特許第6622204号(P6622204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6622204敏感肌の予防及び治療のための、化粧品用又は皮膚用調製物におけるアルキルアミドチアゾールの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622204
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】敏感肌の予防及び治療のための、化粧品用又は皮膚用調製物におけるアルキルアミドチアゾールの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20191209BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20191209BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20191209BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20191209BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20191209BHJP
   C07D 277/46 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61Q19/00
   A61P17/00
   A61P29/00
   A61K31/426
   C07D277/46CSP
【請求項の数】5
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2016-541420(P2016-541420)
(86)(22)【出願日】2014年11月21日
(65)【公表番号】特表2017-505295(P2017-505295A)
(43)【公表日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】EP2014075319
(87)【国際公開番号】WO2015090851
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年9月26日
(31)【優先権主張番号】102013226711.8
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398042277
【氏名又は名称】バイエルスドルフ・アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Beiersdorf AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルートガー コルベ
(72)【発明者】
【氏名】カトリン シェアナー
(72)【発明者】
【氏名】ウアズラ ヴェンゾッラ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス マン
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/041526(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/117034(WO,A1)
【文献】 特表2005−522458(JP,A)
【文献】 特表2009−503107(JP,A)
【文献】 特開昭54−154764(JP,A)
【文献】 特開2001−158730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
A61K 31/00− 31/80
A61P 17/00− 17/18
A61P 29/00− 29/02
C07D 275/00−277/84
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの肌における炎症症状の予防のための、以下の構造:
【化1】
【化2】
【化3】
を有する1つ又は複数のアルキルアミドチアゾールの敏感肌又は乾燥肌用の化粧品調製物の製造における使用。
【請求項2】
ヒトの肌における炎症症状の予防又は治療用皮膚調製物の製造における、以下の構造:
【化4】
【化5】
【化6】
を有する1つ又は複数のアルキルアミドチアゾールの使用。
【請求項3】
請求項1又は2記載の使用であって、化粧品用又は皮膚用調製物におけるアルキルアミドチアゾールの含有率が、調製物の全質量に対して、0.000001〜10.0質量%の範囲から選択されることを特徴とする、前記使用。
【請求項4】
ヒトの肌における炎症症状の予防のための、以下の構造:
【化7】
【化8】
【化9】
を有する1つ又は複数のアルキルアミドチアゾールを含有する敏感肌又は乾燥肌用の化粧品用組成物。
【請求項5】
ヒトの肌における炎症症状の予防又は治療のための、以下の構造:
【化10】
【化11】
【化12】
を有する1つ又は複数のアルキルアミドチアゾールを含有する局所薬用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敏感肌、掻痒刺激、及びヒトの肌における炎症症状の予防及び治療のための、化粧品用又は皮膚用調製物中でのアルキルアミドチアゾールの使用に関する。
【0002】
老化に伴う変化及び外因子(例えば、皮膚バリア障害、紫外光の影響、刺激物質又はアレルギー誘発物質、例えばシェービングによる機械的影響)は、皮膚炎につながる可能性がある。この出願の文脈における皮膚炎とは、ヒト又は動物において感覚的な不快感を引き起こし、かつ/又は乾燥した、赤らんだ及び/若しくは炎症を生じた皮膚の外見によって特徴付けられる肌のあらゆる変化を意味する。ここで、感覚的な不快感との用語は、当然の事ながら、痒み又は痛みといった状態も含む。皮膚炎は、殊に現象的に異なる肌の状態、つまり敏感肌、繊細な頭皮を含む繊細な肌、傷んだ肌、乾燥肌、アトピー肌及び乾癬肌、刺激肌、酒さ、炎症肌、及び糖尿病に際しての、そのつどより高い重症度で肌の発赤、いわゆる紅斑となって現れる肌の変化を含み得る。
【0003】
「敏感肌」の問題に見舞われる成人及び子供の数は増大しつつある。今では人口の50%までが敏感肌を有していると想定される(L.Misery et al.,Ann.Dermatol,Venereol.2005,132,425−429)。敏感肌とは、過敏性肌及び不耐性肌、それにアトピー肌といった、刺激に対する閾値が低下した肌を指す。敏感な、繊細な又は傷んだ肌を持つヒトの場合、「刺痛」(英語の「to sting」=痛ませる、ヒリヒリさせる、苦しめる)と呼ばれる症状が観察され得る。「刺痛」又は「繊細な肌」との用語で関連付けられる典型的な厄介な症状が、肌の発赤、むず痒さ、緊張及びヒリヒリ感並びに掻痒刺激である。それらは、例えばマッサージ、界面活性剤の影響、例えば乳酸といった更なる化学物質の影響、暑さ、寒さ、乾燥状態、それに蒸し暑さといった天候の影響、例えば太陽の熱放射及び紫外線、又は心理的ストレスといった刺激を与える環境条件によって引き起こされ得る。
【0004】
同様に“繊細な”頭皮も、肌の発赤、むず痒さ、ヒリヒリ感及び掻痒刺激によって特徴付けられる。それらの引き金が、例えばセッケン、シャンプー又はその他のヘアケア剤、界面活性剤、高いカルキ濃度を有する硬水及び/又は機械的負荷である。頭皮の紅斑及び高度脂漏症(過剰な皮脂生成)並びに鱗屑が、前記の症状と頻繁に関連付けられている。
【0005】
工業国の人口の約10〜20%においては、環境物質に対する肌及び粘膜のごく普通に現れる過敏性、それと共に、自然環境からの物質に対して即時型の過敏反応(アレルギー)を一段と発生し易くさせるアトピーが観察され、その割合は増加傾向にある。アトピーは、遺伝に因るものと推測されている。アトピーは、アトピー性皮膚炎となって現れうる。その際、皮膚バリアが損なわれ、しばしば皮膚に炎症が起こり、かつ痒みが生じる。
【0006】
太陽光線又は人工光線の紫外部が皮膚に及ぼす紅斑性の影響は、一般的に知られている。290nm未満の波長(いわゆるUVC領域)を有する放射線が大気中のオゾン層により吸収される一方で、290nmから320nmまでの間の範囲の放射線、いわゆるUVB領域は、紅斑、軽度の日焼け又はそれどころか多少とも強い火傷を招く。紅斑性の皮膚の外見はまた、ある特定の皮膚疾患又は皮膚のむら、例えば座瘡、細菌により誘発される皮膚の炎症、表皮反応、皮膚描記症、一般的な皮膚発疹、皮膚幼虫移行症、創傷丹毒、帯状疱疹、凍傷又は火傷の場合に付随症状として生じる。その際、肌の発赤の特別な形態が酒さである。それゆえ、抗炎症作用の調製物が、好ましくは、一般的に病気による肌の発赤及び特に酒さを鎮静させ、長期期間にわたって抑制し、かつ再発を実質的に防ぐことに用いられることができる。
【0007】
同様に、発赤及び掻痒刺激を伴う皮膚炎も、虫刺されにより引き起こされる。それゆえ、抗炎症作用剤は、例えば発赤、膨疹形成、掻痒刺激及び痛みを及ぼす皮膚の腫れといった、虫刺されによる続発症を鎮静させ、長期期間にわたって抑制し、かつ再発を防ぐことにも寄与し得る。
【0008】
紅斑はまた、幼児、それにも増して赤ん坊のおむつ領域において強く生じる(おむつ皮膚炎)。失禁、つまり特に老年期において顕著に表れる疾患も、湿気及び刺激物に継続的に曝された結果として、頻繁に紅斑及び肌の発赤を伴う(失禁皮膚炎)。
【0009】
たしかに、前記の技術領域においては、皮膚刺激低減作用を有する多数の有効成分が既に用いられているが、それでも、依然として代替物が追求されている。
【0010】
それゆえ、化粧品及び医薬品工業においては、皮膚刺激低減作用を有する薬剤の需要が常に存在する。ここで、相応する抗炎症作用剤の追求に際して留意されるべき点は、化粧製品及び/又は医薬製品中において使用される物質が、さらに続いて、
− 毒物学的に懸念がなく、
− 皮膚相容性が良好であり、
− 安定であり(殊に慣用の化粧品及び/又は医薬品配合物中において)、
− 好ましくは、臭いが弱く又は(実質的に)無臭であり、
− 好ましくは、無色であり、かつ変色せず、並びに
− 安価に製造可能(すなわち、標準方法を用いて、かつ/又は標準前駆体から出発して)
でなければならないことである。
【0011】
上述の特性の1つ以上を十分な程度で有する適切な(有効)物質の追求は、一方では物質の化学構造と、他方ではその抗炎症活性及びその活性との間で明確な関連性が存在していないことから、当業者にとって困難である。さらに、抗炎症作用、毒物学的懸念、皮膚相容性及び/又は安定性の間で予見可能な関連性が存在しない。
【0012】
それゆえ、本発明の課題は、好ましくは前述の付随的な条件を1つ以上、特に有利には前述の条件を全て満たす抗炎症性有効成分を提供することであった。
【0013】
意想外にも、敏感肌、掻痒刺激、及びヒトの肌における炎症症状の予防及び治療のための、化粧品用又は皮膚用調製物中でのアルキルアミドチアゾールの使用が先行技術の欠点を排除することがわかった。
【0014】
有利には、本発明による化粧品用又は皮膚用調製物は、当該調製物の全質量に対して0.000001〜10質量%、特に有利には0.0001〜3質量%、極めて有利には0.001〜1質量%のアルキルイミドチアゾールを含有する。
【0015】
本発明により使用される有効成分又は本発明により使用される有効成分の有効含有量を有する化粧品用若しくは局所皮膚用調製物が適用される場合、意想外にも、障害のある(defizitaer)、敏感な若しくは機能低下した皮膚状態、又は障害のある、敏感な若しくは機能低下した皮膚付属器の状態及び/又は炎症症状及び/又は掻痒刺激の有効な治療、或いは予防が可能である。
【0016】
本発明により極めて好ましいのは、本発明により使用される有効成分又は本発明により使用される有効成分の有効含有量を有する化粧品用若しくは局所皮膚用調製物を、化粧品若しくは皮膚科学による不所望の皮膚状態の治療又は予防のために使用することである。
【0017】
本発明の意味における好ましいアルキルアミドチアゾールは、一般式
【化1】
の物質であり、ここで、
1、R2、X及びYは、異なっているか、部分的に同じであるか又は完全に同じであってよく、かつ互いに無関係に、次の意味を有してよい:
1は、−C1〜C24−アルキル(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルケニル(線状及び分岐状)、−C1〜C8−シクロアルキル、−C1〜C8−シクロアルキル−アルキルヒドロキシ、−C1〜C24−アルキルヒドロキシ(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアミン(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアリール(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアリール−アルキル−ヒドロキシ(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルヘテロアリール(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキル−O−C1〜C24−アルキル(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキル−モルホリノ、−C1〜C24−アルキル−ピペリジノ、−C1〜C24−アルキル−ピペラジノ、−C1〜C24−アルキル−ピペラジノ−N−アルキルを意味し、
2は、H、−C1〜C24−アルキル(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルケニル(線状及び分岐状)、−C1〜C8−シクロアルキル、−C1〜C24−ヒドロキシアルキル(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアリール(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルヘテロアリール(線状及び分岐状)を意味し、
Xは、−H、−C1〜C24−アルキル(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルケニル(線状及び分岐状)、−C1〜C8−シクロアルキル、−C1〜C24−アリール(場合により、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−OMe、−NH2、−CNで一置換又は多置換されたもの)、−C1〜C24−ヘテロアリール(場合により、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−OMe、−NH2、−CNで一置換又は多置換されたもの)、−C1〜C24−アルキルアリール(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルヘテロアリール(線状及び分岐状)、−アリール(場合により、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−OMe、−NH2、−CNで一置換又は多置換されたもの)、−フェニル、−2,4−ジヒドロキシフェニル、−2,3−ジヒドロキシフェニル、−2,4−ジメトキシフェニル、−2,3−ジメトキシフェニルを意味し、
Yは、H、−C1〜C24−アルキル(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルケニル(線状及び分岐状)、−C1〜C8−シクロアルキル、−C1〜C24−アリール、−C1〜C24−ヘテロアリール(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアリール(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルヘテロアリール(線状及び分岐状)、−アリール、−フェニル、−2,4−ジヒドロキシフェニル、−2,3−ジヒドロキシフェニル、−2,4−ジメトキシフェニル、−2,3−ジメトキシフェニル、−COO−アルキル、−COO−アルケニル、−COO−シクロアルキル、−COO−アリール、−COO−ヘテロアリールを意味し、
かつX、Yは、場合によっては、縮合芳香族化合物を意味してよく、
ここで、X及びYは互いに、n個までの環形成原子を有する芳香族若しくは脂肪族の単素環式又は複素環式環系を形成してよく、かつ数字のnは、5〜8の値であってよく、かつそれぞれの環系はまた、n−1個までのアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトリル官能基、硫黄含有置換基、エステル基及び/又はエーテル基で置換されていてよい。
【0018】
上述のチアゾールは、遊離塩基としても、塩としても、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、炭酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩又はリン酸塩として、とりわけハロゲン塩、例えば塩化物及び臭化物として存在することができる。
【0019】
好ましくは、Xは、置換されたフェニルの群から選択され、ここで、置換基(Z)は、−H、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−OMe、−NH2、−CN、アセチルの群から選択されてよく、かつ同じであるか又は異なっていてよい。
【0020】
【化2】
【0021】
特に好ましくは、Xは、1個以上のヒドロキシ基で置換されたフェニル基の群から選択され、ここで、置換基(Z)は、−H、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−OMe、−NH2、−CN、アセチルの群から選択されてよく、かつY、R1及びR2が、前で定義された特性を有していてよい、以下の一般構造が有利である。
【0022】
【化3】
【0023】
好ましいのは、殊に
【化4】
Y=H、
1=−C1〜C24−アルキル(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルケニル(線状及び分岐状)、−C1〜C8−シクロアルキル、−C1〜C8−シクロアルキル−アルキルヒドロキシ、−C1〜C24−アルキルヒドロキシ(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアミン(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアリール(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアリール−アルキル−ヒドロキシ(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルヘテロアリール(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキル−O−C1〜C24−アルキル(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキル−モルホリノ、−C1〜C24−アルキル−ピペリジノ、−C1〜C24−アルキル−ピペラジノ、−C1〜C24−アルキル−ピペラジノ−N−アルキル、
2=H、−C1〜C24−アルキル(線状及び分岐状)、
Z=−H、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−OMe、−NH2、−CN、アセチル、
の化合物である。
【0024】
特に有利なのは、
【化5】
Y=H、
1=−C1〜C24−アルキル(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルケニル(線状及び分岐状)、−C1〜C8−シクロアルキル、−C1〜C8−シクロアルキル−アルキルヒドロキシ、−C1〜C24−アルキルヒドロキシ(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアミン(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアリール(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルアリール−アルキル−ヒドロキシ(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキルヘテロアリール(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキル−O−C1〜C24−アルキル(線状及び分岐状)、−C1〜C24−アルキル−モルホリノ、−C1〜C24−アルキル−ピペリジノ、−C1〜C24−アルキル−ピペラジノ、−C1〜C24−アルキル−ピペラジノ−N−アルキル、
2=H、
の化合物である。
【0025】
化合物
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
が本発明により有利なものである。
【0028】
本発明により使用される有効成分又は本発明により使用される有効成分の有効含有量を有する化粧品用若しくは局所皮膚用調製物による予防又は化粧品若しくは皮膚科学による治療は、通常の仕方で、すなわち、本発明により使用される有効成分又は本発明により使用される有効成分の有効含有量を有する化粧品用若しくは局所皮膚用調製物を皮膚患部に塗布して行われる。
【0029】
好ましくは、本発明により使用される有効成分は、様々な形態で存在しうる慣用の化粧品用及び皮膚用調製物に添加することができる。したがって、それらは、例えば、溶液、油中水(W/O)型若しくは水中油(O/W)型エマルション、又は複合エマルション、例えば水中油中水(W/O/W)型若しくは油中水中油(O/W/O)型エマルション、ハイドロディスパージョン(Hydrodisperion)、リポディスパージョン(Lipodispersion)、ピッカリングエマルション(Pickering-Emulsion)、ゲル、固形スティック或いはエーロゾルであってもよい。
【0030】
本発明の意味における、例えば、クリーム、ローション、化粧用乳液(kosmetische Milch)の形態の本発明によるエマルションが好ましく、かつ、かかるタイプの配合物のために通常使用される、例えば脂肪、油、ワックス及び/又はその他の脂肪体、並びに水及び1種以上の乳化剤を含有する。
【0031】
本発明の意味においては、本発明により使用される有効成分を、皮膚及び毛髪の洗浄のために、水性系又は界面活性剤調製物中に混合することが可能であり、かつ好ましい。
【0032】
当然の事ながら、要求の高い化粧品用組成物は通常、慣用の助剤及び添加剤なしでは不可能であることは当業者に公知である。このような助剤及び添加剤に含まれるのは、例えば、粘稠性付与剤、充填剤、香料、染料、乳化剤、付加的な有効成分、例えばビタミン又はタンパク質、光保護剤、安定剤、防虫剤、アルコール、水、塩、抗菌性作用、タンパク質分解性作用又は角質溶解性作用を示す物質などである。
【0033】
必要な変更を加えて、医薬品調製物の配合に相応の要件が適用される。
【0034】
本発明の意味における局所薬用組成物は、一般に、有効濃度で1種以上の薬品を含有する。簡潔にいえば、化粧品用途及び相応の製品と医薬品用途及び相応の製品との明確な区別には、ドイツ連邦共和国の法規定を参照されたい(例えば化粧品規則、食品規則及び薬品規則)。
【0035】
ここで同様に、既にその他の有効成分をその他の目的で含有する調製物に本発明により使用される有効成分を添加剤として加えることも好ましい。
【0036】
相応して、本発明の意味における化粧品用又は局所皮膚用組成物は、それらの構成に応じて、例えば、皮膚保護クリーム、クレンジングミルク、サンスクリーンローション、栄養クリーム、デイクリーム又はナイトクリームなどとして使用することができる。場合により、本発明による組成物を製薬学的配合物のベースとして使用することが可能であり、かつ好ましい。
【0037】
適用のために、化粧品用及び皮膚用調製物は、本発明により、化粧品にとって通常の方法で皮膚及び/又は毛髪に十分な量で塗布される。
【0038】
特に有利なのは、サンスクリーン剤の形態で存在する化粧品用及び皮膚用調製物である。好ましくは、これらは、付加的に少なくとも1種の更なるUVAフィルター及び/又は少なくとも1種の更なるUVBフィルター及び/又は少なくとも1種の無機顔料、有利には無機マイクロ顔料を含有してよい。
【0039】
化粧用及び皮膚用調製物は、本発明により、かかる調製物中において通常使用される化粧品用助剤、例えば、保存剤、殺菌剤、香料、発泡抑制物質、染料、着色効果を有する顔料、増粘剤、湿潤性物質及び/若しくは保湿性物質、脂肪、油、ワックス、又はその他の化粧品用若しくは皮膚用配合物の慣用成分、例えばアルコール、ポリオール、ポリマー、発泡安定剤、電解質、有機溶媒若しくはシリコーン誘導体を含有してよい。
【0040】
慣用の酸化防止剤を付加的に含有することが一般的に有利である。本発明により、好適な酸化防止剤として、化粧品及び/若しくは皮膚適用に適した、又はそのために頻繁に用いられる全ての酸化防止剤を使用することができる。
【0041】
調製物中における前述の酸化防止剤(1種以上の化合物)の量は、当該調製物の全質量に対して、好ましくは0.001〜30質量%、特に有利には0.05〜20質量%、殊に1〜10質量%である。
【0042】
本発明の意味における化粧品用又は皮膚用調製物が、溶液又はエマルション又は分散液である場合には、溶媒として次のものを使用することができる:
− 水又は水溶液;
− 油、カプリン酸若しくはカプリル酸のトリグリセリド、好ましくはヒマシ油;
− 脂肪、ワックス及びその他の天然及び合成脂肪体、好ましくは脂肪酸と低炭素数のアルコールとの、例えばイソプロパノール、プロピレングリコール若しくはグリセロールとのエステル、又は脂肪アルコールと低炭素数のアルカン酸若しくは脂肪酸とのエステル;
− 低炭素数のアルコール、ジオール又はポリオール、並びにそれらのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル若しくはエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル若しくはプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル若しくはジエチレングリコールモノエチルエーテル及び類似の生成物。
【0043】
殊に、前述の溶媒の混合物が使用される。アルコール性溶媒の場合、水が更なる成分であってよい。
【0044】
本発明の意味における化粧品用又は皮膚用調製物が、溶液又はエマルション又は分散液である場合には、溶媒として次のものを使用することができる:
− 水又は水溶液;
− 油、カプリン酸若しくはカプリル酸のトリグリセリド、好ましくはヒマシ油;
− 脂肪、ワックス及びその他の天然及び合成脂肪体、好ましくは脂肪酸と低炭素数アルコールとの、例えばイソプロパノール、プロピレングリコール若しくはグリセロールとのエステル、又は脂肪アルコールと低炭素数のアルカン酸若しくは脂肪酸とのエステル;
− 低炭素数のアルコール、ジオール又はポリオール、並びにそれらのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル若しくはエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル若しくはプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル若しくはジエチレングリコールモノエチルエーテル及び類似の生成物。
【0045】
殊に、前述の溶媒の混合物が使用される。アルコール性溶媒の場合、水が更なる成分であってよい。
【0046】
本発明の意味におけるエーロゾル容器から噴霧可能な化粧品用及び/又は皮膚用調製物の噴射剤として、慣用の公知の易揮発性で液化された噴射剤、例えば炭化水素(プロパン、ブタン、イソブタン)が適しており、これらは単独で又は互いに混合して用いることができる。それに圧縮空気を好ましくは使用することができる。
【0047】
当業者は当然の事ながら、エーロゾル薬剤の形態で本発明を実現するため基本的には適している、それ自体非毒性の噴射ガスが存在していることを知っているが、しかし、それにも関わらず、当該噴射ガス、殊にフルオロ炭化水素及びフルオロクロロ炭化水素(FCKW)は、環境又はその他の付随状況への影響が懸念されるので、省かれるべきである。
【0048】
本発明の意味における化粧品調製物は、ゲルとして存在してもよく、これらは、本発明による有効成分の有効含有量及びそのために通常使用される溶媒、有利には水のほかに、更に有機増粘剤、例えばアラビアゴム、ザンサンガム、アルギン酸ナトリウム、セルロース誘導体、好ましくはメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくは無機増粘剤、例えば、ケイ酸アルミニウム、例えばベントナイト、又はポリエチレングリコールとステアリン酸ポリエチレングリコール若しくはジステアリン酸ポリエチレングリコールとの混合物を含有してよい。増粘剤は、ゲル中において、例えば、0.1〜30質量%、有利には0.5〜15質量%の量で含まれる。
【0049】
本発明により、本発明による組合せのほかに、更なる油溶性UVAフィルター及び/若しくはUVBフィルターを脂質相中で、並びに/又は更なる水溶液UVAフィルター及び/若しくはUVBフィルターを水相中で用いることが好ましい。
【0050】
好ましくは、光保護用配合物は、本発明により、UVB領域におけるUV線を吸収する更なる物質を含有してよく、ここで、皮膚を紫外線の全領域から保護する化粧品調製物を提供するために、フィルター物質の全量は、調製物の全質量に対して、例えば0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%、殊に1〜6質量%である。それらは、サンスクリーン剤として用いられることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−イソブチルアミドが低い濃度でもNFκBの活性化を妨げることを示す図
図2】N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−イソブチルアミドがPGE2放出を薬理学的ジクロフェナク標準品に匹敵する水準にまで減少させることを示す図
図3】N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−イソブチルアミドが高い濃度でも承認された薬理学的基準にあることを示す図
【0052】
効果の立証:
核内因子κB(NFκB)は、炎症の主要制御因子である。多数の炎症誘発性メディエーター(例えばサイトカイン及びケモカイン)の発現は、NFκBの制御のもとにある。それゆえ、NFκBの活性化の抑制は、炎症の進行を最小限にする重要なメカニズムである。NFκB活性化の測定のために、Cell Culture Service GmbH社(Hamburg在)の市販のアッセイを用いた。この試験においては、炎症誘発性メディエーターTNF−αの添加によってNFκBを活性化した。本発明によるアルキルイミドチアゾールの添加は、適用量に依存してTNF−α効果を妨げる。図1には、例示的に、N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−イソブチルアミドの非常に僅かな濃度ですらTNF−αにより誘起されるNFκBの活性化を妨げることが示される。
【0053】
更なる実験においては、NFκB活性化の抑制が、実際に炎症誘発性メディエーターのその後の放出も軽減しているか否かを調べた。そのために、例示的に、2つの実験の結果を図にして記録した。ヒト皮膚線維芽細胞のポリ多糖(LPS)による培養によって、これらの細胞中で炎症誘発性プロスタグラジンE2の形成を誘発し、かつ特異的ELISAによって細胞培養上清中の濃度を、LPSによる24時間培養及び本発明による物質の濃度上昇後に測定した。図2から読み取れるように、N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−イソブチルアミドは非常に目立ってPGE2の放出を薬理学的ジクロフェナク標準品に匹敵する水準にまで減少させる。次の実験では、血中白血球からのインターロイキン(1β)(IL−1β)の放出を、LPSによる刺激及び本発明による物質を用いた同時培養(24時間)後に測定した。この場合もアルキルアミドチアゾール(ここでは、例示的にN−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−イソブチルアミド)が非常に良好な抗炎症効果を示す。16.67μMの濃度の場合、デキサメタソン、すなわち超強力コルチコステロイド500ngのときと同様の効果が達成される。つまり、アルキルアミドチアゾールの抗炎症作用水準は、そのために本発明による物質のより高い濃度が用いられなければならない場合であっても、承認された薬理学的基準にある。
【0054】
例示的に選択したアルキルアミドチアゾールの合成手法:
2−ブロモ−2’,4’−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン:
【化9】
【0055】
テトラヒドロフラン900mlに2,4−ジヒドロキシアセトフェノン60g(369ミリモル)及びトリエチルアミン(186ml)を溶解した溶液を0℃に冷却し、かつテトラヒドロフラン400mlに溶解したクロロギ酸メチルエステル93mlをゆっくりと滴下した。白色沈殿物が形成した。室温で3時間撹拌した後、反応を終える(DC−コントロール)。沈殿物を吸引し、かつ十分にテトラヒドロフランで洗浄した。濾液を蒸発して乾燥物とし、酢酸エチルに取り、1NのHCl及びNaCl溶液(飽和)で洗浄し、かつ硫酸マグネシウム上で乾燥し、硫酸マグネシウムを濾過し、かつ酢酸エチルを回転蒸発器により濃縮した。2,4−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン105gを得た。1H NMR(DMSO−D6):8.05(d,1H),7.38(d,1H),7.36(s,1H),3.86(d,6H)。生成物を、更に洗浄することなく用いた。クロロホルム(1000ml)に溶解した2,4−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン105gの溶液に、クロロホルム450mlに溶解した臭素63g(392ミリモル)を3時間にわたり滴下した。その後、反応体を更に15分間、室温で撹拌した。溶媒を蒸発した。残渣を、酢酸エチル/n−ヘキサン中で撹拌し、生じた沈殿物を吸引した。酢酸エチル/n−ヘキサンからの再結晶により、2−ブロモ−2’,4’−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン100gが得られた。1H NMR(DMSO−D6):8.11(d,1H),7.42(m,2H),4.87(s,2H),3.87(s,3H),3.85(s,3H)ppm;m.p.73〜74℃。
【0056】
N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−ピバルアミド:
【化10】
【0057】
チオ尿素126g(1.66ミリモル)をトルエン(1000ml)に装入し、かつ塩化ピバロイル100g(829ミリモル)を滴下した。反応溶液を還流させながら3時間煮沸し、その際、2つの相が生じる。上相をデカンテーション分離し、かつ冷却した。沈殿析出した無色の針状結晶を吸引し、かつシクロヘキサンで洗浄し、かつ真空中で乾燥した。収率:64g,1H NMR(DMSO−D6):10.27(s,1H),9.74(s,1H),9.40(s,1H),1.19(s,9H)ppm。
【0058】
2−ブロモ−2’,4’−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン107.7g(310ミリモル)を、N−ピバロイルチオ尿素49.7g(13.6ミリモル)及びNaHCO339.2g(466ミリモル)とエタノール1.2l中で還流させながら0.5時間煮沸した。反応溶液を冷却し、かつ水250mlに溶解したNaOH50.6g(1.27モル)を混合した。室温で30分間撹拌した後、反応溶液を水300mlで取り、かつ2NのHClで中和した。生じた沈殿物を濾過分離し、かつエタノール/水から再結晶した。チアゾール80gが得られた。1H NMR(DMSO−D6):11.77(bs,1H),11.02(bs,1H),9.47(bs,2H),7.65(d,1H),7.39(s,1H),6.30(s,1H),6.28(d,1H),1.27(s,9H)ppm;m.p.:257〜259℃。
【0059】
N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−イソブチルアミド:
【化11】
【0060】
チオ尿素114g(1.5モル)をトルエン(800ml)に装入し、かつ塩化イソブチリル80g(0.75モル)を滴下した。反応溶液を還流させながら3時間煮沸し、その際、2つの相が生じる。上相をデカンテーション分離し、かつ冷却した。沈殿析出した白色の結晶を吸引し、かつトルエンで洗浄し、かつ真空中で乾燥した。収率:62g,1H NMR(DMSO−D6):11.03(bs,1H),9.66(bs,1H),9.35(bs,1H),2.72(m,1H),1.03(2,6H)ppm。
【0061】
2−ブロモ−2’,4’−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン89g(260ミリモル)を、N−イソブチリルチオ尿素37.5g(260ミリモル)及びNaHCO332g(380ミリモル)とエタノール1000ml中で還流させながら0.5時間煮沸した。反応溶液を冷却し、かつ水250mlに溶解したNaOH41g(0.93モル)を混合した。室温で30分間撹拌した後、反応溶液を水300mlで取り、かつ2NのHClでpH=3に調節した。生じた沈殿物を濾過分離し、かつエタノール/水から再結晶した。チアゾール56gが得られた。1H NMR(DMSO−D6):12.16(bs,1H),10.88(bs,1H),9.47(bs,1H),7.65(m,1H),7.41(s,1H),6.32(m,2H),2.75(m,1H),1.14(d,6H)ppm;m.p.:243〜245℃。
【0062】
N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−ブチルアミド:
【化12】
【0063】
チオ尿素143g(1.88モル)をトルエン(1000ml)に装入し、かつn−塩化ブチリル100g(0.93モル)を滴下した。反応溶液を還流させながら3時間煮沸し、その際、2つの相が生じる。上相をデカンテーション分離し、かつ冷却した。沈殿析出した薄帯黄色の結晶を吸引し、かつトルエンで洗浄し、かつ真空中で乾燥した。収率:88g,1H NMR(DMSO−D6):11.03(bs,1H),9.65(bs,1H),9.33(bs,1H),2.33(t,2H),1.53(m,2H),0.86(t,3H)ppm;m.p.:115〜188℃。
【0064】
2−ブロモ−2’,4’−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン92g(265ミリモル)を、N−ブチリルチオ尿素38.75g(265ミリモル)及びNaHCO334g(397ミリモル)とエタノール900ml中で還流させながら0.5時間煮沸した。反応溶液を冷却し、かつ水300mlに溶解したNaOH37g(0.93モル)を混合した。室温で30分間撹拌した後、反応溶液を水300mlで取り、かつ2NのHClで中和した。生じた沈殿物を濾過分離し、かつエタノール/水から再結晶した。チアゾール67gが得られた。1H NMR(DMSO−D6):12.18(bs,1H),10.89(bs,1H),9.48(bs,1H),7.65(1 arom.H),7.40(s,1H),6.31(2 arom.H),2.43(t,2H),1.64(m,2H),0.91(t,3H)ppm;m.p.:227〜229℃。
【0065】
N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−アセトアミド:
【化13】
【0066】
2−ブロモ−2’,4’−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン4.71g(13.6ミリモル)を、N−アセチルチオ尿素1.61g(13.6ミリモル)及びNaHCO31.72g(20.4ミリモル)とエタノール45ml中で還流させながら0.5時間煮沸した。反応溶液を冷却し、かつ水20mlに溶解したNaOH2.0g(50ミリモル)を混合した。0℃で20分間撹拌した後、反応溶液を水30mlで取り、かつ半濃縮HClで中和した。生じた沈殿物を濾過分離し、かつエタノール/水から再結晶した。生成物2.73gが得られた。1H NMR(DMSO−D6):12.20(b,1H),10.85(s,1H),9.46(s,1H),7.64(m,1H),7.38(s,1H),6.28(m,2H),2.15(s,3H)ppm;m.p.:264〜264℃。
【0067】
N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキサミド:
【0068】
【化14】
収率:96%,1H NMR(DMSO−D6):12.03(bs,1H),3.85,3.82(2×d,2H),2.50,2.47(2×m,1H),2.00(s,3H),0.95〜1.90(m,9H)ppm;
【化15】
【0069】
4−アセトキシメチルシクロヘキサンカルボン酸95g(0.47モル)を塩化チオニル350ml中で還流させながら2時間加熱した。過剰の塩化チオニルを真空中で除去した後、残渣をトルエン1lに取り、かつチオ尿素71g(0.94モル)を添加した。反応溶液を還流させながら3時間煮沸し、引き続き高温濾過した。母液の冷却後、生じた白色の結晶を吸引し、トルエンで洗浄し、かつ真空中で乾燥した。収率:59g,1H NMR(DMSO−D6):11.03,10.97(2×s,1H),9.64(bs,1H),9.35(bs,1H),3.93,3.82(2×d,2H),2.61,2.42(2×m,1H),2.00(s,3H),1.60(m,8H),1.35,0.94(2×m,1H)ppm;
【0070】
2−ブロモ−2’,4’−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン79g(228ミリモル)を、N−(4−アセトキシメチルシクロヘキシルカルボニル)チオ尿素59g(228ミリモル)及びNaHCO329g(340ミリモル)とエタノール1000ml中で還流させながら0.5時間煮沸した。反応溶液を冷却し、かつ水300mlに溶解したNaOH73g(1.8モル)を混合した。室温で30分間撹拌した後、反応溶液を水300mlで取り、かつ2NのHClでpH=3に調節した。生じた沈殿物を濾過分離し、かつエタノール/水から再結晶した。チアゾール47gが得られた。1H NMR(DMSO−D6):12.15,12.10(2×s,1H),10.96(2×s,1H),9.47(br,2H),7.64(d,1H),7.39(s,1H),6.29(m,2H),4.40(br,1H),3.32,3.23(2×d,2H),2.65,2.44(2×m,1H),1.90(m,1H),1.78(m,2H),1.50(m,5H),0.94(m,1H)ppm;m.p.:152〜160℃。
【0071】
N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−シクロヘキサンカルボキサミド:
【化16】
【0072】
チオ尿素52g(0.68モル)をトルエン(500ml)に装入し、かつ塩化シクロヘキサノイル50g(0.34モル)を滴下した。反応溶液を還流させながら3時間煮沸し、その際、2つの相が生じる。上相をデカンテーション分離し、かつ冷却した。沈殿析出した結晶を吸引し、トルエンで洗浄し、かつメタノールから再結晶した。収率:35g,1H NMR(DMSO−D6):10.98(bs,1H),9.65(bs,1H),9.32(bs,1H),2.49(t,1H),1.75(m,4H),1.61(m,1H),1.18(m.5H)ppm;
【0073】
2−ブロモ−2’,4’−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン92g(265ミリモル)を、N−シクロヘキサノイルチオ尿素49.4g(265ミリモル)及びNaHCO334g(397ミリモル)とエタノール900ml中で還流させながら0.5時間煮沸した。反応溶液を冷却し、かつ水300mlに溶解したNaOH37g(930ミリモル)を混合した。室温で30分間撹拌した後、反応溶液を水300mlで取り、かつ2NのHClで中和した。エタノールを回転蒸発器により実質的に除去した。生じた沈殿物を濾過分離し、かつエタノール/水から再結晶した。チアゾール70gが得られた。1H NMR(DMSO−D6):12.14(bs,1H),11.00(bs,1H),9.48(bs,1H),7.64(1 arom.H),7.39(s,1H),6.30(2 arom.H),2.49(m,1H),1.84(m,2H),1.76(m,2H),1.65(m,1H),1.42(m,2H),1.25(m,3H)ppm;m.p.:262〜266℃。
【0074】
N−(4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)アセトアミド:
【化17】
収率:76%,1H NMR(DMSO−D6):12.31(bs,1H),7.26(m,4H),5.05(s,2H),3.57(s,2H),2.05(s,3H)ppm;
【化18】
【0075】
4−アセトキシメチルフェニル酢酸3.7g(18ミリモル)を塩化チオニル40ml中で還流させながら2時間加熱した。過剰の塩化チオニルを真空中で除去した後、残渣をトルエン70mlに取り、かつチオ尿素2.7g(36ミリモル)を添加した。反応溶液を還流させながら3時間煮沸し、引き続き溶媒を真空中で除去した。洗浄を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーによってシクロヘキサン/酢酸エステル1/1を用いて行った。収率:2.7g,1H NMR(DMSO−D6):11.29(bs,1H),9.55(bs,1H),9.40(bs,1H),7.30(m,4H),5.04(s,2H),3.71(s,2H),2.05(s,3H)ppm;
【0076】
2−ブロモ−2’,4’−ビス−メトキシカルボニルオキシ−アセトフェノン3.5g(10ミリモル)を、N−[2−(4−アセトキシメチルフェニル)アセチル]チオ尿素2.7g(10ミリモル)及びNaHCO31.3g(15ミリモル)とエタノール50ml中で還流させながら0.5時間煮沸した。反応溶液を冷却し、かつ水20mlに溶解したNaOH4.0g(0.1モル)を混合した。60℃で2時間撹拌した後、反応溶液を水100mlに取り、かつ2NのHClでpH=3に調節した。生じた沈殿物を濾過分離し、かつエタノール/水から再結晶した。チアゾール1.3gが得られた。1H NMR(DMSO−D6):12.44(s,1H),10.80(s,1H),9.48(s,1H),7.66(d,1H),7.41(s,1H),7.29(m,4H),6.32(m,2H),5.13(t,1H),4.47(d,2H),3.77(s,2H)ppm;m.p.:254〜256℃。
【0077】
以下の例は、本発明を説明するためのものであるが、本発明を制限するものではない。全ての量の記載、割合及び百分率割合は、特に明記しない限り、調製物の質量及び全量又は全質量に関する。
【0078】
【表1-1】
【0079】
【表1-2】
【0080】
【表2-1】
【0081】
【表2-2】
【0082】
【表3-1】
【0083】
【表3-2】
図1
図2
図3