特許第6622105号(P6622105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6622105-平面研磨装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622105
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】平面研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/34 20120101AFI20191209BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20191209BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   B24B37/34
   H01L21/304 621A
   B24B49/12
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-23536(P2016-23536)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-140671(P2017-140671A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107745
【氏名又は名称】スピードファム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】小田桐 茂
(72)【発明者】
【氏名】井上 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小池 喜雄
(72)【発明者】
【氏名】吉原 秀明
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−202514(JP,A)
【文献】 特開2009−184089(JP,A)
【文献】 特開2004−342602(JP,A)
【文献】 実開平01−168090(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0151400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B1/00−51/00
H01L21/304
B23Q1/00−1/76
B23Q9/00−9/02
F16L37/00−39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と;
ワークを研磨するため機体に回転自在に支持された定盤と;
ワークの研磨時にワーク又は定盤に関するデータを測定するため定盤と一体に回転するように設けられたセンサ手段と;
機体に設けられ、ケーブルによってセンサ手段に接続された測定ユニットと;
機体側の静止部と定盤側の回転部との間に介在し、静止部側に連結された静止側ジョイント部、及び、回転部側に連結された回転側ジョイント部を有するロータリジョイントと;を有し、
前記ケーブルは、ロータリジョイントの静止側ジョイント部と測定ユニットとを接続する一次側ケーブル、及び、ロータリジョイントの回転側ジョイント部とセンサ手段とを接続する二次側ケーブルと;を有し、
前記ロータリジョイントの外側には、相互間に空間部を保った状態で前記定盤に対して同軸に固定された第1ケーブルカバー及び第2ケーブルカバーが設けられ
前記空間部内に、前記二次側ケーブルが収容されている、
ことを特徴とする平面研磨装置。
【請求項2】
第1ケーブルカバーと第2ケーブルカバーとは、有底筒状をなしていて、小径の第1ケーブルカバーの外側に大径の第2ケーブルカバーが、相互間に空間部を保った状態で同心状に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の平面研磨装置。
【請求項3】
第1ケーブルカバーと第2ケーブルカバーとは、透視性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の平面研磨装置。
【請求項4】
平面研磨装置は両面研磨装置であって、定盤は上定盤及び下定盤であり、
上定盤は、機体に昇降自在且つ回転自在に支持され、
センサ手段は、上定盤と一体に回転するように配設されてワーク研磨時のデータを測定するように構成され、
ケーブルは、光ファイバーケーブル及び電気ケーブルのうち少なくとも一方を含む、
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の平面研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの研磨に用いられる平面研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばシリコンウエハ等のワークの表面を研磨する研磨装置には、ワーク厚み測定センサや定盤温度測定センサ等の様々なセンサが搭載されている。これらのセンサは回転する定盤に設置され、研磨加工中に定盤と共に回転しながらワーク厚みや定盤温度等を測定する。ワーク厚み測定センサには、通常、レーザー光をワークに照射して反射光からその厚みを測定する光学式のセンサが用いられる。
【0003】
研磨加工中の研磨装置では、測定ユニットからセンサへのレーザー光及び電力の供給は、光ファイバーケーブルや電気ケーブルを介して行われる。また、研磨加工中にセンサで測定されたデータは、常時センサから測定ユニットへ光ファイバーケーブルや電気ケーブル等を通じて伝達される。このとき、センサは定盤等の回転部に設置され、測定ユニットは機体等の回転しない静止部に設置されるため、回転部と静止部との間でレーザー光や電力あるいは電気信号等の伝達を行うための伝達部材として、ロータリジョイントが用いられ、その静止側ジョイント部と測定ユニット、及び回転側ジョイント部とセンサとが、それぞれ、光ファイバーケーブル又は電気ケーブルで接続される。
【0004】
しかしながら、ロータリジョイントを用いた場合、回転部が静止部に対して回転する際に、ロータリジョイントの回転部側に接続されたケーブルがロータリジョイントの静止部側に接触し、又は、静止部側に接続されたケーブルがロータリジョイントの回転部側に接触することがある。そして、この接触によるケーブルの擦れや引っかかりによって、ケーブルが損傷又は断線するおそれがある。
【0005】
特許文献1には、研磨装置の一例として、レーザー光を用いてワークの厚みを測定する研磨装置が開示されている。特許文献1の図5に開示されている研磨装置は、厚み測定装置を上定盤に取り付けたもので、光源から出力されたレーザー光をワークに照射し、ワークからの反射光を上定盤の回転軸内を通した光ファイバーケーブル、光ファイバーロータリージョイントを介して静止部に導出し、ワークの厚みを測定している。このため、この研磨装置は、前述した欠点を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−227393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、静止部側の測定ユニットと回転部側のセンサ手段とを、ロータリジョイントを介してケーブルで接続するようにした平面研磨装置において、静止部側のケーブルと回転部、若しくは回転部側のケーブルと静止部との接触を防止することで、静止部側若しくは回転部側のケーブルの損傷を防止し、安定した研磨加工を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は、機体と;ワークを研磨するため機体に回転自在に支持された定盤と;ワークの研磨時にワーク又は定盤に関するデータを測定するため定盤と一体に回転するように設けられたセンサ手段と;機体に設けられ、ケーブルによってセンサ手段に接続された測定ユニットと;機体側の静止部と定盤側の回転部との間に介在し、静止部側に連結された静止側ジョイント部、及び、回転部側に連結された回転側ジョイント部を有するロータリジョイントと;を有し、前記ケーブルは、ロータリジョイントの静止側ジョイント部と測定ユニットとを接続する一次側ケーブル、及び、ロータリジョイントの回転側ジョイント部とセンサ手段とを接続する二次側ケーブルと;を有し、
前記ロータリジョイントの外側には、相互間に空間部を保った状態で前記定盤に対して同軸に固定された第1ケーブルカバー及び第2ケーブルカバーが設けられ前記空間部内に、前記二次側ケーブルが収容されている、ことを特徴とする。
【0009】
この場合において、第1ケーブルカバーと第2ケーブルカバーとは、有底筒状をなしていて、小径の第1ケーブルカバーの外側に大径の第2ケーブルカバーが、相互間に空間部を保った状態で同心状に配設されていることが好ましい。
また、第1ケーブルカバーと第2ケーブルカバーとは、透視性を有することが好ましい。
そして、より具体的には、平面研磨装置は両面研磨装置であって、定盤は上定盤及び下定盤であり、上定盤は、機体に昇降自在且つ回転自在に支持され、センサ手段は、上定盤と一体に回転するように配設されてワーク研磨時のデータを測定するように構成され、ケーブルは、光ファイバーケーブル及び電気ケーブルのうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロータリジョイントの外側には、相互間に空間部を保った状態で前記定盤に対して同軸に固定された第1ケーブルカバー及び第2ケーブルカバーが設けられ、前記空間部内に、前記二次側ケーブルが収容されている。そのため、静止側ジョイント部又は回転側ジョイント部と二次側ケーブルとの接触を防止することができる。これにより、当該接触による二次側ケーブルの摩耗や破断等の損傷を防止できる。また、ケーブルを介して供給されるレーザー光や電力;及びケーブルを介して伝達される反射光や電気信号などの測定データが、部材と二次側ケーブルが接触することにより生じるノイズなどの影響を受けることがなく、安定したレーザー光または電力の供給、あるいは測定データの収集を行うことができる。つまり、安定した研磨加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る平面研磨装置の実施形態を概略的に示す断面図である。
図2図1のロータリジョイント周辺を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の平面研磨装置1は、機体2に回転自在に支持された下定盤10と、機体2に昇降自在及び回転自在に支持された上定盤20と、上定盤20と下定盤10との間に介設され、上定盤20と下定盤10とで研磨されるシリコンウエハ等のワークWを保持するキャリア40とを有している。上定盤20の下面及び下定盤10の上面には、研磨パッド18a,18bが取り付けられている。
【0013】
機体2には、光源3と演算制御装置4とを含む測定ユニット5が設置されている。光源3はレーザー光を出力するものであり、演算制御装置4は、ワークWの厚み等の測定データを収集し、収集されたデータの演算や分析等を行って研磨装置1全体の制御を行う他、電力供給のための電源を兼ねるものである。なお、光源3と演算制御装置4とを含む測定ユニット5は、機体2以外の上定盤20や下定盤10の回転と縁が切れた位置に設置されていてもよい。
上定盤20には、センサ手段として、ワークWの厚みを測定する光学式のプローブ21が設けられ、測定ユニット5とプローブ21とが、光ファイバーケーブル51及び電気ケーブル56により、ロータリジョイント60を介して相互に接続されている。
【0014】
下定盤10の中心にはサンギア11が配設され、下定盤10の外周にはインターナルギア12が下定盤10を取り囲むように配設されている。また、下定盤10上には、前記キャリア40が、サンギア11とインターナルギア12とに噛合して複数配設されている。サンギア11の中央下部には円筒状の第1駆動軸13が取り付けられ、下定盤10の中央下部には円筒状の第2駆動軸14が取り付けられ、インターナルギア12の中央下部には円筒状の第3駆動軸15が取り付けられている。また、下定盤10の中心には第4駆動軸16が取り付けられ、この第4駆動軸16は第1駆動軸13に収容されている。第1駆動軸13は第2駆動軸14に収容されており、第2駆動軸14は第3駆動軸15に収容されている。これらの第1から第4駆動軸13−16は、図示しない駆動モータによって駆動回転するように構成されている。
【0015】
各キャリア40に形成されている複数のワーク保持孔41内にそれぞれ円板形のワークWが保持され、サンギア11とインターナルギア12の両方を回転させることにより、上記各キャリア40がサンギア11の周囲を自転及び公転し、各キャリア40に保持されたワークWの上下両面が、上定盤20の下面に取り付けられた研磨パッド18aと下定盤10の上面に取り付けられた研磨パッド18bとによって研磨される。
【0016】
上定盤20は、定盤吊り31を介して昇降用アクチュエータ7の昇降ロッド32に取り付けられている。この昇降用アクチュエータ7は機体2に支持されている。
この上定盤20の取り付けについてより詳細に説明すると、定盤吊り31の外周側の下面には、下方向に延びる複数の支持ロッド33が等間隔に設けられ、この支持ロッド33が上定盤20の上面に取り付けられている。また、定盤吊り31の内周面と昇降ロッド32の外周面との間には、この定盤吊り31と昇降ロッド32とを上下方向には固定的に結合するが上定盤20の回転方向には相対的に回転自在に結合する、ベアリング34が介設されている。また、定盤吊り31の内周側には、後述する光ファイバーケーブル51及び電気ケーブル56を挿通するためのケーブル挿通孔35が厚さ方向に形成されている。
【0017】
上定盤20は、ワークWの非研磨時に、昇降ロッド32によって待避位置(不図示)に上昇し、ワークWの研磨時に、図1の研磨位置まで下降する。上定盤20が下降すると、上定盤20に取り付けられたフック22が第4駆動軸16の上端のドライバ17に係合するため、上定盤20と定盤吊り31は、第4駆動軸16によりドライバ17を介して駆動され、一体に回転する。
また、支持ロッド33には、プローブホルダー36が固定され、このプローブホルダー36にプローブ21が保持されている。このプローブ21は、上定盤20の上下面を貫通する厚み測定孔23の直上に配され、この厚み測定孔23には、下端に透明な窓板25を設けた窓部材26が取り付けられている。なお、プローブ21は、上定盤20に直接取り付ける、または定盤吊り31に固定したプローブホルダー36にプローブ21を保持させる方式でも良い。
【0018】
昇降ロッド32の下端部32aと定盤吊り31との間には、ロータリジョイント60が配設されている。このロータリジョイント60は、内側の光用ロータリジョイント部61と外側の電気用ロータリジョイント部65とを有している。
【0019】
光用ロータリジョイント部61は、相対的に回転自在の静止側ジョイント部62と回転側ジョイント部63とを有している。静止側ジョイント部62は、機体2に対して非回転の昇降ロッド32の下端部32aに固定的に取り付けられ、回転側ジョイント部63は、後述する第1ケーブルカバー73を介して定盤吊り31に連結されることにより、定盤吊り31及び上定盤20と一体に回転し、静止側ジョイント部62と回転側ジョイント部63との間には、ベアリング64が介設されている。
【0020】
また、昇降ロッド32と静止側ジョイント部62と回転側ジョイント部63とには、挿通孔32bと62aと63aとが同軸上に位置するように形成され、昇降ロッド32の挿通孔32bと静止側ジョイント部62の挿通孔62aの内部には、光ファイバーケーブル51のうち、光源3に接続された一次側ケーブル52が挿入され、回転側ジョイント部63の挿通孔63aの内部には、プローブ21に接続された二次側ケーブル53が挿入され、静止側ジョイント部62に保持された一次側ケーブル52の端面と、回転側ジョイント部63に保持された二次側ケーブル53の端面とが、空隙を介して非接触状態で正対している。
【0021】
一方、電気用ロータリジョイント部65は、相対的に回転自在の静止側ジョイント部66と回転側ジョイント部67とを有している。静止側ジョイント部66は、昇降ロッド32の下端部32aに固定的に取り付けられ、回転側ジョイント部67は、光用ロータリジョイント部61の回転側ジョイント部63に連結されることにより、定盤吊り31及び上定盤20と一体に回転し、静止側ジョイント部66と回転側ジョイント部67との間には、ベアリング68が介設されている。
回転側ジョイント部67は、円筒形をしていて、光用ロータリジョイント部61の静止側ジョイント部62及び回転側ジョイント部63の周囲を非接触状態で取り囲むように配設され、ピン71で回転側ジョイント部63に連結されることにより、この回転側ジョイント部63と一体となって回転する。
静止側ジョイント部66は、円筒形をしていて、回転側ジョイント部67の周囲を取り囲むように配設され、静止側ジョイント部66の内周部に設けられたブラシ69が回転側ジョイント部67の外周面に摺接することにより、静止側ジョイント部66と回転側ジョイント部67とが電気的に接続されている。ベアリング68は、静止側ジョイント部66の内周面と回転側ジョイント部67の外周面との間に介設されている。
【0022】
電気用ロータリジョイント部65の静止側ジョイント部66には、電気ケーブル56のうち、一端を演算制御装置4に接続された一次側ケーブル57の他端が、昇降ロッド32の挿通孔32c内を通して接続され、回転側ジョイント部67には、一端をプローブ21に接続された二次側ケーブル58の他端が接続されている。
【0023】
定盤吊り31の中央部下面には、ロータリジョイント60を覆うように、有底筒状をなした小径の第1ケーブルカバー73と大径の第2ケーブルカバー74とが、相互間に空間部75を保って内外同心状に配置され、定盤吊り31及び上定盤20と一体に回転するように取り付けられている。第2ケーブルカバー74は、直径も深さも第1ケーブルカバー73より大きいため、空間部75は、第1ケーブルカバー73の底壁73a外面と第2ケーブルカバー74の底壁74a内面との間、及び、第1ケーブルカバー73の側壁73b外面と第2ケーブルカバー74の側壁74b内面との間に連続して形成される。
第1ケーブルカバー73及び第2ケーブルカバー74は、金属や樹脂などの材料で形成でき、好ましくは樹脂で形成することであり、より好ましくは、透視性を持たせることによって内部を透視することができるように形成することである。なお、第1ケーブルカバー73及び第2ケーブルカバー74は二次側ケーブル53,58の接触を極力防止するために、有底円筒状体とすることが好ましいが、これに限定されず有底筒状をなすものであれば多角筒状体などの異なる形状でもよい。
【0024】
第1ケーブルカバー73の底壁73aの中央部には、第1ケーブルカバー73の内部と空間部75とを連通させる開口孔76が形成され、開口孔76に嵌合する光用ロータリジョイント部61の回転側ジョイント部63の下端部と開口孔76の開口縁部76aとがピン72で連結されることにより、上定盤20の回転時に光用ロータリジョイント部61の回転側ジョイント部63が上定盤20に追随して回転するようになっている。
【0025】
そして、空間部75内には、光用ロータリジョイント部61の回転側ジョイント部63の挿通孔63aから導出する光ファイバーケーブル51の二次側ケーブル53と、電気用ロータリジョイント部65の回転側ジョイント部67に接続された電気ケーブル56の二次側ケーブル58とが収容され、空間部75内を通ることによってロータリジョイント60の静止側部分あるいは部品に対して非接触状態に隔離され、定盤吊り31に形成されたケーブル挿通孔35から定盤吊り31の外部に導出されたあと、プローブ21に接続されている。
【0026】
このように構成された平面研磨装置でワークWを研磨するときは、キャリア40にワークWがセットされたあと、待避位置を占めていた上定盤20が、昇降ロッド32の伸長によって図1の研磨位置まで下降し、上定盤20に取り付けられたフック22がドライバ17に係合する。この状態で、第1−第4駆動軸13−16が図示しない駆動モータによって駆動、回転されることにより、各キャリア40がサンギア11の周囲を自転及び公転し、各キャリア40に保持されたワークWの上下両面が上定盤20の下面に取り付けられた研磨パッド18aと下定盤10の上面に取り付けられた研磨パッド18bとによって研磨される。
【0027】
研磨中、ワークWには、プローブ21からレーザー光が照射され、ワークWの表面及び裏面からの反射光がプローブ21で受光され、受光された反射光は電気信号に変換され、厚みデータとして電気ケーブル56を通じて演算制御装置4に収集され、このデータが演算あるいは分析されることにより、ワークWの厚みが測定される。そして、測定されたワークWの厚みが所望の厚みとなった時点で研磨が終了する。
【0028】
このとき、ロータリジョイント60の光用ロータリジョイント部61の回転側ジョイント部63に接続された光ファイバーケーブル51の二次側ケーブル53と、電気用ロータリジョイント部65の回転側ジョイント部67に接続された電気ケーブル56の二次側ケーブル58とは、定盤吊り31及び上定盤20と一体に回転するが、何れも、第1ケーブルカバー73と第2ケーブルカバー74との間の空間部75内に収容されることによってロータリジョイント60の静止側部分あるいは部品から隔離され、これら部分あるいは部品と接触しないため、接触による摩耗や破断等の損傷を受けることがない。また、本実施形態では当該接触がないため、ケーブルを介して供給されるレーザー光や電力;及びケーブルを介して伝達される反射光や電気信号などの測定データが、当該接触により生じるノイズなどの影響を受けることがなく、安定したレーザー光または電力の供給、あるいは測定データの収集を行うことができる。つまり、安定した研磨加工が可能となる。
【0029】
なお、本実施形態では、ロータリジョイント60の電気用ロータリジョイント部65における一次側ケーブル57と二次側ケーブル58とを、ブラシ69で電気的に接続しているが、一次側ケーブル57と二次側ケーブル58とを、水銀等の液体金属を用いて電気的に接続してもよい。
【0030】
また、本実施形態では、昇降ロッド32の挿通孔32bに挿入されている光ファイバーケーブル51の一次側ケーブル52と電気ケーブル56の一次側ケーブル57とは、昇降ロッド32の側面から外部に導出されて光源3及び演算制御装置4に接続されているが、昇降ロッド32の上面から外部に導出される構造であってもよい。
【0031】
さらに、本実施形態では、プローブ21が上定盤20に取り付けられ、ロータリジョイント60の光用ロータリジョイント部61の静止側ジョイント部62及び電気用ロータリジョイント部65の静止側ジョイント部66が昇降ロッド32の下端部32aに取り付けられて、光用ロータリジョイント部61の回転側ジョイント部63及び電気用ロータリジョイント部65の回転側ジョイント部67が上定盤20と一体に回転するように構成されているが、変形例として、プローブ21を下定盤10に取り付け、ロータリジョイント60を下定盤用駆動軸(第2駆動軸)14の下端に取り付けて、下定盤10側からワークWの厚みを測定するように構成することもできる。
【0032】
この変形例の場合、図2において、符号32を付した部分が回転する下定盤用駆動軸、符号31を付した部分が下定盤用駆動軸の周囲の静止する機体部分であると考えることができ、そうすると、光用ロータリジョイント部61の静止側ジョイント部62及び電気用ロータリジョイント部65の静止側ジョイント部66がそれぞれ回転側ジョイント部になると共に、光用ロータリジョイント部61の回転側ジョイント部63及び電気用ロータリジョイント部65の回転側ジョイント部67がそれぞれ静止側ジョイント部になり、また、第1ケーブルカバー73と第2ケーブルカバー74は静止側である機体部分に取り付けられ、両ケーブルカバー73,74間の空間部75内に収容された光ファイバーケーブル51の二次側ケーブル53及び電気ケーブル56の二次側ケーブル58は、測定ユニット5と静止側ジョイント部とを接続する一次側ケーブルになる。
【0033】
この変形例のように構成することにより、ロータリジョイントの静止側ジョイント部に接続されたケーブルが、ロータリジョイントの回転側ジョイント部やその他の回転する部分等に接触して損傷したり断線したりするのを防止することができる。また、ケーブルがロータリジョイントの回転側ジョイント部やその他の回転する部分等に接触しないため、ケーブルを介して供給されるレーザー光や電力;及びケーブルを介して伝達される反射光や電気信号などの測定データが、当該接触により生じるノイズなどの影響を受けることがなく、安定したレーザー光または電力の供給、あるいは測定データの収集を行うことができる。つまり、安定した研磨加工が可能となる。
【0034】
なお、上述した変形例のように、プローブ21を下定盤10に取り付けて、ロータリジョイント60を下定盤用駆動軸14の下端に取り付けた構造は、ワークの片面を下定盤で研磨する片面研磨装置に適用することができる。
【0035】
また、プローブ21が、電源を自身で保持している場合やプローブが測定データを電気信号に変換して無線で演算制御装置4に送信するように構成されている場合には、電気ケーブル56は不要になる。このような場合、測定ユニット5とプローブ21とは、光ファイバーケーブル51のみを通じて接続されるため、ロータリジョイント60は、電気用ロータリジョイント部65を無くして光用ロータリジョイント部61だけにすることができる。
【0036】
その逆に、プローブ21が、例えば、研磨されることにより変化するワーク上面の位置情報や、研磨加工時の定盤の温度情報等を、電気的に検出するものである場合には、レーザー光に関連する光源や光ファイバーケーブル等は不要であって、電気ケーブルのみが使用される。このため、ロータリジョイント60は、光用ロータリジョイント部61を無くして電気用ロータリジョイント部65だけにすることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 平面研磨装置
2 機体
3 光源
4 演算制御装置
5 測定ユニット
10 下定盤
20 上定盤
21 プローブ
31 定盤吊り
32 昇降ロッド
40 キャリア
52 一次側ケーブル
53 二次側ケーブル
57 一次側ケーブル
58 二次側ケーブル
60 ロータリジョイント
62 静止側ジョイント部
63 回転側ジョイント部
66 静止側ジョイント部
67 回転側ジョイント部
73 第1ケーブルカバー
74 第2ケーブルカバー
75 空間部
W ワーク
図1
図2