特許第6621673号(P6621673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621673
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】液晶表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20191209BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20191209BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   G02F1/1339 500
   G02F1/1343
   G02F1/1368
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-11333(P2016-11333)
(22)【出願日】2016年1月25日
(65)【公開番号】特開2017-134101(P2017-134101A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】宮川 修
(72)【発明者】
【氏名】後藤 文弘
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−338770(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104516165(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103176302(CN,A)
【文献】 特開2008−058573(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0249820(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339−1/1341,1/1347
G02F 1/1343−1/1345,1/136−1/1368
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層と、
前記液晶層を挟み、第1画素、第2画素及び第3画素が配設された第1絶縁性基板及び第2絶縁性基板と
を備え、
前記第1画素、前記第2画素及び前記第3画素のそれぞれは、
前記第1絶縁性基板上にマトリクス状に配設された信号線及び走査線と、
前記信号線と前記走査線との交差部に対応して配設され、前記信号線及び前記走査線と電気的に接続された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタ上に配設された絶縁性の平坦化膜と、
前記平坦化膜上に配設され、前記平坦化膜のコンタクトホールを介して前記薄膜トランジスタと電気的に接続された画素電極と
を備え、
前記第1画素は、
前記平坦化膜上に配設され、平面視において前記走査線と重畳された第1共通配線と、
前記画素電極及び前記第1共通配線上に配設された第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜上に配設され、前記第1層間絶縁膜のコンタクトホールを介して前記第1共通配線と電気的に接続された第1共通電極と
をさらに備え、
前記第2画素は、
前記平坦化膜上に配設され、平面視において前記走査線と重畳された第2共通配線と、
前記画素電極及び前記第2共通配線上に配設された第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜上に配設された第2共通電極と、
前記薄膜トランジスタ、前記信号線及び前記走査線の少なくともいずれか一つの上方に配設され、前記第2共通電極または前記第2絶縁性基板に接続された第1柱スペーサと
をさらに備え、かつ、前記第1柱スペーサ下の前記第2層間絶縁膜にはコンタクトホールが設けられておらず、
前記第3画素は、
前記画素電極上に配設された第3層間絶縁膜と、
前記第3層間絶縁膜上に配設された第3共通電極と、
前記薄膜トランジスタ、前記信号線及び前記走査線の少なくともいずれか一つの上方に配設され、前記第3共通電極または前記第2絶縁性基板に接続された第2柱スペーサと
をさらに備え、かつ、前記第2柱スペーサ下方に前記第1共通配線または前記第2共通配線に相当する共通配線を備えず、前記第2柱スペーサ下の前記第3層間絶縁膜にはコンタクトホールが設けられておらず、
前記第1画素は、前記第1柱スペーサまたは前記第2柱スペーサに相当する柱スペーサを備えない、液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置であって、
前記第1共通配線及び前記第2共通配線のそれぞれは、
前記平坦化膜上に直接接触して配設された透明導電膜と、
前記透明導電膜上に直接接触して配設された導電膜と
の積層構造である、液晶表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶表示装置であって、
前記透明導電膜及び前記画素電極は、一の透明導電膜からなる、液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置であって、
前記第1絶縁性基板及び前記第2絶縁性基板に規定された表示領域における、前記第1画素の割合をX%、前記第2画素の割合をY%、前記第3画素の割合をZ%とした場合に、X+Y+Z=100、24≦X≦45、1≦Y≦22、54≦Z≦75が成り立つ、液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置であって、
前記第1柱スペーサの高さと、前記第2柱スペーサの高さとは同じである、液晶表示装置。
【請求項6】
液晶層を挟む第1絶縁性基板及び第2絶縁性基板を備える液晶表示装置の製造方法であって、
(a)前記第1絶縁性基板上にマトリクス状に信号線及び走査線を形成する工程と、
(b)前記信号線及び前記走査線と電気的に接続された薄膜トランジスタを、前記信号線と前記走査線との交差部に対応して形成する工程と、
(c)前記薄膜トランジスタ上に絶縁性の平坦化膜を形成する工程と、
(d)前記平坦化膜のコンタクトホールを介して前記薄膜トランジスタと電気的に接続された画素電極を、前記平坦化膜上に形成する工程と
を、第1、第2及び第3構造体を形成する工程として備え、
(e−1)平面視において前記走査線と重畳された第1共通配線を、前記平坦化膜上に形成する工程と、
(f−1)第1層間絶縁膜を、前記画素電極及び前記第1共通配線上に形成する工程と、
(g−1)前記第1層間絶縁膜のコンタクトホールを介して前記第1共通配線と電気的に接続された第1共通電極を、前記第1層間絶縁膜上に形成する工程と
を、前記第1構造体から第1画素を形成する工程としてさらに備え、
(e−2)平面視において前記走査線と重畳された第2共通配線を、前記平坦化膜上に形成する工程と、
(f−2)第2層間絶縁膜を、前記画素電極及び前記第2共通配線上に形成する工程と、
(g−2)第2共通電極を、前記第2層間絶縁膜上に形成する工程と、
(h−2)前記第2共通電極及び前記第2絶縁性基板に接続された第1柱スペーサを、前記薄膜トランジスタ、前記信号線及び前記走査線の少なくともいずれか一つの上方に形成する工程と
を、前記第2構造体から第2画素を形成する工程としてさらに備え、
(e−3)第3層間絶縁膜を、前記画素電極上に形成する工程と、
(f−3)第3共通電極を、前記第3層間絶縁膜上に形成する工程と、
(g−3)前記第3共通電極または前記第2絶縁性基板に接続された第2柱スペーサを、前記薄膜トランジスタ、前記信号線及び前記走査線の少なくともいずれか一つの上方に形成する工程と
を、前記第3構造体から第3画素を形成する工程としてさらに備え、
前記第1画素は、前記第1柱スペーサまたは前記第2柱スペーサに相当する柱スペーサを備えず、
前記第2画素の前記第1柱スペーサ下の前記第2層間絶縁膜にはコンタクトホールが設けられておらず、
前記第3画素は、前記第2柱スペーサ下方に前記第1共通配線または前記第2共通配線に相当する共通配線を備えず、前記第3画素の前記第2柱スペーサ下の前記第3層間絶縁膜にはコンタクトホールが設けられていない、液晶表示装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶表示装置の製造方法であって、
前記第1共通配線及び前記第2共通配線のそれぞれは、
前記平坦化膜上に直接接触して配設された透明導電膜と、
前記透明導電膜上に直接接触して配設された導電膜と
の積層構造として形成される、液晶表示装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の液晶表示装置の製造方法であって、
前記透明導電膜及び前記画素電極は、一の透明導電膜から形成される、液晶表示装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6から請求項8のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法であって、
前記第1絶縁性基板及び前記第2絶縁性基板に規定された表示領域における、前記第1画素の割合をX%、前記第2画素の割合をY%、前記第3画素の割合をZ%とした場合に、X+Y+Z=100、24≦X≦45、1≦Y≦22、54≦Z≦75が成り立つ、液晶表示装置の製造方法。
【請求項10】
請求項6から請求項9のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法であって、
前記第1柱スペーサの高さと、前記第2柱スペーサの高さとは同じである、液晶表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の表示方式としては、TN(Twisted Nematic)モードが広く用いられてきた。ところが、画素電極及び共通対向電極(以下、これらを対向電極及び共通電極と記すこともある)の間に電圧を印加し、パネルにほぼ水平な電界を発生させ、液晶分子を水平方向で駆動する横電界方式が提案された。この横電界方式は、広視野角や高精細、高輝度化に有利であり、今後特に、スマートフォンやタブレッドなどを代表とした中小型パネルでは主流になりつつある。横電界方式として、IPS(In Plane Switching)(登録商標)モードとFFS(Fringe Field Switching)モードが知られている。特にFFSモードの液晶表示装置は、下部電極と、下部電極上に絶縁膜を介して配設された、スリットを有する上部電極とを備え、いずれか一方が画素電極として用いられ、他方が対向電極として用いられる。その構成において、液晶が駆動するための電界は、概ね、上部電極のスリットから上部電極上方の液晶に向かい、それらか当該液晶において横方向に向いた後、上部電極のスリットに向かうように発生する。
【0003】
ところで一般的に液晶表示装置は、一定空間をおいて配設された第1基板(第1絶縁性基板)及び第2基板(第2絶縁性基板)と、これら第1基板と第2基板との間に注入された液晶層とで構成されている。FFSモードでは、第1基板の画素領域において、複数本の信号線と、当該信号線に垂直な方向に配列された複数本の走査線と、当該信号線及び当該走査線が交差する箇所に配設された薄膜トランジスタと、画素電極及び共通電極とが配設されている。一方、第2基板においては、画素領域以外を遮光するためのブラックマトリックス層が配設され、各画素領域に対応する部分には色相を表現するためにR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタ層が配設されている。
【0004】
FFSモードの液晶表示装置の第1基板を、表示領域の画素単位でみた場合、上部電極及び下部電極の下層側には保護絶縁膜を介して薄膜トランジスタが配設されている。外部からの任意の信号(電圧)は、信号線から薄膜トランジスタを経た後、保護絶縁膜のコンタクトホールを介して下部電極または上部電極に印加される。なお、画素単位の表示領域は、上部電極と下部電極とが重畳した領域に相当する。一方、画素単位の非表示領域は、薄膜トランジスタと、信号線と、走査線と、共通電極の抵抗及び抵抗分布を小さくするための共通配線とが配設された領域に相当する。この非表示領域が画素単位の占める割合が大きくなるほど、表示領域の開口率が下がり、高精細液晶表示パネルの実現が困難になる。よって、高精細化においては、出来る限り非表示領域を低減することが望ましい。
【0005】
なお、下部電極と信号線との間には保護絶縁膜が挟まれているので、寄生容量が発生する。この寄生容量は、表示品位の低下の原因となるため、下部電極の下層側に、寄生容量を低減可能な絶縁膜を配設した液晶表示パネルが提案されている(例えば特許文献1)。この絶縁膜としては、比誘電率が小さく、厚膜形成が可能な有機膜が用いられる。なお、有機膜は、平坦性が優れ、薄膜トランジスタなどの段差を無くすこともできる。さらに有機膜(以下、有機平坦化膜と記すこともある)は、感光性を持たせることでフォトリソ工程によってコンタクトホールを形成することができる。
【0006】
さて、液晶表示装置の第1基板及び第2基板の間で、かつ非表示領域には、液晶層の封入部分において一定の間隔を維持するスペーサが配設される。スペーサには、散布により配設される球状体粒子(ビーズ)状のビーズスペーサと、第1基板または第2基板に固定される柱状の柱スペーサとに分類される。
【0007】
ビーズスペーサは、第1基板と第2基板との貼り合わせ(合着)後も比較的自由に動いてしまうので、画素内の液晶に一緒に入ってしまう場合がある。この場合、スペーサ近傍の液晶分子配列が乱れ、この部分で光漏れが発生するので、コントラスト低下など品質低下が生じてしまうという問題がある。
【0008】
一方、柱スペーサは、第1基板または第2基板に固定されるため、ビーズスペーサのようなコントラスト低下の問題はない。しかしながら、柱スペーサの配置密度が小さいと、表示面を手などで触れた部分においてギャップが均一に保てずにムラが発生しやすくなり、また、元の状態に復元するまで時間がかかる。これに対し、配置密度が大きい構成では、柱スペーサの変形が、低温環境下の液晶の収縮に追従できない場合に、液晶パネル内に負圧が生じやくすなり、その結果、低温発泡が発生しやすくなる。このような、局所的な過剰な荷重による変形、及び、低温環境下の液晶の収縮の問題を解決するために、メイン柱スペーサとサブ柱スペーサといった2種類以上で高さが異なる柱スペーサを配設することにより、基板間の間隔を一定に保つ技術(例えば特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−8758号公報
【特許文献2】特許第3925142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、液晶配列は、ラビングなどの配向処理で決まるが、柱スペーサ近傍では、柱スペーサの段差が配向処理に影響を与えるので、適切に配向処理ができない配向異常領域が発生したり、光漏れなどが発生したりする。そこで、これらの発生が抑制されるように、柱スペーサを、遮光領域(非表示領域)に配置する技術が提案されている。
【0011】
しかしながら、特許文献2のように、高さの異なるメイン柱スペーサ及びサブ柱スペーサを配設する場合、柱スペーサの径が大きくなる箇所が発生する。この結果、高精細液晶パネルなどにおいては、径の大きい箇所で配向異常領域が画素表示領域に広がり、光漏れやコントラスト低下などの品質低下が生じるという問題があった。
【0012】
なお、柱スペーサの径を小さくしつつ、複数の高さを有する柱スペーサを形成するために、透過率に相当した露光量で柱スペーサ高さを制御できるハーフトーンマスク(HTマスク)やグレイトーンマスク(GTマスク)を、柱スペーサを形成するためのフォトマスクとして用いる技術も提案されている。しかしながら、HTマスクやGTマスクのマスク作製期間が長いので、所望の液晶表示装置の製造を開始するのに時間がかかるという問題があった。しかも、それらのマスク作製プロセスは複雑で、マスク費用が高いので、液晶表示装置(特に第1基板または第2基板)のコスト増加を招いているという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、複数種類の高さを有する柱スペーサと同様の柱スペーサを形成可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る液晶表示装置は、液晶層と、前記液晶層を挟み、第1画素、第2画素及び第3画素が配設された第1絶縁性基板及び第2絶縁性基板とを備える。前記第1画素、前記第2画素及び前記第3画素のそれぞれは、前記第1絶縁性基板上にマトリクス状に配設された信号線及び走査線と、前記信号線と前記走査線との交差部に対応して配設され、前記信号線及び前記走査線と電気的に接続された薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタ上に配設された絶縁性の平坦化膜と、前記平坦化膜上に配設され、前記平坦化膜のコンタクトホールを介して前記薄膜トランジスタと電気的に接続された画素電極とを備える。前記第1画素は、前記平坦化膜上に配設され、平面視において前記走査線と重畳された第1共通配線と、前記画素電極及び前記第1共通配線上に配設された第1層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜上に配設され、前記第1層間絶縁膜のコンタクトホールを介して前記第1共通配線と電気的に接続された第1共通電極とをさらに備える。前記第2画素は、前記平坦化膜上に配設され、平面視において前記走査線と重畳された第2共通配線と、前記画素電極及び前記第2共通配線上に配設された第2層間絶縁膜と、前記第2層間絶縁膜上に配設された第2共通電極と、前記薄膜トランジスタ、前記信号線及び前記走査線の少なくともいずれか一つの上方に配設され、前記第2共通電極または前記第2絶縁性基板に接続された第1柱スペーサとをさらに備え、かつ、前記第1柱スペーサ下の前記第2層間絶縁膜にはコンタクトホールが設けられていない。前記第3画素は、前記画素電極上に配設された第3層間絶縁膜と、前記第3層間絶縁膜上に配設された第3共通電極と、前記薄膜トランジスタ、前記信号線及び前記走査線の少なくともいずれか一つの上方に配設され、前記第3共通電極または前記第2絶縁性基板に接続された第2柱スペーサとをさらに備え、かつ、前記第2柱スペーサ下方に前記第1共通配線または前記第2共通配線に相当する共通配線を備えず、前記第2柱スペーサ下の前記第3層間絶縁膜にはコンタクトホールが設けられていない。前記第1画素は、前記第1柱スペーサまたは前記第2柱スペーサに相当する柱スペーサを備えない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1画素には、第1柱スペーサまたは第2柱スペーサに相当する柱スペーサが備えられず、第2画素の第1柱スペーサ下の第2層間絶縁膜にはコンタクトホールが設けらず、第3画素には共通配線が備えられず、第3画素の第2柱スペーサ下の第3層間絶縁膜にはコンタクトホールが設けられない。このような構成によれば、複数種類の高さを有する柱スペーサと同様の柱スペーサを、専用のHTマスクやGTマスクを用いずに形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1に係る液晶表示パネルの構成を示す平面図である。
図2】実施の形態1に係る液晶表示パネルの画素の構成を示す平面図である。
図3】実施の形態1に係る液晶表示パネルの第1画素の構成を示す断面図である。
図4】実施の形態1に係る液晶表示パネルの第2画素の構成を示す断面図である。
図5】実施の形態1に係る液晶表示パネルの第3画素の構成を示す断面図である。
図6】実施の形態1に係る液晶表示パネルの製造方法を示す断面図である。
図7】実施の形態1に係る液晶表示パネルの製造方法を示す断面図である。
図8】実施の形態1に係る液晶表示パネルの製造方法を示す断面図である。
図9】実施の形態1に係る液晶表示パネルの製造方法を示す断面図である。
図10】変形例に係る液晶表示パネルの第2画素の構成を示す断面図である。
図11】変形例に係る液晶表示パネルの第3画素の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1では、一般的なFFSモードの液晶表示パネルを備える液晶表示装置に、本発明が適用されているものとして説明する。図1は、液晶表示パネルの平面図である。なお、図1は模式図であり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。また、図1では、図面が煩雑とならないように、発明の主要部以外の省略や構成の一部簡略化などが適宜行われている。これらのことは、図1以降の図においても同様とする。さらに、図1以降の図においては、既出の図において説明したものと同一または類似の構成要素には同一の符号を付し、当該構成要素の説明については適宜省略する。
【0018】
図1に示すように、FFSモードの液晶表示パネルは、透明絶縁性基板(第1絶縁性基板)100を備える。この透明絶縁性基板100には、画像を表示する表示領域101と表示領域101を囲む額縁領域102とが規定されている。
【0019】
額縁領域102には、表示領域101から延設された外部配線107が、外部接続用の複数の端子電極108a,108bに接続されている。端子電極108a,108bは、外部配線107の延長上に配設されており、端子電極108a,108bは比較的大きな面積を有している。IC(Integrated Circuit)チップ109の端子は、端子電極108a表面とバンプを介して接続されている。同様に、プリント基板110は、端子電極108b表面とACF(Anisotropic Conductive Film)によって接続されている。
【0020】
表示領域101の透明絶縁性基板100上においては、複数の信号線103及び複数の走査線104が、マトリクス状に配設されており、例えば、各信号線103と各走査線104とが互いに直交するように配置されている。複数の共通配線(後述する第1共通配線106a及び第2共通配線106b)は、走査線104と平行に配置されている。そして隣接する信号線103と、隣接する走査線104とでひとつの画素を形成し、複数の画素がマトリクス状に配列されている。
【0021】
図2は、図1の表示領域101に配設された画素領域を拡大した平面図である。図2に示すように、表示領域101には、第1画素301、第2画素302及び第3画素303が配設されている。なお、図2においては、共通電極は図示されていないが、共通電極のスリット(スリット92aなど)は図示されている。
【0022】
図3は、第1画素301の構成を示す、図2の線A−Aに沿った断面図である。図4は、第2画素302の構成を示す、図2の線B−Bに沿った断面図であり、図5は、第3画素303の構成を示す、図2の線C−Cに沿った断面図である。なお、図4及び図5では図示が多少省略されているが、図4の第2画素302においても、第1画素301の画素電極71及び第1共通電極91aと同様に、画素電極71及び第2共通電極91bが配設され、図5の第3画素303においても、第1画素301の画素電極71及び第1共通電極91aと同様に、画素電極71及び第3共通電極91cが配設されている。
【0023】
図3図5に示すように、本実施の形態1に係る液晶表示装置は、液晶層300と、当該液晶層300を挟む透明絶縁性基板(第1絶縁性基板)100及びカラーフィルタ基板(第2絶縁性基板)201とを備えている。そして、透明絶縁性基板100及びカラーフィルタ基板201には、第1画素301、第2画素302及び第3画素303が配設されている。なお、本実施の形態1では、1組の第1〜第3画素301〜303には、1組のR,G,Bの画素が適用されている。また、透明絶縁性基板100及びカラーフィルタ基板201に規定された表示領域101における、第1画素301の割合をX%、第2画素302の割合をY%、第3画素303の割合をZ%とした場合に、X+Y+Z=100、24≦X≦45、1≦Y≦22、54≦Z≦75が成り立つ。
【0024】
次に、第1画素301の構成について説明し、その後に第2画素302及び第3画素303の構成のうち第1画素301と異なる部分について説明する。
【0025】
<第1画素301>
第1画素301には、図3に示すように透明導電膜からなる画素電極71と第1共通電極91aとが重畳して配設されており、上層の第1共通電極91aにスリット(開口部)92aが設けられている。画素電極71と第1共通電極91aとの間に電圧を印加することにより、透明絶縁性基板100上方の液晶層300にてほぼ水平な電界を発生させることが可能となっている。そして、ほぼ水平な電界により液晶層300の液晶分子を水平方向に駆動させることによって、画素の表示領域の透過率が制御され、画素の表示領域からなる表示領域101において所望の画像が表示される。すなわち、画素電極71と第1共通電極91aとが重畳された領域が、画素の表示領域となる。
【0026】
表示電圧の供給のオンとオフを制御するスイッチング素子として、薄膜トランジスタ105が配設されている。この薄膜トランジスタ105は、外部から信号線103を介してソース電極41に入力された信号データに基づく電圧を、画素電極71に適宜印加することが可能である。図2に示すように平面視において、薄膜トランジスタ105は、信号線103と走査線104との交差部に対応して配設されており、本実施の形態1では交差部に接続されて配設されている。図3に示すように断面視において、薄膜トランジスタ105は、画素電極71及び第1共通電極91aの下方で、かつ、透明絶縁性基板100上に配置されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、薄膜トランジスタ105のゲート電極11は、走査線104と接続され、ソース電極41は、信号線103と接続され、ドレイン電極42は、互いに連通されたコンタクトホール51,61を介して画素電極71と接続されている。つまり、薄膜トランジスタ105は、信号線103及び走査線104と電気的に接続されている。
【0028】
図3に示すように、第1共通電極91aは、コンタクトホール81を介して第1共通配線106aと接続されている。図2に示すように、第1共通配線106aは、平面視において走査線104と重畳されるように配設されている。
【0029】
以上の構成において、走査線104からゲート電極11に信号(電圧)が供給されると、薄膜トランジスタ105のソース電極41側からドレイン電極42側に電流が流れる。これにより、信号線103から供給される信号データに基づいた電圧を、画素電極71側に印加することが可能となる。なお、これら信号データは、図1の端子電極108a,108bに接続されたICチップ109及びプリント基板110によって、外部からの表示データに基づいて制御される。これにより、表示データに応じた電圧が信号線103に供給される。
【0030】
透明絶縁性基板100上の表示領域101のうち、各薄膜トランジスタ105が配設された各領域には、ゲート電極11が配設される。本実施の形態1では、ゲート電極11は走査線104を延設することによって形成されている。図3に示すように、ゲート電極11及び走査線104上には、それらを覆うようにゲート絶縁膜2が配設される。ゲート絶縁膜2としては例えば、SiN膜が用いられる。
【0031】
ゲート絶縁膜2のうちゲート電極11上方の領域上には、アモルファス、微結晶、多結晶シリコン、もしくは、これらの複数を積層させたシリコン半導体、または酸化物半導体が島化されることによって、半導体膜31が配設される。そして、半導体膜31のうち、チャネル領域を挟むソース領域及びドレイン領域には、ソース電極41及びドレイン電極42がそれぞれ接して配設される。以上のようにして薄膜トランジスタ105が構成されている。なお本実施の形態1では、ソース電極41は、ゲート絶縁膜2上で信号線103を延設することによって形成されている。
【0032】
薄膜トランジスタ105及び信号線103を含む構造上には、当該構造を覆うように保護絶縁膜5が配設される。保護絶縁膜5としては、薄膜トランジスタ105と接する下側の膜に、例えばSiN膜または酸化シリコン膜(SiO膜)などの無機絶縁膜が適用される。保護絶縁膜5上には、絶縁性の有機平坦化膜(平坦化膜)6が配設される。つまり、有機平坦化膜6は、薄膜トランジスタ105上に保護絶縁膜5を介して配設される。このような構成によれば、有機平坦化膜6などからの水分などにより薄膜トランジスタ105の特性が劣化することを、SiN膜などの無機絶縁膜からなる保護絶縁膜5によって防止することができる。
【0033】
なお、有機平坦化膜6はアクリルを主体とした有機樹脂の膜であることが好ましいが、SOG(spin on glass)膜であってもよい。この理由は、アクリル樹脂やSOG膜の誘電率εは3〜4程度とSiN膜の6〜7より低いからである。有機平坦化膜6に、アクリルを主体とした有機樹脂の膜またはSOG膜を適用すれば、寄生容量を小さくすることができるので、信号線103からのノイズによる画素電極71への悪影響を抑制し、表示品位を高めることが可能である。なお、SiO膜はSOG膜並みの誘電率εを有するが、SiN膜同様、有機平坦化膜6の上面を平坦化することは困難である。これに対し、有機平坦化膜6の上面が平坦化されると、画素電極71及び対向電極を平坦な平面上に配設することができる。このため、平坦化が容易なアクリルを主体とした有機樹脂の膜またはSOG膜を、有機平坦化膜6に適用することが好ましい。
【0034】
さらに有機平坦化膜6に感光性の素材を適用することにより、フォトリソ工程で所望のパターンの開口を形成することができる。この場合、ドレイン電極42上の有機平坦化膜6に、コンタクトホール61をフォトリソ工程によって形成することができる。そして有機平坦化膜6をエッチングマスクにしてドライエッチングを行うことによって、保護絶縁膜5にコンタクトホール51を形成することができる。すなわち、有機平坦化膜6の開口部分において、保護絶縁膜5をドライエッチングで開口することができる。
【0035】
有機平坦化膜6上には、画素電極71及び透明導電膜配線72aが配設されている。画素電極71の一部(延設部分)は、コンタクトホール51,61の内壁を介して、薄膜トランジスタ105のドレイン電極42表面と電気的に接続されている。透明導電膜配線72aは、画素電極71から独立して設けられており、透明導電膜配線72a上には、メタル配線73aが配設されている。なお、画素電極71及び透明導電膜配線72aは、例えばIZO(Indium Zinc Oxide)またはITO(Indium Tin Oxide)などの一の第1透明導電膜7を有機平坦化膜6上に形成し、当該一の第1透明導電膜7をパターニングすることによって形成することができる。
【0036】
第1共通配線106aは、有機平坦化膜6上に直接接触して配設された上述の透明導電膜配線(透明導電膜)72aと、透明導電膜配線72a上に直接接触して配設された上述のメタル配線(導電膜)73aとの積層構造として配設されている。このように構成された第1共通配線106aは、比較的抵抗が低いメタル配線73aから構成されているので、第1共通配線106aの低抵抗化が可能である。なお、上述したように、図2の第1共通配線106aは、平面視において走査線104と重畳されるように、有機平坦化膜6上に配設されている。つまり、第1共通配線106aは、非表示領域である走査線104上に配設されているので、第1共通配線106aによる非表示領域の増加を防止または抑制することができる。
【0037】
画素電極71及び第1共通配線106a上には、第1層間絶縁膜8aが配設されている。そして、例えばIZOまたはITOなどの第2透明導電膜9からなる第1共通電極91aが、平面視において画素電極71と重畳されるように、第1層間絶縁膜8a上に配設されている。この第1共通電極91aは、第1層間絶縁膜8aのコンタクトホール81を介して第1共通配線106aと電気的に接続されている。
【0038】
さて、これまで、透明絶縁性基板100における第1画素301の構成について主に説明した。次に、カラーフィルタ基板201における第1画素301の構成について説明する。
【0039】
カラーフィルタ基板201には、画素領域以外の領域を遮光するためのブラックマトリックス層(図示せず)と、各画素領域に対応するR、G、Bカラーフィルタ層(図示せず)とが配設される。このカラーフィルタ基板201と、上述した透明絶縁性基板100とによって液晶表示パネルが組み立てられる。
【0040】
なお、第1画素301のカラーフィルタ基板201には、後述する第2画素302が備える第1柱スペーサ202b、及び、後述する第3画素303が備える第2柱スペーサ202cに相当する柱スペーサが配設されていない。
【0041】
以上をまとめると、第1画素301は、信号線103、走査線104、薄膜トランジスタ105、有機平坦化膜6、及び、画素電極71を備える。また、第1画素301は、第1共通配線106aと、コンタクトホール81が設けられた第1層間絶縁膜8aと、第1共通電極91aとを備えるが、柱スペーサを備えない。
【0042】
<第2画素302>
次に、第2画素302の構成について説明する。図2及び図4に示される第2画素302は、上述した第1画素301と同様に、信号線103、走査線104、薄膜トランジスタ105、有機平坦化膜6、及び、画素電極71を備える。また図4に示すように、第2画素302は、第2共通配線106bと、第2層間絶縁膜8bと、第2共通電極91bと、第1柱スペーサ202bとを備える。
【0043】
第2画素302の第2共通配線106bの構成は、第1画素の第1共通配線106aの構成と同様である。具体的には、第2共通配線106bは、有機平坦化膜6上に配設され、平面視において走査線104と重畳されている。そして、本実施の形態1では、有機平坦化膜6上に直接接触して配設された透明導電膜配線(透明導電膜)72bと、透明導電膜配線72b上に直接接触して配設されたメタル配線(導電膜)73bとの積層構造が、第2共通配線106bとして配設されている。
【0044】
画素電極71及び第2共通配線106b上には、第2層間絶縁膜8bが配設されている。そして、第2透明導電膜9からなる第2共通電極91bが、平面視において画素電極71と重畳されるように、第2層間絶縁膜8b上に配設されている。なお、第1層間絶縁膜8a(図3)には、コンタクトホール81が設けられていたが、第1柱スペーサ202b下の第2層間絶縁膜8b(図4)には、第2共通電極91bと第2共通配線106bとを電気的に接続するためのコンタクトホールが設けられていない。この場合、第2共通電極91bは電気的に浮くことになるが、第1共通電極91aと第2共通電極91bとが電気的に接続されていれば、第1画素301での第1共通配線106aと第1共通電極91aとの接続だけでも、第1共通電極91a及び第2共通電極91bの抵抗分布を十分低減することができる。
【0045】
次に、カラーフィルタ基板201における第2画素302の構成について説明する。
【0046】
カラーフィルタ基板201には、画素領域以外の領域を遮光するためのブラックマトリックス層(図示せず)と、各画素領域に対応するR、G、Bカラーフィルタ層(図示せず)と、一定の高さを有する第1柱スペーサ202bとが配設されている。
【0047】
第1柱スペーサ202bは、薄膜トランジスタ105上方において、カラーフィルタ基板201に接続(固定)されている。ここで、上述したように、第1柱スペーサ202b下の第2層間絶縁膜8bにはコンタクトホールが設けられていないので、第2共通電極91b及びカラーフィルタ基板201との間の距離が比較的短くなっている。この結果、第1柱スペーサ202bが、第2共通電極91b及びカラーフィルタ基板201に接している。なお、第1柱スペーサ202bは、薄膜トランジスタ105上方において、カラーフィルタ基板201に接続(固定)される代わりに、第2共通電極91bに接続(固定)されてもよい。
【0048】
<第3画素303>
次に、第3画素303の構成について説明する。図2及び図5に示される第3画素303は、上述した第1画素301及び第2画素302と同様に、信号線103、走査線104、薄膜トランジスタ105、有機平坦化膜6、及び、画素電極71を備える。また、図5に示すように、第3画素303は、第3層間絶縁膜8cと、第3共通電極91cと、第2柱スペーサ202cとを備える。
【0049】
なお、第3画素303は、第2柱スペーサ202c下方に第1共通配線106aまたは第2共通配線106bに相当する共通配線を備えない。ただし、第3画素303は、当該共通配線を構成するメタル配線及び透明導電膜の両方を備えなければよく、例えば、図5に示すように、メタル配線73a,73bと同様のメタル配線を備えずに、透明導電膜配線72a,72bと同様の透明導電膜配線72cを備えてもよい。または、図示しないが、透明導電膜配線72cを備えずにメタル配線を備えてもよい。また、本実施の形態1では、平面視(図2)において、第3画素303のうち第2柱スペーサ202c以外の領域では第2共通配線106bと同様の共通配線を備えている。このような構成によれば、比較的広い範囲にメタル配線が配設されるため、第3画素303の一部に共通配線が設けられていないことによる抵抗の増加は、第1〜第3共通電極91a〜91c全体の抵抗に比べて微小であり、ほぼ問題にならない。
【0050】
画素電極71及び透明導電膜配線72c上には、第3層間絶縁膜8cが配設されている。もちろん、透明導電膜配線72cを備えない構成(図示せず)では、第3層間絶縁膜8cは透明導電膜配線72c上には配設されない。
【0051】
第2透明導電膜9からなる第3共通電極91cが、平面視において画素電極71と重畳されるように、第3層間絶縁膜8c上に配設されている。なお、第2柱スペーサ202c下の第3層間絶縁膜8cには、第3共通電極91cと共通配線とを電気的に接続するためのコンタクトホールが設けられていない。この場合、第3共通電極91cは電気的に浮くことになるが、第1共通電極91aと第3共通電極91cとが電気的に接続されていれば、第1画素301での第1共通配線106aと第1共通電極91aとの接続だけでも、第1共通電極91a及び第3共通電極91cの抵抗分布を十分低減することができる。
【0052】
次に、カラーフィルタ基板201における第3画素303の構成について説明する。
【0053】
カラーフィルタ基板201には、画素領域以外の領域を遮光するためのブラックマトリックス層(図示せず)と、各画素領域に対応するR、G、Bカラーフィルタ層(図示せず)と、一定の高さを有する第2柱スペーサ202cとが配設されている。
【0054】
第2柱スペーサ202cは、薄膜トランジスタ105上方の第3共通電極91c及びカラーフィルタ基板201の間に配設され、カラーフィルタ基板201に接続されている。本実施の形態1では、第2画素302の第1柱スペーサ202bの高さと、第3画素303の第2柱スペーサ202cの高さとは同じである。
【0055】
第2柱スペーサ202cは、薄膜トランジスタ105上方において、カラーフィルタ基板201に接続(固定)されている。ここで、上述したように、第2柱スペーサ202c下の第3層間絶縁膜8cにはコンタクトホールが設けられていないので、第3共通電極91c及びカラーフィルタ基板201との間の距離が比較的短くなっている。一方、第3画素303は共通配線を備えないので、その厚さだけ、第3共通電極91c及びカラーフィルタ基板201との間の距離は、図4の第2共通電極91b及びカラーフィルタ基板201との間の距離よりも長くなっている。この結果、第2柱スペーサ202cと、第3共通電極91cとの間に隙間が生じている。なお、第2柱スペーサ202cは、薄膜トランジスタ105上方において、カラーフィルタ基板201に接続(固定)される代わりに、第3共通電極91cに接続(固定)されてもよい。
【0056】
<製造方法>
図6図7図8及び図9は、本実施の形態1に係る液晶表示パネルの製造方法を示す断面図である。より具体的には、図6図9は、第1画素301の製造工程を示す図である。これら図を用いて、本実施の形態1に係る液晶表示パネルの製造方法について説明する。なお、ここで説明する製造方法のフォトリソ回数は、7回となっている。
【0057】
まず、図6に示す構造体が得られるまでの工程について説明する。透明絶縁性基板100の最初の製造工程として、例えばガラス基板上にスパッタ法を用いて第1メタル膜(図示せず)を成膜する。第1メタル膜としては、アルミニウム(Al)もしくはそれを含む合金、またはモリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)合金などを用いることができる。そして、第1メタル膜上に、感光性樹脂であるフォトレジスト(図示せず)をスピンコート等によって塗布し、塗布したレジストを露光、現像する第一のフォトリソ工程(写真製版工程)を行う。これにより所望の形状にフォトレジストがパターニングされる。その後、フォトレジストをエッチングマスクとして、第1メタル膜をエッチングし、所望の形状にパターニングする。その後、フォトレジストを剥離する。これにより、表示領域101のゲート電極11及び走査線104と、走査線104から額縁領域102まで延設させた外部配線107と、端子領域の端子電極108a,108bとが形成される。次に、これら配線と透明絶縁性基板100上にプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、ゲート絶縁膜2と半導体膜3とを順次連続成膜する。ゲート絶縁膜2には、例えばSiN膜を用いる。その後、ゲート絶縁膜2上に、半導体膜3を形成する。
【0058】
次に、図7に示す構造体が得られるまでの工程について説明する。第二のフォトリソ工程によって後で薄膜トランジスタ105のソース領域、チャネル領域、ドレイン領域が形成されるように、半導体膜3をパターニングする。そしてエッチングとフォトレジストの剥離とを行い、島化された半導体膜31を形成する。そしてスパッタ法で第2メタル膜(図示せず)を成膜する。第2メタル膜としては、アルミニウム(Al)もしくはそれを含む合金、またはモリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)合金などを用いることができる。そして第三のフォトリソ工程によって、第2メタル膜を所望の形状にパターニングする。そしてエッチングとフォトレジストの剥離とを行う。これにより、表示領域101のソース電極41、信号線103及びドレイン電極42と、信号線103から額縁領域102まで延設された外部配線107とが形成されるとともに、後工程でエッチングストッパとして用いられる部分が残存する。ここまでの工程で、薄膜トランジスタ105が形成される。次に、これら全体を覆う保護絶縁膜5として、SiN膜をプラズマCVD法を用いて成膜する。
【0059】
次に、図8に示す構造体が得られるまでの工程について説明する。薄膜トランジスタ105上などに、感光性を有する有機平坦化膜6をスピンコート等によって膜厚2−4μmで塗布する。その後、第四のフォトリソ工程によって有機平坦化膜6を露光、現像する。第四のフォトリソ工程を使ってコンタクトホール61と、端子領域全体とその外周部分を開口する。そして、有機平坦化膜6をエッチングマスクとして、保護絶縁膜5をドライエッチングする。その結果、有機平坦化膜6のコンタクトホール61内部、端子領域全体、及び、その周辺部分では、ドレイン電極42、及び、残余の第2メタル膜がエッチストッパーとなり、保護絶縁膜5のみがエッチングされる。ここでは図示していないが有機平坦化膜6を開口し、第2メタル膜がない部分では保護絶縁膜5だけでなくゲート絶縁膜2もエッチングされる。
【0060】
その後、スパッタ法で第1透明導電膜7と第3メタル膜とを順に成膜する。この際、第1透明導電膜7は、コンタクトホール51,61内部まで形成される。第1透明導電膜7には例えばIZOまたはITOを用いる。第3メタル膜の材質には特に制限はないが、第2メタル膜と同一材料、または同じエッチング液でパターニングできる材質を適用する。そして第五のフォトリソ工程を行う。
【0061】
第五のフォトリソ工程では膜厚が異なるフォトレジストをパターニングする。ところで一般的に、フォトレジストの膜厚は、フォトマスクの透過率に相当した露光量で制御することができる。本実施の形態1では、部分的に透過率が異なるHTマスクまたはGTマスクを用いることにより、膜厚が異なるフォトレジストをパターニングする。これらフォトマスクによれば、図示しないが、透過率が高い透過部ではフォトレジストが現像によって除去される。透過率が低い遮光部(遮光パターン領域)ではフォトレジストがほぼ除去されずに第1フォトレジストが形成される。透過率が透過部と遮光部と間にある中間部ではフォトレジストがある程度除去されて、第1フォトレジストよりも高さが低い第2フォトレジストが形成される。
【0062】
本実施の形態1では、その性質を利用して、メタル配線73a,73b、透明導電膜配線72a,72bを形成すべき領域に、高い第1フォトレジストを形成し、画素電極71及び透明導電膜配線72cを形成すべき領域に、低い第2フォトレジストを形成する。それから、第1フォトレジスト及び第2フォトレジストをエッチングマスクにして第3メタル膜をエッチングする。これにより、透明導電膜配線72a,72bを形成すべき領域では、メタル配線73a,73bが形成され、画素電極71及び透明導電膜配線72cを形成すべき領域では、第3メタル膜が残存する。
【0063】
次に、アッシング時間が調整された酸素アッシングによって、高さが高い第1フォトレジストの一部を残しつつ、高さが低い第2フォトレジストを完全に除去する。これにより、透明導電膜配線72a,72bを形成すべき領域では、第1フォトレジスト及びメタル配線73a,73bの積層構造が残存し、画素電極71及び透明導電膜配線72cを形成すべき領域では、残存した第3メタル膜が露出される。
【0064】
それから、第1フォトレジスト、メタル配線73a,73b、及び、露出された第3メタル膜などをエッチングマスクにして第1透明導電膜7をエッチングする。これにより、画素電極71及び透明導電膜配線72a,72b,72cが形成される。ここまでの工程で、第1画素301では第1構造体が、第2画素302では第2構造体が、第3画素303では第3構造体が形成される。
【0065】
次に第1フォトレジストをエッチングマスクにして、画素電極71及び透明導電膜配線72c上の、露出された第3メタル膜を除去する。そして、第1フォトレジストの剥離を行う。
【0066】
以上の結果、図8の構造体が得られる。なお、第1画素301の第1共通配線106aは、透明導電膜配線72a及びメタル配線73aからなり、透明導電膜配線72a及び画素電極71は、一の第1透明導電膜7からなる。同様に、第2画素302の第2共通配線106bは、透明導電膜配線72b及びメタル配線73bからなり、透明導電膜配線72b及び画素電極71は、一の第1透明導電膜7からなる。一方、平面視における、第3画素303の第2柱スペーサ202cの接合位置には、透明導電膜配線72cが残る。
【0067】
次に、図9に示す構造体が得られるまでの工程について説明する。図8の構造体(画素電極71、第1共通配線106a、第2共通配線106b、透明導電膜配線72c)上に、第1〜第3層間絶縁膜8a〜8cとなる層間絶縁膜として、SiN膜をプラズマCVD法を用いて成膜する。そして第六のフォトリソ工程を行い、表示領域101では第1画素301のみ層間絶縁膜をドライエッチすることにより、コンタクトホール81を形成する。第2画素302及び第3画素303にはコンタクトホールを形成しない。
【0068】
最後に、図3図5に示した液晶表示パネルが得られるまでの工程について説明する。図9の構造体上に、スパッタ法で第2透明導電膜9を成膜する。この際、第2透明導電膜9は、第1層間絶縁膜8aのコンタクトホール81内部まで形成される。第2透明導電膜9には例えばIZOまたはITOを用いる。そして第七のフォトリソ工程によって所望の形状にパターニングする。これにより、第1〜第3共通電極91a〜91cが形成される。
【0069】
次に、カラーフィルタ基板201の製造工程について説明する。例えばガラス基板(図示せず)上に、ブラックマトリックス層と、R、G、Bカラーフィルタ層とを形成し、同じ高さを有する第1柱スペーサ202b及び第2柱スペーサ202cを、カラーフィルタ基板201上に形成する。
【0070】
このカラーフィルタ基板201と図9の透明絶縁性基板100とによって液晶表示パネルを組み立てる。このとき、柱スペーサは、第1画素301の薄膜トランジスタ105上方には配置されないが、第1柱スペーサ202bは、第2画素302の薄膜トランジスタ105上方に配置され、第2柱スペーサ202cは、第3画素303の薄膜トランジスタ105上方に配置される。その後、カラーフィルタ基板201と透明絶縁性基板100との間に液晶が封入され、液晶層300が形成される。
【0071】
<まとめ>
以上のような本実施の形態1によれば、第2画素302及び第3画素303に、第1柱スペーサ202b及び第2柱スペーサ202cが配設され、第3画素303には共通配線(メタル配線)が配設されていない。このため、第1柱スペーサ202b及び第2柱スペーサ202cが同じであっても、複数種類(ここでは2種類)の高さを有する柱スペーサと同様の効果が得られる。よって、柱スペーサの径を大きくすることなく一定に加工することできるので、高精細液晶パネルなどにおける品質低下(例えばコントラスト低下など)を抑制することができる。また、そのような柱スペーサを、専用のHTマスクやGTマスクを用いずに形成することができる。
【0072】
ところで、第1共通電極91aなどの共通電極は、液晶表示パネルの表示領域101全体に配設される。このような共通電極と接続される共通配線が、高抵抗の第1透明導電膜7のみから構成されると、表示領域101において一様に電圧印加できなくなり、表示不良が発生することがあった。また、画素電極71となる第1透明導電膜7は薄膜で形成されるが、有機平坦化膜6の膜厚は厚く形成されるので、コンタクトホール61は比較的深い。このため、コンタクトホール61の側壁に第1透明導電膜7を一様に形成することが困難であり、その結果として正常な電圧が印加されなくなり表示不良を招くことがあった。この問題は、コンタクトホール61のサイズを大きくすることによって解決することができるが、コンタクトホール61は非表示領域であることから、そのような構成では、高開口率化が悪化してしまうという別の問題が生じる。
【0073】
これに対して本実施の形態1では、第1共通配線106a及び第2共通配線106bのそれぞれは、透明導電膜配線72a,72bとメタル配線73a,73bとの積層構造として配設されている。これにより、低抵抗の第1共通配線106a及び第2共通配線106bを実現することができるので、表示領域101において一様に電圧印加することが可能となり、表示不良の発生を抑制することができる。また、以上では説明しなかったが、コンタクトホール61内にもメタル配線を形成すれば、正常な電圧を印加することが可能となる。さらに、第1共通配線106a及び第2共通配線106bは、平面視において走査線104上に重畳されているので、非表示領域の増加を抑制することができ、高開口率化の悪化を抑制することができる。
【0074】
また本実施の形態1では、有機平坦化膜6上にメタル配線73a,73bが直接配設されるのではなく、有機平坦化膜6上に透明導電膜配線72a,72bを介してメタル配線73a,73bが配設されている。これにより、メタル配線と有機平坦化膜との密着性を改善するための対処が不要となることから、製造工程への負荷の低減化、また、メタル配線の剥がれの低減による歩留まり及び信頼性の向上化が可能となる。
【0075】
なお、メタル配線73a,73bを透明導電膜配線72a,72bと接するように配設する代わりに、メタル配線を共通電極と接するように配設する構成も考えられる。しかしその構成では、メタル配線の膜厚段差によって配向膜(図示せず)のラビング不良が誘発し易くなり表示不良を招く。また、スリット92aのようなスリットの形成に、中間調の透過率でスリットパターンを露光して寸法制御をすることが困難となる。この結果、共通電極と共通配線のメタル配線は各々フォトリソ工程で形成しなければならず、フォトリソ工程の回数が増えることになる。これに対して本実施の形態1では、有機平坦化膜6上に透明導電膜配線72a,72bを介してメタル配線73a,73bが配設されているので、上述の問題が生じない。また、本実施の形態1に係る構成は、狭端子電極に適切な構造となっている。
【0076】
また本実施の形態1では、表示領域101における第1画素301の割合をX%、第2画素302の割合をY%、第3画素303の割合をZ%とした場合に、X+Y+Z=100、24≦X≦45、1≦Y≦22、54≦Z≦75が成り立つ。したがって、以上に述べた効果を適切に得ることができる。
【0077】
さらに本実施の形態1では、透明導電膜配線72a及び画素電極71は、一の第1透明導電膜7からなり、透明導電膜配線72b及び画素電極71は、一の第1透明導電膜7からなる。このような構成によれば、これらを一回のフォトリソ工程で形成することが可能なので製造コスト的に有利である。
【0078】
<変形例>
実施の形態1では、下部電極を画素電極とした構成について説明したが、下部電極を共通電極とした構成であってもよい。その構成において、独立した透明導電膜配線を形成する必要はなく、共通電極上に接してメタル配線を形成してもよい。また、その構成においては、上部電極が画素電極となるので画素電極は、層間絶縁膜、有機平坦化膜、及び、保護絶縁膜のそれぞれのコンタクトホールを介して薄膜トランジスタのドレイン電極と接続させればよい。
【0079】
また実施の形態1では、メタル配線73a,73b、透明導電膜配線72a,72b,72c、及び、画素電極71を、HTマスクやGTマスクを使って1回のフォトリソ工程で形成した。しかしこれに限ったものではなく、フォトリソ工程は増えるが、通常のマスクを使って、これらを形成してもよい。
【0080】
また、実施の形態1では、第1柱スペーサ202b及び第2柱スペーサ202cが、薄膜トランジスタ105上方に配設されているものとして説明した。しかしこれに限ったものではなく、図10及び図11に示すように、第1柱スペーサ202b及び第2柱スペーサ202cは、信号線103上方、または、走査線104上方に配設されても同様の効果を得ることができる。つまり、第1柱スペーサ202b及び第2柱スペーサ202cは、薄膜トランジスタ105、信号線103、及び、走査線104の少なくともいずれか一つの上方に配設されればよい。
【0081】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
6 有機平坦化膜、8a 第1層間絶縁膜、8b 第2層間絶縁膜、8c 第3層間絶縁膜、51,61 コンタクトホール、71 画素電極、81 コンタクトホール、91a 第1共通電極、91b 第2共通電極、91c 第3共通電極、100 透明絶縁性基板、101 表示領域、103 信号線、104 走査線、105 薄膜トランジスタ、106a 第1共通配線、106b 第2共通配線、201 カラーフィルタ基板、202b 第1柱スペーサ、202c 第2柱スペーサ、300 液晶層、301 第1画素、302 第2画素、303 第3画素。
図1
図2
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図8
図9
図10
図11