(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押下状態において前記曲げ部へと前記シート部材を案内し、前記天板が前記底板に向かって移動していない非押下状態では前記曲げ部への前記シート部材の進行を妨げる案内部をさらに備える請求項1に記載のアプリケータ。
前記押下状態において前記曲げ部へと前記シート部材を案内し、前記天板が前記底板に向かって移動していない非押下状態では前記曲げ部への前記シート部材の進行を妨げるストッパをさらに備える請求項1に記載のアプリケータ。
少なくとも前記押下状態において、前記曲げ部へと進む前記シート部材に対して抵抗を付加する抵抗部をさらに備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のアプリケータ。
前記抵抗部が、前記押下状態において前記シート部材を挟むことにより該シート部材に抵抗を付加し、前記天板が前記底板に向かって移動していない非押下状態では前記シート部材を挟まない、
請求項5に記載のアプリケータ。
前記抵抗部が、押さえ部材と、該押さえ部材を前記底板に向かって押しつける弾性力を提供する弾性部材とを備え、前記曲げ部へと進む前記シート部材を前記底板及び前記押さえ部材により挟むことで該シート部材に抵抗を付加する、
請求項5に記載のアプリケータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
アプリケータは、生体内に任意の活性成分(例えば薬剤)を投与するためのシート部材を皮膚に適用する際に用いる補助器具である。アプリケータと共に用いる、皮膚に適用するシート部材は限定されず、例えば貼付剤やマイクロニードル・シートなどが挙げられる。使用者はアプリケータを用いることで、手で直接にシート部材を適用する場合よりも適切な力でシート部材を皮膚に適用することができる。
【0013】
本実施形態ではシート部材の一例としてマイクロニードル・シートを示す。
図1を参照しながら、第1実施形態に係るアプリケータ1と共に用いるマイクロニードル・シート90について説明する。
図1はマイクロニードル・シートの平面図である。この図に示すように、マイクロニードル・シート90は帯状であり、シートの主面91に略沿って該シートに形成された複数のマイクロニードル92を有する。これらのマイクロニードル92はシートの長手方向及び幅方向のそれぞれにおいて整列するように並んでおり、すべてのマイクロニードル92の先端は例外なくシートの一端(
図1では左方向)を向く。マイクロニードル92の先端の向きは、マイクロニードル・シート90が使用される際の該マイクロニードル・シート90の進行方向と一致する。
【0014】
マイクロニードル・シート90及びマイクロニードル92の材質は限定されない。例えば、ステンレス鋼、ポリエチレンテレフタラート(PET)、他の金属、他の樹脂、生分解性素材、セラミック、又は生体吸収性素材のいずれかによりマイクロニードル・シート90及びマイクロニードル92を作製してもよい。あるいは、これらの材質を組み合わせてマイクロニードル・シート90及びマイクロニードル92を作製してもよい。
【0015】
マイクロニードル92はエッチングにより形成することができる。シートが金属であれば薬液でそのシートを部分的に溶かすことでマイクロニードル92を形成することができるし、シートが非金属であればレーザーでそのシートを部分的に切ることでマイクロニードル92を形成することができる。これらの場合には、マイクロニードル92の周囲に空隙が生ずる。もちろん、レーザー加工およびエッチング以外の手法によりマイクロニードル92を形成してもよい。
図1に示すように本実施形態ではマイクロニードル92は三角形状であるが、マイクロニードルの形状は何ら限定されない。いずれにしても、マイクロニードル92を予めシートの主面91から立ち上げておく必要がないので、マイクロニードル・シート90を容易かつ安価に製造することができる。
【0016】
マイクロニードル・シート90の寸法も限定されない。具体的には、厚みの下限は5μmでも20μmでもよく、厚みの上限は1000μmでも300μmでもよい。長さの下限は0.1cmでも1cmでもよく、長さの上限は50cmでも20cmでもよい。幅の下限は0.1cmでも1cmでもよく、幅の上限は60cmでも30cmでもよい。マイクロニードル・シート90の長さ及び幅の下限は活性成分の投与量を考慮して定められ、長さ及び幅の上限は生体の大きさを考慮して定められる。
【0017】
マイクロニードル92に関するパラメータも限定されない。具体的には、針の高さの下限は10μmでも100μmでもよく、その高さの上限は10000μmでも1000μmでもよい。針の密度の下限は0.05本/cm
2でも1本/cm
2でもよく、その密度の上限は10000本/cm
2でも5000本/cm
2でもよい。密度の下限は、1mgの活性成分を投与し得る針の本数及び面積から換算した値であり、密度の上限は、針の形状を考慮した上での限界値である。
【0018】
皮膚に適用する活性成分の準備方法として、マイクロニードル・シート90自体に予め活性成分をコーティングしておく手法と、マイクロニードル92を皮膚に穿刺する前にその皮膚上に活性成分を塗布しておく手法と、マイクロニードル92を皮膚に穿刺した後にその皮膚上に活性成分を塗布する手法とが考えられる。マイクロニードル・シート90に予め活性成分をコーティングするのであれば、所定の粘度のコーティング液をなるべく均一な厚みでシート全体に塗布するのが好ましいが、マイクロニードル92が主面91に沿っているのでそのような塗布を容易に為し得る。コーティングはスクリーン印刷の原理を用いて実施してもよいし、他の方法により実施してもよい。生分解性のシートを用いる場合には、そのシート自体に活性成分を内包させることも可能である。
【0019】
マイクロニードル・シート90はライナーにより保護された形態で提供されてもよい。ライナーの材質の例としてアクリル等のプラスチックが挙げられるが、その材質は何ら限定されるものでなく、例えば金属や他の種類の樹脂などを用いてライナーを作製してもよい。マイクロニードル・シート90は、テープや粘着剤などによりこのライナーの片面に固定又は仮着される。
【0020】
マイクロニードル・シート90は、アプリケータにより曲げられるまではマイクロニードル92がシートの主面91に略沿って延びた状態にある。したがって、アプリケータを用いない限り、マイクロニードル92が他の物(例えばユーザの皮膚や衣服など)に当たったり引っ掛かったりする心配がない。その結果、マイクロニードル92の取扱時の安全性を確保することができる。例えば、ユーザはマイクロニードル・シート90の保管や搬送、使用直前の準備などを安全に行うことができる。
【0021】
次に、
図2〜
図6を参照しながらアプリケータ1の構造を説明する。
図2はアプリケータ1の上方からの斜視図である。
図3はアプリケータ1の下方からの斜視図である。
図4はアプリケータ1の六面図である。
図5はアプリケータ1の分解斜視図である。
図6は後述する可動板10の斜視図である。
【0022】
アプリケータ1は全体として直方体状を呈し、使用時に生体の皮膚と向かい合う可動板10と、その可動板10を覆う筐体20とを備える。可動板10と筐体20とは一端において連結部15により連結され、この仕組みによりアプリケータ1はステイプラのような動きを取ることができる。本実施形態では、筐体20の側をアプリケータ1の上側と定義し、可動板10の側をアプリケータ1の下側と定義する。本実施形態では、アプリケータ1の上面に相当する筐体20の部分を天板21という。連結部15が存在する側(可動板10と筐体20とが連結された側)をアプリケータ1の後ろ側と定義し、その反対側(連結部15を回転軸として可動板10と筐体20とが互いに近づいたり離れたりする側)をアプリケータ1の前側と定義する。また、アプリケータ1の上下方向及び前後方向と直交する方向をアプリケータ1の幅方向と定義する。
【0023】
可動板10は底板11、曲げ部12、案内部13、抵抗部14、及び連結部15を備える。
【0024】
底板11は、アプリケータ1の使用時に生体の皮膚と向かい合う部分である。底板11の下面の前端付近には、幅方向に沿って延びる細長い突起11aが形成される。このように底面の一部を皮膚に向かって隆起させることで、マイクロニードル・シート90(シート部材)が皮膚に向かって押さえつけられるので、マイクロニードル・シート90(シート部材)をより確実に皮膚に適用することができる。ただし、この突起11aは必須の要素ではない。
【0025】
曲げ部12は、マイクロニードル・シート90を曲げる部分である。本実施形態では、曲げ部12は、底板11に形成された孔11bの前側の縁部に幅方向に延びるように設けられた細い円柱部材である。この円柱部材は、マイクロニードル・シート90の進行をより円滑にするために回転可能に設けられてもよいし、回転しなくてもよい。
【0026】
案内部13は、底板11の上面の前端に設けられた、幅方向に沿って延びるスリット状の貫通孔である(ただし、図中では案内部13を一本の線で表している)。マイクロニードル・シート90はこの案内部13からアプリケータ1の内部に入り、底板11の上面に沿って進み、曲げ部12で約180°曲がって、皮膚に適用される。
【0027】
抵抗部14は、曲げ部12へと進むマイクロニードル・シート90に対して抵抗を付加する仕組みであり、底板11の上面に設けられる。抵抗部14を設ける目的は、曲げ部12へと向かうマイクロニードル・シート90に張力を掛けることで該マイクロニードル・シート90の弛みを無くすことである。抵抗部14は、案内部13と曲げ部12との間に配されたローラ14aと、ローラ14aよりも後方において、上下方向に延びるように配された圧縮ばね14bと、圧縮ばね14bの弾性力をローラ14aに伝えるための伝達板14cとを備える。伝達板14cの前端はローラ14aの回転軸として成形され、ローラ14aはこの軸を介して伝達板14cと一体化する。圧縮ばね14bの一端は底板11の上面に取り付けられ、圧縮ばね14bの他端は伝達板14cの後端部により押さえられる。伝達板14cの中央には、幅方向に延びる軸材14dが設けられ、この軸材14dが底板11に対して固定されることで、抵抗部14は底板11と一体化する。圧縮ばね14bの弾性力は伝達板14cを経由してローラ14aへと伝わり、これによりローラ14aは底板11に向けて押しつけられる。すなわち、圧縮ばね14bは、ローラ14aを底板11に向けて押しつける弾性力を提供する。ローラ14aは押さえ部材の一例であり、圧縮ばね14bは弾性部材の一例である。
【0028】
案内部13からアプリケータ1の中に入ってきたマイクロニードル・シート90は、底板11とローラ14aとの間を通って曲げ部12へと進む。ローラ14aは、マイクロニードル・シート90に転がり摩擦、滑り摩擦などの抵抗を付加しつつ該マイクロニードル・シート90を円滑に送り出すために、回転可能に設けられてもよい。ただし、ローラ14aの回転は必須ではない。ローラ14aは圧縮ばね14bの弾性力により底板11に向かって押しつけられるのでそのマイクロニードル・シート90は底板11とローラ14aとにより挟まれる。圧縮ばね14bの弾性力が強すぎると、マイクロニードル・シート90を底板11とローラ14aとの間に挿入したり、マイクロニードル・シート90を曲げ部12に向かって進めたりすることが難しくなる。一方、その弾性力が弱すぎると、マイクロニードル・シート90が弛んでしまって、マイクロニードル・シート90を皮膚に適切に適用できない可能性がある(例えば、マイクロニードル92が十分に立ち上がらない)。圧縮ばね14bの構造又は弾性力は、マイクロニードル・シート90を弛み無く張るとともに、ユーザがアプリケータ1を簡単に作動させることができるように設計されてもよい。
【0029】
連結部15は、筐体20と可動板10とを連結させるための構造である。連結部15は、幅方向に沿って延びる軸材15aと、この軸材15aの一端に取り付けられたねじりばね15bとを備える。筐体20および可動板10は軸材15aにより一体化し、ユーザはこの軸材15aを回転軸として筐体20および可動板10の前端を近づけたり離したりすることができる。ねじりばね15bの弾性力は筐体20の前端と可動板10の前端とを離す方向に働く。ねじりばね15bは弾性部材の一例である。
【0030】
本実施形態では、アプリケータ1に外力が掛かっておらず、そのために筐体20の前端と可動板10の前端とが互いに離れた状態を「非押下状態」という。この非押下状態は、天板21が底板11に向かって移動していない(例えば、押されていない)状態でもある。あるいは、非押下状態は、アプリケータ1の自然な状態であるともいえる。一方、筐体20又は可動板10に外力が掛かり、筐体20の前端と可動板10の前端とが互いに近づいた状態を「押下状態」という。アプリケータ1を皮膚上に置いた状態でユーザが天板21(または筐体20)を動かした(例えば、押した)場合には筐体20の前端が可動板10に近づくが、この状態は押下状態である。ねじりばね15bの構造又は弾性力は、マイクロニードル・シート90のようなシート部材の皮膚への適切な適用を考慮して設計されてもよい。
【0031】
アプリケータ1を作製するための材料は限定されない。例えば、筐体20及び可動板10の材料としてアクリル等のプラスチックが挙げられるが、金属や他の種類の樹脂などを用いてもよい。曲げ部12の材料は金属でもよいし、アクリル等のプラスチックでもよいし、他の種類の樹脂でもよい。
【0032】
アプリケータ1の寸法は任意の基準で決めてよい。例えば、アプリケータ1の幅はマイクロニードル・シート90の幅に応じて決めてもよい。また、アプリケータ1の全長(前後方向に沿った長さ)はその操作性を考慮して決めてもよい。
【0033】
次に、
図7〜
図9を参照しながら、アプリケータ1及びマイクロニードル・シート90の使用方法を説明する。
図7及び
図8はアプリケータ1の使用方法を示す図である。
図9は穿刺の態様を模式的に示す図である。
図8では、マイクロニードル・シート90がアプリケータ1にどのようにセットされるかをわかり易く示すために、マイクロニードル・シート90を実線で表し、アプリケータ1を破線で表している。
【0034】
まず、
図7に示すように、ユーザはマイクロニードル・シート90をアプリケータ1にセットする。具体的には、ユーザはマイクロニードル・シート90の一端を底板11の孔11bから案内部13に通すか、又は案内部13から底板11の孔11bに通す。そして、ユーザは曲げ部12の付近でマイクロニードル・シート90を折り曲げる。マイクロニードル92の先端の方向は、案内部13から曲げ部12に向かう方向と一致する。
【0035】
続いて、ユーザはアプリケータ1を皮膚Sの上に(より具体的には、活性部分の適用部位に)置く。アプリケータ1を皮膚Sの上に置いただけの状態では、アプリケータ1は非押下状態(自然状態)にある。
【0036】
なお、この後のアプリケータ1の操作によりマイクロニードル・シート90が皮膚S上でずれないように、マイクロニードル・シート90の一端(最初から皮膚Sに接する端部)に粘着剤が設けられてもよい。あるいは、ユーザは指や粘着テープなどによりマイクロニードル・シート90の一端を皮膚Sに固定してもよい。
【0037】
そして、ユーザは
図8に示すように天板21(または筐体20)を底板11に向けて動かしながら(例えば、矢印A1で示される方向に押しながら)、アプリケータ1の後方(矢印A2で示される方向)にアプリケータ1を動かす。この操作により、マイクロニードル・シート90が案内部13からアプリケータ1の中に引き込まれて抵抗部14(より具体的にはローラ14a)を通り、曲げ部12に至る。そして、マイクロニードル・シート90は曲げ部12で約180度曲げられる(反転する)。すると、
図9に示すように、曲がった部分に位置するマイクロニードル92が主面91から立ち上がり、立ち上がったマイクロニードル92が皮膚Sに刺さる。アプリケータ1と皮膚Sとの間において一度に立ち上がるマイクロニードル92は、マイクロニードル・シート90の幅方向に沿った一列分である。立ち上がったマイクロニードル92と主面91とが成す角度は当然ながら0度より大きく且つ180度未満である。
図9に示すように、主面91から立ち上がったマイクロニードル92が皮膚に刺さる際の穿刺角度θ(マイクロニードル92と皮膚Sとが成す角度)も0度より大きく且つ180度未満である。穿刺角度の下限は20度、34度、又は40度でもよく、その角度の上限は160度、140度、又は100度でもよい。
【0038】
ユーザがアプリケータ1を所望の距離だけ動かすことで、その距離の範囲にある複数のマイクロニードル92が皮膚に刺さる。したがって、ユーザはマイクロニードル・シート90の適用面積を調整して所望の量の活性成分を投与することができる。ユーザはマイクロニードル・シート90を直ぐに剥がしてもよいし、所定の時間にわたってそのマイクロニードル・シート90を皮膚Sに適用し続けてもよい。
【0039】
上述したように、アプリケータ1は貼付剤の適用にも用いることができる。ユーザは粘着剤層を上に向けた状態で、マイクロニードル・シート90の場合と同様に貼付剤をアプリケータ1にセットする。そして、ユーザは天板21を底板11に向けて押しながらアプリケータ1を後ろに動かす。この操作により、粘着剤層(貼付剤の作用面)が曲げ部12において弧の外側を向くように折り曲り、ライナーが除かれて、皮膚に貼り付く。
【0040】
(第2実施形態)
図10及び
図11を用いて、第2実施形態に係るアプリケータ2の構造を説明する。
図10はアプリケータ2の斜視図である。
図11はアプリケータ2の六面図である。なお、本実施形態でもシート部材の一例としてマイクロニードル・シートを示す。
【0041】
アプリケータ2は、共に平たい底板31および天板32を備え、これら2枚の板が重ねられた状態で一端においてねじりばね33により連結されることで形成される。底板31は使用時に生体の皮膚と向かい合う板材であり、天板32は底板31と対向する板材である。本実施形態では、天板32の側をアプリケータ2の上側と定義し、底板31の側をアプリケータ2の下側と定義する。また、ねじりばね33が存在する側(底板31と天板32とが連結された側)をアプリケータ2の前側と定義し、その反対側をアプリケータ2の後ろ側と定義する。また、アプリケータ2の上下方向及び前後方向と直交する方向をアプリケータ2の幅方向と定義する。前後方向に沿った底板31の断面は、前側から後ろ側に向かって窄む細長い略直角三角形である。一方、前後方向に沿った天板32の断面は細長い矩形である。
【0042】
ユーザはねじりばね33の周辺を回転軸として底板31及び天板32の後端を近づけたり離したりすることができる。ねじりばね33の弾性力は底板31と天板32とを離す方向に働く。
【0043】
本実施形態では、アプリケータ2に外力が掛かっておらず、そのために底板31の後端と天板32の後端とが互いに離れた状態を「非押下状態」という。この非押下状態は、天板32が底板31に向かって移動していない(例えば、押されていない)状態でもある。あるいは、非押下状態は、アプリケータ2の自然な状態であるともいえる。また、底板31又は天板32に外力が掛かり、底板31の後端と天板32の後端とが互いに近づいた状態を「押下状態」という。アプリケータ2を皮膚上に置いた状態でユーザが天板32を動かした(例えば、押した)場合には天板32の後端が底板31に近づくが、この状態は押下状態である。ねじりばね33の構造又は弾性力は、マイクロニードル・シート90のようなシート部材の皮膚への適切な適用を考慮して設計されてもよい。ねじりばね33は弾性部材の一例である。
【0044】
底板31の後端には、マイクロニードル・シート90を曲げる曲げ部34が設けられる。この曲げ部34は、幅方向に延びるように設けられた細い円柱部材である。この円柱部材は、マイクロニードル・シート90の進行をより円滑にするために回転可能に設けられてもよいし、回転しなくてもよい。
【0045】
アプリケータ2の前端には、マイクロニードル・シート90を曲げ部34へと案内する案内部35が形成される。この案内部35は、底板31の上面の前端と天板32の下面の前端とにより形成されるスリット状の貫通孔である(ただし、図中では案内部35を一本の線で表している)。案内部35は、非押下状態(アプリケータ2の自然状態)では閉じた状態であり、押下状態では、マイクロニードル・シート90が通ることができる程度に開いた状態である。非押下状態では、案内部35は曲げ部34へのマイクロニードル・シート90の進行を妨げる。マイクロニードル・シート90はこの案内部35からアプリケータ2の内部に入り、底板31の上面に沿って進み、曲げ部34で約180°曲がって、皮膚に適用される。
【0046】
天板32の下面の後端には、曲げ部34へと進むマイクロニードル・シート90に対して抵抗を付加する抵抗部36が設けられる。抵抗部36は、幅方向に延びるように設けられた細い円柱部材である。この円柱部材は、マイクロニードル・シート90に抵抗を付加しつつ該マイクロニードル・シート90の進行をより円滑にするために、回転可能に設けられてもよい。ただし、抵抗部36の回転は必須ではない。抵抗部36を設ける目的は、曲げ部34へと向かうマイクロニードル・シート90に張力を掛けることで該マイクロニードル・シート90の弛みを無くすことである。抵抗部36は曲げ部34よりも前方に設けられる。押下状態の下でアプリケータ2が皮膚に沿って後ろに引かれた際には、マイクロニードル・シート90は案内部35からアプリケータ2の中に進むことが可能だが、曲げ部34へと進むマイクロニードル・シート90は抵抗部36と底板31とにより挟まれる。
【0047】
第1実施形態と同様に、アプリケータ2を作製するための材料は限定されず、アプリケータ2の寸法は任意の基準で決めてよい。
【0048】
次に、
図12及び
図13を用いて、アプリケータ2及びマイクロニードル・シート90の使用方法を説明する。
図12及び
図13はアプリケータ2の使用方法を示す図である。
図13では、マイクロニードル・シート90がアプリケータ2にどのようにセットされるかをわかり易く示すために、マイクロニードル・シート90を実線で表し、アプリケータ2を破線で表している。
【0049】
まず、
図12に示すように、ユーザはマイクロニードル・シート90をアプリケータ2にセットする。具体的には、ユーザは天板32を底板31に向けて押すことで案内部35を開けた上で、マイクロニードル・シート90の一端をアプリケータ2の後方から案内部35に通すか、又は案内部35からアプリケータ2の後方に通す。そして、ユーザは曲げ部34の付近でマイクロニードル・シート90を折り曲げる。マイクロニードル92の先端の方向は、案内部35から曲げ部34に向かう方向と一致する。
【0050】
続いて、ユーザはアプリケータ2を皮膚Sの上に(より具体的には、活性部分の適用部位に)置く。なお、第1実施形態と同様に、この後のアプリケータ2の操作によりマイクロニードル・シート90が皮膚S上でずれないように、マイクロニードル・シート90の一端に粘着剤が設けられてもよい。ユーザが指や粘着テープなどによりマイクロニードル・シート90の一端を皮膚Sに固定してよいことも、第1実施形態と同様である。
【0051】
そして、ユーザは
図13に示すように天板32を底板31に向けて動かしながら(例えば、矢印A3で示される方向に押しながら)、アプリケータ2の後方(矢印A4で示される方向)にアプリケータ2を動かす。この操作により、マイクロニードル・シート90が案内部35からアプリケータ2の中に引き込まれて抵抗部36を通り、曲げ部34に至る。そして、マイクロニードル・シート90は曲げ部34で約180度曲げられる(反転する)。すると、第1実施形態と同様に、曲がった部分に位置するマイクロニードル92が主面91から立ち上がり、立ち上がったマイクロニードル92が皮膚Sに刺さる(
図9参照)。マイクロニードル92の立ち上がりの様子及びマイクロニードル92の穿刺角度θは第1実施形態と同様である。
【0052】
ユーザがアプリケータ2を所望の距離だけ動かすことで、その距離の範囲にある複数のマイクロニードル92が皮膚に刺さる。したがって、ユーザはマイクロニードル・シート90の適用面積を調整して所望の量の活性成分を投与することができる。ユーザはマイクロニードル・シート90を直ぐに剥がしてもよいし、所定の時間にわたってそのマイクロニードル・シート90を皮膚Sに適用し続けてもよい。これらの点も第1実施形態と同様である。
【0053】
アプリケータ2は貼付剤の適用にも用いることができる。ユーザは粘着剤層を上に向けた状態で、マイクロニードル・シート90の場合と同様に貼付剤をアプリケータ2にセットする。そして、ユーザは天板32を底板31に向けて押しながらアプリケータ2を後ろに引く。この操作により、粘着剤層(貼付剤の作用面)が曲げ部34において弧の外側を向くように折り曲り、ライナーが除かれて、皮膚に貼り付く。
【0054】
(第3実施形態)
第1実施形態に係る、ステイプラのような動きを取るアプリケータにおいて、非押下状態での曲げ部へのシート部材の進行を妨げてもよい。
図14〜
図17を用いて、この変形を第3実施形態として説明する。
図14は第3実施形態に係るアプリケータ1Aの上方からの斜視図である。
図15はアプリケータ1Aの下方からの斜視図である。
図16はアプリケータ1Aの分解斜視図である。
図17はアプリケータ1Aの使用方法を示す図であり、特にストッパの動きを模式的に示す。以下では、第1実施形態と異なる点について特に説明し、第1実施形態と同一又は同等の構造及び機能については簡単に説明するか、又は説明を省略する。
【0055】
アプリケータ1Aは全体として直方体状を呈し、使用時に生体の皮膚と向かい合う可動板10Aと、その可動板10Aを覆う筐体20Aとを備える。可動板10Aと筐体20Aとは一端において連結部15により連結され、この仕組みによりアプリケータ1Aはステイプラのような動きを取ることができる。本実施形態では、筐体20Aの側をアプリケータ1Aの上側と定義し、可動板10Aの側をアプリケータ1Aの下側と定義する。アプリケータ1Aの上面に相当する筐体20Aの部分を天板21という。連結部15が存在する側(可動板10Aと筐体20Aとが連結された側)をアプリケータ1Aの後ろ側と定義し、その反対側(連結部15を回転軸として可動板10Aと筐体20Aとが互いに近づいたり離れたりする側)をアプリケータ1Aの前側と定義する。また、アプリケータ1Aの上下方向及び前後方向と直交する方向をアプリケータ1Aの幅方向と定義する。
【0056】
可動板10Aは底板11、曲げ部12、案内部13、抵抗部14、及び連結部15に加えて、ストッパ16及び排出口17を備える。
【0057】
底板11、曲げ部12、案内部13、抵抗部14、及び連結部15の構造は第1実施形態と同一又は同等である。底板11は、アプリケータ1Aの使用時に生体の皮膚と向かい合う部分である。底板11の下面の前端付近に細長い突起11aが形成されてもよい。曲げ部12は、マイクロニードル・シート90を曲げる部分であり、底板11に形成された孔11bの前側の縁部に幅方向に延びるように設けられた円柱部材である。案内部13は、底板11の上面の前端に設けられた、幅方向に沿って延びるスリット状の貫通孔である。マイクロニードル・シート90はこの案内部13からアプリケータ1Aの内部に入る。抵抗部14は、曲げ部12へと進むマイクロニードル・シート90に対して抵抗を付加する仕組みである。第1実施形態と同様に、抵抗部14はローラ14a、圧縮ばね14b(図示せず)、伝達板14c、及び軸材14dを備える。連結部15は、筐体20Aと可動板10Aとを連結させるための構造であり、軸材15aとねじりばね15bとを備える。
【0058】
本実施形態でも、アプリケータ1Aに外力が掛かっておらず、そのために筐体20Aの前端と可動板10Aの前端とが互いに離れた状態を「非押下状態」といい、筐体20A又は可動板10Aに外力が掛かり、筐体20Aの前端と可動板10Aの前端とが互いに近づいた状態を「押下状態」という。
【0059】
ストッパ16は、押下状態において曲げ部12へとシート部材を案内し、非押下状態では曲げ部12へのシート部材の進行を妨げる構成要素である。ストッパ16は底板11の上面に設けられる。ストッパ16は、全体としてL字状を呈するストッパ本体161と、このストッパ本体161を幅方向に沿って貫通するようにストッパ本体161に取り付けられた軸材162と、この軸材162の一端に取り付けられたねじりばね163とを備える。ストッパ本体161は底板11に沿って前後方向に沿って延びる水平部161aと、この水平部161aの前端から下に延びる脚部161bとを備える。本実施形態では、その脚部161bに対応する孔が伝達板14cに形成され、脚部161bがこの伝達板14cを貫通するようにストッパ本体161が配される。脚部161bの先端(下端)は底板11の上面に接触することが可能である。水平部161aの後端部(軸材162よりも後ろの領域)は上方に隆起するように形成されており、以下ではこの部分を隆起部161cという。軸材162が底板11に対して固定されることで、ストッパ16が底板11と一体化する。ねじりばね163の弾性力は脚部161bの先端を底板11に押し付ける方向に働く。ねじりばね163は弾性部材の一例である。
【0060】
排出口17は、底板11の後方に設けられた、幅方向に沿って延びるスリット状の貫通孔である。排出口17は、マイクロニードル・シート90から剥がされたライナー93(
図17参照)をアプリケータ1Aの外へと出すための孔である。本実施形態では、マイクロニードル・シート90はライナー93で保護された形態で提供される。
【0061】
筐体20Aの天井(天板21の内側)には、幅方向に沿って延びる突起22が形成される。この突起22はストッパ16の隆起部161cと接触可能な位置に設けられる。
【0062】
図17を参照しながら、アプリケータ1A及びマイクロニードル・シート90の使用方法を説明すると共に、ストッパ16によるマイクロニードル・シート90の進行の制御を説明する。
図17では、マイクロニードル・シート90及びライナー93の流れとストッパ16の動きとをわかり易く示すために、マイクロニードル・シート90、ライナー93、ストッパ16、および突起22を実線で表し、アプリケータ1Aを破線で表している。
【0063】
ユーザは、ライナー93付きのマイクロニードル・シート90の一端を底板11の孔11bから案内部13に通すか、又は案内部13から底板11の孔11bに通す。マイクロニードル92の先端の方向は、案内部13から曲げ部12に向かう方向と一致する。続いて、ユーザは曲げ部12の付近でマイクロニードル・シート90からライナー93を剥がし、マイクロニードル・シート90を折り曲げる。剥がされたライナー93の先端は脚部161bの前方に位置する。
【0064】
続いて、ユーザはアプリケータ1Aを皮膚Sの上に(より具体的には、活性部分の適用部位に)置く。アプリケータ1Aを皮膚Sの上に置いただけの状態では、アプリケータ1Aは非押下状態(自然状態)にある。この非押下状態では、ストッパ16の脚部161bの先端がねじりばね163の弾性力により底板11に押し付けられるので、排出口17への通路がストッパ本体161(より具体的には脚部161b)により塞がれる。そのため、剥がされたライナー93の排出口17への進行が妨げられる。剥がされたライナー93は、まだマイクロニードル・シート90に貼り付いている他の部分のライナー93とつながっているので、結果的に、曲げ部12へのマイクロニードル・シート90の進行も妨げられる。
【0065】
その後、ユーザは天板21(又は筐体20A)を底板11に向けて動かす(例えば、矢印A5で示される方向に押す)。この操作により、筐体20Aの突起22がストッパ16の隆起部161cに当たってその隆起部161cを下げる。すると、ストッパ本体161がねじりばね163の弾性力に抗して軸材162を中心に回転して底板11から離れる(より具体的には、脚部161bが底板11から離れる)。この結果、それまで塞がれていた通路(排出口17への通路)が開放されるので、ライナー93が自由に移動可能になる。したがって、ユーザがこの押下状態を維持したままアプリケータ1Aの後方(矢印A6で示される方向)にアプリケータ1Aを動かすことで、マイクロニードル・シート90が案内部13からアプリケータ1Aの中に引き込まれて曲げ部12に至り、曲げ部12で約180度曲げられる(反転する)。すると、曲がった部分に位置するマイクロニードル92が主面91から立ち上がり、立ち上がったマイクロニードル92が皮膚Sに刺さる。曲げ部12でマイクロニードル・シート90から剥がれたライナー93は排出口17からアプリケータ1Aの外に出る。
【0066】
ユーザが押下状態を維持したままアプリケータ1Aを後方に動かした後にそのユーザが天板21の押下を止めると、底板11から離れていた脚部161bがねじりばね163の弾性力により底板11に再び押し付けられる。この非押下状態では、排出口17に向かって流れていたライナー93が底板11と脚部161bとにより挟まれるので、ライナー93の進行が妨げられ、したがって、曲げ部12へのマイクロニードル・シート90の進行も妨げられる。このように、アプリケータ1Aを用いた場合には、ユーザが一定以上の押圧を天板21(又は筐体20A)に掛けたときのみ、マイクロニードル・シート90が皮膚に適用可能になる。
【0067】
なお、アプリケータ1Aは貼付剤の適用にも用いることができ、これは第1実施形態と同様である。
【0068】
以上説明したように、本発明の一側面に係るアプリケータは、シート部材を皮膚に適用するためのアプリケータであって、皮膚と向かい合う底板と、底板と対向し、かつ底板に向かって押下可能な天板と、天板が底板に向かって移動した押下状態の下で進行してきたシート部材を曲げることで該シート部材を皮膚に適用する曲げ部とを備える。
【0069】
このような側面においては、アプリケータ(より具体的には天板)が皮膚に向かって移動した状態下で曲げ部に向かって進んできたシート部材が、該曲げ部により曲げられた上で皮膚に適用される。この仕組みにより、シート部材が皮膚に適用される際には一定以上の押圧力が該シート部材に掛かるので、誰がこのアプリケータを用いても、シート部材を適切に皮膚に適用することができる。これは、シート部材の適用の再現性を高めることができることを意味する。例えば貼付剤の場合には、貼付剤にシワを生じさせることなく粘着剤層をしっかりと皮膚に適用することが可能になる。また、マイクロニードル・シートの場合には、曲げた時点でマイクロニードルをシートの主面から立ち上げてそのマイクロニードルを皮膚にしっかりと刺すことができる。
【0070】
マイクロニードル・シートの適用では、本発明の一側面に係るアプリケータは、マイクロニードル・シートに衝撃を加えるのではなく、マイクロニードルを立ち上げて皮膚に押し込むことで各マイクロニードルを皮膚に穿刺する。したがって、被投与者に恐怖感を与えずに活性成分を投与することができる。
【0071】
他の側面に係るアプリケータでは、押下状態において曲げ部へとシート部材を案内し、天板が底板に向かって移動していない非押下状態では曲げ部へのシート部材の進行を妨げる案内部をさらに備えてもよい。天板を動かさないとシート部材が進まない構成を採用することで、シート部材の意図しない進行を防止することができる。
【0072】
他の側面に係るアプリケータでは、押下状態において曲げ部へとシート部材を案内し、天板が底板に向かって移動していない非押下状態では曲げ部へのシート部材の進行を妨げるストッパをさらに備えてもよい。天板を動かさないとシート部材が進まない構成を採用することで、シート部材の意図しない進行を防止することができる。
【0073】
他の側面に係るアプリケータでは、ストッパが、ストッパ本体と、該ストッパ本体を底板に向かって押しつける弾性力を提供する弾性部材とを備え、天板が、ストッパ本体に接触可能な突起を備え、非押下状態では、突起がストッパ本体に接触せず、ストッパ本体が弾性力により底板に向かって押しつけられることで、シート部材の進行が妨げられ、押下状態では、突起がストッパ本体に接触してストッパが弾性力に抗して底板から離れることで、曲げ部へとシート部材が案内されてもよい。このように弾性力を利用した構成を採用することで、シート部材の意図しない進行をより確実に防止する仕組みを簡単な構造で実現できる。
【0074】
他の側面に係るアプリケータでは、少なくとも押下状態において、曲げ部へと進むシート部材に対して抵抗を付加する抵抗部をさらに備えてもよい。シート部材に対して抵抗を付加することで、シート部材の進行を一定にして、シート部材を一定の力で皮膚に適用することができる。
【0075】
他の側面に係るアプリケータでは、抵抗部が、押下状態においてシート部材を挟むことにより該シート部材に抵抗を付加し、天板が底板に向かって移動していない非押下状態ではシート部材を挟まなくてもよい。この場合には、シート部材を曲げ部に向けて進めるときに限って、すなわち、シート部材を皮膚に適用するときに限って、シート部材に抵抗を付加することができる。
【0076】
他の側面に係るアプリケータでは、抵抗部が、押さえ部材と、該押さえ部材を底板に向かって押しつける弾性力を提供する弾性部材とを備え、曲げ部へと進むシート部材を底板及び押さえ部材により挟むことで該シート部材に抵抗を付加してもよい。このように弾性力を利用してシート部材を挟むことで、シート部材に掛かる抵抗を一定に保つことができる。
【0077】
他の側面に係るアプリケータでは、底板と天板とを離す方向に働く弾性力を生ずる弾性部材をさらに備えてもよい。この仕組みにより、シート部材が皮膚に適用される際に掛かる押圧力を一定以上の水準にすることができるので、誰がこのアプリケータを用いても、シート部材を適切に皮膚に適用することができる。
【0078】
他の側面に係るアプリケータでは、シート部材が、シートの主面に沿って形成された複数のマイクロニードルを有するマイクロニードル・シートであってもよい。この場合には、マイクロニードルをシートの主面から立ち上げてそのマイクロニードルを皮膚にしっかりと刺すことができる。
【0079】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0080】
上述したように、シート部材はマイクロニードル・シートに限定されない。本発明の一側面に係るアプリケータは、貼付剤を含む他の種類のシート部材のために用いることができる。
【0081】
第1実施形態における案内部13は、第2実施形態における案内部35と同様に、非押下状態(アプリケータ1の自然状態)では閉じた状態であり、押下状態では、シート部材が通ることができる程度に開いてもよい。すなわち、非押下状態では曲げ部12へのシート部材の進行を妨げるように案内部13を設計してもよい。
【0082】
第2実施形態に係るアプリケータ2において、第1実施形態と同様に、底板31の下面に突起を設けてもよい。
【0083】
上記各実施形態では曲げ部として円柱部材を用いたが、シート部材を曲げてマイクロニードルを立ち上げることができるのであれば、曲げ部の構成は何でもよい。例えば、平板の端部が曲げ部として機能してもよい。
【0084】
上記各実施形態ではシート部材をアプリケータの前方(または後方)から後方(または前方)にかけて挿入することでシート部材をアプリケータにセットしたが、シート部材をアプリケータの側方から挿入可能なようにアプリケータを設計してもよい。
【0085】
案内部および抵抗部の構成は上記各実施形態に限定されるものではない。また、案内部および抵抗部は共に省略可能である。例えば、案内部13が抵抗部としての機能を果たしてもよい。