特許第6621882号(P6621882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6621882-エッチング装置 図000002
  • 特許6621882-エッチング装置 図000003
  • 特許6621882-エッチング装置 図000004
  • 特許6621882-エッチング装置 図000005
  • 特許6621882-エッチング装置 図000006
  • 特許6621882-エッチング装置 図000007
  • 特許6621882-エッチング装置 図000008
  • 特許6621882-エッチング装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621882
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】エッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20191209BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-149410(P2018-149410)
(22)【出願日】2018年8月8日
(62)【分割の表示】特願2015-250060(P2015-250060)の分割
【原出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-195846(P2018-195846A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2018年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 隆一
(72)【発明者】
【氏名】後平 拓
(72)【発明者】
【氏名】大矢 欣伸
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−250817(JP,A)
【文献】 特表2007−537602(JP,A)
【文献】 特開2001−148375(JP,A)
【文献】 特開2005−033016(JP,A)
【文献】 特開平08−186111(JP,A)
【文献】 特開2015−153941(JP,A)
【文献】 特開2015−159308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ生成用の高周波電力を印加する高周波電源と、ガスを供給するガス供給源と、制御部と、を有するエッチング装置であって、
前記制御部は、
前記プラズマ生成用の高周波電力により水素含有ガス及びフッ素含有ガスを含むガスからプラズマを生成し、生成されたプラズマによりシリコン酸化膜をエッチングする第1工程を制御し、
前記フッ素含有ガスは、ハイドロフルオロカーボンガスを含み、
前記ハイドロフルオロカーボンガスから生成されるラジカルは、四フッ化炭素(CF)から生成されるラジカルよりも付着係数が大きく、
前記第1工程を、ウェハの温度が−35℃以下の極低温環境において実施する、
エッチング装置。
【請求項2】
前記ハイドロフルオロカーボンガスは、ジフルオロメタン(CH)ガス、モノフルオロメタン(CHF)ガス及びフルオロホルム(CHF)ガスの少なくともいずれかである、
請求項1に記載のエッチング装置。
【請求項3】
前記ハイドロフルオロカーボンガスは、ジフルオロメタン(CH)ガスであり、前記ハイドロフルオロカーボンガスから生成されるラジカルは、CHFラジカルおよびCHFラジカルである、
請求項2に記載のエッチング装置。
【請求項4】
プラズマ生成用の高周波電力を印加する高周波電源と、ガスを供給するガス供給源と、制御部と、を有するエッチング装置であって、
前記制御部は、
前記プラズマ生成用の高周波電力により水素含有ガス、第1のフッ素含有ガス、及び第2のフッ素含有ガスを含むガスからプラズマを生成し、生成されたプラズマによりシリコン酸化膜をエッチングする第1工程を制御し、
前記第2のフッ素含有ガスは、ハイドロフルオロカーボンガスを含み、
前記ハイドロフルオロカーボンガスから生成されるラジカルは、前記第1のフッ素含有ガスから生成されるラジカルよりも付着係数が大きく、
前記第1工程を、ウェハの温度が−35℃以下の極低温環境において実施する、
エッチング装置。
【請求項5】
前記水素含有ガスは、水素(H)ガスであり、
前記第1のフッ素含有ガスは、四フッ化炭素(CF)ガスであり、
前記第2のフッ素含有ガスは、ジフルオロメタン(CH)ガス、モノフルオロメタン(CHF)ガス及びフルオロホルム(CHF)ガスの少なくともいずれかである、
請求項4に記載のエッチング装置。
【請求項6】
前記制御部は、
水素(H)ガスと四フッ化炭素(CF)ガスのプラズマによりプラズマエッチングを行う第2工程を制御し、
水素ガスと、四フッ化炭素ガスと、ジフルオロメタン(CH)ガス、モノフルオロメタン(CHF)ガス及びフルオロホルム(CHF)ガスの少なくともいずれかと、によりプラズマエッチングを行う前記第1工程と、前記第2工程とを交互に行う、
請求項5に記載のエッチング装置。
【請求項7】
前記第2のフッ素含有ガスは、ジフルオロメタン(CH)ガスであり、前記四フッ化炭素ガスからCFラジカルが生成され、前記ジフルオロメタンガスからCHFラジカル及びCHFラジカルが生成される、
請求項5に記載のエッチング装置。
【請求項8】
前記第2のフッ素含有ガスは、ジフルオロメタン(CH)ガス、モノフルオロメタン(CHF)ガス及びフルオロホルム(CHF)ガスのうちの少なくとも2種類を含み、
前記制御部は、
前記2種類のガスの流量を制御することによりマスク膜に堆積する反応生成物の形状を調整する、
請求項4〜6のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記シリコン酸化膜を、マスク膜を介してエッチングし、
前記マスク膜がタングステン(W)の場合のマスク選択比は、10以上である、
請求項4〜8のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記シリコン酸化膜を、マスク膜を介してエッチングし、
前記マスク膜がポリシリコンの場合のマスク選択比は、5以上である、
請求項4〜9のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低温領域において、CHガスを含むエッチングガスを用いたシリコン酸化膜等のエッチング方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、開示したエッチングガスにより、高アスペクト比のコンタクトホール等のパターンを形成することが記載されている。
【0003】
また、水素ガス、臭化水素ガス及び三フッ化窒素ガスを含み、かつ、炭化水素ガス、フルオロカーボンガス、及びハイドロフルオロカーボンガスの少なくとも何れか一つを含むガスを励起させて、多層膜をその表面から積層方向の途中位置までエッチングしてホールを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−159308号公報
【特許文献2】特開2015−153941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、プラズマエッチング中に発生する反応生成物をマスク膜の何れの位置に付着させるかの制御を、適切なガスの組み合わせを選択して行うことには着目していない。よって、特許文献1及び特許文献2では、マスク膜の何れの位置に反応生成物を堆積させるかの制御を、エッチングガスに添加するガスにより行うことは難しい。
【0006】
上記課題に対して、一側面では、本発明は、マスク膜の間口の形状を調整しながらエッチングを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、プラズマ生成用の高周波電力を印加する高周波電源と、ガスを供給するガス供給源と、制御部と、を有するエッチング装置であって、前記制御部は、前記プラズマ生成用の高周波電力により水素含有ガス及びフッ素含有ガスを含むガスからプラズマを生成し、生成されたプラズマによりシリコン酸化膜をエッチングする第1工程を制御し、前記フッ素含有ガスは、ハイドロフルオロカーボンガスを含み、前記ハイドロフルオロカーボンガスから生成されるラジカルは、四フッ化炭素(CF)から生成されるラジカルよりも付着係数が大きく、前記第1工程を、ウェハの温度が−35℃以下の極低温環境において実施する、エッチング装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
一の側面によれば、マスク膜の間口の形状を調整しながらエッチングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るエッチング装置の縦断面を示す図。
図2】H及びCFによるシリコン酸化膜のエッチング結果の一例を示す図。
図3】一実施形態に係るH及びCHFによるシリコン酸化膜のエッチング結果の一例を示す図。
図4】一実施形態に係るH及びCHによるシリコン酸化膜のエッチング結果の一例を示す図。
図5】一実施形態に係るH及びCHFによるシリコン酸化膜のエッチング結果の一例を示す図。
図6】一実施形態に係るCF又はCHの流量を一定、水素の流量を変動にしたときのマスク選択比の一例を示す図。
図7】一実施形態に係るエッチング方法による間口の形状の一例を示す図。
図8】一実施形態に係るエッチング方法による間口の形状の制御の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
[エッチング装置の全体構成]
まず、本発明の一実施形態のエッチング装置について、図1に基づき説明する。図1は、本実施形態のエッチング装置の縦断面の一例を示す図である。
【0012】
エッチング装置1は、例えば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる円筒形の処理容器10を有している。処理容器10は、接地されている。
【0013】
処理容器10の内部には載置台17が設けられている。載置台17は、例えばアルミニウム(Al)やチタン(Ti)、炭化ケイ素(SiC)等の材質からなり、絶縁性の保持部14を介して支持部16に支持されている。これにより、載置台17は、処理容器10の底部に設置される。
【0014】
処理容器10の底部には、排気管26が設けられ、排気管26は排気装置28に接続されている。排気装置28は、ターボ分子ポンプやドライポンプ等の真空ポンプから構成され、処理容器10内の処理空間を所定の真空度まで減圧すると共に、処理容器10内のガスを排気路20及び排気口24に導き、排気する。排気路20にはガスの流れを制御するためのバッフル板22が取り付けられている。
【0015】
処理容器10の側壁にはゲートバルブ30が設けられている。ゲートバルブ30の開閉により処理容器10からウェハWの搬入及び搬出が行われる。
【0016】
載置台17には、プラズマを生成するための第1高周波電源31が整合器33を介して接続され、ウェハWにプラズマ中のイオンを引き込むための第2高周波電源32が整合器34を介して接続されている。例えば、第1高周波電源31は、処理容器10内にてプラズマを生成するために適した第1周波数、例えば60MHzの第1高周波電力HF(プラズマ生成用の高周波電力)を載置台17に印加する。第2高周波電源32は、載置台17上のウェハWにプラズマ中のイオンを引き込むのに適した第1周波数よりも低い第2周波数、例えば13.56MHzの第2高周波電力LF(バイアス電圧発生用の高周波電力)を載置台17に印加する。このようにして載置台17は、ウェハWを載置すると共に、下部電極としての機能を有する。
【0017】
載置台17の上面にはウェハWを静電吸着力で保持するための静電チャック40が設けられている。静電チャック40は導電膜からなる電極40aを一対の絶縁層40b(又は絶縁シート)の間に挟み込んだものであり、電極40aには直流電圧源42がスイッチ43を介して接続されている。静電チャック40は、直流電圧源42からの電圧により、クーロン力によってウェハWを静電チャック上に吸着して保持する。静電チャック40には温度センサ77が設けられ、静電チャック40の温度を測定するようになっている。これにより、静電チャック40上のウェハWの温度が測定される。
【0018】
静電チャック40の周縁部には、載置台17の周囲を囲むようにフォーカスリング18が配置されている。フォーカスリング18は、例えばシリコンや石英から形成されている。フォーカスリング18は、エッチングの面内均一性を高めるように機能する。
【0019】
処理容器10の天井部には、ガスシャワーヘッド38が接地電位の上部電極として設けられている。これにより、第1高周波電源31から出力される第1高周波電力HFが載置台17とガスシャワーヘッド38との間に容量的に印加される。
【0020】
ガスシャワーヘッド38は、多数のガス通気孔56aを有する電極板56と、電極板56を着脱可能に支持する電極支持体58とを有する。ガス供給源62は、ガス供給配管64を介してガス導入口60aからガスシャワーヘッド38内に処理ガスを供給する。処理ガスは、ガス拡散室57にて拡散され、多数のガス通気孔56aから処理容器10内に導入される。処理容器10の周囲には、環状又は同心円状に延在する磁石66が配置され、磁力により上部電極と下部電極とのプラズマ生成空間に生成されるプラズマを制御する。
【0021】
静電チャック40には、ヒータ75が埋め込まれている。ヒータ75は、静電チャック40内に埋め込む替わりに静電チャック40の裏面に貼り付けるようにしてもよい。ヒータ75には、給電線を介して交流電源44から出力された電流が供給される。これにより、ヒータ75は、載置台17を加熱する。
【0022】
載置台17の内部には冷媒管70が形成されている。チラーユニット71から供給された冷媒(以下、「ブライン(Brine)」ともいう。)は冷媒管70及び冷媒循環管73を循環し、載置台17を冷却する。
【0023】
かかる構成により、載置台17は、ヒータ75により加熱されると共に、所定温度のブラインが載置台17内の冷媒管70を流れることにより冷却される。これにより、ウェハWが所望の温度に調整される。また、静電チャック40の上面とウェハWの裏面との間には、伝熱ガス供給ライン72を介してヘリウム(He)ガス等の伝熱ガスが供給される。
【0024】
制御部50は、CPU51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53及びHDD(Hard Disk Drive)54を有する。CPU51は、ROM52、RAM53又はHDD54の記録部に記録されたレシピに設定された手順に従い、エッチング等のプラズマエッチングを行う。また、記録部には、後述されるデータテーブル等の各種データが記録される。制御部50は、ヒータ75による加熱機構やブラインによる冷却機構の温度を制御する。
【0025】
処理容器10内で生成されたプラズマによりエッチングを行う際には、ゲートバルブ30の開閉が制御され、ウェハWが処理容器10内に搬入され、静電チャック40上に載置される。ゲートバルブ30は、ウェハWを搬入後に閉じられる。処理容器10内の圧力は、排気装置28により設定値に減圧される。静電チャック40の電極40aに直流電圧源42からの電圧を印加することで、ウェハWは、静電チャック40上に静電吸着される。
【0026】
次いで、所定のガスがガスシャワーヘッド38からシャワー状に処理容器10内に導入され、所定パワーのプラズマ生成用の第1高周波電力HFが載置台17に印加される。導入されたガスが第1高周波電力HFにより電離及び解離することによりプラズマが生成され、プラズマの作用によりウェハWにプラズマエッチングが施される。載置台17には、ウェハWにプラズマ中のイオンを引き込むために、バイアス電圧発生用の第2高周波電力LFが印加されてもよい。プラズマエッチング終了後、ウェハWは処理容器10から搬出される。
【0027】
[エッチング方法]
次に、かかる構成のエッチング装置1を用いてウェハWをエッチングするエッチング方法の一実施形態について説明する。具体的には、図2図5の最左に積層膜の初期状態を示すように、ウェハW上には、エッチング対象膜であるシリコン酸化(SiO)膜200、シリコン窒化(SiN)膜190、ポリシリコンのマスク膜180が積層されている。シリコン酸化膜200に対するエッチングレート(以下、「ER」とも表記する。)が高くなると、マスク膜180に対するエッチングレートが下がるので、マスク選択比が向上し、高アスペクト比のホール等をシリコン酸化膜200に形成することができる。その際、マスク膜180の形状を制御することで、シリコン酸化膜200のエッチング形状を良好にすることができる。
【0028】
そこで、本実施形態にかかるエッチング方法では、マスク膜の間口の形状を調整しながらエッチングを行う。その際、チラーの設定温度を−60℃以下に設定することでウェハWの温度を−35℃以下に制御し、極低温環境においてシリコン酸化膜200を高エッチングレートでエッチングする。ウェハWは、例えばシリコンウェハである。マスク膜180は、例えばポリシリコン、タングステン(W)が好ましく、有機膜、アモルファスカーボン膜、窒化チタン膜であってもよい。
<プロセス条件1(図2の場合)>
チラーの設定温度 −60℃
ガス 水素(H)/四フッ化炭素(CF
ガス流量 H変動/CF一定
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 4000W、パルス波(周波数 5kHz) Duty比50%
(第2高周波電力LFの実効値:2000W)
プロセス条件1に従い、Hガス及びCFガスからプラズマを生成し、生成されたプラズマによりマスク膜180及びシリコン窒化膜190を介してシリコン酸化膜200をエッチングした。その祭、CFガスの流量を一定に制御し、Hガスを、図2の(a)では0sccm、図2の(b)では50sccm、図2の(c)では100sccm、図2の(d)では150sccm、図2の(e)では300sccmに制御した。
【0029】
その結果、マスク選択比は、図2の(a)では1.0、図2の(b)では9.0、図2の(c)では6.9、図2の(d)では8.0、図2の(e)では4.1であった。この結果から、フッ素含有ガスにHガス等の水素含有ガスを含めた方が、水素含有ガスを含めない場合と比べてマスク選択比が向上することがわかった。
<プロセス条件2(図3の場合)>
チラーの設定温度 −60℃
ガス 水素(H)/フルオロホルム(CHF
ガス流量 H変動/CHF一定
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 4000W、パルス波(周波数 5kHz) Duty比50%
(第2高周波電力LFの実効値:2000W)
プロセス条件2に従い、Hガス及びCHFガスからプラズマを生成し、生成されたプラズマによりマスク膜180及びシリコン窒化膜190を介してシリコン酸化膜200をエッチングした。その祭、CHFガスの流量を一定に制御し、Hガスを、図3の(a)では0sccm、図3の(b)では25sccm、図3の(c)では50sccm、図3の(d)では100sccmに制御した。
【0030】
その結果、マスク選択比は、図3の(a)では9.7、図3の(b)では16.9、図3の(c)では12.8、図3の(d)では9.5であった。この結果から、エッチングガスをH及びCFガスからH及びCHFガスに変えることで、エッチング中に生成される反応生成物がマスク膜180に堆積する量がより多くなり、シリコン酸化膜200のエッチングにおけるマスク選択比が向上することがわかった。
<プロセス条件3(図4の場合)>
チラーの設定温度 −60℃
ガス 水素(H)/ジフルオロメタン(CH
ガス流量 H変動/CH一定
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 4000W、パルス波(周波数 5kHz) Duty比50%
(第2高周波電力LFの実効値:2000W)
プロセス条件3に従い、Hガス及びCHガスからプラズマを生成し、生成されたプラズマによりマスク膜180及びシリコン窒化膜190を介してシリコン酸化膜200をエッチングした。その祭、CHガスの流量を一定に制御し、Hガスを、図4の(a)では0sccm、図4の(b)では50sccm、図4の(c)では100sccm、図4の(d)では200sccmに制御した。
【0031】
その結果、図4の(a)ではエッチング中にマスクが削れず、マスク選択比は無限大となった。図4の(b)では22.7、図4の(c)では20.6、図4の(d)では26.2であった。この結果から、エッチングガスをHガス及びCFガスからHガス及びCHガスに変えることで、シリコン酸化膜200をエッチングする際のマスク選択比が向上することがわかった。
・プロセス条件4(図5の場合)
チラーの設定温度 −60℃
ガス 水素(H)/モノフルオロメタン(CHF)
ガス流量 H変動/CHF一定
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 4000W、パルス波(周波数 5kHz) Duty比50%
(第2高周波電力LFの実効値:2000W)
プロセス条件4に従い、Hガス及びCHFガスからプラズマを生成し、生成されたプラズマによりマスク膜180及びシリコン窒化膜190を介してシリコン酸化膜200をエッチングした。その祭、CHFガスの流量を一定に制御し、Hガスを、図5の(a)では0sccm、図5の(b)では25sccm、図5の(c)では50sccm、図5の(d)では100sccmに制御した。
【0032】
その結果、マスク選択比は、図5の(a)では18.0、図5の(b)では13.7、図5の(c)では12.9、図5の(d)では21.8であった。この結果から、エッチングガスをHガス及びCFガスからHガス及びCHFガスに変えることで、シリコン酸化膜200をエッチングする際のマスク選択比が向上することがわかった。
【0033】
以上から、マスク膜180にポリシリコンを使用した場合、水素含有ガス及びフッ素含有ガスのエッチングガスに、CHFガス、CHガス、CHFガスの少なくともいずれかを添加することで、H及びCFガスを供給してプラズマ処理を行ったときよりもマスク選択比を高くできることがわかる。例えば、Hガス及びCFガスのエッチングガスに、CHFガス、CHガス、CHFガスの少なくともいずれかを加えることで、マスク選択比を5以上、好ましくは、9以上にすることができる。
【0034】
また、本実施形態にかかるエッチング方法では、水素含有ガスの一例としてHガスが供給され、フッ素含有ガスの一例としてCFガスが供給される。ガスに含まれるHガスによるシリコン酸化膜のエッチングの結果、HOが反応生成物として発生する。一般的な蒸気圧曲線によれば、HOは飽和蒸気圧が低い。蒸気圧曲線上は液体と気体とが混在した状態である。よって、チラーの設定温度を−60℃程度の極低温にすると、シリコン酸化膜の表面のHOは、飽和してある程度液体の状態で存在していると考えられる。シリコン酸化膜の表面に存在する液体には、反応生成物の水の他に、CFガスから反応して生成されたHF系ラジカルも含有されている。このため、HF系ラジカルと水とによってフッ化水素酸(HF)が発生する。これにより、シリコン酸化膜の表面で水に溶けているフッ化水素酸によって主に化学反応によるエッチングが促進され、エッチングレートが特異的に上昇すると考えられる。よって、本実施形態にかかるエッチング方法では、Hガス及びCFガスに、CHFガス、CHガス、CHFガスの少なくともいずれかを加えてエッチングを行ってもシリコン酸化膜200のエッチングは阻害されない。つまり、本実施形態にかかるエッチング方法では、ウェハWの温度を−35℃以下に制御した極低温環境において、シリコン酸化膜200の表面に存在するフッ化水素酸の液体の作用によりシリコン酸化膜200のエッチングが促進され、エッチングレートを高く維持できる。
【0035】
なお、上記プロセス条件1〜4では、第2高周波電力LFは、パルス波で出力される。このときの第2高周波電力LFのオン時間を「Ton」とし、第2高周波電力LFのオフ時間をToffとする。この場合、1/(Ton+Toff)の周波数の第2高周波電力のパルス波が印加される。また、Duty比は、オン時間Ton及びオフ時間Toffの総時間に対するオン時間Tonの比率、すなわち、Ton/(Ton+Toff)にて示される。
【0036】
上記エッチング結果によれば、第2高周波電力LFをパルス波で出力することで、第2高周波電力LFのオフ時間Toffにプラズマからの入熱を抑制し、これにより、ウェハWの温度上昇を抑えて温度制御性を高めることができる。この結果、ウェハWの温度を−35℃以下に制御し、極低温環境において高エッチングレートでシリコン酸化膜200をエッチングすることができる。
【0037】
なお、第2高周波電力LFのみならず、第1高周波電力HFをパルス波で出力してもよい。また、第2高周波電力LFを印加せず、第1高周波電力HFのみを印加してもよい。第2高周波電力LFを印加しない場合、バイアス電圧発生用の高周波電力がオフになり、シリコン酸化膜200のエッチングに対するマスク膜180への反応生成物の堆積を促進させることができる。
【0038】
[マスク膜にタングステンWを使用した場合のエッチング結果]
次に、マスク膜180に、ポリシリコンに替えてタングステンWを使用したときのマスク選択比について説明する。本実施形態では、タングステンWのブランケット(W Blanket)とシリコン酸化膜200とをエッチングする。シリコン酸化膜200のエッチングレート(Ox ER)を図6の(a)及び図6の(b)の左の縦軸に示す。また、タングステンWのブランケットのエッチングレート(W Blanket ER)を図6の(a)及び図6の(b)の右の縦軸に示す。図6の(a)の横軸は、CFガスの流量を一定に制御し、Hガスを変動させたときのHガスの流量を示す。図6の(b)の横軸は、CHガスの流量を一定に制御し、Hガスを変動させたときのHガスの流量を示す。ガス以外のプロセス条件は以下である。
チラーの設定温度 −60℃
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 4000W、パルス波(周波数 5kHz) Duty比50%
(第2高周波電力LFの実効値:2000W)
図6の(a)と図6の(b)とのエッチングの結果を比較すると、CFガス及びCHガスのいずれのガスを使用しても、かつHガスの流量が変動しても、シリコン酸化膜200のエッチングレートに対してタングステンWのブランケットのエッチングレートは十分に低い。図6の(b)のエッチング結果では、エッチングガスにHガス及びCHガスを含むガスを使用し、マスク膜180にタングステンWを使用した場合において、高いマスク選択比(10以上)を得ることができる。
【0039】
[シリコン酸化膜の間口の形状の制御]
次に、ハイドロフルオロカーボンガスによるシリコン酸化膜200の間口の形状の制御について、図7を参照しながら説明する。図7の最左にシリコン酸化膜200の初期状態を示す。シリコン酸化膜200の上にマスク膜はない。シリコン酸化膜200にはホールが形成されている状態である。プロセス条件は以下である。
ガス 図7(a) H/CF
図7(b) H/CH
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 印加しない
以上のプロセス条件において、エッチングを行ったところ、シリコン酸化膜200上に徐々に反応生成物が堆積することがわかる。図7の(a)では、時間t1経過後において堆積した反応生成物202上に、さらに時間t2経過後(t2>t1)にはより多くの反応生成物202が堆積していることがわかる。
【0040】
図7の(b)も同様に、時間t3(t3<t1)経過後において堆積する反応生成物203上に、さらに時間t4経過後(t4>t3、t4<t2)にはより多くの反応生成物203が堆積していることがわかる。また、図7の(a)に示す反応生成物202の形状と、図7の(b)に示す反応生成物203の形状とは異なることが分かる。具体的には、反応生成物203に形成されたホールの最も狭い部分wd1は、反応生成物202に形成されたホールの最も狭い部分wd2よりも上部に位置し、反応生成物202よりもトップ側に堆積することがわかる。
【0041】
さらに、図7の(a)及び図7の(b)では、反応生成物202,203の高さが同じになったときの膜の断面を示しているが、反応生成物203の堆積速度は反応生成物202の堆積速度よりも早い。
【0042】
反応生成物202は、処理容器10に供給されるHガス及びCFガスのうち、CFガスから生成されるプラズマ中のCFラジカル(CF)が堆積したものである。一方、反応生成物203は、Hガス及びCHガスのうち、CHガスから生成されるプラズマ中のCHFラジカル(CH),CHFラジカル(CHF)が堆積したものである。
【0043】
CFラジカルの付着係数は、CHFラジカル及びCHFラジカルの付着係数よりも小さい。よって、付着係数が小さいCFラジカルは、ホールの奥まで飛来し、付着する確率が高い。一方、付着係数が大きいCHFラジカル及びCHFラジカルは、ホールの手前側でホールの壁面や反応生成物の上面等に付着する確率が高い。その結果、反応生成物202は、反応生成物203よりもホールの間口の奥側の壁面に堆積し易く、反応生成物203は、反応生成物202よりもホールの間口に近い壁面や堆積物の上部に堆積し易い。
【0044】
また、CHFラジカル及びCHFラジカルは、CFラジカルよりも付着係数が大きいことから、反応生成物203の堆積速度は、反応生成物202の堆積速度よりも早くなる。その結果、Hガス及びCHガスを供給したときに生成される反応生成物203は、Hガス及びCFガスを供給したときに生成される反応生成物202よりもマスク選択比が上がる。加えて、Hガス及びCHガスを供給したときに生成される反応生成物203は、Hガス及びCFガスを供給したときに生成される反応生成物202よりもホールの間口に近い壁面や堆積物の上部に堆積し易い。このため、堆積される反応生成物203のホール形状を、反応生成物202のホール形状よりも垂直に制御することができる(図7の(c)を参照)。
【0045】
以上から、本実施形態にかかるエッチング方法では、プラズマ生成用の第1高周波電力HFによりHガス、CFガス及びCHガスからプラズマを生成し、生成されたプラズマよりシリコン酸化膜をエッチングする。これによれば、CHガスから生成されるラジカルは、CFガスから生成されるラジカルよりも付着係数が大きい。このため、CHガスのCFガスに対する流量等を制御することで、マスク膜180に堆積する反応生成物203の形状を制御することができる。これにより、マスク膜180の間口の形状を微調整しながらエッチングを行うことで、シリコン酸化膜200のエッチング形状をより垂直にすることができる。
【0046】
[ハイドロフルオロカーボンガスの種類]
本実施形態にかかるエッチング方法において、Hガス及びCFガスとともに供給するガスは、CHガスに限られず、他のハイドロフルオロカーボンガスであってもよい。ただし、ハイドロフルオロカーボンガスから生成されるラジカルがフッ素含有ガスから生成されるラジカルよりも付着係数が大きいことが必要である。
【0047】
例えば、本実施形態にかかるエッチング方法では、3種類以上のガスを使用し、Hガス及びCFガスのエッチングガスに添加するハイドロフルオロカーボンガスは、CHガス、CHFガス及びCHFガスの少なくともいずれかであってもよい。Hガス及びCFガスに添加するハイドロフルオロカーボンガスの種類を2種類以上にしてもよい。添加した複数のハイドロフルオロカーボンガスのそれぞれの流量を制御することで、マスク膜180に堆積する反応生成物203の形状をさらに微調整することができる。
【0048】
また、本実施形態にかかるエッチング方法では、H及びCFガスを供給してプラズマエッチングを行う工程と、H、CF及びハイドロフルオロカーボンガスのを供給してプラズマエッチングを行う工程と、を交互に行いながらエッチングを実行してもよい。
【0049】
[エッチング結果]
図8の(a)〜(d)は、上記のプロセス条件において、ハイドロフルオロカーボンガスの種類及び流量を次のように変え、堆積する反応生成物の高さが等しくなるように、本実施形態にかかるエッチング方法を実行したときの結果を示す。
【0050】
図8の(a)の場合 H/CF=150sccm/100sccm
図8の(b)の場合 H/CHF=100sccm/100sccm
図8の(c)の場合 H/CH=100sccm/100sccm
図8の(d)の場合 H/CHF=0sccm/100sccm
ウェハWの温度を−35℃以下の極低温に維持した状態でエッチングを行ったところ、図8の(a)、図8の(b)、図8の(c)、図8の(d)に示すように、シリコン酸化膜200上に反応生成物202、204、203、205がそれぞれ堆積した。これによれば、CHガス、CHFガス及びCHFガスの少なくともいずれかのハイドロフルオロカーボンガスとHガスとを含むガスを使用したエッチングにおいて生成される反応生成物203〜205は、CFガスとHガスとを含むガスを使用したエッチングにおいて生成される反応生成物202よりも反応生成物に形成される間口の上方に堆積し、間口の側壁側に堆積しないため、より垂直な形状を形成できることがわかる。
【0051】
また、Hガス及びCHFガスを供給した場合(図8の(d))、Hガス及びCHガスを供給した場合(図8の(c))、Hガス及びCHFガスを供給した場合(図8の(b))の順に堆積速度が速い。つまり、ハイドロフルオロカーボンガスCHxFyのHが多くなるほど堆積速度が高くなり、マスク選択比が向上することがわかる。
【0052】
以上に説明したように、本実施形態のエッチング方法によれば、Hガス及びCFガスに、前記フッ素含有ガスから生成されるラジカルよりも付着係数が大きいラジカルを生成するハイドロフルオロカーボンガスを添加することで、マスク膜180の間口の形状を調整しながらエッチングを行うことができる。これにより、マスク膜180の下層のシリコン酸化膜200のエッチング形状を垂直にすることができる。
【0053】
なお、CFガスは、第1のフッ素含有ガスの一例である。ハイドロフルオロカーボンガスは、第2のフッ素含有ガスの一例である。第2のフッ素含有ガスは、ジフルオロメタン(CH)ガス、モノフルオロメタン(CHF)ガス及びフルオロホルム(CHF)ガスの少なくともいずれかであってもよい。
【0054】
以上、上記実施形態にかかるエッチング方法を説明したが、本発明にかかるエッチング方法は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0055】
例えば、本発明に係るエッチング方法は、エッチング装置1に示す容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)装置だけでなく、その他のプラズマ処理装置に適用可能である。その他のプラズマ処理装置としては、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、ラジアルラインスロットアンテナを用いたプラズマ処理装置、ヘリコン波励起型プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)装置、電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR:Electron Cyclotron Resonance Plasma)装置等であってもよい。
【0056】
本明細書では、エッチング対象として半導体ウェハWについて説明したが、LCD(Liquid Crystal Display)、FPD(Flat Panel Display)等に用いられる各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等であっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 エッチング装置
10 処理容器
31 第1高周波電源
32 第2高周波電源
17 載置台
71 チラーユニット
180 マスク膜
190 シリコン窒化(SiN)膜
200 シリコン酸化(SiO)膜
HF 第1高周波電力
LF 第2高周波電力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8