(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2アノード層は、前記タブ挿入空間をそれぞれの第1及び第2カソード集電体から分離するそれぞれの連続的な層構造を含み、前記アノード集電タブは前記第1及び第2アノード層に電気的に接続される、請求項6に記載の電気化学デバイス。
前記第1カソードサブ領域の投影された表面区域の合計は、前記第1カソード層の全投影された表面区域の少なくとも80%であり、前記第2カソードサブ領域の投影された表面区域の合計は、前記第2カソード層の全投影された表面区域の少なくとも80%である、請求項5から7のいずれか一項に記載の電気化学デバイス。
前記第1カソード層と前記第2カソード層との間にあって前記第1及び第2アノード層に物理的に接続される絶縁層を備え、前記絶縁層は、リチウムに対して不活性である、請求項5に記載の電気化学デバイス。
前記第1アノードサブ領域の投影された表面区域の合計は、前記第1アノード層の全投影された表面区域の25%未満であり、前記第2アノードサブ領域の投影された表面区域の合計は、前記第2アノード層の全投影された表面区域の25%未満である、請求項14又は15に記載の電気化学デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】電解質層に欠陥を有する電気化学セルの側面図である。
【
図2】一実施形態に係る、細分化されたカソード層を有する電気化学セルの平面図である。
【
図3】一実施形態に係る、細分化されたカソード層を有する電気化学セルの、
図2の線A−Aに沿った断面図である。
【
図4A】一実施形態に係る、細分化されたカソード層上の電解質層に欠陥を有する電気化学セルの、
図2のA−A線に沿った断面図である。
【
図4B】一実施形態に係る、細分化されたカソード層上の電解質層に欠陥を有する電気化学セルの、
図2のA−A線に沿った断面図である。
【
図5】一実施形態に係る、無効化されたカソードサブ領域を有する電気化学セルの平面図である。
【
図6】一実施形態に係る、細分化されたカソード層を有する電気化学セルの側面図である。
【
図7】一実施形態に係る、細分化されたカソード層及びアノード集電タブを有する電気化学セルの平面図である。
【
図8A】一実施形態に係る、細分化されたカソード層上の電解質層に欠陥を有する電気化学デバイスの断面図である。
【
図8B】一実施形態に係る、細分化されたカソード層上の電解質層に欠陥を有する電気化学デバイスの断面図である。
【
図9】一実施形態に係る、細分化されたカソード層間に中間層を有する電気化学デバイスの断面図である。
【
図10】一実施形態に係る、細分化されたアノード層を有する電気化学セルの平面図である。
【
図11】一実施形態に係る、細分化されたアノード層を有する電気化学セルの、
図10のC−C線に沿った断面図である。
【
図12】一実施形態に係る、細分化されたアノード層の下の電解質層に欠陥を有する電気化学セルの、
図10のC−C線に沿った断面図である。
【
図13A】一実施形態に係る、細分化されたアノード層の下の電解質層に欠陥を有する電気化学セルの、
図10のC−C線に沿った断面図である。
【
図13B】一実施形態に係る、細分化されたアノード層の下の電解質層に欠陥を有する電気化学セルの、
図10のC−C線に沿った断面図である。
【
図14】一実施形態に係る、細分化されたアノード層間にアノード集電体を有する電気化学デバイスの側面図である。
【
図15】一実施形態に係る、細分化されたカソード層の上に、細分化されたアノード層を有する電気化学セルの平面図である。
【
図16】一実施形態に係る、細分化されたカソード層の上に、細分化されたアノード層を有する電気化学セルの、
図15のD−D線に沿った断面図である。
【
図17】一実施形態に係る、アノードリークからカソード層を分離するための方法を示すフローチャートである。
【
図18】一実施形態に係る、欠陥検出動作中の、電気化学セルの側面図である。
【
図19】一実施形態に係る、電解質層に欠陥を有する前駆セルの側面図である。
【
図20】一実施形態に係る、埋め戻された電解質層を有する電気化学セルの側面図である。
【
図21】一実施形態に係る、電解質層に欠陥を有する電気化学セルの側面図である。
【
図22A】一実施形態に係る、アノードリークから分離されたカソード層を有する電気化学セルの側面図である。
【
図22B】一実施形態に係る、アノードリークから分離されたカソード層を有する電気化学セルの側面図である。
【
図22C】一実施形態に係る、アノードリークから分離されたカソード層を有する電気化学セルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態は、薄膜電池などの固体電池についての構造及び製造方法を記載している。しかし、いくつかの実施形態は固体電池内での集積化のための製造プロセス又は構造に関して具体的に説明しているが、実施形態はそれらに限定されるものではなく、特定の実施形態は、他の用途にも適用することができる。例えば、以下に説明する実施形態の1つ以上は、シリコンベースの太陽電池などの他の層状要素を製造するために使用することができる。
【0016】
さまざまな実施形態において、図面を参照して説明する。しかし、特定の実施形態を、これらの特定の詳細のうち1つ以上を伴わないで、又は他の既知の方法及び構成と組み合わせて、実施することができる。以下の説明において、実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な構成、寸法、及びプロセスなどの、多数の特定の詳細が記載されている。他の例では、説明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス及び製造技術については特に詳細に説明していない。本明細書全体を通して「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」などへの言及は、説明される特定の特徴、構造、構成、若しくは特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて各所に現れる「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」などのフレーズは、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。更に、この特定の特徴、構造、構成、又は特性は、1つ以上の実施形態の中で任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0017】
一態様では、電気化学セルは、アノード層とカソード層との間の電解質層など、いくつかの層を含むことができる。電気化学セルの層の各々は、細分化された方法で形成することができる。例えば、電極層のうちの1つ以上、即ちアノード層又はカソード層を、パターンに従って間隙を除去するようにパターン化することで、細分化層を構成する島を本質的に残すことができる。アノード又はカソードの島の「層」を製造するための他の方法も可能である。
【0018】
一態様では、カソードサブ領域に細分化されたカソード層を有する電気化学セルが提供される。例えば、カソード層は、サブ領域間の間隙によって分離された、いくつかの矩形のサブ領域に細分化することができる。したがって、各サブ領域を他から分離することができ、よって、1つのカソードサブ領域内で化学的に反応するアノードリークは、他のカソードサブ領域に伝播しないか、又は、それに影響を与えない。更に、間隙はまた、カソードサブ領域上に設けられたアノード層領域間を分離する役割をも果たし、電解質層の欠陥とアノード集電体との間に開回路が形成される前に、カソードサブ領域に漏出するアノード材料を制限する。一実施形態において、カソードサブ領域は、共通の、又は共有された、カソード集電体に、電気的に接続されて物理的に連結してもよい。したがって、カソードサブ領域は、カソード集電体を介して、互いに電気的に接続してもよい。例えば、カソードサブ領域は共通のカソード集電体に直接接続してもよく、又はバリアフィルム層などの1つ以上の中間層が、カソードサブ領域を共通のカソード集電体に連結してもよい。これにより、製造歩留りを向上させることができ、電気化学セルは、アノードリークによって引き起こされる劣化に対して、より耐性を有することができる。
【0019】
一態様では、アノードサブ領域に細分化されたアノード層を有する電気化学セルが提供される。例えば、アノード層を、1つ以上の間隙によって分離された複数の矩形のサブ領域に細分化することができる。別の実施形態では、パターン化されたアノードの島を有する細分化されたアノード層を、細分化されたカソード層の上に設けてもよい。したがって、1つ以上のアノードサブ領域を、1つのカソードサブ領域上に配置することができる。いずれの場合においても、アノードサブ領域の全投影された表面区域は、「充填された」又は固体アノード層とされるものの全投影された表面区域の一部を占めることができる。これにより、特定のアノードサブ領域に隣接する電解質層が欠陥となる確率は低減され、欠陥がアノードサブ領域と接触した場合であっても、結果として生じるアノードリークは1つのアノードサブ領域を枯渇させ(それによって、そのサブ領域は動作から本質的に除外される)ても、他のアノードサブ領域は枯渇させない。更に、孤立したアノードサブ領域のリークが生じると、そのアノードサブ領域に隣接する電解質層の部分とアノード集電体との間に、1つ以上の間隙が形成されてもよい。これが、隣接するアノードサブ領域に(アノード集電体及び欠陥を介して)生じる電気的な放電の可能性を減少させるのに役立つ。これにより、製造歩留りを向上させることができ、電気化学セルは、アノードリークによって引き起こされる劣化に対して、より耐性を有することができる。
【0020】
一態様では、電解質層に修復された欠陥を有する電気化学セルが提供される。より具体的には、電気化学セルは、カソード層を劣化させる恐れのあるアノードリークの可能性を低減するために、前駆の状態又は組み立てられた状態に変形されてもよい。修復は、欠陥を含む電解質層の一部を充填及び/又は埋め戻すことを含んでもよい。修復は、欠陥の上に位置するアノード層の部分を除去することを含んでもよく、それによって、アノード層は、欠陥を通ってカソード層に漏出することができなくなる。修復は、欠陥の周りにチャネルを形成することを含んでもよく、アノードリークが発生した場合でも、欠陥の下にあるカソード層の第1部分は、カソード層の第2部分から分離され、よって、カソード層の劣化は第1部分の劣化に限定される。
【0021】
図2を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層を有する電気化学セルの平面図が示されている。電気化学セル200は、カソード層の上にアノード層202を備えることができる。更に、カソード層は、
図2に隠線で示されるように、アノード層202の下に電気化学セル200にわたって間隔を置いて並べられてパターン化された、1つ以上のカソードサブ領域204に細分化されてもよい。より具体的には、カソードサブ領域204は、1つ以上の間隙206によって、互いに分離されてもよい。例えば、1つ以上の間隙206が各カソードサブ領域204を囲むことで、カソードサブ領域204を、隣接するカソードサブ領域204から物理的に分離してもよい。
【0022】
一実施形態において、カソード層は格子パターンを含むことができ、各カソードサブ領域204は矩形の表面区域を含み、電気化学セル200を横断する1つ以上の線状間隙206により、隣接するカソードサブ領域204から分離されている。即ち、カソード層は、都市ブロック及び街路のように配置された、いくつかのカソードサブ領域204と1つ以上の間隙206を有してもよい。格子パターン及び都市ブロックの隠喩は、製造に適している。例えば、基板上にカソード材料を堆積した後、又は、カソード材料をカソード集電体に接続した後、カソード層材料を除去し、カソードサブ領域204の間に1つ以上の間隙206を形成するために、レーザスクライビングを使用することができる。あるいは、無充填の1つ以上の間隙206となるマスク領域によって分離されたカソードサブ領域204を形成するために、シャドウマスクを使用することができる。しかし、他のカソード層パターンを使用してもよい。例えば、1つ以上の間隙206を任意の形状にレーザスクライビングして、例えば、多角形、円錐形、楕円形等の島である分離されたカソードサブ領域204を形成してもよい。カソードサブ領域204は、カソード層の他のカソードサブ領域204と比較して、同じ形状を有してもよく、異なる形状を有してもよい。
【0023】
カソードサブ領域204の形状にかかわらず、上から見た時に、カソード層は、電気化学セルの外周208内に、各カソードサブ領域204の表面区域の合計と各間隙206の表面区域の合計とを含む全投影された表面区域を含むことができる。例えば、各カソードサブ領域204は、辺の長さが等しい正方形の形状の投影された表面区域を有してもよい。更に、各間隙206は、レーザビームによりカソード層を切除することで同じ幅を有する溝の格子、即ち、カソード材料のない溝を生成することで形成されてもよい。したがって、電気化学セルの外周208内のカソード層の全投影された表面区域は、正方形の投影された表面区域、並びに、1つ以上の間隙内の投影された表面区域の全てを含んでもよい。一実施形態では、パターン化されたカソード領域の利用率、即ち、個々のカソードサブ領域の投影された表面区域の合計がカソード層の全投影された表面区域に対して占める比率は、2〜5%の誤差率で、75%よりも大きくてもよい。例えば、パターン化されたカソード領域の利用率は、2〜5%の誤差率で、少なくとも80%であってもよい。一実施形態では、格子パターンは、一つ以上の10マイクロメートルの間隙によって分離された100マイクロメートルの辺を有する正方形のカソードサブ領域204を有する。したがって、パターン化されたカソード領域の利用率は、83%であると予想することができる。1つ以上の間隙206を狭くするかカソードサブ領域204を拡大することによって、パターン化されたカソード領域の利用率を向上させることができる。
【0024】
図3を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層を有する電気化学セルの、
図2の線A−Aに沿った断面図が示されている。一実施形態では、電気化学セル200は、アノード層202とカソード層304との間に、より具体的には、アノード層202と1つ以上のカソードサブ領域204との間に、電解質層302を備えることができる。更に、バリアフィルム層306が、任意選択的に、カソード層とカソード集電体308との間にあってもよい。一実施形態では、カソード集電体308は、1つ以上のカソードサブ領域204の下に延在する、連続的な層構造、例えば、連続したシート又はフィルム、を有してもよい。上述したように、カソードサブ領域204のそれぞれは1つ以上の間隙206によって分離されてもよく、この間隙は、カソード層304内のカソードサブ領域204間の空間を画定する。したがって、カソードサブ領域204は、カソード集電体308の連続的な層構造を介して、互いに電気的に接続することができる。
【0025】
また、この明細書を通して使用される連続的な層構造は完全に充填された層であってもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。即ち、連続的な層構造は、層の厚さを通る、穴、間隙、空隙、などの1つ以上の局所的な不連続を含み、その層を物理的に不連続にすることができるが、層はそれにもかかわらず、連続的な層構造上の1つの場所における電位が連続的な層構造上の他の任意の位置における電位と実質的に等しいという点で、電気的に連続していてもよい。同様に、連続的な層構造が物理的に連続しており、層の表面に沿って不連続部を有さないものの、それにもかかわらず、表面に沿った異なる位置に異なる電位を有する絶縁層の場合と同様に、例えば、電気的に不連続であってもよい。したがって、連続的な層構造とは、物理的に連続的か及び/又は電気的に連続的か、のうちの1つ以上であることができる。
【0026】
カソード層304のパターン化されたカソード材料、即ち、カソードサブ領域204は、例えば、LiCoO
2、LiMn
2O
4、LiMnO
2、LiNiO
2、LiFePO
4、LiVO
2、若しくは任意の混合物、又はその化学的誘導体を含んでもよい。電解質層302は、カソードサブ領域204とアノード層202との間のイオンの移動を容易にすることができる。したがって、電解質層302は固体電解質とすることができ、液体成分を含まなくてもよく、固体薄膜に配合されるバインダー又はセパレータ材料を必要としなくてもよい。例えば、電解質層302は、窒化リン酸リチウム(LiPON)、又は、LiAlF
4、Li
3PO
4でドープされたLi
4SiS
4などの他の固体の薄膜電解質を含んでもよい。アノード層202は、例えば、リチウム、リチウム合金、リチウムを含む固溶体若しくは化学物質を形成できる金属、又はリチウムベースの電池において負のアノード材料(Li
4Ti
5O
12など)として使用することができる、いわゆるリチウムイオン化合物、を含むことができる。
【0027】
一実施形態では、カソード層サブ領域204は、導電層又は導電性タブとすることができるカソード集電体308に、電気的に接続してもよい。同様に、アノード層202は、導電層又は導電性タブとすることができるアノード集電体310に、電気的に接続してもよい。任意選択的に、1つ以上の中間層を、カソード層304のパターン化されたカソード材料又はアノード層202と、それぞれの集電体との間に設けてもよい。例えば、バリアフィルム層306は、カソードサブ領域204をカソード集電体308から分離することができる。例えば、バリアフィルム層306は、カソードサブ領域204及びカソード集電体308と、物理的に直接接触してもよい。バリアフィルム層306によって、汚染物質及び/又はイオンがカソード集電体308とカソードサブ領域204との間に拡散する可能性を低減することができる。したがって、バリアフィルム層306は、イオン伝導性が低い導体である材料(ホウ化物、炭化物、ダイアモンド、ダイアモンドライクカーボン、ケイ化物、窒化物、リン化物、酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、及びこれらの化合物など)を含んでも良い。あるいは、基板層などの追加の中間層を、カソード層304とカソード集電体308との間に設けてもよい。基板層は、例えば、カソードサブ領域204とカソード集電体308との間の電気的接続を与えてもよく、例えば、剛性などの構造的支持を、電気化学セル200に与えてもよい。したがって、基板層は金属箔又は他の導電性層を含んでもよい。
【0028】
いくつかの場合では、セルの電気化学的に活性な層を、基板層の一つの側に、例えば、物理蒸着等の材料堆積技術を用いて形成することができ、カソード集電体308は、別個に形成され、基材層の別の側に物理的に連結してもよい。他の場合では、セルの電気化学的に活性な層を基板層上に形成してもよく、続いて、電気化学的に活性な層は、基板層から除去され、別個に形成されたカソード集電体308に物理的に連結されてもよい。更に他の例では、セルの電気化学的に活性な層を、カソード集電体308の上に、例えば、物理蒸着されて直接形成してもよい。このように、いくつかの電気化学的に活性な層を有する電気化学セル200を生成するのには多くの異なる方法がある。
【0029】
一実施形態では、パターン化されたカソード層304内の1つ以上の間隙206は、誘電体312によって少なくとも部分的に充填されている。より具体的には、対応するカソードサブ領域204の側壁314は、誘電性流体又は固体、例えば不活性ガスなどの誘電体ガスなどによって分離することができる。更に、複数の誘電体材料又は他の材料が1つ以上の間隙206を占有することができる。例えば、電解質層302及び/又はアノード層202は、側壁314と、バリアフィルム層306の上に堆積され、パターン化されたカソード層304のカソードサブ領域204の間の1つ以上の間隙206を少なくとも部分的に充填することができる。アノード層202及び/又は電解質層302をカソードサブ領域204の上に連続的な層で堆積することができ、それによって隣接するカソードサブ領域204にわたって、連続的な被覆を形成することができる。即ち、アノード層202及び/又は電解質層302は、連続的な層構造、例えば、シート又はフィルム構造を有してもよい。連続的な被覆は、カソードサブ領域204の上に、例えば、カソードサブ領域204とアノード集電体310の間に、並びに、カソードサブ領域204の間の側面に沿って、例えば、隣接するカソードサブ領域204の側壁314の間に、及び/又はそれを覆って、配置することができる。更に、アノード層202又は電解質層302のうちの1つ以上がカソードサブ領域204の上に連続的な層として堆積されることができ、少なくとも部分的に間隙206を充填するので、堆積した層の並置された表面は、互いに対向してもよい。このことは
図3に示されており、アノード層202の側面に沿って対向する面は、誘電体312、例えば、誘電体ガス、を挟んで互いに対向する。同様に、アノード層202の連続的な層構造は側壁を覆ってもよく、誘電体312がカソード集電体310から、間隙206内のアノード層の部分(例えば、バリアフィルム層306のすぐ上方の間隙206の底部における部分)を分離する。一実施形態では、誘電体312は存在せず、アノード層202の対向面同士は互いに接触することにより、隣接するカソードサブ領域204の間の間隙206の少なくとも一部を完全に充填する。即ち、アノード層202の並置面は、間隙206の下半分に沿って接触し、カソードサブ領域204の下部の間の空間を完全に充填することができる。一方、アノード層202の並置面は、間隙206の上半分に沿って、
図3に示されるように、間隙206の全体を挟んで同様に誘電体312によって分離することができる。したがって、1つ以上の間隙206は、隣接するカソードサブ領域204の間で、物理的及び電気化学的分離を提供することができる。更に、1つのカソードサブ領域204を覆うアノード層202の部分は、隣接するカソードサブ領域204の上にあるアノード層202から物理的に分離されてもよい。しかし、カソードサブ領域204を覆うアノード層の部分は、カソードサブ領域204とアノード集電体310との間に挟まれてもよい。
【0030】
図4Aを参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層上の電解質層に欠陥を有する電気化学セルの、
図2のA−A線に沿った断面図が示されている。一実施形態では、電解質層302は、欠陥を含み得る。欠陥としては、例えば、ナノクラック、マイクロクラック、又はピンホールなどの空隙402を挙げることができる。空隙402は、電池の製造中又は電池の動作中に、電解質層302内で生じる恐れがある。空隙402に関するさまざまな原因としては、カソード集電体308、バリアフィルム層306、カソード層304、又は電解質層302のうちのいずれのものの、最適以下の形態又は清浄度が挙げられる。更に、外部短絡、機械的酷使、熱的酷使等、空隙402が発生する恐れがある。いずれの場合にも、空隙402は、アノード層202とカソード層304との間の電気的リークをもたらす可能性がある。即ち、アノードリーク404は、アノード層202の材料が、空隙402を通って、カソード層304のカソードサブ領域204に入り込む時に生じ得る。アノード材料がカソード材料と相互作用すると、化学反応406が、カソードサブ領域204を通って伝播し、電気化学セルの機能を劣化させる望ましくない化学生成物が生成される恐れがある。
【0031】
図4Bを参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層上の電解質層内に欠陥を有する電気化学セルの
図2のA−A線に沿った断面図が示されている。アノードリーク404が持続するにつれて、カソードサブ領域204にわたる化学反応406は継続し、この図に示されるように、カソードサブ領域204上のアノード層202が併せて消滅することを伴う可能性がある。即ち、空隙402の真上のアノード材料がなくなるまで、アノード層202は、空隙402を通って物理的に漏出し得る。したがって、アノード層202の一部はカソードサブ領域204間の1つ以上の間隙206内に留まることができるが、電解質層302の上にある、例えば電解質層302とアノード集電体310との間に、アノード層202の部分に空き空間408が生成される可能性がある。これにより、アノードリーク404は最終的に停止することができ、その結果として、カソードサブ領域204の化学反応406は停止することができる。
【0032】
図5を参照すると、一実施形態に係る、無効化されたカソードサブ領域を有する電気化学セルの平面図が示されている。一実施形態では、アノード層202が空隙402を通ってカソードサブ領域204内に漏出した後、
図5の斜線で示されるように、このカソードサブ領域204は無効化されてもよい。無効化されたカソードサブ領域502の周囲にある1つ以上の間隙206は、アノード材料の伝播を制限し、化学反応406が隣接するカソードサブ領域204に広がるのを阻止する。更に、空き空間408によって、本質的に、アノード集電体310と無効化されたカソードサブ領域502との間に開回路が生成される。したがって、カソードサブ領域204が本質的に並列に接続されているので、空き空間408は、正常なカソードサブ領域204が異常なカソードサブ領域502を通って放電する可能性を減少させる。即ち、空き空間408は、使用可能な電気化学セル200の残りの部分から空隙402を切り離す。
【0033】
図6を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層を有する電気化学セルの側面図が示されている。一実施形態では、カソード層304は、単一の誘電体、例えば、不活性ガス等の気体により完全に充填される、若しくは真の1つ以上の間隙206によって分離された、別々のカソードサブ領域204を備える。例えば、アノード層202、電解質層302、カソード層304、バリアフィルム層306、及びカソード集電体308を含む実質的に平坦な薄層を備える電気化学セル200を有して製造することができる。次に、アノード層202、電解質層302、及びカソード層304を通って1つ以上の間隙206をレーザスクライブするために、アブレーションレーザを用いることができる。あるいは、電気化学セル200の製造中に、材料の堆積領域を制御するマスキング技術を用いて、アノード層202、電解質層302、カソード層304のうちの1つ以上に、1つ以上の間隙206を形成することができる。例えばレーザアブレーション処理を用いてバリアフィルム層506から薄層の材料もまた除去してもよく、その結果、隣接するカソードサブ領域204が間隙206を挟んで完全に分離される。その結果、1つ以上の間隙206によって分離されたいくつかのカソードサブ領域204を形成することができる。同様に、電解質層302及びアノード層202はそれぞれの中に、1つ以上の間隙206によって分離される対応するサブ領域が形成されてもよい。即ち、
図3を参照して上述したように連続的な層構造を有するのではなく、アノード層202及び/又は電解質層302を、その中に形成されたいくつかのサブ領域を備える不連続層の構造を有するようにパターン化してもよい。不連続な層構造は、平面であってもよい。即ち、アノード層202及び/又は電解質層302のサブ領域は本質的に同一平面とすることができ、各層のいくつかのサブ領域の側壁は、1つ以上の間隙206を挟んで互いに対向し、いくつかのサブ領域のそれぞれの上向きの面は、共通の横方向平面内に位置する。したがって、電気化学セル200は、1つ以上の間隙206によって互いに物理的に分離された、いくつかのセルサブ領域602を備えることができる。より具体的には、各セルサブ領域602は、カソード、電解質、及びアノードのサブ領域の積層体を備えることができる。更に、アノード集電体310を、セルサブ領域602のそれぞれ及び全てを電気的に接続して単一のセルを形成するように、アノードサブ領域の上に配置してもよい。一実施形態では、アノード集電体310は、連続的な層構造、例えば単一のシート又はフィルム構造を有する。したがって、アノードサブ領域は、アノード集電体310の連続的な層構造を介して、互いに電気的に接続することができる。一実施形態では、セルサブ領域602の投影された表面区域の合計は、電気化学セルの外周208内の電気化学セル200の全投影された表面区域の少なくとも80%であってもよい。即ち、パターン化されたカソード利用率は、少なくとも80%であってもよい。
【0034】
製造中又は使用中に、セルサブ領域602内の電解質層302で空隙402が発生することがある。かかる場合、不良セルサブ領域602内のアノード層202は、空隙402を介して、不良セルサブ領域602内の基礎をなすカソードサブ領域204に漏出することがある。上述したように、空き空間408が空隙402とアノード集電体310との間に形成される程度に空隙402の上のアノード層202が減少するまで、アノードリーク404は持続し得る。空き空間408は、電気的な開回路を提供し、不良セルサブ領域602を介して周囲のセルサブ領域602が放電する可能性を低減させる可能性がある。更に、各セルサブ領域602のカソードサブ領域204が1つ以上の間隙206によって物理的に分離されるので、漏出するアノード層202の材料は不良セルサブ領域602内で阻止され、他のセルサブ領域602に伝播されないようにすることができる。これにより、アノードリーク404の負の効果は、単一のセルサブ領域602の無効化に限定することができる。
【0035】
図7を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層及びアノード集電タブを有する電気化学セルの平面図が示されている。一実施形態では、電気化学セル200のアノード層202はアノード集電体であってもよい。例えば、アノード層202は、電気化学セル200の面全体にわたって集電体として作用するのに十分な導電率を有する、金属リチウムとすることができる。これにより、アノード層202の上の別個のアノード集電体310を不要とすることができる。したがって、アノード層202は、電気化学セル200の電気化学的活性部分を外部製品回路と電気的に接続するのに使用することができる。例えば、アノード層202は、別個のアノード集電タブ702を介して、外部の製品回路と導電的に接続されるリチウムであってもよい。アノード層202は、電気化学セル200の電気化学的活性領域とアノード集電タブ702との間に電気を通すことができる。アノード集電タブ702は、例えば、電気化学セル200の角部に位置してもよい。アノード集電タブ702がアノード層202に連結される領域は、カソードサブ領域204を有することができず、したがって、カソードサブ領域204を含む電気化学セル200の部分よりも薄くてもよい。より詳細には、一実施形態で、薄い角部は、カソード層304の形成の際に、角部をレーザアブレーション又はシャドウマスクすることにより、形成することができる。続いて、電解質層302及びアノード層202を、薄い角部上に堆積させることができる。その結果、アノード集電タブ702は、電気化学セル200の全体の高さを増すことなく、カソードサブ領域204の厚さに等しい厚さを有する導電性の金属箔であってもよい。したがって、アノード集電体310をアノード層202全体にわたって配置するのではなく、電気化学セル200の角部に、アノード集電タブ702を組み込むことにより、より高い総エネルギー密度を有する完全にパッケージされた電気化学セル200、及び/又は電気化学セル200を導入した電気化学デバイス、を結果として得ることができる。更に、アノード層202と電気的に接続されたアノード集電タブ702は、外部回路への電気的接続の信頼性を向上させるために、より厚く、より丈夫にすることができる。
【0036】
図8Aを参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層上の電解質層に欠陥を有する電気化学デバイスの断面図が示されている。一実施形態では、電気化学デバイス800は、電気化学セルの対応するアノード層202が隣接するか互いに接触するように、第2の電気化学セル804上に積層された第1の電気化学セル802を備える。対応するアノード層202は、カソードサブ領域204を覆い、隣接するカソードサブ領域204間の1つ以上の間隙206内に延出する連続的な層構造、例えば、連続シート又はフィルム構造を有してもよい。更に、上述したように、角部領域などの1つ以上の積層された電気化学セルの領域は、カソードサブ領域を含んでいなくてもよい。これにより、対応するアノード層202間のタブ挿入空間806は、アノード集電タブ702の挿入を許容することができる。アノード層202の連続的な層構造は、タブの挿入空間806を、第1電気化学セル802と第2電気化学セル804の各カソード集電体308から分離することができる。したがって、アノード集電タブ702は、アノード層202間に挟まれ、カソード集電体308と接触することなく、タブ挿入空間806内でアノード層202に電気的に接続することができる。アノード集電タブ702は、例えば、導電性の感圧接着剤を使用してアノード層202に接着されてもよい。上述したように、空隙402などの欠陥が電解質層302で起こる恐れがあり、そのことでアノード層202材料のカソードサブ領域204へのアノードリーク404を許してしまう。
【0037】
図8Bを参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層上の電解質層に欠陥を有する電気化学デバイスの断面図が示されている。一実施形態では、対応するアノード層202が空隙402に隣接して接触しているので、アノードリーク404は、第1電気化学セル802と第2電気化学セル804の両者のアノード層202の材料が空隙402を通って、カソードサブ領域204に伝播することを含む可能性がある。電気化学セル200に関連して上述したように、カソードサブ領域204内での化学反応406は、空き空間408が空隙402上に形成されるまで、持続し得る。即ち、電気化学セルの電解質層間のアノード材料が消耗した後、アノードリークは停止し得る。これにより、細分化されたカソード層を備えた積層電気化学セルを有する電気化学デバイス800は、電気化学デバイス800の他の部分から物理的及び電気的に隔離される個々のカソードサブ領域204への欠陥を限定することができる。このように、欠陥領域がデバイスの性能(例えば、容量、エネルギー、電力、抵抗、サイクル寿命、及び収率)にほとんど影響を与えず、電気化学デバイス800の全体的な性能を向上させることができる。
【0038】
図9を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層間に中間層を有する電気化学デバイスの断面図が示されている。一実施形態では、空隙402が発生した場合のアノード層202の材料の伝播は、電気化学デバイス800において積層された電気化学セルの対応するアノード層202間に中間層902を組み込むことによって、更に限定することができる。例えば、中間層902は、電気化学デバイス800のカソードサブ領域204を電気的に接続するアノード層202間に導電性のアノード集電体を含むことができるが、第2電気化学セル804のアノード層202材料が、第1電気化学セル802の電解質層302の空隙402を通って伝播する可能性を低下させる。したがって、空隙402が形成されると第1の電気化学セル802のアノード層202の材料は、空隙402を通って伝播し、中間層902と空隙402との間に空き空間が形成されるまでカソードサブ領域204に化学反応を引き起こし、それによって、開回路が生成され、電気化学デバイス800の残りの部分からカソードサブ領域204を分離してもよい。
図9にはアノード集電タブ702が示されているが、一実施形態では、中間層902が、外部製品の回路との接続のために、電気化学デバイス800から外側に離れるように延在するアノード集電体310とすることができる。したがって、アノード集電タブ702は、中間層902と重複する実施形態においては省略することができる。
【0039】
別の実施形態では、中間層902は、積層された電気化学セルのアノード層202間に絶縁層を備えることができる。例えば、絶縁層902は、リチウムに対して不活性である絶縁材料の薄膜であってもよい。かかる材料の例としては、アクリルなどの感圧接着剤、並びにポリイミドなどの他の絶縁材料が挙げられる。絶縁層は、電気的に絶縁性を有するか、又はイオン的に絶縁性を有するか、のうちの一方又は両方であってもよく、これらの特性のいずれかを有する材料から作製してもよい。
【0040】
図10を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたアノード層を有する電気化学セルの平面図が示されている。電気化学セル200は、カソード層の上にアノード層202を備えることができる。更に、アノード層202を、カソード層及び電解質層の上で、上記電気化学セル200にわたって離間した1つ以上のアノードサブ領域1002に細分化することができる。より具体的には、アノードサブ領域1002を、1つ以上の間隙206によって互いに分離してもよい。例えば、1つ以上の間隙206が各アノードサブ領域1002を取り囲んで、アノードサブ領域1002を隣接するアノードサブ領域1002から物理的に分離することができる。
【0041】
一実施形態では、アノード層202は格子パターンを含むことができ、各アノードサブ領域1002は矩形の表面区域を備え、電気化学セル200を横断する1つ以上の直線状の間隙206により、隣接するアノードサブ領域1002から分離されている。アノード層の材料が電解質層上に堆積された後、レーザスクライブを使用してアノード層の材料を除去し、アノードサブ領域1002間に1つ以上の間隙206を形成することができる。あるいは、シャドウマスクを使用して、未充填の間隙206となるマスク領域によって分離されたアノードサブ領域1002を形成することができる。しかし、他のアノード層202のパターンを使用することもできる。例えば、1つ以上の間隙206を任意の形状にレーザスクライビングして、例えば、多角形、円錐形、楕円形等であるアノードサブ領域1002を形成することができる。アノードサブ領域1002の残りのアノード材料は、パターン化されたアノード層202の島を本質的に形成する。アノードサブ領域1002は、アノード層202の他のアノードサブ領域1002と比較して、同じ又は異なる形状を有してもよい。
【0042】
アノードサブ領域1002の形状にかかわらず、上から見た時に、アノード層202は電気化学セルの外周208内に全投影された表面区域を含むことができ、これは、各アノードサブ領域1002の投影された表面区域の合計と、アノードサブ領域1002間の1つ以上の間隙206の投影された表面区域の合計とを含む。例えば、各アノードサブ領域1002は、辺の長さが等しい正方形の形状の投影された表面区域を有してもよく、各間隙206は等しい幅を有してもよい。したがって、電気化学セルの外周208内のアノード層202の全投影された表面区域は、正方形のアノードサブ領域の投影された表面区域、並びに、均一な間隙206内の投影された表面区域、の全てを含むことができる。一実施形態では、パターン化されたアノード領域の利用率、即ち、個々のアノードサブ領域の面積の合計のアノード層202の全表面の面積に対する比率は、30%より小さくあってもよい。例えば、パターン化されたアノード領域の利用率は25%未満であってもよい。一実施形態では、格子パターンは、一つ以上の10マイクロメートルの間隙206によって分離された10マイクロメートルの辺を有する正方形のアノードサブ領域1002を有する。したがって、パターン化されたアノード領域の利用率は、25%であると予想することができる。1つ以上の間隙206を広げるかアノードサブ領域1002を縮小することによって、パターン化されたアノード領域の利用率を低下させることができる。
【0043】
図11を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたアノード層を有する電気化学セルの、
図10のC−C線に沿った断面図が示されている。一実施形態では、電気化学セル200は、アノードサブ領域1002と1つ以上の間隙206とを有するアノード層202と、カソード層304との間に、電解質層302を備え得る。上述したように、アノード層202内の1つ以上の間隙206は、リチウムなどのアノード材料を含むアノード層202部分の間の空間、即ち、アノードサブ領域1002間の空間を画定することができる。間隙206は、例えば、レーザアブレーション処理を使用して、アノード材料と、任意選択的に電解質材料の薄層とを除去することによって、形成することができる。したがって、アノードサブ領域1002は、介在する間隙206によって完全に分離することができる。一実施形態では、アノード層202のアノードサブ領域1002間の間隙206は、単一の誘電体312、例えば、不活性ガス等の誘電体ガス、又は真空により、完全に充填される。更に、バリアフィルム層306は、カソード層304とカソード集電体308との間にあってもよい。一実施形態では、電気化学セル200は、アノード層202と電気的に接触して配置された導電性アノード集電体310を含むことができる。アノード集電体310は、アノード層202のアノードサブ領域1002の全てと機械的及び電気的接触を形成する金属箔を備えてもよい。一実施形態では、電気化学セル200の種々の層は、パターン化されたカソード層304を有する電気化学セル200について上述したものと同様の材料及び寸法を含んでもよい。
【0044】
図12を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたアノード層の下に電解質層の欠陥を有する電気化学セルの、
図10のC−C線に沿った断面図が示されている。一実施形態では、電解質層302は空隙402などの欠陥を含み得る。上述したように、空隙402は、アノード層202とカソード層304との間の電気的リークの経路をもたらす可能性がある。しかし、電気化学セル200にわたって均一な、即ち非パターン化されたアノード層202を有する電気化学セル200と比較して、アノード層の全投影された表面区域のわずか一部を占めるアノードサブ領域1002を有する電気化学セル200がアノードサブ領域1002と位置の揃った空隙402を有する可能性は低い。より具体的には、アノードサブ領域1002の投影された表面区域の合計が、アノード層202の全投影された表面区域の25%に過ぎない場合、空隙402が1つ以上の間隙206と位置が揃う可能性は、3倍高くなり得る。したがって、パターン化されたアノード層202の結果として、アノードサブ領域1002とカソード層304との間の内部短絡による電池の故障の可能性は、パターン化されたアノード領域の利用率に比例して、減少する可能性がある。
【0045】
図13Aを参照すると、一実施形態に係る、細分化されたアノード層の下に電解質層の欠陥を有する電気化学セルの、
図10のC−C線に沿った断面図が示されている。一実施形態では、空隙402は、アノードサブ領域1002と基礎をなすカソード層304との間の電解質層302内にて発生することがある。したがって、空隙402は、アノード層202とカソード層304との間の電気的リークの経路をもたらす可能性がある。即ち、アノードリーク404は、アノード層の材料が、空隙402を通って、カソード層304に入り込む時に生じ得る。アノード材料がカソード材料と相互作用すると、化学反応406がカソード層304を通って伝播し、望ましくない化学生成物を生成する恐れがある。更に、隣接するアノードサブ領域1002からの電子放出が、アノード集電体310を通って、空隙402に隣接するアノードサブ領域1002に入り、次いで、空隙402を通過してカソード層304内に進む経路1302をたどり得る。したがって、空隙402は、全体の電気化学セル200を放電させ得る、アノード層202の自己放電をもたらす恐れがある。
【0046】
図13Bを参照すると、一実施形態に係る、細分化されたアノード層の下に電解質層の欠陥を有する電気化学セルの、
図10のC−C線に沿った断面図が示されている。アノードリークが持続するにつれて、カソード層304内の化学反応は継続し、空隙402に隣接するアノードサブ領域1002が併せて消滅することを伴うことがある。即ち、空隙402の上方のアノード材料がなくなるまで、アノード層材料が空隙402を通って物理的に漏出することができる。これにより、空き空間408が空隙402の上方に、例えば、電解質層302とアノード集電体310との間に、形成され得る。空き空間408によって、電解質層302とアノード集電体310との間に、電気開回路を生成することができる。これにより、アノードリークは最終的に停止することができ、カソード層304における化学反応及び電気リークが停止し得る。一実施形態では、アノードリークはカソード層304の劣化した領域1304を引き起こし得るが、カソード層304のより大きな正常な領域はアノードリークによって影響を受けない可能性がある。このように、パターン化されたアノード層によって、電気化学セル200の性能全体に対する電解質層の欠陥の影響を緩和することができる。
【0047】
図14を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたアノード層間にアノード集電体を有する電気化学デバイスの側面図が、示されている。一実施形態において、電気化学デバイス800は、
図10について説明したように、パターン化されたアノード層を有するいくつかの電気化学セル200から形成することができる。より具体的には、いくつかの電気化学セル200は、互いに対向する対応するアノードサブ領域1002を積層していてもよい。アノード層のアノードサブ領域1002の一部は、アノード集電体310を挟んで互いに直接向き合っていてもよい、即ち、上方から見て(即ち、図面シートの平面に沿って垂直下向きに見た場合)重なり合うように見える可能性がある。アノード集電体310は、連続的な層構造、例えば、連続シート又はフィルム構造を有してもよい。したがって、対応する積層された電気化学セル200のアノードサブ領域1002は、アノード集電体310の連続的な層構造を介して電気的に接続することができる。即ち、電気化学デバイス800の第1の電気化学セル200のアノードサブ領域1002は、アノード集電体310の連続的な層構造を介して互いに電気的に接続され、並びに電気化学デバイス800の第2電気化学セル200のアノードサブ領域1002とも電気的に接続され得る。更に、連続的な層構造を有するアノード集電体310は、電気化学デバイス800の積層された電気化学セル200の対応するカソード層304間にあってもよく、これによって、電気化学セル200を物理的に分離する。
【0048】
一実施形態では、電気化学デバイス800を形成する積層された電気化学セル200のうちの1つ以上は、カソード層304と電気的に接続されたカソード集電体308を含むことができる。例えば、第1のカソード集電体308は、電気化学デバイス800の第1電気化学セル200のカソード層304に電気的に接続され、第2のカソード集電体308は、電気化学デバイス800の第2の電気化学セル200のカソード層304に電気的に接続されてもよい。カソード層304及びカソード集電体308は共に、連続的な層構造、例えば、連続シート又はフィルム構造を有することができる。
【0049】
一実施形態において、電気化学デバイス800は、電解質層302のうちの一つに、アノードリーク404をもたらす空隙402を含む可能性があり、それによって、空隙402に隣接した対応するアノードサブ領域1002の大きさが減少する。したがって、アノードサブ領域1002は、最終的には、
図14に点線で示すように、(空隙402の下ではなく)空隙402から水平方向に離れて空間を充填するように収縮し、空隙402とアノード集電体310との間に空き空間が生じる。したがって、その基礎をなすカソード層304の劣化領域1304は、空隙402に隣接したアノードサブ領域1002の大きさによって、制限され得る。このように、パターン化されたアノード層を有する電気化学デバイスによって、電解質の空隙がデバイス全体の性能に与える影響が限定され得る。
【0050】
図15を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層の上に、細分化されたアノード層を有する電気化学セルの平面図が示されている。一実施形態では、電気化学セル200はいくつかのセルサブユニット1500に細分化することができ、各セルサブユニットは、カソードサブ領域204の上に設けられた少なくとも2つのアノードサブ領域1002を備えてもよい。即ち、アノード層202は、1つ以上のカソードサブ領域204に細分化されたカソード層304の上に、電気化学セル200にわたって離間された1つ以上のアノードサブ領域1002に、細分化することができる。例えば、
図15に示すように、各カソードサブ領域204は、4つのアノードサブ領域1002を支持するための基体を提供することができるが、これは例示であり、これに限定されない。より具体的には、カソード層304は、少なくとも2つのカソードサブ領域204を含むようにパターン化してもよいし、2つ以上のアノードサブ領域1002を、隠線で示されるカソードサブ領域204のうちの1つの上に設けてもよい。カソード層304及びアノード層202のそれぞれで、1つ以上の間隙が、それぞれパターン化された島を取り囲んでもよい。例えば、1つ以上の間隙1502Aは、アノードサブ領域1002を隣接するアノードサブ領域1002から分離することができ、1つ以上の間隙1502Bは、カソードサブ領域602を隣接するカソードサブ領域602から分離することができる。したがって、間隙1502Bはまた、セルサブユニット1500間に延在して、セルサブユニットを分離することができる。上述したように、間隙1502A及び1502Bは、誘電体312、例えば誘電体ガスによって、少なくとも部分的に充填されてもよい。
【0051】
図16を参照すると、一実施形態に係る、細分化されたカソード層の上に細分化されたアノード層を有する電気化学セルの、
図15のD−D線に沿った断面図が示されている。一実施形態では、電気化学セル200は、アノードサブ領域1002及び1つ以上の間隙1502Aを有するアノード層202と、カソードサブ領域204及び1つ以上の間隙1502Bを有するカソード層304との間に、電解質層302を備えてもよい。上述のように、アノード層202中の1つ以上の間隙1502Aは、アノードサブ領域1002間の空間を画定することができる。アノードサブ領域1002は、リチウムなどのアノード材料を含んでもよい。一実施形態では、1つ以上の間隙1502Aは、単一の誘電体312、例えば、不活性ガス等の誘電体ガス、又は真空により完全に充填される。また、上述したように、カソード層304内の1つ以上の間隙1502Bは、カソードサブ領域204間の空間を画定する(及び更に、隣接するカソードサブ領域204上に配置されたアノードサブ領域1002を分離する)ことができる。カソードサブ領域は、カソード材料を含んでもよい。一実施形態では、1つ以上の間隙1502Bは、単一の誘電体312、例えば、不活性ガス等の誘電体ガス、又は真空により完全に充填される。一実施形態では、電気化学セル200は、アノードサブ領域1002と電気的に接触して配置された導電性アノード集電体310を備えることができる。アノード集電体310は、電気化学セル200内の全てのアノードサブ領域1002と機械的及び電気的に接触する金属箔を備えてもよい。更に、電気化学セル200は、カソードサブ領域204と電気的に接続された導電性カソード集電体308を備えてもよい。即ち、カソードサブ領域204は、共通の、又は共有の、カソード集電体308に電気的に接続することができる。電気化学セル200のさまざまな層は、上述したものと同様の材料及び寸法を備えてもよい。
【0052】
一実施形態では、アノード層202とカソード層304は、上述のように、それぞれ格子パターンを備えてもよい。一実施形態では、アノード層202、カソード層304、及び電解質層302は、例えば、カソード集電体310上に均一な層で形成することができる。次いで、これらの層を選択的にレーザスクライビングして、カソードサブ領域204を分離する(及び、隣接するカソードサブ領域204の上に配置されたアノードサブ領域1002をも分離する)1つ以上の間隙1502Bと、カソードサブ領域204のうちの1つ以上の上にあるアノードサブ領域1002を分離する1つ以上の間隙1502Aとを、生成することができる。より具体的には、レーザスクライビングにより材料を除去することによって、カソードの島のうちの1つの上に、1組のアノードの島を有する1組のカソードの島を本質的に生成することができる。シャドウマスクを含む他の方法を使用して、
図16に示される構造を形成することができる。
【0053】
図17を参照すると、一実施形態に係る、カソード層をアノードリークから分離する方法を示すフローチャートが示されている。動作1702では、固体電池等の、電気化学セル200の製造中、又は電気化学デバイス800の組み立て中に、電解質層302中の空隙402を検出することができる。空隙402の検出は、電解質層302上にアノード層202を堆積する前後を含む製造工程中の種々の時点で生じ得る。動作1704では、一度空隙402が検出されると、完成した電気化学セル200のカソード層304が、電解質層302にわたってアノード層202から分離されることを確実にするために、種々の操作を採用され得る。例えば、空隙402を充填する、又はアノード層材料を空隙402の上から除去して、アノードリーク404の可能性を減少させてもよい。空隙402を検出してカソード層304を分離する方法の実施形態について、以下に更に説明する。
【0054】
図18を参照すると、一実施形態に係る、欠陥検出の動作中の電気化学セルの側面図が示されている。動作1702での空隙402の検出として、材料の空隙を発見するために知られている、光学的、電気的、熱的、及びその他の試験法によって実行される検出を挙げることができる。例えば、電気化学セル200を顕微鏡下で観察することで、空隙402を検出してもよい。一実施形態では、アノード層材料が空隙402内に入り込むにつれて、電解質層302の空隙402によって、アノード層202のアノードサブ領域1002にくぼみ1802が生じる。くぼみ1802は、変色、又はアノードサブ領域1002の上面上にある陥没穴などの欠陥のあるトポロジーのように見えることがある。このように、空隙402は光学的な方法によって識別することができる。
【0055】
一実施形態では、空隙402は電気的な方法で検出することができる。例えば、アノード層202は、電気化学セル200の上面上に、いくつかのアノードのサブ領域1002を備えることができる。アノードサブ領域1002の下にある電解質層302の完全性に依存して、アノードサブ領域1002の電圧が変化し得る。例えば、電圧プローブを
図18に示す右端のアノードサブ領域1002上に配置し、第1の電圧測定値を測定し、中央のアノードサブ領域1002を探って第2の電圧測定値を測定することができる。一実施形態では、空隙402が中央のアノードサブ領域1002とカソード層304との間の電気的短絡を生じさせ得ることを考慮すると、第1の電圧測定値は第2の電圧測定値よりも著しく高くなり得る。したがって、パターン化されたアノード層の電圧測定値によって、どのアノードサブ領域1002が空隙402に隣接しているのかを推定することができる。このようにして、歩留りを向上させ、電池性能に対する欠陥の影響を軽減することに加えて、パターン化アノード層202を有する電気化学セル200はまた、製造中の欠陥の識別を容易にすることで、これらに対して製品の包装前に対処することが可能となる。これによって、収率及び製品の性能を更に高めることができる。
【0056】
空隙402を検出する追加の方法を使用してもよい。例えば、検出の電気的方法としては、電気化学セル200にわたって電流又は抵抗を測定することで空隙402の位置を推測することもまた、含まれ得る。熱的な検出方法としては、電流を印加しながら電気化学セル200の表面温度を監視することで、局部的なホットスポットの識別を通して空隙402の位置を推測することが挙げられる。他の方法としては、材料内のピンホール、即ち、電解質層302中の空隙402を検出するために使用することができる、電磁波の偏向、吸収、反射、ラマン散乱等が挙げられる。空隙402が検出された製造の段階に応じて、空隙402の下のカソード層304を分離することにより、空隙402の影響を緩和するためのさまざまな方法が使用できる。特に、アノードリーク404が電気化学セルの機能に及ぼすであろう影響を軽減するために、最終的な電気化学セル200の組み立てにおいて、空隙402の下のカソード層304がアノード層202と電気的に連通しないか、又は周囲のカソード層304領域から分離されるか、のいずれかであることを確実にするために、修正がなされ得る。
【0057】
図19を参照すると、一実施形態に係る、電解質層に欠陥を有する前駆セルの側面図が示されている。前駆セル1900は、電解質層302、カソード層304、バリアフィルム層306、及びカソード集電体308を備えてもよい。このように、一実施形態では、前駆セル1900は、電解質層302上に、アノード層202を堆積する前の製造状態を表している。この段階で、空隙402は、上述したいずれかの方法又は他の検出方法を用いて、電解質層302内にて検出され得る。したがって、アノード層202が電解質層302上に堆積された後に空隙402を介するアノードリーク404の可能性を減少させる修復方法を採用してもよい。
【0058】
図20を参照すると、一実施形態に係る、埋め戻された電解質層を有する電気化学セルの側面図が示されている。一実施形態では、前駆セル1900で検出された空隙402は、充填剤2002で充填することができる。例えば、空隙402を切除、穴あけ、研磨などすることで、電解質層302に貫通穴2004を形成してもよい。穴2004によって、電解質層302中の空隙は広がり、充填剤の挿入をより容易にすることができる。更に、穴2004をカソード層304の上面で停止するように制御することはできるが、一実施形態では、穴2004はカソード層304内に延出してもよい。穴2004を形成した後、充填剤を穴2004内に埋め戻すことができる。したがって、アノード層202がその後の作業で堆積されると、カソード層304は、充填剤2002にわたってアノード層202から電気的に分離され得る。したがって、充填剤2002は、リチウムに対して不活性で、かつ、電気的に絶縁性のあり得る種々の材料を含むことができる。材料の選択肢としては、穴2004内に注入し、その後、例えば、時間、熱及び/又は紫外線照射下で硬化させることができる接着材料を挙げることができる。
【0059】
図21を参照すると、一実施形態に係る、電解質層に欠陥を有する電気化学セルの側面図が示されている。一実施形態では、電解質層302内の空隙402は、アノード層202の堆積後に検出することができる。例えば、アノード層202の上にアノード集電体310を配置する前に、空隙402を検出するために上述の検出方法の1つを使用することができる。一実施形態において、上述のように、電圧プローブを使用して検出を容易にするためにアノード層をパターン化してもよい。したがって、空隙402を介して、カソード層304をアノードリーク404から分離する修復技術を使用してもよい。
【0060】
図22Aを参照すると、一実施形態に係る、アノードリークから分離されたカソード層を有する電気化学セルの側面図が示されている。一実施形態では、空隙402がアノード層202からカソード層304に延出しないように、空隙402上のアノード層202を除去してもよい。即ち、アノード材料は空隙402の第1端部上で除去され、空隙402の上に存在しなくなるため、空隙を通ってリークすることはあり得なくなる。したがって、空隙402を介するアノードリーク404は確立され得ず、したがって、電気化学セル200の性能に及ぼす空隙402の影響を緩和することができる。アノード層202の除去には、空隙402の上に止まり穴2202を形成することが含まれ得る。止まり穴2202の内側寸法は、空隙402の直径と少なくとも同じ大きさにすることができ、止まり穴2202の底部は、電解質層302の上面又はその下で終端してもよい。したがって、修復された電気化学セル200は、空隙402に隣接してアノード層202の材料を有さず、アノードリーク404が発生するリスクを低減することができる。
【0061】
図22Bを参照すると、一実施形態に係る、アノードリークから分離されたカソード層を有する電気化学セルの側面図が示されている。一実施形態では、アノード層202及び空隙402を除去し、カソード層304をアノード層202から分離することができる。より具体的には、止まり穴2202をアノード層202と電解質層302を通して形成することで、空隙402を除去することができる。止まり穴2202の側壁2204は連続していてもよく、側壁2204に沿った各層は電気的に絶縁され、例えばテーパ付き側壁2204を有するように本質的に互いに連続している。即ち、アノード層202及び電解質層302の側壁2004は実質的に互いに連続してもよいが、アノード層202をカソード層304から十分に分離することで、アノード層202の材料がカソード層304と電気的に短絡する可能性を低減することができる。したがって、修復された電気化学セル200は、組み立てられた固体電池におけるアノードリーク404の生じるリスクを低減することができる。
【0062】
図22Cを参照すると、一実施形態に係る、アノードリークからカソード層が分離された電気化学セルの側面図が示されている。一実施形態では、空隙402に隣接するアノード層202を除去するのではなく、カソード層304の一部をカソード層304の残りの部分から分離することにより、アノードリーク404が発生しても、劣化した領域をカソード層304の小部分に限定することができる。したがって、電気化学セルの性能に及ぼす影響を低減することができる。一実施形態では、チャネル2206を空隙402の周囲に形成し、第1カソード部2208を第2カソード部2210から分離してもよい。チャネル2206は環状であり、第1カソード部2208の側壁を含む内壁、及び第2カソード部2210の側壁を含む外壁を備えることができる。更に、チャネル2206は、電気化学セル200又は前駆セル1900の上面からバリアフィルム層306まで延在してもよい(及び更にカソード層304を支持するバリアフィルム層206の上面の下方にまで延出してもよい)。このように、チャネル2206は不連続性を生成して、カソード部分を互いから物理的に分離することができる。一実施形態では、チャネル2206を例えば誘電体充填剤で充填し、物理的、電気的、又はイオン的に、カソード部分を更に分離することができる。アノードリーク404がアノード層202と第1カソード部2208との間に形成される恐れがあるが、第1カソード部2208の容量を小さくすることにより、その部分の全体を化学的に反応させ、次にカソード層304の近くの領域への化学反応の更なる伝播の補助を停止させることができる。したがって、電気化学セル200は、電気化学セル200の性能に及ぼすアノードリーク404の影響を低減することができる。
【0063】
カソード層304を分離することに関して上述したさまざまな修復変形例は、種々の製造技術を用いて行うことができる。例えば、穴2004、止まり穴2202、又はチャネル2206は、例えばレーザアブレーション、研磨剤ジェット加工、エッチングなどのレーザ加工技術を使用して、電気化学セル200の1つ以上の層を通して形成することができる。レーザアブレーションなどのこれらの処理の一部は、従来のレーザ切削加工の場合に典型的であるように、材料厚さ全体を溶融切断することなく、バリアフィルム層306の薄い上部層などの材料層の一部を除去することができる。更に、充填剤2002で穴2004を埋め戻すような、材料を追加することを含む変形例は、コーティング、注入、堆積などの材料の塗布技術を用いて行うことができる。したがって、製品コスト及び性能に対する電解質層の欠陥の影響は、欠陥を検出して修復することによって軽減することができる。
【0064】
本発明はまた、下記の項目別実施形態を提供する。
【0065】
1.電気化学セルであって、アノード層とカソード層との間に電解質層を備え、電解質層は、充填剤により少なくとも部分的に充填された穴を含み、充填剤は、カソード層からアノード層を分離する、電気化学セル。
【0066】
2.電気化学セルであって、アノード層とカソード層との間に電解質層を備え、電解質層は、第1端部からカソード層まで延在する空隙を含み、アノード層は、空隙の上に穴を含み、この穴は空隙をアノード層から分離する、電気化学セル。
【0067】
3.電気化学セルであって、アノード層とカソード層との間に電解質層を備え、電解質層は、空隙と、空隙の周囲に、電解質層及びカソード層を通って延在するチャネルと、を含み、カソード層の第1領域がチャネルによりカソード層の第2領域から分離されている、電気化学セル。
【0068】
4.電解質層内の、第1端部から電気化学セルのカソード層まで延在する空隙を検出することと、カソード層を第1端部から分離することと、を含む、方法。
【0069】
5.電解質層がカソード層とアノード層との間にあり、空隙を検出することはアノード層の1つ以上のアノードサブ領域における電圧を測定することを含む、項目4に記載の方法。
【0070】
6.カソード層を分離することは、カソード層を第1端部から分離するために空隙を充填剤で充填することを含む、項目4に記載の方法。
【0071】
7.空隙がアノード層からカソード層まで延在するようにアノード層を電解質層上に堆積させることを更に含み、カソード層を分離することは、空隙がアノード層からカソード層まで延在しないように、空隙上のアノード層を除去することを含む、項目4に記載の方法。
【0072】
8.空隙がアノード層からカソード層の第1領域まで延在するようにアノード層を電解質層上に堆積させることを更に含み、カソード層を分離することは、カソード層の第1領域がチャネルによりカソード層の第2領域から分離されるように、電解質層とカソード層とを通って空隙の周囲にチャネルを形成することを含む、項目4に記載の方法。
【0073】
上述の明細書では、本発明は、その特定の例示的実施形態を参照して説明されている。以下の請求項に明記されているような本発明のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらに対して種々の変更がなされてもよいことは明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく、例示的な意味で考慮されるべきである。