特許第6621806号(P6621806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621806
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】部品装着機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20191209BHJP
【FI】
   H05K13/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-511440(P2017-511440)
(86)(22)【出願日】2015年4月10日
(86)【国際出願番号】JP2015061275
(87)【国際公開番号】WO2016163029
(87)【国際公開日】20161013
【審査請求日】2018年2月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100125737
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 正隆
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−114182(JP,A)
【文献】 特開2011−082438(JP,A)
【文献】 特開2005−277212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する搬送装置と、
複数の部品を収容した部品供給装置と、
前記部品供給装置から取り出した部品を前記搬送装置上の基板に装着する部品装着装置と、
前記搬送装置、前記部品供給装置および前記部品装着装置を搭載する装着機本体と、
前記装着機本体と一体になって一部に開口部を有する機体を構成するカバー部材と、
前記カバー部材に装着され、機体内部に空気を供給して機内圧力を高くするための空気供給装置と、
前記カバー部材内に設けられ、前記空気供給装置によって供給される空気を所定方向に誘導する整流部材と
を有し、
前記空気供給装置は、前記カバー部材の上部に取り付けられ、前記整流部材は、機体内部の作業空間の上部に配置され、前記空気供給装置から供給された空気の一部を前後方向に誘導するようにしたものであることを特徴とする部品装着機。
【請求項2】
前記空気供給装置は、前記カバー部材の後部に取り付けられたものであることを特徴とする請求項1に記載する部品装着機。
【請求項3】
前記空気供給装置は、下方に向けて空気を供給するように前記カバー部材に取り付けられ、前記整流部材は、前記空気供給装置から供給された空気の一部を前記作業空間の前部へ誘導するようにしたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する部品装着機。
【請求項4】
前記整流部材は、側面部と底面部とを有する溝形状をしたものであることを特徴とする請求項3に記載する部品装着機。
【請求項5】
前記整流部材は、後方から前方へ流れる空気の一部を途中で分流させる分流部が形成れたものであることを特徴とする請求項4に記載する部品装着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体内部への塵埃の侵入を防止する部品装着機に関する。
【背景技術】
【0002】
部品装着機は、カバー部材によって全体が覆われ、機体内部の作業空間にて、基板に対する部品の装着が行われる。すなわち、部品装着機では、部品供給装置によって部品が所定の供給位置に送られ、その部品が吸着ノズルを備えた装着ヘッドにより吸着して搬送され、基板搬送コンベアにより搬入された基板に対して装着される。部品装着機は、全体がカバー部材によって覆われているものの、部品供給のための開口部や基板の搬入や搬出のための開口部が設けられている。そして、機体外部では塵や埃が浮遊し、部品を供給するテープフィーダなどからはテープの剥離片が発生してしまっている。そのため、塵埃が開口部を通って機体内部へと侵入することで、製品の品質の低下を招いてしまう。
【0003】
下記特許文献1には、カバー部材によって覆われた機体内部の圧力を機体外部の大気圧よりも高める構成の部品装着機が開示されている。具体的には、フィルタを通したクリーンな空気をファンによって取り込み、開口部を通して機体内部から機体外部へと空気が噴出するようにしたものである。特に、機体内部の圧力を高める構成として、部品供給のための開口部に対してフラップカバーを備えた開閉ドアが設けられ、基板の搬入や搬出のための開口部に対して閉鎖板が設けられている。そこで、テープフィーダなどが部品装着機へ取り付けられる場合には開閉ドアの開閉操作が行われ、また、基板の搬入および搬出が行われる場合には、開口部に設けられた閉鎖板が可変レールによって左右に移動し、基板のサイズに応じた開口面積の調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−277212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来例は、機体内部の圧力を高めるため、ファンによって供給された空気が開口部から流出し難い構成が採られている。部品装着機は、部品供給や基板の出し入れのための開口部が必須の構成である。そのため、単に空気を送り込むだけでは機体内部の圧力が高まらないからである。よって、前記従来例では、ファンの他に開口部を塞ぐ構成が採られており、特に、開口部としての機能を失わないようにするため、フラップカバーを備えた開閉ドアや閉鎖板を可変レールによって移動させる機構が設けられている。
【0006】
しかし、こうした開口部に対する構造の追加は、部品装着機の製造コストを上げるだけではなく、時には作業者による取扱いミスを生じさせる可能性を含んだものとなる。また、フラップカバーや可変レールなどの可動式の構造は、不具合によってメンテナンスが必要になることもある。よって、空気の流出口である開口部の面積を小さくする構成は、機体内部の圧力を高めるための構成として直接的であるが、部品装着機においては前述するような課題が存在する。
【0007】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、機体内部に供給された空気の流れる方向を調整するようにした部品装着機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様における部品装着機は、基板を搬送する搬送装置と、複数の部品を収容した部品供給装置と、前記部品供給装置から取り出した部品を前記搬送装置上の基板に装着する部品装着装置と、前記搬送装置、前記部品供給装置および前記部品装着装置を搭載する装着機本体と、前記装着機本体と一体になって一部に開口部を有する機体を構成するカバー部材と、前記カバー部材に装着され、機体内部に空気を供給して機内圧力を高くするための空気供給装置と、前記カバー部材内に設けられ、前記空気供給装置によって供給される空気を所定方向に誘導する整流部材とを有し、前記空気供給装置は、前記カバー部材の上部に取り付けられ、前記整流部材は、機体内部の作業空間の上部に配置され、前記空気供給装置から供給された空気の一部を前後方向に誘導するようにしたものである。



【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空気供給装置によってカバー部材内に送り込まれた空気は、空気供給装置による空気の供給方向だけではなく、整流部材によって所定の方向にも誘導されることにより、機体内部の全体に空気が行き渡って内部圧力が機体外部の大気圧よりも高められる。そのため、空気供給装置の稼働中は開口部から機体外部に向けた空気の流れができ、空中に浮遊する塵埃が機体内部に侵入することを防止でき、また機体内部に存在する塵埃を外部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電子部品装着機の一実施形態を示した外観斜視図である。
図2】電子部品装着機の内部構造について一部を透視した状態で示した斜視図である。
図3】電子部品装着機のフレーム構造を示した斜視図である。
図4】電子部品装着機の機体内部における空気の流れを示したフレーム構造の側面図である。
図5】第2実施形態の整流部材を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る部品装着機の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。本実施形態では、回路基板に電子部品を装着する電子部品装着機を例に挙げて説明する。図1は、その電子部品装着機を示した外観斜視図である。ここで示す電子部品装着機1は、同一タイプの装着機が幅方向に複数並べられ、所定の電子部品を回路基板に装着する部品装着ラインを構成するものである。すなわち、部品装着ラインでは、各電子部品装着機1の内部に回路基板が順番に搬送され、各々の装着機において所定の電子部品が装着される。
【0012】
図1では、1台の電子部品装着機1がベース10に搭載された状態が示されているが、ベース10には2台の電子部品装着機1が搭載可能である。この電子部品装着機1は、幅が狭く、幅方向に複数の電子部品装着機1が近接して並べられた部品装着ラインも全体がコンパクトな構成となっている。そして、部品装着ラインを構成する電子部品装着機1は、生産内容に応じてベース10や電子部品装着機1の数および機種が決定される。
【0013】
電子部品装着機1は、幅方向の側面に基板開口部101が形成され、その基板開口部101を通して隣り合う電子部品装着機1との間で回路基板の受け渡しが行われるようになっている。また、電子部品装着機1は、前部に形成された部品開口部102においてテープフィーダ31などのデバイスが装着され、回路基板へ装着する部品の供給が行われるようになっている。なお、本実施形態の説明の中で示す電子部品装着機1の方向は、図1に示すX軸方向が幅方向であり、それに直交するY軸方向が前後方向であり、Z軸方向が高さ方向である。
【0014】
ここで図2は、電子部品装着機1の内部構造について一部を透視した状態で示した斜視図である。電子部品装着機1は、前後方向の中央部分に回路基板を搬送するための基板搬送装置2があり、機体前部には電子部品を供給するための部品供給装置3が設けられている。また、部品供給装置3とは反対の機体後部には、電子部品の装着を実行するための装着ヘッド41が配置されている。この装着ヘッド41は、部品供給装置3から取り出した電子部品を基板搬送装置2上の回路基板へと装着するための駆動機構を備えた部品装着装置4に組み込まれている。
【0015】
電子部品装着機1は、こうした基板搬送装置2、部品供給装置3及び部品装着装置4などが装着機本体81上に構成され、それらを覆うカバー部材82が装着機本体81と一体になって機体が構成されている(図1参照)。よって、カバー部材82で覆われた機体内部には、基板搬送装置2、部品供給装置3及び部品装着装置4などの駆動により、回路基板に電子部品を装着するための作業空間100(図4参照)が構成されている。
【0016】
基板搬送装置2は、2列に並んだベルトコンベアによって2つの搬送部21,22が構成され、回路基板の搬送や、その回路基板に対する電子部品の装着が2箇所で行われるようになっている。隣り合う電子部品装着機1とは基板開口部101を通して回路基板の受渡しが行われるため(図1参照)、基板開口部101は常時開口している。一方、部品供給装置3は、装着機本体81に設置されたデバイステーブル32を支持台として、そこに複数の電子部品を保持したデバイスが装着される。本実施形態のデバイスはテープフィーダ31である。
【0017】
テープフィーダ31は、図1に示すように、部品開口部102の外側にテープフィーダ31のリールが位置し、送出し部が機体内部に入り込んでいる。従って、テープが巻き出されることにより電子部品が順番に機体内部に送り込まれるようにして供給される。こうしたテープフィーダ31は、生産開始に当たって電子部品装着機1に搭載されるほか、生産の途中であっても部品切れが生じれば、該当するテープフィーダ31の交換が行われる。従って、電子部品装着機1の部品開口部102は常時開口している。
【0018】
次に、部品装着装置4は、移動可能な装着ヘッド41を有しており、装着ヘッド41には電子部品を吸着保持することが可能な吸着ノズルが設けられている。吸着ノズルには不図示のエア圧調整装置との間でエア配管が接続され、吸着ノズルに負圧や正圧を生じさせる構成となっている。そのため、負圧にすることで吸着ノズルに電子部品を吸着保持させるほか、正圧にすることで吸着保持した電子部品を吸着ノズルから積極的に離脱させることができるようになっている。
【0019】
部品装着装置4は、機体の前後方向(Y軸方向)と幅方向(X軸方向)との移動は装着ヘッド41が移動し、高さ方向(Z軸方向)は装着ヘッド41に設けられた昇降機構によって吸着ノズルが上下動するように構成されている。従って、装着ヘッド41には昇降機構のほかに回転機構も組み込まれており、吸着ノズルは、装着ヘッド41に対して昇降と回転が可能な構成となっている。一方、Y軸移動機構は、一点鎖線で示すビーム部材49に設けられ、2本のY軸レール42が平行に固定され、そのY軸レール42に対してY軸スライダ45が摺動自在に取り付けられている。2本のY軸レール42の間にはY軸サーボモータ44に連結されたネジ軸43が軸受を介して回転支持され、そのネジ軸43がY軸スライダ45に固定されたナット46を貫いて螺合している。
【0020】
X軸移動機構は、Y軸スライダ45の下方側にX軸レール47が形成され、そのX軸レール47に対してX軸スライダ48が摺動自在に取り付けられている。装着ヘッド41は、このX軸スライダ48に搭載されている。また、Y軸スライダ45にはX軸サーボモータが搭載され、そのX軸サーボモータに連結されたネジ軸がX軸スライダ48に固定されたナットに螺合している。よって、Y軸移動機構とX軸移動機構により装着ヘッド41がXY平面上を移動し、更にその装着ヘッド41に搭載された吸着ノズルが昇降機構によりZ軸方向に移動する。
【0021】
そして、こうした電子部品装着機1では、基板開口部101から搬入した回路基板が基板搬送装置2によって作業場所に位置決めされ、部品供給装置3から送り出された電子部品が装着ヘッド41により取り出されて回路基板へと装着される。こうした部品装着作業では、カバー部材82によって囲まれた機体内部に塵埃が存在すれば、それが回路基板に付着して製品の品質低下を引き起こしたり、吸着ノズルの吸引作用によって詰まりを生じさせるおそれがある。よって、塵埃が機体内部に入り込まず、また機体内部の塵埃が排出されるようにすることが好ましい。
【0022】
ここで、図3は、基板搬送装置2、部品供給装置3及び部品装着装置4などを取り除いた電子部品装着機1のフレーム構造を示した斜視図である。本実施形態の電子部品装着機1は、機体上面に空気供給装置5が取り付けられている(図1参照)。この空気供給装置5は、フィルタとその下方に配設されたファンを備えたものである。よって、ファンが作動することにより、吸引した外気から塵埃がフィルタによって除去され、クリーンな空気が機体内部に供給される。すなわち、空気供給装置5は、機体内部の圧力を機体外部の大気圧よりも高くなるようにして、機体外部の塵埃が機体内部へ侵入するのを防止するためのものである。
【0023】
しかしながら、機体内部に送り込まれた空気は、基板開口部101及び部品開口部102から流出する。特に本実施形態では、前記特許文献1に記載の従来例のように空気の排出量を調整するため、開口部に対して面積縮小のための手段は設けられていない。すなわち、空気の排出面積が大きいままである。そのため、供給した空気が機体内部において偏ってしまい一部の開口部からだけ流出してしまったのでは、他の開口部から機体外部の塵埃が入り込んでしまう。また、本実施形態では、空気供給装置5が機体後部上面に設置されている。そのため、送り込まれた空気は後方部分だけを通って基板開口部101から流出し、機体前部の部品開口部102からは逆に機体内部へ外気が流入することが考えられる。
【0024】
ところで、空気を機体内部へ供給する空気供給装置5は、本実施形態のように機体後部上面に設置することが必須というわけではない。空気の供給という点では任意に設置個所を設定してよい。しかし、本実施形態の電子部品装着機1の場合、機体側面は、図2に示すように並設する他の電子部品装着機1が存在するため不可能であり、背面なども装着機のメンテナンスを行う場合などに邪魔になってしまう。そこで、様々な事情を考慮すれば機体上面であることが好ましい。そして、機体上面であるならば、後部でなはなく中央部分や前部であってもよい。
【0025】
本実施形態では後部に空気供給装置5が設置されているが、これは従来からシグナルランプ6が後部に配置されため、そのシグナルランプ6が作業者から見やすいようにするためである。つまり、シグナルランプ6の前方に空気供給装置5が位置したのでは、電子部品装着機1の前方で作業を行う作業者からは見難くなってしまうからである。そこで、本実施形態では、空気供給装置5が機体後部に設置され、シグナルランプ6は、作業者から見やすいように、空気供給装置5の前部上面に一体的に構成されている。また、空気供給装置5が機体後部にあることにより、空気供給装置5のフィルタ交換などの作業も行い易くなっている。
【0026】
空気供給装置5が電子部品装着機1の機体後部上面に設置されると、ファンによって送り込まれる空気は下方に向かって流れるようになる。そのため、前述したように空気の流れが後部に偏ってしまい、機体内部の圧力にも高低差が生じてしまう。そこで、本実施形態では、機体内部に送り込まれた空気を誘導するための整流部材55が設けられている。特に、本実施形態の整流部材55は、後部において下方に向けて供給される空気を、部品開口部102が存在する前方に向けて誘導するように構成されたものである。
【0027】
整流部材55は、薄肉の鉄板が折り曲げられて形成された側面部と底面部とを有する溝形状の部材であり、ビーム部材49の上に設置されている。そして、整流部材55は、前後2つに分かれており、中間位置までの第1部材551は横幅がほぼ一定であるが、その中間位置から前部にかけ配置された第2部材552は、横幅が徐々に広がるように形成されている。更に、第1部材551はほぼ水平に配置されているが、第2部材552はカバー部材82に倣うように前方が下がるように傾斜している。
【0028】
ここで、図4は、電子部品装着機1の機体内部における空気の流れを示したフレーム構造の側面図である。空気供給装置5から機体内部に送り込まれた空気は、真下に位置するビーム部材49を避けるようにして左右の幅方向に分かれ、カバー部材82との隙間を通り、矢印で示すように下方へと流れる(図3参照)。そして、機体内部を下方に流れた空気は更に前方へと回り込んで流れることになる。一方、ビーム部材49に衝突して前方へと流れた空気は整流部材55に沿って機体前部へと流れる。
【0029】
整流部材55は、開放された上方がカバー部材82によって覆われているため、いわゆる筒形状のようになった流路を構成している。そこで、供給された空気は、その空間を流れて機体前部へと送られることになる。機体前部へと流れた空気は、部材間の隙間を通るようにして下方へと流れ、更に機体前部から後方側に回り込んで作業空間100へと流れる。このとき、機体前部に流れた空気の一部は部品開口部102から機体外部へと流出する。また、前後方向から回り込んだ空気は、側面中央部分に形成されている基板開口部101から流出する。ただし、機体の幅方向に電子部品装着機1が並設されている場合は、基板開口部101の位置が隣のものと接近しているため、互いの流出空気がぶつかり合って排出が制限され、機体内部の圧力が高められる。
【0030】
よって、本実施形態の電子部品装着機1によれば、空気供給装置5により機体内部に供給された空気は、ファンによる空気の供給方向だけではなく、整流部材55によって所定の方向に誘導される。そして、機体内部で偏りなく全体に空気が行き渡り、その機体内部の圧力が機体外部の大気圧よりも高められることになる。そのため、ファンの稼働中は基板開口部101及び部品開口部102では機体内部から機体外部に向けた空気の流れができ、空中に浮遊する機体外部の塵埃が機体内部に侵入することを防止でき、また機体内部に存在する塵埃を外部に排出することもできる。
【0031】
本実施形態では、こうして整流部材55により供給された空気の流れる方向を調整することで、機体内部の圧力が全体的に高まるよう構成されている。従って、機体内部の隅々まで空気が行き渡るようにするため、必要以上に出力の大きなファンを使用する必要はない。また、基板開口部101や部品開口部102の開口面積を調整する特別な構成はなく、機体内部全体の圧力を高めるための構造が従来例に比べて簡素であり、また作業者による特別な作業も必要ない。
【0032】
更に、本実施形態では、前述したようにファンの出力を抑えた空気の供給でよい。そして、ファンによって送り込まれた空気は、ビーム部材49に衝突し、或いは整流部材55により方向が変えられて流れるため、流速が弱められた状態で作業空間100へと送られることになる。よって、作業空間100での流速は遅く、回路基板の部品装着に対する影響を防止することができる。例えば、空気の早い流れによって回路基板上の半田を乾燥させてしまい、電子部品の装着を妨げるようなことが回避できる。
【0033】
続いて、電子部品装着機の第2実施形態について説明する。図5は、本実施形態の要部を示した側面図であり、前記第1実施形態と同様の構成については同一の符号が付されている。また、電子部品装着機に関する主要な構成は前記第1実施形態と共通する。そして、こうした本実施形態では、前記第1実施形態と同様にカバー部材82の上面に空気供給装置5が取り付けられ(図1参照)、ビーム部材49の上に整流部材56が設置されている。その整流部材56は、薄肉の鉄板が折り曲げられて幅方向の側面部と底面部とを有する溝形状に形成されたものである。
【0034】
整流部材56は、前後2つに分かれており、中間位置までの第1部材561は横幅がほぼ一定であるが、その中間位置から前部にかけ配置された第2部材562は、横幅が徐々に広がるように形成されている。更に、第1部材561はほぼ水平に配置されているが、第2部材562はカバー部材82に倣うように前方が下がるように傾斜している。更に、本実施形態の整流部材56は、第1部材561の側面部に分流部565が形成されている。
【0035】
分流部565は、整流部材56内を流れる空気の一部を側方へ流すためのものであり、第1部材561の左右両側に形成され、整流部材56の長手方向に2箇所ずつ形成されている。その分流部565は、第1部材561の側面に切り込みが入れられて矩形形状の扉567が形成され、空気供給装置5が位置する後方側(図面右側)を軸として整流部材5の外側に折り曲げられている。ただし、分流部565は、こうした構成に限定されるわけではない。例えば、第1部材561に対する切り込みの入れ方を変え、同じ矩形形状の扉が前方側を軸として整流部材56の内側に折り曲げられるようにしたものであってもよい。また、第1部材561の側面に扉567の大きさで切り欠いたものであってもよい。
【0036】
そこで、本実施形態の電子部品装着機によれば、空気供給装置5によって機体内部に供給された空気は、ビーム部材49を回避するように左右外側に回り込んでカバー部材82との隙間を通り下方へと流れ、更に機体前部へと回り込んで作業空間100へと流れる(図4参照)。また、供給された空気は、ファンによる送風方向だけではなく、整流部材56によって機体前方にも誘導される。従って、ビーム部材49に衝突して前方へと流れた空気は整流部材56に沿って機体前部へと流れ、更に下方へと向かい機体後方へと回り込んで作業空間100へと流れる。その際、整流部材56に沿って前方へ流れる空気の一部が分流部565から側方に流れ出し、幅方向両側から下方の作業空間100へと流れる。
【0037】
よって、本実施形態でも、機体内部の全体に空気が行き渡ることになり、内部圧力が機体外部の大気圧よりも高められる。そのため、ファンの稼働中は基板開口部101及び部品開口部102では機体内部から機体外部に向けた空気の流れができ、空中に浮遊する機体外部の塵埃が機体内部に侵入することを防止でき、また機体内部に存在する塵埃を外部に排出することもできる。特に、本実施形態では、整流部材56の分流部565を通った空気の流れができ、更に機体内部の部全体に空気が行き渡って偏りなく内部圧力が高められることになる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
前記実施形態では、空気供給装置5による空気の供給方向が真下に設定されているが、例えば、斜め前方へ供給されるように空気供給装置5を傾けて設置するようにしてもよい。それにより、機体の後部上面に設置され空気供給装置5から機体内部全体へと空気が流れやすくなる。
また、空気供給装置5の位置は機体の後部上面ではなく、前後中央部分に設置して前後方向に整流部材を配置させたり、前部上面に設置して後方に向けて整流部材を配置させるようにしてもよい。
また、部品装着機は、前述した電子部品装着機以外のものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…電子部品装着機 3…部品供給装置 4…部品装着装置 5…空気供給装置 6…シグナルランプ 49…ビーム部材 55…整流部材 81…装着機本体 82…カバー部材 100…作業空間 101…基板開口部 102…部品開口部









図1
図2
図3
図4
図5