特許第6622019号(P6622019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622019
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】表示装置及びMRI装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20191209BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   G09F9/00 358
   G02B5/08 Z
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-146262(P2015-146262)
(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公開番号】特開2017-26866(P2017-26866A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年2月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆
(72)【発明者】
【氏名】堀田 あいら
(72)【発明者】
【氏名】鶴山 智也
(72)【発明者】
【氏名】堀内 一男
(72)【発明者】
【氏名】高井 紗矢加
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−212945(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0009838(US,A1)
【文献】 特開2014−074804(JP,A)
【文献】 特開2010−134282(JP,A)
【文献】 特表2008−511019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 − 9/46
G03B 21/00 − 21/64
G02B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象者を載置する診断ステージ上に配置される表示装置であって、
表示像を含む光を出射する表示部と、
前記光を前記診断ステージ側に反射する光学素子と、
を備え、
前記光学素子で反射した前記光の一部は、第1位置に集光され、
前記光学素子で反射した前記光の別の一部は、第2位置に集光され、
前記第1位置と前記光学素子との間の第1距離は、前記第2位置と前記光学素子との間の第2距離よりも長く、
前記光学素子は、光学素子面に沿って広がるとともに、前記光を反射する反射面を含み、
前記反射面は、第1傾斜面と、第2傾斜面と、第3傾斜面と、第4傾斜面と、を含み、
前記反射面の中心と前記第1傾斜面との間に前記第4傾斜面が位置し、
前記第1傾斜面と前記第4傾斜面との間に前記第2傾斜面の少なくとも一部が位置し、
前記第2傾斜面と前記第4傾斜面との間に前記第3傾斜面の少なくとも一部が位置し、
前記第1傾斜面と前記光学素子面との間の第1角度は、前記第2傾斜面と前記光学素子面との間の第2角度よりも小さく、
前記第2角度は、前記第3傾斜面と前記光学素子面との間の第3角度よりも大きく、
前記第3角度は、前記第4傾斜面と前記光学素子面との間の第4角度よりも小さい、表示装置。
【請求項2】
前記第1角度は、前記第3角度よりも大きく、
前記第2角度は、前記第4角度よりも大きい、請求項記載の表示装置。
【請求項3】
前記反射面は、複数の頂部と、複数の底部と、を含み、
前記複数の頂部及び複数の底部は、交互に並び、
前記第1傾斜面は、前記複数の頂部の1つと前記複数の底部の1つとの間に設けられており、
前記第2傾斜面は、前記複数の頂部の別の1つと前記複数の底部の別の1つとの間に設けられている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光学素子面に沿う方向において、前記第1傾斜面の少なくとも一部は、前記第2傾斜面の少なくとも一部と重なる、請求項記載の表示装置。
【請求項5】
前記反射面は、頂部と底部とを含み、
前記第2傾斜面及び前記第3傾斜面は、前記頂部と前記底部との間に設けられ、
前記第2傾斜面は、前記第3傾斜面と連続している、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光学素子面に沿う方向において、前記第1傾斜面の少なくとも一部は、前記第3傾斜面の少なくとも一部と重なり、
前記光学素子面に対して垂直な第1方向において、前記第1傾斜面は、前記第2傾斜面と重ならない、請求項記載の表示装置。
【請求項7】
前記光学素子は、基体と、前記基体の表面に設けられた反射膜と、を含み、
前記光は、前記基体を通過した後に前記反射膜で反射し、前記基体を通過した後に前記光学素子から出射する、請求項1〜6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
診断対象者を載置する診断ステージ上に配置される表示装置であって、
表示像を含む光を出射する表示部と、
前記光を前記診断ステージ側に反射する光学素子と、
を備え、
前記光学素子で反射した前記光の一部は、第1位置に集光され、
前記光学素子で反射した前記光の別の一部は、第2位置に集光され、
前記第1位置と前記光学素子との間の第1距離は、前記第2位置と前記光学素子との間の第2距離よりも長く、
前記光学素子は、第1面と前記第1面とは反対の第2面とを含み、
前記光は、前記第1面から前記光学素子に入射し、
前記光の一部は、前記第1面で反射し、
前記光の別の一部は、前記光学素子の内部を通過して前記第2面で反射し、前記内部を通過した後に前記第1面から出射する、表示装置。
【請求項9】
前記第2面は、第1傾斜面及び第3傾斜面を含み、前記第2面の中心と前記第1傾斜面との間に前記第3傾斜面が位置し、
前記第1面は、第2傾斜面及び第4傾斜面を含み、前記第1面の中心と前記第2傾斜面との間に前記第4傾斜面が位置し、
前記第2面から前記第1面に向かう第1方向に対して垂直な平面と、前記第1傾斜面と、の間の第1角度は、前記平面と前記第2傾斜面との間の第2角度よりも小さく、
前記平面と前記第3傾斜面との間の第3角度は、前記平面と前記第4傾斜面との間の第4角度よりも小さい、請求項記載の表示装置。
【請求項10】
診断対象者を載置する診断ステージと、
表示像を含む光を出射する表示部と、
前記光を前記診断ステージに向けて反射する光学素子と、
を備え、
前記光学素子で反射した前記光の一部は、第1位置に集光され、
前記光学素子で反射した前記光の別の一部は、第2位置に集光され、
前記第1位置と前記光学素子との間の第1距離は、前記第2位置と前記光学素子との間の第2距離よりも長く、
前記光学素子は、光学素子面に沿って広がるとともに、前記光を反射する反射面を含み、
前記反射面は、第1傾斜面と、第2傾斜面と、第3傾斜面と、第4傾斜面と、を含み、
前記反射面の中心と前記第1傾斜面との間に前記第4傾斜面が位置し、
前記第1傾斜面と前記第4傾斜面との間に前記第2傾斜面の少なくとも一部が位置し、
前記第2傾斜面と前記第4傾斜面との間に前記第3傾斜面の少なくとも一部が位置し、
前記第1傾斜面と前記光学素子面との間の第1角度は、前記第2傾斜面と前記光学素子面との間の第2角度よりも小さく、
前記第2角度は、前記第3傾斜面と前記光学素子面との間の第3角度よりも大きく、
前記第3角度は、前記第4傾斜面と前記光学素子面との間の第4角度よりも小さい、MRI装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及びMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、MRI診断装置などにおいて、ガントリ内の診断対象者(例えば患者)の診断が行われる。このような用途においても診断対象者に見易い表示を提供することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013−546024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、見易い表示装置及びMRI装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、表示装置は、診断対象者を載置する診断ステージ上に配置される表示装置であって、表示像を含む光を出射する表示部と、前記光を前記診断ステージ側に反射する光学素子と、を含む。前記光学素子で反射した前記光の一部は、第1位置に集光される。前記光学素子で反射した前記光の別の一部は、第2位置に集光される。前記第1位置と前記光学素子との間の第1距離は、前記第2位置と前記光学素子との間の第2距離よりも長い。前記光学素子は、光学素子面に沿って広がるとともに、前記光を反射する反射面を含む。前記反射面は、第1傾斜面と、第2傾斜面と、第3傾斜面と、第4傾斜面と、を含み、前記反射面の中心と前記第1傾斜面との間に前記第4傾斜面が位置し、前記第1傾斜面と前記第4傾斜面との間に前記第2傾斜面の少なくとも一部が位置し、前記第2傾斜面と前記第4傾斜面との間に前記第3傾斜面の少なくとも一部が位置する。前記第1傾斜面と前記光学素子面との間の第1角度は、前記第2傾斜面と前記光学素子面との間の第2角度よりも小さく、前記第2角度は、前記第3傾斜面と前記光学素子面との間の第3角度よりも大きく、前記第3角度は、前記第4傾斜面と前記光学素子面との間の第4角度よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】いくつかの実施形態に係る表示装置を例示する断面図である。
図2】第1の実施形態に係る表示装置の一部を例示する斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る表示装置の一部を例示する断面図である。
図4】第1の実施形態に係る表示装置の一部を例示する断面図である。
図5】第1の実施形態に係る表示装置の一部を例示する断面図である。
図6】第2の実施形態に係る表示装置の一部を例示する断面図である。
図7】第2の実施形態に係る表示装置の一部を例示する断面図である。
図8】第3の実施形態に係る表示装置の一部を例示する断面図である。
図9】第4の実施形態に係る表示装置の一部を例示する断面図である。
図10】第4の実施形態に係る表示装置の一部を例示する断面図である。
図11】第5の実施形態に係る表示装置の一部を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る表示装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る表示装置110は、表示部10と、光学素子20と、を含む。
【0009】
表示部10は、表示像を含む光L0を出射する。この例では、表示部10は、投影部11と、スクリーン12と、を含む。投影部11に、画像データ出力部60から画像信号60sが提供される。投影部11は、画像信号60sに基づく変調光を出射する。この変調光がスクリーン12に投影される。スクリーン12から光L0が出射される。光L0は、画像信号60sに基づく表示像を含む。スクリーン12で形成される表示像は、実像である。
【0010】
光L0が、光学素子20に入射する。光学素子20は、光L0を反射する。反射した光L0は、観視者181の頭部182に向けて進行する。反射した光L0は、観視者181の目180に入射する。
【0011】
この例では、観視者181は、診断ステージ185の上に居る。診断ステージ185の周りにMRIドラム186が配置されている。MRIドラム186は、ガントリ187に含まれる。
【0012】
この例では、光学素子20は、診断ステージ185の上に配置されている。これにより光学素子20で反射した光L0が、診断ステージ185の上に居る観視者181の目180に入射可能である。表示装置110は、診断ステージ185の上に居る観視者181に表示像を提供できる。
【0013】
例えば、光学素子20は、非磁性であり、そして絶縁性である。これにより、光学素子20が、ガントリ187の磁界に影響を与えることが抑制できる。一方、電子部品などの導電体を含む投影部11は、ガントリ187から離れて配置される。これにより、磁界に与える影響が抑制できる。スクリーン12が非磁性で絶縁性で有る場合には、スクリーン12は、ガントリ187の近くに設置されても良い。
【0014】
このように、表示装置110は、診断装置210に応用できる。診断装置210は、表示装置110と、診断ステージ185と、を含む。
【0015】
光学素子20で反射した光L0は、複数の虚像を形成可能である。例えば、光学素子20は、第1虚像位置Im1と、第2虚像位置Im2と、のそれぞれに、虚像を形成できる。
【0016】
例えば、観視者181の視力は一定ではない。例えば、近視の観視者、または、遠視(通常視)の観視者が存在する。例えば、近視の観視者は、視力矯正の眼鏡をかけて遠くの物体を見る。眼鏡は、一般に金属部品などを含んでおり、金属部品は、磁気信号に影響を与える。このため、診断対象者が眼鏡をかけた状態で、診断を行うことは実用的ではない。一方、例えば、診断対象者は、診断の様子を知りたいと希望する。さらに、例えば、診断対象者に風景画像などを提供して、診断対象者の心理状態を安定化することで、正確な診断結果が得られる場合がある。
【0017】
実施形態に係る表示装置110においては、光学素子20で反射した光L0により、複数の虚像が形成可能である。すなわち、光学素子20は、第1虚像位置Im1と、第2虚像位置Im2と、のそれぞれに、虚像を形成できる。第1虚像位置Im1と光学素子20との間の距離は、第2虚像位置Im2と光学素子20との間の距離よりも長い。すなわち、第1虚像位置Im1と、観視者181の目180と、の間の距離は、第2虚像位置Im2と目180との間の距離よりも長い。
【0018】
例えば、観視者181が近視の場合は、近い第2虚像位置Im2の像を観視できる。この場合、観視者181は、観視者181から遠い第1虚像位置Im1の像を観視できない。観視者181が近視であるため、遠い第1虚像位置Im2の像は、ぼやけて知覚され難い。このため、近視の観視者181は、近い第2虚像位置Im2の像だけを観視できる。
【0019】
一方、観視者181が遠視で、近い像が見難い場合がある。この場合は、観視者181は、遠い第1虚像位置Im1の像を観視できる。そして、近い第2虚像位置Im2の像は実質的に観視できない。
【0020】
観視者181が正常視であり遠近の調節が可能な場合は、観視者181は、遠い第1虚像位置Im1の像、及び、近い第2虚像位置Im2の像のどちらか一方を観視可能にする。すなわち、見易い方の像が選ばれ、選ばれた像が観視者181により知覚される。
【0021】
このように、実施形態に係る表示装置110によれば、種々の視力の観視者181のそれぞれに、適切な画像を提供できる。これにより、見易い表示装置を提供する。
【0022】
例えば、第1の参考例においては、光学素子で形成される表示像(虚像)の位置が1つである。第1の参考例において、表示像の位置が観視者181から遠い場合は、近視の観視者181は、この遠い表示像を知覚することは困難である。一方、第1の参考例において、表示像の位置が観視者181に近い場合は、遠視の観視者181は、この近い表示像を知覚することは困難である。
【0023】
これに対して、実施形態においては、光学素子20は、複数の虚像位置に表示像を形成可能である。これにより、観視者181は、自分が見易いと感じた像を知覚できる。見易い表示装置が提供される。実施形態において、虚像の形成位置の数(虚像距離の種類の数)は、3以上でも良い。
【0024】
以下、本実施形態に係る光学素子20の例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る表示装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図2は、光学素子20を例示している。
図2に示すように、光学素子20は、例えば、板状である。光学素子20は、1つの面(光学素子面20f)に沿って広がっている。
【0025】
光学素子面20fに対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの軸をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。この例では、光学素子面20fは、X−Y平面に沿っている。
【0026】
光学素子20の厚さ(Z軸方向の長さ)は、光学素子20のX軸方向のサイズ(X軸方向の長さ)よりも薄い。光学素子20の厚さは、光学素子20のY軸方向のサイズ(Y軸方向の長さ)よりも薄い。
【0027】
光学素子20は、第1面20aと、第2面20bと、を含む。第2面20bは、第1面20aの反対側である。例えば、第2面20bは、実質的にX−Y平面に対して平行である。例えば、第1面20aは、巨視的には、実質的にX−Y平面に対して平行である。
【0028】
第1面20aには、複数の凸部20pが設けられている。複数の凸部20pは、中心20aCを中心とする同心状である。この例では、第1面20aに光L0が入射する。光L0が、第1面20aで反射される。光学素子20は、例えば、フレネル反射ミラーである。複数の凸部20pの間のそれぞれは、凹部となる。従って、複数の凹部が同心状に設けられていると見なしても良い。
【0029】
図3は、第1の実施形態に係る表示装置の一部を例示する模式的断面図である。
図3は、光学素子20の一部を示している。
図3に示すように、光学素子20は、複数の凸部20pのそれぞれは、傾斜面を有する。例えば、光学素子20は、基体20mと、反射膜20rと、を含む。反射膜20rは、基体20mの表面に設けられている。例えば、基体20mの表面に、複数の凸状の斜面が設けられている。この斜面の上に、反射膜20rが設けられている。
【0030】
この例では、反射膜20rは、複数の第1膜20raと、複数の第2膜20rbと、を含む。複数の第1膜20ra及び複数の第2膜20rbは、交互に並ぶ。複数の第1膜20raの1つと基体20mとの間に、複数の第2膜20rbの1つが設けられる。複数の第2膜20rbの1つと基体20mとの間に、複数の第1膜20raの1つが設けられる。複数の第1膜20raの屈折率は、複数の第2膜20rbの屈折率とは異なる。第1膜20raには例えば第1誘電体が用いられ、第2膜20rbには、第2誘電体が用いられる。第1誘電体の屈折率は、第2誘電体の屈折率とは異なる。すなわち、この例では、反射膜20rとして、誘電体多層膜構成が用いられている。第1誘電体及び第2誘電体の少なくともいずれかは、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム及びフッ化マグネシウムの少なくともいずれかを含む。第1誘電体及び第2誘電体の少なくともいずれかは、例えば、酸化物及びフッ化物の少なくともいずれかを含む。
【0031】
基体20mには、例えば、非磁性の材料が用いられる。基体20mは、例えば、樹脂を含む。基体20mは、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、または、塩化ビニル系樹脂を含んでも良い。基体20mは、フッ化物またはハロゲン化物を含む樹脂を含んでも良い。光学素子20は、例えば、非磁性である。これにより、診断装置などと組み合わせた際に、磁界信号に与える影響が抑制できる。
【0032】
反射膜20rに入射した光L0が、反射膜20rで反射される。凸部20pの傾斜面の角度は一定ではない。これにより、傾斜面上の反射膜20rで反射された光L0が、複数の位置において結像される。実施形態において、基体20mが反射性でも良い。基体20mの屈折率と、基体20mの外部の屈折率と、の差により、基体20mの表面において光L0が反射しても良い。この場合は、反射膜20rが省略される。
【0033】
図4は、第1の実施形態に係る表示装置の一部を例示する模式的断面図である。
光学素子20は、複数の焦点距離を有する。例えば、光学素子20は、第1焦点距離F1と、第2焦点距離F2と、を有する。第2焦点距離F2は、第1焦点距離F1よりも短い。光学素子20に入射した光L0が、これらの焦点距離の位置に集光可能である。
【0034】
すなわち、光学素子20で反射した光L0の一部は、第1位置P1に集光される。光学素子20で反射した光L0の別の一部は、第2位置P2に集光される。第1位置P1と光学素子20との間の第1距離(すなわち、例えば、第1焦点距離F1)は、第2位置P2と光学素子20との間の第2距離(すなわち、例えば、第2焦点距離F2)よりも長い。
【0035】
このような動作は、光学素子20に設けられる複数の凸部20p(すなわち、複数の反射部)により、得られる。すなわち、光学素子20は、複数のフレネル反射ミラーを含んでおり、複数のフレネル反射ミラーのそれぞれの焦点距離は、互いに異なる。
【0036】
図4に示すように、光学素子20は、複数の第1反射部21と、複数の第2反射部22と、を含む。複数の第1反射部21及び複数の第2反射部22は、交互に並ぶ。複数の第1反射部21は、第1位置P1に光L0を集光する。複数の第2反射部22は、第2位置P2に光L0を集光する。
【0037】
すなわち、複数の第1反射部21は、第1焦点距離F1を有する第1のフレネル反射ミラーとなる。複数の第2反射部22は、第2焦点距離F2を有する第2のフレネル反射ミラーとなる。これらの複数のフレネル反射ミラーを用いることで、複数の位置に表示像(表示像の虚像)を形成することができる。
【0038】
すなわち、光学素子20は、光学素子面20f(X−Y平面)に沿って広がっている。光学素子20は、光L0を反射する反射面(この例では第1面20a)を含む。この反射面は、例えば、反射膜20rでも良い。
【0039】
反射面(第1面20a)は、第1傾斜面21aと、第2傾斜面22aと、第3傾斜面21bと、第4傾斜面22bと、を含む。反射面(第1面20a)の中心20aCと第1傾斜面21aとの間に第4傾斜面22bが位置する、第1傾斜面21aと第4傾斜面22bとの間に第2傾斜面22aの少なくとも一部が位置する。第2傾斜面22aと第4傾斜面22bとの間に第3傾斜面21bの少なくとも一部が位置する。
【0040】
これらの傾斜面は、X−Y平面内で交互に並んでいる。すなわち、反射面(この例では第1面20a)は、複数の頂部25aと、複数の底部25bと、を含む。複数の頂部25a及び複数の底部25bにより、複数の凸部20pが形成される。複数の頂部25a及び複数の底部25bは、交互に並んでいる。第1傾斜面21a、第2傾斜面22a、第3傾斜面21b及び第4傾斜面22bのそれぞれは、複数の凸部20pのそれぞれに対応している。第1傾斜面21aは、複数の頂部25aの1つと複数の底部25bの1つとの間に設けられている。第2傾斜面22aは、複数の頂部25aの別の1つと複数の底部25bの別の1つとの間に設けられている。
【0041】
例えば、X軸方向(光学素子面20fに沿う方向)において、第1傾斜面21aの少なくとも一部は、第2傾斜面22aの少なくとも一部と重なる。X軸方向において、第2傾斜面22aの少なくとも一部は、第3傾斜面21bの少なくとも一部と重なる。X軸方向において、第3傾斜面21bの少なくとも一部は、第4傾斜面22bの少なくとも一部と重なる。X軸方向において、第4傾斜面22bの少なくとも一部は、第1傾斜面21aの少なくとも一部と重なっている。
【0042】
図4に示すように、第1傾斜面21aで反射した光21aL及び第3傾斜面21bで反射した光21bLは、第1位置P1を通過する。第2傾斜面22aで反射した光22aL及び第4傾斜面22bで反射した光22bLは、第2位置P2を通過する。
【0043】
すなわち、第1傾斜面21a及び第3傾斜面21bを含む第1反射部21で反射した光21Lは、第1位置P1を通過する。第2傾斜面22a及び第4傾斜面22bを含む第2反射部22で反射した光22Lは、第2位置P2を通過する。
【0044】
これにより、複数の位置(第1位置P1及び第2位置P2)に表示像(表示像の虚像)が結像される。
【0045】
図5は、第1の実施形態に係る表示装置の一部を例示する模式的断面図である。
図5は、光学素子20の一部を拡大して示している。
図5に示すように、第1傾斜面21aと光学素子面20f(X−Y平面)との間の第1角度θ1は、第2傾斜面22aと光学素子面20fとの間の第2角度θ2よりも小さい。第2角度θ2は、第3傾斜面21bと光学素子面20fとの間の第3角度θ3よりも大きい。第3角度θ3は、第4傾斜面22bと光学素子面20fとの間の第4角度θ4よりも小さい。このような角度の差異により、複数の位置の焦点距離が得られる。
【0046】
第1角度θ1は、光学素子面20f(平均的な面)に対して垂直な平面と、第1傾斜面21aと、の間の角度である。第2角度θ2は、光学素子面20f(平均的な面)に対して垂直な平面と、第2傾斜面22aと、の間の角度である。第3角度θ3は、光学素子面20f(平均的な面)に対して垂直な平面と、第3傾斜面21bと、の間の角度である。第4角度θ4は、光学素子面20f(平均的な面)に対して垂直な平面と、第4傾斜面22bと、の間の角度である。
【0047】
第1角度θ1は、第3角度θ3よりも大きい。すなわち、複数の第1反射部21において、中心20aCからの距離が長いと、傾斜面の角度は、大きくされる。一方、第2角度θ2は、第4角度θ4よりも大きい。すなわち、複数の第2反射部22において、中心20aCからの距離が長いと、傾斜面の角度は、大きくされる。所望のフレネル反射ミラーの特性が得られる。
【0048】
本実施形態において、第1角度θ1及び第3角度θ3の少なくともいずれかは、1度以下(例えば実質的に0度)でも良い。この場合は、第1焦点距離F1は、「無限遠」となる。例えば、第1焦点距離F1は、10メートル以上である。
【0049】
本実施形態において、第1焦点距離F1と第2焦点距離F2との差は、例えば、0.5メートル以上である。差を大きく設定することで、複数の像が同時に見えることが抑制され、見易い表示が提供できる。
【0050】
例えば、第1焦点距離F1は、1メートル以上である。第1焦点距離F1は、例えば、5メートル以上でも良い。通常視及び遠視の観視者181において、見易い。
【0051】
第2焦点距離F2は、例えば、0.5メートル以下である。第2焦点距離F2は、例えば、0.2メートル以下でも良い。近視の観視者181において見易くなる。近視の観視者181において、見易い。
【0052】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る表示装置も、第1の実施形態と同様に、表示部10及び光学素子20を含む。第2の実施形態においては、光学素子20が、第1の実施形態の光学素子20とは異なる。以下、第2の実施形態における光学素子20について説明する。以下では、第1の実施形態と同様の部分についての説明は省略する。
【0053】
図6は、第2の実施形態に係る表示装置の一部を例示する模式的断面図である。
図6は、本実施形態に係る表示装置120における光学素子20を例示している。
【0054】
この場合も、光学素子20は、光学素子面20fに沿って広がっている。光学素子20は、光L0を反射する反射面(この場合は第1面20a)を含む。この場合も、反射面は、第1傾斜面21aと、第2傾斜面22aと、第3傾斜面21bと、第4傾斜面22bと、を含む。
【0055】
反射面(この例では第1面20a)は、頂部25aと底部25bとを含む。第2傾斜面22a及び第3傾斜面21bは、1つの頂部25aと、1つの底部25bと、の間に設けられる。この1つの底部25bは、複数の底部25bのうちでこの1つの頂部25aに最も近い。この1つの頂部25aと、この1つの底部25bと、の間には、他の頂部25aまたは他の底部25bは設けられていない。そして、第2傾斜面22aは、第3傾斜面21bと連続している。すなわち、1つの凸部20pに、第2傾斜面22a及び第3傾斜面21bが設けられている。
【0056】
例えば、X軸方向(光学素子面20fに沿う方向)において、第1傾斜面21aの少なくとも一部は、第3傾斜面21bの少なくとも一部と重なる。Z軸方向(光学素子面20fに対して垂直な方向)において、第1傾斜面21aは、第2傾斜面22aと重ならない。X軸方向において、第2傾斜面22aの少なくとも一部は、第4傾斜面22bの少なくとも一部と重なる。Z軸方向において、第2傾斜面22aは、第3傾斜面21bと重ならない。
【0057】
このような光学素子20においても、複数の位置(第1位置P1及び第2位置P2)に表示像が結像される。
【0058】
図7は、第2の実施形態に係る表示装置の一部を例示する模式的断面図である。
図7は、表示装置120における光学素子20の一部を拡大して示している。
図7に示すように、第1傾斜面21aと光学素子面20fとの間の第1角度θ1は、第2傾斜面22aと光学素子面20fとの間の第2角度θ2よりも小さい。第2角度θ2は、第3傾斜面21bと光学素子面20fとの間の第3角度θ3よりも大きい。第3角度θ3は、第4傾斜面22bと光学素子面20fとの間の第4角度θ4よりも小さい。第1角度θ1は、第3角度θ3よりも大きい。第2角度θ2は、第4角度θ4よりも大きい。このような角度の差異により、複数の位置の焦点距離が得られる。
【0059】
本実施形態においても、第1角度θ1及び第3角度θ3の少なくともいずれかは、1度以下(例えば実質的に0度)でも良い。
【0060】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る表示装置も、第1の実施形態と同様に、表示部10及び光学素子20を含む。第3の実施形態においては、光学素子20が、第1の実施形態の光学素子20とは異なる。以下、第3の実施形態における光学素子20について説明する。以下では、第1の実施形態と同様の部分についての説明は省略する。
【0061】
図8は、第3の実施形態に係る表示装置の一部を例示する模式的断面図である。
図8は、本実施形態に係る表示装置130における光学素子20を例示している。
【0062】
この場合も、光学素子20は、光学素子面20fに沿って広がっている。光学素子20は、光L0を反射する反射面(この例では第1面20a)を含む。本実施形態においては、光L0は、第2面20bから光学素子20に入射し、光学素子20の内部を通って第1面20aに到達する。光L0は、第2面20bで反射し、光学素子20から出射する。
【0063】
この例においても、反射面(第1面20a)は、第1傾斜面21aと、第2傾斜面22aと、第3傾斜面21bと、第4傾斜面22bと、を含む。これらの傾斜面で反射した光は、複数の位置において、結像される。
【0064】
表示装置130においては、光L0が光学素子20の一部を通過する。表示装置130における光学素子20は、図3に関して説明したように、例えば、基体20mと、基体20mの表面に設けられた反射膜20rと、を含む。光L0は、基体20mを通過した後に反射膜20rで反射し、基体20mを通過した後に、光学素子20から出射する。例えば、反射膜20rにより、第1傾斜面21a、第2傾斜面22a、第3傾斜面21b及び第4傾斜面22bが形成される。
【0065】
このように、光L0は、フレネル反射ミラーが設けられた面(第1面20a)では、なく、裏面(第2面20b)から、光学素子20に入射しても良い。
【0066】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る表示装置も、第1の実施形態と同様に、表示部10及び光学素子20を含む。第4の実施形態においては、光学素子20が、第1の実施形態の光学素子20とは異なる。以下、第4の実施形態における光学素子20について説明する。以下では、第1の実施形態と同様の部分についての説明は省略する。
【0067】
図9は、第4の実施形態に係る表示装置の一部を例示する模式的断面図である。
図9は、本実施形態に係る表示装置140における光学素子20を例示している。光学素子20は、第1面20aと、第1面20aとは反対の第2面20bと、を含む。光L0は、第1面20aから光学素子20に入射する。光L0の一部は、第1面20aで反射する。光L0の別の一部は、光学素子20の内部(例えば基体20mの内部)を通過して第2面20bで反射し、光学素子20の内部を通過した後に、第1面20aから出射する。
【0068】
この例では、第2面20bは、第1傾斜面21a及び第3傾斜面21bを含む。第2面20bの中心20bCと、第1傾斜面21aと、の間に、第3傾斜面21bが位置する。第2面20bにおいて、第1傾斜面21a及び第3傾斜面21bなどにより、1つのフレネル反射ミラーが設けられる。
【0069】
一方、第1面20aは、第2傾斜面22a及び第4傾斜面22bを含む。第1面20aの中心20aCと、第2傾斜面22aと、の間に、第4傾斜面22bが位置する。第2傾斜面22a及び第4傾斜面22bなどにより、別の1つのフレネル反射ミラーが設けられる。
【0070】
このように、第1面20aには、第1のフレネル反射ミラーが設けられ、第2面20bには、第2のフレネル反射ミラーが設けられる。第1のフレネル反射ミラーの焦点距離(第1焦点距離F1)は、第2のフレネル反射ミラーの焦点距離(第2焦点距離F2)よりも長い。これにより、複数の位置に表示像(虚像)が形成される。
【0071】
本実施形態において、Z軸方向(第1方向)において、第1傾斜面21aの一部は、第2傾斜面22aと重なる。第1傾斜面21aは、第4傾斜面22bとは重ならない。Z軸方向(第1方向)において、第3傾斜面21bの一部は、第2傾斜面22aと重なる。第3傾斜面21bの別の一部は、第4傾斜面22bと重なる。
【0072】
表示装置140においては、例えば、第1面20a及び第2面20bのそれぞれに、反射膜20r(図3参照)が設けられる。すなわち、例えば、1つの反射膜20rと、別の1つの反射膜20rと、の間に、基体20mが設けられる。
【0073】
図10は、第4の実施形態に係る表示装置の一部を例示する模式的断面図である。
図10は、表示装置140における光学素子20の一部を拡大して示している。
X−Y平面(第2面20bから第1面20aに向かう第1方向に対して垂直な平面)と、第1傾斜面21aと、の間の第1角度θ1は、X−Y平面と第2傾斜面22aとの間の第2角度θ2よりも小さい。X−Y平面と第3傾斜面21bとの間の第3角度θ3は、X−Y平面と第4傾斜面22bとの間の第4角度θ4よりも小さい。このような角度の差異により、複数の位置の焦点距離が得られる。
【0074】
本実施形態においても、第1角度θ1及び第3角度θ3の少なくともいずれかは、1度以下(例えば実質的に0度)でも良い。
【0075】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る表示装置も、第4の実施形態と同様に、表示部10及び光学素子20を含む。第4の実施形態における光学素子20について説明する。以下では、第4の実施形態と同様の部分についての説明は省略する。
【0076】
図11は、第5の実施形態に係る表示装置の一部を例示する模式的断面図である。
図11に示すように、表示装置150においては、光学層28がさらに設けられる。光学層28は、例えば、光学素子20の第1面20aに接する。
【0077】
例えば、図3に関して説明したように、光学素子20は、基体20mと、反射膜20rと、を含む。反射膜20rは、基体20mと光学層28との間に設けられる。
【0078】
光学層28の屈折率は、光学素子20の屈折率と実質的に同じである。光学層28の屈折率は、基体20mの屈折率と実質的に同じである。例えば、光学層28の屈折率と基体20mの屈折率との差は、基体20mの屈折率の1/100倍以下である。光学層28の屈折率と基体20mの屈折率との差は、基体20mの屈折率の1/1000以下でも良い。光学層28の屈折率と基体20mの屈折率との差は、基体20mの屈折率の1/10000であることが好ましい。
【0079】
このような光学層28を用いることで、第2面20bで反射した光が光学素子20から出射する際に、光が望まない方向に進行することが抑制できる。
【0080】
第2〜第5の実施形態において、第1焦点距離F1と第2焦点距離F2との差は、例えば、0.5メートル以上である。例えば、第1焦点距離F1は、例えば、1メートル以上である。第1焦点距離F1は、例えば、5メートル以上でも良い。第2焦点距離F2は、例えば、0.5メートル以下である。第2焦点距離F2は、例えば、0.2メートル以下でも良い。
【0081】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、光学素子に係る。この光学素子は、例えば、第1〜第5の実施形態に関して説明した構成を有する。
【0082】
すなわち、本実施形態に係る光学素子20は、光学素子20に入射する光L0を反射して、光L0の一部を第1焦点距離F1の第1位置P1に結像し、光L0の他の一部を第1焦点距離F1よりも短い第2焦点距離F2の第2位置P2に結像させる(例えば図4)。
【0083】
例えば、光学素子20は、光学素子面20fに沿って広がっている。光学素子20は、光L0を反射する反射面(例えば第1面20a)を含む。反射面は、例えば、第1傾斜面21aと、第2傾斜面22aと、第3傾斜面21bと、第4傾斜面22bと、を含む。反射面の中心20aCと第1傾斜面21aとの間に第4傾斜面22bが位置する。第1傾斜面21aと第4傾斜面22bとの間に第2傾斜面22aの少なくとも一部が位置する。第2傾斜面22aと第4傾斜面22bとの間に第3傾斜面21bの少なくとも一部が位置する。第1傾斜面21aと光学素子面20fとの間の第1角度θ1は、第2傾斜面22aと光学素子面20fとの間の第2角度θ2よりも小さい(例えば図5参照)。第2角度θ2は、第3傾斜面21bと光学素子面20fとの間の第3角度θ2よりも大きい。第3角度θ3は、第4傾斜面22bと光学素子面20fとの間の第4角度θ4よりも小さい。例えば、第1角度θ1は、第3角度θ3よりも大きい。例えば、第2角度θ2は、第4角度θ4よりも大きい。
【0084】
このような光学素子20を用いることで、複数の位置に表示像(例えば虚像)を形成することができる。見易い表示装置が提供できる。
【0085】
上記の実施形態は、例えば、MRI装置などに応用できる。例えば、MRI装置のガントリのように閉鎖された環境において、表示を提供できる。例えば、MRI装置においては、所望の位置に所望の磁場を印加するために、チューブ状のガントリ内に診断対象者が配置される。このような環境において、診断対象者には心理的なストレスが加わる。例えば、閉所恐怖を持つ診断対象者がガントリ内の環境に耐えることは困難である。
【0086】
例えば、第2参考例として、このような用途において、ヘッドマウントディスプレイを用いることが提案されている。しかしながら、ヘッドマウントディスプレイの装着により、診断対象者の状態が変化し、正確な結果を得ることが困難になる。さらに、ヘッドマウントディスプレイのための大きな空間が必要であり、さらに、人工的な映像を生成するための処理が高度となる。
【0087】
一方、診断対象者にミラーを介して表示を行う参考例(上記の第1参考例)がある。この参考例においては、ミラーにより形成される表示像(虚像)の位置は固定されるため、診断対象者の視力によっては、表示像が見えない。視力矯正のための眼鏡をかけると、磁場との作用により、診断結果に影響を与え、正確な診断が困難になる。
【0088】
実施形態においては、視力矯正用の眼鏡などの磁場に影響を与えないで、見易い表示を提供できる。
【0089】
実施形態においては、例えば、生成された実像を、反射装置(光学素子20)により、虚像化して、観視者181に与える。MRIガントリ内は、強磁場環境である。実施形態においては、MRIガントリの近傍から、電磁場に影響を与える部材を離す。実施形態においては、ガントリから遠い位置から映像を投影する。投影された映像は、強磁場のガントリ内の実像面(例えばスクリーン12)に、形成される。実像面に形成された映像(表示像)が、光学素子20に入射する。光学素子20で反射して得られる虚像が、診断ステージ185の上にいる被診断者(観視者181)に提供される。
【0090】
一般に、日本人の60%が近視的傾向を持つ。眼鏡装着者の70%以上において、−2dptよりも強い透過球面度数の矯正が行われている。例えば、正常視の状態に対応する虚像の距離は、例えば、日本人の50%以上に対しては、長すぎる。
【0091】
実施形態においては、例えば、複数の屈折力を持つ光学素子20が用いられる。これにより、複数の虚像面が生成できる。例えば、正常視用の虚像面に加えて、近視用の虚像面が生成される。近視用の虚像面の視距離は、正常視用の視距離よりも短い。例えば、−2dptよりも強い透過球面度数に対応する視距離は、0.5メートル以下である。
【0092】
実施形態において、光学素子20は、例えば、フレネル構造を有する、実施形態において、光学素子20は、滑らかな球面レンズの構造、または、非球面レンズの構造を有しても良い。
【0093】
実施形態において、例えば、光学素子20(反射素子)の表面及び裏面のそれぞれの屈折構造を、楕円の非球面としても良い。例えば、1つの焦点の位置を、実像面の位置と対応させる。そして、反射面よりも観視者181に近い位置に虚像面を結像させても良い。さらに短い虚像距離を観視者181に与えることが可能である。
【0094】
実施形態に寄れば、例えば、ガントリ内で、視度補正を必要とせず、見易い表示像を提供することができる。
【0095】
実施形態によれば、見易い表示装置を提供できる。
【0096】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、表示装置に含まれる表示部及び光学素子などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0097】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0098】
その他、本発明の実施の形態として上述し表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0099】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
10…表示部、 11…投影部、 12…スクリーン、 20…光学素子、 20a…第1面、 20aC…中心、 20b…第2面、 20bC…中心、 20f…光学素子面、 20m…基体、 20p…凸部、 20r…反射膜、 20ra…第1膜、 20rb…第2膜、 21…第1反射部、 21L…光、 21a…第1傾斜面、 21aL…光、 21b…第3傾斜面、 21bL…光、 22…第2反射部、 22L…光、 22a…第2傾斜面、 22aL…光、 22b…第4傾斜面、 22bL…光、 25a…頂部、 25b…底部、 28…光学層、 60…画像データ出力部、 60s…画像信号、 θ1〜θ4…第1〜第4角度、 110、120、130、140、150…表示装置、 180…目、 181…観視者、 182…頭部、 185…診断ステージ、 186…MRIドラム、 187…ガントリ、 210…診断装置、 F1、F2…第1、第2焦点距離、 Im1、Im2…第1、第2虚像位置、 L0…光、 P1、P2…第1、第2位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11