【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の目的は、高効率で処理排気から不純物を分離することができる方法および再生式分離装置、特に濾過装置を提供することである。
【0007】
この目的は、独立請求項の教示によって達成される。本発明の特に好ましい構成は、従属請求項の主題である。
【0008】
処理排気から不純物を分離するための本発明の方法は、処理排気を分離装置、特に濾過装置に通過させるステップと、再生流を分離装置、特に濾過装置に通過させることによって、分離装置を再生するステップと、再生中に分離装置、特に濾過装置を通過した再生流を、所定の第1限界値よりも低い不純物濃度を有する第1部分流と、所定の第2限界値以上の不純物濃度を有する第2部分流とに分流するステップとを含み、所定の第2限界値は、所定の第1限界値以上である。本発明の方法は、再生中に生成された第1部分流を分離装置、特に濾過装置に返流するステップと、再生中に生成された第2部分流を浄化装置に導入するステップとを含む。
【0009】
この方法において、比較的低い濃度の不純物を含有する再生流の一部は、第1部分流(「分岐流」)として分岐され、分離装置、特に濾過装置に返流される。このようにして、再生流の第2部分流(「濃縮流」)中の不純物の濃度が濃縮される。第2部分流を浄化装置に供給することによって、浄化装置の効率を高めることができる。さらに、第1部分流を分離装置、特に濾過装置に返流することによって、分離装置、特に濾過装置中の不純物の濃度が高くなり、したがって再生流の第2部分流が濃縮される。これによって、浄化装置全体の効率を改善することができる。本発明の方法を用いて、通常2段階の濾過装置を用いて達成できる高濃縮係数または濃縮係数(例えば、40:1以上)を達成することができる。
【0010】
本発明の方法は、高濃縮係数または濃縮係数を達成できるため、低い濃度または含量の不純物を含有する処理排気の浄化に特に適している。しかしながら、この方法は、高濃度の不純物、特に可燃性副成分を含有する処理排気流にも有利に適している。この場合、第2部分流を濃縮すると、その濃度が爆発限界の下限値(LEL)、例えば25%を超えてしまう。好ましくは、この第2部分流は、追加の装置を使用せず、例えば(空気)トーチまたは適切な分解バーナーなどの簡単な浄化装置において直接に浄化されてもよい。この用途において、第1部分流を分岐することによって、第2部分流中の不純物濃度を増加するため、例えばトーチの効率を改善することができる。
【0011】
より低い不純物濃度を有する第1部分流は、例えば、分離装置、特に濾過装置を再生する第1段階または初期段階に形成される。この時に、分離装置、特に濾過装置がまだ低い温度レベルを有するため、僅かな不純物が分離部、特にフィルタから脱着される。この場合、第1部分流は、比較的低い不純物濃度だけではなく、より低い温度も有する。一方、第2部分流は、例えば、分離装置、特に濾過装置を再生する第2段階に形成される。この時に、分離装置、特に濾過装置がより高い温度レベルに達している。この場合、第2部分流は、より高い不純物濃度だけでなく、より高い温度も有する。一方、例えば、分離装置、特に濾過装置を非常に急速に加熱する場合に、より高い不純物濃度を有する第2部分流は、再生の初期段階に形成されてもよい。このときに、例えば分離装置、特に濾過装置を(長く)冷却する必要がある場合、より低い不純物濃度を有する第1部分流は、再生の後期に形成されてもよい。両方の変形例において、浄化装置に供給された第2部分流がより高い温度を有するため、浄化装置の効率を高めることができる。必要に応じて、清浄装置は、自己熱交換により(すなわち、追加のエネルギーを供給することなく)または余分のエネルギーで動作することができる。これによって、システム全体のエネルギー需要を最適化することができる。
【0012】
第1部分流を分岐して返流することによって、濃縮段階および2つのサブ段階に分けられた再生段階の間に、所定の期間、可能且つ必要な場合に可変期間に亘って、処理排気の所定不純物濃度、可能且つ必要な場合に時間的に変動する不純物濃度における再生流の潜在的に可変な流速の時間積分の合計を達成することができる。再生段階は、減少した流速によって区別されるが、2つのサブ段階は、具体的に各々の不純物濃度によって異なる。
【0013】
原理的には、本発明は、酸化可能な汚染物質、特に低濃度の汚染物質を含有するすべての排ガス/排気に有利に適用することができる。この点について、特に処理排気という用語は、少なくとも1つの上流工程または上流源からの、一定含量または濃度の不純物を含む排ガスおよび/または排気として理解すべきである。不純物は、排ガスまたは排気の少なくとも1つの可燃性副成分、例えば揮発性有機成分(VOC)である。処理排気は、具体的に、一定含量または濃度の有機溶媒(例えば塗装産業)を有する溶媒含有処理排気であってもよい。さらに、処理排気は、炭鉱ガス(すなわち、換気メタン(ventilation air methane、VAM))、濃縮されていないバイオガスまたは廃棄物焼却プラントからの排気、印刷工場またはプラスチック処理工場からの少量VOCを含有する排気などであってもよい。
【0014】
好ましくは、分離装置、特に濾過装置は、処理排気が通過するときにその中に含まれる不純物(例えば、有機溶媒)を物理的に付着させることができる分離部、特にフィルタを含む。好ましくは、分離部は、吸着フィルタ、吸収フィルタ等として形成される。このため、分離部、特にフィルタは、好ましくは、活性炭、ゼオライトまたは他の適切なフィルタ材料を含む。
【0015】
再生流は、好ましくは熱空気であり、より好ましくは約140〜450℃温度範囲の熱空気である。好ましくは、再生流は、処理排気が分離装置、特に濾過装置を通過する方向とは反対の方向に沿って、分離装置、特に濾過装置、または分離部、特にフィルタを通過する。
【0016】
この文脈において、濃度という用語は、混合物の体積に対する含量の任意種類の定義(ドイツ工業規格DIN1310)であってもよい。したがって、この文脈において、濃度という用語は、具体的に、モル濃度(容積モル濃度)、当量濃度(規定度)、質量濃度、体積濃度および粒子濃度(粒子密度)を含む。
【0017】
再生流の第1部分流は、第1所定の限界よりも小さい不純物濃度、すなわち比較的低い不純物濃度を有する。第1所定の限界は、好ましくは、第1部分流の不純物濃度が処理排気内の不純物の最大濃度になるように選択される。再生流の第2部分流は、所定の第2限界値、すなわち中程度またはより高い不純物濃度を有する。第2所定の限界は、好ましくは、第2部分流の不純物濃度が処理排気の不純物濃度を超えるように選択される。
【0018】
本発明に係る方法または分離装置、特に濾過装置の好ましい構成において、導入された処理排気が分離装置、特に濾過装置を通過する間に、処理排気中の不純物、特に少なくとも1つの可燃性副成分、例えば揮発性有機成分(VOC)などの導入濃度または含量が低減されるため、排出される処理排気中の排出濃度が、少なくとも処理排気を環境に排出するためにこれらの不純物に関連する法的要件または基準要件に適合するか、または対応種類の不純物が満たさなければならない法的要件が存在しない場合に、少なくとも環境に害を与えないように認められる。
【0019】
特に好ましい変形例において、再生流の第1部分流内の不純物濃度の第1所定の限界値は、導入される処理排気中の導入濃度よりも低い。さらに、再生流の第2部分流内の不純物濃度の第2所定の限界値は、好ましくは、導入される処理排気の導入濃度よりも高い。特に、第2部分流内の不純物濃度の第2限界値または少なくとも第2部分流内の不純物濃度と導入濃度との比は、2:1〜40:1であり、好ましくは10:1〜30:1であり、好ましくは少なくとも20:1である。
【0020】
この文脈において、浄化装置は、再生流の第2部分流から、不純物を抽出または回収するように構成された装置である。浄化装置は、好ましくは、再生式熱酸化(RTO)、直接加熱酸化(TO)、復熱式触媒酸化(CO)、再生式触媒酸化(RCO)、凝縮等を行うように構成され、もしくは第2部分流または第2部分流に含まれた可燃性不純物を燃焼させるための燃焼装置を有するガスタービン集合体を含む。再生流は、第2部分流および浄化装置と共に、閉鎖式または開放式再生回路を形成することができる。
【0021】
ガスタービン集合体は、例えばDE102013203448A1に開示されているように、好ましくはマイクロガスタービン集合体である。この先願の構成および動作は、参照によって完全に援用される。
【0022】
本発明の好ましい構成において、再生中に生成された第1部分流の流量が、可変に制御される。好ましくは、再生中に生成された第1部分流の流量と再生中に生成された第2部分流の流量との比が、可変に制御される。このようにして、再生流の第2部分流の濃縮および温度を最適化することができ、その結果、浄化装置の効率を高めることができる。好ましくは、再生流の第1部分流の流量または流量比は、浄化装置が自己熱交換により、すなわち追加のエネルギー供給なしで作動できるように、制御される。好ましくは、第1部分流の制御は、第1部分流の温度、第1部分流の不純物濃度、第2部分流の温度、第2部分流の不純物濃度、処理排気の温度、処理排気の不純物濃度、処理排気の流量、再生流の温度、再生流の流量、および/または浄化装置のエネルギー収支に応じて、行われる。
【0023】
本発明の好ましい構成において、再生中に生成された第1部分流は、分離装置、特に濾過装置の上流の処理排気に供給される。このようにして、処理排気および第2部分流の不純物濃度を高めることができ、その結果、浄化装置の効率をさらに高めることができる。代替的または追加的に、再生中に生成された第1部分流を分離装置に直接に導入することも可能である。
【0024】
本発明の別の好ましい構成において、分離装置、特に濾過装置は、処理排気の再生と次回浄化との間に、冷却空気流によって冷却される。再生処理後、再生のために昇温された温度から、分離装置、特に濾過装置を不純物の吸着に適する温度範囲に冷却することが有利である。
【0025】
この構成において、再生中に生成された第1部分流は、好ましくは、分離装置、特に濾過装置の上流の冷却空気流に供給されてもよい。このようにして、分離装置、特に濾過装置の不純物濃度、したがって第2部分流の不純物濃度を高めることができ、その結果、浄化装置の効率をさらに改善することができる。
【0026】
本発明の別の好ましい構成において、再生中に生成された第2部分流から、さらなる部分流を分岐して、分離装置、特に濾過装置に返流する。この分岐されたさらなる部分流は、好ましくは、第1部分流、処理排気および/または再生流に供給される。このようにして、分離装置、特に濾過装置の不純物濃度、したがって第2部分流の不純物濃度をさらに高めることができ、その結果、浄化装置の効率をさらに高めることができる。
【0027】
本発明のさらに別の好ましい構成において、分離装置、特に濾過装置は、連続的に動作する。この目的のために、分離装置、特に濾過装置は、好ましくは、(例えば円盤状の)回転式分離部、特にフィルタを含む。この回転式分離部は、濾過、再生、および必要に応じて冷却を行うために、分離装置、特に濾過装置の各領域を連続的に通過する。
【0028】
本発明に従って、処理排気から不純物を分離するための再生式分離装置、特に濾過装置は、処理排気を導入するためのポートと、分離装置、特に濾過装置に導入された処理排気から不純物を受け取るための分離部、特にフィルタと、清浄空気を排出するためのポートと、再生流を導入するためのポートと、分離部、特にフィルタを通過した再生流を、所定の第1限界値よりも低い不純物濃度を有する第1部分流と、第2所定の限界値以上の不純物濃度を有する第2部分流に分流するための分割手段とを含み、第2所定の限界値は、第1所定の限界値以上であり、第1部分流を排出するためのポートと、第2部分流を排出するためのポートとを含む。
【0029】
この分離装置、特に濾過装置によって達成され得る利点および用語の定義に関して、本発明に係る方法に関連する上記の説明を参照する。上記の説明は、分離装置、特に濾過装置に同様に適用することができる。
【0030】
本発明の好ましい構成において、分割手段は、第1部分流の流量を可変に制御するように構成され、設計される。好ましくは、分割手段は、再生中に生成された第1部分流の流量と再生中に生成された第2部分流の流量との比率を可変に制御するように構成される。この目的のために、分割手段は、好ましくは、調整可能な仕切壁または調節可能な流量調節器などを含む。
【0031】
本発明の好ましい構成において、分離部、特にフィルタは、その端面に処理排気および再生流が連続的にロードされ得るロータとして設計される。分離部、特にフィルタは、好ましくは円盤状に形成される。ロータの軸配向は、原則的には自由に選択可能であり、好ましくは実質的に水平または実質的に垂直である。
【0032】
この構成において、分離装置、特に濾過装置は、好ましくは、扇形の分離ゾーンまたは濾過ゾーンと、扇形の再生ゾーンとを含み、分離ゾーンと再生ゾーンとは、重ならない。分離ゾーンは、好ましくは、処理排気を導入するためのポートと、浄化排気を排出するためのポートとに接続される。再生ゾーンは、好ましくは、再生流を導入するためのポートと、第1部分流を排出するためのポートと、および第2部分流を排出するためのポートとに接続される。再生ゾーンの面積と分離ゾーンの面積との比率は、好ましくは約5%〜約25%、より好ましくは約10%〜約15%の範囲である。
【0033】
また、この構成において、好ましくは、分割手段は、分離部、特にフィルタの回転方向に沿って、再生ゾーンを第1サブゾーンと第2サブゾーンとに分割する。再生ゾーンの第1サブゾーンは、好ましくは、再生流を導入するためのポートと、第1部分流を排出するためのポートとに接続され、第2サブゾーンは、好ましくは、再生流を導入するためのポートと、第2部分流を排出するためのポートとに接続される。第1サブゾーンと第2サブゾーンとの面積比は、好ましくは、分割手段によって調整可能である。第1サブゾーンの面積は、好ましくは再生ゾーンの面積の約40%、より好ましくは最大で約30%または最大で約20%である。
【0034】
本発明の別の好ましい構成において、分離装置、特に濾過装置は、冷却空気流を導入するためのポートと、分離部、特にフィルタを通過した後に冷却空気流を排出するためのポートとをさらに含む。
【0035】
この構成において、分離装置、特に濾過装置は、好ましくは、分離部、特にフィルタの回転方向に沿って、再生ゾーンと分離ゾーンとの間に配置された扇形の冷却ゾーンを有する。この冷却ゾーンは、好ましくは、冷却空気流を導入するためのポートと、分離部、特にフィルタを通過した後に冷却空気流を排出するためのポートとに接続される。
【0036】
さらに、本発明の主題は、処理排気から不純物を分離するためのシステム、例えば溶媒含有処理排気から有機溶媒を分離するシステムである。このシステムは、本発明に従って上述した再生式分離装置、特に濾過装置、および分離装置、特に濾過装置の再生処理中に生成された第2部分流から不純物を抽出または回収するための浄化装置を含む。また、このシステムは、本発明に従って上述した方法の実施に特に適している。
【0037】
本発明の好ましい構成において、システムは、再生処理中に生成された第1部分流を分離装置、特に濾過装置に返流するための流路をさらに備える。流路は、好ましくは、第1部分流を処理排気に、冷却空気流に、および/または分離装置、特に濾過装置の分離/濾過ゾーンに導入するように構成および配置される。
【0038】
本発明の別の好ましい構成において、システムは、再生処理中に生成された第2部分流からさらなる部分流を分岐する流量制御装置と、さらなる部分流を分離装置、特に濾過装置に返流するための少なくとも1つのさらなる流路とをさらに備える。流量制御装置は、好ましくは、多方向バルブ、流量スイッチなどを備える。さらなる流路は、好ましくは、分岐されたさらなる部分流を再生流に導入する、第1部分流に導入する、および/または処理排気流に導入するように構成および配置される。
【0039】
上述した本発明の方法、上述した本発明の再生式分離装置、特に濾過装置、および上述した本発明のシステムは、工業表面処理プラントにおいて、被加工物の表面を処理するために有利に適用することができる。好ましくは、本発明は、塗装工場において、塗装排気から有機溶媒を分離する必要のある車両部品、特に車体を塗装するために適用することができる。さらに、本発明は、酸化可能な汚染物質を含有するさまざまな排ガス/排気、例えば、炭鉱ガス、濃縮されていないバイオガスまたは廃棄物焼却プラントからの排気、印刷工場またはプラスチック処理工場からの少量VOCを含有する排気などを浄化するために有利に適用することができる。
【0040】
本発明の上記および他の利点、特徴、工程および可能な適用例は、添付図面を参照しながら、以下のさまざまな実施形態の詳細な説明からより明らかになるであろう。