(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
アクチュエータは、例えば車両のクラッチを操作するのに使用され、ある構成部材の回転運動を別の構成部材の軸方向運動に変換することができる。
【0003】
刊行物独国特許出願公開第102012209883号明細書において、トルク伝達装置、例えば自動車のパワートレーン内に設けられたクラッチを操作するレバーシステムであって、支持箇所において継手周りに回動可能に支持されたレバーを備え、トルク伝達装置の回転軸線に対して平行に移動可能な、操作アクチュエータと作用結合している力導入箇所を有しているレバーシステムが知られている。アクチュエータ自体は、各種リニアアクチュエータであってよく、その一例は、PWG‐アクチュエータ(PWG=Planetenwaelzgewindespindeltrieb:遊星転動機構型ねじ山付きスピンドルドライブ)や、液圧式のスレーブシリンダ等である。
【0004】
遊星転動機構型ねじ山付きスピンドルドライブ(PWG)は、スピンドルと、スピンドルナットと、スピンドルとスピンドルナットとの間に周囲を取り巻くように配置され、プラネタリキャリア内に収容された複数の遊星転動体と、から形成されている。スピンドル、スピンドルナット及び遊星転動体は、回転運動をスピンドルとスピンドルナットとの間で伝達する輪郭を有しており、これらの部品の一方、スピンドル又はスピンドルナットは、回転駆動され、他方の部品は、これが相対回動不能に配置されているとき、スピンドルの長手方向軸線に沿って、設定された変速比に応じた軸方向行程の分だけ移動される。遊星転動体は、一方ではスピンドルと噛み合い、他方ではスピンドルナットと噛み合う2つの異なる輪郭区分を有している。遊星転動体上の一方の輪郭区分は溝状であり、遊星転動体上の他方の輪郭区分は、通常は溝状であり、実施の形態に応じて、1つの相補的なねじ山区分がスピンドル又はスピンドルナット上に配置され、対応して溝区分が他方の部品上に配置されている。これにより、スピンドルナットにスピンドルを直接的に収容した場合に対して変速比が達成され、この変速比によりスピンドルの回転毎に少ない送りでより高い力が可能となる。
【0005】
欧州特許出願公開第320621号明細書において、例えば、スピンドルがねじ山を、そしてスピンドルナットが溝を有し、ねじ山及び溝上をそれぞれ遊星転動体が、相応に相補的に形成された輪郭区分により転動するようにしたPWGが公知である。軸方向で固定に支持され、例えば電動モータにより回転駆動されるスピンドルは、相対回動不能に配置されたスピンドルナットに対して回転される。その結果、スピンドルナットは、強制的に、かつスピンドルナットの溝内での遊星体の摩擦結合(reibschlussig:摩擦による束縛)を介した転動により軸方向に移動される。この場合、スピンドルナットの軸方向行程にわたって、スピンドルの回転数に対して比例した運動が生じる。これに加え、プラネタリギヤに応じて、プラネタリロールを有するプラネタリキャリアは、直径の設計次第で、回転する部品、すなわちスピンドル又はスピンドルナットの半分の回転数又は他の比で回転する。
【0006】
独国特許出願公開第102010047800号明細書は、遊星転動機構型伝動装置の使用を示している。この遊星転動機構型伝動装置では、ハイドロスタティックアクチュエータの、マスターシリンダのピストンとして形成されたアクチュエータ部分が、相対回動不能かつ軸方向で移動可能に配置されたスピンドルに、軸方向で固定に連結されており、軸方向で固定のスピンドルナットが、電動モータにより回転駆動され、その結果、スピンドルナットの回転時にスピンドルとスピンドルナットとが相互に軸方向行程に沿って変位される。ピストンを収容し、ピストンとともに圧力室を形成するシリンダハウジングが固定に配置されており、スピンドルナットがシリンダハウジングに軸方向で支持されているので、ピストンは、スピンドルナットの回転駆動に応じて、例えば自動車部品、例えばブレーキ、摩擦クラッチ等を操作する圧力を形成する。ここで、特に摩擦クラッチの場合、荷重要求の低い空隙を高ピッチで迅速に埋め、摩擦クラッチの作用範囲では、小ピッチで高荷重を低出力の電動モータにより加え得ることが所望されている。
【0007】
荷重、例えばクラッチ特性線に対して作業する、特にアクチュエータ、例えばハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(Hydrostatic Clutch Actuator、略してHCA)内の、例えば電動モータにより駆動される効率最適化されたスピンドルドライブ(例えばPWG)の場合、問題は、(例えばPWGにおける)スピンドルドライブが非セルフロック式であるために、位置の必要な保持の際に、保持電流、ひいては保持モーメントが電動モータ内に必要であることにある。スピンドルが駆動されているとき、相対回動不能となっていて、(スピンドルに対して相対的な)軸方向運動が取り出されるリングギヤナットを有するHCA内のPWGの場合、(噛み合ったプラネタリギヤにおけるような/スリップなしの)理想的な転がり運動時に、スピンドルピッチの付加的な減速が実施される。減速は、スピンドル直径及び/又はプラネタリロール直径の変更により所定の限度内で自由に選択可能である。
【0008】
この種のアクチュエータの決定的な欠点は、アクチュエータが永続的な保持電流を必要とする点、あるいは電源喪失/エラー時(例えばケーブル断線、コネクタ脱落)に位置を保持できなくなる点にある。こうなると、アクチュエータにより押し開けられているクラッチの場合、クラッチが意図せず閉鎖してしまうという重大な危険がある。
【0009】
さらに、例えばクラッチのためにラップスプリング(Schlingfeder)を使用することが公知である。ラップスプリングクラッチは、軸又は円筒体上に巻回され、片側で駆動装置に取り付けられているコイルばねからなっている。連行効果は、連行モーメントが各巻回により摩擦に基づいて強化され、合算されることに基づく。これにより、巻き付きに基づいて同時に、この摩擦を引き起こす力が増大する。逆方向では、僅かな摩擦が生じるだけであり、ばねは、若干その直径を拡大するが、巻き戻りはしない。しばしば、フリーホイール運転時に残されている摩擦が「Rutschkupplung(滑りクラッチ)」として利用される(ウィキペディア参照)。
【0010】
刊行物独国特許出願公開第102007047394号明細書において、例えばトーショナルバイブレーションダンパが公知である。トーショナルバイブレーションダンパは、周方向で作用するエネルギアキュムレータを有する減衰装置の作用に抗して互いに対して回動可能な少なくとも2つの部分を有し、そのうちの一方の部分が、駆動機械に結合可能であり、他方の部分が、駆動すべき軸に結合可能であり、両部分間に付加的に、減衰装置に直列に接続されたトルクリミッタが設けられており、トルクリミッタは、両部分間の可能な相対回動方向の少なくとも一方向で有効であり、少なくとも1つのラップスプリングクラッチを有しており、ラップスプリングクラッチは、両部分間の予め決められた回動角の到達時にフリーホイールとして作用し、少なくとも1つのラップスプリング要素を有している。この解決手段は、ラップスプリング要素の少なくとも1つの端部が、周方向で作用するエネルギアキュムレータのための支持領域及び/又はフリーホイール作用のための制御領域を有するリング要素に相対回動不能に結合されていることを特徴としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、互いに相対的に回転可能な少なくとも2つの構成部材を備える摩擦装置を備える構成群であって、特に伝動装置及び/又はアクチュエータにおいて使用するために設けられており、互いに相対的に回転可能な構成部材間の摩擦、ひいては効率を変更することができ、これにより、例えばクラッチを操作するアクチュエータにおいて使用した場合に、例えばPWGを有するアクチュエータの使用時に(荷重に対する)スピンドルドライブの効率を大きく下げることなく、アクチュエータの駆動装置の故障時にクラッチが意図せず閉鎖してしまうことを阻止し、又は保持電流を低減又は排除することが可能な構成群を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴により解決される。
【0013】
好ましい態様は、従属請求項に係る発明である。
【0014】
摩擦装置を備える構成群は、互いに相対的に回転可能な少なくとも2つの構成部材を有し、特に、伝動装置及び/又はアクチュエータにおいて使用され、例えば車両のクラッチを操作するために用いられ、本発明により、互いに相対的に回転可能な構成部材間に、構成部材の相対回転時に効率/摩擦に影響を及ぼすコイルばねが配置されている。少なくとも部分的にラップスプリングを形成するコイルばねの形態のこの摩擦装置により、回転方向に応じて、構成部材間の摩擦が、アクチュエータが荷重に抗して駆動しているときは、僅かにのみ高められること、あるいは荷重が駆動しているときは、明らかに高められることができ、これにより、効率最適化された/非セルフロック式のスピンドルドライブをエラー(電源喪失)時に保持することができる。別の利点は、保持電流が摩擦要素により低減され得るか、又はもはや不要であることにある。
【0015】
少なくとも一部領域においてラップスプリングとして構成されているコイルばねは、好ましくは、単純なラップスプリング又はダブルラップスプリング(Doppelschlingfeder)又はラップ‐トーションスプリング(Schling‐Torsionsfeder)として形成されており、第1の構成部材と、第1の構成部材に対して回転可能又は回転可能かつ軸方向で移動可能に配置される第2の構成部材とに作用結合されている。
【0016】
その際、第1の構成部材は、第2の構成部材の半径方向内側に配置されており、ラップスプリング又はダブルラップスプリング又はラップ‐トーションスプリングの形態のコイルばねは、第1の構成部材と第2の構成部材との間において嵌合されており、第1の端部でもって相対回動不能に又は摩擦結合を介して第1の構成部材に結合され、第2の端部でもって摩擦結合を介して第2の構成部材に結合されているようにしてもよい。
【0017】
ラップ‐トーションスプリングの形態のコイルばねは、特に以下の特徴、すなわち:
第1の端部を有する、ラップスプリング(アイテルワインの式(Eytelwein−Formel))として作用する第1の領域であって、この領域Aにおいて、摩擦、又は摩擦を達成する一定若しくは可変のプリロードが形成可能である第1の領域、
第2の端部を有する、トーションスプリングとして作用する第2の領域B1、
第1の領域Aと第2の領域B1とを互いに結合する移行領域C、
を有する。
【0018】
ダブルラップスプリングとして形成されたコイルばねは、特に以下の特徴、すなわち:
バット(stumpf)型の第1の端部を有する、ラップスプリング(アイテルワインの式)として作用する第1の領域Aであって、この領域Aにおいて、摩擦、又は摩擦を達成する、ハブ/中空軸/孔の形態の第2の構成部材に対するプリロード/干渉a1が形成可能である第1の領域A、
尖っていない(stumpf)第2の端部を有する、ラップスプリングとして作用する第2の領域B2であって、軸の形態の第2の構成部材に対するプリロード/干渉a2を有する第2の領域B2、
領域Aと領域B2とを互いに結合する移行領域C、
を有して構成されている。
【0019】
その際、摩擦装置を備える構成群をアクチュエータにおいて使用する場合、アクチュエータは、第1の構成部材と第2の構成部材との間の回転方向に応じた摩擦が、荷重に抗してアクチュエータにより駆動されているときは僅かに高まり、あるいは荷重により駆動されているときは明らかに高まり、これにより、非セルフロック式の伝動装置(例えば遊星転動機構型ねじ山付きスピンドルドライブ(=PWG))を駆動装置のエラー時/故障時に保持する又は保持電流を低減若しくは回避することができるような、駆動装置により操作可能な、好ましくは回転運動を軸方向運動に変換する伝動装置、例えばPWG又はその他の構造形態の伝動装置を有している。
【0020】
その際、ラップスプリング又はダブルのラップスプリング又はラップ‐トーションスプリングの形態のコイルばねは、PWG又はその他の伝動装置の回転要素と、アクチュエータのハウジング固定の部分との間に、又はPWG又はその他の伝動装置の、異なる回転数で互いに相対的に回転可能な2つの要素間に配置されている。
【0021】
例えば、ラップスプリング又はダブルのラップスプリング又はラップ‐トーションスプリングは、PWGの、駆動装置により回転駆動可能なスピンドル=第1の構成部材と、フレーム固定/ハウジング固定に配置される構成部材(ばねポット)=第2の構成部材との間に配置されているか、
又は
PWGの、駆動装置により回転駆動可能なスピンドル=第1の構成部材と、相対回動不能/フレーム固定にPWGのハウジングに取り付けられたばねポット=第2の構成部材との間に配置されているか、
又は
PWGのハウジング内に互いに相対的に回転可能な2つの構成部材間において組み込まれていてもよい。
【0022】
例えば、コイルばねとして形成される摩擦装置は、PWGのプラネタリピニオンと噛み合うリングギヤ=第1の構成部材/軸の外径と、PWGをリングギヤの領域において包囲するスリーブ=第2の構成部材/ハブの内径との間に配置されていてもよい。
【0023】
ラップスプリング/ダブルのラップスプリング/ラップ‐トーションスプリングの領域は、好ましくは帯材から巻成され、移行領域Cにおいて互いに結合されており、帯材は、移行領域Cにおいて捻転されていてもよく、その結果、帯材の横断面は、領域Aにおいて第1の配向を有し、領域B1/B2において、第1の配向に対してねじられた配向を有する。
【0024】
以下に、本発明について実施の形態及び対応する図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1乃至
図6は、コイルばねが、ねじ山付きスピンドルの形態の回転する第1の要素と、ハウジング固定の第2の要素との間に配置されている第1の形態を示している。
図1は、第1の領域Aにおいてラップスプリングとして構成され、第2の領域Bにおいてトーションスプリングとして構成されているコイルばねの3次元図である。
【
図3】領域Aにおいてラップスプリングとして作用し、領域Bにおいてトーションスプリングとして作用し、領域Cにおいて横断面が回転/捻転されるコイルばねを示す図である。
【
図5】ハウジング内に支持されているねじ山付きスピンドルの3次元図である。
【
図6】ハウジングの領域における
図5の縦断面図である。
【
図7】ハウジングに取り付けられるばねポットを端面方向から見た図である。
【
図8】ばねポットをフランジ方向から見た図である。
【
図9】PWGと、ラップ‐トーションスプリングとしてのコイルばねであって、ねじ山付きスピンドルと、相対回動不能にスピンドル支持部の軸受支持体ハウジングに取り付けられているばねポットとの間に設けられたコイルばねとを備えるアクチュエータの縦断面図である。
【
図10】PWGと、ラップ‐トーションスプリングとしてのコイルばねであって、ねじ山付きスピンドルと、相対回動不能にPWG‐ハウジングに取り付けられているばねポットとの間に設けられたコイルばねと、を備えるアクチュエータの縦断面図である。
【
図11】
図11乃至
図30は、コイルばねが、2つの尖っていない端部を有するダブルラップスプリングの形態又はラップ‐トーションスプリングの形態で構成されており、PWG‐ハウジング内に配置されている形態を示している。詳細には、
図11は、模式的に配置された軸及びハブに関してダブルラップスプリングの一変化形態の原理図(組み付け状態)である。
【
図12】ハブの内径に対するプリロード/締め代a1と、軸の外径に対するプリロード/締め代a2とを記入した、自由状態にある
図11のダブルラップスプリングの縦断面図である。
【
図13】捻転された領域Cを有する2つの尖っていない端部を有するダブルラップスプリングの3次元図である。
【
図15】捻転されていない領域Cを有する2つの尖っていない端部を有するダブルラップスプリングの3次元図である。
【
図17】2つの尖っていない端部を有するダブルラップスプリングの締め代の構成の一変化形態を示す図である。
【
図18】2つの尖っていない端部を有するダブルラップスプリングの締め代の構成の別の変化形態を示す図である。
【
図19】内部にダブルラップスプリングが組み込まれ、相対回動不能に軸受支持体ハウジングに取り付けられているPWG−ハウジングを有するアクチュエータの縦断面図である。
【
図20】2つの領域を有するラップスプリングが、リングギヤの外径と、2つの部分からなり、内径のそれぞれ異なる領域を有するスリーブであって、トーションスプリングとして形成されたその端部(ここでは右側)においてプラネタリキャリアに相対回動不能に結合されたスリーブの内径との間において嵌合されており、スリーブに対する端部側のストッパを有しているアクチュエータの縦断面図である。
【
図25】ラップスプリングが掛着されたスリーブの第1の部分の原理図である。
【
図27】ラップスプリングが掛着されたスリーブの第2の部分の原理図である。
【
図28】
図20におけるものと類似しているが、コイルばねがダブルラップスプリングとして作用し、同じ内径を有する2つの部分からなるスリーブを有するPWGの縦断面図である。
【
図30】
図28/29のPWGを有するアクチュエータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び
図2に示すように、ラップスプリング(アイテルワインの式)(Schlingfeder(Eytelwein−Formel))として作用する第1の領域Aは、半径方向外向きに曲げられた第1の端部1.1を有しており、一定の摩擦が端部1.1において、又は一定又は可変のプリロードが第1の領域Aを介してハブ(外径)に対して形成され、これにより摩擦を形成することができる。さらに、トーションスプリングとして作用する第2の領域B1が存在しており、第2の領域B1は、同様に半径方向外向きに曲げられた第2の端部1.2を有している。移行領域Cは、領域Aと領域Bとを互いに結合している。コイルの外径及び内径は、領域B1及び領域Cにおいて、領域Aにおけるより大きい。
【0027】
すべての領域において、巻線の横断面の等しい幅b及び高さhが存在している。
【0028】
図3(3次元図)及び
図4(縦断面図)では、ラップ‐トーションスプリング(Schling‐Torsionsfeder)1が、同様に領域A,B1,Cを有しているが、領域Cは、90°捻転されている。これにより、巻線の長方形の横断面は、第1の領域Aに高さh及び幅bを有し、領域Cにおける90°の捻転により、トーションスプリングとして作用する第2の領域B1において、Bにおける高さh
*がAにおける幅bに相当し、B1における幅b
*がAにおける高さhに相当するように形成されている。このため、巻線の横断面が等しいとき、構成部材全体の作用を強めることが可能である。さらに第1の領域Aの端部1.1は、尖らせずに(stumpf)構成されている。
【0029】
図5乃至
図9は、例えばPWGのスピンドル2が如何にして、
図1及び
図2に示したラップ‐トーションスプリングとして形成されるコイルばね1と組み合わされているかを示している。
【0030】
図5は、PWGのねじ山付きスピンドル/スピンドル2の3次元図であり、ねじ山付きスピンドル/スピンドル2は、ハウジング4内に支持されている。ハウジング4は、ばねポット3をハウジング固定に収容している。
図6は、ハウジング4の領域における
図5の縦断面図である。本実施の形態では、
図1及び
図2に示したラップ‐トーションスプリングの形態で形成されたコイルばね1が、ねじ山付きスピンドル/スピンドル2の外径2Dと、ばねポット3の内径3dとの間において嵌合している。コイルばね1の第1の端部1.1は、ばねポット3の端面であって、第1の端部1.1に割り当てられ、
図6で見て左端の端部側の端面3.1’と比較して若干後退させられた端面3.1と協働する。また、コイルばね1の第2の端部1.2は、ばねポット3の半径方向外向きのフランジ3.3の凹部3.2内に相対回動不能に嵌合している。
【0031】
図7は、
図5及び
図6に示したばねポット3を端面3.1の方向から見た3次元図であり、
図8は、フランジ3.3の方向から見た3次元図である。内径3dがブシュ状の領域3.4に形成されていることが看取可能である。このブシュ状の領域3.4には、端部側の端面3.1’と比較して後退させられた端面3.1も存在している。この後退させられた端面3.1と、コイルばねのラップスプリング/第1の領域が形成する
図7及び
図8には示さない端部1.1が協働する。後退させられた端面3.1により、ラップスプリング/第1の領域A(
図1及び
図2参照)の、半径方向外向きに屈曲した第1の端部1.1のための、周方向で互いに間隔を置いた2つのストッパ3.5が形成される。
【0032】
凹部3.2は、ビード状にフランジ3.3内に成形されている。凹部3.2内には、組み立てられた状態で、トーションスプリング/第2の領域B1の第2の端部1.2が相対回動不能に掛着されている。
【0033】
図1及び
図2に示したコイルばね1を利用したあるいは既に
図5及び
図6に示したコイルばね1の装置を利用したアクチュエータを
図9に示した。
【0034】
効率最適化されたスピンドルドライブ、本実施の形態ではPWG6の形態のスピンドルドライブが使用される。スピンドルドライブは、ねじ山付きスピンドル4を有している。ねじ山付きスピンドル4は、電動モータ7により駆動される。電動モータ7は、主としてステータ7.1と、スピンドル4を駆動するロータ7.2とからなる。
【0035】
ラップ‐トーションスプリングとして形成されるコイルばね1は、本実施の形態では、ねじ山付きスピンドル/スピンドル2の外径と、スピンドル支持部Lのハウジング5に相対回動不能に結合されているばねポット3の内径との間に取り付けられている。ラップスプリングとして形成される第1の領域Aは、PWG6の方を向いており、トーションスプリングとして形成される第2の領域B1は、電動モータ7の方を向いている。コイルばね1は、軸方向で固定に配置されている。
【0036】
PWGを有するアクチュエータの類似の構成を
図10に示すが、
図9とは異なり、本実施の形態では、コイルばね1が、スピンドル2と、PWGの構成要素を形成するばねポット3との間に設けられたラップ‐トーションスプリングの形態とされ、ばねポット3は、相対回動不能にPWG‐ハウジング6.1に取り付けられている。トーションスプリングとして形成される第2の領域B1は、PWG6の方を向いており、ラップスプリングとして形成される第1の領域Aは、ハウジング5の方を向いている。この配置により、コイルばね1とばねポット3とは、軸方向でPWG‐ハウジング6.1とともに移動する。第2の端部1.2は、同様にばねポット3に設けられた凹部3.2内に相対回動不能に掛着されている。
【0037】
図9及び
図10に示したアクチュエータがアキシアル荷重Fに抗して運転されると、コイルばね1の、ラップスプリングとして作用する第1の領域Aは、開放方向で操作され、ラップスプリング(第1の領域A)とスピンドル2との間の摩擦モーメントは、低減される。
【0038】
アクチュエータがアキシアル荷重Fにより駆動(逆向きの回転方向)されると、第1の領域Aの形態のラップスプリングは、(
図6に示したばねポット3の端面3.1に対する第1の端部1.1における;あるいはスピンドル2の外径とラップスプリングの内径との間の第1の領域Aにおける)摩擦を介して連行され、トーションスプリングとして形成された第2の領域B1は、ねじられる。無負荷状態への直径変化は、(荷重に基づく)逆駆動モーメントと、コイルばね1の第2の領域B1におけるトーションモーメントとの間のモーメント均衡まで待たれねばならず、この位置に保たれる。アクチュエータの負荷を軽減する/アクチュエータをさらに回転させるには、電動モータ7に通電しなければならない。その際、第1の端部1.1は、相対回動不能な構成部材(ばねポット3)に設けられたストッパ3.5(
図7参照)に向かって回転される。第1の領域Aにおけるラップスプリングの摩擦モーメントは、これによって制限され、電動モータ7のモータモーメントを下回る。その結果、PWG6は、電動モータ7によりラップスプリング摩擦に抗して調節可能である(能動的な開放)。
【0039】
この構造は真逆とされてもよく、その結果、ばねは、端部1.2でもって回転部材(スピンドル)に結合されており、相対回動不能な構成部材(ばねポット)に摩擦接触する。
【0040】
この本発明の変化形態により、回転する第1の構成部材(ここでは、スピンドル2=軸)と、停止している第2の構成部材(ここでは、ばねポット3=ハブ)との間の摩擦装置は、回転方向に応じて構成部材間の摩擦を、荷重に抗したアクチュエータによる駆動時に減じる、あるいは荷重による駆動時に高める、改変されたコイルばね1により形成され、効率最適化された/非セルフロック式の伝動装置、特にスピンドルドライブをエラー時(電源喪失時)に保持することが可能である。
【0041】
こうして、本発明により初めて、少なくとも一部においてラップスプリングとして形成されたコイルばねの介装により、構成群、例えばPWGにおいて、摩擦、ひいては効率に対して適当に影響が及ぼされる。荷重による駆動時、つまり荷重下での、すなわちロータ回転なしのPWGの退行時、スピンドルは連れ回らない。ラップスプリングは、相対回動不能なばねポットと、PWGとの間で締め付けられる。このとき、一方の側でもってラップスプリングは、形状結合(Formschluss:形状による束縛)を介して、他方の側を介して摩擦結合(Reibschluss:摩擦による束縛)により結合されている。摩擦により、ばねは収縮し、構成群のセルフロックに至る。障害が解消されたとき、あるいは通常時に電動モータが能動的に通電されたとき、ラップスプリング端部は、対応するストッパに向かって作動され、摩擦モーメントは制限される。これによりセルフロックが克服される。
【0042】
PWGと組み合わせた使用の他に、例えば他の伝動装置、例えばボールねじドライブ(KGT:Kugelgewindetrieb)と組み合わせた使用も可能である。
【0043】
図11乃至
図30は、伝動装置、ここではPWGに組み込まれているダブルラップスプリング(Doppelschlingfeder)又はラップ‐トーションスプリングの形態のコイルばね1の使用を示している。
【0044】
図11は、ダブルラップスプリングの形態のコイルばね1の変化形態の原理図を、模式的に配置された軸8(第1の構成部材)及びハブ9(第2の構成部材)に関して、組み付けられた状態で示しており、
図12は、自由状態にある
図11のダブルラップスプリングの縦断面図を示している。コイルばね1は、
図11及び
図12に示すように、尖っていない端部1.1を有する第1の領域Aを有している。第1の領域Aは、ラップスプリングとして作用し、第1の領域Aの外径DAは、ハブ9の内径d9に対して、
図12に示したプリロード(干渉ともいう)あるいは締め代a1を有している。コイルばね1の第2の領域B2は、同様にラップスプリングとして、しかし、より小さな直径を有して形成されており、同様に尖っていない第2の端部1.2を有している。軸8の外径D8と、第2の領域B2の内径dB2との間には、プリロード/締め代a2が存在する。第1の領域Aと第2の領域B2との間には、移行領域Cが延在している。
【0045】
図13は、ラップスプリングとして作用する第1の領域Aと、第1の領域Aより小さい外径及び内径を有する、ラップスプリングとして作用する第2の領域B2とを有する2つの尖っていない端部1.1,1.2を有するダブルラップスプリングの形態のコイルばね1の3次元図を示し、
図14は、その縦断面図を示している。移行領域Cは、
図3及び
図4に示したラップ‐トーションスプリングの場合と同様に、90°捻転/回転されている。その結果、高さh及び幅bを有する第1の領域Aにおける巻線の長方形の横断面は、領域Cにおける90°の捻転により、ラップスプリングとして作用する第2の領域B2において、B2における高さh
*がAにおける幅bに相当し、B2における幅b
*がAにおける高さhに相当するように形成されている。
【0046】
図15及び
図16は、同様にダブルラップスプリングとして形成されているが、第1のラップスプリング領域Aと第2のラップスプリング領域B2との間に捻転されていない移行領域Cを有するコイルばね1を示している。第1及び第2の端部1.1,1.2は、本実施の形態では、同様に尖らせずに構成されており、第2の領域B2の外径及び内径は、第1の領域Aの外径及び内径よりも小さい。
【0047】
図17は、2つの尖っていない端部を有するダブルラップスプリングとしてのコイルばね1の締め代の構成の第1の変化形態を、左図には組み付けられた状態で、右図には自由状態で示してある。第1の領域Aは、組み付けられていない自由状態で第2の領域B2よりも大きい直径を有している(領域A及びB2は、ラップスプリングとして作用する)。その結果、第1の領域Aと第2の領域B2とは、組み付けられた状態(左図)では、実質的に同じ直径を有している。
【0048】
図18において、第2の変化形態では、ダブルラップスプリングとして形成されたコイルばねが、初期状態では実質的に一様な外径及び内径を有しており、組み付けられた状態では、第1の領域Aの外径が、第2の領域B2の外径よりも小さい。
【0049】
両変化形態において軸8は、外径D8を有し、第2の領域B1は、内径dBを有し、その結果、締め代a2(干渉)が両者間に存在する。ハブ9の内径d9と第1の領域Aの外径との間には、締め代/干渉a1が存在する。組み付けられていない状態でのコイルばね1の初期形状がそれぞれ異なることにより、軸及びハブに対する締め代との関連で、
図17及び
図18に示したそれぞれ異なる組み付け状態が生じる。
【0050】
図18に示した変化形態は、コイルばね1の製造性に関して有利である(一定のコイル直径)。
図18に示した変化形態は、軸8及びハブ9がダブル‐ラップスプリング領域において軸方向でオーバラップしてはならないことを前提とする。しかし、軸8及びハブ9は、
図17に示した変化形態に関して、半径方向の構成スペース上の利点を提供可能である。
【0051】
図19は、内部にダブルラップスプリング(コイルばね1)が組み込まれているケージ10を有するアクチュエータの縦断面図を示している。ケージ10は、効率最適化されたスピンドルドライブ、本実施の形態では、PWG6の、軸受支持体ハウジング/ハウジング5に相対回動不能に取り付けられている。ダブルラップスプリングとして形成されたコイルばね1は、ケージ10(=ハブ)の内径と、PWG6のリングギヤ11(=軸)の外径との間において自由に嵌合されている。
【0052】
図11乃至
図19に則して形成されたコイルばねは、総括すると特に以下の特徴、すなわち:
尖っていない第1の端部1.1を有する、第1のラップスプリング(アイテルワインの式)として作用する第1の領域Aであって、ハブ9(中空軸/孔)に対する好ましくは一定のプリロード/干渉a1を有する第1の領域A1、
尖っていない端部1.2を有する、第2のラップスプリング(アイテルワインの式)として作用する第2の領域B2であって、軸8に対する好ましくは一定のプリロード/干渉a2を有する第2の領域B2、
両領域A及びB2は、帯材から巻成され、これにより移行領域Cにおいて互いに結合されている、
領域Cにおいて帯材は90°捻転されていてもよく、これにより第1の領域Aと第2の領域B2との間の作用差を強めることができる、
両端部1.1,1.2は、軸8上あるいはハブ9内に自由に配置されており、組み立て中の回転による配設は、不要である、
一方のばね領域が軸上に、他方のばね領域がハブ上に組み付けられていることは必須である、
という特徴を有している。
【0053】
こうして、ダブルラップスプリングは、互いに対して自由回転する部材(ハブ/軸)間の相対運動を阻止する。このことは、特に、軸方向力により駆動されるが、非セルフロック式であり、しかしエラー(電源喪失)時には位置を保持しなければならないアクチュエータにおいて必要である。
【0054】
機能にとって重要であるのは、第1の領域A及び第2の領域Bにおける好ましくは異なる引きずりモーメント(Schleppmoment)であり、引きずりモーメントは、次式
【数1】
にしたがって算出され、したがって特に摩擦係数に左右されない。さらに、一方のばねのロックモーメントは、(その都度解除されて運転されるばね領域における)設計引きずりモーメントを達成するために、少なくとも、その都度他方のばねの引きずりモーメントを支持できなければならない。
【0056】
ハブ9が軸8に対して相対的に(駆動モータ、好ましくは電動モータ7により駆動されて)コイルばね1の巻回方向とは逆向きに回動されると、ダブル‐ラップスプリングの第1の領域Aは、半径方向でハブ9内に押し込まれ、ロックされると同時に、第2の領域B2は、軸8上で引きずられ、第2の領域Bは、比較的低い引きずりモーメントを有し、これは、アキシアル荷重Fに抗して作業するために(例えばクラッチを開放するために)、好ましい回転方向である。
【0057】
ハブ9が軸8に対して相対的に巻回方向に回動(スピンドル2が回転せずにアキシアル荷重により駆動‐
図19参照)されると、第2の領域B2は、軸8上にロックされ、回動モーメントを支持し、ダブル‐ラップスプリングの第1の領域Aは、開放するように運転されるが、軸方向力の逆駆動モーメントより大きい引きずりモーメントを支持することができる。本発明により、特にエラー時の戻し運動は阻止される。アクチュエータを能動的に戻すには、駆動モータが、ばね領域Aの引きずりモーメントに抗して(アキシアル荷重の逆駆動モーメントにアシストされて)作業しなければならない。
【0058】
ダブル‐ラップスプリングとして作用するコイルばねは、摩擦要素として使用されるため、初めて、エラー時にクラッチが意図せず開放してしまうことを阻止する安全要素として用いられる。回転方向に応じて、閉鎖方向の十分に大きな摩擦モーメントと、開放方向の極めて小さな摩擦モーメントとが提供される。
【0059】
この場合、ラップスプリングクラッチが開放方向で巻数及び摩擦係数に左右されることなく一定の摩擦モーメントMを形成することが利用される。
【0060】
こうして、遊星転動機構型伝動装置(PWG:Planetenwaelzgetriebe)のセルフロックが、コイルばねを利用して達成される。2つの異なるプリロードを有するダブルラップスプリングとしての構造により、一方の方向での回転は、他方の方向での回転よりも弱く制動される。この場合、ラップスプリングは、自由状態でそれぞれ異なる径に形成されていて、そしてテンションをかけられた状態では1つの共通の外面を形成しているようにしてもよいし、それとは反対になるようにしてもよい。
【0061】
本発明の別の実施の形態を
図20にアクチュエータの縦断面図として示してある。本実施の形態において、2つの領域を有するコイルばね1(ラップスプリングとして形成される第1の領域Aと、トーションスプリングとして形成される第2の領域B1)は、リングギヤ11の外径と、ツーピース、つまり2つの部分からなるスリーブ12の内径との間に配置されている。スリーブ12は、プラネタリピニオン6.2を収容するプラネタリキャリア6.3に結合されている。プラネタリピニオン6.2は、スピンドル2と噛み合っている。さらにスリーブ12は、内径の異なる領域を有している。第1の領域12.1は、コイルばね1の第1の領域A(ラップスプリング)に適合されたより小さな内径を有し、第2の領域12.2は、コイルばね1の第2の領域B1(トーションスプリング)に適合されたより大きな内径を有している。第2の領域B1に形成された第2の端部1.2は、半径方向外向きに屈曲されており、スリーブ20の第2の領域20.2に相対回動不能に連結されている。
【0062】
リングギヤ11は、軸方向で2つのスラスト軸受6.4間において嵌合されており、スラスト軸受レース6.5を介して取り付けられる。
【0063】
これにより、リングギヤ11の外径は、軸=第1の構成部材を形成し、スリーブ12の内径は、ハブ=第2の構成部材を形成し、両者間には、摩擦装置を形成するコイルばね1が配置されている。
【0064】
図21には、
図20の3次元図が看取可能であり、2つの部分からなるスリーブ12及びスピンドル2が示されている。領域12.1,12.2は、互いにハウジング状に結合されており、領域12.2は、半径方向外向きの凹部12.3を有している。凹部12.3内には、コイルばねのトーションスプリング側の第2の端部1.2が相対回動不能に掛着される。
【0065】
図22は、スリーブ12なしで示す
図21の3次元図であり、ラップスプリングとして形成されている第1の領域A及びトーションスプリングとして形成されている第2の領域B1の形態の、コイルばね1のそれぞれ異なる直径領域が看取可能である。コイルばね1の第2の端部1.2は、スリーブ12の凹部12.3内に係合してスリーブ12に対して相対回動不能である。PWGの中央部でスピンドル2が作動する。
図23は、リングギヤ11の3次元図である。リングギヤ11の、符号を付していない外径上には、(
図23には示していない)コイルばね1が嵌合し、リングギヤ11の内径内では、同様に
図23には示していないプラネタリピニオンが転動する。
【0066】
図24は、スリーブ12の第1の部分12.1の3次元図であり、
図25は、ラップスプリング(第1の領域A)を掛着したスリーブ12.1の第1の部分を正面から見た原理図である。スリーブ12の第1の部分12.1は、
図7/8に示したばねポット3と同様に、コイルばね1の、半径方向外向きに屈曲した第1の端部1.1のためのストッパ12.4を有している。ラップスプリングの端部1.1とストッパ12.4との間には、トーション角αが形成される。
【0067】
図26は、半径方向外向きの凹部12.3を有するスリーブの第2の部分12.2の3次元図である。
図27は、スリーブ12の第2の部分12.2の原理図であって、凹部12.3内に、コイルばね1の、トーションスプリングとして作用する第2の領域B1の、半径方向外向きの第2の端部1.1が、相対回動不能に掛着されていることが看取可能である。
【0068】
図20、
図22、
図25、
図27からは、コイルばねの移行領域Cが90°捻転されており、その結果、第1の領域Aの巻線の高さが、第2の領域B2の巻線の幅に相当し、第1の領域Aの巻線の幅が、第2の領域B1の巻線の高さに相当することが明らかである。
【0069】
本変化形態(
図20乃至
図27)において、組み合わされたラップ‐トーションスプリングの形態のコイルばね1が、PWG6のリングギヤ11とプラネタリキャリア6.3との間に配置されているので、アクチュエータは、周方向行程制御あるいは角度制御されている。
【0070】
スリーブ12(あるいはその両半部12.1,12.2)は、相対回動不能にプラネタリキャリア6.3に結合されているので、機能的にはプラネタリキャリア6.3に対応すべきものである。
【0071】
スリーブ12の第1の半部12.1は、第1の端部1.1のためのストッパ12.4を有している。ストッパ12.4は、組み付けられた状態でこの第1の端部1.1に対してラップスプリング(第1の領域A)の閉鎖方向で角度αをなして離間している。
【0072】
第2のスリーブ12.2は、凹部12.3を有している。凹部12.3内には、第2の端部1.2が相対回動不能に掛着される。
【0073】
リングギヤ11は、円筒状の領域を有しており、円筒状の領域には、コイルばね1の第1の領域A(ラップスプリング)が、プリロード/干渉を有して組み付けられる。
【0074】
ばねの第2の領域B1(トーションスプリング領域)は、その機能に応じて、半径方向外向き及び内向きに、周囲の構成部材(スリーブ12及びリングギヤ11)に対してねじるためのスペースを有していなければならない。
【0076】
PWG6が荷重‐力Fに抗して運転されると、コイルばね1のラップスプリング領域=第1の領域Aは、開放方向でリングギヤ11と第1の領域Aとの間の干渉に基づく摩擦を介して操作される。その際、開放方向での(摩擦係数に左右されない)弱い引きずりモーメントは、PWG6の効率にごく僅かに影響を及ぼすにすぎない。PWG6が荷重Fにより駆動されると、ラップスプリング領域(第1の領域A)は、(リングギヤ11と第1の領域Aとの間の)干渉に基づく摩擦を介して連行され(ロック方向)、リングギヤ11とプラネタリキャリア6.3との間のトーションスプリングの形態の第2の領域B1は、(荷重に基づく)逆駆動モーメントとトーションスプリングモーメントとが均衡するまで、ねじられる。例えば駆動モータの付加的な駆動により、第2の領域B2(トーションスプリング領域)は、第1の端部1.1が、スリーブ12の第1の半部12.1に設けられたストッパ12.4に到達し、リングギヤ11が、コイルばね1内を滑動するまで、さらにねじられる(モータ駆動モーメント>ストッパまでのトーションモーメント)。
【0077】
原則、コイルばね1は、リングギヤ11に掛着されてもよい。第1の端部1.1のためのストッパ12.4も、リングギヤ11、又はリングギヤ11に相対回動不能な構成部材に設けられていなければならない。円筒状の領域(摩擦領域)は、以下に別の変化形態を参照しながら説明するように、スリーブ12内に配置されていなければならない。
【0078】
この解決手段により、同様にPWG6のセルフロックが、2つの異なるばね領域を有するダブルスプリングの使用により実現可能である。ここで説明する別の態様において、ダブルラップスプリングとして形成されたコイルばねは、スリーブ12とリングギヤ11との間に配置されている。コイルばね1の回転は、専らリングギヤ11の回転により発生される。プリロード(ダブルラップスプリング)により、又はダブルスプリング(ラップスプリング及びトーションスプリング)のそれぞれ異なる作用原理により、操作方向では僅かな摩擦が、この方向とは逆方向では高められた摩擦が達成可能である。この第2の摩擦は、クラッチの戻し力だけでは全行程にわたって達成され得ず、モータによってこの力は克服可能であり、ばねのための軸方向のストッパを第1のスリーブ部分に設けたことで、所定の回転角から、より容易な戻しがモータにより達成可能である。
【0079】
図28は、
図20に示したものに類似するが、ダブルラップスプリングとして作用するコイルばね1の形態の、同じ内径を有する2つの部分からなるスリーブ12を有するPWG6の縦断面図であり、
図29は、3次元図である。
【0080】
コイルばね1は、ラップスプリングとして形成される第1の領域Aと、ラップスプリングとして形成される第2の領域B1とを有している。第1の領域Aは、スリーブ24の第1の部分12.1の内径と作用結合しており、第2の領域B1は、リングギヤ11の外径と作用結合している。スリーブ12は、プラネタリピニオン6.2を収容するプラネタリキャリア6.3に相対回動不能に結合されている。プラネタリピニオン6.2は、スピンドル2と噛み合い、リングギヤ11は、2つのスラスト軸受6.4間において嵌合されている。
【0081】
リングギヤ11の外径は、本実施の形態でも、軸=第1の構成部材を形成し、スリーブ12の内径は、ハブ=第2の構成部材を形成し、両者間には、摩擦装置を形成するコイルばね1が配置されている。
【0082】
図29には、
図28の3次元図が看取可能であり、2つの部分からなるスリーブ12とスピンドル2とを示してある。領域12.1,12.2は、同様に互いにハウジング状に結合されており、結合領域に半径方向外向きの鍔12.5を形成している。鍔12.5の周囲には、金属薄板クリップ13が係合している。
【0083】
図30は、
図28/29に示したPWG6の形態の、効率最適化されたスピンドルドライブを有するアクチュエータを示している。このアクチュエータは、
図19に示したものと同様に構成されており、ダブルラップスプリングの形態の、組み込まれたコイルばね1を有している。ダブルラップスプリングとして形成されるコイルばね1は、ばねポットを形成するスリーブ12(=ハブ)の内径と、PWG6のリングギヤ11(=軸)の外径との間において自由に嵌合されている。
【0084】
図28乃至
図30に示したこの変化形態の場合、アクチュエータは、力制御あるいはモーメント制御されて作業する。
【0085】
ラップスプリングの第1の領域Aは、リングギヤ12の円筒状の領域に対する干渉を有しており、この円筒状の領域に摩擦結合を介して組み付けられている。
【0086】
ラップスプリングの第2の領域B2は、(機能的にはプラネタリキャリアに対応すべき)スリーブの円筒状の領域に対する干渉を有しており、この円筒状の領域に摩擦結合を介して組み付けられている。この変化形態の利点は、周囲の構成部材に対するダブルラップスプリングの回転による配設が不要であることにある。
【0087】
ばねがスリーブ内に差し込まれており、リングギヤの円筒状の区分に摩擦を介して作用する作用原理は、逆転されてもよい。
【0088】
摩擦装置を備える本発明に係る構成群は、伝動装置を駆動装置の故障時にその位置に保持する又は保持電流を低減若しくは回避することが可能である。その際、有利な点は、一方の操作方向(例えばクラッチの開放時)での効率に対する僅かな影響と、他方の操作方向(例えばクラッチの閉鎖時)でのセルフロックとにある。
【0089】
アクチュエータに組み込まれている伝動装置、例えばPWGにより、好ましくは、クラッチが、スピンドルの回転運動を軸方向運動に変換するPWGの軸方向運動により操作される。例えば半径方向外向きの段部を有するPWGのスリーブ12は、スピンドルの回転運動時に皿ばね舌片の荷重に抗して軸方向運動を行い、皿ばね舌片を操作する。