(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態に係る、カメラ付き端末を備える超音波診断装置について、添付図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、超音波画像診断を行う際、一例として、X線CT(Computed Tomography)装置で撮像されたCT画像と超音波画像の位置合わせを行う場合について説明するが、本実施形態はこれに限定されるものでない。例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置で撮像されたMRI画像と超音波画像の位置合わせにも適用することができる。
【0010】
[概略構成]
図1は、本実施形態に係るカメラ付き端末200を備える超音波診断装置100の概略の構成の一例を示した概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ110、超音波診断装置本体120およびカメラ付き端末200を備えて構成されている。
【0012】
超音波プローブ110は、超音波振動素子を備えて構成されている。超音波振動素子は、送信時には電気的な駆動信号を送信超音波に変換する一方、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を備えている。
【0013】
超音波診断装置本体120は、送受信回路130、信号処理回路140、画像処理回路150、ディスプレイ160、入力回路170、処理回路180および記憶回路190を備えて構成されている。
【0014】
送受信回路130は、送信回路および受信回路を備えて構成されている。送信回路は、被検体の所定方向に対し、送信超音波を放射するための駆動信号を超音波プローブ110に供給する機能を備えている。受信回路は、位相検波回路とビーム形成回路とを備えている。位相検波回路は、超音波プローブ110から受信した複数チャンネルの受信信号のそれぞれを、ベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と、直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)に分解し、さらにデジタル信号に変換する。ビーム形成回路は、各チャンネルの信号(I信号及びQ信号)に所定の遅延を与えた後に加算してビームを形成する。ビーム形成回路から出力されるビーム形成後の信号も、I信号とQ信号とから構成される。以下、ビーム形成回路から出力されるビーム形成後の信号を「IQ信号」と呼ぶものとする。送受信回路120は、IQ信号を信号処理回路140に出力する。
【0015】
信号処理回路140は、送受信回路130からIQ信号を受信して、そのIQ信号に、FFT法(高速フーリエ変換法:Fast Fourier Transform method)を用いて、連続波ドップラー画像の画像データを生成する。また、信号処理回路140は、パルス送信モードにおいて、IQ信号の包絡線を検出してBモード画像を生成したり、IQ信号からカラードプラ画像を生成する。
【0016】
以下、信号処理回路140において生成したBモード画像や、カラードプラ画像の画像データや、連続波ドップラー画像の画像データなどを超音波画像データともいう。
【0017】
画像処理回路150は、信号処理回路140で生成された超音波画像データに対し、被検体の撮像断面に座標系を合わせる座標変換処理を行う機能を備えている。画像処理回路150は、例えば、超音波画像データを、スキャン方式の座標系からテレビ方式の座標系に変換する。また、画像処理回路150は、座標変換された超音波画像データに対し、画像表示に適した諧調設定や、解像度またはフレームレートを変更する画像処理を施す機能を備えている。
【0018】
ディスプレイ160は、超音波プローブ110で撮像した被検体の超音波画像データを画像として表示する機能を備えている。ディスプレイ160は、例えば、液晶ディスプレイやモニタなどにより構成されている。
【0019】
入力回路170は、医師や検査技師などの操作者によって操作が可能なポインティングデバイス(マウスなど)やキーボードなどの入力デバイスからの信号を入力する回路であり、ここでは、入力デバイス自体も入力回路170に含まれるものとする。この場合、操作に従った入力信号が、入力回路170から処理回路180に送られる。
【0020】
処理回路180は、超音波診断装置本体120を統括的に制御する機能を備えている。例えば、処理回路180は、プログラムを記憶回路190から読み出し、実行することにより、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。
【0021】
記憶回路190は、メモリとして、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を備えている。記憶回路190は、上記のプログラムを記憶する他、IPL(Initial Program Loading)、BIOS(Basic Input/Output System)のデータを記憶したり、処理回路180のワークメモリやデータの一時的な記憶に用いたりする。
【0022】
次に、カメラ付き端末200について説明する。本実施形態に係るカメラ付き端末200は、処理回路210、カメラ220、入力回路230、ディスプレイ240、記憶回路250、ネットワークインターフェース260および内部バス270を備えて構成されている。
【0023】
カメラ220は、被検体の体表画像を撮像する機能を備えている。なお、カメラ220によって撮像された画像を、UL体表画像という。
【0024】
ディスプレイ240は、被検体の体表画像を表示する機能を備えている。ディスプレイ240は、例えば、液晶ディスプレイやモニタなどにより構成されている。
【0025】
処理回路210は、プログラムを記憶回路250から読み出し、実行することにより、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、処理回路210は、各プログラムを読み出して、受付機能、生成機能、表示制御機能およびガイド制御機能を実現することができる。
【0026】
ここで、受付機能とは、超音波診断装置100とは異なる画像診断装置、例えば、X線CT装置におけるCT側カメラによって撮像された被検体のCT体表画像と、そのCT体表画像と空間的な位置関係によって関係付けられた体内画像との入力を受け付ける機能のことである。なお、体内画像とは、例えば、X線CT装置やMRI装置で取得した、同一被検体の3次元のボリュームデータにおける断層像のことである。
【0027】
生成機能とは、体内画像をCT体表画像の方向に投影し、CT側カメラの撮像方向から見た体内画像の投影参照画像を生成する機能のことである。
【0028】
表示制御機能とは、投影参照画像と、UL体表画像と、CT体表画像とを、位置合わせ可能に重畳表示する機能のことである。
【0029】
ガイド制御機能とは、被検体の超音波画像を撮像するためのガイドを、UL体表画像と、投影参照画像とともに、ディスプレイ240に表示させる機能のことである。
【0030】
なお、本実施形態における受付機能、生成機能、表示制御機能およびガイド制御機能は、それぞれ特許請求の範囲における受付部、生成部、表示制御部およびガイド表示部の一例である。
【0031】
また、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)などの回路を意味する。
【0032】
プロセッサは、メモリに保存された、もしくはプロセッサの回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し、実行することで各機能を実現する。プロセッサが複数設けられ場合、プログラムを記憶するメモリは、プロセッサごとに個別に設けられるものであっても構わないし、或いは、例えば、
図1の記憶回路190や記憶回路250が各プロセッサの機能に対応するプログラムを記憶するものであっても構わない。
【0033】
入力回路230は、医師や検査技師などの操作者によって操作が可能なポインティングデバイス(マウスなど)やキーボードなどの入力デバイスからの信号を入力する回路であり、ここでは入力デバイス自体も入力回路20に含まれるものとする。この場合、操作に従った入力信号が、入力回路230から処理回路210に送られる。
【0034】
なお、カメラ付き端末200は、例えば、携帯型情報処理装置によって実現することができ、入力回路230とディスプレイ240が一体として、信号の入力や画像表示が可能なタッチパネルにより構成することができる。
【0035】
記憶回路250は、ROM及びRAM、HDD等を含む記憶装置により構成されている。記憶回路250は、IPL、BIOS及びデータを記憶したり、処理回路210のワークメモリとして使用されたり、または、データを一時的に記憶する場合に用いられる。HDDは、カメラ付き端末200にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や画像データを記憶する記憶装置である。また、医師や検査技師などの操作者に対するディスプレイ240への情報の表示にグラフィックを多用して、基礎的な操作を入力回路230によって行なうことができるGUI(Graphical User Interface)を、OSに提供することもできる。
【0036】
なお、本実施形態の場合は、記憶回路250は、ネットワークインターフェース260を介して、画像記憶回路300から、被検体のCT体表画像とその体内画像と受信し記憶する。すなわち、記憶回路250は、被検体のCT体表画像とその体内画像とを記憶しているものとする。
【0037】
ネットワークインターフェース260は、通信規格に応じた通信制御を行ない、例えば、IEEE802.11シリーズに準拠した無線LAN(Local Area Network)、近距離無線通信又は電話回線等を通じて、カメラ付き端末200をネットワークに接続する機能を有している。例えば、ネットワークインターフェース260は、画像記憶回路300から被検体のCT体表画像とその体内画像とを受信するようになっている。
【0038】
内部バス270は、処理回路210によって処理回路210が統括制御されるように、各構成要素に接続されている。
【0039】
次に、超音波診断装置100の外部に設けられ、ネットワークを介して接続された画像記憶回路300について説明する。
【0040】
画像記憶回路300は、メモリとして、ROMおよびRAM等を備えている。画像記憶回路300は、例えば、X線CT装置で取得した被検体のCT体表画像と、そのCT体表画像と空間的な位置関係によって関係付けられた体内画像とを記憶している。なお、体内画像とは、上述した、X線CT装置で取得した同一被検体の3次元のボリュームデータにおける断層像のことである。
【0041】
[動作]
以下、本実施形態に係るカメラ付き端末200を備える超音波診断装置100の詳細な動作について、フローチャートを用いて説明する。
【0042】
(ガイド表示処理)
図2は、本実施形態に係る超音波診断装置100が、画像記憶回路300から受信した被検体のCT体表画像とカメラ220で撮像したUL体表画像とを位置合わせ可能に表示させ、体内画像について、被検体の超音波画像を撮像するためのガイドを表示させるガイド表示処理の動作を示すフローチャートである。
【0043】
図2に示すように、まず、本実施形態に係る超音波診断装置100の処理回路210は、記憶回路250から、X線CT装置におけるCT側カメラによって撮像されたCT体表画像と、そのCT体表画像と空間的な位置関係によって関係付けられた体内画像とを取得し、その入力を受け付ける(ステップST001)。
【0044】
図3は、本実施形態に係る超音波診断装置100の処理回路210が、記憶回路250から取得するCT体表画像CBと体内画像VDの概念を示した概念図である。
【0045】
図3(a)では、図示しないX線CT装置に設けられたCT側カメラCCを用いて、被検体PのCT体表画像CBを取得する概念を示している。また、
図3(b)では、同じく図示しないX線CT装置に設けられた撮像装置を用いて、被検体Pのボリュームデータである体内画像VDを取得する概念を示している。
【0046】
なお、CT側カメラCCは、例えば、X線CT装置のガントリ内に設けられることにより、CT側カメラCCの位置を特定することができ、体内画像VDにCT側カメラCCの位置に関する位置情報とCT体表画像CBとを関連付けて、相対的な位置を示す位置情報を持たせることができる。また、CT体表画像CBについてもCT側カメラCCから撮像する範囲が分かるので、CT側カメラCCの相対的な位置を示す位置情報を持つことができる。なお、体内画像VDとCT体表画像CBは、例えば、ベッドの位置における空間的な位置を利用して相互に関連付けるようにしても良い。
【0047】
次に、処理回路210は、体内画像VDをCT体表画像CBの方向に投影し、CT側カメラCCの撮像方向から見た体内画像VDの投影参照画像を生成する(ステップST003)。
【0048】
図4は、本実施形態に係る超音波診断装置100の処理回路210が、体内画像VDから投影参照画像を生成する概念を示した概念図である。
【0049】
図4(a)では、被検体PにおいてCTボリュームデータから参照断面を抽出する概念を示している。例えば、CTボリュームデータにおける断層像として、ボリュームデータから抽出された参照断面D1、D2、D3が例示されている。
【0050】
また、
図4(b)では、
図4(a)で抽出した参照断面D1、D2、D3に対し、それぞれの参照断面をCT側カメラCCの方向から見た形状を、例えば、台形でその概念を表示した概念図である。例えば、
図4(a)で示した参照断面D1は、
図4(b)の台形J1の形状に該当する。同様に、
図4(a)で示した参照断面D2は、
図4(b)の台形J2の形状に該当し、
図4(a)で示した参照断面D3は、
図4(b)の台形J3の形状に該当する。なお、台形J1、J2、J3は、投影参照画像J1、J2、J3に対応する。
【0051】
このように、処理回路210は、体内画像VDをCT体表画像CBの方向に投影することにより、CT側カメラCCの撮像方向から見た体内画像VDの投影参照画像を生成する(ステップST003)。
【0052】
次に、処理回路210は、カメラ付き端末200に設けられたカメラ220により被検体Pの体表画像を撮像し、UL体表画像UBを取得する(ステップST005)。なお、カメラ220のことをUL側カメラともいう。
【0053】
図5は、本実施形態に係る超音波診断装置100のカメラ220が、被検体PのUL体表画像UBを撮像する状況を示した説明図である。
【0054】
図5に示すように、本実施形態に係るカメラ付き端末200は、カメラ220とディスプレイ240とを備えているので、被検体PのUL体表画像UBを撮像することができる。また、カメラ付き端末200は、可動式のアームに固定されることにより操作者はカメラ付き端末200を持たないで、カメラ付き端末200のディスプレイ240に表示されたUL体表画像UBを撮像することができる。
【0055】
なお、
図5では、カメラ付き端末200は、可動式のアームに固定されて、操作者は、ディスプレイ240に表示されるUL体表画像UBを見ることができるようになっているが、本実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、操作者は、カメラ付き端末200を手で持ち、自らの手で持ちながらUL体表画像UBを見るようにしてもよい。
【0056】
また、カメラ付き端末200は、例えば、カメラ付き端末200を固定するアームなどにより固定された場合は、被検体Pとカメラ付き端末200との相対的な位置を示す位置情報をUL体表画像UBに持たせることができる。この場合、カメラ付き端末200とベッドとの相対的な位置を示す位置情報と、ベッドにおける被検体Pの位置を示す位置情報とをUL体表画像UBに関連付けて持たせるようにしてもよい。
【0057】
次に、処理回路210は、投影参照画像と、UL体表画像UBと、CT体表画像CBとを、位置合わせ可能に重畳表示する(ステップST007)。
【0058】
図6は、本実施形態に係る超音波診断装置100の処理回路210が、投影参照画像J2と、UL体表画像UBと、CT体表画像CBとを、位置合わせ可能に重畳表示する概念を示した概念図である。
【0059】
図6(a)では、カメラ付き端末200が入力を受け付けたCT体表画像CBと、生成した投影参照画像J2をディスプレイ240に表示させたときの表示例である。CT体表画像CBは、CT側カメラCCで被検体Pの体表を撮影した体表画像であるため、2次元の画像となっている。また、投影参照画像J2は、参照断面D2をCT体表画像CBに投影し、CT側カメラCCから見た画像であるため、3次元的な形状が2次元の台形により表示されている。なお、CT体表画像CBと投影参照画像J2とは、投影により一体化することができる。
【0060】
図6(b)は、カメラ付き端末200がカメラ220により被検体Pの体表を撮像したUL体表画像UBを示している。ディスプレイ240には、ステップST005においてカメラ220により撮像されたUL体表画像UBが表示されている。
【0061】
図6(c)は、投影参照画像J2と、UL体表画像UBと、CT体表画像CBとを重畳表示し、UL体表画像UBとCT体表画像CBとの位置合わせを行う場合の一例を示している。例えば、カメラ付き端末200は、ディスプレイ240に表示されているUL体表画像UBに、CT体表画像CBと投影参照画像J2とを一体として、UL体表画像UBにCT体表画像CBが一致するように位置合わせをする。
【0062】
図7は、本実施形態に係る超音波診断装置100のカメラ付き端末200のディスプレイ240において、UL体表画像UBにCT体表画像CBが一致するように重畳表示させ、投影参照画像J2を含め、位置合わせ後の表示例を示した概念図である。
【0063】
図7に示すように、処理回路210は、ディスプレイ240におけるUL体表画像UBに、CT体表画像CBと投影参照画像J2を一体として位置合わせを行うことができる。また、例えば、CT側カメラCCの位置に関する位置情報とCT体表画像CBとの相対的な位置を示す位置情報を用いて、被検体PのUL体表画像UBを撮影可能な相対的な位置にカメラ付き端末200をセットするようにしてもよい。例えば、カメラ付き端末200は、アームにおいて微調整を行い、UL体表画像UBの撮像される範囲を調整することにより、CT体表画像CBとUL体表画像UBとが一致するように位置合わせを行うことができる。なお、この位置合わせは、手動であっても自動であってもよい。
【0064】
また、投影参照画像J2は、参照断面D2と同期を取ることができ、例えば、操作者が
図4(a)における参照断面D1を選択した場合には、投影参照画像J1をUL体表画像UBに重畳表示させることができ、また、操作者が
図4(a)における参照断面D3を選択した場合には、投影参照画像J3をUL体表画像UBに重畳表示させることができる。
【0065】
次に、処理回路210は、被検体Pの超音波画像を撮像するためのガイドを、UL体表画像UBと、投影参照画像J2とともに、ディスプレイ240に表示させる(ステップST009)。本実施形態では、被検体Pの超音波画像を撮像するためのガイドを表示する例として、例えば、4つ想定されている。
【0066】
図8は、本実施形態に係る超音波診断装置100の処理回路210が、ディスプレイ240に表示される投影参照画像J2に対して、超音波プローブ110を押し当てる場所をガイドする4つの例を示したガイド例である。
【0067】
図8(a)では、投影参照画像J2に対するガイドとして、音波画像を撮像するための場所を、点により表示させた場合のガイド例である。点P1は押当点を示しており、操作者は、点P1により、超音波プローブ110を操作する際の目安とすることができる。
【0068】
図8(b)では、投影参照画像J2に対するガイドとして、音波画像を撮像するための場所を、線により表示させた場合のガイド例である。線P2は、スキャン方向に対応する線を示しており、操作者は、線P2により、超音波プローブ110を操作する際の目安とすることができる。また、30度は、例えば、超音波プローブ110を走査する際の傾ける角度を示しており、例えば、ディスプレイ240の垂直方向から超音波プローブ110の先端を投影参照画像J2に30度傾けて撮像することにより、参照断面D2に対応する超音波画像を得ることができることを示している。
【0069】
なお、30度という数値による表示方法は、これに限定されるものではない。投影参照画像J2に対するガイドとして、超音波プローブを当てる角度を示す角度情報を視覚的に表示させるものであれば、適用可能である。例えば、分度器を用いた角度情報を視覚的に表示するようにしてもよい。
【0070】
図8(c)では、投影参照画像J2に対するガイドとして、音波画像を撮像するための場所を、領域により表示させた場合のガイド例である。領域P3は、超音波プローブ110を押し当てる領域を示しており、操作者は、領域P3により、超音波プローブ110を操作する際の目安とすることができる。
【0071】
図8(d)では、投影参照画像J2に対するガイドとして、音波画像を撮像するための場所を、超音波プローブを模した仮想的な画像を用いて、その仮想的プローブにより表示させた場合のガイド例である。仮想的プローブP4は、操作者が、超音波プローブ110を押し当てる場所を示しており、操作者は、仮想的プローブP4により、超音波プローブ110を操作する際の目安とすることができる。また、仮想的プローブP4は、例えば、
図4(a)の参照断面D2の撮像すべき角度に合わせ、仮想的プローブP4を傾けて表示することができる。この場合、数値だけではなく仮想的プローブP4の傾いた形状により、直感的に超音波プローブ110の走査角度を認識させることができる。
【0072】
本実施形態に係る超音波診断装置100は、このようなガイドをディスプレイ240に表示させ、操作者が超音波プローブ110を被検体Pに押し当てると、ガイド表示処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る超音波診断装置100は、カメラ付き端末200を備え、カメラ付き端末200の処理回路210は、CT体表画像CBと体内画像VDの入力を受け付けると共に、体内画像VDをCT体表画像CBに投影して、投影参照画像を生成する。カメラ付き端末200は、ディスプレイ240において、投影参照画像と、UL体表画像UBと、CT体表画像CBとを位置合わせ可能に重畳表示することができ、被検体Pの超音波画像を撮像するためのガイドをディスプレイ240に表示する。
【0074】
これにより、本実施形態に係る超音波診断装置100は、簡便でかつ直観的な方法で、超音波診断装置以外の診断装置で撮像された撮像画像と、超音波画像との位置合わせを、操作者に行わせることができる。
【0075】
また、カメラ付き端末200は、UL体表画像UBとCT体表画像CBの表示される位置を合わせたまま、体内画像VD内の関心領域を示す断面の角度に応じて、投影参照画像が表示される表示形態を変更することができる。
【0076】
例えば、
図4に示した参照断面D1、D2、D3のうちいずれか1つの参照断面を選択することにより、対応する投影参照画像をディスプレイ240に表示することができる。具体的には、
図4(a)で示した参照断面D1が選択された場合には、
図4(b)の台形J1の形状により、投影参照画像J1として表示することができ、また、
図4(a)で示した参照断面D3が選択された場合には、
図4(b)の台形J3の形状により、投影参照画像J3として表示することができる。
【0077】
そして、例えば、参照断面を参照断面D1から参照断面D3に変更した場合には、投影参照画像J1から投影参照画像J3に変更することができるとともに、同期によりガイドを表示するガイドの表示位置も変更することできる。
【0078】
また、
図7において、投影参照画像J2により位置合わせ後の投影参照画像を表示するようになっていたが、この投影参照画像は、これに限定されるものではない。例えば、
図4(a)に示した参照断面を3次元的に補正し、投影断面画像がグラフィック処理された断面画像により、投影参照画像としてはめ込むようにしてもよい。
【0079】
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、カメラ付き端末200において、例えば、
図8(a)に示したように、超音波画像を撮像するための場所を、点や線等により、投影参照画像に対するガイドとして表示するようになっていた。
【0080】
第2の実施形態では、カメラ付き端末200に、視覚的効果を有する光線を発する光源280をさらに備え、処理回路210は、投影参照画像に対するガイドとして、光源280を用いて、超音波画像を撮像するための地点を表示させるようになっている。
【0081】
図9は、第2の実施形態に係るカメラ付き端末200Aを備える超音波診断装置100Aの概略の構成の一例を示した概略構成図である。
【0082】
図9に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置100Aは、光源280を備えるカメラ付き端末200Aを備えて構成されている。第1の実施形態の超音波診断装置100と異なる点は、光源280を有している点である。
【0083】
図10は、第2の実施形態に係る超音波診断装置100Aの光源280が、ディスプレイ240に表示される投影参照画像J2に対し、超音波プローブ110を押し当てる場所を、光線を用いてガイドするガイド例である。
【0084】
図10に示すように、点SPは、光源280によって、UL体表画像UBにレーザ照射された点を示しており、超音波プローブ110を押し当てる押当点を示している。例えば、光源280を用いて、押当点である点SPを照射し指し示すことにより、超音波プローブ110を当てる点を、操作者に対し、より明確に認識させることができる。
【0085】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、カメラ付き端末200の処理回路210に、CT体表画像CBと、UL体表画像UBの表示位置を補正する補正機能をさらに備えるようになっている。
【0086】
図11は、第3の実施形態に係る超音波診断装置100Bは、カメラ付き端末200Bの処理回路210Bにおいて、補正機能をさらに備えた構成を示した概略構成図である。
【0087】
カメラ付き端末200Bは、カメラ220による撮像により、UL体表画像UBの表示される位置が変更された場合には、その変更された位置に基づいて、CT体表画像CBと投影参照画像との表示される位置を補正し、UL体表画像UBとCT体表画像CBが一致して表示されるようにディスプレイ240に表示する。
【0088】
図12は、第3の実施形態に係る超音波診断装置100Bのディスプレイ240において、処理回路210Bが、UL体表画像UBの変更に伴って、UL体表画像UBにCT体表画像CBが一致するように補正する概念を示した概念図である。
【0089】
図12(a)では、例えば、カメラ付き端末200Bの位置が移動した場合、カメラ付き端末200Bの移動に伴って、UL体表画像UBの表示される位置が変更されることを示している。一方、
図12(b)では、CT体表画像CBと投影参照画像J2が、カメラ付き端末200Bの位置の移動に追従し、その変更されたUL体表画像UBの表示位置に、CT体表画像CBと投影参照画像とを補正した場合の表示例を示している。
【0090】
第3の実施形態の場合には、カメラ付き端末200Bが移動した場合であっても、処理回路210Bの補正機能により、CT体表画像CBと投影参照画像J2の位置を補正することができるので、操作者は、カメラ付き端末200が移動した場合であっても検査を止めることなく投影参照画像J2を見ることができ、継続して超音波プローブ110を当てることができる。
【0091】
なお、補正する方法は一例であって、これに限定されるものではない。例えば、カメラ付き端末200Bが固定されている場合は、被検体Pの体位の移動も生じ得るため、その場合、その被検体Pの体位の移動に伴って、CT体表画像CBと投影参照画像J2の位置を補正することができる。
【0092】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、簡便でかつ直観的な方法で、超音波診断装置100以外の診断装置で撮像された撮像画像と、超音波画像との位置合わせを行うことができる。
【0093】
なお、本実施形態におけるカメラ220は、特許請求の範囲における第1のカメラの一例であり、本実施形態におけるCT側カメラCCは、特許請求の範囲における第2のカメラの一例である。また、本実施形態におけるUL体表画像UBは、特許請求の範囲における第1の体表画像の一例であり、本実施形態におけるCT体表画像CBは、特許請求の範囲における第2の体表画像の一例である。
【0094】
また、カメラ付き端末200は、カメラ220とディスプレイ240とを一体として備えるようになっていたが、これに限定されるものではない。例えば、カメラ付き端末200は、カメラ220と、ディスプレイ240との少なくともいずれかを、別体により構成するようにしてもよい。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0096】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。