(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。生体情報測定装置1は、被験者の生体情報を測定する機器であり、例えば生体情報モニタ、医用テレメータ、心電計、筋電計、等である。
【0014】
生体情報測定装置1は、生体信号入力部11、送受信部12、制御部13、内部時計14、記憶部15、表示部16、及び操作部17を有する。
【0015】
生体信号入力部11は、被験者に装着されている電極やトランスデューサ等と電気的に接続し、これらから出力される心電図、呼吸、血圧、脈波等に関する生体信号を取得する。生体信号入力部11は、この生体信号を制御部13に供給する。
【0016】
送受信部12は、各種のデータ(各種生体情報に関する測定値や測定波形等)を外部装置に送信する。また送受信部12は、外部装置から各種のデータを受信し、受信したデータを制御部13に供給する。すなわち送受信部12は、データ送信を行う送信部とデータ受信を行う受信部の機能を兼ね備える。送受信部12による通信方式は、インターネットをはじめとしたネットワーク通信に加え、NFC(Near Field Communication)等を実装した近距離通信、音波通信、電波通信、等を含む。すなわち送受信部12は、外部装置とのデータ送受信を行うものであればよく、そのデータ送受信方式は任意のものであれば良い。
【0017】
内部時計14は、生体情報測定装置1に内蔵されて時刻を計時する。内部時計14は、例えば水晶発振子及び周辺回路等から構成される。内部時計14は、後述する第1補正部18または第2補正部19によって時刻補正が行われる。
【0018】
記憶部15は、後述する時刻補正量を含む各種のデータを記憶する記憶装置である。例えば記憶部15は、内蔵された不揮発性メモリ(例えばハードディスク)であってもよく、生体情報測定装置1に着脱可能に構成されたUSB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。また記憶部15は、CPUにより使用される一時的な記憶装置(例えばキャッシュメモリ)をも含む概念である。
【0019】
表示部16は、生体情報測定装置1の筐体上に設けられたLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置である。表示部16には、各種の生体情報の測定値(呼吸数、血圧、体温等)及び生体波形等が表示される。また表示部16には、内部時計14が計時した現在時刻も表示される。
【0020】
操作部17は、例えば生体情報測定装置1の筐体上に設けられたボタン、生体情報測定装置1に接続可能なキーボード等である。ユーザは、各種生体情報(例えば体温、SpO2、血圧等)の測定開始や停止の操作指示を操作部17を操作することによって入力する。またユーザは、操作部17から時計補正のための正確な時刻情報を入力してもよい。
【0021】
なお表示部16と操作部17は、一体化された形態(すなわちタッチディスプレイのような形態)であってもよい。
【0022】
制御部13は、生体情報測定装置1の各種の制御を行う。制御部13の処理は、記憶部15に格納されたプログラムを読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)や各種の制御回路によって実現される。
【0023】
制御部13は、第1補正部18、及び第2補正部19を有する。第1補正部18は、時刻情報を用いて規定タイミング(例えば毎日14時)に内部時計14の時刻補正を行う。時刻情報とは、内部時計14の時刻補正を行う際に用いる正確な時刻を示す情報である。時刻情報は、操作部17を介して手動により入力されるものであってもよく、送受信部12を介して外部装置から入力されるものであってもよい。例えば医療従事者(技師等)は決められた時間に時刻情報を入力してもよく、外部装置が決められた時間に時刻情報を生体情報測定装置1に送信してもよい。
【0024】
なお規定タイミングとは、第1補正部18が定期的に時刻補正を行うタイミングであり、ある程度の幅のある期間(例えば毎日14:00〜15:00)であっても構わない。またユーザがこの規定タイミングを変更できるようにしても構わない。例えばユーザが、外部装置からネットワーク経由で時刻情報を取得する時間を明示的に変更できるようにしても構わない。
【0025】
第1補正部18は、時刻補正を行った際に、補正前の内部時計14の計時する時刻と正確な時刻(時刻情報)とのずれ(時刻ずれ)の大きさを示す時刻補正量を算出する。例えば内部時計14の指し示す時刻が2015年5月25日14:00:20であり、正確な時刻が2015年5月25日14:00:00であったとする。第1補正部18は、両者の差分である+20秒を時刻補正量として算出する。そして第1補正部18は、算出した時刻補正量を記憶部15に保存する。
【0026】
図2は、記憶部15に保存された時刻補正量の一例を示す図である。本例において第1補正部18は、時刻補正が行われた日時(時刻情報が指し示す日時)と時刻補正量を関連付けて保存している。例えば
図2では、5月25日の時刻補正量が20秒であること、5月24日の時刻補正量が19秒であること、等が記憶部15に保存されている。なお記憶部15に保存されるデータは、時刻補正量を算出できるものであれば良い。すなわち第1補正部18は、補正前の時刻(例:2015年5月25日14:00:20)と補正後の時刻(例:2015年5月25日14:00:00)をそのまま記憶部15に保存してもよい。また第1補正部18は、時刻補正が行われた日時に代わり、前回の時刻補正からの経過時間(例:24時間)と時刻補正量(例:+20秒)を関連付けて保存してもよい。
【0027】
再び
図1を参照する。第2補正部19は、第1補正部18が規定タイミングにおいて時刻補正を正常に行ったか否かを検出する。時刻補正を正常に行えなかった場合とは、例えば操作部17を介した時刻情報の入力が行われなかった場合、ネットワーク障害により送受信部12を介して時刻情報が正常に入力されなかった場合、何らかの原因により時刻補正処理自体が動作しなかった場合、等を含む。第1補正部18が規定タイミングに時刻補正を正常に行えなかった場合、第2補正部19は記憶部15に保存された時刻補正量の履歴を用いて内部時計14の時刻補正を行う。第2補正部19による時刻補正の例について以下に説明する。
【0028】
第1の例は、第1補正部18が直近に行った時刻補正の時刻補正量をそのまま使用するものである。例えば
図2に示す時刻補正量が記憶部15に保存されていた場合、第2補正部19は2015年5月26日の時刻補正量として2015年5月25日の時刻補正量(20秒)を使用する。すなわち第2補正部19は、内部時計14の時刻を20秒ずらす補正を行う。内部時計14の時刻のズレは、大幅にその傾向が変わるものではない。そのため直近の時刻補正量を用いることにより、第2補正部19はほとんど計算処理を行うことなく精度の高い内部時計14の時刻補正を行うことができる。
【0029】
第2の例は、複数の時刻補正量の平均値を使用するものである。
図3は、第2の例の動作概念を示す図である。
図3の例では、2015年5月21日及び23日の時刻補正量が18秒、2015年5月22日及び24日の時刻補正量が20秒である。第2補正部19は、一定期間(
図3の例では4日間)の時刻補正量の平均値を求める。
図3の例では第2補正部19は、時刻補正量の平均値を19秒と算出する。そして第2補正部19は、内部時計14の時刻を19秒ずらす補正を行う。このように内部時計14の時刻補正量の平均値を用いることにより、内部時計14の時刻のズレの傾向に沿った時刻補正を行うことができる。
【0030】
第3の例は、経過時間と内部時計14の時刻のズレとの関係を示す関係式を算出するものである。
図4は、第3の例の動作概念を示す図である。第1補正部18は、時刻補正量と時刻補正を行った日時を関連付けて記憶部15に保存する。
図3の例では、2015年5月22日の時刻補正量が17秒、2015年5月23日の時刻補正量が18秒、2015年5月24日の時刻補正量が19秒、2015年5月25日の時刻補正量が20秒である。なお第1補正部18は、前回の第1補正部18による時刻補正からの経過時間と時刻補正量を関連付けて記憶部15に保存してもよい。すなわち第1補正部18は、第1補正部18による時刻補正が行われたタイミングに関する情報を時刻補正量と関連付けて記憶部15に保存すればよい。
【0031】
第2補正部19は、これらのデータから時間経過と内部時計14の時刻のズレの大きさの関係を示す関係式を算出する。なお関係式の算出は、一般的な回帰直線の算出方法を用いて行えばよい。例えば第2補正部19は、
図4の一点鎖線で示すような一次方程式(17+x)(xは2015年5月22日からの経過日数)を算出する。第2補正部19は、この一次方程式を用いて2015年5月26日の時刻補正量を21秒(17+1×4)と算出する。そして第2補正部19は、内部時計14の時刻を21秒ずらす補正を行う。このように内部時計14の時刻補正量から関係式を算出することにより、内部時計14の時刻ズレの傾向に沿った時刻補正を行うことができる。特に時間経過に応じて時刻のズレが大きくなっている場合(または少なくなっている場合)、関係式を用いることにより精度の高い時刻補正を行うことができる。
【0032】
第4の例は、周辺温度と内部時計14の時刻ズレとの関係を用いるものである。内部時計14に内蔵される水晶発振子は、周辺温度の影響を受けやすい。そこで第1補正部18は、補正時の周辺温度と時刻補正量を関連付けて記憶部15に保存する。周辺温度は、生体情報測定装置1内に設けられた温度計(
図1には図示せず)から取得してもよく、外部装置から送受信部12が取得してもよい。
図5は、記憶部15に保存された周辺温度と時刻補正量の関係を示す図である。
【0033】
一般的に水晶振動子の周波数温度特性は、+25℃を頂点として負の2次曲線を示すことが知られている。第2補正部19は、これらのデータ、水晶振動子の周波数温度特性、及び現在の周辺温度を考慮して時刻補正量を算出する。例えば第2補正部19は、現在の温度情報を取得する。現在の温度情報は、生体情報測定装置1内に設けられた温度計(
図1には図示せず)から取得してもよく、外部装置から送受信部12が取得してもよい。例えば2015年5月26日14時の温度が25℃である場合、第2補正部19は
図5に示す時刻補正量の履歴(2015年5月22日の時刻補正量)を用いて現在の時刻補正量を19秒と算出する。そして第2補正部19は、内部時計14の時刻を19秒ずらす補正を行う。内部時計14が水晶振動子を利用している場合、周辺温度が時刻のズレの大きな要因となる。本例のように周辺温度と時刻補正量を関連付けて保存しておくことにより、周辺温度を考慮した時刻補正を行うことができる。
【0034】
以上が第2補正部19による時刻補正の実行例であるが、必ずしも上記4例に限られない。すなわち第2補正部19は、第1補正部18が保存した時刻補正量の履歴を用いた時刻補正を行えばよい。
【0035】
第2補正部19は、時刻補正を行った後に表示部16に表示される表示画面を変化させてもよい。
図6は、第2補正部19による時刻補正が行われた後の表示画面の一例を示す図である。当該表示画面では、時刻表示の隣に「ネットワーク経由での時刻補正失敗」とのメッセージM1が表示されている。すなわち表示部16は、「第2補正部19による時刻補正が行われたこと」を表示している(換言すると表示部16は、「第1補正部18によって規定タイミングでの時刻補正が正常に行われていないこと」を表示している。)。ユーザ(主に医師、看護師、技師等)は、当該表示を見ることにより、所望の時刻補正(例えばネットワーク経由での時刻補正、すなわち第1補正部18による時刻補正)が行われずに暫定的な時刻補正(第2補正部19による時刻補正)が行われていることを認識できる。
【0036】
なお
図6の表示はあくまでも一例であり、ユーザに対して暫定的な時刻補正が行われていることを報知するものであれば良い。例えば時刻表示の色を通常時と異なるものにする、時刻表示部分を枠線で囲む、時刻表示部分に下線を付す、等の表示により報知を行ってもよい。時刻表示部分を枠線で囲む、時刻表示部分に下線を付す、等の表示を行うことにより、白黒画面表示や記録紙表示の場合でも暫定的な時刻補正が行われていることを報知することができる。
【0037】
また第2補正部19は、時刻補正を行った後に送受信部12を介して外部装置に「第2補正部19が時刻補正を行ったこと」(換言すると「第1補正部18によって規定タイミングでの時刻補正が正常に行われていないこと」)を通知してもよい。例えば送受信部12は、セントラルモニタに対して第2補正部19が時刻補正を行ったことを通知する。セントラルモニタは、該当する生体情報測定装置1の表示欄に第1補正部18による補正が出来なかったことを示す表示を行う。
図7は、セントラルモニタの表示画面例を示す図である。例えば
図7の例では、セントラルモニタに表示される表示画面上において、該当する生体情報測定装置1の表示欄に「暫定時刻補正状態」といったメッセージM2が表示されている。ユーザ(主に医師や看護師等)は、所望の時刻補正(例えばネットワーク経由での時刻補正)が行われずに第2補正部19による暫定的な時刻補正が行われていることを認識できる。これによりユーザは、ネットワーク上の問題のチェックを依頼すること等の対応を行うことができる。
【0038】
続いて
図8を参照して制御部13(第1補正部18、第2補正部19)の処理の流れについて改めて説明する。
図8は、制御部13の処理の流れを示すフローチャートである。
【0039】
第1補正部18は、規定タイミングまで内部時計14の時刻補正を待ち合わせる(S11:No)。規定タイミングとなった場合(S11:Yes)、第1補正部18は時刻情報を用いた内部時計14の時刻補正を試みる(S12)。第1補正部18は、時刻情報を用いた内部時計14の時刻補正を正常に行った場合(S12:Yes)、時刻補正量を記憶部15に保存する(S13)。
【0040】
一方、第1補正部18が正常に内部時計14の時刻補正を行えなかった場合(S12:No)、第2補正部19は記憶部15に保存された時刻補正量の履歴を用いて内部時計14の時刻補正を行う(S14)。なお
図8には図示しないものの、第2補正部19の補正処理(S14)の後に表示画面の変更(
図6)や外部装置への通知(
図7)を行ってもよい。
【0041】
続いて本実施の形態にかかる生体情報測定装置1の効果について説明する。はじめに一般的な生体情報測定装置の動作について説明する。一般的な生体情報測定装置は、ネットワーク経由での時刻補正機能を有するものが多いものの、何らかの問題により時刻補正が行われなかった場合にはそのままの状態で動作してしまう。すなわち時刻のズレが生じた状態のまま生体情報測定装置が使用されてしまう恐れがあった。
【0042】
一方、本実施の形態にかかる生体情報測定装置1では、第1補正部18が規定タイミングに内部時計14の時刻補正を正常に行わなかった場合、第2補正部19が時刻補正量の履歴を使用して内部時計14の補正を行う。これにより、何らかの原因により所望の時刻補正が行われなかった場合であっても内部時計14の時刻ズレの影響を軽減することができる。また第2補正部19は、第1補正部18が時刻情報(正確な時刻の情報)を用いて時刻補正した際の時刻のズレを示す時刻補正量の履歴を用いるため、高い精度の時刻補正を行うことができる。
【0043】
また第2補正部19による時刻補正が行われた場合、暫定的な時刻補正が行われていることを表示部16に表示することができる(
図6)。これによりユーザは、内部時計14の時刻補正が所望の方法で行われていないことを容易に理解できる。例えば技師等が操作部17により時刻情報を入力する運用となっている場合、ユーザは入力忘れ等を認識することが可能となり、運用方法の見直し等を速やかに行うことができる。またネットワーク経由で時刻情報を取得する運用となっている場合、ユーザは生体情報測定装置1に関連するネットワーク障害等を容易に把握することができる。
【0044】
さらに送受信部12は第2補正部19による時刻補正が行われたことを外部装置に通知してもよい。これにより、外部装置(好適にはセントラルモニタ)において、生体情報測定装置1の内部時計14が暫定的な時刻補正が行われた状態で運用されていることを把握できる(
図7)。これによりナースステーション等の遠隔地にいるユーザであっても、正確に内部時計14の状況を把握することができる。
【0045】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0046】
なお制御部13内の第1補正部18及び第2補正部19の処理は、生体情報測定装置1内において実行されるコンピュータプログラムとして実現することができる。
【0047】
ここでプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。