特許第6622151号(P6622151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622151
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】把持器、持針器及びアタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/062 20060101AFI20191209BHJP
   A61B 17/29 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   A61B17/062 100
   A61B17/29
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-129441(P2016-129441)
(22)【出願日】2016年6月29日
(65)【公開番号】特開2018-391(P2018-391A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】512056692
【氏名又は名称】株式会社産業情報総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100192773
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】本村 昇
(72)【発明者】
【氏名】中谷 光博
(72)【発明者】
【氏名】弓庭 浩一
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−525839(JP,A)
【文献】 特開平7−275253(JP,A)
【文献】 特開平1−129843(JP,A)
【文献】 特開2002−282257(JP,A)
【文献】 特開2015−65989(JP,A)
【文献】 特表2016−510659(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0140835(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/062
A61B 17/28 ― 17/295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を把持する把持器であって、
相対的に接近又は離間可能とされた挟持部が形成され前記挟持部が接近して対象物を挟持可能とされた一対の挟持アーム部材と、前記一対の挟持アーム部材が配置され前記挟持部が接近又は離間する方向に沿って形成された第1軸線周りに前記一対の挟持アーム部材を回動可能に支持する挟持アーム支持部材と、を有し、前記挟持アーム支持部材に固定して形成された第1挟持アーム部材と前記挟持アーム支持部材に前記第1軸線と直交する第2軸線周りに回動可能に配置された第2挟持アーム部材により前記一対の挟持アーム部材が構成されていて、前記第2挟持アーム部材が第2軸線回りに回動して前記第1挟持アーム部材と開閉することで前記挟持部が接近又は離間するする把持部材と、
先端側に前記把持部材が配置され、基端側に操作者が保持するグリップ部が形成された把持器本体と、
操作者の挟持操作を入力する挟持操作部と、前記挟持操作部に入力された挟持操作を前記挟持アーム部材に伝達する挟持操作伝達部と、を有し、前記挟持操作部に入力された挟持操作によって前記挟持部を接近又は離間させる第1駆動部と、
操作者の回動操作を入力する回動操作部と、前記回動操作部に入力された回動操作を前記挟持アーム支持部材に伝達する回動操作伝達部と、を有し、前記回動操作部に入力された回動操作により前記挟持アーム支持部材を前記第1軸線廻りに回動させる第2駆動部と、
を備え、
前記挟持操作伝達部は、
湾曲可能とされたフレキシブル伝達部材を備えていることを特徴とする把持器。
【請求項2】
請求項1に記載の把持器であって、
前記回動操作伝達部は、
前記回動操作部側に配置される第1回動部材と、
前記挟持アーム支持部材側に配置される第2回動部材と、
前記第1回動部材と前記第2回動部材とを接続する接続部材と、
を備え、
前記第1回動部材の回動を前記第2回動部材に伝達することを特徴とする把持器。
【請求項3】
請求項2に記載の把持器であって、
前記回動操作伝達部は、
前記第2回動部材の回動角度を前記第1回動部材に入力された回動角度よりも大きくする回動操作量変換機構を備えていることを特徴とする把持器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の把持器であって、
前記挟持操作部は、
前記把持器本体のグリップ部に回動可能に配置され、操作者が前記グリップ部を把持することにより前記グリップ部内に向かって挿入可能に構成されていることを特徴とする把持器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の把持器であって、
前記挟持操作によって形成される挟持部の接近状態を保持する挟持操作保持機構と、
前記挟持操作保持機構により保持された挟持部の接近状態を解除する挟持操作解除機構と、
を備えることを特徴とする把持器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の把持器であって、
前記把持器本体に形成され前記把持部材を着脱可能に接続する第1係合部、及び第2係合部と、
を備え、
前記把持部材は、
前記第1係合部と係合して挟持操作に基づいて前記挟持アーム部材を作動させる第1被係合部と、
前記第2係合部と係合して回動操作に基づいて前記挟持アーム部材を回動させる第2被係合部と、
を備えることを特徴とする把持器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の把持器において、前記挟持部に縫合針と対応する縫合針挟持凹部が形成されていることを特徴とする持針器。
【請求項8】
対象物を把持する把持器に用いられるアタッチメントであって、相対的に接近又は離間可能とされた挟持部が形成され前記挟持部が接近して対象物を挟持可能とされた一対の挟持アーム部材と、前記一対の挟持アーム部材が配置され前記挟持部が接近又は離間する方向に沿って形成された第1軸線周りに前記一対の挟持アーム部材を回動可能に支持する挟持アーム支持部材と、を有し、前記挟持アーム支持部材に固定して形成された第1挟持アーム部材と前記挟持アーム支持部材に前記第1軸線と直交する第2軸線周りに回動可能に配置された第2挟持アーム部材により前記一対の挟持アーム部材が構成されていて、前記第2挟持アーム部材が第2軸線回りに回動して前記第1挟持アーム部材と開閉することで前記挟持部が接近又は離間するする把持部材と、
請求項6に記載の第1被係合部及び第2被係合部と、
を備えることを特徴とするアタッチメント。
【請求項9】
請求項8に記載のアタッチメントであって、前記挟持部に縫合針と対応する縫合針挟持凹部が形成されていることを特徴とするアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、狭小空間等において、対象物を垂直接線方向に安定的かつ効率的に取廻すことが可能な把持器、縫合針を垂直接線方向に運針して安定的かつ効率的に縫合することが可能な持針器、及びこれら把持器、持針器に適用されるアタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、外科手術では、狭小空間をはじめとする種々の環境条件で、生体の把持、穿孔、縫合等が必要とされ、そのために、鉗子、持針器等をはじめとする把持器が用いられている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。
【0003】
このような持針器を用いた縫合手技では、例えば、縫合針を持針器の長手方向と直交する方向(以下、横方向という場合がある)に把持して、横方向に運針することが一般的であるが、近年、鏡視下手術を必要とする低侵襲手術が増大するなかで、低侵襲手術において、狭小視野における効率的な把持操作や効率的な縫合手技に対する必要性が高まっている。
【0004】
このような狭小視野における効率的な把持操作や効率的な縫合手技を実現するために、例えば、縫合針を持針器の長手方向(以下、垂直接線方向という場合がある)に運針可能な把持器、持針器が開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、特許文献2に記載された発明をさらに進展させて、狭小視野における把持操作や縫合手技をより安定的かつ効率的に行うことが可能な把持器、持針器が開発されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−038492号公報
【特許文献2】特開2013−111119号公報
【特許文献3】特許第5922075号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8C%81%E9%87%9D%E5%99%A8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2に記載された把持器、持針器は、対象物や縫合針を把持して、挟小空間において垂直接線方向にハンドリング、運針することが可能である点で画期的といえる。
【0009】
また、上記特許文献3に記載された把持器、持針器は、挟小空間において把持した対象物や縫合針をさらに効率的かつ安定的に垂直接線方向にハンドリング、運針できる点で好適である。
【0010】
しかしながら、挟小空間における把持操作、ハンドリングや運針をより効率的かつ安定的に行うことが可能とされ、高い信頼性を確保することが可能な把持器、持針器が要請されている。
【0011】
本発明は、かかる事情を考慮してなされたものであり、以下に記載する少なくともいずれか一つを実現可能とすることを目的とする。
(1)狭小空間等において、対象物や縫合針を安定して把持するとともに、効率的かつ安定的にハンドリングや運針することが可能とされる把持器、持針器を提供すること。
(2)簡単な構成とすることにより、軽量化、部品点数を削減することが可能とされ、高い信頼性を確保することが可能な把持器、持針器を提供すること。
(3)挟持アーム部材を容易かつ効率的に交換することが可能であり、手術における衛生上の安全性を向上することが可能とされる把持器、持針器、アタッチメントを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、対象物を把持する把持器であって、相対的に接近又は離間可能とされた挟持部が形成され前記挟持部が接近して対象物を挟持可能とされた一対の挟持アーム部材と、前記一対の挟持アーム部材が配置され前記挟持部が接近又は離間する方向に沿って形成された第1軸線周りに前記一対の挟持アーム部材を回動可能に支持する挟持アーム支持部材と、を有し、前記挟持アーム支持部材に固定して形成された第1挟持アーム部材と前記挟持アーム支持部材に前記第1軸線と直交する第2軸線周りに回動可能に配置された第2挟持アーム部材により前記一対の挟持アーム部材が構成されていて、前記第2挟持アーム部材が第2軸線回りに回動して前記第1挟持アーム部材と開閉することで前記挟持部が接近又は離間するする把持部材と、先端側に前記把持部材が配置され、基端側に操作者が保持するグリップ部が形成された把持器本体と、操作者の挟持操作を入力する挟持操作部と、前記挟持操作部に入力された挟持操作を前記挟持アーム部材に伝達する挟持操作伝達部と、を有し、前記挟持操作部に入力された挟持操作によって前記挟持部を接近又は離間させる第1駆動部と、操作者の回動操作を入力する回動操作部と、前記回動操作部に入力された回動操作を前記挟持アーム支持部材に伝達する回動操作伝達部と、を有し、前記回動操作部に入力された回動操作により前記挟持アーム支持部材を前記第1軸線廻りに回動させる第2駆動部と、を備え、前記挟持操作伝達部は、湾曲可能とされたフレキシブル伝達部材を備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る把持器によれば、相対的に接近又は離間可能とされた挟持部が形成され挟持部が接近して対象物を挟持可能とされた一対の挟持アーム部材と、一対の挟持アーム部材が配置され挟持部が接近又は離間する方向に沿って形成された第1軸線周りに一対の挟持アーム部材を回動可能に支持する挟持アーム支持部材と、を有する把持部材と、先端側に把持部材が配置され、基端側に操作者が保持するグリップ部が形成された把持器本体と、操作者の挟持操作を入力する挟持操作部と、挟持操作部に入力された挟持操作を挟持アーム部材に伝達する挟持操作伝達部と、を有し、挟持操作部に入力された挟持操作によって挟持部を接近又は離間させる第1駆動部と、操作者の回動操作を入力する回動操作部と、回動操作部に入力された回動操作を挟持アーム支持部材に伝達する回動操作伝達部と、を有し、回動操作部に入力された回動操作により挟持アーム支持部材を第1軸線回りに回動させる第2駆動部と、を備え、挟持操作伝達部が湾曲可能とされたフレキシブル伝達部材を備えているので、挟持操作を伝達する際に、フレキシブル伝達部材の前後(挟持操作入力側と出力側)の接続部分の相対的な位置関係や間隔が変化しても、挟持操作を安定して伝達することができる。
また、例えば、前後の接続部分の間に干渉構造物(直線的に接続すると干渉する位置に形成された構造物を意味する)が形成されていて、前後の接続部分を直線的に接続できない場合であっても、フレキシブル伝達部材を湾曲させて前後の接続部分を直接接続することにより、接続に関わるリンクの数を少なくすることが可能となる。
その結果、前後の接続部分を連結するリンク構成が簡単になり、小型化及び軽量化することができる。また、挟持操作に関する信頼性を向上することができる。
【0014】
また、把持部材は、挟持アーム支持部材に固定して形成された第1挟持アーム部材と挟持アーム支持部材に第1軸線と直交する第2軸線周りに回動可能に配置された第2挟持アーム部材により一対の挟持アーム部材が構成されていて、第2挟持アーム部材が第2軸線回りに回動して第1アーム部材と開閉することで挟持部が接近又は離間するので、挟持アーム支持部材を簡単な構造とし、効率的に小型化及び軽量化することができる。
また、第1挟持アーム部材が挟持アーム支持部材に固定して形成され、第2挟持アーム部材だけを回動させるので、第1駆動部の挟持操作伝達部を構造な簡単にして、小型化及び軽量化することができる。また、挟持操作伝達部の信頼性を向上して、挟持操作を安定して伝達することができる。
【0015】
この明細書において、挟持部が相対的に接近又は離間されるとは、互いに平行な姿勢を保持して対向する挟持部(又は挟持面)が接近又は離間されること、挟持アーム部材が回動して開閉され、挟持部が互いの向きを変化させながら接近又は離間し接近した状態で対象物の把持に好適な姿勢で対向することを含む。
また、挟持部が相対的に接近又は離間される場合には、一対の挟持アーム部材に形成された挟持部がともに動いて接近してもよいし、一方の挟持部が動いて他方の挟持部に接近してもよい。
また、この明細書において、対象物とは、生体(一部を含む)や組織、穿孔器具、切開器具、縫合針等を含むものとする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の把持器であって、前記回動操作伝達部は、前記回動操作部側に配置される第1回動部材と、前記挟持アーム支持部材側に配置される第2回動部材と、前記第1回動部材と前記第2回動部材とを接続する接続部材と、を備え、前記第1回動部材の回動を前記第2回動部材に伝達することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る把持器によれば、回動操作伝達部が、回動操作部側に配置される第1回動部材と、挟持アーム支持部材側に配置される第2回動部材と、第1回動部材と第2回動部材とを接続する接続部材とを備え、第1回動部材の回動を第2回動部材に伝達するので、第1回動部材の回動を第2回動部材に効率的に伝達することができる。
また、第2駆動部を小型化、軽量化することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の把持器であって、前記回動操作伝達部は、前記第2回動部材の回動角度を前記第1回動部材に入力された回動角度よりも大きくする回動操作量変換機構を備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る把持器によれば、回動操作伝達部が、第2回動部材の回動角度を第1回動部材に入力された回動角度よりも大きくする回動操作量変換機構を備えているので、回動操作部における操作角度が小さくても挟持アーム部材が大きく回動される。
その結果、手術等において、容易かつ安定的に回動操作することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の把持器であって、前記挟持操作部は、前記把持器本体のグリップ部に回動可能に配置され、操作者が前記グリップ部を把持することにより前記グリップ部内に向かって挿入可能に構成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る把持器によれば、挟持操作部が、把持器本体のグリップ部に回動可能に配置され、操作者が前記グリップ部を把持することによりグリップ内に向かって挿入可能に構成されているので、効率的かつ安定的に挟持操作することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の把持器であって、前記挟持操作によって形成される挟持部の接近状態を保持する挟持操作保持機構と、前記挟持操作保持機構により保持された挟持部の接近状態を解除する挟持操作解除機構と、を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る把持器によれば、挟持操作によって形成される挟持部の接近状態を保持する挟持操作保持機構を備えているので、対象物を安定的に挟持することができる。
また、挟持操作保持機構により保持された挟持部の接近状態を解除する挟持操作解除機構を備えているので、対象物を効率的に解放することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の把持器であって、
前記把持器本体に形成され前記把持部材を着脱可能に接続する第1係合部、及び第2係合部と、を備え、前記把持部材は、前記第1係合部と係合して挟持操作に基づいて前記挟持アーム部材を作動させる第1被係合部と、前記第2係合部と係合して回動操作に基づいて前記挟持アーム部材を回動させる第2被係合部と、を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る把持器によれば、把持器本体に形成され把持部材を着脱可能に接続する第1係合部、及び第2係合部とを備え、把持部材は、第1係合部と係合して挟持操作に基づいて挟持アーム部材を作動させる第1被係合部と、第2係合部と係合して回動操作に基づいてアーム部材を回動させる第2被係合部とを備えているので、挟持アーム支持部材を容易かつ効率的に着脱することができる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、持針器であって、請求項1から6のいずれか1項に記載の把持器において、前記挟持部に縫合針と対応する縫合針挟持凹部が形成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る持針器によれば、挟持部に縫合針と対応する縫合針挟持凹部が形成されているので、縫合針を容易かつ安定して把持することができる。
その結果、狭小空間等において、縫合針を安定して把持し効率的かつ安定して運針することができる。
【0029】
請求項8に記載の発明は、対象物を把持する把持器に用いられるアタッチメントであって、相対的に接近又は離間可能とされた挟持部が形成され前記挟持部が接近して対象物を挟持可能とされた一対の挟持アーム部材と、前記一対の挟持アーム部材が配置され前記挟持部が接近又は離間する方向に沿って形成された第1軸線周りに前記一対の挟持アーム部材を回動可能に支持する挟持アーム支持部材と、を有し、前記挟持アーム支持部材に固定して形成された第1挟持アーム部材と前記挟持アーム支持部材に前記第1軸線と直交する第2軸線周りに回動可能に配置された第2挟持アーム部材により前記一対の挟持アーム部材が構成されていて、前記第2挟持アーム部材が第2軸線回りに回動して前記第1挟持アーム部材と開閉することで前記挟持部が接近又は離間するする把持部材と、請求項6に記載の第1被係合部及び第2被係合部と、を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明に係るアタッチメントによれば、把持器本体からアタッチメントを容易にかつ効率的に着脱することができる。
その結果、アタッチメントを使捨てにして、手術における衛生上の安全性を向上することができる。
【0031】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のアタッチメントであって、前記挟持部に縫合針と対応する縫合針挟持凹部が形成されていることを特徴とする。
【0032】
本発明に係るアタッチメントによれば、持針器本体からアタッチメントを容易にかつ効率的に着脱することができる。
その結果、アタッチメントを使い捨てにすることで、手術における衛生上の安全性を向上することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る把持器、持針器によれば、狭小空間等において、対象物や縫合針を安定して把持するとともに、効率的かつ安定的にハンドリングや運針することができる。
また、本発明に係る把持器、持針器によれば、簡単な構成とすることにより、軽量化、部品点数を削減することが可能とされ、高い信頼性を確保することができる。
また、本発明に係るアタッチメントによれば、挟持アーム部材を容易かつ効率的に交換することが可能であり、手術における衛生上の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態に係る持針器の概略構成を説明する正面から見た縦断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る持針器とアタッチメントの概略構成の一例を説明する図であり、右挟持アーム部材側から見た斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る持針器の概略構成を説明する図であり、右挟持アーム部材側から見た斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る持針器の概略構成を説明する図であり、左挟持アーム部材側から見た斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態の持針器に係る挟持アーム開閉駆動部の概略構成を説明する正面から見た縦断面図である。
図6A】本発明の第1実施形態の持針器に係る挟持アーム部材の動作の概略を説明する平面図であり、挟持アーム部材が開いた状態を示す図である。
図6B】本発明の第1実施形態の持針器に係る挟持アーム部材の動作の概略を説明する平面図であり、挟持アーム部材が閉じた状態を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態の持針器に係る挟持アーム回動駆動部の概略構成を説明する正面から見た縦断面図である。
図8A】本発明の第1実施形態に係る持針器の作用の一例を説明する図であり、挟持アーム部材によって縫合針を挟持した状態を示す斜視図である。
図8B】本発明の第1実施形態に係る持針器の作用の一例を説明する図であり、第1の生体組織に縫合針を突き刺した状態を示す概念図である。
図8C】本発明の第1実施形態に係る持針器の作用の一例を説明する図であり、縫合針が第1の生体組織と第2の生体組織を縫合する状態を示す概念図である。
図8D】本発明の第1実施形態に係る持針器の作用の一例を説明する図であり、第1の生体組織と第2の生体組織を縫合した縫合針を持ち替える状態を示す概念図である。
図9A】本発明の第2実施形態に係る把持器の作用の一例を説明する図であり、腹腔内において生体組織の姿勢を変更して処置する場合の第1の姿勢を示す概念図である。
図9B】本発明の第2実施形態に係る把持器の作用の一例を説明する図であり、腹腔内において生体組織の姿勢を変更して処置する場合の第2の姿勢を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<第1実施形態>
以下、図1から図8Dを参照して、この発明の第1実施形態に係る持針器について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る持針器の概略構成を説明する正面から見た縦断面図であり、符号100は持針器を、符号10は持針器本体(把持器本体)を、符号20はアタッチメントを、符号30は挟持アーム開閉駆動部(第1駆動部)を、符号40は挟持アーム回動駆動部(第2駆動部)を示している。
【0036】
持針器(把持器)100は、図1に示すように、持針器本体(把持器本体)10と、アタッチメント(把持部材)20と、挟持アーム開閉駆動部(第1駆動部)30と、挟持アーム回動駆動部(第2駆動部)40とを備えており、例えば、縫合針(対象物)を挟持して垂直接線方向(例えば、持針器100の長手方向に沿った方向)に運針できるようになっている。
なお、第1実施形態に係る持針器100は、縫合針に代えて、対象物として生体組織(一部を含む)や穿孔器具、切開器具等を把持するのに用いてもよい。
【0037】
持針器本体(把持器本体)10は、例えば、ケーシング11と、アタッチメント取付金具12と、保護パイプ13と、ガイド部材14と、パイプ取付ナット15とを備えている。
【0038】
ケーシング11は、図1に示すように、例えば、長尺に形成されたケーシング本体11Aと、ケーシング本体11Aの基端側10Bにケーシング本体11Aと一体に形成されグリップ部11Bとを備えている。また、ケーシング11は、内方に空間が形成されている。
【0039】
グリップ部11Bは、ケーシング本体11Aの基端側10Bでケーシング本体11Aと交差する方向に形成され略ピストル状の外形を有していて、操作者はグリップ部11Bを握って持針器100を操作するように構成されている。
【0040】
また、グリップ部11Bは、持針器100の基端側10Bにおいて、ケーシング本体11Aの長手方向(例えば、保護パイプ13の軸線に沿った方向)に対して交差角度θ=45°〜90°でケーシング本体11Aに接続されていることが、持針器100を安定して把持、操作するうえで好適である。
なお、交差角度θは45°未満でもよいが、交差角度θ=60°〜85°がより好適であり、交差角度θ=70°〜80°であることがさらに好適である。
【0041】
アタッチメント取付金具12は、図2図4に示すように、例えば、中央に長手方向に伸びる貫通孔12Hが形成された多段円筒状の取付金具基部12Aと、取付金具基部12Aから持針器本体10の長手方向に沿って立設された左側支持壁部12Lと、貫通孔12Hを挟んで左側支持壁部12Lと対向して形成された右側支持壁部12Rとを備えている。
そして、アタッチメント取付金具12は、保護パイプ13の先端部に取付けられている。
【0042】
取付金具基部12Aは、例えば、小径に形成されたスリーブ部を保護パイプ13に挿入して保護パイプ13と連結されるようになっている。
また、貫通孔12Hは、挟持アーム開閉駆動部(第1駆動部)30の一部が、保護パイプ13から持針器本体10の先端側10Aに向かって露出するのを可能としている。
【0043】
左側支持壁部12Lは、図2に示すように、例えば、右側支持壁部12Rと対向する面に平坦部が形成されるととともに、持針器本体10の長手方向(例えば、保護パイプ13の軸線)と直交するとともに上記平坦部の中央部を通過して右側支持壁部12Rに向かって伸びる回動軸線(第1軸線)O21と対応して、回動軸線O21に沿って見たときに円形とされ右側支持壁部12R側に突出する回動支持軸(第2係合部)12Jが形成されている。
【0044】
右側支持壁部12Rは、図2に示すように、例えば、左側支持壁部12Lと対向する面に平坦部が形成されるととともに、この平坦部の中央部に回動軸線O21を中心とする回動軸支持孔12Sが形成されている。そして、回動軸支持孔12Sには、後述する挟持アーム回動駆動部40の回動プーリ45が回動可能に支持されるようになっている。
【0045】
保護パイプ13は、図1に示すように、例えば、円筒状のステンレスパイプにより形成されていて、挟持アーム開閉駆動部(第1駆動部)30及び挟持アーム回動駆動部(第2駆動部)40の一部が収容され、これらをケーシング本体11Aから持針器本体10の先端側10Aに案内するようになっている。
【0046】
そして、保護パイプ13は、挟持アーム開閉駆動部30及び挟持アーム回動駆動部40が生体組織との接触するのを防止するとともに、これらが外力によって破損するのを抑制するようになっている。
【0047】
ガイド部材14は、図1に示すように、例えば、取付部材(不図示)によってケーシング本体11Aに取付けられていて、持針器本体10の長手方向に沿って見たときの中央部に、持針器本体10の長手方向(例えば、保護パイプ13の軸線に沿った方向)にガイド孔14Hが形成されている。
【0048】
ガイド孔14Hは、後述する挟持アーム開閉駆動部30を構成するガイドスライド34を摺動可能に形成されている。
また、ガイド孔14Hの先端側10Aには、保護パイプ装着孔14Sが形成されていて、保護パイプ装着孔14Sには、保護パイプ13を挿入して装着するようになっている。
【0049】
また、ガイド部材14は、先端側10Aにネジ部14Aが形成されていて、ガイド部材14をケーシング11に装着したときに、ケーシング本体11Aの先端側10Aからネジ部14Aが突出するようになっている。
そして、保護パイプ13を保護パイプ装着孔14Sに挿入して取付けて、袋ナット状のパイプ取付ナット15をネジ部14Aに装着することにより、保護パイプ13をケーシング本体11Aに固定するようになっている。
【0050】
次に、図2から図4を参照して、第1実施形態に係るアタッチメント(把持部材)20について説明する。図において、符号21は一対の挟持アーム部材(以下、挟持アーム部材という場合がある)を、符号21Lは左挟持アーム部材を、符号21Rは右挟持アーム部材を示している。
【0051】
図2は、第1実施形態に係る持針器とアタッチメントの概略構成の一例を説明する図であり、右挟持アーム部材21R側から見た斜視図である。また、図3図4は、持針器100の概略構成を説明する右挟持アーム部材21R側及び左挟持アーム部材21L側から見た概略構成を説明する斜視図である。
【0052】
アタッチメント(把持部材)20は、図2から図4に示すように、例えば、挟持アーム部材21と、挟持アーム支持部材(支持部材)24と、復帰スプリング26と、挟持アーム回動支持軸21Jと、D形キー受部(第1被係合部)28U、E形止め輪(第2被係合部)28Eとを備えている。
挟持アーム部材21は、図2から図4に示すように、例えば、左挟持アーム部材21Lと、右挟持アーム部材21Rとを備えている。
【0053】
左挟持アーム部材21Lは、先端側が次第に細くなる長尺に形成されていて、先端部には挟持面(挟持部)22Lが形成されるとともに挟持面22LにはV字状の断面を有する縫合針挟持凹部23が形成されている。
また、左挟持アーム部材21Lは、長手方向の途中が回動支持軸21Jによって回動軸線(第2軸線)O11周りに回動可能に支持されていて、可動挟持アーム部材をなしている。
【0054】
右挟持アーム部材21Rは、先端側が次第に細くなる長尺に形成され、先端部には挟持面(挟持部)22Rが形成されるとともに挟持面22RにはV字状の断面を有する縫合針挟持凹部23が形成されている。
また、この実施形態では、右挟持アーム部材21Rは基端側が挟持アーム支持部材(支持部材)24と一体に形成され、挟持アーム支持部材24に対して固定され、固定挟持アーム部材をなしている。
【0055】
そして、左挟持アーム部材21Lが回動軸線O11周りに回動されることで、左挟持アーム部材21Lの挟持面22Lと、右挟持アーム部材21Rの挟持面22Rが接近又は離間するようになっている。
その結果、一対の挟持アーム部材21は開閉されて、対象物を挟持するようになっている。
【0056】
挟持アーム支持部材(支持部材)24は、図2から図4に示すように、操作者から見て左側に位置される接続壁部24Lを備えていて、操作者から見て右側に位置され接続壁部24Lと対向する位置には挟持アーム部材21Rが配置されている。
【0057】
また、挟持アーム部材21Rの持針器本体10側にはD形キー受部(第1被係合部)28Uが形成され接続壁部24Lの持針器本体10側にはE形止め輪(第2被係合部)28Eが形成されている。
【0058】
D形キー受部(第1被係合部)28Uは、回動プーリ45のDカット接続部(第1係合部)45Dと対応して形成された凹部とされていて、Dカット接続部45Dが収容(係合)されることで、D形キー受部28UとDカット接続部45Dが係合して回動プーリ45に装着されるようになっている。
【0059】
その結果、D形キー受部(第1被係合部)28Uと、Dカット接続部(第1係合部)45Dとは、持針器本体10にアタッチメント20を着脱自在に接続するための第1接続部を構成し、アタッチメント20を回動プーリ45により回動軸線O21周りに回動可能とされている。
【0060】
E形止め輪(第2被係合部)28Eは、例えば、接続壁部24Lに形成され、回動支持軸(第2係合部)12Jが挿入可能なサイズに形成された内周が円弧状に形成された円弧状凹部と円弧状凹部から径方向外方に放射状に延びる複数(例えば、3つ)の凹部とを備え、この複数の凹部の間に形成された凸部が弾性変形することにより回動支持軸12Jが収容可能とされている。
【0061】
その結果、E形止め輪(第2被係合部)28Eと、回動支持軸12Jとは、持針器本体10にアタッチメント20を着脱自在に接続するための第2接続部を構成し、アタッチメント20が回動軸線O21周りに回動するのを支持するようになっている。
なお、E形止め輪(第2被係合部)28Eは、例えば、JIS B 2805(1978)に規定されたものが適用可能である。
【0062】
また、D形キー受部(第1被係合部)28U及びE形止め輪(第2被係合部)28Eは被係合部28を構成し、Dカット接続部(第1係合部)45Dと回動支持軸(第2係合部)12Jからなる係合部とともに、持針器本体10とアタッチメント20の接続部を構成する。
その結果、持針器本体10からアタッチメント20を容易にかつ効率的に着脱することができる。
【0063】
復帰スプリング26は、例えば、引張りバネ(コイルスプリング)からなり、バネ取付ピン26Pによって、左挟持アーム部材21Lの基端側(回動軸線O21よりも持針器本体10側)及び右挟持アーム部材21Rの基端側に取付けられて、左挟持アーム部材21Lと右挟持アーム部材21Rとを接続している。
【0064】
そして、左挟持アーム部材21Lの基端側と右挟持アーム部材21Rの基端側とを引張することにより、左挟持アーム部材21Lの挟持面22Lと右挟持アーム部材21Rの挟持面22Rとを離間する方向に付勢するようになっている。
【0065】
挟持アーム開閉駆動部(第1駆動部)30は、図5(A)に示すように、挟持操作レバー(挟持操作部)31と、挟持操作伝達部32と、挟持操作レバー付勢バネ32Sと、第1フレキシブル伝達部材33と、ガイドスライド34と、第2フレキシブル伝達部材35と、挟持アーム部材作動レバー36と、接続ホイール37と、挟持操作解除レバー38と、挟持操作解除レバー付勢バネ38Sとを備えている。
【0066】
また、この実施形態において、例えば、接続ホイール37、挟持操作伝達部32、第1フレキシブル伝達部材33、ガイドスライド34、第2フレキシブル伝達部材35、挟持アーム部材作動レバー36は、挟持操作レバー31からこの順に接続されていて、挟持操作伝達部を構成している。
【0067】
挟持操作レバー(挟持操作部)31は、例えば、軸線O13周りに回動可能に支持された接続ホイール37に接続されるとともに、接続ホイール37を介して持針器本体10のグリップ部11Bに配置されている。
【0068】
そして、挟持操作レバー31は、操作者が矢印T11方向に押圧されると、軸線O13周りに回動され、回動による姿勢変化部分がグリップ部11Bの内方に挿入されるようになっている。
【0069】
挟持操作レバー付勢バネ32Sは、例えば、ぜんまいバネによって構成されていて、挟持操作レバー31を矢印T11と反対向きに付勢している。
【0070】
挟持操作伝達部32は、例えば、接続ホイール37を介して挟持操作レバー31と接続され、軸線O13を挟んで挟持操作レバー31と略反対側に向かって延在している。そして、挟持操作レバー31が矢印T11方向に押圧されると、矢印T111方向に回動するようになっている。
【0071】
第1フレキシブル伝達部材33は、例えば、湾曲可能に形成された金属線や樹脂線を含んで構成されていて、第1伝達部材入力部33Aと、第1伝達部材出力部33Bとを備えている。
【0072】
第1フレキシブル伝達部材33は、図5(A)に示すように、第1伝達部材入力部33Aが挟持操作伝達部32の先端部に互いの姿勢を変化可能に接続され、第1伝達部材出力部33Bがガイドスライド34の基端側に互いの姿勢を変化可能に接続されている。
【0073】
なお、第1フレキシブル伝達部材33の材料は任意に設定可能であるが、チタン線やピアノ線等、あるいは細く形成された金属帯、樹脂線、樹脂帯等が好適である。
【0074】
第2フレキシブル伝達部材35は、例えば、湾曲可能に形成された金属線や樹脂線を含んで構成されていて、第2伝達部材入力部35Aと、第2伝達部材出力部35Bとを備えている。
【0075】
第2フレキシブル伝達部材35は、図5(A)に示すように、第2伝達部材入力部35Aがガイドスライド34の先端部に互いの姿勢を変化可能に接続され、第2伝達部材出力部35Bが挟持アーム部材作動レバー36に互いの姿勢を変化可能に接続されている。
【0076】
なお、第2フレキシブル伝達部材35の材料は任意に設定可能であるが、チタン線やピアノ線等、あるいは細く形成された金属帯、樹脂線、樹脂帯等が好適である。
【0077】
挟持アーム部材作動レバー36は、図2図4に示すように、入力アーム部36Aと、出力アーム部36Bと、軸線O12と同軸に配置された回動軸部36Jと、取付ピン36Pと、挟持アーム作動凸部36Cとを備えている。
入力アーム部36Aと出力アーム部36Bは、回動軸部36Jを介して略L字状に接続されていて、回動軸部36J周りに回動可能とされている。
【0078】
また、入力アーム部36Aの先端部には、第2伝達部材出力部35Bが取付ピン36Pによって接続されている。
また、挟持アーム作動凸部36Cは、出力アーム部36Bの先端近傍に略半球状の球面が突出して形成されていて、左挟持アーム部材21Lの基端側に形成された挟持操作力受面を押圧可能とされている。
【0079】
接続ホイール37は、例えば、略円板状に形成されていて、軸線O13と同軸配置された軸部31Jに接続され、挟持操作レバー31の操作量(回動角度)に応じてケーシング11に対して回動されるようになっている。
【0080】
また、接続ホイール37は、例えば、外周に一つ又は複数のラチェット爪37Aが形成されていて、挟持操作レバー31の操作量(回動角度)に応じてラチェット爪37Aも軸線O13周りに回動するようになっている。
【0081】
挟持操作解除レバー38は、図5(A)に示すように、軸線O14と同軸に配置された支持軸38Jに接続されていて、矢印T3方向に押圧することにより軸線O14周りに回動するようになっている。
【0082】
挟持操作解除レバー付勢バネ38Sは、例えば、ぜんまいバネにより構成されていて、挟持操作解除レバー38を矢印T3と反対向きに付勢するように構成されている。
その結果、ラチェット爪38Aを接続ホイール37側に付勢して、ラチェット爪37Aが所定位置にあるときに、ラチェット爪38Aがラチェット爪37Aと係合して、接続ホイール37が軸線O13周りの所定の周方向位置で係止されるようになっている。
【0083】
また、ラチェット爪38Aがラチェット爪37Aと係合して所定位置で係止された接続ホイール37は、挟持操作解除レバー38を挟持操作解除レバー付勢バネ38Sの付勢に反して矢印T3方向に押圧することにより、ラチェット爪38Aとラチェット爪37Aの係合が解除される。
【0084】
ラチェット爪38Aとラチェット爪37Aの係合が解除された接続ホイール37は、挟持操作レバー付勢バネ32Sによって軸線O13周りに矢印T111と反対向きに回動されて、挟持操作解除レバー付勢バネ38Sにより挟持操作解除レバー38が回動されてラチェット爪38Aが接続ホイール37に押圧されてもラチェット爪38Aはラチェット爪37Aと係合することはなく、挟持操作レバー31及び接続ホイール37は自由になり、その結果、挟持アーム部材21が開いた状態となる。
【0085】
この実施形態において、接続ホイール37、ラチェット爪37A,挟持操作解除レバー38、ラチェット爪38A、挟持操作解除レバー付勢バネ38Sは、挟持操作保持機構及び挟持操作解除機構を構成する。
【0086】
なお、図5(B)の変形例に示すように、例えば、フレキシブル伝達部材39の入力部39Aを挟持操作伝達部32に接続し、出力部39Bを挟持動作レバー36に接続することにより、挟持アーム開閉駆動部30が、挟持操作伝達部32と挟持動作レバー36を直接接続するひとつのフレキシブル伝達部材39を備える構成としてもよい。
【0087】
そして、挟持操作レバー31を矢印T11方向に操作していない状態では、図6Aに示すように、復帰バネ26が左挟持アーム部材26Lの基端側を引張するので、挟持アーム部材21は開いた状態となり、左挟持アーム部材21Lは右挟持アーム部材21Rから離間する。
【0088】
また、図6Bに示すように、挟持操作レバー31を矢印T11方向に操作すると、第2フレキシブル伝達部材35が前進して挟持動作レバーを軸線O12周りに回動させ、作動凸部36Cが受け部21Aを押圧する。その結果、左挟持アーム部材21Lが回動軸線O11周りに矢印R11方向に回動されて挟持アーム部材21は閉じた状態となる。
【0089】
次に、図7を参照して、挟持アーム回動駆動部(第2駆動部)について説明する。
図7は、第1実施形態の持針器に係る挟持アーム回動駆動部の概略構成を説明する正面から見た縦断面図である。
【0090】
挟持アーム回動駆動部(第2駆動部)40は、図7に示すように、例えば、回動操作レバー(回動操作部)41と、駆動プーリ(第1回動部材)44と、回動プーリ(第2回動部材)45と、テンションプーリ46と、ワイヤ(接続部材)47とを備えている。
【0091】
そして、駆動プーリ44、ワイヤ47、回動プーリ45は、回動操作レバー41からこの順に接続され、テンションプーリ46は、ワイヤ47の外方に配置され、ワイヤ47を外方から押圧することによりワイヤ47にテンションを付加することで、駆動プーリ44から回動プーリ45に回動操作が効率的に伝達するようになっている。
なお、駆動プーリ44、ワイヤ47、回動プーリ45、テンションプーリ46は、回動操作伝達部を構成する。
【0092】
回動操作レバー(回動操作部)41は、例えば、略T字状に形成されていて、軸線O22と同軸配置された回動軸41J周りに回動可能とされている。
【0093】
駆動プーリ(第1回動部材)44は、回動操作レバー41と接続されていて、回動操作レバー41を操作することにより、回動軸41J周りに回動操作レバー41とともに回動するようになっている。
また、駆動プーリ44にはワイヤ装着溝(不図示)が形成されていて、ワイヤ装着溝に巻回されたワイヤ47が回動操作レバー41の操作量に応じて周回するようになっている。
【0094】
回動プーリ(第2回動部材)45は、多段円柱状に形成されていて、同軸に配置されたワイヤ装着溝45Uと、プーリ回動軸45Jと、Dカット接続部(第1係合部)45Dとを備えている。
【0095】
ワイヤ装着溝45Uは、ワイヤ47が巻回されていて、駆動プーリ44から回動操作が伝達されるようになっている。
【0096】
プーリ回動軸45Jは、回動軸支持孔12Sに回動可能に嵌装されていて、ワイヤ装着溝45UとDカット接続部(第1係合部)45Dを回動軸線O21周りに回動可能としている。
【0097】
Dカット接続部(第1係合部)45Dは、回動プーリ45の外周に平行に形成された一対により構成される平行キーであり、アタッチメント20のD形キー受部(第1被係合部)28Uと係合可能とされている。
【0098】
ワイヤ(接続部材)47は、リング状に形成されていて、駆動プーリ44のワイヤ装着溝と、回動プーリ45のワイヤ装着溝45Uに巻回され、駆動プーリ44の回動を回動プーリ45に伝達するようになっている。
【0099】
また、例えば、駆動プーリ44のワイヤ装着溝の軸線O22を中心とする半径は、回動プーリ45のワイヤ装着溝45Uに対して1.0を超えて4.0倍に設定されていて、回動プーリ45の回動角度は、駆動プーリ44の回動角度よりも大きくなるように構成されていることが好適である。このように、駆動プーリ44と回動プーリ45とは回動操作量変換機構を構成している。
なお、回動操作量変換機構の変換比(出力角度/入力角度)は、対象とする手術に応じて任意に設定することが好適であり、例えば、1.0を超えて3.0以下の範囲あるいは1.0を超えて2.0以下の範囲の比率に設定してもよい。
【0100】
その結果、回動操作伝達部が、回動プーリ45の回動角度が駆動プーリ44に入力された回動角度よりも大きくなり、回動操作レバー41から入力する操作角度が小さくても挟持アーム部材21が大きく回動され、手術等において、容易かつ安定的に回動操作することができるようになっている。
【0101】
持針器100、かかる構成により、回動操作レバー41を矢印T21方向に操作すると挟持アーム部材21が矢印R21方向に回動され、回動操作レバー41を矢印T22方向に操作すると挟持アーム部材21が矢印R22方向に回動される。
【0102】
次に、図8A図8Dを参照して、持針器100による縫合針110の運針について説明する。図8A図8Dにおいて、符号110は縫合針を、符号111は縫合糸を示している。図8A図8Dは、第1実施形態に係る持針器の作用の一例を説明する図であり、図8Aは挟持アーム部材によって縫合針を挟持した状態を、図8Bは、第1の生体組織に縫合針を突き刺した状態を、図8Cは、縫合針が第1の生体組織と第2の生体組織を縫合する状態を、図8Dは、第1の生体組織と第2の生体組織を縫合した縫合針を持ち替える状態を示す図である。
また、符号S1は、縫合針110を先に突き刺す第1の生体組織を、符号S2は、縫合針110が後から突き刺され、第1の生体組織S1と縫合される第2の生体組織を示している。第1の生体組織S1、第2の生体組織S2としては、例えば、血管等が該当する。
【0103】
(1)まず、図8Aに示すように、例えば、左側挟持アーム部材21Lを矢印R11方向に回動させ、挟持アーム部材21によって縫合針110を挟持する。
そして、挟持アーム部材21を、例えば、矢印R22方向に回動する。
(2)次に、図8Bに示すように、第1の生体組織S1及び第2の生体組織S2の端部同士を接近させ、持針器100の位置及び姿勢を調整して挟持アーム部材21で挟持した縫合針110を第1の生体組織S1及び第2の生体組織S2の近傍に位置させる。
そして、挟持アーム部材21を矢印R21方向に回動して、縫合針110を長手方向に運針して第1の生体組織S1に突き刺す。
第1の生体組織S1に対する持針器100の姿勢及び位置は、運針の状況に応じて適宜調整する。
(3)次いで、図8Cに示すように、第1の生体組織S1及び第2の生体組織S2の端部同士を突き合わせ、縫合針110が第1の生体組織S1の中心近傍を通過するようにして、第1の生体組織S1から第2の生体組織S2に向かって縫合針110を運針する。
(4)次いで、図8Dに示すように、縫合針110が第1の生体組織S1及び第2の生体組織S2を通過して、縫合針110の先端部が第2の生体組織S2から突出したら、挟持アーム部材21を一旦開いた状態にして、挟持アーム部材21から縫合針110を放す。
そして、縫合針110の先端側を挟持し直すとともに縫合針110を第2の生体組織S2から引き抜いて、縫合糸111によって第1の生体組織S1と第2の生体組織S2を接続する。
上記(1)から(4)の動作を繰り返して、第1の生体組織S1と第2の生体組織S2の端部同士を縫合する。
【0104】
第1実施形態に係る持針器100によれば、第1フレキシブル伝達部材33、第2フレキシブル伝達部材35を備えていて、挟持操作を伝達する際に、第1フレキシブル伝達部材33、第2フレキシブル伝達部材35の前後の入力部33A、35A、出力部33B、35Bの相対的な位置関係や間隔が変化しても、挟持操作を安定して伝達することができる。
【0105】
また、第1実施形態に係る持針器100によれば、例えば、第1フレキシブル伝達部材33、第2フレキシブル伝達部材35の前後に干渉構造物が配置されていても、第1フレキシブル伝達部材33、第2フレキシブル伝達部材35が湾曲することで接続に関わるリンクの数を少なくすることが可能となる。
その結果、リンク構成が簡単になり、小型化及び軽量化することができる。また、挟持操作に関する信頼性を向上することができる。
【0106】
また、第1実施形態に係る持針器100、アタッチメント20によれば、挟持アーム支持部材24に固定して形成された右挟持アーム部材21Rと回動軸線O21周りに回動可能に配置された左挟持アーム部材21Lにより挟持面22L、22Rが接近又は離間するので、構造が簡単となり、効率的に小型化及び軽量化することができる。また、挟持操作伝達部の信頼性を向上して、挟持操作を安定して伝達することができる。
【0107】
また、第1実施形態に係る持針器100によれば、挟持操作レバー31が、グリップ部11B内に向かって挿入可能に構成されているので、効率的かつ安定的に挟持操作することができる。
【0108】
また、第1実施形態に係る持針器100、アタッチメント20によれば、挟持操作によって形成される挟持面22L、22Rの接近状態を保持する挟持操作保持機構を備えているので、縫合針110を安定的に挟持することができる。
また、挟持操作保持機構により保持された挟持面22の接近状態を解除する挟持操作解除機構を備えているので、縫合針110を効率的に解放することができる。
【0109】
また、第1実施形態に係る持針器100、アタッチメント20によれば、D形キー受部28U及びE形止め輪28E、Dカット接続部45D、回動支持軸12Jが持針器本体10とアタッチメント20の接続部を構成するので、持針器本体10とアタッチメント20とを容易にかつ効率的に着脱することができる。
【0110】
また、第1実施形態に係る持針器100及びアタッチメント20によれば、挟持面22に縫合針挟持凹部23が形成されているので、縫合針110を容易かつ安定して把持することができる。
その結果、狭小空間等において、縫合針110を安定して把持し効率的かつ安定して運針することができる。
【0111】
また、第1実施形態に係る持針器100及びアタッチメント20によれば、持針器本体10からアタッチメント20を容易にかつ効率的に着脱することができる。
その結果、アタッチメント20をディスポーザブルにして、手術における衛生上の安全性を向上することができる。
【0112】
<第2実施形態>
次に、図8A図8Bを参照して、本発明の第2実施形態に係る把持器100Aの使用方法の一例について説明する。
図9A図9Bは、本発明の第2実施形態に係る把持器100Aの作用の一例を説明する図であり、例えば、腹腔内において、生体組織Y1、Y2の奥側に位置する血管Y3の姿勢を変更して処置する場合の一例を示す概念図である。
【0113】
図9A図9Bにおいて、符号20Aはアタッチメント(把持部材)を、符号120は、腹腔手術において腹腔内に把持器100Aを挿入する際に用いるトロカーを示している。なお、第2実施形態に係る把持器100Aは、アタッチメント(把持部材)20Aの把持部に縫合針挟持凹部23が形成されていない点で第1実施形態と相違し、その他の構成については、第1実施形態に係る持針器100と同様であるので、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0114】
(1)まず、図9Aに示すように、トロカー120を介して腹腔内に把持器100Aの先端側を挿入して、アタッチメント20Aを生体組織(例えば、臓器)Y1、Y2の奥側に位置させる。このとき、一対の挟持アーム部材21は挟持操作保持機構により閉じた状態とされている。
(2)次に、例えば、挟持操作解除レバー(挟持操作解除機構)38を矢印T3方向に押圧してラチェット爪37Aとラチェット爪38A(挟持操作保持機構、不図示)の係合を解除して、挟持アーム部材21を開いた状態にする。
それから、図9Aに示すように、回動操作レバー41を矢印T22方向に操作して、挟持アーム部材21を矢印R22方向に回動させて挟持アーム部材21を血管Y3の近傍に位置させる。
(3)次いで、図9Aに示すように、挟持操作レバー(挟持操作部)31を矢印T11方向に操作して、挟持アーム部材21を閉じて血管Y3を把持する。このとき、ラチェット爪37Aとラチェット爪38A(挟持操作保持機構、不図示)が係合して、挟持アーム部材21は閉じた状態が保持される。
(4)次に、図9Bに示すように、回動操作レバー(回動操作部)41を矢印T21方向に操作して、血管Y3を挟持したまま挟持アーム部材21を矢印R21方向に回動させて、血管Y3の向きを変える。その後、引き続いて、血管Y3に対して所望の処置を施す。
【0115】
以上のように、持針器100Aを使用することにより、例えば、血管をはじめとする生体の一部や生体組織の姿勢を容易かつ安定して変えることが可能となり、挟小空間内の小さなスペースにおける対象物の把持や向き変更等、困難な手技を効率的に行うことができる。
【0116】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることができる。
例えば、挟持アーム開閉駆動部(第1駆動部)30、挟持アーム回動駆動部(第2駆動部)40が、上記構成に限定されないことはいうまでもない。
また、把持部材がアタッチメント20として着脱可能である必要はない。
【0117】
また、上記実施形態においては、例えば、挟持アーム開閉駆動部(第1駆動部)30が、第1フレキシブル伝達部材33と第2フレキシブル伝達部材35とを備え、ガイドスライド34を介して接続されている場合と、ひとつのフレキシブル伝達部材39を備える場合について説明したが、フレキシブル伝達部材の数、配置については任意に設定することが可能であり、例えば、3つ以上の複数のフレキシブル伝達部材を備える構成としてもよい。
【0118】
また、上記実施形態においては、フレキシブル伝達部材としてチタン線又はピアノ線を例示したが、湾曲した状態で挟持操作力を伝達することが可能であれば、その他の金属線や細長い金属帯、樹脂線、細長い樹脂帯等、任意に設定することができる。
【0119】
また、上記実施の形態においては、一対の挟持アーム部材21のうち右挟持アーム部材21Rが固定され、左挟持アーム部材21Lが回動支持軸21J周りに回動可能とされている場合について説明したが、左挟持アーム部材21L、右挟持アーム部材21Rが共用する回動支持軸を配置して、左挟持アーム部材21L、右挟持アーム部材21Rがこの回動支持軸の周りにそれぞれ回動する構成としてもよい。
【0120】
また、左右の挟持アーム部材21L、21Rにそれぞれ回動支持軸が設けられ、この回動支持軸周りに挟持アーム部材21L、21Rがそれぞれ回動して挟持アーム部材21が開閉される構成としてもよい。
【0121】
また、挟持アーム部材21が回動動作により開閉されて挟持面(挟持部)22が接近、離間するのに代えて、例えば、左右の挟持アーム部材21L、21Rをラックアンドピニオン等により連結して、挟持面(挟持部)22同士が互いに平行に対向する状態を維持しながら、左挟持アーム部材21L、右挟持アーム部材21Rが接近、離間する構成としてもよい。
【0122】
また、上記実施の形態においては、挟持アーム開閉駆動部(第1駆動部)30及び挟持アーム回動駆動部(第2駆動部)40が、アタッチメント20と独立して構成されている場合について説明したが、アタッチメント20が挟持アーム開閉駆動部30、挟持アーム回動駆動部40の一部の構成を含んだ構成とされてもよい。
【0123】
また、上記実施の形態においては、持針器100が挟持操作保持機構及び挟持操作解除機構を備える場合について説明したが、挟持操作保持機構及び挟持操作解除機構を備えるかどうかは任意に設定することができる。
【0124】
また、上記実施の形態においては、接続ホイール37、ラチェット爪37A,挟持操作解除レバー38、ラチェット爪38A、挟持操作解除レバー付勢バネ38Sが、挟持操作保持機構及び挟持操作解除機構を構成する場合について説明したが、ラチェット以外のロック機構を用いて操作保持機構及び挟持操作解除機構を構成してもよい。
【0125】
また、上記実施の形態においては、アタッチメント20が、D形キー受部(第1被係合部)28U及びE形止め輪(第2被係合部)28Eによって持針器本体10と接続される場合について説明したが、アタッチメント20と持針器本体10との接続(接続部の構成)については任意に設定することができる。
【0126】
また、上記実施の形態においては、挟持アーム回動駆動部(第2駆動部)40が、駆動プーリ(第1回動部材)44と、回動プーリ(第2回動部材)45と、テンションプーリ46と、ワイヤ(接続部材)47とを備える場合について説明したが、例えば、回動可能とされたレバーと、フレキシブル伝達部材又は湾曲等を伴わないロッド等を有するリンク機構を適用してもよい。
【0127】
また、駆動プーリ(第1回動部材)44、回動プーリ(第2回動部材)45、テンションプーリ46、ワイヤ(接続部材)47に代えて、一対のスプロケット及びチェーンを適用してもよい。
また、テンションプーリ46を設けるかどうかは任意に設定することができる。
【0128】
また、上記実施形態においては、持針器100が、回動操作量を大きくする回動操作量変換機構を備える場合について説明したが、回動操作量変換機構を備えるかどうかは任意に設定することができる。また、回動操作量を小さくする回動操作量変換機構を備えてもよい。
【0129】
また、上記実施形態においては、駆動プーリ44と回動プーリ45のワイヤ装着溝の半径によって回動操作量変換機構を構成する場合について説明したが、回動操作量変換機構の構成はリンクによるレバー比を用いてもよく、任意に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明に係る把持器、持針器、及びアタッチメントによれば、狭小空間等において、対象物や縫合針を把持して、対象物や縫合針を効率的かつ安定して回動、運針することができるので、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0131】
O11 回動軸線(第2軸線)
O21 回動軸線(第1軸線)
10 持針器本体(把持器本体)
10A 先端側
10B 基端側
11 ケーシング
11A ケーシング本体
11B グリップ部
12 アタッチメント取付金具
12J 回動支持軸
14 ガイド部材
20 アタッチメント(把持部材)
20A アタッチメント(把持部材)
21 挟持アーム部材(一対の挟持アーム部材)
21L 左挟持アーム部材
21R 右挟持アーム部材
22、22L、22R 挟持面(挟持部)
23 縫合針挟持凹部
24 挟持アーム支持部材
26 復帰バネ
28 被係合部
28U D形キー受部(第1被係合部)
28E E形止め輪(第2被係合部)
30 挟持アーム開閉駆動部(第1駆動部)
31 挟持操作レバー(挟持操作部)
33 第1フレキシブル伝達部材
34 ガイドスライド
35 第2フレキシブル伝達部材
36 挟持動作レバー
36J 回動軸部
37 接続ホイール(挟持操作保持機構)
37A ラチェット爪(挟持操作保持機構)
38 挟持操作解除レバー(挟持操作解除機構)
38A ラチェット爪(挟持操作保持機構)
38S 挟持操作解除レバー付勢バネ(挟持操作保持機構)
39 フレキシブル伝達部材
40 挟持アーム回動駆動部(第2駆動部)
41 回動操作レバー(回動操作部)
44 駆動プーリ(第1回動部材)
45 回動プーリ(第2回動部材)
45D Dカット接続部(第1係合部)
45J プーリ回動軸
45U ワイヤ装着溝
46 テンションプーリ
47 ワイヤ(接続部材)
100 持針器
100A 把持器
110 縫合針(対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B