特許第6621951号(P6621951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6621951
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20191209BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   H01L23/12 501P
   H01L23/12 B
   H01L23/12 J
   H01L21/56 R
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-22031(P2019-22031)
(22)【出願日】2019年2月8日
【審査請求日】2019年2月12日
(31)【優先権主張番号】62/785993
(32)【優先日】2018年12月28日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充弘
(72)【発明者】
【氏名】高野 礼
【審査官】 平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07863096(US,B1)
【文献】 国際公開第2016/098455(WO,A1)
【文献】 特開2016−178163(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/145490(WO,A1)
【文献】 特開2009−200185(JP,A)
【文献】 特開2012−009547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/339
H01L 21/56
H01L 23/12−23/15
H01L 23/29
H01L 23/34−23/36
H01L 23/373−23/427
H01L 23/44
H01L 23/467−23/473
H01L 25/00−25/07
H01L 25/10−25/11
H01L 25/16−25/18
H01L 27/14−27/148
H01L 27/30
H01L 29/762
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂を一又は複数の凹部を持つ形状に成型した後に熱硬化させて基板を形成する工程と,
前記基板の凹部内に回路素子を配置する工程と,
前記凹部の開口側において前記回路素子に再配線層を接続する工程とを含む
半導体装置の製造方法であって,
前記基板を形成する工程は,導電性の凸部を有するプレート部材の表面に熱硬化性樹脂を圧接させ,当該凸部の周囲を熱硬化性樹脂が取り囲んだ状態で熱硬化させ,当該プレート部材の凸部を除く部分を除去することで,当該凸部を当該熱硬化性樹脂からなる基板を厚み方向に貫通する貫通ビアとして機能させる
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,半導体装置の製造に際し,ウエハ基板上に個片化された半導体チップを複数配置し,熱硬化性のモールド樹脂によって半導体チップを封止する技術が知られている(特許文献1)。モールド樹脂の熱硬化処理により半導体チップが絶縁層内に封止されることになるが,熱硬化処理の際の樹脂の収縮作用やウエハの熱膨張作用によって,ウエハ上に載置されている半導体チップが位置ずれを起こすという問題がある。また,半導体チップをウエハ上に配置した後に樹脂封止する工程をとると,チップ面とモールド面が必ずしも平坦にならず両者の間に段差が生じる恐れがあり,その段差によってチップ面上に再配線層を形成する際に様々な不具合が生じるという問題がある。
【0003】
上記の問題を回避するために,例えば,基板に凹部を設けるとともに,その凹部内の表面に立体的に配線を施し,その配線上に半導体チップを搭載して,半導体チップの電極と配線とを接続するという技術が提案されている(特許文献2)。特許文献2の技術では,さらに,半導体チップと配線の接続箇所付近を少なくとも樹脂封止するとともに,その各配線の外部接続部を部分的に露出することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−053468号公報
【特許文献2】特開2000−164759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで,特許文献2に記載の技術のように,基板の凹部の内部から外部に亘って立体的に配線(再配線層)を施すことは技術的な困難性を伴うものであり,製造コストの増大や歩留まりの悪化を招くという問題がある。また,配線を立体的に形成すると配線の接続経路が長くなるため,電気特性が不利になるという問題もある。
【0006】
そこで,本発明は,樹脂封止の際に半導体チップに位置ずれが生じることを抑制するとともに,再配線層を簡易かつ正確に形成することのできる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は,半導体装置に関する。本発明に係る半導体装置は,少なくとも基板,回路素子,及び再配線層を備える。基板は,硬化済みの熱硬化性樹脂で形成されたものであり,一又は複数の凹部を有している。回路素子は,基板の凹部内に配置されている。「回路素子」の例は,LSI等の半導体チップや,無線アンテナ,光学センサ,抵抗素子等の電子素子である。再配線層は,凹部の開口側において回路素子に電気的に接続される。すなわち,基板の凹部は,開口,側面,及び底面からなるものであり,そのうちの底面とは反対側の開口側に再配線層が形成される。再配線層は,平面的に形成されることが好ましい。
【0008】
上記構成のように,本発明では,熱硬化済みの基板に凹部を形成し,そこに半導体チップ等の回路素子を配置しておく。これにより,回路素子を熱硬化性のモールド樹脂によって封止した場合であっても,その熱硬化処理の際に樹脂の収縮作用によって回路素子に位置ずれが生じることを回避できる。また,基板は熱硬化済みのものが用いられるため,モールド樹脂の熱硬化処理の際に,その基板が膨張することを抑制できる。さらに,凹部の開口側に平面的に再配線層を形成することで,特許文献2の技術のように立体的な配線を施す必要がなくなるため,再配線層を簡易かつ正確に形成することが可能になる。
【0009】
従来,熱硬化性樹脂(モールド樹脂)は,主に回路素子を封止するために開発された材料であり,一般的には,モールド型の中に回路素子を設置し,そのモールド型の中に未硬化の熱硬化性樹脂を押し込んだ後に熱硬化処理を行うことで,樹脂内部に回路素子が封止される。本発明では,熱硬化性樹脂を回路素子封止の用途ではなく,あくまで回路素子を配置するための基材を作成するために使用している。このため,本発明において,熱硬化性樹脂は本来の封止の用途ではなく,凹部を有する基板(ウエハ又はパネルともいう)の形成にのみ使用されるものであり,また回路素子が基板上に搭載される段階では熱硬化性樹脂の硬化は完全に終了している。そして,基板上に配置された回路素子はその後再配線層を形成することにより回路形成される。従来の方法で熱硬化性樹脂を使用した場合,前述のとおり,硬化に伴う樹脂の収縮により回路素子の位置ずれなどの問題が生じる。本発明によれば,このような熱硬化性樹脂の弱点を克服することができる。
【0010】
本発明に係る半導体装置において,基板は,深さの異なる複数の凹部を有することとしてもよい。このように,凹部の深さを異ならせることで,厚みの異なる複数種類の回路素子を基板上に配置することができる。
【0011】
本発明に係る半導体装置において,基板の第1面と第2面の両方に一又は複数の凹部が形成されていてもよい。このように基板の両面に凹部を設けることで,回路素子の集積度を向上させることができる。
【0012】
本発明に係る半導体装置において,基板の凹部の少なくとも1つは,その底面が凹状の曲面に形成されていてもよい。なお,「曲面」には,半球面,放物曲面の他,断面が曲線状のものが含まれる。この場合に,凹状の曲面に形成された底面を持つ凹部には,例えば回路素子として無線アンテナ又は光学センサが配置されていることが好ましい。このように,基板の凹部の底面を,そこに配置する回路素子の形状に合わせて曲面状に形成することも可能である。特に,凹状の曲面に形成された底面に無線アンテナを配置することで,その底面がパラボラアンテナの様に機能するため,無線アンテナによって微小無線信号を高感度あるいは広角で受信することができる。また,凹状の曲面に形成された底面に光学センサを配置することで,広角レンズのように機能させることができ,また検出感度を向上させることもできる。さらに,基板の凹部に光学センサを配置することで,当該センサの主光線角度(CRA:Chief Ray Angle)を小さい角度とすることができ,例えば30度以下の低CRAを基板の物理構造によって実現することができる。
【0013】
本発明に係る半導体装置において,基板の凹部の少なくとも1つは,その底面が凸状の曲面に形成されていてもよい。この場合に,凸状の曲面に形成された底面を持つ凹部には,回路素子として無線アンテナ又は光学センサが配置されていることが好ましい。このように,基板の凹部の底面を,そこに配置する回路素子の形状に合わせて曲面状に形成することも可能である。特に,凸状の曲面に形成された底面に無線アンテナを配置することで,無線信号を広角出力できるため,そこに配置する無線アンテナの素子数を削減することができる。また,凸状の曲面に形成された底面に光学センサを配置することで,検出エリアの拡大や感度向上に寄与することができる。
【0014】
本発明に係る半導体装置において,基板は,凹部内に,当該基板の厚み方向に貫通するように導体材料が配置されていてもよい。つまり,基板は,凹部内に穴部が形成されており,当該穴部内に導体材料が充填されていることとしてもよい。「導体材料」としては,導電性と熱伝導性の両方又は少なくとも一方を有する材料が用いられる。このように,回路素子を配置するための凹部に穴部を設け,その穴部内に導体材料を配置することで,回路素子の裏面側に導通を形成できたり,あるいは回路素子が放出する熱を効率的に放熱することができる。
【0015】
本発明に係る半導体装置において,基板は,凹部の周囲に,当該基板の厚み方向に貫通するように導体材料が配置されていてもよい。このように,凹部の周囲に貫通ビアを形成することもできる。
【0016】
本発明に係る半導体装置において,硬化前の熱硬化性樹脂の熱伝導率は,0.5W/mk以上であることが好ましい。0.5w/mk以上の高い熱伝導率を持つ樹脂を用いることで,内部に埋め込んだ回路素子からの発熱を効果的に排出することができる。
【0017】
本発明に係る半導体装置において,熱硬化性樹脂は,シリカ,アルミナ,窒化アルミ,及び窒化ホウ素のうちの1つ又は2つ以上を含むことが好ましい。このように,シリカや,アルミナ,窒化アルミ,窒化ホウ素のうちの1種又は2種以上を充填したエポキシ樹脂では熱伝導率を1.2W/mk以上にすることが可能であり,発熱排出効果をさらに高めることができる。
【0018】
本発明の第2の側面は,半導体装置の製造方法に関する。本発明に係る製造方法では,まず,熱硬化性樹脂を一又は複数の凹部を持つ形状に成型した後に熱硬化させて基板を形成する(第1工程)。次に,基板の凹部内に回路素子を配置する(第2工程)。次に,凹部の開口側において回路素子に再配線層を接続する(第3工程)。これにより,上記第1の側面に係る半導体装置を効率的に製造することが可能になる。
【0019】
本発明に係る製造方法において,回路素子を配置する工程では,凹部内又は回路素子に絶縁性の接着剤を配置し,当該接着剤によって基板と回路素子とを接合することとしてもよい。なお,ここにいう「接着剤」には,液状又はペースト状の接着剤の他,フィルム状の接着部材なども広く包含される。このように,基板と回路素子の接合に絶縁性の接着剤を用いることで,基板の凹部に回路素子を正確に接合すると同時に,その接着剤により回路素子の周囲に絶縁層を形成することができる。
【0020】
本発明に係る製造方法において,回路素子を配置する工程では,凹部内又は回路素子に導電性の接着剤を配置し,当該接着剤によって基板と回路素子とを接合することとしてもよい。基板と回路素子の接合に導電性の接着剤を用いることで回路素子の裏面から導通をとることができる。また,金属粉を使った導電性ペーストを接着剤として用いることで,高い熱導電性を実現でき,良好な放熱特性を得ることができる。
【0021】
本発明に係る製造方法は,基板の凹部が設けられた第1面とは反対側の第2面側から基板を穿孔することにより,この凹部の少なくとも1つを貫通孔とする工程をさらに含むことしてもよい(第4工程)。上記のとおり,基板の凹部は熱硬化性樹脂の成型(コンプレッション法やトランスファー法)により得られるが,この凹部の一部を反対面側から穿孔することで,貫通孔(貫通ビア)を効率的に形成することができる。
【0022】
本発明に係る製造方法において,基板を形成する工程は,熱硬化性樹脂を一又は複数の凹部と一又は複数の貫通孔を持つ形状に成型した後に熱硬化させて基板を形成する工程であってもよい。このようにすれば,基板に凹部と貫通孔を同時に形成することができる。
【0023】
本発明に係る製造方法にいて,基板を形成する工程は,導電性の凸部を有するプレート部材の表面に熱硬化性樹脂を圧接させ,当該凸部の周囲を熱硬化性樹脂が取り囲んだ状態で熱硬化させ,当該プレート部材の凸部を除く部分を切除することで,当該凸部を当該熱硬化性樹脂からなる基板を厚み方向に貫通する貫通ビアとして機能させることとしてもよい。これによれば,簡単な工程で基板に貫通ビアを形成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば,樹脂封止の際に半導体チップに位置ずれが生じることを抑制するとともに,再配線層を簡易かつ正確に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は,第1の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示している。
図2図2は,基板の製造工程の一例を示している。
図3図3は,基板の製造工程の別例を示している。
図4図4は,半導体装置の製造工程の一例を示している。
図5図5は,第1の実施形態に係る半導体装置の変形例を示している。
図6図6は,第2の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示している。
図7図7は,半導体装置の製造工程の別例を示している。
図8図8は,半導体装置の変形例を示している。
図9図9は,基板の製造工程で用いられるプレート部材を示している。
図10図10は,プレート部材を利用して基板を製造する工程を示している。
図11図11は,図10に示した工程で得られた基板を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0027】
図1は,本発明の第1の実施形態に係る半導体装置100の断面図である。図1に示されるように,半導体装置100は,基板10,回路素子20,及び再配線層40を含んで構成されたウエハレベルパッケージである。図1(a)は,半導体装置100全体の断面構造を示し,図1(b)は,基板10のみの断面構造を示している。
【0028】
基板10は,未硬化の熱硬化性樹脂を所定の形状に成型した後に,熱硬化処理を施すことにより得られる。このため,基板10は,硬化済みの熱硬化性樹脂から形成されたものとなる。熱硬化性樹脂としては,例えばエポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,フェノール樹脂,シアネート樹脂,ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,ビスマレイミド樹脂,ベンゾオキサジン樹脂又はこれらのうちの1種又は2種以上の混合樹脂を用いることができる。
【0029】
より具体的に説明すると,基板10を形成する熱硬化性樹脂としては,ガラス転移温度(Tg)が125℃以上(理想的には150℃以上),熱分解温度が260℃以上,室温弾性率が500MPa以上で,かつ,線膨張係数が60ppm/℃以下という条件を満たす材料を用いることが好ましい。このような材料を選択することにより,硬化後の熱硬化性樹脂による基板10が高耐熱,低線膨張率,及び高弾性率となるため,一般的な樹脂と比較して優れた特性が得られ,また基板10の導入コストも低く抑えられる。また,未硬化の熱硬化樹脂の熱伝導率は0.5w/mk以とであることが好ましい。0.5w/mk以上の高い熱伝導率を持つ樹脂を用いることで,内部に埋め込んだ回路素子からの発熱を効果的に排出することができる。例えば,シリカや,アルミナ,窒化アルミ,窒化ホウ素のうちの1種又は2種以上を充填したエポキシ樹脂では熱伝導率を1.2W/mk以上にすることが可能である。
【0030】
図1(b)に示されるように,基板10は,少なくとも一方面側に一又は複数の凹部11が形成されている。凹部11は,底面11aと,その周囲を囲う側面11bとから構成され,底面11aと対面する部分が開口となる。図示した例においては,基板10には複数箇所に凹部11が設けられており,各凹部11の深さがそれぞれ異なっている。後述するように,各凹部11には半導体チップ等の回路素子20が配置されることになるが,凹部11の深さはそこに配置する回路素子20の厚みに応じて適宜調整される。基板10に深さの異なる複数の凹部11を設けることで,厚みの異なる複数種類の回路素子20を一つの基板10上に配置できるようになる。例えば,隣接する2つの凹部11を比較する場合に,より深い凹部11の深さの値を100%としたときに,より浅い凹部11の深さの値は10〜95%又は50〜90%の範囲に設定すると良い。
【0031】
基板10の凹部11において,その側面11bにはテーパー角を設けることが好ましい。例えば,凹部11の底面11aと側面11bのなす角θは,91〜100度又は92〜95度とすると良い。これにより,凹部11内に回路素子20を配置しやすくなる。また,金型を利用して熱硬化性樹脂を所定の基板10の形状に成型した後に,完成した基板10を金型から取り外しやすくなる。
【0032】
また,基板10には,表面と裏面の導通を得るために,表面から裏面にかけて貫通した貫通孔12を設けることとしてもよい。貫通孔12は,後述するように凹部を持つ基板をモールド工法によって成型するときに,その基板に凹部とともに貫通孔12を形成しておくこととしてもよい。また,貫通孔12は,例えばドリル,パンチング,エッチング,サンドブラスト,レーザ等を用いて基板10の任意箇所に穿設することもできる。
【0033】
基板10の製造方法は特に制限されないが,特に図2に示したコンプレッション法や,図3に示したトランスファー法などのモールド工法による成型によって,凹部11を持つ基板10を得ることが好ましい。また,基板10には凹部11と同時に貫通孔12を形成することもできる。
【0034】
コンプレッション法では,図2に示されるように,まず,突起部211を持つ上金型210と窪み部221を持つ下金型220との間に硬化前の熱硬化性樹脂10´を充填する。上金型210の突起部211のパターンは,最終的に得ようとする基板10の凹部11のパターンに対応している。このため,上金型210と下金型220とによって熱硬化性樹脂10´を加圧することによって,所定形状に成型された凹部を持つ熱硬化性樹脂10´が得られる。そして,この成型後の熱硬化性樹脂10´を加熱することで,硬化済みの熱硬化性樹脂によって形成された基板10が得られる。なお,熱硬化性樹脂10´の加熱と加圧は同時に行うこととしてもよいし,別の工程で行うこととしてもよい。
【0035】
トランスファー法では,図3に示されるように,まず,突起部211と注入口212を持つ上金型210と窪み部221を持つ下金型220とを嵌合させて,両者の間に最終的に得ようとする基板10の形状に対応した空間を形成する。そして,上金型210の注入口212を介して,上記空間の内部に硬化前の熱硬化性樹脂10´を注入する。上金型210の突起部211のパターンは,最終的に得ようとする基板10の凹部11のパターンに対応している。その後,下金型220と上金型210とを閉じた状態で熱硬化性樹脂10´を加熱することで,硬化済みの熱硬化性樹脂によって形成された基板10が得られる。基板10には,上金型210の注入口212の形状に対応したバリ13が残るため,このバリ13を切除する処理を行う。これにより,任意の凹部11を持つ基板10が得られる。
【0036】
基板10の凹部11には,それぞれ回路素子20が配置される。回路素子20の例は,半導体チップや電子素子である。半導体チップの例としては,LSI(Large Scale Integration),IC(Integrated Circuit),及びトランジスタが挙げられる。電子素子の例としては,無線アンテナ,光学センサ,コンデンサ,コイル,及び抵抗素子が挙げられる。また,回路素子20は,電極パッド21を有しており,この電極パッド21を介して再配線層40に電気的に接続される。図1(a)に示されるように,回路素子20は,電極パッド21が凹部11の開口側に位置するように配置すればよい。このとき,回路素子20本体は,その全体が凹部11内に収容され,電極パッド21のみが凹部11の開口から露出していることが好ましい。また,回路素子20は,公知の接着剤などを用いて,凹部11の底面11aに接合しておくと良い。
【0037】
基板10の凹部11内には,それぞれ回路素子20を封止するための絶縁層30が形成される。絶縁層30は,例えば公知のモールド樹脂やセラミックなどの絶縁材料によって構成される。例えば,基板10の凹部11に回路素子20を接合した後,この凹部11内に熱硬化性のモールド樹脂(未硬化のもの)を充填し,その後熱硬化処理を行うことで回路素子20をモールド樹脂内に封止できる。回路素子20を凹部11内に配置することで,モールド樹脂を充填する際に回路素子20が位置ずれを起こすことを回避できる。
【0038】
基板10の凹部11の開口側には再配線層40が形成されており,この再配線層40に回路素子20の電極パッド21が接続されている。再配線層40は,任意の回路素子20を電気的に接続しており,これにより電気回路が形成される。再配線層40の形成方法は公知の手法を利用すればよい。例えば,基板10の表面にめっきレジストを形成して所定の配線形状の開口を有するようにパターニングし,その後シード層等を形成して,電解めっき処理又は無電解めっき処理等を行うことにより,再配線層40を形成してもよい。また,再配線層40には,はんだボールが取り付けられていてもよい。はんだボールは,例えばパッケージ基板等(不図示)に接続することができる。
【0039】
基板10の貫通孔12には導体材料が充填されており,これにより貫通ビア50が形成されている。導体材料としては,金属などの公知の電気伝導性及び熱伝導性を有する材料を採用することができる。導体材料の例は,銅や,銀,アルミニウムなどである。貫通ビア50を形成することで導体材料を介してウエハ同士を上下に接続することが可能になるため,複数の半導体チップを3次元的に集積することができるようになる。
【0040】
続いて,図4を参照して,半導体装置100を製造する工程について説明する。図4(a)は,基板10の平面形状を示しており,図4(b)は,IV−IVにおける断面構造を示している。図4(a)及び(b)に示されるように,まず,所定の凹部11を持つ基板10を用意する。基板10の製造工程としては,前述したとおりコンプレッション法(図2参照)やトランスファー法(図3参照)といった成型処理を採用することが好ましい。
【0041】
次に,図4(c)に示されるように,基板10の凹部11に接着剤31を塗布する。この接着剤31は,基板10の凹部11に回路素子20を接合する用途で用いられる。また,接着剤31を絶縁層として機能させるために,この接着剤31としては絶縁性のものを用いることが好ましい。絶縁性の接着剤としては,例えばエポキシ樹脂,シリコーン樹脂,アクリル樹脂等の樹脂系接着剤を挙げることができる。
【0042】
なお,接着剤31は,絶縁性のものに限られず,導電性のものを用いてもよい。導電性の接着剤31としては,例えば金属粉を含む導電性ペーストが挙げられる。導電性の接着剤を用いることにより回路素子20の裏面から導通をとることが可能になる。また,回路素子20の周囲に導電性接着剤を充填することで高い熱導電性が得られる。
【0043】
次に,図4(d)に示されるように,基板10の凹部11に任意の回路素子20を配置し,接着剤31によって回路素子20と基板10とを接合する。このとき,凹部11に回路素子20が挿入されたことにより接着剤31が凹部11内に広がり,回路素子20の周囲に絶縁層を形成する。
【0044】
次に,図4(e)に示されるように,基板10を加熱して接着剤31を硬化させる。
【0045】
次に,図4(f)に示されるように,基板10及び回路素子20上に感光性樹脂膜32を形成する。感光性樹脂膜32としては,フォトレジスト,レジストインキ,ドライフィルム等を用いることができる。感光性樹脂膜32の形成方法としては,例えば感光性樹脂組成物からなる樹脂シートを熱圧着等により基板10上に対してラミネートする方法等が挙げられる。なお,感光性樹脂膜32に代えて非感光性樹脂膜を用いることもできる。
【0046】
次に,図4(g)に示されるように,感光性樹脂膜32に対して所定の開口を形成し,その開口から基板10の回路素子20の電極パッド21を露出させる。開口部を形成する手法としては,例えば開口部のパターンに対応したマスクシート300を用いて感光性樹脂膜32を露光する方法(露光現像法)が挙げられる。また,感光性樹脂膜32に代えて非感光性樹脂膜を用いる場合,レーザ加工等によって開口部を形成することもできる。
【0047】
次に,図4(h)に示されるように,感光性樹脂膜32の表面に金属膜を設けて,再配線層40を形成する。再配線層40は,感光性樹脂膜32の開口部にも埋設されるため,回路素子20が再配線層40に接続されることとなる。再配線層40は,無電解めっき法やめっき法等の公知の方法によって形成すればよい。再配線層40としては,例えば,銅,銅合金,42合金,ニッケル,鉄,クロム,タングステン,金,半田等の導電性材料を用いることができる。また,次に,図4(i)に示されるように,再配線層40上にはんだボール41を取り付けることとしてもよい。
【0048】
次に,図4(j)に示されるように,公知のダイシングソーを用いて,基板10を任意のサイズにダイシングする。ダイシングの方向は,平面方向におけるx方向とy方向のいずれか一方のみでもよいし,x方向とy方向の両方でもよい。これにより,回路素子20を備えた基板10が任意のサイズのものに個片化される。
【0049】
続いて,図5は,図1に示した第1の実施形態に係る半導体装置100の変形例を示している。図5に示した半導体装置100は,図1に示したものと基本的に同じ構成を有しているが,基板10に穴部14が形成され,その穴部14に導体材料60が充填されている点において異なる。
【0050】
図5に示されるように,穴部14は基板10の凹部11内に形成されている。穴部14の開口面積は,凹部11の底面11aよりも小さくなっている。このため,凹部11の底面11aは,穴部14以外の箇所が段差部11cとなる。回路素子20を基板10の凹部11に配置すると,回路素子20の本体部分な凹部11の段差部11cに当接し,穴部14内には脱落しないようになっている。
【0051】
穴部14内に充填される導体材料60としては,導電性と熱伝導性の両方又は少なくとも一方を有する材料が用いられる。導体材料60の例は,銅や,銀,アルミニウムなどの金属材料である。穴部14に充填された導体材料60は回路素子20に直接接し,回路素子20から発せられた熱を放熱したり,あるいは回路素子20を他の回路に電気的に接続する役割を果たす。図5に示した例では,導体材料60を主に放熱部材として利用している。導体材料60による放熱効果を高めるために,回路素子20と導体材料60の接触面積を広くすることが好ましい。
【0052】
続いて,図6を参照して,本発明に係る半導体装置100の第2の実施形態について説明する。図6に示した第2の実施形態は,図1に示した第1の実施形態と比較し,主に,基板10の表裏両面に凹部11が形成されている点で異なる。第2の実施形態に係る半導体装置100に関し,第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付している。
【0053】
図6に示されるように,半導体装置100の基板10には,表面(第1面)と裏面(第2面)の両方に凹部11を形成することができる。基板10の表面及び裏面に形成された複数の凹部11には,第1の実施形態と同様に,それぞれ回路素子20が配置される。
【0054】
再配線層40は,基板10の表面及び裏面に形成されており,各面の回路素子20が再配線層40に電気的に接続されている。また,基板10の表面から裏面に亘って貫通ビア50が設けられ,この貫通ビア50は,基板10の表面の再配線層40と裏面の再配線層40とを電気的に接続している。これにより,基板10の両面に電気回路が構築されることとなる。
【0055】
また,第2の実施形態では,基板10の両面の再配線層40を覆うように絶縁膜70が形成されている。絶縁膜70によって,一部の開口部71を除き,半導体装置100のほぼ全体が覆われている。絶縁膜70の開口部71は,基板10の表面及び/又は裏面の再配線層40を構成する金属材料が露出するように設けられている。このため,絶縁膜70の開口部71を通じて再配線層40に他の半導体装置や回路素子を接続できるようになっている。
【0056】
図7は,第2の実施形態に係る半導体装置100の製造工程の一例を示している。図7(a)に示されるように,まず,表面及び裏面に凹部11が形成された基板10を用意する。基板10の形成方法は,図2に示したコンプレッション法や図3に示したトランスファー法に準じて行えばよい。図7(a)に示した例では,基板10の表面(第1面)に,回路素子20配置用の凹部11の他に,貫通孔形成用の凹部15が設けられている。この貫通孔用凹部15は,他の凹部11と同様に熱硬化性樹脂の成型によって得ることができる。
【0057】
次に,図7(b)に示されるように,基板10の貫通孔用凹部15に対応する部位を掘削することによって貫通孔12を形成する。このとき,基板10の表面側に貫通孔用凹部15が設けられている場合には,基板10の裏面側からドリル加工やレーザ加工を施して,この貫通孔用凹部15を貫通孔12とすることが好ましい。基板10の片面側のみから貫通孔12を形成しようとすると,貫通孔12が徐々に先細りするという問題がある。すなわち,ドリルやレーザによって基板10に貫通孔12を形成する場合,その貫通孔12の深い位置ほど開孔径がテーパー状に狭くなる。このため,貫通孔12の開孔径を小さくすると上下の半導体装置の導通が取れなくなったり,あるいはその信頼性が低下するという問題がある。特に基板10の厚みが増すと,この問題が顕著になる。そこで,本実施形態においては,基板10の表面に貫通孔用凹部15を形成し,その後,基板10の裏面側からドリル加工やレーザ加工を施して貫通孔用凹部15に対応する位置に貫通孔12を穿設することとしている。このように基板10の両面から順次穿孔を行うことで,貫通孔12が孔径を小さくなるという問題を回避している。
【0058】
次に,図7(c)に示されるように,基板10の貫通孔12に導体材料を充填して貫通ビア50を形成する。導体材料の充填は,基板10の表面側又は裏面側のどちらからおこなってもよい。
【0059】
次に,図7(d)に示されるように,基板10の凹部11に接着剤を塗布して,その凹部11内に任意の回路素子20を接合する。接着剤を絶縁層として機能させるために,この接着剤としては絶縁性のものを用いることが好ましい。その後,接着剤を硬化させるために,基板10に加熱処理を施す。
【0060】
次に,図7(e)に示されるように,基板10の表面及び裏面の両方に絶縁層30(モールド樹脂)を塗布して回路素子20の樹脂封止を行う。絶縁層30は,基板10の凹部11に配置された回路素子20及び電極パッド21全体を覆うことのできる十分な厚みとすればよい。
【0061】
次に,図7(f)に示されるように,絶縁層30表面を切削して回路素子20の電極パッド21を露出させる。切削方法としては,電極パッド21に対応する開口パターンのマスクシートを用いて絶縁層(特に感光性樹脂膜で形成されたもの)を露光する方法や,レーザ加工によって電極パッド21に沿って絶縁層30を切削する方法が挙げられる。
【0062】
次に,図7(g)及び図7(h)に示されるように,絶縁層30の表面に金属膜を設けて,各回路素子20を電気的に接続するための再配線層40を形成する。再配線層40は,無電解めっき法やめっき法等の公知の方法によって形成すればよい。
【0063】
次に,図7(i)に示されるように,半導体装置の全体を覆うように絶縁膜70を形成する。その後,図7(j)に示されるように,絶縁膜70の一部に開口部71を形成し,その開口部71から基板10の

表面及び裏面に設けられた再配線層40を構成する金属材料が露出させる。これにより,基板10の両面に回路素子20が配置された集積度の高い半導体装置を得ることができる。
【0064】
続いて,図8を参照して,半導体装置の別の変形例について説明する。特に,図8では,基板10と回路素子20の断面構造を示している。
【0065】
図8(a)に示した例において,基板10の凹部11の底面11aの少なくとも一部は,凹状に窪んだ曲面状に形成されている。曲面は,断面が曲線状のものであればよく,半球面又は放物曲面の形態をとることができる。凹状の底面11aには,その曲面に沿って回路素子20が配置される。凹部11の底面11aが凹状の曲面である場合,回路素子20としては無線アンテナなどの電波送受信用の素子を用いることが好ましい。凹状に曲面がパラボラアンテナの様に作用するため,無線アンテナに送受信感度を高めることができる。
【0066】
図8(b)に示した例において,基板10の凹部11の底面11aの少なくとも一部は,凸状に隆起した曲面状に形成されている。凸状の底面11aには,その曲面に沿って回路素子20が配置される。凹部11の底面11aが凸状の曲面である場合,回路素子20としては光学センサなどのセンシング用の素子を用いることが好ましい。光学センサは,主に可視光線と赤外線の検出に利用される。光学センサは,可視光線と赤外線をレンズで集光し、撮像対象物の形状などを画像データとして取得する。凸状の曲面に光学センサを配置することで,そのセンシング方向が放射状に広がるため,検出エリアを拡大させたり,センサ感度を向上させることができる。
【0067】
図8(c)及び図8(b)は,それぞれ,基板10の表面に凹状又は凸状の曲面状の底面11aを含む凹部11を設けるとともに,基板10の裏面に平面状の底面11aを持つ凹部11を設けた例を示している。このように,基板10の片面の凹部11を曲面状とし,反対面の凹部11を平面状とすることも可能である。平面上の底面11aを持つ凹部11には,半導体チップやその他電気素子を配置すればよい。
【0068】
続いて,図9から図11を参照して,基板10の製造工程の別例について説明する。この製造工程では,例えば図9に示す構造を持つプレート部材400を利用する。プレート部材400は,銅や銀などの金属材料で形成された金属層410と,この金属層410の裏面側に設けられた樹脂層420を含む。なお,樹脂層420は金属層410を加工する際の支持部材として機能するものであり,プレート部材400にとって必須のものではない。つまり,プレート部材400は金属層410のみからなるものであってもよい。
【0069】
また,図9に示されるように,金属層410は,表面側に例えばエッチング加工やレーザ加工によって所定パターンの凹凸が形成されている。具体的に説明すると,金属層410は,その外縁に沿って設けれた外枠部411と,その外枠部411内の領域に設けられた複数の凸部412とを有し,これらの外枠部411と凸部412以外の領域は窪んだ領域となっている。なお,外枠部411と凸部412は同程度の高さとすればよい。凸部412は,四角柱状に形成されているが,その他に円柱状や三角柱状,多角柱状とすることもできる。本実施形態において,凸部412は,横方向及び縦方向に一定のピッチで配置されている。また,金属層410の表面には,複数の凸部412によって周囲を囲われた囲繞領域413が複数設けられている。この囲繞領域413は,後述するように基板10の凹部11を形成するための部位である。このため,囲繞領域413は,回路素子を配置可能な程度の十分な面積を確保しておくと良い。
【0070】
図10は,上記したプレート部材400を用いて基板10を製造する工程の一例を示している。まず,図10(a)に示されるように,突起部211を持つ上金型210と窪み部221を持つ下金型220との間に,プレート部材400を配置する。このとき,上金型210の突起部211の真下にプレート部材400の囲繞領域413が位置するように,位置合わせを行う。その後,プレート部材400の上に,硬化前の熱硬化性樹脂10´を充填する。
【0071】
次に,図10(b)に示されるように,上金型210と下金型220とによって熱硬化性樹脂10´を加圧して,この熱硬化性樹脂10´をプレート部材400の表面上の窪みの中に圧入させる。これにより,熱硬化性樹脂10´がプレート部材400の表面上の窪みに対応した形状に整形される。さらに,上金型210にはプレート部材400の囲繞領域413に対応した位置に突起部211が設けられているため,上金型210によって熱硬化性樹脂10´を押圧することで,この囲繞領域413内において熱硬化性樹脂10´に凹部11が形成されることとなる。その後に熱硬化性樹脂10´を加熱して硬化させる。
【0072】
次に,図10(c)に示されるように,プレート部材411の表面側にはみ出した硬化済みの熱硬化性樹脂を研磨して凸部411を露出させるとともに,プレート部材411の裏面側を研磨して樹脂層420と凸部411以外のプレート部材411の底面部分を除去する。また,プレート部材400の外枠部411を切除するとともに,プレート部材400を囲繞領域413を画定する凸部412同士の間で切断して,基板10を任意のサイズにダイシングする。これにより,図10(d)に示すように,回路素子を配置するための凹部11を持ち,またプレート部材411の凸部411が貫通ビア50として機能する基板10が得られる。また,図11は,このようにして形成された基板10の斜視図を示している。図11に示されるように,基板10は,その中央部分に凹部11が設けられ,その凹部11の周囲を囲うように厚み方向に貫通する導電性の貫通ビア50が複数形成されたものとなる。このようにして形成された基板10は,前述した実施形態に係る半導体装置の製造法において用いることができる
【0073】
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は,半導体装置の製造業において好適に利用し得る。
【符号の説明】
【0075】
10…基板 10´…熱硬化性樹脂
11…凹部 11a…底面
11b…側面 11c…段差部
12…貫通孔 13…バリ
14…穴部 15…貫通孔用凹部
20…回路素子 21…電極パッド
30…絶縁層 31…接着剤
32…感光性樹脂膜 40…再配線層
41…はんだボール 50…貫通ビア
60…導体材料 70…絶縁膜
71…開口部 100…半導体装置
210…上金型 211…突起部
212…注入口 220…下金型
221…窪み部 300…マスクシート
400…プレート部材 410…金属層
411…外枠部 412…凸部
413…囲繞領域 420…樹脂層
【要約】      (修正有)
【課題】樹脂封止の際に半導体チップに位置ずれが生じることを抑制するとともに、再配線層を簡易かつ正確に形成する。
【解決手段】半導体装置100は、硬化済みの熱硬化性樹脂により形成され一又は複数の凹部11を有する基板10と、基板10の凹部11内に配置された回路素子20と、凹部11の開口側において回路素子20に接続された再配線層40とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11