【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一般式(1)において、R3が、炭素数1〜18の直鎖アルキル基、炭素数1〜18の分枝鎖アルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数4〜20の複素環式炭化水素基である請求項1又は2に記載のスルホネート化合物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のスルホネート化合物は上記一般式(1)で表される。
【0013】
式(1)においてR1は、炭素数6〜18のアリール基もしくは炭素数4〜20の複素環式炭化水素基である。
【0014】
前記R1の炭素数6〜18のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、フェナントリル基及びピレニル基等が挙げられる。
【0015】
前記R1の炭素数4〜20の複素環式炭化水素基としては、フリル基、チエニル基、ピラニル基、ピリジル基、チアゾール基、クマリニル基、カルバゾール基、及びチオキサントニル基等が挙げられる。
【0016】
前記R1の炭素数6〜18のアリール基及び炭素数4〜20の複素環式炭化水素基は、置換基(T)を有していても良い。置換基(T)としては、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基及びハロゲン原子が挙げられる。置換基(T)は1種でもよいし、2種以上でもよい。
【0017】
アルキル基としては、炭素数1〜18の直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、炭素数1〜18の分枝鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル及びイソオクタデシル)、及び炭素数3〜18のシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及び4−デシルシクロヘキシル等)、炭素数1〜3の直鎖または分岐のフルオロアルキル基(トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロブチル基等)等が挙げられる。
【0018】
アルコキシ基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ及びオクタデシルオキシ等)等が挙げられる。
【0019】
アルキルカルボニル基としては、炭素数(カルボニル炭素を含む)2〜18の直鎖又は分枝鎖アルキルカルボニル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、2−メチルプロピオニル、ヘプタノイル、2−メチルブタノイル、3−メチルブタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル及びオクタデカノイル等)等が挙げられる。
【0020】
アリールカルボニル基としては、炭素数(カルボニル炭素を含む)7〜11のアリールカルボニル基(ベンゾイル及びナフトイル等)等が挙げられる。
【0021】
アルコキシカルボニル基としては、炭素数(カルボニル炭素を含む)2〜19の直鎖又は分枝鎖アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、オクチロキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル及びオクタデシロキシカルボニル等)等が挙げられる。
【0022】
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数(カルボニル炭素を含む)7〜11のアリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル及びナフトキシカルボニル等)等が挙げられる。
【0023】
アリールチオカルボニル基としては、炭素数(カルボニル炭素を含む)7〜11のアリールチオカルボニル基(フェニルチオカルボニル及びナフトキシチオカルボニル等)等が挙げられる。
【0024】
アシロキシ基としては、炭素数2〜19の直鎖又は分枝鎖アシロキシ基(アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、テトラデシルカルボニルオキシ及びオクタデシルカルボニルオキシ等)等が挙げられる。
【0025】
アリールチオ基としては、炭素数6〜20のアリールチオ基(フェニルチオ、2−メチルフェニルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メチルフェニルチオ、2−クロロフェニルチオ、3−クロロフェニルチオ、4−クロロフェニルチオ、2−ブロモフェニルチオ、3−ブロモフェニルチオ、4−ブロモフェニルチオ、2−フルオロフェニルチオ、3−フルオロフェニルチオ、4−フルオロフェニルチオ、2−ヒドロキシフェニルチオ、4−ヒドロキシフェニルチオ、2−メトキシフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−[4−(フェニルチオ)ベンゾイル]フェニルチオ、4−[4−(フェニルチオ)フェノキシ]フェニルチオ、4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルチオ、4−(フェニルチオ)フェニルチオ、4−ベンゾイルフェニルチオ、4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ、4−ベンゾイル−3−クロロフェニルチオ、4−ベンゾイル−3−メチルチオフェニルチオ、4−ベンゾイル−2−メチルチオフェニルチオ、4−(4−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4−(2−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4−(p−メチルベンゾイル)フェニルチオ、4−(p−エチルベンゾイル)フェニルチオ4−(p−イソプロピルベンゾイル)フェニルチオ及び4−(p−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ等)等が挙げられる。
【0026】
アルキルチオ基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分枝鎖アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert−ペンチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、ドデシルチオ及びイソオクタデシルチオ等)等が挙げられる。
【0027】
アリール基としては、炭素数6〜10のアリール基(フェニル、トリル、ジメチルフェニル及びナフチル等)等が挙げられる。
【0028】
複素環式炭化水素基としては、炭素数4〜20の複素環式炭化水素基(チエニル、フラニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル及びジベンゾフラニル等)等が挙げられる。
【0029】
アリールオキシ基としては、炭素数6〜10のアリールオキシ基(フェノキシ及びナフチルオキシ等)等が挙げられる。
【0030】
アルキルスルフィニル基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分枝鎖スルフィニル基(メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec−ブチルスルフィニル、tert−ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ネオペンチルスルフィニル、tert−ペンチルスルフィニル、オクチルスルフィニル及びイソオクタデシルスルフィニル等)等が挙げられる。
【0031】
アリールスルフィニル基としては、炭素数6〜10のアリールスルフィニル基(フェニルスルフィニル、トリルスルフィニル及びナフチルスルフィニル等)等が挙げられる。
【0032】
アルキルスルホニル基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分枝鎖アルキルスルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、tert−ペンチルスルホニル、オクチルスルホニル及びオクタデシルスルホニル等)等が挙げられる。
【0033】
アリールスルホニル基としては、炭素数6〜10のアリールスルホニル基{フェニルスルホニル、トリルスルホニル(トシル基)及びナフチルスルホニル等}等が挙げられる。
【0034】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0035】
これらの置換基(T)うち、合成の容易さ、吸収波長領域、及び耐熱安定性の観点から、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールスルフィニル基、アリールスルホニル基、フッ素原子及び塩素原子が好ましく、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールチオ基、フッ素及び塩素原子が特に好ましい。
【0036】
R1のうち、好ましくは、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フリル基、チエニル基、ピラニル基、ピリジル基、チアゾール基、クマリニル基、カルバゾール基、及びチオキサントニル基であり、更に好ましくはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、クマリニル基、及びチオキサントニル基である。
【0037】
式(1)においてR2は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜18のアリール基である。
【0038】
前記R2の炭素数1〜18のアルキル基としては、炭素数1〜18の直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、炭素数1〜18の分枝鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル及びイソオクタデシル)、及び炭素数3〜18のシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及び4−デシルシクロヘキシル等)、炭素数1〜3の直鎖または分岐のフルオロアルキル基(トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロブチル基等)等が挙げられる。
【0039】
前記R2の炭素数2〜18のアルケニル基としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、1−デセニル、2−デセニル、8−デセニル、1−ドデセニル、2−ドデセニル、10−ドデセニルなどの直鎖または分岐状のものが挙げられる。
前記R2の炭素数2〜18のアルキニル基としては、炭素数2〜18のアルキニル基としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、1−ぺンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、1,2−ジメチル−2−プロピニル、1−デシニル、2−デシニル、8−デシニル、1−ドデシニル、2−ドデシニル、10−ドデシニルなどの直鎖または分岐状のものが挙げられる。
【0040】
前記R2の炭素数6〜18のアリール基としては、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、ナフチル、アントラセニル、ビフェニル及びペンタフルオロフェニル等が挙げられる。
【0041】
R2のうち、好ましくは水素原子または炭素数1〜18のアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基またはt−ブチル基である。
【0042】
紫外線照射によりスルホン酸エステル部分を分解させるための必須官能基であるR3は、置換基を有しても良い炭素数1〜18の炭化水素基(水素の一部又は全部がフッ素で置換されていてよい)である。置換基としては、置換基(T)として例示したものが使用できる。炭素数1〜18の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基及び複素環式炭化水素基が挙げられる。
【0043】
アルキル基としては、炭素数1〜18の直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、炭素数1〜18の分枝鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル及びイソオクタデシル)、及び炭素数3〜18のシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及び4−デシルシクロヘキシル、10−カンファーイル等)等が挙げられる。
【0044】
アリール基としては、炭素数6〜10のアリール基(フェニル、トリル、ジメチルフェニル、ナフチル及びペンタフルオロフェニル等)等が挙げられる。
【0045】
複素環式炭化水素基としては、炭素数4〜20の複素環式炭化水素基(チエニル、フラニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル及びジベンゾフラニル等)等が挙げられる。
【0046】
置換基を有しても良い炭素数1〜18の炭化水素基の水素の一部又は全部がフッ素で置換された基としては、CxFyで表される水素原子がフッ素原子で置換された直鎖アルキル基(RF1)、分岐鎖アルキル基(RF2)、シクロアルキル基(RF3)、及びアリール基(RF4)が挙げられる。
【0047】
水素原子がフッ素原子で置換された直鎖アルキル基(RF1)としては、例えば、トリフルオロメチル基(x=1,y=3)、ペンタフルオロエチル基(x=2,y=5)、ノナフルオロブチル基(x=4,y=9)、パーフルオロヘキシル基(x=6,y=13)、及びパーフルオロオクチル基(x=8,y=17)等が挙げられる。
【0048】
水素原子がフッ素原子で置換された分岐鎖アルキル基(RF2)としては、例えば、パーフルオロイソプロピル基(x=3,y=7)、パーフルオロ−tert−ブチル基(x=4,y=9)、及びパーフルオロ−2−エチルヘキシル基(x=8,y=17)等が挙げられる。
【0049】
水素原子がフッ素原子で置換されたシクロアルキル基(RF3)としては、例えば、パーフルオロシクロブチル基(x=4,y=7)、パーフルオロシクロペンチル基(x=5,y=9)、パーフルオロシクロヘキシル基(x=6,y=11)、及びパーフルオロ(1−シクロヘキシル)メチル基(x=7,y=13)等が挙げられる。
【0050】
水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基(RF4)としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基(x=6,y=5)、及び3−トリフルオロメチルテトラフルオロフェニル基(x=7,y=7)等が挙げられる。
【0051】
R3のうち、好ましくは炭素数1〜18の直鎖アルキル基、炭素数1〜18の分枝鎖アルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数4〜20の複素環式炭化水素基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、イソオクタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−デシルシクロヘキシル、10−カンファーイル及び10−カンファーイルである。
【0052】
一般式(1)で表されるスルホネート化合物の好ましい具体例として、合成の容易さ、吸収波長領域の調整、及び耐熱安定性の観点から下記が挙げられる。なお、化合物の構造式中、N−、O−、−はN−CH
3、O−CH
3、−CH
3を表す。以下においても同様。
【0060】
本発明のスルホネート化合物の合成方法は目的物を合成できれば特に限定はされないが、例えば、前駆体となるN−ヒドロキシイミド化合物(P1)と(R3−SO
2)
2Oで示されるスルホン酸無水物との反応、又はN−ヒドロキシイミド化合物(P1)の塩とR3−SO
2Cl示されるスルホン酸クロライドとの反応によって合成できる。
【0061】
本発明の非イオン系酸発生剤(A)は、レジスト材料への溶解を容易にするため、あらかじめ反応を阻害しない溶剤に溶かしておいてもよい。
【0062】
溶剤としては、カーボネート(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等);エステル(酢酸エチル、乳酸エチル、β−プロピオラクトン、β―ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン等);エーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等);及びエーテルエステル(エチレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル、プロピレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル及びジエチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステル等)等が挙げられる。
【0063】
溶剤を使用する場合、溶剤の使用割合は、本発明の光酸発生剤100重量部に対して、15〜1000重量部が好ましく、さらに好ましくは30〜500重量部である。
【0064】
本発明のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)は、非イオン系光酸発生剤(A)を必須成分として含むため、紫外線照射及び露光後加熱(PEB)を行うことで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解性に差がつく。非イオン系光酸発生剤(A)は1種単独、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)としては、ネガ型化学増幅樹脂(QN)と非イオン系光酸発生剤(A)との混合物;及びポジ型化学増幅樹脂(QP)と非イオン系光酸発生剤(A)との混合物が挙げられる。
【0065】
ネガ型化学増幅樹脂(QN)としては、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)と架橋剤(QN2)から構成される。
【0066】
フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)としてはフェノール性水酸基を含有している樹脂であれば特に制限はなく、例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレン、スチレン及び(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール性水酸基を含有するポリイミド、フェノール性水酸基を含有するポリアミック酸、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂等が用いられる。これらのなかでも、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレン、スチレン及び(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂が好ましい。尚、これらのフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0067】
上記ノボラック樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で縮合させることにより得ることができる。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
また、上記アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0068】
具体的なノボラック樹脂としては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
【0069】
また、上記フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)には、成分の一部としてフェノール性低分子化合物が含有されていてもよい。
上記フェノール性低分子化合物としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル]エタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−{1−[4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール等が挙げられる。これらのフェノール性低分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0070】
このフェノール性低分子化合物のフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)中における含有割合は、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)を100重量%とした場合、40重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。
【0071】
フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の重量平均分子量は、得られる絶縁膜の解像性、熱衝撃性、耐熱性、残膜率等の観点から、2000以上であることが好ましく、より好ましくは2000〜20000程度である。
また、ネガ型化学増幅樹脂(QN)中におけるフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の含有割合は、溶剤を除いた組成物の全体を100重量%とした場合に、30〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは40〜80重量%である。このフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の含有割合が30〜90重量%である場合には、感光性絶縁樹脂組成物を用いて形成された膜がアルカリ水溶液による十分な現像性を有しているため好ましい。
【0072】
架橋剤(QN2)としては、非イオン系光酸発生剤(A)から発生した強酸によりフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)を架橋し得る化合物であれば特に限定されない。
【0073】
架橋剤(QN2)としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有尿素化合物、メチロール基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有尿素化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、カルボキシメチル基含有メラミン樹脂、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン樹脂、カルボキシメチル基含有尿素樹脂、カルボキシメチル基含有フェノール樹脂、カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有尿素化合物及びカルボキシメチル基含有フェノール化合物等を挙げることができる。
【0074】
これら架橋剤(QN2)のうち、メチロール基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有メラミン化合物、メトキシメチル基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物、メトキシメチル基含有ウレア化合物及びアセトキシメチル基含有フェノール化合物が好ましく、さらに好ましくはメトキシメチル基含有メラミン化合物(例えばヘキサメトキシメチルメラミン等)、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物及びメトキシメチル基含有ウレア化合物等である。メトキシメチル基含有メラミン化合物は、CYMEL300、CYMEL301、CYMEL303、CYMEL305(三井サイアナミッド(株)製)等の商品名で、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物はCYMEL1174(三井サイアナミッド(株)製)等の商品名で、またメトキシメチル基含有ウレア化合物は、MX290(三和ケミカル(株)製)等の商品名で市販されている。
【0075】
架橋剤(QN2)の含有量は、残膜率の低下、パターンの蛇行や膨潤及び現像性の観点から、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)中の全酸性官能基に対して、通常、5〜60モル%、好ましくは10〜50モル%、さらに好ましくは15〜40モル%である。
【0076】
ポジ型化学増幅樹脂(QP)としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はスルホニル基等の1種以上の酸性官能基を含有するアルカリ可溶性樹脂(QP1)中の酸性官能基の水素原子の一部あるいは全部を、酸解離性基で置換した保護基導入樹脂(QP2)が挙げられる。
なお、酸解離性基は非イオン系光酸発生剤(A)から発生した強酸の存在下で解離することができる基である。
保護基導入樹脂(QP2)は、それ自体としてはアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性である。
【0077】
アルカリ可溶性樹脂(QP1)としては、例えば、フェノール性水酸基含有樹脂(QP11)、カルボキシル基含有樹脂(QP12)、及びスルホン酸基含有樹脂(QP13)等が挙げられる。
フェノール性水酸基含有樹脂(QP11)としては、上記フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)と同じものが使用できる。
【0078】
カルボキシル基含有樹脂(QP12)としては、カルボキシル基を有するポリマーでああれば特に制限はなく、例えば、カルボキシル基含有ビニルモノマー(Ba)と、必要により疎水基含有ビニルモノマー(Bb)とをビニル重合することで得られる。
【0079】
カルボキシル基含有ビニルモノマー(Ba)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸および桂皮酸など]、不飽和多価(2〜4価)カルボン酸[(無水)マレイン酸、イタコン酸、フマル酸およびシトラコン酸など]、不飽和多価カルボン酸アルキル(炭素数1〜10のアルキル基)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルおよびシトラコン酸モノアルキルエステルなど]、並びにこれらの塩[アルカリ金属塩(ナトリウム塩およびカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩およびマグネシウム塩等)、アミン塩およびアンモニウム塩等]が挙げられる。
これらのうち好ましいのは重合性、及び入手のしやすさの観点から不飽和モノカルボン酸、さらに好ましいのは(メタ)アクリル酸である。
【0080】
疎水基含有ビニルモノマー(Bb)としては、(メタ)アクリル酸エステル(Bb1)、及び芳香族炭化水素モノマー(Bb2)等が挙げられる。
【0081】
(メタ)アクリル酸エステル(Bb1)としては、例えば、アルキル基の炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート[例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど]および脂環基含有(メタ)アクリレート[ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シジクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレートなど]などが挙げられる。
【0082】
芳香族炭化水素モノマー(Bb2)としては、例えば、スチレン骨格を有する炭化水素モノマー[例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレンおよびベンジルスチレン]およびビニルナフタレンなどが挙げられる。
【0083】
カルボキシル基含有樹脂(QP12)における、(Ba)/(Bb)の仕込みモノマーモル比は、通常10〜100/0〜90、現像性の観点から、好ましくは10〜80/20〜90、さらに好ましくは25〜85/15〜75である。
【0084】
スルホン酸基含有樹脂(QP13)としては、スルホン酸基を有するポリマーであれば特に制限はなく、例えば、スルホン酸基含有ビニルモノマー(Bc)と、必要により疎水基含有ビニルモノマー(Bb)とをビニル重合することで得られる。
疎水基含有ビニルモノマー(Bb)としては、上記と同じものが使用できる。
【0085】
スルホン酸基含有ビニルモノマー(Bc)としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらの塩が挙げられる。塩としてはアルカリ金属(ナトリウムおよびカリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)塩、第1〜3級アミン塩、アンモニウム塩および第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0086】
スルホン酸基含有樹脂(QP13)における、(Bc)/(Bb)の仕込みモノマーモル比は、通常10〜100/0〜90、現像性の観点から、好ましくは10〜80/20〜90、さらに好ましくは25〜85/15〜75である。
【0087】
アルカリ可溶性樹脂(QP1)のHLB値は、アルカリ可溶性樹脂(QP1)の樹脂骨格によって好ましい範囲が異なるが、好ましくは4〜19、さらに好ましくは5〜18、特に好ましくは6〜17である。
HLB値が4以上であれば現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、19以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。
【0088】
なお、本発明におけるHLBは、小田法によるHLB値であり、親水性−疎水性バランス値のことであり、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB≒10×無機性/有機性
また、無機性の値及び有機性の値は、文献「界面活性剤の合成とその応用」(槇書店発行、小田、寺村著)の501頁;または、「新・界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行)の198頁に詳しく記載されている。
【0089】
保護基導入樹脂(QP2)中の酸解離性基としては、例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−分岐アルキル基、シリル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基、アシル基及び環式酸解離性基等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0090】
1−置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、メチルチオフェナシル基、α−メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジル基、エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等を挙げることができる。
【0091】
1−置換エチル基としては、例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−エトキシプロピル基、1−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−ベンジルチオエチル基、1−シクロプロピルエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルエチル基、1−イソプロポキシカルボニルエチル基、1−n−ブトキシカルボニルエチル基、1−tert−ブトキシカルボニルエチル基等を挙げることができる。
【0092】
1−分岐アルキル基としては、例えば、i−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基等を挙げることができる。
【0093】
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、メチルジ−i−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、メチルジ−tert−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等のトリカルビルシリル基を挙げることができる。
【0094】
ゲルミル基としては、例えば、トリメチルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、メチルジエチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、イソプロピルジメチルゲルミル基、メチルジ−i−プロピルゲルミル基、トリ−i−プロピルゲルミル基、tert−ブチルジメチルゲルミル基、メチルジ−tert−ブチルゲルミル基、トリ−tert−ブチルゲルミル基、フェニルジメチルゲルミル基、メチルジフェニルゲルミル基、トリフェニルゲルミル基等のトリカルビルゲルミル基を挙げることができる。
【0095】
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0096】
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p−トルエンスルホニル基、メシル基等を挙げることができる。
【0097】
環式酸解離性基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基等を挙げることができる。
【0098】
これらの酸解離性基のうち、tert−ブチル基、ベンジル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、トリメチルシリル基、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基及びテトラヒドロチオフラニル基等が好ましい。
【0099】
保護基導入樹脂(QP2)における酸解離性基の導入率{保護基導入樹脂(QP2)中の保護されていない酸性官能基と酸解離性基との合計数に対する酸解離性基の数の割合}は、酸解離性基や該基が導入されるアルカリ可溶性樹脂の種類により一概には規定できないが、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは15〜100%である。
【0100】
保護基導入樹脂(QP2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは1,000〜150,000、さらに好ましくは3,000〜100,000である。
【0101】
また、保護基導入樹脂(QP2)のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常、1〜10、好ましくは1〜5である。
【0102】
フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく非イオン系光酸発生剤(A)の含有量は、0.001〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜15重量%、特に好ましくは0.05〜7重量%である。
0.001重量%以上であれば紫外線に対する感度がさらに良好に発揮でき、20重量%以下であればアルカリ現像液に対し不溶部分の物性がさらに良好に発揮できる。
【0103】
本発明のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)を用いたレジストは、例えば、所定の有機溶剤に溶解(無機微粒子を含んだ場合は溶解と分散)した樹脂溶液を、スピンコート、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷等公知の方法を用いて基板に塗布後、加熱又は熱風吹き付けにより溶剤を乾燥させることで形成することができる。
【0104】
フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)を溶解させる有機溶剤としては、樹脂組成物を溶解させることができ、樹脂溶液をスピンコート等に適用できる物性(粘度等)に調整できるものであれば特に限定されない。例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン及びキシレン等の公知の溶媒が使用できる。
これらの溶媒のうち、乾燥温度等の観点から、沸点が200℃以下のもの(トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン及びキシレン)が好ましく、単独又は2種類以上組み合わせで使用することもできる。
有機溶剤を使用する場合、溶剤の配合量は、特に限定されないが、フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づいて、通常30〜1,000重量%が好ましく、さらに好ましくは40〜900重量%、特に好ましくは50〜800重量%である。
【0105】
塗布後の樹脂溶液の乾燥条件は、使用する溶剤により異なるが好ましくは50〜200℃で2〜30分の範囲で実施され、乾燥後のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)の残留溶剤量(重量%)等で適宜決定する。
【0106】
基板にレジストを形成した後、配線パターン形状の光照射を行う。その後、露光後加熱(PEB)を行った後に、アルカリ現像を行い、配線パターンを形成する。
【0107】
光照射する方法としては、配線パターンを有するフォトマスクを介して活性光線により、レジストの露光を行う方法が挙げられる。光照射に用いる活性光線としては、本発明のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)中の非イオン系光酸発生剤(A)を分解させることができれば特に制限はない。
活性光線としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハロゲンランプ、電子線照射装置、X線照射装置、レーザー(アルゴンレーザー、色素レーザー、窒素レーザー、LED、ヘリウムカドミウムレーザー等)等がある。これらのうち、好ましくは高圧水銀灯及び超高圧水銀灯である。
【0108】
露光後加熱(PEB)の温度としては、通常40〜200℃であって、好ましくは500〜190℃、さらに好ましくは60〜180℃である。40℃未満では脱保護反応、又は架橋反応が十分にできないため、紫外線照射部と紫外線未照射部の溶解性に差が不足しパターンが形成できず、200℃より高いと生産性が低下する問題がある。
加熱時間としては、通常0.5〜120分であって、好ましくは1〜90分、さらに好ましくは2〜90分である。0.5分未満では時間と温度の制御が困難で、120分より大きいと生産性が低下する問題がある。
【0109】
アルカリ現像する方法としては、アルカリ現像液を用いて配線パターン形状に溶解除去する方法が挙げられる。アルカリ現像液としては、フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)の紫外線照射部と紫外線未照射部の溶解性に差ができる条件であれば特に制限はない。
アルカリ現像液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム及びテトラメチルアンモニウム塩水溶液等がある。
これらアルカリ現像液は水溶性の有機溶剤を加えても良い。水溶性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等がある。
【0110】
現像方法としては、アルカリ現像液を用いたディップ方式、シャワー方式、及びスプレー方式があるが、スプレー方式の方が好ましい。
現像液の温度は、好ましくは25〜40℃で使用される。現像時間は、レジストの厚さに応じて適宜決定される。
【実施例】
【0111】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
(なお、実施例1、6は参考例である。)
【0112】
実施例1
<非イオン系光酸発生剤(A−1)の合成>
【0113】
【化9】
【0114】
N−メチルヒドロキシルアンモニウム塩酸塩8.3g(0.100mol)をメタノール(50mL)に溶解させ、0℃で撹拌しながら、水酸化カリウムの10%メタノール溶液60gを滴下して加えた。さらに、2−ナフトイルクロリド9.5g(0.050mol)をTHF(35mL)に溶解させたものを加え、1時間撹拌した。反応液を室温に戻し、さらに1時間撹拌した後、エバポレーターで反応溶液を留去した。残渣を酢酸エチルと飽和食塩水で抽出し、有機層を分離した後、エバポレーターで溶媒を留去して、白色固体を回収した。
得られた固体2.0gと、(+)−10−カンファースルホニルクロリド3.8g(0.015mol)をクロロホルム(50ml)に溶解し、0℃で撹拌しながら、ピリジン3.4g(0.015mol)を滴下投入した。50℃で8時間撹拌後、この反応液をクロロホルム−水で抽出した後、有機層を減圧除去し溶剤を除去することで褐色油状物を得た。さらにメタノールで再結晶を行うことで、上式で表されるスルホネート化合物[非イオン系光酸発生剤(A−1)]3.0g(0.007mol)を得た。
【0115】
実施例2
<非イオン系光酸発生剤(A−2)の合成>
【0116】
【化10】
【0117】
5−メトキシ−2−ナフトエ酸20.2g(0.100mol)を、塩化チオニル(100mL)中に溶解し、80℃で2時間撹拌した。その後、80℃で減圧にして塩化チオニルと、系中で発生した塩酸を留去して、5−メトキシ−2−ナフトイルクロリド20.0g(0.090mol)を得た。
この後の操作は、2−ナフトイルクロリド9.5g(0.050mol)を5−メトキシ−2−ナフトイルクロリド11.0g(0.050mol)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、上式で表されるスルホネート化合物[非イオン系光酸発生剤(A−2)]を得た。
【0118】
実施例3
<非イオン系光酸発生剤(A−3)の合成>
【0119】
【化11】
【0120】
3,5−ジヒドロキシナフトエ酸10.3g(0.100mol)をアセトン(120mL)に溶解し、炭酸カリウム83.6g(0.605mol)、ジメチル硫酸28.4g(0.221mol)を加え、50℃で12時間撹拌した。反応液をろ過して固体を除去した後、エバポレーターで溶媒を留去した後、水(50mL)、メタノール(50mL)、水酸化カリウム(10g)を加え、65℃で3時間撹拌した。塩酸100gを加え、沈殿してきた固体を回収し、3,5−ジメトキシ−2−ナフトエ酸20.0g(0.087mol)を得た。
ここで得られた3,5−ジメトキシ−2−ナフトエ酸20.0g(0.087mol)を、塩化チオニル(100mL)中に溶解し、80℃で2時間撹拌した。その後、80℃で減圧にして塩化チオニルと、系中で発生した塩酸を留去して、3,5−ジメトキシ−2−ナフトイルクロリド20.0g(0.083mol)を得た。
この後の操作は、2−ナフトイルクロリド9.5g(0.050mol)を3,5−ジメトキシ−2−ナフトイルクロリド11.8g(0.050mol)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、上式で表されるスルホネート化合物[非イオン系光酸発生剤(A−3)]を得た。
【0121】
実施例4
<非イオン系光酸発生剤(A−4)の合成>
【0122】
【化12】
【0123】
3,5−ジヒドロキシナフトエ酸10.3g(0.100mol)をアセトン(120mL)に溶解し、炭酸カリウム83.6g(0.605mol)、ジメチル硫酸28.4g(0.221mol)を加え、50℃で12時間撹拌した。反応液をろ過して固体を除去した後、エバポレーターで溶媒を留去した後、水(50mL)、メタノール(50mL)、水酸化カリウム(10g)を加え、65℃で3時間撹拌した。塩酸100gを加え、沈殿してきた固体を回収し、3,5−ジメトキシ−2−ナフトエ酸20.0g(0.087mol)を得た。
ここで得られた3,5−ジメトキシ−2−ナフトエ酸20.0g(0.087mol)を、塩化チオニル(100mL)中に溶解し、80℃で2時間撹拌した。その後、80℃で減圧にして塩化チオニルと、系中で発生した塩酸を留去して、3,5−ジメトキシ−2−ナフトイルクロリド20.0g(0.083mol)を得た。
N−メチルヒドロキシルアンモニウム塩酸塩8.3g(0.100mol)をメタノール(50mL)に溶解させ、0℃で撹拌しながら、水酸化カリウムの10%メタノール溶液60gを滴下して加えた。さらに、2−ナフトイルクロリド9.5g(0.050mol)をTHF(35mL)に溶解させたものを加え、1時間撹拌した。反応液を室温に戻し、さらに1時間撹拌した後、エバポレーターで反応溶液を留去した。残渣を酢酸エチルと飽和食塩水で抽出し、有機層を分離した後、エバポレーターで溶媒を留去して、白色固体を回収した。
得られた白色固体2.0gと、メタンスルホン酸クロリド1.8g(0.015mol)をクロロホルム(50ml)に溶解し、0℃で撹拌しながら、ピリジン3.4g(0.015mol)を滴下投入した。50℃で8時間撹拌後、この反応液をクロロホルム−水で抽出した後、有機層を減圧除去し溶剤を除去することで褐色油状物を得た。さらにメタノールで再結晶を行うことで、上式で表されるスルホネート化合物[非イオン系光酸発生剤(A−4)](0.007mol)を得た。
【0124】
実施例5
<非イオン系光酸発生剤(A−5)の合成>
【0125】
【化13】
【0126】
実施例4と同様に処理して得られた白色固体2.0gと、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸クロリド4.1g(0.015mol)をクロロホルム(50ml)に溶解し、0℃で撹拌しながら、ピリジン3.4g(0.015mol)を滴下投入した。50℃で8時間撹拌後、この反応液をクロロホルム−水で抽出した後、有機層を減圧除去し溶剤を除去することで褐色油状物を得た。さらにメタノールで再結晶を行うことで、上式で表されるスルホネート化合物[非イオン系光酸発生剤(A−5)](0.007mol)を得た。
【0127】
実施例6
<非イオン系光酸発生剤(A−6)の合成>
【0128】
【化14】
【0129】
チオフェノール14.1g(0.128mol)、水酸化カリウム7.2g(0.128mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(340mL)に溶解させ、70℃で1時間攪拌した。そこに4−ヨード安息香酸メチル32g(0.122mol)、ヨウ化銅(I)1.2g(0.006mol)を加えて、160℃で12時間攪拌した。反応液を室温に戻した後、塩酸を加えて沈殿してきた固体を回収し、2−プロパノールで洗浄することで、4−チオフェニル安息香酸24g(0.104mol)を得た。
アセチルクロリド9.8g(0.125mol)、塩化アルミニウム33.3g(0.250mol)をジクロロメタン(200mL)に溶解させ、0℃で攪拌しながら、4−チオフェニル安息香酸24g(0.104mol)のジクロロメタン溶液(36mL)を滴下した。室温で2時間攪拌した後、氷水に投入して、さらに1時間攪拌した。沈殿してきた固体を回収して、水酸化ナトリウム水溶液とメタノールで洗浄することで、4−(チオ(4−アセチルフェニル)安息香酸24g(0.087mol)を得た。
ここで得られた4−(チオ(4−アセチルフェニル)安息香酸24g(0.087mol)を、塩化チオニル(100mL)中に溶解し、80℃で2時間撹拌した。その後、80℃で減圧にして塩化チオニルと、系中で発生した塩酸を留去して、4−チオ(4−アセチルフェニル)安息香酸クロリド23g(0.083mol)を得た。
この後の操作は、2−ナフトイルクロリド9.5g(0.050mol)を4−チオ(4−アセチルフェニル)安息香酸クロリド14.3g(0.050mol)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、上式で表されるスルホネート化合物[非イオン系光酸発生剤(A−6)]を得た。
【0130】
実施例7
<非イオン系光酸発生剤(A−7)の合成>
【0131】
【化15】
【0132】
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド19.0g(0.125mol)を水に投入し、攪拌しながら、メルドラム酸23.4g(0.162mol)を加えた。還流しながら100℃で2時間攪拌した後、室温に戻して、固体を回収した。これを水とメタノールの混合溶媒で洗浄することで、7−メトキシ−3−クマリン酸19.2g(0.087mol)を得た。
7−メトキシ−3−クマリン酸19.2g(0.087mol)を、塩化チオニル(100mL)中に溶解し、80℃で2時間撹拌した。その後、80℃で減圧にして塩化チオニルと、系中で発生した塩酸を留去して、7−メトキシ−3−シクマリン酸クロリド19.9g(0.083mol)を得た。
この後の操作は、2−ナフトイルクロリド9.5g(0.050mol)を7−メトキシ−3−シクマリン酸クロリド12.0g(0.050mol)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、上式で表されるスルホネート化合物[非イオン系光酸発生剤(A−7)]を得た。
【0133】
実施例8
<非イオン系光酸発生剤(A−8)の合成>
【0134】
【化16】
【0135】
9−アントラセンカルボン酸19.5g(0.087mol)を、塩化チオニル(100mL)中に溶解し、80℃で2時間撹拌した。その後、80℃で減圧にして塩化チオニルと、系中で発生した塩酸を留去して、9−アントラセンカルボン酸クロリド20.0g(0.083mol)を得た。
この後の操作は、2−ナフトイルクロリド9.5g(0.050mol)を9−アントラセンカルボン酸クロリド12.0g(0.050mol)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、上式で表されるスルホネート化合物[非イオン系光酸発生剤(A−8)]を得た。
【0136】
比較例1
<非イオン系光酸発生剤(A’−1)の合成>
【0137】
【化17】
【0138】
ナフタル酸無水物(3.0g、0.050mmol)塩酸ヒドロキシルアミン4.9g(0.070mol)、ピリジン(50mL)の混合物を、100℃で10時間撹拌した。室温冷却後に1N塩酸中に反応液を投入し、析出物をろ過により回収した。
得られた析出物3.0gをピリジン(20ml)に溶解し、0℃で撹拌しながら、(+)−10−カンファースルホニルクロリド37.5g(0.150mmol)を滴下投入した。25℃で8時間撹拌後、この反応液をジクロロメタン−水で抽出した後、有機層を減圧除去し溶剤を除去することで橙色油状物を得た。さらにメタノールで再結晶を行うことで、上式で表される化合物[非イオン系光酸発生剤(A‘−1)](4.3g、0.010mol)を得た。
【0139】
比較例2
<イオン系光酸発生剤(A’−2)の合成>
【0140】
【化18】
【0141】
ジフェニルスルホキシド12.1部、ジフェニルスルフィド9.3部及び(+)−10−カンファースルホン酸67.0部を撹拌しながら、これに無水酢酸7.9部を滴下し、40〜50℃で5時間反応させた後、25℃まで冷却し、この反応溶液を水121部中に投入し、50℃で8時間撹拌して、黄色のやや粘調な油状物が析出した。この油状物を酢酸エチルにて抽出し、有機層を水で数回洗浄した後、有機層から溶剤を留去し、得られた残渣にトルエンを加えて溶解した後、ヘキサンを加え、10℃で1時間よく撹拌した後静置した。1時間後、溶液は2層に分離したため、上層を分液によって除いた。残った下層にヘキサンを加え、25℃でよく混合すると淡黄色の結晶が析出した。これをろ別し、減圧乾燥して、上式で表される化合物[イオン系光酸発生剤(A’−2)]を得た。
【0142】
<性能評価>
光酸発生剤の性能評価として、得られた非イオン系光酸発生剤(A−1)〜(A−8)、及び非イオン系光酸発生剤(A’−1)及びイオン系酸発生剤(A’−2)のモル吸光係数、レジスト硬化性、熱分解温度、及び溶剤溶解性について以下の方法で評価した。
【0143】
<モル吸光係数>
合成した光酸発生剤をアセトニトリルにより0.25mmol/Lに希釈し、紫外可視分光光度計(島津製作所社製、UV−2550)を用いて、200nmから500nmの範囲で1cmのセル長の吸光度を測定した。下記式から、i線(365nm)のモル吸光係数(ε
365)を算出した。
ε
365(L・mol
−1・cm
−1)=A
365/(0.00025mol/L×1cm)
[式中、A
365は365nmの吸光度を表す。]
【0144】
<レジスト硬化性>
フェノール樹脂(DIC社製、「フェノライトTD431」)75部、メラミン硬化剤(三井サイアナミッド(株)社製、「サイメル300」)25部、合成した光酸発生剤1部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略記する。)200部の樹脂溶液を、10cm各のガラス基板上にスピンコーターを用いて1000rpmで10秒の条件で塗布した。次いで25℃で5分間真空乾燥した後、80℃のホットプレート上で3分間乾燥させることで、膜厚約3μmのレジストを形成した。このレジストに紫外線照射装置(株式会社オーク製作所社製、HMW−661F−01)を用いて、L−34(株式会社ケンコー光学製、340nm未満の光をカットするフィルター)フィルターによって波長を限定した紫外光を所定量全面に露光した。なお積算露光量は365nmの波長を測定した。次いで、120℃の順風乾燥機で10分間露光後加熱(PEB)を行った後、0.5%水酸化カリウム溶液を用いて30秒間浸漬することで現像し、直ちに水洗、乾燥を行った。このレジストの膜厚を形状測定顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡VK−8550、株式会社キーエンス製)を用いて測定した。ここで現像前後のレジストの膜厚変化が10%以内となる最低露光量から、レジスト硬化性を以下の基準により評価した。
◎: 最低露光量が200mJ/cm
2以下
○: 最低露光量が200mJ/cm
2より大きく、300mJ/cm
2以下
△: 最低露光量が300mJ/cm
2より大きく、500mJ/cm
2以下
×: 最低露光量が500mJ/cm
2より大きい
【0145】
<熱分解温度>
合成した光酸発生剤を示差熱・熱重量同時測定装置(SII社製、TG/DTA6200)を用いて、窒素雰囲気下、30度から500℃まで10℃/分の昇温条件で重量変化を測定し、2%重量が減少した点を熱分解温度とした。
【0146】
<溶剤溶解性>
合成した光酸発生剤を0.1g試験管にとり、25℃温調下で有機溶剤(酢酸ブチル、トルエン、及びPGMEA)0.2gずつ加え、光酸発生剤が完全に溶解するまで加えた。なお20g加えても完全に溶解しない場合には、溶解しないものと評価した。
【0147】
実施例1で作成した本発明の非イオン系光酸発生剤(A−1)〜(A−8)及び比較例1で作成した比較のための非イオン系光酸発生剤(A’−1)と比較例2で作成した比較のためのイオン系酸発生剤(A’−2)の、モル吸光係数、熱分解温度、及び溶剤溶解性を前述した方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0148】
【表1】
【0149】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜8の非イオン系光酸発生剤(A)は、レジスト硬化性、溶剤に対する溶解性に優れ、熱分解温度も200℃以上であり、十分な安定性を有していることがわかる。
一方、従来から知られている非イオン系光酸発生剤を使用した比較例1及びイオン系の酸発生を使用した比較例2は、レジスト硬化性は十分とはいえず、また溶剤への溶解性も不足していることがわかる。