(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
調整された第2の画像を決定するために前記第2の画像のアピアランスマッピングを実行する前記ステップは、前記第1の画像の前記ダイナミックレンジと前記ディスプレイのダイナミックレンジにできる限り近いダイナミックレンジを選択すること、を含む、
請求項1に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
典型的な実施例が図面の図を参照して説明される。ここにおいて開示される実施例および図は、限定的ではなく説明的であると考えられることが意図されている。
【
図1】
図1は、本出願に係る一つの実施例が動作し得る一つの典型的な環境を示している。
【
図2A】
図2Aは、EDR/VDR画像データ、および、グラフィクスとクローズドキャプションのオーバーレイを含んでいる描写された画像の実施例を示している。アピアランスマッピング(appearance mapping)は適用されていない。
【
図2B】
図2Bは、EDR/VDR画像データ、および、グラフィクスとクローズドキャプションのオーバーレイを含んでいる描写された画像の実施例を示している。アピアランスマッピングが適用されている。
【
図3】
図3は、3つの可能な処理シナリオに係る画像/ビデオ処理を示している。それぞれ、画像、シーン、および動画である。
【
図4】
図4は、EDR/VDR可能なディスプレイ上の視覚的に快適な合成画像/ビデオ信号に作用し得る本システムに係る実施例である。
【
図5】
図5は、EDR/VDR可能なディスプレイ上の視覚的に快適な合成画像/ビデオ信号に作用し得る本システムに係る実施例である。
【
図6】
図6は、従来のディスプレイ上の視覚的に快適な合成画像/ビデオ信号に作用し得る本システムに係る実施例である。
【
図7】
図7は、アピアランスマッピングオーバーレイ/合成画像/第1画像上のビデオデータ/ディスプレイ上の後続のレンダリングのためのビデオデータ、のためのモジュール/ルーチンに係る一つの典型的な実施例を示している。
【
図8】
図8は、ダイナミックレンジ、最小強度、反射的白色点(white point)、および絶対最大(absolute maximum)に関するアピアランスマッピングに係る一つの典型的な実施例を示している。
【
図9】
図9は、色域(color gamut)に関するアピアランスマッピングに係る一つの典型的な実施例を示している。
【
図10A】
図10Aは、ダイナミックコンテンツ置換を実行する一つの典型的な実施例を示している。
【
図10B】
図10Bは、ダイナミックコンテンツ置換を実行する一つの典型的な実施例を示している。
【
図10C】
図10Cは、ダイナミックコンテンツ置換を実行する一つの典型的な実施例を示している。
【
図11】
図11は、ダイナミックコンテンツ置換に係る別の実施例を示している。
【0014】
以降の説明の至る所においては、当業者に対してより完全な理解を提供するために所定の詳細が明らかにされる。しかしながら、不必要に開示を不明瞭にすることを避けるために、よく知られたエレメントは、詳細に示されず、または、説明されない。従って、明細書および図面は、限定的な意味でなく、説明的な意味において考えられるべきものである。
【0015】
イントロダクション
現在の従来の家庭用TVを用いた典型的な視覚的体験においては、Rec.709およびDCIスペックといった規格を使用している到着(incoming)ビデオストリームに係るアピアランスおよびマッピングについてコントロールができない。このことは、第1のビデオストリームの上に統合され、混合され、かつ、個人により視聴のために次に描写されることが望まれるグラフィクスまたはビデオのオーバーレイについて、特に正しい。本システムの一つの実施例においては、第1の画像/ビデオデータストリームの上へのそうしたオーバーレイに係る適切な画像処理及び/又は混合を提供することが望ましい。合成画像及び/又はビデオの観察者に対してアピアランスマッチング(matching)及び/又は改善された視覚的体験を提供するような方法においてである。
【0016】
図1は、本出願に従ってシステム(104)の一つの実施例が作成された、一つの環境(100)を示している。この環境(100)において、本システム104は、ディスプレイ114上に描写されるべき第1のデータ及び/又はメタデータ102(例えば、VDR、EDR、HDR、または他のいくつかの画像及び/又はビデオデータ/メタデータ)を受信し得る。加えて、外部のデータ/コンテンツ106(例えば、可能な複数のソースからのもの、インターネット、IP、他のデータソース、等)に係る別のストリームがあってよい。このデータ/コンテンツに係る他のストリームは、合成され、または、そうでなければ第1のデータストリームと混合されるべきグラフィクス、画像、及び/又はビデオを表現し得る。ストリーム102と106は、また、同一のソースから同一の方法でシステム104に到着し得ることが正しく理解されるべきである。
【0017】
データストリーム102は、ディスプレイ104上への描写のために適切な画像処理のためのディスプレイ管理(DM)モジュール108の中へ入力され得る。コンポジタ(Compositor)110は、コンポジットデータストリーム(106)を入力する別の画像処理/ビデオ処理モジュールであってよい。DM108からのデータ及び/又はメタデータも同様である。コンポジタ110は、GUI、クローズドキャプション(CC)、ピクチャインピクチャ(PIP)、またはコンポジットデータのためのあらゆる他の可能なフォーマットとして、第1のデータストリームと混合及び/又は合成されるように、コンポジットデータストリームをフォーマットし得る。メタデータは、また、合成画像が描写され得るディスプレイのレンダリング特性に関するメタデータを含んでもよい。そうしたメタデータは、平均、最小/中間/最大強度、反射的白色(reflective white)、白色点(white point)、色域、および既知のあらゆる他のレンダリング特性及び/又は仕様、を含んでよい。
【0018】
ビューア(viewer)は、コンポジタ110に対す任意的なコントロール入力を有してよい。例えば、リモートコントロール、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、または別の適切なコントローラ(116)を介するものであって、そうした合成レンダリングに対する観察者の要望または要求を入力するためである。
【0019】
合成画像/ビデオデータおよび第1のビデオストリーム(DM108によって、どんな処理が適用されてきた後のものであっても)は、混合モジュール112に入力されてよい。混合モジュール112は、合成画像/ビデオを第1のデータストリームの上に適切にオーバーレイし得る。例えば、ここにおいて及び既知のものとして説明されるあらゆる進歩した画像/ビデオ処理アルゴリズムを使用するものであり、快適な視聴体験を提供するためである。ここにおいてさらに説明されるように、そうした快適な視聴体験は、合成画像/ビデオデータの第1画像データの特性及び/又は最終合成画像/ビデオが描写されるディスプレイの特性へのアピアランスマッピング(appearance mapping)によって高められ得る。
【0020】
DM、コンポジタ、混合モジュールがディスプレイ自身の中に(機能モジュールとして)存在し得るものであっても、DM、コンポジタ、混合モジュールは、物理的にどこに存在してもよく、かつ、お互いに離れてよいことが正しく理解されるべきである。例えば、これらのモジュールの一つまたはそれ以上を一つのセットトップボックスの中に置いて、(例えば、あらゆる既知の有線または無線コンフィグレーションによって)ディスプレイと通信させてよい。別の実施例において、DM、コンポジタ、及び/又は、混合器は、ディスプレイが存在する物理的な部屋の外にあってよい。他の実施例においては、これら3つのモジュールのいずれか又は全ての機能を単一のモジュールの中に置くことも可能である。例えば、DMモジュールは、典型的なDMの機能性を含むように構成されてよい。コンポジタおよび混合器の機能性も同様である。
【0021】
一つの実施例においては、(ここにおいてもさらに説明されるように)画像処理における既知の種々の統計を計算するための画像統計計算モジュールを有することが望ましい。(例えば、第1の画像/ビデオデータ、第2のオーバーレイ画像/ビデオデータ、などの)そうした統計は、本発明のシステムによってさらに使用されてよい。第1の画像/ビデオデータ上への第2のオーバーレイ画像/ビデオデータのアピアランスマッピングを援助するためである。ここにおいて言及されるあらゆるモジュールは、従来技術において知られるように、画像統計モジュールと合体してよい。
【0022】
一つの実施例において、これらのモジュールは、画像/ビデオフロントエンドサプライヤ(例えば、ケーブル事業者、衛星事業者、及び/又は、他のメディアサプライヤ)において存在してよい。従って、グラフィクスオーバーレイが何処でコンテンツの中に投入されるかを識別及び/又は気付くことが望ましい。例えば、コンテンツ作成サイド(例えば、サブタイトル)、放送会社(例えば、ロゴ)、セットトップボックス(例えば、UI、TVガイド、cc)、TV自身(例えば、UI)、AV受信器(例えば、音量バーグラフィクスオーバーレイ)、または、グラフィクスを追加又はそうでなければ入力ビデオストリームを変更するあらゆる信号スイッチ/変更器/AVプロセッサ、において生成されるものである。あらゆるそうした段階において、オーバーレイと合成は、異なるように扱われてよい。UIとオーバーレイ投入ポイントがお互いを認識させることも望ましい(つまり、パイプラインアウェアネス(pipeline−awareness))。そうした場合においては、ビデオストリームの中に既にエンベッドされたUIグラフィクスを再び分析し、かつ、再びマップすることを避けることができる(例えば、放送ロゴは一般的にストリームの中に早期にエンベッドされている)。一般的なUIレンダリングの他に、この情報の全ては、また、プレイアウト機器(playout device)のオペレーティングシステムに対して提供されてもよい。例えば、スマートTV上で実行されているウェブブラウザがアクセスできるようにである。
【0023】
上述のように、一つの実施例において、ビデオストリームは、HDR、EDR、及び/又はVDRデータ/メタデータストリームであってよく、かつ、そのように、ビデオ処理システムのいくつかの部分が、HDR、EDR、及び/又はVDR画像/ビデオ処理に作用してよい。種々のシステム、技法、及び/又は、HDR、EDR、及びVDRデータとメタデータ処理を含む技術が、以下の共有特許出願申請において見い出され得る。
(1)米国特許出願第20130027625号、発明者Li、2013年1月31日公開、タイトル”QUALITY ASSESEMENT OF HIGH DYNAMIC RANGE、VISUAL DYNAMIC RANGE AND WIDE COLOR GAMUT IMAGE AND VIDEO”
(2)米国特許出願第20130004074号、発明者Gish、2013年1月3日公開、タイトル”QUALITY ASSESEMENT OF IMAGES WITH EXTENDED DYNAMIC RANGE”
(3)米国特許出願第20120321273号、発明者Messmer、2012年12月20日公開、タイトル”VIDEO DISPLAY AND CONTROL USING EMBEDDED METADATA”
(4)米国特許出願第20120315011号、発明者Messmer他、2012年12月13日公開、タイトル”VIDEO DELIVERY AND CONTROL BY OVERWRITING VIDEO DATA”
(5)米国特許出願第20120314944号、発明者Ninan他、2012年12月13日公開、タイトル”HIGH DYNAMIC RANGE、 BACKWARDS−COMPATIBLE、DIGITAL、CINEMA”
(6)米国特許出願第20120314773号、発明者Gish他、2012年12月13日公開、タイトル”DRIFT−FREE、BACKWARDS COMPATIBLE、LAYERED VDR CODING”
(7)米国特許出願第20120299817号、発明者Atkins他、2012年11月29日公開、タイトル”SYSTEMS AND METHODS OF IMAGE PROCESSING THAT ADJUST FOR VIEWER POSITION、SCREEN SIZE AND VIEWING DISTANCE”
(8)米国特許出願第20120229495号、発明者Longhurt、2012年11月13日公開、タイトル”INTERPOLATION OF COLOR GAMUT FOR DISPLAY ON TARGET DISPLAY”
(9)米国特許出願第20120038782号、発明者Messmer他、2012年2月16日公開、タイトル”VDR METADATA TIMESTAMP TO ENHANCE DATA COHERENCY AND POTENTIAL METADATA”
(10)米国特許出願第20090322800号、発明者Atkins、2009年12月31日公開、タイトル”METHOD AND APPARATUS IN VARIOUS EMBODIMENTS FOR HDR IMPLEMENTATION IN DISPLAY DEVICES”
(11)米国特許出願第20130004074号、発明者Gish、2013年1月3日公開、タイトル”QUALITY ASSESEMENT OF IMAGES WITH EXTENDED DYNAMIC RANGE”
(12)米国特許出願第20100118957号、発明者Demons、2010年5月13日公開、タイトル”VIDEO IMAGE COMPRESSION USING UNEQUAL WEIGHTS”
(13)米国特許出願第20100014587号、発明者Demons、2010年1月21日公開、タイトル”INTERPOLATION OF VIDEO COMPRESSION FRAMES”
(14)米国特許出願第20080273809号、発明者Demons、2008年11月6日公開、タイトル”METHOD AND SYSTEM FOR IMPROVING COMPRESSED IMAGE CHROMA INFORMATION”
(15)米国特許出願第20070268967号、発明者Demons、2007年11月22日公開、タイトル”INTERPOLATION OF VIDEO COMPRESSION FRAMES”
(16)米国特許出願第20110103470号、発明者Demons他、2011年5月5日公開、タイトル”HIGH PRECISION ENCODING AND DECODING OF VIDEO IMAGES”
これらの全ては、その全体がここにおいて参照により包含されている。
【0024】
加えて、ディスプレイ管理サブシステムは、第1のデータストリーム上のそうした合成画像/ビデオデータに対する快適な視聴体験を提供するためのシステムの一部を含んでよい。DMシステムは、典型的に、プロセッサ、コンピュータで読取り可能なストレージ、および、一式のコンピュータで読取り可能なインストラクションを含んでいる。インストラクションは、幅広い画像処理アルゴリズムと技術に作用するために適切なものであり、例えば、輝度マッピング、色域マッピング、ダイナミックレンジマッピングがある。
【0025】
DMシステムは、さらに以下の共有の米国特許出願申請において記述されている
(1)米国特許出願第20120321273号、発明者Messmer、2012年12月20日公開、タイトル”VIDEO DISPLAY CONTROL USING EMBEDDED METADATA”
(2)米国特許出願第20120315011号、発明者Messmer他、2012年12月13日公開、タイトル”VIDEO DELIVERY AND CONTROL BY OVERWRITING VIDEO DATA”
(3)米国特許出願第20120229495号、発明者Longhurst、2012年9月13日公開、タイトル”INTERPOLATION OF COLOR GAMUT FOR DISPLAY ON TARGET DISPLAY”
(4)米国特許出願第20120200593号、発明者Todd他、2012年8月9日公開、タイトル”RESOLUTION MANAGEMENT FOR MULTI−VIEW DISPLAY TECHNOLOGIES”
(5)米国特許出願第20120127324号、発明者Dickens他、2012年5月24日公開、タイトル”METHOD AND SYSTEM FOR DISPLAY CHARACTERIZATION OR CALIBRATION USING A CAMERA DEVICE”
(6)米国特許出願第20120075435号、発明者Hovanky他、2012年3月29日公開、タイトル”METHOD AND SYSTEM FOR 3D DISPLAY CALIBRATION WITH FEEDACK DETERMINED BY A CAMERA DEVICE”
(7)米国特許出願第20120074851号、発明者Erinjippurath、2012年3月29日公開、タイトル”METHOD AND SYSTEM FOR DISPLAY CALIBRATION WITH FEEDACK DETERMINED BY A CAMERA DEVICE”
(8)米国特許出願第20110311147号、発明者Pahalawatta他、2011年12月22日公開、タイトル”QUALITY EVALUATION OF SEQUENCES OF IMAGES”
(9)米国特許出願第20110194618号、発明者Gish他、2011年8月11日公開、タイトル”COMPATIBLE COMPRESSION OF HIGH DYNAMIC RENAGE、VISUAL DYNAMIC RANGE、AND WIDE COLOR GAMUT VIDEO”
(10)米国特許出願第20090086816号、発明者Leontaris他、2009年4月2日公開、タイトル”VIDEO COMPRESSION AND TRANSMISSION TECHNIQUES”
これらの全ては、その全体がここにおいて参照により包含されている。
【0026】
合成画像の一実施例
一つの実施例においては、快適な視聴体験を提供するために、第1の信号の特性及び/又はディスプレイの特性に従って、合成信号を第1の画像/ビデオ信号と混合することが望ましい。例えば、ビデオとディスプレイ技術が改善するにつれて、VDR/EDR/HDRデータをレンダリングすることができるディスプレイへと移行する傾向が存在する。そうしたデータ、およびそうしたデータをレンダリングすることができるディスプレイは、ディレクター(director)が意図したようにムービー/ビデオを忠実に再現するための適切な方法を提供する。つまり、データを示し、及び/又は、描写するために使用されるディスプレイハードウェアの能力の範囲内のものである。一つの例においては、ハイライトのための特別なより高い輝度が再現され得る。従来のアプローチでは典型的に不可能であったことである。
【0027】
ディスプレイ/TVに配信される、より高い品質の画像/ビデオデータとは別に、他の画像エレメント(実際のムービー/ビデオデータを必ずしも含んでいない)は、他のユーザインターフェイスエレメントである。例えば、メニュー、カーソル、および、クローズドキャプション又はブルーレイ(登録商標)ディスクメニューといったスクリーン上のディスプレイエレメントである。しかしながら、それらのエレメントのアピアランスレンダリングは、EDR/VDRにおいては典型的に定義されておらず、従来のビデオに関しても典型的に定義されていない。
【0028】
このように、本システムの一つの実施例は、ここにおいて開示されるシステムと方法を使用してディスプレイデバイス上にユーザインターフェイスエレメントの知覚的に正確なレンダリングに作用する。前述のユーザインターフェイス(UI)エレメントおよび他の画像/ビデオコンテンツに係る比色分布(colorimetricy)、知覚的および審美的に正しいレンダリングに作用するためのものである。
【0029】
図2Aと
図2Bは、描写された画像の2つの実施例である(それぞれに200と200’)。画像200においては、高いダイナミックレンジのコントラストを含む画像が描写されている。例えば、非常に高い輝度の部分(アーク溶接の光のように見える)が非常に暗い部分の近傍(影のように見える。例えば、単語「Text」が表示されている)にある。加えて、高いダイナミックレンジの画像と合成されてきたオーバーレイされたグラフィクスとテキストエレメントが存在する(例えば、メニュー202および「Max.Codeword Closed Captioning Text」と読めるキャプション)。
【0030】
図2Aにおいては、注意すべき多くの視覚的特徴が存在する。例えば、メニュー202が輝度区分(luminance banding)を示していることがわかる。つまり、輝度のグラデーション(gradation)であり、上部において高輝度であり、下部にむけて徐々により暗い輝度である。加えて、クローズドキャプションが最大のコードワード輝度レベルでディスプレイへ送付されることがわかる。これにより、テキストが、例えば溶接トーチの炎と同じ輝度で表示されることになる。このことは、強烈な明るさのせいで、テキストの観察者を混乱させ、または、不快にさせるようである。特に、第1の画像/ビデオ領域において(例えば、単語「Text」の周辺)より低い輝度の領域も存在する場合である。
【0031】
図2Aに係る従来のアプローチを検査すると、フルコードワード(full code word)として描写された白色テキストは、EDR/VDR TV上では明るすぎる傾向がある。代わりに、EDR TV上のテキストは、反射的白色レベル(例えば、300cd/m
2)および優勢である白色点(ここでは4000KのCCT)で描写されてよい。上記の画像は、最大4000cd/m
2に区分され得るものとして現れることに留意する。そうした有能なTV上に表示されると、
図2Bにおけるテキストは反射的(または「ペ−パーホワイト(”paper white”)」)として現れ、一方で、
図2Aにおいては輝いて現れるであろう。
【0032】
最大限可能なコード値(例えば、12ビットにおけるEDRコード値4096の僅かに下の値)を用いて白色メニューテキストを描写することは、テキストが輝いていると知覚されるようにする傾向がある一方で、テキストとムービー/フィルム背景との間のダイナミックレンジの強烈な相違のために不快感も作り出し得る。事前設定されたコード値を用いたレンダリングの代わりに、絶対的な輝度レベル(例えば、300nitsまたはVDR限界調査からの結果に基づくもの)を適用することが可能であり、白色点(シーン、チャプター、または全てのムービーにわたり平均されたもの)も同様である。EDR入力およびディスプレイデバイス能力によってさらに定められるようにである。加えて、オーバーレイされたテキストおよびグラフィクスによって使用される彩度(chroma)範囲を調整するために(例えば、白黒のシーン上にはかなり飽和した緑色テキストを避けること)、色域の範囲を考慮することができる。
【0033】
これらの効果は、また、DVDおよびブルーレイにおけるサブタイトルの描写に対しても可能である。多くのムービーにおけるサブタイトルは、カラーであってよい。明るさと色の一貫性を維持するためには、オーバーレイされたサブタイトル画像をコンテンツの特性に対してマップすることが望ましい。このマッピングは、シーンに基づくパラメータに作用され得る。オーバーレイは、コンテンツを伴うディスプレイ能力に対して後にマップされるからであり、ここで、マッピングはシーン適合(scene−adaptive)であってよい。マッピングのアップとダウン工程のペアは、サブタイトルを知覚的に正しく、かつ、矛盾なく現す傾向がある。
【0034】
対照的に、
図2Bは、実質的に同一の高いダイナミックレンジ画像(つまり、暗いガレージにおける溶接)と同様なメニュー(202’)およびCCテキストを含んでいる合成画像200’を示している。この場合、メニュー202’とCCテキストが合成されてきている。第1のHDR画像の特性(および、おそらくはそれを描写するディスプレイの特性)に応じたものである。新たな合成画像は、メニュー202において見られるように、幅広い輝度区分を示していないことがわかる。加えて、テキストとメニューの高い輝度が、第1のHDR画像の低い輝度の部分における詳細から、観察者の気をそらせることがない。
【0035】
一実施例
図3は、本システムの部分によって作用されるモジュール及び/又は処理を含み得るいくつかの画像/ビデオ処理300の一つの実施例を示している。
図3は、3つの可能な処理シナリオに係る画像/ビデオ処理を示している。画像、シーン(例えば、関連する画像の収集)、および動画(例えば、関連するシーンの収集)である。画像302の場合、メタデータが計算され、収集され得る。例えば、画像統計が計算され得る。平均強度、最小/中間/最大強度、反射的白色、画像の色温度及び/又は白色点、といったものである。シーン304に対して、同様な統計が計算され得る。シーンの中のそれぞれの画像に対し、そして、次にシーン自体に対して計算されるものである。ムービー306に対して、同様な統計が計算され得る。シーンの中のそれぞれの画像に対し、そして、次にシーン自体に対して計算され、そして、次にムービー全体に対して計算されるものである。画像統計または本来静的なメタデータに加えて、シーンの中での画像の変化、または、ムービー中でのシーンの変化に係る一時的な振る舞いを特徴付けるメタデータも存在する。
【0036】
前述のそうした画像統計に加えて、それぞれの画像、シーン、及び/又はムービーに対してカラーパレット(color palette)が計算され得る。例えば、ヒストグラム、空間的ピクセル相関、または、他の画像及び/又はシーン固有の特性を分析することによるものである。画像統計及び/又はカラーパレットの組合せは、一式のメタデータを含み得る(例えば、それぞれに302’、304’、および306’である)。加えて、ディスプレイの能力に関して同様なメタデータが集められ得る。例えば、輝度(最小、平均、最大)、色温度、反射的白色点、色域、プライマリ、等である。このメタデータは、次に、本システムのいくつかの部分によって使用される。例えば、コンポジタ、または、DM(機能性がDM自身の中に包含されてきた場合)である。
【0037】
EDR TVを伴う実施例
上述のように、TV及び/又はディスプレイは、より高いダイナミックレンジの画像/ビデオを描写するためのより多くの能力を示している。EDR/VDR描写可能ディスプレイ(例えば、スーパーハイビジョン(UHD)セット)は、より多くの消費者によって受入れられてきている。そのように、
図4と
図5は、そうしたセットに対して視覚的に快適な合成画像/ビデオ信号を作用し得る本システムに係る2つの実施例である。
図4において、システム400は、UHD EDRデコーダ404を用いて開始され、第1のEDR/VDR/HDR画像/ビデオデータを受け入れ得る。実質的に同時に、ディスプレイ管理モジュール406は、オーバーレイ、及び/又は、入力画像/ビデオデータと合成されるべき他の画像データを受け入れ得る。EDRメタデータが計算されて、モジュール406と共有され得る。そして、モジュール406は、合成されるように処理された画像データを出力し得る。観察者に対して視覚的により受け入れやすい傾向のものである。
【0038】
第1の画像データと合成画像データは、混合され、または、そうでなければ混合モジュール408によってオーバーレイされ得る。その出力が、HDMI送信モジュール410の中に入力され得る。モジュール410は、入力として、EDRメタデータ、合成された画像データ(つまり、合成画像データと混合された第1の画像データ)を受け入れ得る。EDR画像データを表示するためのディスプレイの能力に関する情報も同様である。
【0039】
図2Aに見られるように、破線402は、概念的な線を示している。画像とディスプレイセットの外部から来る処理(例えば、線402の左手側)、および、セット自身及び/又はセットトップボックスの中の処理(例えば、線402の右手側)である。上述のように、本システムは、必ずしも境界のこれらの線に限定されない。処理は、このパイプラインの多くの部分に存在し得るからであり、本アプリケーションの範囲を損失することはない。この情報は、ディスプレイのEDIDから来るものであってよい。一つの実施例において、TV/ディスプレイのEDIDは、STB(または、画像処理チェーンのさらに上側の処理)に、ディスプレイがEDR TV/ディスプレイか、または従来のTV/ディスプレイであるかに関して知らせ得る。ディスプレイが従来のものである場合、STB(または類似のもの)は、EDR信号を処理して、グラフィクスオーバーレイを適切に描写する。ディスプレイがEDR可能である場合、EDIDは、情報をSTBに戻して(または、さらに上側に)与えるように構成されてよい。このことは、グラフィクスオーバーレイの処理(例えば、知覚的なマップ)を手助けし得る。一方で(同時に)、TV自身の中でのより良いアピアランスマッピング処理のためにディスプレイに関するより正確なデータを提供している。
【0040】
合成された信号は、HDMI受信モジュール412によって受信され、そして、(追加の処理を伴って又は伴わないで)DMモジュール414に対して信号を通過させ得る。DMモジュールは、観察者に対する快適な視覚的体験のために、画像データがディスプレイ416の能力に見合ったものであることを確保するためのいくつかの追加処理を提供し得る。
【0041】
図5は、EDR/VDR可能ディスプレイ上で画像/9ビデオデータを処理するための本システムに係るさらに別の実施例である。同様な数字が付けられたエレメント(例えば、416と516)は、
図4と
図5の両方において実質的に同様な機能を実行する。しかしながら、
図5においては、ディスプレイの能力に関する情報のバックチャンネルが画像処理パイプラインにおいて更に後ろに送付されるのがわかる。例えば、ディスプレイ管理モジュール506に対してである(
図1におけるコンポジタモジュールと同様なものである)。このシナリオにおいては、合成処理のより多くが、第1のコンテンツのフロントエンド/クリエータ(creator)に対してより近くで生じ得る。このことは、オーバーレイコンテンツのより多くの態様をコントローラするコンテンツ分配器(distributor)の場合に望ましい。広告に関してさらにここにおいて説明されるようにである。
【0042】
従来のTV/ディスプレイを伴う実施例
図6は、TV/ディスプレイが従来のものである一つの実施例である。つまり、高いダイナミックレンジ及び/又は広い色域の画像/ビデオデータを表示するための能力が無いか、非常に限定されている。この実施例において、システム600は、デコーダ602においてEDR/VDR画像データを受け取り得る。メタデータが計算されて、オーバーレイマッパー(mapper)606へ送付され得る。オーバーレイマッパーは、また、オーバーレイ/合成の画像/ビデオデータを受け取り得る。DMモジュール608は、第1の画像/ビデオデータ、EDRメタデータ、および、ディスプレイの色域データ(例えば、xvYCCまたはRec709)を受け取り得る。さらなる処理のためである。任意のスケーラ(scaler)610が、画像処理パイプラインのなかに配置され得る。一つの実施例において、スケーラは、ネイティブ(native)空間解像度を用いてコンテンツを生成するために使用され得る。例えば、UHD EDRデコーダ604への入力がUHD解像度を有しており、かつ、ディスプレイ618が1080pしか有していない場合、スケーラは、入力信号の空間解像度を1080pへ低減し得る。
【0043】
第1の画像/ビデオデータは、混合器モジュール612において合成画像/ビデオデータと混合され、または、そうでなければ合成され得る。そして、その後でHDMI送信器614に送付される。モジュール614は、HDMI受信器モジュール616から(EDIDインターフェイスを介して)ディスプレイ能力を受け取り得る。そして、ディスプレイ618の能力に応じるように適切な画像処理が生じ得る。
【0044】
別の実施例において、EDR能力のない従来のデバイス(例えば、PC,ゲームコンソール、VCR、等)がピクチャインピクチャ(PIP)コンテンツを表示する場合には、VDR画像の中にスーパーインポーズされながら、コンテンツのダイナミックレンジが管理されることが望ましい。この管理/マッピング情報は、例えば、最小/最大反射的白色およびDMプロセスからの白色点であり得る。さらに別の実施例において、接続されたデバイスがパーソナルコンピュータである場合、これらの値も、また、PCに戻って通信され得る(例えば、HDMIバックチャンネルを介して)。ディスプレイに送付する前に、グラフィクスカードのレンダリングを調整するためである。
【0045】
処理の一実施例
第1の画像/ビデオデータ上に第2の画像/ビデオデータをオーバーレイ及び/又は合成するための数多くの可能な構成を包含し得る、ここにおいて開示された種々の実施例のように、
図7は、合成処理モジュール及び/又はルーチンの一つの可能な実施例である。そうした処理モジュール/ルーチン(700)は、コンポジタ、DMモジュール、そうしたモジュールの組合せ、の中に存在し得る。もしくは、代替的に、適切なプロセッサとコンピュータで読取り可能なストレージが存在するあらゆる場所に存在し得る。
【0046】
700において開始され、合成モジュール/ルーチンは、702において、オーバーレイ/合成の画像/ビデオデータ(別名、第2の画像/ビデオデータ)のメタデータを入力し得る。そうしたメタデータは、画像統計またはカラーパレット(例えば、上述のように)、もしくは、他のあらゆる既知の方法(例えば、第2の画像/ビデオデータを伴うストリーミングメタデータ)として、計算及び/又はコンパイルされ得る。704において、モジュール/ルーチンは、第1の画像/ビデオデータ(例えば、輝度、ダイナミックレンジ、白色点、等)に関するメタデータを入力し得る。そうしたメタデータは、画像統計またはカラーパレット(例えば、上述のように)、もしくは、他のあらゆる既知の方法(例えば、第1の画像/ビデオデータを伴うストリーミングメタデータ)として、計算及び/又はコンパイルされ得る。706において、モジュール/ルーチンは、合成された画像/ビデオデータ(つまり、オーバーレイ/合成の画像/ビデオデータを一緒に伴う第1の画像/ビデオデータ)が描写されるディスプレイの特性に関するメタデータを入力し得る。708において、モジュール/ルーチンは、アピアランスマッピング、または、そうでなければオーバーレイ/合成の画像/ビデオデータの合成を実行し得る。快適な視覚的アピアランスを提供するものであり、合成画像/ビデオデータを形成、または、そうでなければ作成するためである。このマッピングは、そうした快適なアピアランスを提供するモジュール/ルーチンの中にエンベッドされる多くの可能な発見的ルール及び/又はゴールを考慮し得る。代替的に、モジュール/ルーチンは、望まれ又は適切であれば、第1の画像/ビデオデータ上でアピアランスマッピングを実行し得る。
【0047】
そうしたルール及び/又はゴールは、種々の技術を使用して、輝度、ダイナミックレンジ、色域、カラーアピアランス、等に対するおおよそ良好な出来具合に作用し得る。ディスプレイ設定(例えば、ダイナミックレンジ、および、カラーアピアランスモデルの実施)を変更するためのそうした方法及び/又は技術のいくつかが、共有の米国特許出願申請においてさらに開示されている。
(1)米国特許出願第20120051635号、発明者Kunkel他、2012年3月1日公開、タイトル”LIGHT DETECTION、COLOR APPEARANCE MODELS、AND MODIFYING DYNAMIC RANGE FOR IMAGE DISPLAY”
(2)米国特許出願第20110305391号、発明者Kunkel他、2011年12月15日公開、タイトル”IMAGE PROCESSING AND DISPLAYING METHODS FOR DEVICES THAT IMPLEMENT COLOR APPERANCE MODELS”
(3)米国特許出願第20120320014号、発明者Longhurtst他、2012年12月20日公開、タイトル”SYSTEM AND METHOD FOR ADJUSTING DISPLAY BASED ON DETECTED ENVIRONMENT”
(4)米国特許出願第20120026405号、発明者Atkins他、2012年2月2日公開、タイトル”SYSTEM AND METHOD OF creatingOR APPROVING MULTIPLE VIDEO STREAMS”
(5)米国特許出願第20100231603号、発明者Kang、2010年9月16日公開、タイトル”ARTIFACT MITIGATION METHOD AND APPARATUS FOR IMAGES GENERATED USING THREE DIMENSIONAL COLOR SYNTHESIS”
これらの全ては、その全体がここにおいて参照により包含されている。
【0048】
一旦そうしたマッピングが計算及び/又は見積りされると、次に合成画像が形成され、そして、710において、結果として生じる画像/ビデオデータがディスプレイに対して送付され得る。この処理は、オーバーレイされるべき画像/ビデオの発生がある間は、いつまでも継続され得る。
【0049】
HDR/EDR/VDR処理の実施例
図8は、第1の画像/ビデオデータ上へのオーバーレイ/合成の画像/データのアピアランスマッピングに係る一つの典型的な実施例を示している。ダイナミックレンジ、最小強度、反射的白色点(white point)、および絶対最大(absolute maximum)に関してデバイス上へのレンダリングのためである。
図8において示される全てのダイナミックレンジバーは、802において示される参照ダイナミックレンジに関連し、ここではVDR信号全範囲804を反映している。それぞれのダイナミックレンジバーは、最小から最大強度の範囲として図示されている。ダイナミックレンジバーの中の中央の交線は、反射的白色を表している輝度値を示している。
【0050】
図8は、どのようにシーン毎の(scene−by−scene)ダイナミックレンジが、808として表されるようなダイナミックレンジを有するディスプレイ上にマップされ得るかを説明している。入力VDR信号804は、物理的ディスプレイデバイスの最大ダイナミックレンジ808に潜在的にマップされ得る。しかしながら、入力VDRシーンに存在する実際のダイナミックレンジに基づいて、ディスプレイ管理(DM)モジュールは、異なるダイナミックレンジインターバルと反射的白色点を主要なディスプレイ上のそれぞれのシーンに対して割り当て得る。シーン1、2、および3(それぞれに810a、810b、および810c)により図示されている。
【0051】
このマッピング情報は、コンポジタ(または、上述のようなコンポジタと同様な処理を有するあらゆるモジュール)に対して送付され得る。このコンポジタ(または類似のもの)は、入力としてオーバーレイ/合成コンテンツを受け取り、そして、このコンテンツを、それぞれ810a’、810b’、および810c’により図示されたDR範囲の中にマップし得る。
【0052】
オーバーレイ/合成入力画像データ(例えば、UI、CC、テキスト、等)上の実際のコンテンツのダイナミックレンジは、ディスプレイの全ダイナミックレンジを使用しなくてよいことに留意すべきである。代わりに、第1の画像とディスプレイの能力に可能な限り近いようにダイナミックレンジおよび明るさ(lightness)において知覚的に一致する傾向にある範囲を選択する。
【0053】
彩度マッピング
ダイナミックレンジに関して視覚的に快適なマッピングに加えて、画像/ビデオデータを視覚的に快適な色域に対してマップ及び/又は合成することも、また、望ましい。
図9A、9B、9Cおよび9Dは、第1の画像/ビデオデータ上へのオーバーレイ/合成の画像/データのマッピングに係る一つの典型的な実施例を示している。色域に関してデバイス上へのレンダリングのためである。
図9Aは、第1の画像/ビデオデータストリームにおいて存在し得るような色域(例えば、CIExy色度図(Chromaticity Diagram)900の中に配置された902)を示している。この画像/ビデオデータは、白色点906を含み得る。白色点は、黒体(black body)曲線904上のどこか、または、色度図の内側のどこかに在ってよい。
【0054】
DM処理の最中(
図9Bで示されるように)、色域は、第1の画像/ビデオデータにおいて利用可能な全色域に関して小さくなり得る。この、おそらくより小さい色域908は、物理的な表示域の限界を表現し得るものであり、そして、また、異なる白色点910も示し得る。
【0055】
図9Cは、ディスプレイによって表示される小さな色域を考慮する。(イメージごと、シーン毎に生じ得るように)第1の画像コンテンツの動的カラーマッピングの最中にである。所与の画像(C)に対する全体の彩度ベクトルと色域の外側範囲は、イメージごとに変化し得ることがわかる(種々の実線および破線の領域円によって示されるように)。
【0056】
合成された画像(つまり、第1の画像/ビデオデータおよびオーバーレイデータ)がディスプレイ上にマップされる場合、さらなる領域(gamut)マッピングが生じ得る(
図9Dに示されるように)。
図9Cと同様に、種々の色域(つまり、914,916、918)が画像毎に現れ得る。それぞれが、それ自身の可能な全体的領域ベクトルCと白色点WPを伴っており、全体領域912の中に適合している。オーバーレイ/合成されたグラフィクスをDMされたVDRストリームの実際の領域と知覚的に一致させるために、フレーム/シーン領域、彩度、及び/又は、白色点の設定を、
図9Cと
図9Dの間と実質的に同一、または、少なくとも類似にすることが望ましい。
【0057】
可能な広告の例/実施例
ここにおいて言及される合成画像処理の一つの可能なアプリケーションとして、画像/シーン、及び/又は、ムービーを用いた動的(dynamic)コンテンツ置換(replacement)を考慮することが可能であり、及び/又は、望ましい。一つの典型的な例は、既存のコンテンツの中に広告を置くこと、または、既存のコンテンツの中の広告を他の広告に置換することであろう。
図10A、10B、および10Cは、本システム及び/又は方法によって作用され得る動的コンテンツ置換の一つの実施例を示している。他の実施例においては、広告の他に、あらゆる他のコンテンツがスーパーインポーズされ得る。例えば、ウェブサイト情報、株式市場情報、ウェブサイトおよびソーシャルメディアコンテンツ、等である。そうした情報は、また、望むように、動的に挿入及び/又はアップデートされ得る。一つの実施例において、動的マッピングは、第1の画像/ビデオデータ、または代替的に、第2のオーバーレイ画像/ビデオデータ、例えば、第1の画像/ビデオデータと既に合成されているものを、第3の、及び/又は、異なる画像/ビデオデータと置き換えることであり得る。一つの画像/ビデオデータセットの別の画像/ビデオデータセットへのそうした置換は、全体的な置き換えであり得る。もしくは、画像/ビデオデータのサブセットだけの置換であってもよい。一つの実施例において、本システムは、ここにおいて説明されるように、一つの画像/ビデオデータセットの別の画像/ビデオデータセットへのそうした置換ができる動的マッピングモジュールを含み得る。
【0058】
図10Aは、一つの典型的な画像/シーンを示している(例えば、この実施例においては、道路と広告掲示板(billboard)1002である)。広告掲示板1002は、この画像/シーンの中で、異なる広告をオーバーレイする機会のための領域を表している。コンテンツの創作者及び/又は所有者により望まれるようにである。例えば、観察者/消費者に対して「対象の(”targeted”)」広告を配置することが可能である(観察者に関する、好き嫌いといった情報が知られ、推測され、または統計的に引き出され得る場合である、例えば、ソーシャルメディアネットワークを分析することによる)。別の実施例においては、より長い時間期間にわたり画像をアップデートすることができる。一つのそうした実施例は、古いムービー、TVコンテンツ、または、広告掲示板において今あるそうしたより古い/従来のコンテンツをアップデートすることであろう。倒産/消滅した会社のコンテンツである。ムービーをアップデート(および、現在に適切であるように見えるように)するために、その領域に新たな広告掲示板コンテンツが追加され得る。このようにして、広告掲示板の中の古い画像を上書きする。
【0059】
図10Aにおいては、広告掲示板コンテンツが、広告を表現する実際のピクセル情報1004、および、境界ボックス(bounding box)1008に結合され得るアルファ(alpha)チャンネル1006を有し得ることがわかる。この境界ボックスは、広告掲示板上の広告に係る適切なオーバーレイ及び/又は合成のための画像処理を実行する領域を定義し得る。1008の内側の全てのピクセルは(実物大のものも同様に)、フレーム毎に変化し得る。
【0060】
図10Bは、交換されるコンテンツが異なる
図10Aのコンテンツを示している(例えば、1002の代わりに、1010を有することが可能である)。広告(または他のコンテンツ)が動的に変更される一方で、主要シーンフレームは実質的に同一に保持され得ることが正しく理解されるべきである。例えば、コンテンツ1002は、実質的に1004であってよく、かつ、コンテンツ1010は実質的に1012であってよい。一つの実施例において、1002または1010として表示された情報は、外部コンテンツ106としてコンポジタ(例えば、110または類似のもの)に提供され得る。これは、オリジナルVDRストリーム102又はあらゆる可能なサブセット(例えば、スーパー又はサブサンプルされ、より低いビット深度で、または、あらゆる他の圧縮形式)として、完全な信号仕様(full signal specification)であり得る。合成1008のために、輝度及び/又はカラーレファレンス(color reference)が第1の画像/ビデオデータの中に提供され得るとしてもである。
【0061】
図10Cは、動的広告のための処理の別の態様を示している。例えば、同一シーンに係る後続フレームと比較した一つのフレームとしてである(おそらく、例えば10フレーム後または類似のもの)
図10Cにおいて見られるように、広告掲示板の領域の中にはオブジェクト(例えば、街灯柱(lamppost))が存在し得る。加えて、広告掲示板の画像と相互作用し得る画像の別の部分が存在し得る(例えば、水たまり1002’であり、広告掲示板の画像を反射し得る)。この場合、本システムにとって、これらの効果の適切な処理を保持することが望ましいであろう。例えば、直線1012は、広告掲示板上に示される所定の広告に関係なく、広告掲示板画像の前面に永久に存在するものと考えられ得る。加えて、本システムは、境界ボックス構成1008の中に分離領域を含み得る。広告掲示板上に新たな及び/又は異なる広告を適切に合成するためである。
【0062】
別の実施例は、次に広告掲示板上の場所にマップされ得るテクスチャ(texture)を提供することであり得る。例えば、グラフィクス処理ユニット(GPU)といった、幾何変換(geometric transform)モジュールを使用することによるものである。
【0063】
加えて、既存のEDRビデオストリームの中へのリアルタイム合成のため、アルファチャンネルと結合されたアピアランス/DMメタデータが、情報をビデオ画像の中に合成するために使用され得る。このことは、ムービー映像に現れる広告掲示板上で広告を交換するのを助けるために使用され得る。ムービーのアピアランスパラメータが知られている場合、観察者が合成に気付くことなく、広告がマップされ得る。再生機器におけるコンピューティングパワーが増大すれば、このことは近い将来に実現可能である。
【0064】
既存の画像/ビデオに対する追加コンテンツの追加
古い画像/ビデオコンテンツを修復、及び/又は、再フォーマットする場合には、新たな、追加のコンテンツを加えるために、そうした古いコンテンツの中の領域を特定することが望ましい。例えば、古いムービー/TVショーにおいて貴重な広告領域を特定することができる。一つの実施例において、VDRグレードのムービーに対する幾何マッピング機能が、この合成の実行を手助けするために使用され得る。ピクセル/頂点(vertex)シェイダ(shader)プログラムは(例えば、コンピュータグラフィクス/ゲームにおいてしばしば使用されるように)、また、以下に説明されるように、そうしたVDRストリームの中に新たなコンテンツを合成することを手助けするために使用され得る。
【0065】
図11は、新たなコンテンツのための領域の特定を実行すること、および、そうした新たなコンテンツの既存及び/又は古いコンテンツの中への合成の実行に係る一つの実施例(1100)である。
【0066】
古いコンテンツに関する修復の場合、システム1100は、ムービー/TVショー1104の所有者と共同して貴重な広告領域を特定し得る。このことは、オフラインプロセス1102によって実行され得るもので、頂点とピクセルのシェイダプログラム1106を作成するために使用され得る。そうしたシェイダプログラムは、あらゆるテクスチャ(例えば、長方形画像1112)を、VDRストリームの中に合成するために必要な2次元形状へと、どのようにマップするかを説明するだろう。一つの実施例において、そうしたシェイダプログラム1106の作成には、少しの追加のコスト/労力がかかり得る。全てのムービーではなく、興味の領域(例えば、広告)にだけ行われることを要するからである。これは、自動的、半自動的(特徴追跡、動きベクトル解析、等といった、コンピュータビジョンアプローチを使用するもの)、または、手動(アーチストによって実行されるもの)であってよい。
【0067】
頂点とピクセルのシェイダプログラム1106は、次に、ムービー/TVショーに備えられ、DVRメタデータのサブセットを作成する。VDRストリームに添付されたメタデータとして、または、外部の手段(例えば、インターネット)を介して、いずれかで提供されるものである。
【0068】
このマッピング機能(1106)は、今や、適切な境界ボックス(1118)において、長方形のテクスチャ(1112)から適切なマップされたピクセルデータ(1112’)へ行くために使用され得る。幾何マッパーとシェイダ(1116)と共に、頂点とピクセルのシェイダプログラム(1106)を使用することによるものである。
【0069】
最終境界ボックス(1118)は、今や、第1の画像/ビデオデータ(1104’、1130以降)のマップされた出力に一致または実質的に一致するためのDMモジュール(1129)を使用して、ダイナミックレンジ及び/又は色域(または他の画像特性)の中にマップされ得る。両方のDMモジュール(1120と1130)は、一致するマッピング結果を作成するために、同一または同様なVDRメタデータセット1108を使用し得ることに留意すべきである。今や、あらゆる他の合成物(例えば、1122および1126といった入力を使用するGUI、CC、等)を伴ってVDRムービー(1132)の中に合成され得る。画像コンポジタモジュール1128を使用して、
図10A、10B、および10Cにおいて説明されたのと同一の方法によるものである。このことは、表示され得る知覚的に正しく合成された広告を含むVDRムービーを結果として生じる。
【0070】
一つの実施例において、プログラム1106は、(一度作成されると)あらゆる新たなコンテンツ1108を用いていつまでも再使用され得る。広告主は、テクスチャ、および、(いくつかの実施例においては)アピアランスマッピングデータ(例えば、ロゴまたはプロダクトといった、彼らの広告に係るエレメントの正確な比色定量記述)を提供する必要があるだけである。ムービーをVDRに修復/再評価しながら作成された頂点とピクセルのシェイダプログラムを使用するVDRムービーの中にテクスチャをおおよそマップすることが可能であろう。この実施例は、単一フレームのテクスチャに限定されるものではないことに留意すべきである。広告クリップ(例えば、短編映画)を使用することも有効である。
【0071】
本発明の一つまたはそれ以上の実施例の詳細な説明が、本発明の主旨を説明する添付の図面と一緒に読み上げられて、ここまで提供されてきた。本発明は、そうした実施例に関連して説明されるが、あらゆる実施例に対して限定されるものでないことが、正しく理解されるべきである。本発明の範囲は、請求項によってのみ限定されるものであり、かつ、本発明は、数多くの代替、変形、および均等物を包含するものである。本発明について完全な理解を提供するために、この明細書においては数多くの詳細が明らかにされてきた。これらの詳細は、例示目的のために提供されるものであり、本発明は、これら所定の詳細のいくつかまたは全てが無くても、請求項に従って実施され得る。明確化の目的のために、本発明に関連する技術分野において既知の技術的事項は、詳細には説明されてきていない。本発明が、不必要に不明瞭にならないためである。
【0072】
上記の実施形態につき以下の付記を残しておく。
(付記1)
第2の画像を第1の画像の上にオーバーレイする方法であって、
前記第1の画像と前記第2の画像を受取るステップであり、前記第1の画像は、ダイナミックレンジとサイズが前記第2の画像と異なる、ステップと、
前記第1の画像に関する第1のメタデータを受取るステップと、
前記第2の画像に関する第2のメタデータを受取るステップと、
調整された第2の画像を決定するために、前記第2の画像のアピアランスマッピングを実行するステップであり、前記調整された第2の画像は、ダイナミックレンジが前記第2の画像と異なり、前記第1のメタデータおよび前記第2のメタデータに従っている、ステップと、
前記調整された第2の画像を前記第1の画像の少なくとも一部分の上にオーバーレイして合成画像を形成するステップと、
を含む、方法。
(付記2)
前記第1の画像は、グループのうちの一つを含み、
前記グループは、HDR画像/ビデオ、EDR画像/ビデオ、および、VDR画像/ビデオ、を含む、
請求項1に記載の方法。
(付記3)
前記第1の画像に関する第1のメタデータを受取るステップは、さらに、
前記第1の画像に関する画像統計を受取るステップ、を含む、
請求項2に記載の方法。
(付記4)
前記画像統計は、グループのうちの一つを含み、
前記グループは、平均輝度、最小輝度、中間輝度、最大輝度、ダイナミックレンジ、反射的白色、色温度、白色点、色域、および、カラーパレット、を含む、
請求項3に記載の方法。
(付記5)
前記第2の画像は、グループのうちの一つを含み、
前記グループは、グラフィクス、クローズドキャプション、テキスト、ビデオオーバーレイ、GUI、TVガイド、放送会社からの信号、コンテンツ作成からの信号、サブタイトル、セットトップボックスからの信号、および、AV受信器からの信号、を含む、
請求項2に記載の方法。
(付記6)
前記第2の画像に関する第2のメタデータを受取るステップは、さらに、
前記第2の画像に関する画像統計を受取るステップ、を含む、
請求項5に記載の方法。
(付記7)
前記画像統計は、グループのうちの一つを含み、
前記グループは、平均輝度、最小輝度、中間輝度、最大輝度、ダイナミックレンジ、反射的白色、色温度、白色点、色域、および、カラーパレット、を含む、
請求項6に記載の方法。
(付記8)
前記アピアランスマッピングを実行するステップは、さらに、
前記第1の画像の前記ダイナミックレンジに従って、前記第2の画像の前記ダイナミックレンジをマッピングするステップ、を含む、
請求項1に記載の方法。
(付記9)
前記アピアランスマッピングを実行するステップは、さらに、
前記第1の画像の色域に従って、前記第2の画像の色域をマッピングするステップ、を含む、
請求項1に記載の方法。
(付記10)
前記アピアランスマッピングを実行するステップは、さらに、
前記第1の画像の輝度に従って、前記第2の画像の輝度をマッピングするステップ、を含む、
請求項1に記載の方法。
(付記11)
前記方法は、さらに、
ディスプレイの特性に関するメタデータを受取るステップ、を含む、
請求項1に記載の方法。
(付記12)
前記ディスプレイの特性に関する前記メタデータは、グループのうちの一つを含み、
前記グループは、平均輝度、最小輝度、中間輝度、最大輝度、反射的白色、色温度、白色点、色域、を含む、
請求項11に記載の方法。
(付記13)
前記アピアランスマッピングを実行するステップは、さらに、
前記ディスプレイの特性に関する前記メタデータに従って、前記第2の画像をマッピングするステップ、を含む、
請求項12に記載の方法。
(付記14)
前記方法は、さらに、
第3の画像を前記第1の画像と合成するように、前記第3の画像をマッピングするステップ、を含み、
前記第3の画像は、前記第1の画像と以前に合成された前記第2の画像のサブセットを置き換えるものである、
請求項1に記載の方法。
(付記15)
第1の画像の上に第2の画像を合成するためのシステムであって、
前記第1の画像を受取ることが可能なディスプレイ管理モジュールと、
前記第2の画像を受取ることが可能なコンポジタモジュールであり、さらに、
前記第1の画像に関するメタデータを受取ることが可能であり、かつ、前記第1の画像に関する前記メタデータに従ってアピアランスマップされた第2の画像を形成するために、アピアランスマッピングを実行することが可能である、
コンポジタモジュールと、
前記アピアランスマップされた第2の画像を合成画像を形成するために前記第1の画像の上に混合することが可能な混合モジュールであり、前記合成画像はディスプレイ上に描写されるものである、混合モジュールと、
を含む、システム。
(付記16)
前記システムは、さらに、
画像/ビデオストリームから画像統計を計算することが可能な画像統計計算モジュール、を含む、
請求項15に記載のシステム。
(付記17)
前記画像統計計算モジュールは、グループのうちの一つを含み、
前記グループは、平均輝度、最小輝度、中間輝度、最大輝度、ダイナミックレンジ、反射的白色、色温度、白色点、色域、および、カラーパレット、を含む、
請求項16に記載のシステム。
(付記18)
前記コンポジタモジュールは、アピアランスマッピングを実行することが可能であり、
前記アピアランスマッピングは、さらに、グループのうちの一つを含み、
前記グループは、輝度マッピング、ダイナミックレンジマッピング、および色域マッピング、を含む、
請求項17に記載のシステム。
(付記19)
前記システムは、さらに、
第1の画像との合成画像を含む前記第2の画像のサブセットを第3の画像/ビデオデータと置き換えることが可能な動的マッピングモジュール、を含む、
請求項15に記載のシステム。
(付記20)
前記動的マッピングモジュールは、
合成画像の中の第1のコンテンツを前記合成画像の中の第2のコンテンツと置き換えることが可能である、
請求項16に記載のシステム。
(付記21)
第1の画像セットを第2の画像セットに置き換える動的コンテンツ置換のための方法であって、
前記第1の画像セットは、第1のコンテンツの中に画像のサブセットを含み、
前記方法は、
第1のコンテンツを受取るステップと、
前記第1のコンテンツの中の第1の画像セットを特定するステップであり、前記第1の画像セットは置き換えられるべきものである、ステップと、
前記第1の画像セットに関するVDRメタデータを作成するステップと、
第2のコンテンツを受取るステップであり、前記第2の画像セットは、前記第1の画像セットを置き換えるものである、ステップと、
前記第2の画像セットを中間第2の画像セットにマッピングするステップと、
前記VDRメタデータに従って、前記第1の画像セットを前記中間第2の画像セットと置き換えるステップと、
所望の画像特性に従って、前記中間第2の画像セットをマッピングするステップと、
を含む、方法。
(付記22)
前記所望の画像特性は、グループのうちの一つを含み、
前記グループは、ダイナミックレンジおよび色域、を含む、
請求項21に記載の方法。
(付記23)
前記第2の画像セットを中間第2の画像セットにマッピングするステップは、さらに、
前記第2の画像セットを境界ボックスにマッピングするステップ、を含む、
請求項21に記載の方法。
(付記24)
前記第1の画像セットに関するVDRメタデータを作成するステップは、さらに、
前記第1のコンテンツに従って、シェイダプログラムを作成するステップ、を含む、
請求項21に記載の方法。