特許第6621698号(P6621698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621698
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】玄関子機
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20191209BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20191209BHJP
   H04M 1/21 20060101ALI20191209BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   H04M1/02 G
   H04M9/00 D
   H04M1/21 K
   H05K5/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-70199(P2016-70199)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-184079(P2017-184079A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 浩義
(72)【発明者】
【氏名】森川 眞行
(72)【発明者】
【氏名】小板 絋幸
【審査官】 大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−136700(JP,A)
【文献】 特開2007−180771(JP,A)
【文献】 特開2009−147737(JP,A)
【文献】 特開2008−172533(JP,A)
【文献】 特開平09−275437(JP,A)
【文献】 特開2009−010790(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0022620(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101335775(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
H04M 9/00
H05K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、
前記本体ケースに対して着脱可能に取り付け可能なアタッチメント部材と、
を備え、
前記本体ケースは、少なくとも一部が湾曲状の化粧用パネルの形状に沿って湾曲した前面を有し、
前記アタッチメント部材は、前記本体ケースに対して取り付けられた状態で、前記本体ケースの前面の一部とともに平板状の化粧用パネルの背面と接触する接触部を有する、
玄関子機。
【請求項2】
前記接触部は、平らな接触面であり、
前記平板状の化粧用パネルを前記本体ケースに対して取り付ける取付方向において、前記本体ケースの前面のうち前記平板状の化粧用パネルの背面と接触する部分と、前記アタッチメント部材の前記接触面とは高さが同一である、
請求項1に記載の玄関子機。
【請求項3】
前記本体ケースの前面のうち湾曲している部分において、前記アタッチメント部材を取り付けることが可能な凹部が形成されている、
請求項1または請求項2に記載の玄関子機。
【請求項4】
前記アタッチメント部材は、前記本体ケースの縁部に形成された突状部と係合可能な爪部を有する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の玄関子機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関先に設置される玄関子機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
戸建てや集合住宅用のインターホンシステムでは、居室内に設置される居室親機と通話可能な玄関子機が、玄関先に設置されている。この玄関子機として、例えば、下記の特許文献1に記載のものがある。特許文献1の玄関子機は、本体ケースの前面が平板状であり、この前面に対して平板状の化粧用パネルが取り付けられた状態で、玄関先に設置されて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−209693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
平板状の化粧用パネルを好むユーザが存在する一方で、湾曲状の化粧用パネルを好むユーザも存在する。しかし、湾曲状の化粧用パネルの形状に合わせて本体ケースの前面を湾曲させて設計した場合、その本体ケースに平板状の化粧用パネルを取り付けようとすると、本体ケースの前面と平板状の化粧用パネルとの間に隙間が生じて両部品がガタついてしまうため、両部品を固定する際の作業性が良くない。
【0005】
そこで、本発明は、平板状の化粧用パネル及び湾曲状の化粧用パネルを取り付ける際の作業性を向上させることが可能な玄関子機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の玄関子機は、
本体ケースと、
前記本体ケースに対して着脱可能に取り付け可能なアタッチメント部材と、
を備え、
前記本体ケースは、少なくとも一部が湾曲状の化粧用パネルの形状に沿って湾曲した前面を有し、
前記アタッチメント部材は、前記本体ケースに対して取り付けられた状態で、前記本体ケースの前面の一部とともに平板状の化粧用パネルの背面と接触する接触部を有する。
【0007】
この構成によれば、本体ケースの前面の少なくとも一部が湾曲状の化粧用パネルの形状に沿って湾曲している。このため、本体ケースに対してアタッチメント部材が取り付けられていない状態では、本体ケースの前面に対して湾曲状の化粧用パネルを近接させても、互いに干渉してガタつくことがなく、湾曲状の化粧用パネルを本体ケースに対して互いに安定してガタつかない状態で、取り付けることができる。また、本体ケースに対してアタッチメント部材が取り付けられた状態では、本体ケースの前面の一部とともにアタッチメント部材が、平板状の化粧用パネルの背面と接触する接触部を構成する。このため、本体ケースの前面に対して平板状の化粧用パネルを互いに安定してガタつかない状態で取り付けることができる。このようにして、湾曲状の化粧用パネル及び平板状の化粧用パネルを取り付ける際の作業性が向上する。
【0008】
また、本発明の玄関子機において、
前記接触部は、平らな接触面であり、
前記平板状の化粧用パネルを前記本体ケースに対して取り付ける取付方向において、前記本体ケースの前面のうち前記平板状の化粧用パネルの背面と接触する部分と、前記アタッチメント部材の前記接触面とは高さが同一であっても良い。
【0009】
この構成によれば、更に、本体ケースの前面に対して平板状の化粧用パネルを互いに安定してガタつかない状態で取り付けることができる。
【0010】
また、本発明の玄関子機は、
前記本体ケースの前面のうち湾曲している部分において、前記アタッチメント部材を取り付けることが可能な凹部が形成されていても良い。
【0011】
この構成によれば、作業者にとってアタッチメント部材の取り付け位置が分かりやすく作業性が向上する。
【0012】
また、本発明の玄関子機において、
前記アタッチメント部材は、前記本体ケースの縁部に形成された突状部と係合可能な爪部を有していても良い。
【0013】
この構成によれば、作業者は、アタッチメント部材を本体ケースに取り付ける際、爪部が突状部を乗り越えて係合が完了した際のクリック感(音や移動)により、取り付け作業を迅速に行いやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の玄関子機によれば、平板状の化粧用パネル及び湾曲状の化粧用パネルを取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る玄関子機の構成図である。
図2】(a)〜(d)は玄関子機に取り付けられる化粧用パネルの例を示す図である。
図3】(a)はアタッチメント部材が取り付けられていない状態の玄関子機を示す正面図、(b)は背面図、(c)はA−Aの断面図、(d)はB−Bの断面図である。
図4】(a)はアタッチメント部材の正面斜視図、(b)はアタッチメント部材の背面斜視図、(c)はアタッチメント部材の6面図である。
図5】(a)はアタッチメント部材が取り付けられている状態の玄関子機を示す正面図、(b)は背面図、(c)はC−Cの縦断面図、(d)はD−Dの横断面図である。
図6】(a)は平板状の化粧用パネルが取り付けられた状態の玄関子機を示す正面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(b)の破線部分の拡大図である。
図7】(a)〜(e)はアタッチメント部材の爪部を説明する図である。
図8】(a)は湾曲状の化粧用パネルが取り付けられた状態の玄関子機を示す正面図、(b)は(a)の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、玄関子機1は、本体ケース2と、本体ケース2に対して着脱可能に取り付け可能な複数(本例では4つ)のアタッチメント部材4とを備えている。玄関子機1は、例えば戸建ての玄関先や集合住宅における各住戸の玄関先に設置され、住戸内に設けられている居室親機と通話可能に構成されている。
【0017】
玄関子機1の前面には、例えば図2(a),(b)に示すような平板状の化粧用パネル6や、図2(c),(d)に示すような湾曲状の化粧用パネル7が取り付けられうる。
【0018】
図2(a)は化粧用パネル6の前面側を示し、図2(b)は玄関子機1の前面に対向する化粧用パネル6の背面側を示す。化粧用パネル6の略中央部には、玄関子機1における本体ケース2の一部が露出可能な露出穴61が形成されている。また、化粧用パネル6の背面には、化粧用パネル6を玄関子機1に固定するための固定棒62(例えばネジ)が背面から略垂直方向へ突出して設けられている。固定棒62は、アタッチメント部材4と同数だけ(本例では4つ)設けられている。
【0019】
図2(c)は化粧用パネル7の前面側を示し、図2(d)は玄関子機1の前面に対向する化粧用パネル7の背面側を示す。化粧用パネル7の略中央部には、化粧用パネル6と同様に本体ケース2の一部が露出可能な露出穴71が形成されている。また、化粧用パネル7の背面には、複数(本例では6つ)の突起72が設けられている。突起72は、化粧用パネル7を本体ケース2に取り付ける際に本体ケース2の前面に当接することで本体ケース2に対する化粧用パネル7の取り付けを安定させる。
【0020】
図3に示すように、本体ケース2は、前側に設けられている上ケース2aと、上ケース2aの後側に取り付けられている下ケース2bとで構成されている。上ケース2aの中央部20には、図3(a)に示すように、カメラ31と、マイクやスピーカを含む通話部32と、呼出ボタン33とが上下方向へ並んで配置されている。下ケース2b内には、玄関子機1の各部を動作させるための電気回路が収納されている。
【0021】
上ケース2aの前面は、図3(d)に示すように、少なくとも一部が湾曲状に形成されている。具体的には、例えば図3(a),(d)に示すように、中央部20の外周(左右両側)に湾曲していない平坦部21が設けられ、平坦部21の外側(左右両側)に湾曲状に形成された湾曲部22が設けられている。湾曲部22は、化粧用パネル7(図2(c)参照)の湾曲形状に沿って湾曲するように形成されている。なお、平坦部21の領域は、湾曲部22に連続する湾曲状に形成されても良い。
【0022】
上ケース2aには、アタッチメント部材4を取り付けることが可能な凹部23が形成されている。凹部23は、上ケース2aの前面のうち湾曲部22において、アタッチメント部材4を取り付けることが可能な上ケース2aの左右両側部に形成されている。上ケース2aに設けられている左右両側の縁部25のうち、凹部23が形成されている領域の縁部25aの厚さは、図3(c)に示すように、凹部23が形成されていない領域の縁部25bの厚さよりも薄く形成されている。各凹部23には、化粧用パネル6の固定棒62(図2(b)参照)が挿通される挿通穴24が形成されている。
【0023】
図4は、一例として、上ケース2aの右側部に取り付けられるアタッチメント部材4を示す。なお、以下で説明する各部の名称に含まれる方向を示す単語(前後左右等)は、説明の便宜上付したものに過ぎず、発明の内容を限定するものではない。
図4に示すように、アタッチメント部材4は、矩形状の前壁41と、前壁41の上下両端部から後方へ垂直に伸びる肩部42と、前壁41の右側部から後方へ垂直に伸びる右壁43と、右壁43の後端の上下両端部から左方へ垂直に伸びる腕部44とを備えている。
【0024】
前壁41の前面は、アタッチメント部材4が上ケース2aに対して取り付けられた状態で、平板状の化粧用パネル6が取り付けられる際に化粧用パネル6の背面と接触する平らな接触面41a(接触部の一例)を構成する。前壁41には、化粧用パネル6の固定棒62(図2(b)参照)が挿通される挿通穴45が形成されている。前壁41の後面側には、挿通穴45に挿通された固定棒62を上ケース2aの挿通穴24へ誘導する誘導穴46が挿通穴45と連通して形成されている。挿通穴45及び誘導穴46は、上ケース2aの挿通穴24よりも径がやや小さく形成されている。
【0025】
肩部42は、その後面の位置が腕部44の前面の位置よりも前方の位置となるように形成されている。このため、例えばアタッチメント部材4を上側または下側から見たとき、肩部42の後面と腕部44の前面との間に隙間S1が形成されている。また、上下両肩部42間の距離42Lは、上ケース2aの凹部23の上下方向における長さ23L(図3(a)参照)よりもやや短くなるように設定されている。
【0026】
腕部44の各々の先端部の前面には、アタッチメント部材4が上ケース2aに取り付けられた状態で、上ケース2aの縁部に係合する爪部47が形成されている。左右両腕部44間の距離は、本例では上下両肩部42間の距離42Lよりも長くなるように設定されている。
【0027】
右壁43の左面側には、左面から左方へ垂直に伸びる複数(本例では2つ)のリブ48が形成されている。リブ48は、その左面の位置が腕部44の爪部47の位置よりも右方の位置となるように形成されている。このため、例えばアタッチメント部材4を上側または下側から見たとき、リブ48の左面と腕部44の爪部47との間に隙間S2が形成されている。両リブ48間の距離は、本例では上下両肩部42間の距離42Lよりも短くなるように設定されている。
【0028】
図5は、アタッチメント部材が取り付けられている状態の玄関子機1を図示している。
図5の各図に示すように、アタッチメント部材4は、上ケース2aの前面のうち湾曲部22に取り付けられている。アタッチメント部材4と上ケース2aとは、図5(c)に示すように、上ケース2aの凹部23における縁部25aがアタッチメント部材4の隙間S1内に挿入された状態で組み付けられている。
【0029】
アタッチメント部材4と上ケース2aとが組み付けられた状態において、図5(b),(d)に示すように、アタッチメント部材4における腕部44の爪部47が上ケース2aの縁部25の裏側に形成された突状部26(図7参照)に係合するように構成されている。また、図5(a)に示すように、上下方向において、上ケース2aの凹部23とアタッチメント部材4の肩部42との間には、わずかな隙間S3が存在している。また、図5(b)に示すように、アタッチメント部材4の挿通穴45及び誘導穴46は、上ケース2aの挿通穴24と連通するように構成されている。また、図5(d)に示すように、玄関子機1の前後方向(取付方向の一例)において、上ケース2aの前面のうちの平坦部21と、アタッチメント部材4の接触面41aとは高さが同一になるように構成されている。
【0030】
アタッチメント部材4は、肩部42の後面が上ケース2aの凹部23における縁部25aの前面に当接することで、または、腕部44の前面が上記縁部25aの背面に当接することで、上ケース2aに対するアタッチメント部材4の前後方向の位置が規制されている。
また、アタッチメント部材4は、爪部47が上ケース2aの縁部25における突状部26に当接することで、または、リブ48が上記縁部25の外側の面に当接することで、上ケース2aに対するアタッチメント部材4の左右方向の位置が規制されている。
また、アタッチメント部材4は、肩部42が上ケース2aの凹部23における上下方向の縁部25bに当接することで、上ケース2aに対するアタッチメント部材4の上下方向の位置が規制されている。
【0031】
図6(a)に示すように、玄関子機1に対して平板状の化粧用パネル6が取り付けられた場合、上ケース2aの中央部20に配置されているカメラ31、通話部32、及び呼出ボタン33等が、化粧用パネル6の露出穴61から露出される。また、図6(b),(c)に示すように、化粧用パネル6を玄関子機1に対して取り付ける取付方向において、上ケース2aの前面のうち化粧用パネル6の背面と接触する平坦部21と、アタッチメント部材4の前壁41の接触面41aとは同じ高さに構成されている。このため、アタッチメント部材4の前壁41の接触面41aは、上ケース2aの前面の平坦部21とともに化粧用パネル6の背面に隙間なく接触されている。また、化粧用パネル6の固定棒62が、アタッチメント部材4の挿通穴45、及び上ケース2aの挿通穴24に挿通されている。
【0032】
図7(a)は、図5(d)と同様、玄関子機1の横断面図を示す。図7(b)〜(d)は、図7(a)の破線部の拡大図を示す。また、図7(e)は、アタッチメント部材の爪部の比較例を示す。
【0033】
図7(b)〜(d)に示すように、アタッチメント部材4の腕部44の先端部に設けられている爪部47は、三角形状を有しており、腕部44から前方向へ略垂直に伸びる垂直面47aと、垂直面47aの前端から腕部44の先端に向かって傾斜する傾斜面47bとを有する。アタッチメント部材4が上ケース2aに対して取り付けられた場合、この爪部47の垂直面47aが上ケース2aの縁部25に形成された突状部26の側面に係合される。この場合、図7(b)に示すように、爪部47の傾斜面47bと上ケース2aの縁部25との間には、隙間S4が存在している。
【0034】
これに対して、アタッチメント部材4が上ケース2aから取り外される際には、突状部26に対する爪部47の係合が解除される。例えば図7に示されるアタッチメント部材4の場合、アタッチメント部材4が上ケース2aにおける突状部26の周りを矢印Eに示す方向に回転されることで突状部26に対する爪部47の係合が解除されて上ケース2aからアタッチメント部材4が取り外される。
【0035】
具体的には、アタッチメント部材4が矢印Eの向きに回転されると、アタッチメント部材4の爪部47は、図7(c)に示すように、垂直面47aの前端部を突状部26に接触させながら突状部26の周りを回転する。この場合、傾斜面47bと縁部25との間に隙間S4が設けられているため、爪部47は、スムースに突状部26の周りを回転可能とされている。さらにアタッチメント部材4が回転されると、爪部47は、図7(d)に示すように、傾斜面47bを縁部25に当接させる。これにより、爪部47に対して縁部25から矢印Fの向きに力が加わり、垂直面47aの前端部と突状部26との接触位置が突状部26の先端方向へずれて行き、爪部47が突状部26を乗り越えることで突状部26に対する爪部47の係合が解除される。
【0036】
なお、図7(e)に示すように、アタッチメント部材4の爪部57の断面形状が例えば四角形状を有するような場合、アタッチメント部材4を取り外す際に、矢印Gの向きに回転させようとしても、爪部57と縁部25との間にはほとんど隙間がなく、爪部57は回転しにくい。このため、上ケース2aからアタッチメント部材4を取り外すことが容易ではない。また、爪部57が突状部26を乗り越えるまでに爪部57及び腕部44に対して大きな力が加わるため、アタッチメント部材4が壊れやすい。
【0037】
ところで、例えば特許文献1のように平板状の化粧用パネル用に設計された平板状の本体ケースに対して、湾曲状の化粧用パネルを取り付けようとすると、本体ケースの前面と湾曲状の化粧用パネルの背面とが互いに干渉してしまい、両部品を固定する際の作業性が良くない。また、平板状の本体ケースとして設計されているケースの厚さに対して、湾曲状の化粧用パネルの厚さが単純に加算されるため、前後方向の厚さが大きくなってしまう。
【0038】
これに対して、上記構成の玄関子機1によれば、本体ケース2の前面の少なくとも一部(湾曲部22)が湾曲状の化粧用パネル7の形状に沿って湾曲して形成されている。このため、本体ケース2に対してアタッチメント部材4が取り付けられていない状態では、図8に示すように、本体ケース2の前面に対して湾曲状の化粧用パネル7を近接させても、互いに干渉してガタつくことがなく、湾曲状の化粧用パネル7を本体ケース2に対して互いに安定してガタつかない状態で取り付けることができる。また、本体ケース2に対してアタッチメント部材4が取り付けられた状態では、アタッチメント部材4の前壁41の接触面41aが、本体ケース2の前面の一部(平坦部21)と共に平板状の化粧用パネル6の背面と接触するように形成されている。このため、本体ケース2の前面に対して平板状の化粧用パネル6を互いに安定してガタつかない状態で取り付けることができる。
【0039】
また、平板状の化粧用パネル6を玄関子機1に対して取り付ける取付方向において、上ケース2aの平坦部21と、アタッチメント部材4の接触面41aとは高さが同一になるように構成されている。このため、平板状の化粧用パネル6の背面が平坦部21と接触面41aとに隙間なく接触されるので、更に、本体ケースの前面に対して平板状の化粧用パネルを互いに安定してガタつかない状態で取り付けることができる。
【0040】
また、本体ケース2の前面の湾曲部22にアタッチメント部材4を取り付けることが可能な凹部23が形成されているので、作業者は、アタッチメント部材4の取り付け位置が分かりやすく作業性しやすい。
【0041】
また、アタッチメント部材4の腕部44には、本体ケース2の縁部25に形成された突状部26と係合可能な爪部47が形成されている。このため、作業者は、アタッチメント部材4を本体ケース2に取り付ける際、爪部47が突状部26を乗り越えて係合が完了した際のクリック感(音や移動)により、取り付け作業を迅速に行いやすくなる。
【0042】
また、アタッチメント部材4における両肩部42間の距離42Lは、本体ケース2の凹部23の上下方向における長さ23Lよりもやや短くなるように形成されている。このため、作業者は、凹部23に対してアタッチメント部材4が取り付けやすい。また、アタッチメント部材4の挿通穴45と本体ケース2の挿通穴24に化粧用パネル6のネジ62を挿通させてネジ62にナットを絞める際にも、両部品の位置合わせに多少の遊びとなる空間があるため作業しやすい。
【0043】
また、アタッチメント部材4の腕部44に設けられている爪部47は、垂直面47aと傾斜面47bとを有する三角形状に形成されており、傾斜面47bと縁部25との間には隙間S4が設けられている。このため、アタッチメント部材4を本体ケース2から取り外す際に、爪部47が本体ケース2の突状部26の周りを回転しやすいので、突状部26に対する爪部47の係合が解除されやすく取り外しやすい。したがって、本体ケース2から腕部44に加わる力を抑制することができ、アタッチメント部材4が壊れにくくなる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0045】
1:玄関子機、2:本体ケース、2a:上ケース、2b:下ケース、4:アタッチメント部材、6,7:化粧用パネル、20:中央部、21:平坦部、22:湾曲部、23:凹部、24:挿通穴、25,25a,25b:縁部、26:突状部、41:前壁、41a:接触面(接触部の一例)、42:肩部、44:腕部、45:挿通穴、47:爪部、47a:垂直面、47b:傾斜面、48:リブ、61,71:露出穴、62:固定棒、S1〜S4:隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8