特許第6622170号(P6622170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本特殊陶業株式会社の特許一覧

特許6622170複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材
<>
  • 特許6622170-複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材 図000002
  • 特許6622170-複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材 図000003
  • 特許6622170-複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材 図000004
  • 特許6622170-複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材 図000005
  • 特許6622170-複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材 図000006
  • 特許6622170-複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材 図000007
  • 特許6622170-複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622170
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20191209BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20191209BHJP
   C04B 37/02 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H02N13/00 D
   C04B37/02 A
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-206974(P2016-206974)
(22)【出願日】2016年10月21日
(65)【公開番号】特開2018-67682(P2018-67682A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦
【審査官】 石丸 昌平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−118042(JP,A)
【文献】 特開2000−107969(JP,A)
【文献】 特開2002−083862(JP,A)
【文献】 特開2009−071023(JP,A)
【文献】 特開平09−031424(JP,A)
【文献】 特開2015−187237(JP,A)
【文献】 特開2002−309195(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0348816(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C04B 37/02
H02N 13/00
C09J 7/00−7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤層と、該接着剤層の第1主面を覆うように貼り付けられた第1カバー層と、前記接着剤層の第2主面を覆うように貼り付けられた第2カバー層と、を備えた接着部材を用いて、複合部材を製造する複合部材の製造方法において、
前記第1カバー層及び前記第2カバー層のうち、少なくとも前記第1カバー層は、溶液により溶ける性質を有するものであり、且つ、前記接着剤層は、前記溶液には溶けない又は前記第1カバー層より溶けにくい性質を有するものであり、
前記接着部材の前記第1カバー層を前記溶液によって溶かして除去して、前記接着剤層の前記第1主面を露出させる工程と、
前記接着剤層の露出した前記第1主面に、所定部材を接着する工程と、
を有することを特徴とする複合部材の製造方法。
【請求項2】
前記接着部材の前記第2カバー層を除去して、前記接着剤層の前記第2主面を露出させる工程と、
前記接着剤層の露出した前記第2主面に、前記所定部材とは異なる他の所定部材を接着する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の複合部材の製造方法。
【請求項3】
前記第2カバー層は、溶液により溶ける性質を有するものであり、
前記接着部材の前記第2カバー層を前記溶液によって溶かして除去して、前記接着剤層の前記第2主面を露出させることを特徴とする請求項2に記載の複合部材の製造方法。
【請求項4】
前記第2カバー層に接触して前記接着部材を保持する保持部材を用いることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の複合部材の製造方法。
【請求項5】
前記保持部材は、真空吸着又は粘着により前記接着部材を保持することを特徴とする請求項に記載の複合部材の製造方法。
【請求項6】
前記第2カバー層の厚みは、前記第1カバー層の厚みより大であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の複合部材の製造方法。
【請求項7】
前記接着部材として、少なくとも第1接着部材と第2接着部材とを用い、
前記第1接着部材の前記接着剤層の前記第1カバー層を溶かして除去して、露出した前記接着剤層の前記第1主面に前記所定部材を接着する工程と、
前記第2接着部材の前記接着剤層の前記第1カバー層を溶かして除去して、露出した前記接着剤層の第1主面に、前記所定部材とは異なる他の所定部材を接着する工程と、
前記第1接着部材の前記接着剤層の前記第2カバー層を除去して、露出した前記接着剤層の前記第2主面と、前記第2接着部材の前記接着剤層の前記第2カバー層を除去して、露出した前記接着剤層の前記第2主面と、を接着する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の複合部材の製造方法。
【請求項8】
前記請求項1〜のいずれか1項に記載の接着部材を用いて、静電チャックの吸着用電極が配置されたセラミック基板と金属基板とを接着する静電チャックの製造方法であって、
前記接着部材の前記第1カバー層を溶かして除去して露出させた前記接着剤層の前記第1主面に、前記セラミック基板又は前記金属基板を接着し、
前記接着部材の前記第2カバー層を取り除いて露出させた前記接着剤層の前記第2主面に、前記金属基板又は前記セラミック基板をそれぞれ接着することを特徴とする静電チャックの製造方法。
【請求項9】
前記請求項7に記載の接着部材を用いて、静電チャックの吸着用電極が配置されたセラミック基板と金属基板とを接着する静電チャックの製造方法であって、
前記第1接着部材の前記接着剤層の前記第1カバー層を溶かして除去して露出させた前記接着剤層の前記第1主面に、前記セラミック基板を接着する工程と、
前記第2接着部材の前記接着剤層の前記第1カバー層を溶かして除去して露出させた前記接着剤層の第1主面に、前記金属基板を接着する工程と、
前記第1接着部材の前記接着剤層の前記第2カバー層を除去して、露出した前記接着剤層の前記第2主面と、前記第2接着部材の前記接着剤層の前記第2カバー層を除去して、露出した前記接着剤層の前記第2主面と、を接着する工程と、
を有することを特徴とする静電チャックの製造方法。
【請求項10】
接着剤層と、該接着剤層の第1主面を覆うように貼り付けられた第1カバー層と、前記接着剤層の第2主面を覆うように貼り付けられた第2カバー層と、を備えた接着部材において、
前記第1カバー層及び前記第2カバー層のうち、少なくとも前記第1カバー層は、溶液により溶ける性質を有するものであり、
且つ、前記接着剤層は、前記溶液よって溶けない性質又は前記第1カバー層より溶けにくい性質を有し、
前記接着部材は、前記接着剤層によって、静電チャックの吸着用電極が配置されたセラミック基板と金属基板とを接着するために用いられるものであることを特徴とする接着部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばセラミック部材と金属部材とを接合した複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体製造装置では、半導体ウェハ(例えばシリコンウェハ)に対して、ドライエッチング(例えばプラズマエッチング)等の処理が行われている。このドライエッチングの精度を高めるためには、半導体ウェハを確実に固定しておく必要があるので、半導体ウェハを固定する半導体製造用部品として、静電引力によって半導体ウェハを固定する静電チャックが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
この種の静電チャックとしては、セラミック基板の下面(接合面)に、例えば樹脂材料等からなる接着剤層を介して、クーリングプレートとして機能する金属基板が接合されたものが知られている。
【0004】
前記接着剤層の材料としては、例えばシリコーン樹脂等からなる熱硬化型接着剤が使用されている。この熱硬化型接着剤を使用する場合には、例えば、金属基板の上面(接合面)に、粘性を有する熱硬化型接着剤を塗布し、その上にセラミック基板を被せ、圧力を加えながら加熱して熱硬化型接着剤を硬化させて、セラミック基板と金属基板とを接合していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−165267号公報
【特許文献2】特許第4409373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、これとは別に、セラミック基板と金属基板とを接合する技術として、セラミック基板と金属基板との間に、図7(a)に示すような接着シートP1を配置する技術が考えられる。
【0007】
この接着シートP1としては、半固形状のシート接着剤P2の一方の表面にカバーフィルムP3を配置するとともに、他方の表面にベースフィルムP4を配置したものが考えられる。
【0008】
そして、この接着シートP1を用いて、セラミック基板と金属基板とを接合する場合には、下記の手順が考えられる。
まず、接着シートP1からカバーフィルムP3を剥がし、露出したシート接着剤P2をセラミック基板に貼り付けてから、ベースフィルムP4を剥がす。同様に、他の接着シートP1からカバーフィルムP3を剥がし、露出したシート接着剤P2を金属基板に貼り付けから、ベースフィルムP4を剥がす。その後、各ベースフィルムP4を剥がすことによって露出した互いのシート接着剤P2同士を貼り合せ、その接着剤を熱硬化させること等によりセラミック基板と金属基板とを接合する。
【0009】
しかしながら、シート接着剤P2には粘着性があるので、実際にシート接着剤P2からカバーフィルムP3を剥がす場合には、図7(b)に示すように剥がれずに、図7(c)に示すように、シート接着剤P2がカバーフィルムP3側に貼り付いて持ち上げられて、ベースフィルムP4から一部が剥離することがある。
【0010】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えばセラミック部材と金属部材とを接着シートのような接着部材を用いて接合する場合に、好適に接合作業を行うことができる複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の第1局面は、接着剤層と、接着剤層の第1主面を覆うように貼り付けられた第1カバー層と、接着剤層の第2主面を覆うように貼り付けられた第2カバー層と、を備えた接着部材を用いて、複合部材を製造する複合部材の製造方法に関するものである。
【0012】
この複合部材の製造方法では、第1カバー層及び第2カバー層のうち、少なくとも第1カバー層は、溶液により溶ける性質を有するものであり、且つ、接着剤層は、溶液には溶けない又は第1カバー層より溶けにくい性質を有するものである。
【0013】
さらに、この複合部材の製造方法では、接着部材の第1カバー層を溶液によって溶かして除去して、接着剤層の第1主面を露出させる工程と、接着剤層の露出した第1主面に、所定部材を接着する工程と、を有する。
【0014】
このように、本第1局面では、少なくとも第1カバー層は、溶液により溶ける性質を有し、しかも、接着剤層は、溶液には溶けない又は第1カバー層より溶けにくい性質を有するので、第1カバー層を溶液によって溶かして除去することにより、接着剤層の第1主面を露出させることができる。よって、この接着剤層の露出した第1主面に、所定部材を接着することができる。
【0015】
つまり、本第1局面では、従来のように接着剤層から第1カバー層(例えばカバーフィルム)を持ち上げて剥がすのではなく、第1カバー層を溶液で溶かして除去して接着剤層を露出させるので、接着剤層が持ち上げられて例えばベースフィルムのような基材から剥離することを抑制できる。
【0016】
これによって、複合部材の製造(例えば静電チャックのセラミック基板と金属基板とを接合するような作業)を効率よく行うことができるという顕著な効果を奏する。
(2)本発明の第2局面では、接着部材の第2カバー層を除去して、接着剤層の第2主面を露出させる工程と、接着剤層の露出した第2主面に、所定部材とは異なる他の所定部材を接着する工程と、を有する。
【0017】
本第2局面では、接着部材の第2カバー層を例えば溶液によって溶かして除去して、接着剤層の第2主面を露出させることができる。よって、その接着剤層の露出した第2主面に、所定部材とは異なる他の所定部材を接着することができる。
【0018】
(3)本発明の第3局面では、第2カバー層は、溶液により溶ける性質を有するものであり、接着部材の第2カバー層を溶液によって溶かして除去して、接着剤層の第2主面を露出させる。
【0019】
本第3局面では、第2カバー層は、溶液により溶ける性質を有するものであるので、第1カバー層と同様に、第2カバー層を溶液によって溶かして除去することができる。
(4)本発明の第4局面では、接着部材として、少なくとも第1接着部材と第2接着部材とを用い、第1接着部材の接着剤層の第1カバー層を溶かして除去して、露出した接着剤層の第1主面に所定部材を接着する工程と、第2接着部材の接着剤層の第1カバー層を溶かして除去して、露出した接着剤層の第1主面に他の所定部材を接着する工程と、第1接着部材の接着剤層の第2カバー層を除去して、露出した接着剤層の第2主面と、第2接着部材の接着剤層の第2カバー層を除去して、露出した接着剤層の第2主面と、を接着する工程と、を有する。
【0020】
本第4局面では、第1接着部材の接着剤層の第1カバー層を溶かして除去し、接着剤層の第1主面を露出させて、所定部材を接着できる。また、第2接着部材の接着剤層の第1カバー層を溶かして除去し、接着剤層の第1主面を露出させて、他の所定部材を接着できる。
【0021】
さらに、第1接着部材では、その接着剤層の第2カバー層を除去して、接着剤層の第2主面を露出させ、第2接着部材では、その接着剤層の第2カバー層を除去して、接着剤層の第2主面を露出させることができる。これにより、第1接着部材の接着剤層の第2主面と第2接着部材の接着剤層の第2主面とを接着することにより、所定部材(例えばセラミック基板)と他の所定部材(例えば金属基板)とを容易に接着することができる。
【0022】
(5)本発明の第5局面では、第2カバー層に接触して接着部材を保持する保持部材を用いる。
本第5局面では、保持部材によって接着部材を保持するので、接着部材のハンドリングが容易である。
【0023】
(6)本発明の第6局面では、保持部材は、真空吸着又は粘着により接着部材を保持する。
本第6局面は、好適な保持部材を例示している。
【0024】
(7)本発明の第7局面では、第2カバー層の厚みは、第1カバー層の厚みより大である。
本第7局面では、例えば第1カバー層を溶かして除去しても、第2カバー層は残っているので、保持部材を使用しなくとも、接着部材のハンドリングが容易であるという利点がある。
【0025】
(8)本発明の第8局面は、第1〜第7局面のいずれかに記載の1又は複数の接着部材を用いて、静電チャックの吸着用電極が配置されたセラミック基板と金属基板とを接着する静電チャックの製造方法に関するものである。
【0026】
この静電チャックの製造方法では、接着部材の第1カバー層を溶かして除去して露出させた接着剤層の第1主面に、セラミック基板又は金属基板を接着し、接着部材の第2カバー層を取り除いて露出させた接着剤層の第2主面に、金属基板又はセラミック基板をそれぞれ接着する。
【0027】
本第8局面では、接着部材の接着剤層の第1主面に例えばセラミック基板を接着し、接着部材の接着剤層の第2主面に例えば金属基板を接着する。或いは、接着部材の接着剤層の第1主面に例えば金属基板を接着し、接着部材の接着剤層の第2主面に例えばセラミック基板を接着する。
【0028】
従って、静電チャックの製造方法の工程中に、これらの工程を採用することによって、静電チャックを容易に製造することができる。
(9)本発明の第9局面は、接着剤層と、接着剤層の第1主面を覆うように貼り付けられた第1カバー層と、接着剤層の第2主面を覆うように貼り付けられた第2カバー層と、を備えた接着部材に関するものである。
【0029】
この接着部材では、第1カバー層及び第2カバー層のうち、少なくとも第1カバー層は、溶液により溶ける性質を有し、しかも、接着剤層は、溶液よって溶けない性質又は第1カバー層より溶けにくい性質を有する。
【0030】
このように、本第9局面では、少なくとも第1カバー層は、溶液により溶ける性質を有し、しかも、接着剤層は、溶液には溶けない又は第1カバー層より溶けにくい性質を有するので、第1カバー層を溶液によって溶かして除去して、接着剤層の第1主面を露出させることができる。よって、この接着剤層の露出した第1主面に、例えば所定部材を接着することができる。
【0031】
つまり、本第9局面では、従来のように接着剤層から第1カバー層(例えばカバーフィルム)を剥がすのではなく、第1カバー層を溶液で溶かして除去して接着剤層を露出させるので、接着剤層が持ち上げられて例えばベースフィルムのような基材から剥離することを抑制できる。さらには、接着剤層の変形や厚みばらつきが増加することを抑制できる。
【0032】
これによって、この接着部材を用いることにより、複合部材の製造を効率よく行うことができるという顕著な効果を奏する。
(10)本発明の第10局面では、接着部材は、接着剤層によって、静電チャックの吸着用電極が配置されたセラミック基板と金属基板とを接着するために用いられるものである。
【0033】
本第10局面は、接着部材の好ましい用途を例示したものである。
<以下に、本発明の各構成について説明する>
・所定部材としては、セラミック基板が挙げられ、他の所定部材としては、金属基板が挙げられる。
【0034】
・主面とは、各層の厚み方向における表面のことである。
・第1カバー層としてはカバーフィルムが挙げられ、第2カバー層としては、ベースフィルムが挙げられる。
【0035】
・第1カバー層及び第2カバー層の材料としては、水やアルコール等の各種の溶液に溶ける材料が挙げられる。
また、第1カバー層及び第2カバー層の厚さとしては特に制限はないが、30μm以下では層(例えばフィルム)自体に強度がなく扱いにくいため、また、200μm以上では溶解に時間がかかるとともに、剛直かつ重くなりすぎるため、30〜200μmが好適である。
【0036】
・「第1、第2カバー層が溶ける」とは、厚さ40μmの第1、第2カバー層について、大きさ35mm×24mmのフィルム片を十分に多い溶液(例えば800mL)に浸漬し攪拌したとき、3分以内に第1、第2カバー層のフィルム片が見られなくなることを言う。
【0037】
なお、カバー層が40μmよりも厚い場合には、厚さに比例して評価時間を長くしてもよい。即ち、カバー層の厚さが80μmの場合は6分以内、120μmの場合は9分以内にフィルム片が見られなく場合を言う。
【0038】
また、「接着剤層が溶けにくい」とは、同じ大きさ、同じ厚さのフィルム片を、同じ量の溶液に溶解したときに、見られなくなるまでの時間が、(溶ける場合に比べて、)相対的に長いことを言う。
【0039】
・接着剤層は、所定部材(例えばセラミック基板)と他の所定部材(例えば金属基板)とを接合させる接着剤を含む層又はその接着剤からなる層であり、接着剤の材料としては、例えば熱硬化型接着剤などを採用できる。
【0040】
例えば、後に詳述するように、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂材料、或いは、インジウムなどの金属材料を含む接着剤を選択することができる。
【0041】
・吸着用電極とは、静電電極であり、その材料としては、タングステン、モリブデン等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】第1実施形態の静電チャックを一部破断して示す斜視図である。
図2】第1実施形態の静電チャックの製造方法の一部を示す説明図である。
図3】第1実施形態の静電チャックの製造方法の一部(セラミック側部材等の製造工程)を示す説明図である。
図4】第1実施形態の静電チャックの製造方法の一部(金属側部材等の製造工程)を示す説明図である。
図5】第2実施形態の静電チャックの製造方法の一部を示す説明図である。
図6】第3実施形態における接着シートの作製工程の一部を示す説明図である。
図7】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
次に、本発明の複合部材の製造方法及び静電チャックの製造方法並びに接着部材の実施形態について説明する。
[1.第1実施形態]
ここでは、第1実施形態として、例えば半導体ウェハを吸着保持できる静電チャックを例に挙げる。
[1−1.静電チャックの構成]
まず、第1実施形態の静電チャックの構成について、図1に基づいて説明する。
【0044】
図1に示す様に、第1実施形態の静電チャック1は、図1の上側にて被加工物である半導体ウェハ3を吸着保持して加熱する装置であり、セラミック基板5と金属基板7とが接合層9により接合されたものである。
【0045】
この静電チャック1は、平面視(厚み方向(図1の上下方向)から見た場合)で、円盤形状の装置である。また、セラミック基板5は、静電電極11や発熱体13等を備えたセラミックヒータであり、金属基板7は、セラミック基板5と同軸に接合されている。
【0046】
なお、静電チャック1には、図示しないが、リフトピンが挿入されるリフトピン孔や、半導体ウェハ3を冷却するために吸着面側(図1上方)に冷却用ガスを供給する冷却用ガス孔等が設けられている。
【0047】
次に、静電チャック1の各構成について、詳細に説明する。
<セラミック基板>
図1に示すように、セラミック基板5は、例えば外径φ310mm×厚み5mmの円盤形状であり、その内部には、図1の上方より、静電電極11、発熱体13等が、順番に配置されている。なお、セラミック基板5の内部には、図示しないが、静電電極11や発熱体13と電気的に接続される内部配線層やビア等が配置されている。
【0048】
セラミック基板5は、複数のセラミック層(図示せず)が積層されて一体となったものであり、そのセラミックからなる部分(セラミック部分)5aは、絶縁体(誘電体)である。なお、セラミック部5aは、例えば純度92%や99.8%のアルミナを主成分とするセラミック質焼結体である。
【0049】
<金属基板>
金属基板7は、例えば外径φ310mm×厚み5mmの円盤形状であり、例えばA1050やA6061のアルミニウム合金からなる金属板である。
【0050】
この金属基板7には、図示しないが、セラミック基板5(従って半導体ウェハ3)を冷却するために、冷却用流体(冷媒)が流される流路(冷却路)が設けられている。
<接合層>
接合層9は、例えば外径φ300mm×厚み0.3mmの円盤形状であり、例えばシリコーン系の熱硬化型接着剤(例えば信越化学工業製のKE−1855)からなる。
【0051】
<静電電極>
静電電極11は、例えば平面形状が円形の電極から構成されている。この静電電極11とは、静電チャック1を使用する場合には、直流高電圧が印加され、これにより、半導体ウェハ3を吸着する静電引力(吸着力)を発生させ、この吸着力を用いて半導体ウェハ3を吸着して固定するものである。なお、静電電極11については、これ以外に、周知の各種の構成、例えば単極性や双極性の電極などを採用できる。なお、静電電極11は、例えばW等の導電材料からなる。
【0052】
<発熱体>
発熱体13は、電圧が印加されて電流が流れると発熱する金属材料(W等)からなる抵抗発熱体である。
[1−2.静電チャックの製造方法]
次に、静電チャック1の製造方法(全体の製造工程)について説明する。
【0053】
(1)セラミック基板5の原料として、例えば、主成分であるAlに、MgO、CaO、SiOの各粉末を所定混合して、ボールミルで湿式粉砕した後、脱水乾燥する。
(2)次に、この粉末に溶剤等を加え、ボールミルで混合して、スラリーとする。
【0054】
(3)次に、このスラリーを用いて、各セラミック層に対応する各アルミナグリーンシートを形成する。
(4)また、前記アルミナグリーンシート用の原料粉末中にタングステン粉末を混ぜて、スラリー状にして、メタライズインクとする。
【0055】
(5)そして、静電電極11、発熱体13等を形成するために、前記メタライズインクを用いて、アルミナグリーンシート上の所定箇所に、各パターンを印刷する。
(6)次に、各アルミナグリーンシートを熱圧着し、積層シートを形成する。
【0056】
(7)次に、熱圧着した積層シートを、所定の形状(例えば円盤形状)にカットする。
(8)次に、カットした積層シートを、還元雰囲気にて、1400〜1600℃の範囲(
例えば1550℃)にて5時間焼成(本焼成)し、アルミナ質焼結体を作製する。
【0057】
(9)そして、焼成後に、アルミナ焼結体に対して、例えば吸着面側に周知の必要な加工を行う。
(10)これとは別に、金属基板7を製造する。具体的には、例えば円盤形状に打ち抜いたアルミニウム合金の金属板に対して、切削加工等を行うことにより、所定厚みの金属板を形成する。
【0058】
(11)次に、後述する接着シート21(図2(a)参照)を用いて、セラミック基板5と金属基板7とを接合して一体化する。なお、セラミック基板5と金属基板7との接合方法については、後に詳述する。
【0059】
これにより、静電チャック1が完成する。
[1−3.接着シート]
次に、セラミック基板5と金属基板7との接合に用いる接着シート21について説明する。
【0060】
<接着シートの構成>
図2(a)に示すように、接着シート21は、接合層9の硬化前の状態である接着剤層(即ち硬化してセラミック基板5と金属基板7とを接合する接合層9となる接着剤層)23と、接着剤層23の厚み方向の一方(同図の上方)に貼り付けられたカバーフィルム25と、接着剤層23の厚み方向の他方(同図の下方)に貼り付けられたベースフィルム27とから構成されている。
【0061】
なお、接着剤層23は、弱い粘着性を有しているので、この粘着性によって、カバーフィルム25とベースフィルム27とが貼り付けられている。
このうち、カバーフィルム25は、厚みが例えば30〜200μmの範囲内(例えば100μm)の水溶性のフィルムである。つまり、水がかけられると溶けて消失するフィルムである。
【0062】
同様に、ベースフィルム27は、厚みが例えば30〜200μmの範囲内(例えば100μm)の水溶性のフィルムである。
このカバーフィルム25及びベースフィルム27の材料としては、株式会社アイセロ製PVDフィルム「ソルブロン」、日本合成化学工業株式会社製「ハイセロン」、株式会社クラレ製ポバールフィルム「クラリア(登録商標)」、東レ株式会社製「AQナイロン」が挙げられる。
【0063】
なお、「AQナイロン」のシートは、水以外に、アルコール類、クロロホルム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)など、極性の強い溶媒に対しても溶解性がある。しかし、この「AQナイロン」のシートは、エーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素には溶解しないため、極性の強い溶媒には溶解しない例えばシリコーン樹脂製やポリエチレンテレフタレート(PET)製のカバーフィルム25やベースフィルム27に替えて使用できる。
【0064】
また、接着剤層23は、上述のような例えばシリコーン系の熱硬化型接着剤が熱硬化する前の状態の層であり、その厚みは例えば0.3mmである。この接着剤層23は、水に溶けない性質を有している。なお、接着剤層23の材料としては、カバーフィルム25やベースフィルム27に比べて、水に溶けにくい材料を使用してもよい。
【0065】
ここで、接着剤層23(従って接合層9)に使用できる各種の接着剤について説明する。
この接着剤としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを選択できる。耐熱性が高い点からは、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂が好ましく、異なる材料を接着した際に生じる熱応力を緩和・吸収するためには比較的柔かいアクリル樹脂やシリコーン樹脂を用いることができる。
【0066】
シリコーン樹脂としては、縮合硬化型と付加硬化型とがありいずれも使用できる。縮合硬化型は、硬化阻害物質がないため被着体によらず使用できるが、副生成物が発生する。付加硬化型は、窒素化合物、りん化合物、硫黄化合物などによる硬化阻害が生じる可能性があり、接合する部材の種類や洗浄度に注意を要するが、副生成物が発生しないので比較的大きい部分の接合する場合に好ましい。
【0067】
付加硬化型のシリコーン接着剤としては、例えば以下の品番の製品を使用できる。
KE−1831、KE−1833、KE−1835−S、KE−1850、KE−1854、KE−1855、KE−1880、KE−1884、KE−1885、IO−SEAL−300、KE−1204、KE−1280、KE−1282、KE−1283、KE−1285、KE−1285、KE−1897、KE−109E、KE−106、KE−1014、KE−1056、KE−1057、KE−1061、KE−1062、KE−1011、KE−1012、KE−1013、KE−1051J、KE−1063(以上、信越化学工業製)。
【0068】
JCR6101、JCR6102、JCR6120F、JCR6121、JCR6122、JCR6123、JCR6125、JCR6126、JCR6140、JCR6132N、JCR6106、JCR6107、JCR6108、JCR6109、JCR6110、JCR6134H、SH8501、SE1811、SE1850、SE1815CV、SE1816CV、CY52−211、SE1821、CY52−205、CY52−005、SE1880、SE1885、CY52−276、SE1891H、SE1750、CY52−248、SE1700、SE1701、SE4450、SE4400、SE4410、SE4420、SE4422(以上、東レ・ダウコーニング製)。
【0069】
TSE3051、TSE3212、TSE322、TSE3221S、TSE322、TSE325、TSE3250、TSE3251、TSE3251−C、TSE325−B、TSE326、TSE3261−G、TSE326M、TSE3280−M、TSE3281−G、XE13−B3208、TSE3360、TSE3380、TSJ3155、TSJ3195−W、TSJ3185、TSJ3187、TSE3033、TSE3331、TSE3331K、TSE3335、XE14−B5778、TSJ3175(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)。
【0070】
上述した各種の接着剤は、液状の接着剤を、水溶性フィルムであるカバーフィルム25又はベースフィルム27上に塗工したまま使用してもよいし、弱く加熱し半硬化の状態、言い換えればBステージの状態で使用してもよい。半硬化(Bステージ化)した方が流動性が低下するため、取扱いに際し厚さばらつきが増加せず好ましい。
【0071】
また、接着剤の特性を調整するために、原料から調合することもできる。
付加硬化型シリコーン樹脂は、少なくとも(A)一分子中に少なくとも2個のけい素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(B)一分子中に少なくとも2個のけい素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(C)ヒドロシリル化反応用触媒からなる。
【0072】
(C)成分は、アルケニル基とけい素原子結合水素原子とのヒドロシリル化反応を促進する成分である。ヒドロシリル化反応による架橋で硬化が進むため、ヒドロシリル化反応型架橋性シリコーンとも言われる。(B)成分の配合量は、上記(A)成分を架橋させるに十分な量であり、これは、上記(A)成分中のけい素原子結合アルケニル基1モルに対して、(B)成分中のけい素原子結合水素原子が0.5〜10モルの範囲内となる量であることが好ましく、特に、これが0.8〜1.2モルの範囲内となる量であることが好ましい。
【0073】
これは、上記組成物において、(A)成分中のけい素原子結合アルケニル基1モルに対して、(B)成分中のけい素原子結合水素原子が上記の範囲未満のモル数であると、上記組成物が架橋しなくなる傾向があり、一方、この範囲をこえるモル数であると、上記組成物を架橋して得られる架橋物の耐熱性が低下する傾向があるからである。
(C)成分の配合量は、上記組成物の硬化を促進するに十分な量であり、これは、白金系触媒を用いる場合には、上記組成物において、この触媒中の白金金属が重量単位で0.01〜1,000ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特に、これが0.1〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
【0074】
これは、(C)成分の配合量が、この範囲未満の量であると、得られる組成物の硬化速度が著しく遅くなる傾向があり、一方、この範囲をこえる量であっても、さほど硬化速度には影響がなく、むしろ、着色等の問題を生じるからである。
【0075】
その他に、必要に応じて(D)充填材として、例えばアルミナ、シリカ(湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化けい素、窒化けい素、窒化アルミニウムなどを添加してもよい。
【0076】
また、上記組成物のヒドロシリル化反応速度を調整し、半硬化状物または完全硬化状物の安定性を向上させるために、上記組成物に(E)成分としてヒドロシリル化反応抑制剤を配合してもよい。
【0077】
このヒドロシリル化反応抑制剤としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、ベンゾトリアゾールが例示される。
【0078】
このヒドロシリル化反応抑制剤の配合量としては、上記組成物の硬化条件により異なるが、(A)成分100重量部に対して0.00001〜5重量部の範囲内であることが実用上好ましい。
【0079】
(F)成分は、上記組成物の架橋物に良好な接着性を付与するための成分であり、一分子中にけい素原子結合アルコキシ基を少なくとも1個有するシランもしくはシロキサンもしくはシランカップリング剤である接着促進剤である。
【0080】
なお、(D)成分、(E)成分、(F)成分は、必要に応じて上記組成物に適宜添加される。
<接着シートの作製方法>
上述した接着シート21は、例えば下記の方法で作成することができる。
【0081】
まず、ベースフィルム27上に、例えばロールコーター等の塗布装置を用いて、ペースト状の接着剤層23の材料(例えばシリコーン系の熱硬化型接着剤)を塗布して、塗布層(図示せず)を形成する。
【0082】
次に、この塗布層を、前記硬化する温度より低い温度(例えば100℃)で加熱して、半硬化状となるまで乾燥させて、接着剤層23を形成する。
次に、半硬化状の接着剤層23の表面に、カバーフィルム25を貼り付ける。カバーフィルム25を貼ることで、保存や搬送中の汚染を防止できる。なお、カバーフィルム25の貼り付けを、半硬化の前に行ってもよい。
【0083】
なお、上述したように、接着剤層23は、半硬化の状態で粘着性を有しているので、この粘着性によって、接着剤層23にカバーフィルム25とベースフィルム27とが貼り付いた状態となる。
【0084】
これによって、接着シート21が完成する。
[1−4.セラミック基板と金属基板との接合方法]
次に、接着シート21を用いて行われるセラミック基板5と金属基板7との接合方法を説明する。
【0085】
(1)図2(b)に示すように、真空吸着ステージ29の表面(厚み方向の一方の表面:図2上方の上面29a)に、接着シート21を固定する。
詳しくは、接着シート21のベースフィルム27と真空吸着ステージ29の上面29aとが接触するようにして、接着シート21を真空吸着ステージ29上に載置する。
【0086】
この真空吸着ステージ29には、厚み方向に貫通する多数の貫通孔(図示せず)が設けられているので、貫通孔の一方(図2の下方)を減圧することによって、接着シート21を真空吸着ステージ29上に固定することができる。
【0087】
(2)次に、図2(c)に示すように、同図の上方より、例えばシャワーのようにして、カバーフィルム25に対して水をかける。このカバーフィルム25は、水溶性であるので、徐々に溶けて薄くなる。
【0088】
(3)その後、カバーフィルム25が完全に水に溶けて消失すると、図2(d)に示す状態となる。なお、図2(d)では、接着剤層23の第1主面A1が同図上方に露出している。
【0089】
(4)次に、前記図2(d)に示す状態の真空吸着ステージ29及びベースフィルム27及び接着剤層23を、図3(a)に示すように上下逆にして、セラミック基板5の表面に接着剤層23の第1主面A1を押し付ける。
【0090】
これにより、セラミック基板5と接着剤層23とが、接着剤層23の接着性によって貼り合わされた状態となる。
(5)その後、前記図3(b)に示すように、真空吸着ステージ29を取り除く。これにより、ベースフィルム27が同図の上方にて露出する。
【0091】
(6)次に、前記図3(c)に示すように、ベースフィルム27に対して、同図の上方より、例えばシャワーのようにして水をかける。このベースフィルム27は、水溶性であるので、徐々に溶けて薄くなる。
【0092】
(7)その後、ベースフィルム27が完全に水に溶けて消失すると、図3(d)に示す状態となる。これによって、セラミック基板5の一方の表面に接着剤層23(即ち第1接着剤層23a)が貼り付けられたセラミック側部材31が得られる。なお、図3(d)では、セラミック側部材31の第1接着剤層23aの第2主面A2が同図上方に露出している。
【0093】
(8)一方、セラミック側部材31とは別に、前記図2(d)に示した状態の真空吸着ステージ29及びベースフィルム27及び接着剤層23を、図4(a)に示すように上下逆にして、金属基板7の表面に接着剤層23(即ち第2接着剤層23bの第1主面B1)を押し付ける。
【0094】
これにより、金属基板7と第2接着剤層23bとが、第2接着剤層23bの接着性によって貼り合わされた状態となる。
(9)その後、前記図4(b)に示すように、真空吸着ステージ29を取り除く。これにより、ベースフィルム27が同図の上方にて露出する。
【0095】
(10)次に、前記図4(c)に示すように、ベースフィルム27に対して、同図の上方より、例えばシャワーのようにして水をかける。このベースフィルム27は、水溶性であるので、徐々に溶けて薄くなる。
【0096】
(11)その後、ベースフィルム27が完全に水に溶けて消失すると、図4(d)に示す状態となる。これによって、金属基板7の一方の表面に第2接着剤層23bが貼り付けられた金属側部材33が得られる。なお、図4(d)では、金属側部材33の第2接着剤層23bの第2主面B2が同図上方に露出している
(12)次に、図4(d)に示すように、セラミック側部材31と金属側部材33とを貼り合せる。詳しくは、セラミック側部材31の第1接着剤層23aの第2主面A2と金属側部材33の第2接着剤層23bの第2主面B2とを接触させて、セラミック基板5と金属基板7とを貼り合せて、貼合部材35を作製する。
【0097】
(13)その後、所定温度(例えば120℃)に加熱することによって、熱硬化型接着剤からなる第1接着剤層23a及び第2接着剤層23bを硬化させて接合層9を形成する。この接合層9によって、セラミック基板5と金属基板7とが一体に接合されて静電チャック1が完成する。
[1−5.効果]
次に、本第1実施形態の効果について説明する。
【0098】
本第1実施形態では、カバーフィルム25及びベースフィルム27は、水により溶ける性質を有するものであり、接着剤層23は、水に溶液には溶けない(又は水に溶けにくい)性質を有するものである。
【0099】
従って、セラミック側部材31を作製する場合には、真空吸着ステージ29に保持された接着シート21のカバーフィルム25を、水によって溶かして除去することによって、第1接着剤層23aの第1主面A1を露出させる。
【0100】
更に、第1接着剤層23aのベースフィルム27を、水によって溶かして除去することによって、第2主面A2を露出させる。
同様に、金属側部材33を作製する場合には、真空吸着ステージ29に保持された接着シート21のカバーフィルム25を、水によって溶かして除去することによって、第2接着剤層23bの第1主面B1を露出させる。
【0101】
更に、第2接着剤層23bのベースフィルム27を、水によって溶かして除去することによって、第2主面B2を露出させる。
そして、セラミック側部材31の第1接着剤層23aの第2主面A2と金属側部材33の第2接着剤層23bの第2主面B2とを接触させて、セラミック基板5と金属基板7とを貼り合せて、貼合部材35を作製することができる。
【0102】
その後、所定温度に加熱することによって、熱硬化型接着剤を硬化させて接合層9とすることにより、セラミック基板5と金属基板7とが接合された静電チャック1が得られる。
【0103】
このように、本第1実施形態では、従来のように接着剤層からカバーフィルム25を剥がすのではなく、カバーフィルム25を溶液で溶かして除去して接着剤層23を露出させるので、接着剤層23が持ち上げられてベースフィルム27から剥離することを抑制できる。さらには、接着剤層23の変形や厚みばらつきが増加することを抑制できる。
【0104】
これによって、静電チャック1の製造を効率よく行うことができるという顕著な効果を奏する。
また、本第1実施形態では、2枚の接着剤層23を用いて、セラミック基板5と金属基板7とを接着するので、接着の信頼性が高いという効果がある。
【0105】
なお、接着剤層23がシリコーン系など疎水性の材料の場合は、水洗によってベースフィルム27やカバーフィルム25を除去しても、接着剤の部分(接着剤層23)には影響せずに、接着剤層23の表面を露出させることができる。
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と同様な内容の説明は省略又は簡易化して説明する。なお、第1実施形態と同様な構成は同じ番号を用いる。
【0106】
本第2実施形態では、接着剤層として、1層の接着剤層を用いる。
具体的には、図5(a)に示すように、金属基板7の表面に、セラミック基板5及び接着剤層23からなるセラミック側部材31を貼り付ける。
【0107】
つまり、金属基板7の表面には接着剤層23を設けることなく、セラミック側部材31の一層の接着剤層23によって、金属基板7とセラミック側部材31とを貼り合わせる。
これによって、図5(b)に示すような貼合部材35が得られるので、後に加熱して接着剤層23を硬化させることにより、接合層9によってセラミック基板5と金属基板7とが一体に接合されて静電チャック1が完成する。
【0108】
本第2実施形態でも、第1実施形態と同様な効果を奏する。
[3.第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、第1実施形態と同様な内容の説明は省略又は簡易化して説明する。なお、第1実施形態と同様な構成には同様な番号を付す。
【0109】
本第3実施形態では、ベースフィルムの厚みをカバーフィルムの厚みより大きくする。
具体的には、図6(a)に示すように、接着シート21は、ベースフィルム27と接着剤層23とカバーフィルム25が積層されたものであるが、後から剥離するベースフィルム27の厚みを、先に剥離するカバーフィルム25の厚みより大きくする(即ち厚くする)。
【0110】
例えばベースフィルム27の厚みをカバーフィルム25の厚みより2倍以上大きくする。
このように、後から取り除く(即ち剥離する)ベースフィルム27の厚みを、先に除去するカバーフィルム25の厚みより大きくすることで、カバーフィルム25を水で除去した後も、図6(b)に示すように、ベースフィルム27を残すことができる。
【0111】
従って、第1実施形態のような真空吸着ステージ29を用いなくても、カバーフィルム25を除去した後の接着シート21aを容易に扱うことができる。つまり、カバーフィルム25を除去した後もベースフィルム27が残るので、この状態で、搬送やボンディングを容易に行うことができる。
【0112】
本第3実施形態でも、第1実施形態と同様な効果を奏する。
[4.その他の実施形態]
本発明は、前記実施形態や実験例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0113】
(1)例えば、接着シートの接着剤の部分(層状部分)としては、半硬化状態に限らず、液状やペースト状の接着剤を平らに塗り広げた構成を採用できる。
(2)また、真空吸着ステージに代えて、粘着性のある部材をステージテープとして用いることができる。
【0114】
このステージテープとしては、紫外線照射によって粘着性が低下するテープを用いることができる。このステージテープを用いる場合には、接着シート(例えばセラミック側部材や金属側部材に用いる接着シート)を、セラミック基板や金属基板にボンディングする(例えば貼り付ける)工程の後に、ステージテープに紫外線を照射し、粘着性を低下させてステージテープを取り除くことができる。
【0115】
なお、紫外線照射によって粘着性が低下するテープとしては、例えばリンテック株式会社製UV硬化型ダイシングテープAdwill Dシリーズ、株式会社イッコーズ製DC3000UVシリーズ、古川電機工業株式会社半導体用テープSPシリーズ、UCシリーズ、FCシリーズなどを採用できる。
【0116】
(3)ベースフィルムとしては、溶液に溶解して除去できるものが挙げられるが、溶液に溶解しないものを採用してよい。この場合は、溶解以外の他の方法によって除去すればよい。例えばベースフィルムを持ち上げて剥がす等の方法で除去すればよい。
【0117】
(4)セラミック基板、金属基板、接着剤層の材料としては、本発明の条件を満たす範囲で、各種の材料を採用できる。
(5)セラミック基板は、セラミックを主成分(50質量%以上)とする基板(板状の部材)であり、このセラミックの材料としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、酸化イットリウム(イットリア)等が挙げられる。
【0118】
(6)金属基板は、金属又は合金からなる基板であり、金属基板の材料としては、銅、アルミニウム、鉄、チタンなどの金属、それらの金属の合金などを挙げることができる。
(7)本発明は、例えばCVDヒータやサセプターに適用することが可能である。
【0119】
(8)また、各実施形態の構成を適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0120】
1…静電チャック(複合部材)
5…セラミック基板(所定部材)
7…金属基板(他の所定部材)
9…接合層
11…吸着用電極
21…接着シート(接着部材)
23…接着剤層
25…カバーフィルム(第1カバー層)
27…ベースフィルム(第2カバー層)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7