(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621876
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】ラックシステム
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20191209BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20191209BHJP
A47B 88/423 20170101ALI20191209BHJP
【FI】
H05K7/18 D
G06F1/16 312B
G06F1/16 313C
A47B88/04 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-131187(P2018-131187)
(22)【出願日】2018年7月11日
(62)【分割の表示】特願2017-60335(P2017-60335)の分割
【原出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-174345(P2018-174345A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2018年7月11日
(31)【優先権主張番号】105131170
(32)【優先日】2016年9月24日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】楊 順和
(72)【発明者】
【氏名】陳 耀宗
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】
佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−171084(JP,A)
【文献】
実開平02−008188(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3193841(JP,U)
【文献】
実開平07−029892(JP,U)
【文献】
特開2003−023278(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3094456(JP,U)
【文献】
米国特許第05571256(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 43/00−45/00、47/00−47/06、
77/00−77/18、83/00−88/22、
G06F 1/00、 1/16− 1/18、
G11B 33/00−33/08、33/12−33/14、
H05K 5/00− 5/06、 7/18− 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側及び第2の側を有するラックであって、該第1の側の内面と該第2の側の内面との間に第1の幅が定義され、該ラックは少なくとも該第1の側に設けられる複数の第1の取り付け部、複数の第2の取り付け部及び複数の第3の取り付け部を有し、該第1の取り付け部と該第3の取り付け部とは互いに形状が異なる、ラックと、
前記ラックの第1の側に着脱可能に取り付けられる第1のアダプタ機構と、
前記ラックの第2の側に着脱可能に取り付けられる第2のアダプタ機構であって、前記第1のアダプタ機構と該第2のアダプタ機構との間に第2の幅が定義され、該第2の幅は前記第1の幅よりも小さい、第2のアダプタ機構と、
前記第1のアダプタ機構に取り付けられる第1のスライドレール組立体と、
前記第2のアダプタ機構に取り付けられる第2のスライドレール組立体と、
前記第1のスライドレール組立体及び前記第2のスライドレール組立体に取り付けられるシャーシと、
を含むラックシステムであって、
少なくとも前記第1のアダプタ機構は第1のベース及び第2のベースを含み、該第1のベースは第1のサイドプレートと、該第1のサイドプレートに実質的に垂直に連結される第1のエンドプレートとを含み、該第2のベースは第2のサイドプレート及び第2のエンドプレートを含み、
前記第1のサイドプレート及び前記第2のサイドプレートは前記第1の取り付け部及び前記第3の取り付け部にそれぞれ着脱可能に取り付けられるように構成されている、ラックシステム。
【請求項2】
前記第1のエンドプレートは前記第1のスライドレール組立体の一部を取り付けるように構成された複数の第1の取り付け孔を有し、
前記第2のエンドプレートは前記第1のベースの第1のエンドプレートに対応し、
前記第2のエンドプレートは、前記第1のスライドレール組立体の別の部分を取り付けるように構成された複数の第2の取り付け孔を有する、請求項1に記載のラックシステム。
【請求項3】
前記第1のアダプタ機構は前記第1のベースと前記第2のベースとの間で延在するように連結される支持体をさらに含む、請求項1に記載のラックシステム。
【請求項4】
前記第1のベースに取り付けられる固定部材をさらに含み、
前記固定部材は弾性部及び係合部を含み、
前記弾性部は弾性力を提供するように構成され、
前記係合部は前記弾性部の弾性力に反応して前記ラックの第1の取り付け部のうちの1つと係合するように構成されている、請求項1に記載のラックシステム。
【請求項5】
前記支持体は支持突起を含み、該支持突起は前記ラックの第2の取り付け部のうちの1つと係合するように構成されている、請求項3に記載のラックシステム。
【請求項6】
前記第2のベースの第2のサイドプレートは前記ラックの第3の取り付け部のうちの2つと係合するように構成されている、請求項1に記載のラックシステム。
【請求項7】
前記第2の幅はEIA−310規格の幅の要件を満たす、請求項1に記載のラックシステム。
【請求項8】
前記第1のエンドプレートの複数の第1の取り付け孔間の間隔及び前記第2のエンドプレートの複数の第2の取り付け孔間の間隔はEIA−310規格の孔の間隔の要件を満たす、請求項2に記載のラックシステム。
【請求項9】
前記ラックは前記第2の側にも複数の第1の取り付け部、複数の第2の取り付け部及び複数の第3の取り付け部を有し、該第1の取り付け部と該第3の取り付け部とは互いに形状が異なり、
前記第2のアダプタ機構も第1のベース及び第2のベースを含み、該第1のベースは第1のサイドプレートと、該第1のサイドプレートに実質的に垂直に連結される第1のエンドプレートとを含み、該第2のベースは第2のサイドプレート及び第2のエンドプレートを含み、
前記第2のアダプタ機構の第1のサイドプレート及び第2のサイドプレートは前記第2の側の第1の取り付け部及び第3の取り付け部にそれぞれ着脱可能に取り付けられるように構成されている、請求項1に記載のラックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレール取り付けアダプタ組立体(rail mounting adaptor assembly)に関し、より具体的にはラックのためのレール取り付けアダプタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ラックシステム(又はキャビネットシステム)は複数のポストを通常含む。各ポストは丸い孔又は正方形の孔等の複数の取り付け孔を有する。ポスト間の距離や各ポストの取り付け孔間の間隔は関連する規格によって定められている。例えば、米国電子工業会(Electronic Industries Association)のEIA−310規格は、ラック(又はキャビネット)の左側及び右側の2つのポストの間の幅が19インチ(482.6mm)と規定する。この幅により、シャーシ(又は電子機器、情報機器等)をラックに収容できる。EIA−310規格ではポストの取り付け孔の配列についても規定する。3つの取り付け孔毎にラックユニット(rack unit)とみなされる。各ラックユニットの垂直寸法は1.750インチ(44.45mm)に等しく、ラックユニットの取り付け孔の間の垂直方向の孔間隔は0.625インチ(15.9mm)である。
【0003】
図1を参照して、
図1は、ラック(又はキャビネト)10の両側にある2つのポスト12a、12bの間のEIA−310仕様の幅Wを示す。幅Wにより、シャーシ14をラック10に収容できる。一般に、シャーシ10の右側及び左側は一対のスライドレール組立体16a、16bを通じてラックの両側のポスト12a、12bに取り付けられる。
【0004】
情報技術の急速は発展に伴い、シャーシの寸法(幅寸法等)はより多くの電子機器又は関連部品を収容できるように大きくなっている。したがって、より大きなシャーシを収容するためには、2つのポストの間の幅がEIA−310規格(EIA-310 specification)により規定される幅よりも大きなラック(又はキャビネット)を提供することが重要である。
【0005】
特許文献1にはオープンブリッジラック(open bridging rack)が開示されている。特許文献1の背景技術には、オープンラックとして知られる機器用のラックための仕様を含むオープンラック規格がオープンコンピュートプロジェクト(open compute project)(OCP)によって提供されていることが開示されている。OCP準拠のラックは、より幅広のIT機器を取り付けるために約21インチ(538mm)の開口を提供する。さらに、OCP準拠のラック及びEIA準拠のラックはそれらの規格が異なるために互換性がない。
【0006】
さらに、特許文献1によれば、オープンブリッジラックの利点は、標準的なEIA19インチラックデザインと発展途上のOCPオープンラックデザインとの間のギャップを埋めることができる、ある規格から別の規格に変換する能力を持った1つの機器用ラックを提供できることである。オープンブリッジラックは一対の前側取り付けレール101f、102f及び一対の後ろ側取り付けレール101r、102rを提供する。各取り付けレール(前側取り付けレール101fを例に取ると)は第1の平面(301)、第2の平面(302)、第3の平面(303)及び第4の平面(304)を有する。第1の複数の機器取り付け開口(306)は第1の平面(301)に配置されるともにEIA規格に準拠する。他方、第2の機器取り付け開口(301a〜310d)は第3の平面(303)及び第4の平面(304)に形成されるともにOCP規格に準拠する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9131769号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
双方の規格のラックにシャーシを適合させるアダプタ機構を提供することが明らかに重要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はラックのためのレール取り付けアダプタ組立体を提供する。
【0010】
本発明の実施形態によれば、レール取り付けアダプタ組立体はラックに取り付けられるように構成されている。該ラックは、該ラックの一方側に配置される複数の第1の取り付け部(mounting features)及び複数の第2の取り付け部を有する。当該レール取り付けアダプタ組立体は第1のベース及び第2のベースを含む。第1のベースは第1のサイドプレートと、該第1のサイドプレートに実質的に垂直に連結される第1のエンドプレートとを含む。該第1のサイドプレートは前記ラックの一方側の第1の位置に着脱可能に取り付けられる。該第1のエンドプレートは複数の第1の取り付け孔を有する。第2のベースは第2のサイドプレート及び第2のエンドプレートを含む。該第2のサイドプレートは前記ラックの一方側の第2の位置に着脱可能に取り付けられる。該第2のエンドプレートは前記第1のベースの第1のエンドプレートに対応する。該第2のエンドプレートは複数の第2の取り付け孔を有する。
【0011】
前記レール取り付けアダプタ組立体は、前記第1のベースと前記第2のベースとの間で延在するように連結される(extendedly connected)支持体をさらに含むことが好ましい。
【0012】
前記レール取り付けアダプタ組立体は、前記第1のベースに取り付けられる固定部材をさらに含むことが好ましい。前記固定部材は弾性部及び係合部を含む。前記弾性部は弾性力を提供するように構成されている。前記係合部は、前記弾性部の弾性力に反応して前記ラックの一方側の第1の取り付け部のうちの1つと係合するように構成されている。
【0013】
前記支持体は支持突起を含むことが好ましい。該支持突起は前記ラックの一方側の第2の取り付け部のうちの1つと係合するように構成されている。
【0014】
前記ラックは前記ラックの一方側に配置される複数の第3の取り付け部をさらに有することが好ましい。前記第2のベースの第2のサイドプレートは前記ラックの一方側の第3の取り付け部のうちの2つと係合するように構成されている。
【0015】
前記支持体は補助突起を含むことが好ましい。該補助突起は前記ラックの一方側の第1の取り付け機構のうちの1つと係合するように構成されている。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、ラックシステムはラック、第1のアダプタ機構、第2のアダプタ機構、第1のスライドレール組立体、第2のスライドレール組立体及びシャーシを含む。ラックは第1の側及び第2の側を有する。該第1の側の内面と該第2の側の内面との間に第1の幅が定義される。第1のアダプタ機構は前記ラックの第1の側に着脱可能に取り付けられる。第2のアダプタ機構は前記ラックの第2の側に着脱可能に取り付けられる。前記第1のアダプタ機構と該第2のアダプタ機構との間に第2の幅が定義される。該第2の幅は前記第1の幅よりも小さい。第1のスライドレール組立体は前記第1のアダプタ機構に取り付けられる。第2のスライドレール組立体は前記第2のアダプタ機構に取り付けられる。シャーシは前記第1のスライドレール組立体及び前記第2のスライドレール組立体に取り付けられる。
【0017】
前記第1のアダプタ機構は第1のベース及び第2のベースを含むことが好ましい。前記第1のベースは第1のサイドプレートと、該第1のサイドプレートに実質的に垂直に連結される第1のエンドプレートとを含む。前記第1のエンドプレートは前記第1のスライドレール組立体の一部を取り付けるように構成された複数の第1の取り付け孔を有する。前記第2のベースは第2のサイドプレート及び第2のエンドプレートを含む。該第2のエンドプレートは前記第1のベースの第1のエンドプレートに対応する。前記第2のエンドプレートは、前記第1のスライドレール組立体の別の部分を取り付けるように構成された複数の第2の取り付け孔を有する。前記ラックは、前記ラックの第1の側に設けられる複数の第1の取り付け部、複数の第2の取り付け部及び複数の第3の取り付け部を有する。
【0018】
前記ラックシステムは前記第1のベースと前記第2のベースとの間で延在するように連結される支持体をさらに含むことが好ましい。
【0019】
前記ラックシステムは前記第1のベースに取り付けられる固定部材をさらに含むことが好ましい。前記固定部材は弾性部及び係合部を含む。前記弾性部は弾性力を提供するように構成されている。前記係合部は前記弾性部の弾性力に反応して前記ラックの第1の取り付け部のうちの1つと係合するように構成されている。
【0020】
前記支持体は支持突起を含むことが好ましい。該支持突起は前記ラックの第2の取り付け部のうちの1つと係合するように構成されている。
【0021】
前記第2のベースの第2のサイドプレートは前記ラックの第3の取り付け部のうちの2つと係合するように構成されていることが好ましい。
【0022】
前記第2の幅はEIA−310規格の幅の要件を満たすことが好ましい。
【0023】
前記第1のエンドプレートの複数の第1の取り付け孔間の間隔及び前記第2のエンドプレートの複数の第2の取り付け孔間の間隔はEIA−310規格の孔の間隔の要件を満たすことが好ましい。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態によれば、ラックシステムはラック、第1のアダプタ機構及び第2のアダプタ機構を含む。ラックは第1の側及び第2の側を有する。該第1の側の内面と該第2の側の内面との間に第1の幅が定義される。第1のアダプタ機構は前記ラックの第1の側に着脱可能に取り付けられる。第2のアダプタ機構は前記ラックの第2の側に着脱可能に取り付けられる。前記第1のアダプタ機構と該第2のアダプタ機構との間に第2の幅が定義される。該第2の幅は前記第1の幅よりも小さい。前記第2の幅はEIA−310規格の幅の要件を満たす。
【0025】
様々な図面に図示する下記の好ましい実施形態の詳細な説明を読み終えた後、本発明の上記の目的及び他の目的が当業者に間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、先行技術のラックシステムを示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るラックシステムを示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るレール取り付けアダプタ組立体、スライドレール組立体及びラックの分解図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るレール取り付けアダプタ組立体、スライドレール組立体及びラックの組立図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る、ラックに取り付けられるように構成された固定部材の係合部及び伸長部を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る第1のアダプタ機構及び第2のアダプタ機構を通じてラックに取りつけられたシャーシを示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る、一対のスライドレール組立体を通じてラックの外に出されたシャーシを示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の別の実施形態に係る、ラックに取りつけられたレール取り付けアダプタ組立体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2に示すように、ラックシステムはラック20、第1のアダプタ機構22及び第2のアダプタ機構24を含む。ラックシステムは、第1のスライドレール組立体26、第2のスライドレール組立体(視野角により
図2には図示せず)及びシャーシ30をさらに含むことが好ましい。ラック20は、ラック内の機器にユーザーが容易にアクセスできるオープンラック(OCP準拠ラック)である。
【0028】
図3及び
図4に示すように、ラック20は、ラック20の第1の側S1に複数の第1の取り付け部32及び複数の第2の取り付け部34を有する。ラック20は複数の第3の取り付け部36をさらに有することが好ましい。第1の取り付け部32、第2の取り付け部34及び第3の取り付け部36は、ラック20の少なくとも1つのポスト(又は少なくとも1つの壁部)にそれぞれ配置されている。本実施形態では、第1の取り付け部32が第1のポストに配置され、第2の取り付け部34及び第3の取り付け部36が第2のポストに配置されているが、本発明はこのような構成に限定されない。
【0029】
第1のアダプタ機構22はラック20の第1の側S1に着脱可能に取り付けられる。具体的には、第1のアダプタ機構22は第1のベース38及び第2のベース40を含む。第1のアダプタ機構22は、第1のベース38と第2のベース40との間で延在するように連結される支持体42をさらに含むことが好ましい。第1のベース38、第2のベース40及び支持体42をレール取り付けアダプタ組立体と見なすことができる。
【0030】
第1のベース38は第1のサイドプレート44と、第1のサイドプレート44に実質的に垂直に連結される第1のエンドプレート46とを含む。第1のサイドプレート44は、ラック20の第1の側S1の第1の位置で着脱可能に取り付けられている。本実施形態では、複数の第1の取り付け部32は第1の孔47a、第2の孔47b及び第3の孔47cで構成される。第1の孔47a、第2の孔47b及び第3の孔47cのそれぞれは周囲に孔壁49を有するが、本発明はこのような構成に限定されない。レール取り付けアダプタ組立体は第1のベース38に取り付けられる固定部材48をさらに含むことが好ましい。第1のベース38の第1のサイドプレート44は、固定部材48を通じて第1の孔47a及び第2の孔47bに着脱可能に取り付けることができる。例えば、固定部材48は弾性部50、第1の係合部52a及び第2の係合部52bを含む。第1の係合部52a及び第2の係合部52bのそれぞれは弾性部50に連結されている。弾性部50は弾性力を提供するように構成されている。第1の係合部52a及び第2の係合部52bは、弾性部50の弾性力に反応してそれぞれラック20の第1の側S1と係合する。例えば、第1の係合部52a及び第2の係合部52bは、それぞれ第1の孔47a及び第2の孔47bを貫通して対応する孔壁49と係合するように構成されている(
図5参照)。固定部材48は弾性部50に連結されるとともに弾性部50に対して突出する伸長部51をさらに含むことが好ましい。伸長部51は、弾性部50の弾性力に反応してラック20の第1の側S1にある第3の孔47cに取り付けられるように構成されている。それに加えて、支持体42は、孔のうちの1つ(第3の孔47c)を貫通して対応する孔壁49と係合するように構成された補助突起53を含む。固定部材48は弾性部50に対して傾斜した操作部54をさらに含む。ユーザーは操作部54に力を加えて、弾性部50がその力に反応して第1の係合部52a、第2の係合部52b及び伸長部51をラック20の第1の側S1にある孔(47a、47b及び47c)から外すように弾性部50をさらに操作することができる。他方、複数の第1の取り付け孔56は第1のエンドプレート46に形成されている。
【0031】
第2のベース40は第2のサイドプレート58及び第2のエンドプレート60を含む。本実施形態では、第2のエンドプレート60は第2のサイドプレート58に実質的に垂直に連結されている。さらに、第2のサイドプレート58はラック20の第1の側S1の第2の位置で着脱可能に取り付けられている(例えば、第1の側S1の第3の取り付け部36に着脱可能に取り付けられる)。本実施形態では、複数の第3の取り付け部36は複数の突起37で構成されるが、本発明はこのような構成に限定されない。第2のサイドプレート58は第3の取り付け部36のうちの2つの間で係合されるように構成されている。他方、第2のエンドプレート60は第1のベース38の第1のエンドプレート46に対応する。複数の第2の取り付け孔62は第2のエンドプレート60に形成されている。第2のエンドプレート60の複数の第2の取り付け孔62間の間隔及び第1のエンドプレート46の複数の第1の取り付け孔56間の間隔はEIA−310規格の孔の間隔の要件を満たすことが好ましい。EIA−310規格は先行技術の明細書に開示されているため、簡略化のためにそれについてのさらなる説明は省略する。
【0032】
支持体42は支持突起64を含むことが好ましい。支持突起64はラック20の第1の側S1の第2の取り付け部34のうちの1つと係合するように構成されている。本実施形態では、複数の第2の取り付け部34は複数の支持孔で構成され、各支持孔は周辺に孔壁65を有するが、本発明はこのような構成に限定されない。支持体42の支持突起64は支持孔のうちの1つを貫通して対応する孔壁65と係合するように構成されている。
【0033】
第1のスライドレール組立体26は第1のアダプタ機構22に取り付けられるように構成されている。第1のスライドレール組立体26は第1のレール66と、第1のレール66に対して可動な第2のレール68とを含む。具体的には、第1のレール66の2つの部分(例えば前部及び第2の部分)は、それぞれ第1のブラケット70及び第2のブラケット72を通じて第1のアダプタ機構22の第1の取り付け孔56及び第2の取り付け孔62に取り付けられるように構成されている。
【0034】
図6に示すように、第1のアダプタ機構22はラック20の第1の側S1に着脱可能に取り付けられている。第2のアダプタ機構24はラック20の第2の側S2に着脱可能に取り付けられている。シャーシ30は、第1のスライドレール組立体26及び第2のスライドレール組立体28を通じてそれぞれ第1のアダプタ機構22及び第2のアダプタ機構24に取り付けることができる。ラック20の第2の側S2の構成はラック20の第1の側S1の構成と同一であり、第2のアダプタ機構24の構成は第1のアダプタ機構22の構成と同一であり、第2のスライドレール組立体28の構成は第1のスライドレール組立体26の構成と同一であるため、簡略化のために、ラック20の第2の側S2、第2のアダプタ機構24及び第2のスライドレール組立体28の構成についての説明は省略する。シャーシ30は第1のスライドレール組立体26及び第2のスライドレール組立体28の第2のレール68に取り付けられることが好ましい。
【0035】
さらに、上記のラックシステムでは、ラック20の第1の側S1の内面とラック20の第2の側S2の内面との間で第1の幅W1が定義されている。他方、第1のアダプタ機構22と第2のアダプタ機構24との間で第2の幅W2が定義されている。例えば、第1のアダプタ機構22の第1のエンドプレート46と第2のアダプタ機構24の第1のエンドプレート46との間に第2の幅W2が定義されている(又は第1のアダプタ機構22の第2のエンドプレート60と第2のアダプタ機構24の第2のエンドプレート60との間に第2の幅W2が定義されている)。第2の幅W2は第1の幅W1よりも小さい。第2の幅W2はEIA−310規格の幅の要件を満たすことが好ましい。
【0036】
そのため、幅が第1の幅W1の場合、ラック20にシャーシ30(EIA−310準拠シャーシ等)を収容することができない。したがって、ラック20の第1の側S1及び第2の側S2の第1のアダプタ機構22及び第2のアダプタ機構24のそれぞれを取り付けることにより、第1のアダプタ機構22と第2のアダプタ機構24との間の第2の幅W2によってラックにシャーシ30を収容することができる。
【0037】
図7に示すように、シャーシ30は第1のスライドレール組立体26及び第2のスライドレール組立体28のそれぞれの第2のレール68を第1のレール66に対して動かすことにより第1の方向D1に沿ってラック20の外に出すことができるか又はシャーシ30は第2の方向(第1の方向D1と反対の方向)に沿って引っ込めてラック20内に移動させることができる。
【0038】
図8は、本発明の別の実施形態に係るラックシステムを示す図である。具体的には、第1のベース38、第2のベース40及び支持体42を含む第1のアダプタ機構22とは異なり、本実施形態の第1のアダプタ機構(又は第2のアダプタ機構)は第1のベース202及び第2のベース204を含む。第1のベース202及び第2のベース204はレール取り付けアダプタ機構と見なすことができる。
【0039】
さらに、第1のベース202は第1のサイドプレート206と、第1のサイドプレート206に実質的に垂直に連結される第1のエンドプレート208とを含む。第1のサイドプレート206はラック200の一方側の第1の取り付け部210のうちの1つに着脱可能に取り付けられている。例えば、第1のサイドプレート206は第1の固定部材212を通じてラック200の一方側の第1の取り付け部210のうちの1つに取り付けられるように構成されている。本実施形態では、第1の取り付け部210は第1の固定部材212が貫通できるように構成された固定孔で構成される。他方、複数の第1の取り付け孔214が第1のエンドプレート208に形成されるとともに、第1のスライドレール組立体の一部を取り付けられるように構成されている。
【0040】
第2のベース204は第2のサイドプレート216及び第2のエンドプレート218を含む。第2のサイドプレート216はラック200の一方側の第3の取り付け部220のうちの1つの着脱可能に取り付けられている。例えば、第2のサイドプレート216は第2の固定部材222を通じてラック200の一方側の第3の取り付け部220のうちの1つに取り付けることができる(
図9も参照)。本実施形態では、第3の取り付け部220は第2の固定部材222が貫通できるように構成された固定孔で構成される。他方、第2のエンドプレート218は第1のベース202の第1のエンドプレート208に対応する。複数の第2の取り付け孔224は第2のエンドプレート218に形成されるとともに、第1のスライドレール組立体の別の部分を取り付けるように構成されている。
【0041】
当業者であれば、本発明の教示を維持しながら多くの変更及び改良が装置及び方法に加えられ得ることに容易に気付く。したがって、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0042】
10 ラック
12a、12b ポスト
14 シャーシ
16a、16b スライドレール組立体
20 ラック
22 第1のアダプタ機構
24 第2のアダプタ機構
26 第1のスライドレール組立体
28 第2のスライドレール組立体
30 シャーシ
32 第1の取り付け部
34 第2の取り付け部
36 第3の取り付け部
38 第1のベース
40 第2のベース
42 支持体
44 第1のサイドプレート
46 第1のエンドプレート
47a、47b、47c 孔
48 固定部材
49 孔壁
50 弾性部
51 伸長部
52a、52b 係合部
53 補助突起
54 操作部
56 第1の取り付け孔
58 第2のサイドプレート
60 第2のエンドプレート
62 第2の取り付け孔
64 支持突起
65 孔壁
66 第1のレール
68 第2のレール
70 第1のブラケット
72 第2のブラケット