【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明の第一の主題は、車両前面窓のための発光性信号伝達グレージングユニットであって、
・次のものを含む積層グレージングユニット、すなわち、
・それぞれ面F1及び面F2と呼ばれる第一及び第二の主面を有する第一のグレージング板であって、任意選択的に透明であり、超透明であり又は着色されており、特に灰色又は緑色であり、好ましくは、外側グレージング板を形成する湾曲した無機ガラスで製作されていて、厚さが好ましくは最大で2.5mm、さらには最大で2mm、特に1.9mm、1.8mm、1.6mm及び1.4mmであり、又はさらには最大で1.3mm又は最大で1mmである、第一のグレージング板、
・任意選択的に透明であり、超透明であり又は着色されており、特に灰色又は緑色の積層中間層であって、好ましくは熱可塑性ポリマー材料及びなおもより良好にはポリビニルブチラール(PVB)で製作されており、厚さe1が最大で1.8mm、なおもより良好には最大で1.2mm、さらには最大で0.9mm(さらになおもより良好には少なくとも0.38mm、さらには少なくとも0.7mm)であり、特に第一のグレージング板の端面から最大で2mmだけ後退しており、且つ第二のグレージング板の端面から最大で2mmだけ後退している、積層中間層、及び、
・第三及び第四の主面、すなわちそれぞれ面F3及び面F4、を有する第二のグレージング板であって、好ましくは湾曲しており、且つ好ましくは透明又は超透明であり又はさらには着色されている無機ガラスから製作されて、内側グレージング板を形成しており、厚さが好ましくは第一のグレージング板のそれよりも小さく、さらには最大で2mm、特に1.9mm、1.8mm、1.6mm及び1.4mmであり、又はさらには最大で1.3mm又は最大で1mmである、第二のグレージング板、
を含む積層グレージングユニットであり、第一及び第二のグレージング板の合計の厚さが好ましくは厳密に4mmより小さく、さらには3.7mmよりも小さい、積層グレージングユニットであって、面F2及び面F3が該積層グレージングユニットの内側面である、積層グレージングユニット、及び、
・面F3に面していて、PCBプリント回路基板の前面と呼ばれる面上の一組の無機発光ダイオードであって、該ダイオードは信号伝達光を放射することができ、各ダイオードは内側グレージング板の方向に放射することができる発光面を有し、且つ各ダイオードは端面を有しており、PCB基板とダイオードとの集成体の合計の厚さがet2、ダイオードの厚さがe2、そしてPCB基板の厚さがe’2であって、et2≦e1である、一組の無機発光ダイオード、
を含み、
前記積層中間層が貫通開口部を有し、
そして本発明によれば、積層中間層が、各ダイオードごとに、ダイオードの端面を取り囲む貫通開口部を、特に隣接するダイオードの間のダイオード間スペースと呼ばれるスペースに、含み、該積層中間層は面F3とPCB基板の前面との間にあり、該積層中間層はダイオードのあるレベルからPCBの前面全体にわたって面F3とPCB基板の前面との間にある、車両前面窓のための発光性信号伝達グレージングユニットである。
【0007】
従来技術でなされたように、PCBが完全に収まる開口部を切り取ることは、不良組立品のリスク(気泡、層間剥離、美的欠陥)を増加させた。そこで、本発明は、積層中間層を局所的に切り取ることを提案する。さらに、ダイオードは、ガラスを弱くしないように、中間層よりも厚くない。
【0008】
同様に、本出願の第二の主題は、後部窓及び側面窓から選ばれる自動車の信号伝達グレージングユニットであって、
・次のものを含む積層グレージングユニット、すなわち、
・それぞれ面F1及び面F2と呼ばれる第一及び第二の主面を有する第一のグレージング板であって、外側グレージング板を形成している、特に湾曲しており、且つ任意選択的に透明であり、超透明であり又は着色されており、特に灰色又は緑色の無機ガラスから製作されていて、厚さが好ましくは最大で2.5mm、さらには最大で2mm、特に1.9mm、1.8mm、1.6mm及び1.4mmであり、又はさらに最大で1.3mm又は最大で1mmである、第一のグレージング板、
・任意選択的に透明であり、超透明であり又は着色されており、特に灰色又は緑色の積層中間層であって、好ましくは熱可塑性ポリマー材料及びなおもより良好にはPVBで製作されており、厚さe1が最大で1.8mm、なおもより良好には最大で1.2mm、さらには最大で0.9mm(さらになおもより良好には少なくとも0.38mm、さらには少なくとも0.7mm)であり、特に第一のグレージング板の端面から最大で2mmだけ後退しており、且つ第二のグレージング板の端面から最大で2mmだけ後退している、積層中間層、及び、
・第三及び第四の主面、すなわちそれぞれ面F3及び面F4、を有する第二のグレージング板であって、特に湾曲しており、且つ任意選択的に透明であり、超透明であり又は着色されており、特に灰色又は緑色の無機ガラスから製作されて、内側グレージング板を形成しており、厚さが好ましくは第一のグレージング板のそれよりも小さく、さらには最大で2mm、特に1.9mm、1.8mm、1.6mm及び1.4mmであり、又はさらには最大で1.3mm又は最大で1mmである、第二のグレージング板、
を含む積層グレージングユニットであり、第一及び第二のグレージング板の合計の厚さが好ましくは厳密に4mmより小さく、さらには3.7mmよりも小さい、積層グレージングユニットであって、面F2及び面F3が該積層グレージングユニットの内側面である、積層グレージングユニット、及び、
・面F3に面していて、PCBプリント回路基板の前面と呼ばれる面上の一組の無機発光ダイオードであって、該ダイオードは信号伝達光を放射することができ、各ダイオードは外側グレージング板の方向に放射することができる(半導体チップの)発光面を有し、且つ各ダイオードは端面を有しており、PCB基板とダイオードとの集成体の合計の厚さがet2、ダイオードの厚さがe2、そしてPCB基板の厚さがe’2であって、et2≦e1である、一組の無機発光ダイオード、
を含み、
前記積層中間層が貫通開口部を有し、
そして本発明によれば、積層中間層が、各ダイオードごとに、ダイオードの端面を取り囲む貫通開口部を、特に隣接するダイオードの間のダイオード間スペースと呼ばれるスペースに、含み、該積層中間層は面F2とPCB基板の前面との間にあり、該積層中間層はダイオードのあるレベルからPCBの前面全体にわたって面F2とPCB基板の前面との間にある、自動車の信号伝達グレージングユニットである。
【0009】
本発明による「側面窓」という表現は、三角窓を包含する。
【0010】
積層中間層は、好ましくはダイオードのできるだけ近くにあり、且つ好ましくは、切断の際のダイオードの位置決め公差を考慮して、ダイオードの幅よりも広いように選択されるのが好ましい(たとえ中間層が軟質であっても)。1つの好ましい実施形態において、積層中間層は、ダイオードの端面から最大で0.5mm、よりなおも良好には最大で0.2mm、又はさらには0.1mm間隔を開けており、さらにはダイオードの端面と接触する。
【0011】
1つの好ましい実施形態において、e1はセンチメートル未満の寸法、好ましくは0.7mmと0.9mmの間(特に通常のPVBについては0.76mm、そして例えば音響用PVBについては0.81mm)であり、好ましくはe1−et2<0.5mm、さらに好ましくはe1−et2は0.1〜0.3mmの範囲である。e1は、当然、面F2と面F3との間の厚さである。
【0012】
特に、1つの実施形態では、積層中間層は貫通開口部を備えた単一の、好ましくはPVB(透明な、超透明な又は着色された)の薄片から形成され、背面が前面窓の面F2に、又は後部窓又は側面窓の面F3に接触し又は接着結合される。
【0013】
別の実施形態では、好ましくは、PVB積層中間層は、PCB基板の背面と前面窓の面F2との間、又はPCB基板の背面と後部窓又は側面窓の面F3との間に存在することもでき、厚さe’1が、背面と前面窓の面F2との間、又はPCB基板の背面と後部窓又は側面窓の面F3との間で規定される。好ましくは、et2≦e1−e’1(et2≦e1に加えて)である。PCB基板の背面側には、(特に透明な、超透明な又は着色された)薄片(厚さe’1がより薄くてよく、例えば最大で0.38mm、さらには最大で0.2mmでよい)が追加される。この薄片は、好ましくは、広さが開口部を有する薄片と同一である。
【0014】
中間層の厚さの許容度は、過度に多くの気泡を発生する危険性がないように(ダイオードに対して)できるだけ小さくてよい。
【0015】
好ましくは、経済的理由(材料コスト及び行う一連の局所切断の単純化)のために(PVBの)単一シートを中間層のために使用することができる。
【0016】
全く最近商業的に入手可能になったばかりの新しい超薄型パワーダイオードを選択することにより、(安全性向上のために.38mmよりも)標準的な0.78mm又は0.81mmの厚さが好ましい(PVBの)単一シートを使用することが可能になる。
【0017】
上記のように、2つの(又はそれより多くの)薄片(好ましくはPVBの)を、追加の機械的強度を示すように使用することが可能である。例えば、
・厚さが最大で0.4mm、特に0.38mmの貫通開口部を有する薄片、及び、
・厚さe’1が最大で0.4mm、特に0.38mm、さらには最大で0.2mm、特に0.19mmの別の薄片。
【0018】
ダイオード(及びPCB基板)が十分に薄い場合には、逆も可能であろう。例えば、
・厚さが最大で0.4mm、特に0.38mm、さらには最大で0.2mm、特に0.19mmの、貫通開口部を有する薄片(好ましくはPVBの)、及び、
・厚さが最大で0.4mm、特に0.38mmの別のシート(好ましくはPVBの)。
【0019】
1つの好ましい実施形態では、おのおのの好ましくはパワーダイオードは、半導体チップを含む電子部品であり、該電子部品の端面を封止する(そしてダイオードの端面を画定する)ポリマー又はセラミック周縁パッケージを備え、該パッケージは前記部品の前面を越えて突出し、そして半導体チップを取り囲んでおり、ラミネート中間層は(積層の際のクリープのために)、パッケージの前記前面と前面窓の面F3又は側面窓もしくは後部窓の面F2との間にまで延在する。
【0020】
パッケージは、ダイオードの最大厚さ(高さ)に対応することができる。パッケージは、例えばエポキシで製作される。ポリマーパッケージは、場合により、積層の間にたわむことがある(積層後の最終厚さは初期厚さよりも小さくなることがある)。(ポリマー)パッケージは不透明でもよい。
【0021】
ダイオードは、小型にするのを容易にするため半導体チップの上に光学素子(レンズなど)を含まなくてよいが、光学素子が積層グレージングユニットに統合されるのに十分に小さくてもよい。ダイオードは、通常は半導体チップ上に、保護用の樹脂又は色変換機能を有する材料を含むことができる。半導体チップは、材料(樹脂など)中に埋め込まれてもよい。
【0022】
積層中間層がPCB基板と接触するときに、積層中間層は端面から最大で0.5mm、なおもより良好には最大で0.1mmだけ間隔を開けて離れていてよく、そして積層中間層は、積層後に、クリープのために、半導体チップを取り囲みながら、端面に近づき、そしてさらには端面に接触して、さらには部品の前面を越えて突出してもよい。
【0023】
好ましくは、ダイオードはPCB基板の前面上に表面実装された部品であり、そしてダイオードはランバート型又は擬似ランバート型発光パターンを有する。
【0024】
1つの好ましい実施形態では、積層中間層はPVBで製作され、e1は0.7〜0.9mmの範囲であり、そしてe’1は、該当する場合、最大で0.4mmであり、そしてダイオードはPCB基板の前面に表面実装された部品であり、e’2は最大で0.2mm、さらにより良好には最大で0.15mmであり、さらには最大で0.05mmである。
【0025】
PCB基板の幅は、好ましくは最大で5cmであり、さらにより良好には最大で2cmであり、さらには最大で1cmである。単一の半導体チップを含むダイオード、一般に正方形のダイオード、の幅(又は長さ)は、好ましくは最大で5mmである。複数の半導体チップを含む(通常はパッケージにより取り囲まれている)、一般に長方形の、ダイオードの長さは、好ましくは最大で20mmであり、なおもより良好には最大で10mmである。
【0026】
PCB基板(好ましくは、湾曲した積層グレージングユニットの曲率に従うのに十分に軟質である)は、前面窓については面F2に又は後部窓もしくは側面窓については面F3に接着結合させることができ、又はそれに対して押圧することができ、粘着剤(接着剤又は好ましくは両面接着剤)による接着結合の厚さはe3で、e3≦0.1mmであり、なおもより良好にはe3≦0.05mmであり、さらにはe3+e’2が最大で0.15mm、なおもより良好には最大で0.1mmである。この接着剤を用いる場合、好ましくは、e3+et2≦e1である(とりわけダイオードのゾーンのPCBの背面上に存在する場合に)。
【0027】
接着結合は、全長にわたるか又は、ダイオードを含む及び/又は含まないゾーンにおいて、不連続になっている。
【0028】
ダイオードは、好ましくはパワーダイオードであり、該ダイオードは制御時に、特に積層中間層のポリマー材料の軟化温度を下回る温度を維持するように、特に最高で130℃、なおもより良好には最高で120℃、さらには最高で100℃に維持するように、電流供給が好ましくは少なくとも10分の1、さらには少なくとも20分の1にされる(それゆえ、電流/10又はさらには電流/20となる)。
【0029】
これらのダイオードは、過度に加熱することなく優れた効果を保証する。
【0030】
例えば、1Aの電流が供給されるダイオードでは、50mAと100mAの間が選択される。
【0031】
無機ダイオードは、例えば、リン化ガリウム、又は窒化アルミニウムガリウム、窒化ガリウムをベースとする。
【0032】
PCB基板は、湾曲した積層グレージングユニットの曲率に従うのに十分に軟質(曲がりやすい)であることができる。
【0033】
1つの実施形態において、PCB基板は、特に金属又は透明導電性酸化物で製作され、好ましくは透明である、導電性トラックを備えた、好ましくは透明なプラスチックで製作された、好ましくはポリエチルテレフタレート又はPET又はポリイミドで製作された、フィルムを含み、そして表面実装ダイオードを装備している。導電性トラックは、印刷されるか、又は他の任意の被着方法、例えば物理的気相成長法により被着される。導電性トラックは金属線であることもできる。導電性トラックとフィルムは、それらが目に見える場合には、すなわちそれらが前面窓では特に面F4もしくはF3上で、あるいは側面窓もしくは後部窓では面F2上で、マスキング要素(層)(例えば、エナメル又はさらには塗料の被膜など)により隠蔽されていない場合には、透明であることが好ましい。導電性トラックは、透明な材料で製作されるので、又は十分に薄くて(ほとんど)目に見えないため、透明であることができる。
【0034】
ポリイミドフィルムは、その代わりに用いられるPET又はさらにはPEN(ポリエチレンナフタレート)と比較して高い温度に対する耐性がより良好である。
【0035】
好ましくは、PCB基板(好ましくは曲った形状で、なおもより良好にはL字状の)は少なくとも積層グレージングユニットの端面のところまで延在し、そして好ましくは、端面を超えて突出し、そしてPCB基板の背面と前面窓の面F2又は後部窓もしくは側面窓の面F3との間にシールが収容され、このシールは液体の水に対して漏れることがなく、そして厚さが最大で0.1mmであり、さらにより良好には最大で0.05mmであって、特に両面接着剤である。このような接着剤はオーバーモールディングする解決策よりも好ましい。それは、(すべての)PCB基板を固定するために使用される好ましくは透明な接着剤であることができる。
【0036】
曲げられた、特にL字状のPCB基板は、ダイオードを支持する第一の(長方形の)部分(曲がり部を有する)と、積層グレージングユニットの端面に通じそしてさらにはそれを越えて突出する接続のための(長方形の)第二の部分とを含むことができる。この第二の部分は第一の部分よりも(ずっと)長くてよい。
【0037】
グレージングユニット(前面窓、後部窓、側面窓)は、同一の機能又は別個の機能を有する複数の信号伝達光源を含むことができる。
【0038】
より大きな信号伝達領域及び/又は異なる色を得るために、所与のPCB基板上にダイオードの複数の列を有すること、又はさらには2つのPCB基板を隣り合わせて配置する(少なくともダイオードを有するPCBのゾーンを隣り合わせて配置する)ことが可能である。
【0039】
所与のPCB基板上で、ダイオードは同一の光又は異なる色の光を、好ましくは同時でなく、放射することができる。
【0040】
慣例的に、ダイオードは、前面窓(ドライバー側)又は後部窓もしくは側面窓の1つの長手方向もしくは側部の縁に沿って発光性ストリップを形成する(少なくとも)1つの列をなしている。
【0041】
当然ながら、積層中間層は面F3(F2)と直接接触することができ、又はこの面上の慣用的な機能性コーティングと接触することができ、該コーティングは、とりわけ薄膜多層(1以上の銀膜を含む)であり、例えば加熱層、アンテナ、太陽光制御又は低E層、又は装飾性もしくは(不透明な)マスキング層、例として一般に黒色のエナメルなどの層、である。
【0042】
PCB基板は、グレージング領域にあることができ、そして任意選択的に、不透明の縁(一般にエナメルのフレーム)から間隔を開けて離れている。例えば、PCB基板は1つの側方又は長手方向の縁に沿って配置され、又はさらには側方の縁の間の中央に、とりわけ実質的に中ほどのところに、そしてさらには上部の長手方向の縁(はめ込まれた位置において)よりも下部の長手方向の縁の近くに配置される。ほとんどの場合、面F2上に不透明層が存在し、そして面F4又はさらにはF3上に不透明層が存在する。それらの幅は同一であるか.または異なっている。
【0043】
PCB基板(少なくともダイオードを有するゾーン、又はPCBが特にL型に曲げられている場合には少なくともダイオードのないゾーン)は、積層グレージングユニットの周辺端部に沿って、一般に面F2及び/又は面F4上あるいはさらには面F2及び/又は面F3上の、不透明層、とりわけ(黒色の)エナメル、の領域に又はその近くに配置することができる。
【0044】
第一の実施形態では、PCB基板を前面窓の領域に、すなわち外側ガラスが(最も外側の)不透明層、例えば好ましくはF2上の(黒色)エナメルなどにより完全に(又は部分的に)不透明にされる領域に、配置することができる。この不透明層は前面窓のこの領域において、開口部なしの層(連続のバックグラウンド)であること、又は開口部(不透明層のない領域)を有する層、例えば同一又は異なる寸法の一組の幾何学形状(円、長方形、正方形など)又は非幾何学形状のパターン(端面からの距離とともに寸法が低下し及び/又は端面からの距離とともにパターンの間隔が増加する)の形態を取る層、であることができる。
【0045】
この第一の実施形態では、ダイオード又はさらにはPCB基板全体は、情報を、例えば警告(衝突防止の)などを、ドライバー又はさらには他のあらゆる人に対してドライバーの視界を制限することなく表示するために、内部からのみ見ることができるものでよい。
【0046】
PCB基板は、前面窓の領域に、すなわち内側ガラスが不透明層(最も内側の)、例えば好ましくはF4上の又はさらにはF3上の(黒色)エナメルなどにより不透明にされる領域に、配置してもよい。この場合、この不透明層は少なくともダイオードに一致して開口部(被着時にマスクすることによる、又は除去、特にレーザでの除去による)を含む。この不透明層は、例えば、同一又は異なる寸法の不透明な一組の幾何学形状(円、長方形、正方形など)又は非幾何学形状のパターン(端面からの距離とともに寸法が低下し及び/又はパターンの間隔が増加する)の形態を取る。不透明パターンの間のゾーンは、ダイオードに一致している。これらのゾーンにおいて、白色エナメルなどの散乱層を面F4又はさらにはF3に追加してもよい。散乱層はこの(最も内側の)不透明層から間隔を開けて離れていてもよく、又はそれに隣接していてもよい。好ましくは、前面窓はさらに、面F2上に不透明層を含む。
【0047】
PCB基板は、後部窓又は側面窓の領域に、すなわち内側ガラスが好ましくはF4又はさらにはF3上の不透明層(最も内側の)により不透明にされる領域に、配置されてもよい。この実施形態では、ダイオード又はさらにはPCB基板全体は、任意の種類の光又は情報を生じさせるために、外部からのみ見ることができる。この不透明層は、後部窓又は側面窓のこの領域において、開口部のない層(連続のバックグラウンド)であること、又は開口部(不透明層なしの領域)を有する層、例えば同一又は異なる寸法の幾何学形状(円、長方形、正方形など)又は非幾何学形状の一組のパターン(端面からの距離とともに寸法が低下し及び/又はパターンの間隔が増加する)の形態を取る、特にエナメルの、層であることができる。好ましくは、後部窓又は側面窓はさらに、面F4又はさらにはF3上に不透明層を含む。
【0048】
PCB基板は、後部窓又は側面窓の領域に、すなわち外側ガラスが好ましくはF2上の(黒色)エナメルなどの不透明層(最も外側の)により不透明にされる領域に、配置されてもよい。この場合、この不透明層は、少なくともダイオードに一致して開口部(被着時にマスクすることによる、又は除去、特にレーザでの除去による)を含む。この不透明層は、例えば同一又は異なる寸法の幾何学形状又は非幾何学形状の一組のパターン(円、長方形、正方形など)(端面からの距離とともに寸法が低下し及び/又はパターンの間隔が増加する)の形態を取る。不透明パターンの間のゾーンは、ダイオードに一致している。これらのゾーンでは、白色エナメルなどの散乱層を面F2に追加してもよい。散乱層は、この不透明層から間隔を開けて離れていてもよく、又はそれに隣接していてもよい。好ましくは、後部窓又は側面窓はさらに、面F4(又はF3)上に不透明層を含む。
【0049】
視覚的快適性のために又はより均一な表示を形成するために、前面窓は、ダイオードに向き合う面F3又は(なおもより良好には)面F4上に、好ましくは白色の散乱層、特に(白色)エナメルを含むことができる。特に視覚的快適性のために、側面窓又は後部窓は、ダイオードに向き合って、面F2(又はさらにはF1)上に好ましくは白色の散乱層、特に(白色)エナメルを含むことができる。ダイオードの寸法の一組の(白色)散乱パターンを設けることができ、又は絵文字などの表示を形成する散乱層を設けることもできる。
【0050】
散乱層は、グレージング領域のゾーンにあってもよく、又は先に示したように、ダイオードと一致する開口部のある黒色エナメルなどの不透明層のある周縁ゾーンにあってもよい。
【0051】
特に、後部窓又は側面窓では、ダイオードは、1つ以上のPCB基板を用いるなどして、1つ以上の文字、標識記号(三角形、障害又は危険標識記号など)、矢印などを形成するように配置することができる。
【0052】
特に、前面窓では、ダイオードは1つ以上のPCB基板を用いて、1つ以上の文字、標識記号(三角形、障害又は危険標識記号など)、1つ以上の矢印(左右の方向指示器に相当するライト)などを形成するように配置することができる。必要に応じて先に説明したような数のPCB基板、及び先に説明したような数のダイオードのセットを、設けることができる。例えば、
・左の側方端部に沿った、好ましくは上部の長手方向の端部よりも下部の長手方向の端部に近い、第一のセット、
・右の側方端部に沿った、好ましくは上部の長手方向の端部よりも下部の長手方向の端部に近い、第二のセット、
・下部の長手方向の端部に沿った、好ましくはドライバー側にある第三のセット、及び、
・中央にある、好ましくは上部の長手方向の端部よりも下部の長手方向の端部に近い、第四のセット。
【0053】
色は、危険のレベルに応じて変化してもよく、あるいは多数又は少数のダイオードを危険レベルに応じて点灯させてもよい。
【0054】
本発明は、言うまでもなく、上記のような発光性信号伝達グレージングユニットを少なくとも1つ含む任意の車両に関し、特に、
・前面窓を形成し、そして前方の自動車(又は任意の他の移動手段、例えばオートバイ、自転車、電動スクータなど、又はさらには動物)(又は物体又は歩行者などの人物)までの距離が過度に小さい場面を検知することにより、又は、自動車の左側又は右側で物体又は人物又は自動車又はさらには任意の他の移動手段(自転車、オートバイなど)からの距離が過度に小さい場面を検知することにより、特に衝突を防止し、そして好ましくは赤色のダイオードを点灯させ、又はオレンジ色(琥珀色)、次いで赤色のダイオードを、又はさらには3つ以上のレベルを、それゆえに3つ以上の色を有するダイオードを、より少しずつ点灯させる、(一般道路(高速道路)又はさらには市街道路用)衝突防止手段である、発光性信号伝達グレージングユニット、
・又は、後部窓を形成し、そしてストップランプ(例えば少なくとも60cdの)、第3のストップランプ(例えば25cdと80cdの間の)、方向指示灯(例えば、少なくとも50cdの)、危険警告灯、又は車両の位置を特定するためのライトを含むグレージングユニットである、発光性信号伝達グレージングユニット、及び/又は、
・側面窓を形成し、そして危険警告灯(車が故障した場合などの)、又は車両の位置を特定するためのライト(駐車場や、市中などで停止しているときの)、又は側面点滅灯(車両が追い越すとき又は追い越されるときに見えるようにする、例えば0.6cdと20cdの間の、前方側面窓の、特にサイドミラー付近の)を含むグレージングユニットである、発光性信号伝達グレージングユニット、
を少なくとも1つ含む任意の車両に関する。
【0055】
それはまた、位置表示灯、駐車灯及び/又は側面灯を形成することも可能である。
【0056】
ダイオードとしては、OSRAM社により販売されているOSLON BLACK FLAT系列を挙げることができる。赤色ライトとしては、OSRAM社により販売されるダイオードのOSLON BLACK FLAT Lx H9PPを挙げることができる。オレンジ(琥珀)色ライトとしては、OSRAM社により販売されるダイオードのLCY H9PPを挙げることができる。白色ライトとしては、OSRAM社により販売されるダイオードのLUW H9QP又はKW HxL531.TEを挙げることができ、ここでのxはダイオード中のチップの数(例えば4又は5)である。
【0057】
軟質のPCBとしては、KREMPEL社からの製品AKAFLEX(登録商標)の系列(特にPCL FW)を挙げることができる。
【0058】
車両の1つの実施形態において、それはダイオードを制御するための少なくとも1つの制御ユニット及びさらには危険な状況を特に検知するための少なくとも1つのセンサを含む。ダイオードを制御するための制御ユニットは積層グレージングユニット内にあって、PCB基板をオン又はオフにすることができる。
【0059】
最後に、本発明は、上記したような発光性信号伝達グレージングユニットのための方法であって、下記の工程を含む、すなわち、
・好ましくは最大で0.9mm及びさらには最大で0.4mmの厚さの単一シート(好ましくはPVB)の形態を取る積層中間層を自動切断し(ロボットを使用して)、好ましくは存在するダイオードと同数(及びそれ以下)の局所貫通開口部(幾何学形状は円、正方形、長方形などであり、特にダイオードと同一形状の開口部)を形成するか、又は、積層中間層(好ましくはPVB)が第一のシートと、特に最大で0.4mm及びさらには最大で0.2mm厚さの第二のシートを含み、最大で0.9mmの厚さの第一のシートを自動切断して、局所貫通開口部を形成する工程、及び、
・ダイオードの寸法よりも大きく、好ましくは最大で1mm、なおもより良好には0.5mm又はさらには最大で0.2mm又は0.1mmだけ大きい貫通開口部を有する積層グレージングユニットであって、任意選択的な第二のシートがPCB基板の背面と前面窓の面F2との間、又はPCB基板の背面と後部窓又は側面窓の面F3との間にある、積層グレージングユニットを組み立てる工程、
を含む方法に関する。
【0060】
ダイオードは、手作業で又は自動式(より高精度)で、前面に配置することができる。
【0061】
Solutia社又はEastman社からのRC41などの慣用のPVBを選択することができる。ダイオードを有するPCB基板(PCB基板の背面側)をグレージング板に対して配置して、開口を設けた積層中間層の位置決めを制約してもよく、積層中間層は好ましくはグレージングユニットの外形よりも大きく切断される(余分は前面側のグレージング板を所定の位置に配置後に切断除去される)か、又は、実際のところ、ダイオードを有するPCB基板を、開口を設けた積層中間層に対して配置して、後者の位置決めにより制約してもよく、積層中間層は好ましくは積層グレージングユニットの正確な形状に切断される。
【0062】
次に、添付図面を参照しながら本発明をより詳しく説明する。