(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
この方法の発明における実施の形態につき次に説明する。この実施の形態では後記の各工程を後記の順で経ることによりマカロニ類を得る。各工程とその順は
図1に記載される。
(生地の作成工程)
まず、生地を作成する。生地の原料粉としてはデユラム小麦のセモリナ100%をこの実施の形態では用いるが、デユラム小麦のセモリナは90〜100%の範囲で用いることが好ましい。その理由は、90%未満では硬さが出ない、つまりマカロニ類としてのアルデンテが不足するから90%以上であることが好ましく、より好ましくはさらに100%に近いものがよく、100%であることが最も好ましい。デユラム小麦のセモリナが90%以上で100%未満の場合は余の粉として他の種の小麦粉を使用することができる。
【0012】
しかし、前記のようにデユラム小麦のセモリナが90〜100%であることが好ましいが、JAS規格の定義となるマカロニ類の原材料配合であり、前記アルデンテがありかつ圧延加工時のつなぎ性を保てることができるなら、デユラム小麦のセモリナとそれ以外の小麦粉との配合比は上記に限定されない。そこで、この発明でいう、デユラム小麦のセモリナを主原料とする原料小麦粉の意味は、デユラム小麦のセモリナが100%の場合はそれ自体をいい、デユラム小麦のセモリナが100%未満の場合はデユラム小麦のセモリナの量が余の粉よりも多く且つ余の粉として他の種の小麦粉を使用してなる原料小麦粉をいう。
【0013】
この粉を室温にて使用する。この実施形態ではデユラム小麦のセモリナ100%を用いた原料粉に5〜40°C、好ましくは10〜30°Cの水を25〜35重量%の割合で加える。水温と加水量との関係は上記の条件下で、水温が低いときには加水量を多く、水温が高いときには加水量を少なくし、もって生地温度を20〜40°Cの範囲に維持する。通常は水温の調整をすることなく、タンクに貯水してある水道水をそのまま使用するため、水温5〜40°Cの範囲では、その水温に応じて加水量を上記の範囲内で調整するが、水温がこの範囲にないときには水温を調整してこの範囲にして使用する。生地温度は特に20〜40°Cが望ましく、25〜30°Cが最も望ましい。加水量は35重量%を超えると後の圧延工程以後において生地が柔らかくなりすぎるから適当でないし、25重量%未満では圧延工程以後において生地につながりがなくなるからこれも採用できない。
上記の原料小麦粉に添加物として塩 1.5重量%を添加する。これはマカロニ類に風味をつけることに貢献するからであり、上限を2.0重量%まで添加が可能である。勿論、塩は添加しなくともよい。
【0014】
次に加水した原料粉を撹拌する。この撹拌は撹拌機により大気圧の下で5分間撹拌し水を全体にできるだけ均一に分布させる。その後撹拌機内を減圧した状態でさらに15分間撹拌する。これにより水の分布の均一性を徹底させる。減圧することなく撹拌してもよいが減圧することにより短時間で水分の均一性を達成できる。これは粉と水の隙間が気圧低下により小さくなり、粉の粒子間の隅々まで水が均等に行きわたるからである。
この撹拌に使用する攪拌機は、内部を真空装置に接続してなり装置各部を次の減圧状態に耐えるように構成されたものであり、出願人が開発したものを用いる。前記減圧は−80kPa以上で機械的に可能な範囲で絶対真空に近づけて行う。この撹拌により、粉の粒子間に均等に水分がいきわたって、生地は「そぼろ」状ないし「おから」状になり、生地内にグルテンが生成される。
【0015】
(麺帯の形成工程)
対をなすロール間に生地を少しずつ通して帯状にすることにより荒麺帯を形成する。撹拌されて「おから」状になった生地を少しずつロール間に通すと生地が伸されて帯状に広がり連続する。この段階では帯状といっても隙間が開いた部分などもあって十分な帯状にならないため、対をなすロールを2対用い、これらにより並行して生地を帯状にして2枚の荒麺帯を作り、次いでこれを重ねた状態で一対のロールに供給することにより2枚の荒麺帯を複合して1枚の麺帯を形成する。
生地の生成工程において生成された生地を最初のロール間において隙間のない所定厚みの麺帯にすることができれば前記の複合は不要となる。その場合は麺帯の形成工程のロールは1対でよい。
【0016】
(麺帯の圧延工程)
1枚に形成された麺帯を、対をなすロールの組により順次圧延する。ロールの組は、例えば5組を一列に用意し、各組を連続して通過する麺帯を各組間で少しずつ圧延することにより生地のグルテンを破壊しないようにしつつ所定の幅と厚さの帯状に圧延する。この工程で使用するロールの組の数は麺帯の厚さなどの条件に応じて増減することができる。
【0017】
(切り出し工程)
圧延工程で圧延された麺帯1が
図2に示される。この
図2は説明の便宜のためにこの実施の形態の切り出し工程から乾燥工程までを上から下に向けて模式的に示したものであり、したがって、図示された各設備や麺帯1及び麺線2は実物とは大きく相違するものである。
切り出し工程では麺帯1を移動方向に縦切りして特定の断面積をもつ多数の麺線2に切り出す。麺線2の断面は正方形や長方形でもよいが、ここではマカロニ類のうち特にスパゲッティの多くが断面円形又はこれに近い形状になっているため、これと同様の断面になる切り刃3を用いる。
【0018】
図4(a)に示すように、この実施形態では麺線2を六角形の断面に切り出す。切り刃3の外観は、棒状で一対の平行をなす各本体31の外周にフランジ状に突出した凸刃32とこれより小径で同一厚みの凹刃34が軸方向に交互に多数連続した形成され、両本体31の各凸刃32どうしが噛み合った体をなしている。
この実施形態のものを詳細に見ると、凸刃32は、
図4(b)に示されるように2枚の大径刃32a,32bとこれらの間にあってこれらより小径のスペーサ32cとにより構成される。係る凸刃32どうしの間には小径の凹刃34が介在している。この凹刃34は、同様に
図4(b)に示されるように、前記大径刃32a,32bより小径の小径刃34a,34bと、これらの間にあってこれらより小径のスペーサ34cによって構成される。大径刃32a,32bと小径刃34a,34bは刃先をなす外周部が図示されるようにそれぞれのスペーサ32c,34cに向けた傾斜面をなしている。これら大径刃32a,32b、スペーサ32c、小径刃34a,34b、スペーサ34cは円板からなり、図示しない回転軸に一体に外嵌されているが、棒状の本体31の外周を切削加工して各刃を形成してもよい。
【0019】
こうして構成された2本の本体31が平行状態にあって互いの凸刃32を相手方の凸刃32間に差し入れて凸刃32どうしを噛み合わせることにより切り刃3が構成される。一方の本体31の凸刃32は他方の本体31の凹刃32に対向していて、回転中の切り刃3を通過する麺帯1が切り出されて麺線2になる。凸刃32どうしの交叉により麺帯1が切られて麺線2になり、この麺線2は凸刃32間で相手方の凹刃34内に押し込まれて、大径刃32a,32bと小径刃34a,34bに押圧されて断面六角形になって切り出される。麺線2は切り出された後に生地の復元力などの作用によって円形又は円形に近い断面形状になる。
ここで麺線2の断面形状が円形に近い形状であるとの意味は、消費者がパスタ類を調理ないし食べるときに通常の注意力をもって麺線2が断面円形だと認識する程度の形状の意味であり、麺線2を凝視したり拡大鏡などを使用して認識する程度にまで厳格に測定して得た形状を意味するものではない。
【0020】
図5の切り刃3は麺線2の断面形状を切り出し当初から円形にするものであり、噛み合った状態の本体31どうしの間で本体31とこれの外周のフランジ状の凸刃32とにより囲まれる空間33を円形にした実施形態である。これにより、麺線2は切り出した当初から断面円形になる。なお、
図5においては、
図4(a)よりも麺線2の太さを大にして表している。
ここでは、切り刃3における麺帯1が通過する範囲内(つまり、切り刃3における麺帯1の幅寸法内)で、凸刃32の間の多数の前記空間33の合計断面積は麺帯1の断面積に等しくしてある。圧延工程での前記のロールによる生地の圧延で麺帯1の幅と厚みを調整することにより麺帯1の断面積を切刃3の前記空間33の合計断面積に一致させることができる。
【0021】
(幅寄せ工程)
こうして、断面形状と断面積が同じ多数の麺線2が並列になって切り出され、図示しないコンベヤに載せられてそのままの姿勢で次の工程に送られる。ここで、この麺線2の列を或る特定の幅で区切って複数の麺線の群21に分ける。これにより特定の決められた本数の麺線の群21に分けることができる。
図2における幅寄せ機構4において麺線2が複数の群21に分けられ、群21の間には隙間22が形成される。この図では説明の都合からほぐし工程に入る前までの麺線2を1本の線で表しており、また図示した麺線2の数は同様に説明の都合から実際のものより少ない。ここで、麺線の群21の数や一つの群における麺線2の数は、麺帯1の幅や麺線2の断面積や後工程でカットする麺線2の長さ寸法等の条件と、商品化の際の商品の量目等の条件によって決められるもので、
図2においては説明の都合からこれらを便宜的に表している。よって麺線2の群21は3列でなくてもよいし、また麺帯1の全幅において一つの群21の麺線2を形成するのであれば幅寄せ工程により麺線2を幅寄せする必要はない。
なお、幅寄せ機構4は、幅広い範囲に並列状態で流れる麺線2を特定の幅で区切って、区切った部分を幅方向に寄せることにより複数の麺線の群21に分けるものであればよい。
図2の幅寄せ機構4としてはクサビ型のガイド41を配置して流れる麺線2を左右に振り分けて幅寄せしている。なお、ガイド41を左右に振動させてガイド41の幅より大きく寄せることもできる。
【0022】
(切断工程)
多数の麺線2は、前記の幅寄せ機構4において複数の群21ごとに幅寄せされた状態で各群21の間に隙間22が形成されたままコンベヤに載って麺線2の長手方向に一定の速度で移動され、その移動中の或る位置で各群21の麺線2は同時にカッター5により切断される。各麺線2は常時同一速度で移動し、切断は常時同一の時間間隔で行われるから、切断された各麺線2は並列の群21においても、また時間的に前後する群21においても同一の長さに切断される。
【0023】
図2ではカッター5により切断されて次工程に移動される麺線2のうち、前後の麺線2の間で隙間23が形成されているように図示されているが、これは前後の麺線2が切断されていることを目で見て理解できるように表現したからであって、前後の麺線2は同一速度で移動しているから、切断されていても実際には前後の麺線2間に隙間23はない。しかし、前後の麺線2間に隙間23を形成する場合には、カッター5から下流側のコンベヤの速度をその上流側のコンベヤよりも早くすればよい。
前記のように切断された各群21の麺線2は原料、本数、断面積、長さがいずれも同じになるから、これらの条件により決定される麺線2の量目は各群21において同一になる。したがって、後の乾燥工程で同一の乾燥をすれば、各群21の麺線2は同一量目の商品になる。このため、この実施形態で製造するマカロニ類は、製造工程において商品の包装前に計量装置を使用して商品の量目を計量する必要がない。よってマカロニ類の円滑な連続生産が可能になる。前記の麺線2の各群21が例えば1食分或いは2人前等の包装の単位になる。
【0024】
(ほぐし工程)
カットされた各群21の麺線2を群21ごとにバスケット6に入れてほぐす。麺線2は切り出された後、幅寄せされ切断されても直線状態で移動されるが、この実施形態では後の乾燥工程で麺線2を麺線2の長さより直径が小さい容器状のバスケット6に収容して乾燥させる。このため、麺線2をこのほぐし工程においてバスケット6に入れて、麺線2を不定形の曲線状にする。
図2においてほぐし工程の部分ではバスケット6内に麺線2を入れた後でほぐす前の状態が表示されている。この状態では、麺線2はバスケット6内に均等に分布していないが、ほぐし工程においては、この後にバスケット6内で麺線2の分布が均等になるように均す。その方法はバスケット6内の麺線2に空気圧を加えるか物を挿入してかき混ぜる動作をさせることにより行う。これがほぐし工程である。
【0025】
乾燥工程でバスケットに入れて乾燥させるのは乾燥工程を連続作業により実施できるようにしたためであり、且つ麺線2どうしを直線状のまま並列にしておくよりも前記の曲線状にすることによって麺線2どうしが粘着するのを防止するためである。すなわち、麺線2は並列状態にしておくと麺線2どうしが線接触するのに対し、各麺線2を不揃いの曲線状にすると麺線2どうしは点接触になる。線接触や点接触は理論的には接触面積はゼロであるが、麺線2どうしの間では麺線2の性状から面接触になりやすい。このため、線接触状態よりも点接触状態のほうが実際の接触面積が減少する。また麺線2どうしの間に隙間があったほうが乾燥効率も高い。このため、麺線どうしの粘着を防止し、さらに乾燥効率を向上させるために麺線2をほぐし、麺線2どうしの間に隙間を可及的に均等に形成する。
【0026】
バスケット6は、外部から内部の麺線に熱風を吹きつけることができるように穴の開いた容器であり、その一例が
図6に示される。
図6(a)は3つのバスケット本体61を並べた状態で枠62に固定している図である。バスケット本体61を3つ用いたのは、
図2の例で麺線2の群21を3列にして各列の麺線2を個別にバスケット6に収容したことに対応させてある。各バスケット本体61は高さの低い円筒状をした周壁61aと多数の穴が全体に均一に開いた(
図6(a)では底61bの多数の丸穴の一部のみが図示されている。)底61bとからなる容器状をなし、3つのバスケット本体61が1つの枠62内に並列状態で溶接されている。
【0027】
前記の枠62には、
図6(b)に示すように蓋63がヒンジ64により開閉自在に取り付けられている。蓋63は1枚で3つのバスケット本体61を覆うものとし、バスケット本体61と蓋63とでバスケット6を構成している。
図6(b)では蓋63を透明に表現して3組のバスケット6の全体の構造が理解できるように示されている。また蓋63は図示されていないがバスケット本体61の底61bと同様に多数の穴が均一に開設されていて、これを閉じた状態においてバスケット6内を上下に風通しがよいように構成されている。
また蓋63にはストッパ65が取り付けられていて、これを枠62に係合させて蓋63を閉じた状態に維持し、逆に係合を外して蓋63を開放可能にしてある。かかる3個で1組のバスケット6の多数組をスラットコンベヤのように無端状に連続させたものを用いると、ほぐし工程や次の乾燥工程での連続処
理が可能になる。
【0028】
なお、バスケット本体61に対して蓋63を開閉可能にする手段としては他の手段を採用することもできる。例えば、バスケット本体61の多数をコンベヤ状に連続させるとともに蓋63の多数もコンベヤ状に連続させ、両者を同速度で並走させつつ両者の間隔を接触させたり離反させたりするようにしてもよい。前記接触状態が蓋63を閉じた状態であり前記離反状態が蓋63を開いた状態である。
かくして、
図2の例では幅寄せされて麺線2の群21が3列になった状態で切断され、切断されたそれぞれの群21をなしたまま各群21の麺線2が群21単位で各バスケット6に入るようになっていて、ここで前記のほぐしが行われる。
【0029】
(乾燥工程)
前記のほぐしが行われたバスケット6を乾燥装置内を通過させることにより麺線2を乾燥させるのが乾燥工程である。バスケット6内は前記の群21をなす1単位の麺線2が不揃いの曲線を描いて収容され、麺線2間には可及的に等しい隙間が形成されている。バスケット6が連続してなるコンベヤが乾燥装置のケーシングの内部を通過するようになっており、ケーシングの内部で、コンベヤのバスケット6に向けて熱風を吹きつけることによりバスケット6内の麺線2を乾燥させる。
【0030】
バスケットは乾燥後の麺線2の群21の重量(つまり製品重量)が4.0〜5.0cc/gになるような容積比率を持つものを用いる。容積比率とはバスケット容積(cc)を製品重量(g)で割った値を指す。このバスケット6内の麺線2に吹きつけられる熱風はコンベヤの進行に従って上下から交互に吹きつけるとよい。特に乾燥開始当初は麺線2にかかる重力に対抗するように熱風を下から上に向けて吹き上げると、バスケット6内の麺線2間の隙間を広げ、風を通過させることができる。これにより、バスケット2に入れられた当初のように重力により押しつぶされた状態ではなく、麺線2間の隙間を上下に広げ、麺線2の群21の全体から水分が抜けやすくさせ、麺の塊ではなく広がりを持たせ膨張したかのように拡大させる。
【0031】
麺線2はバスケット6の中にあるため、麺線2の群21が膨張してもその外周はバスケットにより規制されているため、麺線2の群は乾燥するにつれ収縮しバスケット6内部空間の形状と大きさに形成される。また、風圧により麺線がバスケット6内の一方に偏らないように風速がコントロールされる。ここで、麺線2が自重では形状が復元しない程度に乾燥した後は、上から下向きに風向きを変えることで均等な乾燥をする。なお、風向きを前記のように上下に変更する方法でなくても、風は常時上向きに吹き上げておいてバスケット6の向きを上下反転させて変更するようにしてもよい。
【0032】
麺線の群21の見かけ上の体積とバスケット6の容積との前記の比は、乾燥時に麺線どうしの間隔が均等で最適な量に形成されるように前記の比の範囲において設定される。間隔が均等で最適な量というのは、マカロニ類を茹でる際に麺線2の周囲に均等に湯が行き渡るための隙間量が麺線2の群21の内に均等に分布することを意味する。また、こうして麺線の群における麺線2間の粗密の差が小さくなると、後工程及び商品化後の麺線に外力が負荷されても麺線2の粗の部分がないから麺線2の折損を防止することができる。
乾燥のための熱風の温度は90〜120°Cの範囲とする。90°C未満では茹でたときに麺線が千切れることが多いため製品の品質不良となる。これはでんぷんの糊化現象を十分に進行させることができないことが原因でその粘度が不足して茹で上がり時の麺線のつながりが不十分になるからであると推定できる。また120°Cを超えると茹でたときに麺線が固くなりすぎていて茹で時間が従来のマカロニ類のように多くなるから適当ではない。
【0033】
熱風の風速は秒速5〜10mの範囲としたが、熱風を下から吹き上げる場合は、バスケット内の麺線2の分布が次のような形態になるように、すなわち前記のように麺線2間の隙間が上下に広がって麺線の群が塊ではなく広がりを持って膨張し、麺線の密度がバスケット内で可及的に均一な形態になるように、バスケットの構造や麺線2の量などの条件に合わせて風速を前記の範囲内で設定する。また熱風を上から吹き下ろす場合には吹き上げる場合と同様でもよいが乾燥効率などの条件も勘案して前記の範囲内で別の風速にしてもよい。
【0034】
乾燥時間は、麺線の含有水分が9〜11重量%になるまでとする。乾燥は前記の9〜11重量%の範囲であればよいが10重量%が最適である。バスケット6の構造、バスケット6に収容された麺線2の太さや量や含有水分、熱風の温度や速度などの条件により実験的に麺線の含有水分が10重量%になる時間をあらかじめ求めておき、その時間の乾燥をする。含有水分が9重量%に満たないと乾燥が過度になって茹で時間が増加するから適当ではないし、11重量%を超えると微生物等が繁殖する水分活性の値に近づくため保存性が悪化するので適当ではないからである。
【0035】
90〜120°Cの熱風により麺線を乾燥するから麺線内の水分が短時間内に気化して蒸発するため、麺線には水分が蒸発する際に通過した微細な穴が無数に形成される。このため、麺線を茹でた時に熱湯が前記微細な穴を経て麺線内部に浸透しやすくなるから茹で時間が短縮化される。かくして、前記のように麺線の形成に押し出し成形をせずに、麺帯の圧延、切り出し、切断により麺線を形成したことと、この熱風乾燥をすることとの相乗効果として茹で時間の短縮化を実現できる。
また、麺線の前記熱風乾燥により麺線の表面がニカワ化(ガラス化)するため、茹でたときに麺線どうしが粘着しにくくなるし、茹でたときにデンプンの溶出が抑制されるから茹で湯の濁りが少なくなる。
【0036】
(包装工程)
乾燥後の麺線は包装されて商品化される。
(従来技術の押し出し成形との比較)
ここで、この実施形態と従来の押し出し成形とを比較すると次のようになる。すなわち、押し出し成形のためにシリンダー内でダイスに向けて押圧される生地には、シリンダー内面の摩擦抵抗等が影響してシリンダー中心に近い部分とシリンダー内面に近い部分との間では生地の移動速度が相違し、シリンダー内面に近い部分のほうがシリンダー中心に近い部分よりもダイスを通過する速度が遅くなりやすい。このため、ダイスから押し出された麺線を一定のタイミングで切断すると、同時に切断した多数の麺線には長さと太さにばらつきが出る。特に、原料粉に混入している種子等の異物がダイスの一部穴(鋳型をなす多数の穴のうちの一部の穴)を閉塞することが時々発生するが、その場合には生地全体の押出量は変化しないのにダイスの穴の数が減るため、生地が各穴を通過する速度が上昇する。このため、麺線を一定のタイミングで切断していると、ダイスの閉塞数の増加に従って切断した麺線の長さが大になる。このため、乾燥後の麺線は長さが不揃いになって商品価値が低下するか、或いはさらに再度の切断工程を加えて長さを統一する必要がある。
【0037】
一方、この不具合を解決するために、押し出した麺線を商品としての長さ(多くは20〜30cmのうちの、例えば25cmという決められた特定の長さ)に切断する前に、麺線を例えば250cmに切断し、これを竿などに吊るして乾燥させた後に商品としての前記長さに切断する方法も採用されている。しかし、この場合には未乾燥状態で竿などに麺線を吊るすために、吊るした麺線のうち上部に下部の重量がかかり上部が伸びて細くなるという不具合があり、これらを乾燥後に切断して商品化すると、麺線の太さにばらつきがある商品になる。
【0038】
このため、麺線を押し出し成形する従来のマカロニ類では、形成される麺線の太さ(断面積)や長さが均一になりにくいために、商品として包装する前に量目を計量して確認するという工程が必要になって自動化と量産化が困難になるほか、量目は足りていても同じ包装内の麺線どうしの間で太さも相違することがあるという不具合がある。これに対し、この実施形態で製造されるマカロニ類では押し出し成形に代えて前記麺帯の形成工程から乾燥工程までを経て製造されているため、麺線の群はいずれも同一の太さと長さと数の麺線から構成されるから前記押し出し成形の不具合はない。このため、前記実施形態の方法では計量工程を省略することができて生産効率向上が可能になり、生産の自動化と量産化が容易になり、また麺線の太さ長さを均一にできるから品質の向上にも貢献する。
【実施例】
【0039】
(第1実施例)
発明者は原料粉としてデユラム小麦のセモリナを2500g使用し、他の原料粉は使用せず、よってデユラム小麦粉100%を用いて下記のスパゲッティを試作した。この時の環境室温は23.5°C、環境湿度は62.2%で、温度22.5°Cの小麦粉に21.6°Cの水を875g(35重量%)加えるとともに塩を37.5g(1.5重量%)加えて撹拌した。撹拌は常圧で5分行った後にミキサー内を減圧(−80kPa以上で機械的に可能な範囲で絶対真空に近づけた状態にした)して15分行い生地を得た。
この生地を5組の対をなすロール間に順次通過させて圧延することにより厚さ1.1mmの麺帯を形成し、その後、
図3、4に示す切り刃によって麺線を切り出した。切り刃は凸刃の間隔が1.50mmであり、
図4に示した断面六角形の麺線が切り出された。次いでこの麺線2を250mmの長さにカットして麺線の群を形成した。この麺線の群は重量65gとしてこれを1食分とした。
【0040】
この1食分の麺線の群をバスケットに収容した。麺線は直線状のものを手作業で不定形の曲線状に曲げたうえで収容した。バスケットは
図6に示したものと実質的に同一のものであって、ステンレス製の容器本体と開閉可能な蓋とを有し、本体の底と蓋に多数の穴が開設されて網と同様に熱風が上下方向に通過できるようになっている。バスケットの寸法は内部の直径が100mmの平面円形であり内部の高さが28mmあって容積は219.9ccである。この中に入れた麺線を手作業でほぐすことにより均等に分布させて麺線間の隙間をできるだけ均等にした。
この状態でバスケットに対して90°Cで秒速7mの熱風を16分間吹きつけた。最初はバスケットの下から上に向けて2分吹きつけ、次いでバスケットの向きを上下回転させて同様に下から上に向けて2分吹きつけた。
【0041】
こうして得た1食分の麺線(スパゲッティ)の群は直径100mm、厚み28mmの平たい円形の塊をなし、麺線の直径は1.50mm,含有水分10%、重量49gであった。従来は麺線(押し出し成形されたもの)が直線状をなしていてその所定の量が束をなすように包装されているが、この実施例の麺線の群は前記のように円形の塊をなしている点が従来のものと相違している。一方、麺線の色、つやなどは従来品と区別がつかない外観を呈していた。
この完成品のいくつかを熱湯に入れて茹で時間を測定したところ、茹で時間が3分のものが最適な茹で上がりであった。この茹で上がりを何の調味料を加えることなく試食し、またオリーブ油を添加してこれを麺線表面に付着させた状態で試食したところ、いずれも従来品と区別をつけることができない硬さ、歯ごたえ、弾力等の食感であった。
【0042】
(第2実施例)
この実施例は、凸刃の間隔が1.66mmの切り刃を利用し、乾燥後に直径1.66mmの麺線を製造した。他の条件、方法は前記第1の実施例と同一であり、この完成品についても茹で時間を測定したところ3分の茹で時間のものが最適な茹で上がりであった。これを試食しても第1実施例の完成品と同様に従来品と同一の食感であった。
以上の両実施例は麺線の太さに0.16mmの違いがあったが、この程度の違いであれば茹で時間に差異がなく且ついずれも3分という短時間であることが分かった。その理由は、麺線の成形に押し出し成形を用いずに麺帯の圧延、切り出し、切断による成形を採用し、且つ前記の熱風により乾燥して麺線に微細な多数の穴を形成したうえ、熱風の温度がを120°Cを超えることがなかった点にあるものと推定できる。
【0043】
一方、従来品の太さと茹で時間の関係を実験したところ次のような結果を得た。
商品A・種類スパゲッティ・太さ1.3mmについては、包装に記載された茹で時間が4分とあったが、熱湯に麺線を入れて4分経過時には芯が固めであった。茹で時間は6分にしないと最適な茹で上がりにはならなかった。
商品B・種類スパゲッティ・太さ1.4mmについては、包装に記載された茹で時間が5分とあったが、熱湯に麺線を入れて5分経過後には芯が固めであった。茹で時間は7分にしないと最適な茹で上がりにはならなかった。
この結果、前記両実施例による完成品は従来のスパゲッティよりも明らかに早茹でが可能になり、且つ食感は従来品と変わりがないということが判明した。