収容されていた成形型ユニットC,Dは、それぞれ、交換部24の各区画24A、24Bに搬送される。交換部24の各区画24A、24Bに収容されていた成形型ユニットC,Dは、それぞれ、第1急熱部10の各室10A、10Bに搬送される。
【0040】
次に、各処理部において、所定のタクトタイムにわたり、以下に説明する第3の処理ステップが行われる。
上述の通り、第2の処理ステップにおいて、第1急熱部10の各室10A、10Bでは温度変更処理が行われ、室温が第1急熱部10の各室10A、10Bは、種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度になっており、各室10A、10Bにおいて成形型ユニットC、Dに急熱処理が行われる。
【0041】
上述の通り、第2の処理ステップにおいて、第2急熱部12の各室12A、12Bでは種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bに対して急熱処理が行われていたため、第2急熱部12の各室12A、12Bは、種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度になっている。そこで、第3の処理ステップにおいて、第2急熱部12の各室12A、12Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。
【0042】
また、均熱部14の各室14A、14Bの室温は、ヒータにより種類A及び種類Bの均熱処理に適した温度に設定されており、各室14A、14Bにおいて成形型ユニットA、Bの温度が均一になるように均熱処理が行われる。
また、第1プレス部16の各室16A、16Bの室温は、ヒータにより種類A及び種類Bのプレス処理に適した温度に設定されている。そして、第1プレス部16の各室16A、16Bにおいて、プレス機構30により種類A及び種類Bに適したプレス圧力で各成形型ユニットA、Bにプレス処理が行われる。
【0043】
徐冷部18の各室18A、18Bの室温は、ヒータにより種類A及び種類Bの徐冷処理に適した温度に設定されており、各室18A、18Bにおいてプレス成形型40に徐冷処理が行われる。
上述の通り、第2の処理ステップにおいて、徐冷プレス部20の各室20A、20Bでは、温度変更処理が行われ、室温が徐冷プレス部20の各室20A、20Bは種類A及び種類Bの徐冷プレス処理に適した温度に設定されている。そして、徐冷プレス部20の各室20A、20Bにおいて、プレス機構30により種類A及び種類Bに適したプレス圧力で各成形型ユニットA、Bに徐冷プレス処理が行われる。
【0044】
急冷部22の各区画22A、22Bでは、ダミー成形型Zに対して急冷処理が行われる。
交換部24では、成形が完了した種類C及び種類Dの成形型ユニットC、Dを外部に搬出し、新たなガラス材料が収容された成形型ユニットC、Dを搬入する交換処理が行われる。
【0045】
次に、所定のタクトタイムが経過すると、各処理部の開口のシャッターSが開かれ、回転テーブル4が回転して第3の搬送ステップが行われる。この第3の搬送ステップにより、各処理部に位置している一対の成形型はそれぞれ次の処理部に搬送される。具体的には、
図8に示すように、第1急熱部10の各室10A、10Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、第2急熱部12の各室12A、12Bに搬送される。また、第2急熱部12の各室12A、12Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、均熱部14の各室14A、14Bに搬送される。均熱部14の各室14A、14Bに収容されていた成形型ユニットA,Bは、それぞれ、第1プレス部16の各室16A、16Bに搬送される。第1プレス部16の各室16A、16Bに収容されていた成形型ユニットA,Bは、それぞれ、徐冷部18の各室18A、18Bに搬送される。徐冷部18の各室18A、18Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、徐冷プレス部20の各室20A、20Bに搬送される。徐冷プレス部20の各室20A、20Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、急冷部22の各区画22A、22Bに搬送される。急冷部22の各区画22A、22Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、交換部24の各区画24A、24Bに搬送される。交換部24の各区画24A、24Bに収容されていた成形型ユニットC,Dは、それぞれ、第1急熱部10の各室10A、10Bに搬送される。
【0046】
次に、各処理部において、所定のタクトタイムにわたり、以下に説明する第4の処理ステップが行われる。
第1急熱部10の各室10A、10Bの室温は、ヒータにより種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されており、各室10A、10Bにおいて成形型ユニットC、Dに急熱処理が行われる。
【0047】
上述の通り、第3の処理ステップにおいて、第2急熱部12の各室12A、12Bでは、温度変更処理が行われ、第2急熱部12の各室12A、12Bは室温が種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されている。そして、第2急熱部12の各室12A、12Bでは各室12A、12Bにおいて成形型ユニット8に急熱処理が行われる。
【0048】
上述の通り、第3の処理ステップにおいて、均熱部14の各室14A、14Bでは種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bに対して均熱処理が行われていたため、均熱部14の各室14A、14Bは、種類A及び種類Bの均熱処理に適した温度になっている。そこで、第4の処理ステップにおいて、均熱部14の各室14A、14Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類C及び種類Dの均熱処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。
【0049】
また、第1プレス部16の各室16A、16Bの室温は、ヒータにより種類A及び種類Bのプレス処理に適した温度に設定されている。そして、第1プレス部16の各室16A、16Bにおいて、プレス機構30により種類A及び種類Bに適したプレス圧力で各成形型ユニットA、Bにプレス処理が行われる。
【0050】
徐冷部18の各室18A、18Bの室温は、ヒータにより種類A及び種類Bの徐冷処理に適した温度に設定されており、各室18A、18Bにおいて成形型ユニットA、Bに徐冷処理が行われる。
また、徐冷プレス部20の各室20A、20Bの室温は種類A及び種類Bの徐冷プレス処理に適した温度に設定されており、徐冷プレス部20の各室20A、20Bにおいて、プレス機構30により種類A及び種類Bに適したプレス圧力で各成形型ユニットA、Bにプレス処理が行われる。
【0051】
急冷部22の各区画22A、22Bでは、種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bに対して急冷処理が行われる。
交換部24では、ダミー成形型Zが搬送された場合には、ダミー成形型の交換処理は行わなくてもよいし、十分に冷却されたダミー成形型に交換する交換処理を行ってもよい。
【0052】
次に、所定のタクトタイムが経過すると、各処理部の開口のシャッターSが開かれ、回転テーブル4が回転して第4の搬送ステップが行われる。この第4の搬送ステップにより、各処理部に位置している一対の成形型はそれぞれ次の処理部に搬送される。具体的には、
図9に示すように、第1急熱部10の各室10A、10Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、第2急熱部12の各室12A、12Bに搬送される。また、第2急熱部12の各室12A、12Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、均熱部14の各室14A、14Bに搬送される。均熱部14の各室14A、14Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、第1プレス部16の各室16A、16Bに搬送される。第1プレス部16の各室16A、16Bに収容されていた成形型ユニットA,Bは、それぞれ、徐冷部18の各室18A、18Bに搬送される。徐冷部18の各室18A、18Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、徐冷プレス部20の各室20A、20Bに搬送される。徐冷プレス部20の各室20A、20Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、急冷部22の各区画22A、22Bに搬送される。急冷部22の各区画22A、22Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、交換部24の各区画24A、24Bに搬送される。交換部24の各区画24A、24Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、第1急熱部10の各室10A、10Bに搬送される。
【0053】
次に、各処理部において、所定のタクトタイムにわたり、以下に説明する第5の処理ステップが行われる。
上述の通り、第4の処理ステップにおいて、第1急熱部10の各室10A、10Bでは種類C及び種類Dの成形型ユニットC、Dに対して急熱処理が行われていたため、第1急熱部10の各室10A、10Bは、種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度になっている。そこで、第5の処理ステップにおいて、第1急熱部10の各室10A、10Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。
【0054】
第2急熱部12の各室12A、12Bの室温は、ヒータにより種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されており、各室12A、12Bにおいて成形型ユニットC、Dに急熱処理が行われる。
【0055】
上述の通り、第4の処理ステップにおいて、均熱部14の各室14A、14Bでは、温度変更処理が行われ、均熱部14の各室14A、14Bは室温が種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されている。そして、均熱部14の各室14A、14Bでは各室14A、14Bにおいて成形型ユニットC、Dに急熱処理が行われる。
【0056】
第1プレス部16の各室16A、16Bは、第4の処理ステップにおいて、成形型ユニットA、Bに対してプレス処理が行われており、ヒータにより種類A及び種類Bのプレス処理に適した温度に設定されている。そこで、第5の処理ステップにおいて、第1プレス部16の各室16A、16Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類C、Dのプレス処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。なお、この温度変更処理と並行して、第1プレス部16の各室16A、16Bのプレス機構によりダミー成形型Zにプレス処理を行うとよい。
【0057】
徐冷部18の各室18A、18Bの室温は、ヒータにより種類A及び種類Bの徐冷処理に適した温度に設定されており、各室18A、18Bにおいてプレス成形型40に徐冷処理が行われる。
また、徐冷プレス部20の各室20A、20Bの室温は種類A及び種類Bの徐冷プレス処理に適した温度に設定されており、徐冷プレス部20の各室20A、20Bにおいて、プレス機構30により種類A及び種類Bに適したプレス圧力で各成形型ユニットA、Bにプレス処理が行われる。
【0058】
急冷部22の各区画22A、22Bでは、種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bに対して急冷処理が行われる。
交換部24では、成形が完了した種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bを外部に搬出し、新たなガラス材料が収容された成形型ユニットA、Bを搬入する交換処理が行われる。
【0059】
次に、所定のタクトタイムが経過すると、各処理部の開口のシャッターSが開かれ、回転テーブル4が回転して第5の搬送ステップが行われる。この第5の搬送ステップにより、各処理部に位置している一対の成形型はそれぞれ次の処理部に搬送される。具体的には、
図10に示すように、第1急熱部10の各室10A、10Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、第2急熱部12の各室12A、12Bに搬送される。また、第2急熱部12の各室12A、12Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、均熱部14の各室14A、14Bに搬送される。均熱部14の各室14A、14Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、第1プレス部16の各室16A、16Bに搬送される。第1プレス部16の各室16A、16Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、徐冷部18の各室18A、18Bに搬送される。徐冷部18の各室18A、18Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、徐冷プレス部20の各室20A、20Bに搬送される。徐冷プレス部20の各室20A、20Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、急冷部22の各区画22A、22Bに搬送される。急冷部22の各区画22A、22Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、交換部24の各区画24A、24Bに搬送される。交換部24の各区画24A、24Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、第1急熱部10の各室10A、10Bに搬送される。
【0060】
次に、各処理部において、所定のタクトタイムにわたり、以下に説明する第6の処理ステップが行われる。
上述の通り、第5の処理ステップにおいて、第1急熱部10の各室10A、10Bでは温度変更処理が行われ、第1急熱部10の各室10A、10Bは、室温が種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度になっており、各室10A、10Bにおいて成形型ユニットA、Bに急熱処理が行われる。
【0061】
上述の通り、第5の処理ステップにおいて、第2急熱部12の各室12A、12Bでは種類C及び種類Dの成形型ユニットC、Dに対して急熱処理が行われていたため、第2急熱部12の各室12A、12Bの室温は、種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度になっている。そこで、第6の処理ステップにおいて、第2急熱部12の各室12A、12Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。
【0062】
均熱部14の各室14A、14Bの室温は、ヒータにより種類C及び種類Dの均熱処理に適した温度にそれぞれ設定されており、各室14A、14Bにおいて成形型ユニットC、Dに均熱処理が行われる。
【0063】
上述の通り、第5の処理ステップにおいて、第1プレス部16の各室16A、16Bでは、温度変更処理が行われ、第1プレス部16の各室16A、16Bは室温が種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されている。第1プレス部16の各室16A、16Bにおいて、プレス機構30により種類C及び種類Dに適したプレス圧力で各成形型ユニットC、Dにプレス処理が行われる。
【0064】
上述の通り、第5の処理ステップにおいて、徐冷部18の各室18A、18Bでは種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bに対して徐冷処理が行われていたため、徐冷部18の各室18A、18Bの室温は、種類A及び種類Bの徐冷処理に適した温度になっている。そこで、第6の処理ステップにおいて、徐冷部18の各室18A、18Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類C及び種類Dの徐冷処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。
【0065】
また、徐冷プレス部20の各室20A、20Bの室温は種類A及び種類Bの徐冷プレス処理に適した温度に設定されており、徐冷プレス部20の各室20A、20Bにおいて、プレス機構30により種類A及び種類Bに適したプレス圧力で各成形型ユニットA、Bにプレス処理が行われる。
【0066】
急冷部22の各区画22A、22Bでは、種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bに対して急冷処理が行われる。
交換部24では、成形が完了した種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bを外部に搬出し、新たなガラス材料が収容された成形型ユニットA、Bを搬入する交換処理が行われる。
【0067】
次に、所定のタクトタイムが経過すると、各処理部の開口のシャッターSが開かれ、回転テーブル4が回転して第6の搬送ステップが行われる。この第6の搬送ステップにより、各処理部に位置している一対の成形型はそれぞれ次の処理部に搬送される。具体的には、
図11に示すように、第1急熱部10の各室10A、10Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、第2急熱部12の各室12A、12Bに搬送される。また、第2急熱部12の各室12A、12Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、均熱部14の各室14A、14Bに搬送される。均熱部14の各室14A、14Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、第1プレス部16の各室16A、16Bに搬送される。第1プレス部16の各室16A、16Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、徐冷部18の各室18A、18Bに搬送される。徐冷部18の各室18A、18Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、徐冷プレス部20の各室20A、20Bに搬送される。徐冷プレス部20の各室20A、20Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、急冷部22の各区画22A、22Bに搬送される。急冷部22の各区画22A、22Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、交換部24の各区画24A、24Bに搬送される。交換部24の各区画24A、24Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、第1急熱部10の各室10A、10Bに搬送される。
【0068】
次に、各処理部において、所定のタクトタイムにわたり、以下に説明する第7の処理ステップが行われる。
第1急熱部10の各室10A、10Bの室温は、ヒータにより種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されており、各室10A、10Bにおいて成形型ユニットA、Bに急熱処理が行われる。
【0069】
上述の通り、第6の処理ステップにおいて、第2急熱部12の各室12A、12Bでは温度変更処理が行われ、第2急熱部12の各室12A、12Bの室温は、室温が種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度になっており、各室12A、12Bにおいて成形型ユニットA、Bに急熱処理が行われる。
【0070】
上述の通り、第6の処理ステップにおいて、均熱部14の各室14A、14Bでは種類C及び種類Dの成形型ユニットC、Dに対して均熱処理が行われていたため、均熱部14の各室14A、14Bの室温は、種類C及び種類Dの均熱処理に適した温度になっている。そこで、第7の処理ステップにおいて、均熱部14の各室14A、14Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類A及び種類Bの均熱処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。
【0071】
また、第1プレス部16の各室16A、16Bの室温は、ヒータにより種類C及び種類Dのプレス処理に適した温度に設定されている。そして、第1プレス部16の各室16A、16Bにおいて、プレス機構30により種類C及び種類Dに適したプレス圧力で各成形型ユニットC、Dにプレス処理が行われる。
【0072】
徐冷部18の各室18A、18Bの室温は、ヒータにより種類C及び種類Dの徐冷処理に適した温度に設定されており、各室18C、18Dにおいて成形型ユニットC、Dに徐冷処理が行われる。
【0073】
徐冷プレス部20の各室20A、20Bは、第6の処理ステップにおいて、成形型ユニットA、Bに対して徐冷プレス処理が行われており、ヒータにより種類A及び種類Bの徐冷プレス処理に適した温度に設定されている。そこで、第7の処理ステップにおいて、徐冷プレス部20の各室20A、20Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類C、Dの徐冷プレス処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。なお、この温度変更処理と並行して、徐冷プレス部20の各室20A、20Bのプレス機構によりダミー成形型Zにプレス処理を行うとよい。
【0074】
急冷部22の各区画22A、22Bでは、種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bに対して急冷処理が行われる。
交換部24では、成形が完了した種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bを外部に搬出し、新たなガラス材料が収容された成形型ユニットA、Bを搬入する交換処理が行われる。
【0075】
次に、所定のタクトタイムが経過すると、各処理部の開口のシャッターSが開かれ、回転テーブル4が回転して第7の搬送ステップが行われる。この第7の搬送ステップにより、各処理部に位置している一対の成形型はそれぞれ次の処理部に搬送される。具体的には、
図11に示すように、第1急熱部10の各室10A、10Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、第2急熱部12の各室12A、12Bに搬送される。また、第2急熱部12の各室12A、12Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、均熱部14の各室14A、14Bに搬送される。均熱部14の各室14A、14Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、第1プレス部16の各室16A、16Bに搬送される。第1プレス部16の各室16A、16Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、徐冷部18の各室18A、18Bに搬送される。徐冷部18の各室18A、18Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、徐冷プレス部20の各室20A、20Bに搬送される。徐冷プレス部20の各室20A、20Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、急冷部22の各区画22A、22Bに搬送される。急冷部22の各区画22A、22Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、交換部24の各区画24A、24Bに搬送される。交換部24の各区画24A、24Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、第1急熱部10の各室10A、10Bに搬送される。
【0076】
次に、各処理部において、所定のタクトタイムにわたり、以下に説明する第8の処理ステップが行われる。
第1急熱部10の各室10A、10Bの室温は、ヒータにより種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されており、各室10A、10Bにおいて成形型ユニットA、Bに急熱処理が行われる。
【0077】
第2急熱部12の各室12A、12Bの室温は、ヒータにより種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度にそれぞれ設定されており、各室12A、12Bにおいて成形型ユニットA、Bに急熱処理が行われる。
【0078】
上述の通り、第7の処理ステップにおいて、均熱部14の各室14A、14Bでは温度変更処理が行われ、均熱部14の各室14A、14Bは、室温が種類A及び種類Bの均熱処理に適した温度になっており、各室14A、14Bにおいて成形型ユニットA、Bに均熱処理が行われる。
【0079】
第1プレス部16の各室16A、16Bは、第7の処理ステップにおいて、成形型ユニットA、Bに対してプレス処理が行われており、ヒータにより種類C及び種類Dのプレス処理に適した温度に設定されている。そこで、第8の処理ステップにおいて、第1プレス部16の各室16A、16Bでは、ダミー成形型Zを収容した状態で、室温を種類A、Bのプレス処理に適した温度に変更する温度変更処理を行う。なお、この温度変更処理と並行して、第1プレス部16の各室16A、16Bのプレス機構によりダミー成形型Zにプレス処理を行うとよい。
【0080】
徐冷部18の各室18A、18Bの室温は、ヒータにより種類C及び種類Dの徐冷処理に適した温度に設定されており、各室18C、18Dにおいて成形型ユニットC、Dに徐冷処理が行われる。
【0081】
上述の通り、第2の処理ステップにおいて、徐冷プレス部20の各室20A、20Bでは、温度変更処理が行われ、徐冷プレス部20の各室20A、20Bは室温が種類C及び種類Dの徐冷プレス処理に適した温度に設定されている。そして、徐冷プレス部20の各室20A、20Bにおいて、プレス機構30により種類C及び種類Dに適したプレス圧力で各成形型ユニットC、Dにプレス処理が行われる。
【0082】
急冷部22の各区画22A、22Bでは、ダミー成形型Zに対して急冷処理が行われる。
交換部24では、成形が完了した種類A及び種類Bの成形型ユニットA、Bを外部に搬出し、新たなガラス材料が収容された成形型ユニットA、Bを搬入する交換処理が行われる。
【0083】
次に、所定のタクトタイムが経過すると、各処理部の開口のシャッターSが開かれ、回転テーブル4が回転して第8の搬送ステップが行われる。この第8の搬送ステップにより、各処理部に位置している一対の成形型はそれぞれ次の処理部に搬送される。具体的には、
図5に示すように、第1急熱部10の各室10A、10Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、第2急熱部12の各室12A、12Bに搬送される。また、第2急熱部12の各室12A、12Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、均熱部14の各室14A、14Bに搬送される。均熱部14の各室14A、14Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、第1プレス部16の各室16A、16Bに搬送される。第1プレス部16の各室16A、16Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、徐冷部18の各室18A、18Bに搬送される。徐冷部18の各室18A、18Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、徐冷プレス部20の各室20A、20Bに搬送される。徐冷プレス部20の各室20A、20Bに収容されていた成形型ユニットC、Dは、それぞれ、急冷部22の各区画22A、22Bに搬送される。急冷部22の各区画22A、22Bに収容されていたダミー成形型Zは、それぞれ、交換部24の各区画24A、24Bに搬送される。交換部24の各区画24A、24Bに収容されていた成形型ユニットA、Bは、それぞれ、第1急熱部10の各室10A、10Bに搬送される。
これら第1〜第8の処理ステップ及び第1〜第8の搬送ステップを繰り返すことにより、4種類のガラスレンズを連続的に並行して製造することができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1急熱部10において、第1の処理ステップにおいて種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度に設定された状態で成形型ユニットA、Bに対して急熱処理を行った後、それに続く第2の処理ステップにおいて成形型ユニットを急熱処理することなく、種類C及び種類Dの急熱処理に適した温度に変更する温度変更処理を行い、その後、第3の処理ステップにおいて成形型ユニットC、Dに対して種類C、Dの急熱処理に適した温度で急熱処理を行っている。このように、第1急熱部10が第3の処理ステップでは確率に種類C、Dの急熱処理に適した温度に変更されるため、ガラス成形体の質を損なうことなく、多種類のガラス成形体を並行して製造することができる。
【0085】
また、これと同様に、第1急熱部10において、第4の処理ステップにおいて成形型ユニットC、Dに急熱処理を行った後、第5の処理ステップにおいて成形型ユニットを急熱処理することなく、種類A及び種類Bの急熱処理に適した温度に変更する温度変更処理を行い、その後、第6の処理ステップにおいて、成形型ユニットA、Bに対して種類A、Bの急熱処理に適した温度で急熱処理を行っている。このように、第1急熱部10が第6の処理ステップでは確率に種類A、Bの急熱処理に適した温度に変更されるため、ガラス成形体の質を損なうことなく、多種類のガラス成形体を並行して製造することができる。
【0086】
また、第1急熱部10のみならず、他の処理部においても成形型ユニットを急熱処理することなく温度変更処理を行うため、ガラス成形体の質を損なうことなく、多種類のガラス成形体を並行して製造することができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、第1プレス部16及び徐冷プレス部20において、成形型ユニットA、B及び成形型ユニットC、Dに対して異なる圧力でプレス処理を行っている。これにより、必要なプレス圧力が異なるガラスレンズであっても、並行して製造することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、各処理部、特に第1及び第2の急熱部10、12において、ダミー成形型を収容した状態で温度変更処理を行っている。これにより、温度が過剰に変化することがなく、成形型ユニット8を収容した状態と同等の温度に変更することができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、各処理部は2つの室に分割されており、各室では異なる温度条件で2つの成形型ユニット8に対して並行して処理を行っている。これにより、さらにより多くの種類のガラスレンズを並行して製造することができる。
【0090】
なお、本実施形態では、各処理部において成形型ユニットA、Bに対して処理を行った後、ダミー成形型を搬入して温度変更処理を行ったが、本発明は必ずしもこれに限られない。すなわち、温度変更処理を行う際に何も収容していない状態や、プレス成形型を収容した状態で温度変更処理を行うことも可能である。
【0091】
また、本実施形態では、成形型ユニットA、Bに対して各種処理を行った処理ステップの次の処理ステップのみにおいてダミー型を収容して温度変更処理を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、種類A、Bと種類C、Dに適した加熱温度が大きく異なる場合には、成形型ユニットA、Bに対して各種処理を行った処理ステップの後、複数の処理ステップにおいてダミー型を収容して温度変更処理を行ってもよい。
【0092】
また、本実施形態では、各処理部が2つの室に分割されているガラス成形体の製造装置を例として用いて説明したが、各処理部が分割されておらず一つの室しか備えていないような構成のガラス成形体の製造装置であっても本発明を適用できる。
【0093】
また、本実施形態では、回転テーブルにより円弧状の搬送経路に沿って成形型ユニットを搬送する装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は必ずしもこれに限られない。例えば、複数の処理部が一列に並んでおり、直線状の搬送経路に沿って成形型ユニットを搬送しながら、各処理を行うような装置に対しても本発明を適用できる。
【0094】
また、本実施形態では、各処理部の各室において温度やプレス圧力等を2種類の条件で変更して複数の種類のガラスレンズを並行して製造したが、これに限らず、3種類以上の条件で変更することも可能である。
【0095】
以下、図面を参照して本発明を総括する。
本発明のガラス成形体の製造方法は、
図1に示すように、第1急熱部10、第2急熱部12、均熱部14、第1プレス部16、徐冷部18、徐冷プレス部20、急冷部22及び交換部24と、それぞれプレス成形型40に収容された複数のガラス材料48を所定のタクトタイムごとに間歇的に複数の処理部に巡回搬送する回転テーブル4と、を有し、各処理部にプレス成形型40に収容された複数のガラス材料48をそれぞれ所定のタクトタイムにわたり滞在させて各処理部において並行して所定の処理を施す処理ステップと、回転テーブル4によりプレス成形型40に収容された複数のガラス材料をそれぞれ次の処理部に搬送する搬送ステップと、を繰り返すことにより連続的にガラス材料からガラス成形体を製造するガラス成形体の製造装置1を用いたガラス成形体の製造方法であって、
図5に示すように、第1急熱部10において、成形型ユニットA、Bのプレス成形型40に収容された種類A、Bのガラス材料に対して種類A、Bの急熱処理に適した温度条件で急熱処理を行う第1の処理ステップと、第1急熱部10において、成形型ユニットC、Dのプレス成形型40に収容された種類C、Dのガラス材料に対して、種類A、Bのガラス材料とは異なる種類C、Dに適した温度条件で急熱処理を行う第3の処理ステップと、を備え、第1の処理ステップ以降、かつ、第3の処理ステップ以前の第2の処理ステップにおいて、第1急熱部では温度を種類C、Dの急熱処理に適した温度へ変更する温度変更処理が行われる。
【0096】
また、本発明のガラス成形体の製造装置は、
図1に示すように、第1急熱部10、第2急熱部12、均熱部14、第1プレス部16、徐冷部18、徐冷プレス部20、急冷部22及び交換部24と、それぞれプレス成形型40に収容された複数のガラス材料48を所定のタクトタイムごとに間歇的に複数の処理部に巡回搬送する回転テーブル4と、を有し、各処理部にプレス成形型40に収容された複数のガラス材料48をそれぞれ所定のタクトタイムにわたり滞在させて各処理部において並行して所定の処理を施す処理ステップと、回転テーブル4によりプレス成形型40に収容された複数のガラス材料をそれぞれ次の処理部に搬送する搬送ステップと、を繰り返すことにより連続的にガラス材料からガラス成形体を製造するガラス成形体の製造装置1であって、第1の処理ステップにおいて、第1急熱部10により成形型ユニットA、Bのプレス成形型40に収容された種類A、Bのガラス材料に対して種類A、Bの急熱処理に適した温度条件で急熱処理を行い、第1の処理ステップに続く第2の処理ステップにおいて、第1急熱部10で温度を変更する温度変更処理を行い、第3の処理ステップにおいて、成形型ユニットC、Dのプレス成形型40に収容された種類C、Dのガラス材料48に対して、種類A、Bのガラス材料とは異なる種類C、Dに適した温度条件で急熱処理を行う。
【実施例1】
【0097】
以下、出願人らが本発明によれば、異なる温度設定が必要な複数種類の成形型を用いた場合であっても、適切な温度で各種処理を行うことができることを実験により確認したので説明する。
本実験では、円周状の搬送経路に沿って第1急熱部、第2急熱部、均熱部、第1プレス部、徐冷部、徐冷プレス部、急冷部、及び交換部を備え、各処理部は複数の室に分割されていない構成のガラス成形体の製造装置を用いて、以下の比較例及び実施例についてガラスレンズを製造した。
【0098】
<比較例>
比較例では、φ15.7mm、中心肉厚3.4mmの両面凸レンズ(Sample A)と、φ14.9mm、中心肉厚2.9mmの両凸レンズ(Sample B)とを以下の表1に示す型No.1〜11の順序(すなわち、Sample Aを6個、Sample Bを5個の繰り返し)でガラス成形体の製造装置によりガラスレンズを製造した。この際、比較例では各処理部において温度変更処理を行うことなく、Sample Aに適した温度条件でガラスレンズの製造を行った。なお、Sample AとSample Bは用いられている硝材の種類が異なっており、Sample Bのガラス転移温度はSample Aのガラス転移温度よりも10℃高い。
【表1】
【0099】
<実施例>
実施例では、Sample AとSample Bとを以下の表2に示す型No.1〜11の順序(すなわち、Sample Aを5個、ダミー型、Sample Bを4個、ダミー型の繰り返し)でガラス成形体の製造装置によりガラスレンズを製造した。この際、実施例では各処理部において、型No.6のダミー型が搬入された際の処理ステップにおいて、Sample Aの温度条件からSample Bの温度条件へ10℃上昇させる温度変更処理を行い、型No.11のダミー型が搬入された際の処理ステップにおいて、Sample Bの温度条件からSample Aの温度条件へ10℃低下させる温度変更処理を行った。
【表2】
そして、比較例及び実施例について、各型Noのガラスレンズの曲率半径の平均値を算出した。
【0100】
図13は比較例のSample A及びSample Bのそれぞれについての前後面の曲率半径R1、R2を示すグラフである。なお、各グラフにおいてA1、A2は比較例の型No.1及び型No.5を示し、B1、B2は比較例の型No.7及び型No.10を示す。また、グラフ中の波線は光学機能を確保可能な曲率半径の上限及び下限を示している。
図13に示すように、比較例のSample AのR1及びR2は光学機能を確保可能な曲率半径の範囲内となっている。しかしながら、比較例のSample BのR1及びR2は光学機能を確保可能な曲率半径の下限値以下となっている。
【0101】
図14は、実施例のSample A及びSample Bのそれぞれについての前後面の曲率半径R1、R2を示すグラフである。なお、各グラフにおいてA1、A2は実施例の型No.1及び型No.5を示し、B1、B2は比較例の型No.7及び型No.10を示す。また、グラフ中の波線は光学機能を確保可能な曲率半径の上限及び下限を示している。
図14に示すように、実施例のSample A及びSample BのR1及びR2は、ともに光学機能を確保可能な曲率半径の範囲内となっている。
【0102】
このように、本実験によれば、急熱部でSample Aに対して急熱処理を行う処理ステップと、急熱部でSample Bに対して急熱処理を行う処理ステップとの間の処理ステップにおいて急熱部で温度変更処理を行うことにより、Sample A及びSample Bを光学性能を損なうことなく並行して製造することができることを確認できた。