(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吐出口形成壁部は、第1壁部及び第2壁部を含み、前記第1壁部の下縁に対する前記泡体の付着性が、前記第2壁部の下縁に対する前記泡体の付着性よりも強い請求項1から4のいずれか一項に記載の泡吐出装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
【0011】
〔第1の実施形態〕
先ず、
図1から
図3と、
図16(a)及び(b)を用いて第1の実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る泡吐出装置100は、電動式の泡吐出装置であって、液剤70を貯留する貯留部10と、液剤70を泡化して泡体を生成するフォーマー機構21(
図2)と、泡体を吐出する吐出部20と、を備えている。
図2に示すように、吐出部20は、泡体が通過する泡通過室209と、泡通過室209の下方に垂下し、平面視において閉ループ形状に形成され、内部空間が泡通過室209と連通しているとともに下端に吐出口83が形成されている1つ又は複数の吐出口形成壁部82と、を有する。
図3(b)及び(c)に示すように、各吐出口形成壁部82の少なくとも一部分における下端部は、下方に向かって薄くなる形状に形成されている。
吐出口形成壁部82は、第1部分(例えば吐出口形成壁部82a)及び第2部分(例えば吐出口形成壁部82b)を含み、第1部分の下縁の高さ位置が、第2部分の下縁の高さ位置よりも高い。ここでいう高さ位置は、共通の基準点に対する高さ位置である。すなわち、基準点と第1部分の下縁との鉛直方向における高低差を第1高低差、基準点と第2部分の下縁との鉛直方向における高低差を第2高低差とすると、第1部分の下縁の高さ位置が第2部分の下縁の高さ位置よりも高いということは、第1高低差が第2高低差よりも大きいことを意味する。基準点は、例えば、泡体の吐出対象となる吐出対象物上の1点とすることができる。
【0012】
ここで、吐出口形成壁部82が泡通過室209の下方に垂下は、例えば、吐出口形成壁部82の壁面(内面)が鉛直面又は実質的に鉛直面(例えば鉛直に対して5度以内の傾斜を持つ面)になることを意味する。
ただし、本発明はこの例に限らず、吐出口形成壁部82が泡通過室209の下方に垂下するとは、吐出口形成壁部82の軸心が鉛直又は実質的に鉛直(例えば、軸心の方向が鉛直に対して5度以内の傾斜を持つ)になることであっても良い。吐出口形成壁部82の軸心は、吐出口形成壁部82の内部空間の上端位置(基端位置)での平断面における重心と、当該内部空間の下端位置(先端位置)での平断面における重心と、を結ぶ仮想直線である。例えば、吐出口形成壁部82が、錐台形状などのように壁面が傾斜した形状であっても、軸心が鉛直又は実質的に鉛直であれば良い。
また、本明細書において、吐出口形成壁部は、各々閉ループ形状の平面形状を持つ個々の吐出口形成壁部82を指す場合の他、複数の吐出口形成壁部82の集合体(吐出口形成壁部群)を指す場合もある。
【0013】
また、吐出口形成壁部82の下端部は、吐出口形成壁部82の下端近傍(下縁近傍)の部分である。
また、第1部分の下縁は、第1部分における最下部の縁であり、第1部分の下縁の高さ位置は、第1部分の各部の下縁の高さ位置の平均とすることができる。
同様に、第2部分の下縁は、第2部分における最下部の縁であり、第2部分の下縁の高さ位置は、第2部分の各部の下縁の高さ位置の平均とすることができる。
【0014】
泡化される液剤70としては、ハンドソープを代表例として挙げることができるが、これに限られず、洗顔料、クレンジング剤、食器用洗剤、整髪料、ボディソープ、髭剃り用クリーム、ファンデーションや美容液等の肌用化粧料、染毛剤、消毒薬、パンに塗布するクリームなど、泡状で用いられる種々のものを例示することができる。
液剤70としては、粘度が1mPa・s以上15mPa・s以下のものを用いることが好ましい。
【0015】
図1に示すように、泡吐出装置100は、例えば、筐体60と、筐体60に設けられた各種の構成部品と、により構成されている。これら構成部品としては、貯留部10、吐出部20、液体ポンプ(液剤供給用アクチュエータ)30、気体ポンプ(気体供給用アクチュエータ)40、制御部50及び検出部51などが含まれる。これら構成部品は、例えば、筐体60に収容されている。また、例えば、吐出部20には、フォーマー機構21が一体化されている(
図2参照)。
なお、泡吐出装置100の構成の説明における上下の方向は、泡吐出装置100の設置時における方向を示すものとし、泡吐出装置100が設置された状態で、吐出口形成壁部82が泡通過室209の下方に垂下するようになっている。吐出部20からの泡体の吐出方向は、泡通過室209からの吐出口形成壁部82の突出方向と同じであり、
図1及び
図2においては、吐出部20からの泡体の吐出方向が下方となる。また、後述する他の実施形態及び各変形例においても、吐出部20からの泡体の吐出方向は、泡通過室209からの吐出口形成壁部82の突出方向と同じであり、下方である。
【0016】
図1において、筐体60については概略的な側面形状を示し、吐出部20及び検出部51については、泡吐出装置100を側面視したときの概略的な配置(筐体60における配置)を示している。
また、
図1において、液体ポンプ30、気体ポンプ40及び制御部50については、ブロック構成を示している。
筐体60は、例えば、本体部61と、本体部61に支持されているヘッド部62と、を有している。ヘッド部62は、本体部61の上部と一体的に設けられているとともに、本体部61の上部から水平に突出してオーバーハング状態となっている。なお、本体部61からヘッド部62が突出している方向を前方とする。
本体部61には、例えば、貯留部10が格納されている。ヘッド部62には、吐出部20が設けられている。検出部51は、本体部61とヘッド部62との何れに設けられていても良い。また、液体ポンプ30、気体ポンプ40及び制御部50は、本体部61とヘッド部62との何れに格納されていても良い。
吐出部20は、例えば、ヘッド部62の下面から、泡体を吐出するようになっている。すなわち、泡吐出装置100は、例えば、ヘッド部62において泡体が吐出される方の面が下側となる向きで設置される。
なお、吐出部20の一部分又は全体は、ヘッド部62の下面から下方に突出していても良い。
同様に、検出部51の一部分は、ヘッド部62の下面から下方に突出していても良い。また、検出部51は、ヘッド部62ではなく本体部61側に設けられていても良い。
本体部61は、例えばその背面(
図1における右側の面)又は側面(
図1の紙面における奥側又は手前側の面)などが壁面に固定されるようになっていても良いし、洗面台などの台上に載置されるようになっていても良い。
貯留部10は、例えば液剤70を貯留する有底筒状で口頸部を有するボトル本体と、ボトル本体の口頸部に着脱可能に装着されたキャップと、を有するボトル容器とすることができる。貯留部10には、液剤70が充填されている。すなわち、泡吐出装置100は、貯留部10に充填された液剤70を備える。
筐体60は、例えば、当該筐体60に対して貯留部10を着脱可能に構成されている。泡吐出装置100に液剤70を補充する方法としては、貯留部10を新しいものに交換する方法、又は、ボトル本体の口頸部からキャップを取り外した状態でボトル本体に液剤70を充填する方法などが挙げられる。
【0017】
泡吐出装置100は、更に、貯留部10に差し込まれているとともに液体ポンプ30に接続されている吸引管31と、液体ポンプ30とフォーマー機構21(
図2)とを接続している給液管32と、気体ポンプ40とフォーマー機構21とを接続している給気管41と、を備えている。
液体ポンプ30は、吸引管31を介して、貯留部10内の液剤70を吸引し、該液剤70を給液管32を介してフォーマー機構21に送液する。一方、気体ポンプ40は、気体ポンプ40の周囲の雰囲気(つまり空気)を吸引し、該空気を給気管41を介してフォーマー機構21に送気する。
フォーマー機構21では、液体ポンプ30から送液された液剤70と気体ポンプ40から送気された空気とが混合することによって液剤70が泡化する。そして、泡化した液剤70は吐出部20から吐出される。
【0018】
検出部51は、泡体の吐出対象となる吐出対象物を検出するセンサである。検出部51としては、様々な検出方式のものを用いることができ、例えば、光電センサ等の透過型センサ、反射型センサ、静電容量センサ、接触センサ、或いは超音波センサ等を用いることができる。
吐出対象物としては、例えば、ユーザーの手、スポンジ、ブラシ等の各種の塗布具、食器、食品、食器に注がれた飲料などを例示することができる。以下では、吐出対象物が手であるものとして説明を行う。
本実施形態の場合、検出部51が吐出対象物を検出することにより泡化した液剤の吐出の契機となる吐出トリガが発生する。吐出トリガが発生した場合、予め定められた量の泡体が吐出部20から吐出されるように、液体ポンプ30及び気体ポンプ40が動作した後、液体ポンプ30及び気体ポンプ40の動作が停止する。
【0019】
液体ポンプ30及び気体ポンプ40は、制御部50の制御下で動作し、それぞれ液剤70及び空気を吐出部20に供給する。なお、液体ポンプ30及び気体ポンプ40は、電動モータにより駆動され、電動モータが制御部50と電気的に接続されている。
制御部50は、液体ポンプ30及び気体ポンプ40の制御用プログラムを記憶保持しているROM(Read Only Memory)と、この制御用プログラムに従って制御動作を実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUの作業領域などとして機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えて構成されている。
なお、泡吐出装置100の制御部50、検出部51、液体ポンプ30及び気体ポンプ40の電源は、商用電源であっても良いし、電池であっても良い。
【0020】
次に、
図2を用いてフォーマー機構21及び吐出部20の構成の一例を説明する。なお、ここでは、説明を簡単にするため、
図2に示される位置関係に基づいて吐出部20の各構成を説明する場合があるが、この説明における各構成の位置関係は、泡吐出装置100の使用時におけるフォーマー機構21及び吐出部20の各構成の位置関係とは必ずしも一致しない。
図2に示すように、フォーマー機構21は、給気管41を介して気体(空気)が導入される気体導入口201と、給液管32を介して液剤70が導入される液剤導入口205と、を有している。
気体導入口201を介してフォーマー機構21に導入された空気は、気体前室202と、狭隘な気体通路203と、をこの順に通して混合室208の混合部207に供給される。
一方、液剤導入口205を介して吐出部20に導入された液剤70は、狭隘な液剤通路206を介して混合室208の混合部207に供給される。
混合部207において液剤70と空気とが混合されることによって、液剤70が目の粗い泡体となる。
混合室208の後段にはメッシュ210が設けられている。目の粗い泡体は、メッシュ210を通過することによってきめ細かく均一な泡体となって、吐出部20の泡通過室209に導入される。
【0021】
このように、本実施形態の場合、泡吐出装置100は、液剤70を貯留部10からフォーマー機構21に供給する液剤供給用アクチュエータ(液体ポンプ30)と、フォーマー機構21に気体を供給する気体供給用アクチュエータ(気体ポンプ40)と、気体供給用アクチュエータ及び液剤供給用アクチュエータの動作制御を行う制御部50と、を更に備えている。そして、制御部50の制御下で、液剤70と気体とがフォーマー機構21に供給されることにより、泡体が生成される。
【0022】
フォーマー機構21と吐出部20とは相互に一体的に設けられて、吐出ユニット200を構成している。
吐出ユニット200は、例えば、上端部が閉塞部222によって閉塞されている筒状の筒状部221を有するキャップ部材220と、筒部材230と、流路構成外側スリーブ240と、流路構成内側スリーブ250と、流路構成芯体260と、を備えて構成されている。
キャップ部材220の閉塞部222には、気体導入口201を内部に有する管状部が上に向かって突出した状態に形成されているとともに、液剤導入口205を有する管状部を挿通させる挿通孔が形成されている。
筒部材230は、筒状の外筒部231と外筒部231よりも小径の筒状に形成されている内筒部232とを有する二重筒構造に形成されている上部と、外筒部231よりも大径の筒状に形成されている保持部234と、保持部234の上端を閉塞している天面部235と、を備えて構成されている。
保持部234の内側の空間が泡通過室209を構成している。泡通過室209は、天面部235の中央に形成された開口を介して、メッシュ210の配置領域と連通している。
筒部材230の外筒部231とキャップ部材220の筒状部221とは、例えば螺合等の固定方向によって相互に固定されている。
流路構成外側スリーブ240は、当該流路構成外側スリーブ240の軸方向(上下方向)において複数段階に内径及び外径が変化する形状の複数段の筒状部を含んで形成されている。すなわち、流路構成外側スリーブ240は、下部ほど内径及び外径が大きくなるように、内径及び外径が段階的に変化している。流路構成外側スリーブ240は、例えば、4段の筒状部を有しており、そのうち最上段の(したがって最小径の)筒状部の内部に液剤導入口205が形成されている。また、流路構成外側スリーブ240における最下段の筒状部の内部には、当該筒状部の内周面と近接して内筒部232の上部が配置されている。
流路構成内側スリーブ250は、筒状に形成されており、流路構成内側スリーブ250の外周面が内筒部232の内周面に対して密着するように、内筒部232と嵌合している。ただし、流路構成内側スリーブ250の上部は内筒部232よりも上方に突出している。流路構成内側スリーブ250の上部は、流路構成外側スリーブ240における最下段の筒状部の内部から、下から2段目の筒状部の上端近傍に亘って配置されている。
流路構成芯体260は、円柱状に形成されており、流路構成外側スリーブ240と同軸に配置されている。より詳細には、例えば、流路構成芯体260は、流路構成外側スリーブ240における上から2段目の筒状部の内部から、流路構成外側スリーブ240における最下段の筒状部の上端部の内部に亘って配置されている。なお、流路構成芯体260の下部は、流路構成内側スリーブ250の上部の内部に配置されている。流路構成芯体260は、例えば、流路構成外側スリーブ240によって保持されている。
【0023】
気体通路203は、流路構成外側スリーブ240における最下段及び下から2段目の筒状部の内周面と、内筒部232の上部の外周面及び流路構成内側スリーブ250の上部の外周面と、の間隙により形成されている。
また、液剤通路206は、流路構成外側スリーブ240における上から2段目の筒状部の内周面と流路構成芯体260の上部の外周面との間隙により形成されている。液剤通路206は、例えば、複数本に分かれている。
また、混合室208は、流路構成内側スリーブ250の内部空間により構成されている。流路構成内側スリーブ250の下端の開口は、メッシュ210により塞がれている。なお、混合部207は、混合室208の上端部であり、当該混合部207において液剤通路206の下流端と気体通路203の下流端とが合流する。
また、気体前室202は、閉塞部222と閉塞部233との対向間隔であって、且つ、外筒部231の内周面と、流路構成外側スリーブ240において閉塞部222よりも下方に突出している部分の外周面及び内筒部232の下部の外周面と、の間隙により構成されている。気体前室202は、例えば平断面が環状に形成されている。
なお、フォーマー機構21は、上述の構成のうち、少なくとも、気体通路203、液剤通路206、混合室208(混合室208は混合部207を含む)及びメッシュ210を含んで構成されている。
【0024】
吐出部20は、保持部234の下面側の開口を閉塞する状態で保持部234に保持された泡吐出部品80を更に備えている。
泡吐出部品80は、泡通過室209の下端を画定する板状部81と、板状部81の下面81aから垂下している1つ又は複数の吐出口形成壁部82と、を有する。このように、泡通過室209は板状部81で形成された底部を有し、底部に吐出口形成壁部82が形成されている(底部から吐出口形成壁部82が垂下している)。
泡吐出部品80は、板状部81が水平となる姿勢で、保持部234によって保持される。保持部234は、泡吐出部品80を着脱可能に保持する。
より詳細には、板状部81は平面視円形に形成されており、泡吐出部品80は、板状部81の周縁部から上方に向けて起立している平面視環状の突起である環状突起88と、板状部81の周縁部から板状部81の径方向外方に向けて突出している複数の被係止突起89と、を更に備えている。
一方、保持部234の下面側には、平面視円形に周回していて環状突起88が差し込まれるスリット状の差込穴237と、被係止突起89に対して係合することによって泡吐出部品80を保持する環状の係止部236と、を備えている。なお、泡吐出部品80を下に引っ張ることにより、被係止突起89に対する係止部236の係止が外れて、泡吐出部品80を保持部234から取り外すことができるようになっている。また、環状突起88を差込穴237に対して位置合わせした状態で、泡吐出部品80を上に押し上げることにより、被係止突起89に対して係止部236を係止させて、泡吐出部品80を保持部234により保持させることができる。
また、板状部81の上面81b上には、図示するようにメッシュ270が設けられていても良い。
フォーマー機構21及び吐出部20は、例えば、以上のように構成されている。ただし、吐出部20及びフォーマー機構21は、ここで説明した構造のものに限定されず、他の構造のものであっても良い。
【0025】
このように、空気と液剤70とが混合される混合室208の出口にはメッシュ210(多孔体)が配置されている。混合室208にて生成された泡体は、メッシュ210を通過して泡通過室209に流入し、該泡通過室209を通過した後、吐出口形成壁部82の内部を通過して、その下端の吐出口83から吐出される。
ここで、上述のように、フォーマー機構21は、液剤70と空気とが混合される混合室208を含む。そして、泡通過室209の泡体の吐出方向に対して直交する断面積(つまり平断面積)の最大値は、混合室208の上記吐出方向に対して直交する断面積(平断面積)の最大値よりも大きく、且つ、各吐出口形成壁部82の内部空間の上記吐出方向に対して直交する断面積(平断面積)の最大値の合計値よりも大きい。
したがって、泡通過室209の上記断面積の最大値は、混合室208の出口の上記吐出方向に対して直交する断面積(平断面積)よりも大きい。また、泡通過室209の上記断面積の最大値は、混合室208において泡通過室209に隣接する部位(例えば混合室208の下端部)における上記断面積よりも大きい。各吐出口形成壁部82において泡通過室209に隣接する部位(各吐出口形成壁部82の上端部)の内部空間の上記吐出方向に対して直交する断面積の合計値は、泡通過室209の上記断面積(平断面積)の最大値よりも小さい。また、各吐出口形成壁部82において泡通過室209に隣接する部位(各吐出口形成壁部82の上端部であり、泡通過室209の底部に形成されている)の内部空間の上記吐出方向に対して直交する断面積の合計値は、板状部81で形成された泡通過室209の底部の面積よりも小さい。
このため、泡体が混合室208、泡通過室209及び吐出口形成壁部82の内部をこの順に通って吐出口83から吐出される過程で、泡体の流路面積は混合室208から泡通過室209に流出する際に一旦拡大した後、泡通過室209から吐出口形成壁部82に流入する際に絞り込まれる。
これにより、各吐出口形成壁部82の内部に十分に泡体を満たしつつ、吐出口形成壁部82の下端の吐出口83から泡体を吐出することができる。このため、より確実に、各吐出口83から所望の形状の泡体を吐出することができ、これら吐出口83から吐出された泡体の集合体である泡造形物91(
図16(a)、(b))を所望の立体形状にすることが可能となる。
なお、泡通過室209の平断面積は、泡通過室209において泡体の吐出方向におけるいずれの位置でも同じとなっていても良いし、泡体の吐出方向における位置に応じて変化していても良い。
好ましくは、泡通過室209において吐出口形成壁部82に隣接する部位(泡通過室209の下端部)の上記吐出方向に対して直交する断面積(平断面積)は、各吐出口形成壁部82の内部空間の上記吐出方向に対して直交する断面積(平断面積)の最大値の合計値よりも大きい。
ここで、吐出口形成壁部82の内部空間の断面積とは、上記吐出方向に対して直交する断面において、吐出口形成壁部82によって連続する周回状に囲まれる閉領域の断面積である。
また、本実施形態では吐出口形成壁部82の数は複数であるため、各吐出口形成壁部82の内部空間の断面積の合計値とは、これら複数の吐出口形成壁部82の内部空間の断面積の合計値である。ただし、本発明はこの例に限らず、吐出口形成壁部82の数が1つであってもよく、この場合、各吐出口形成壁部82の内部空間の断面積の合計値とは、1つの吐出口形成壁部82の内部空間の断面積である。
【0026】
次に、
図3を用いて、泡吐出部品80についてより詳細に説明する。
図3に示すように、泡吐出部品80は、円板状の板状部81と、板状部81の下面81aから突出している複数の吐出口形成壁部82と、を備えている。
本実施形態の場合、各吐出口形成壁部82は、円管状に形成されており、各吐出口形成壁部82の軸心及び壁面が下面81aに対して直交している。各吐出口形成壁部82の下縁821には吐出口83が形成されている。なお、個々の吐出口形成壁部82における下縁821の高さは一定となっており、吐出口83は水平に配置されている。
このため、吐出口形成壁部82の下縁821は、水平に延在している部分を有する。本実施形態の場合、吐出口形成壁部82の下縁821の全体が、円環状に水平に延在している。
ここで、吐出口形成壁部82の下縁821が、水平に延在している部分を有するとは、例えば、吐出口形成壁部82の下縁821が、当該下縁821の厚みよりも長く水平に連続して延びている部分を有することとすることができる。
ここで、板状部81の下面81aから突出している吐出口形成壁部82の長さが相対的に短い場合は、下縁821の高さ位置は相対的に高く、該長さが相対的に長い場合は下縁821の高さ位置は相対的に低い。
【0027】
複数の吐出口形成壁部82には、吐出口形成壁部82a及び吐出口形成壁部82bが含まれている。
図3(b)に示すように、吐出口形成壁部82aの下縁821の高さ位置は、吐出口形成壁部82bの下縁821の高さ位置よりも高くなっている。
したがって、本実施形態の場合、吐出口形成壁部82aが第1部分にあたり、吐出口形成壁部82bが第2部分にあたる。
すなわち、吐出部20は複数の吐出口形成壁部82を有し、複数の吐出口形成壁部82には、第1部分を構成する第1吐出口形成壁部(例えば吐出口形成壁部82a)と、第2部分を構成する第2吐出口形成壁部(例えば吐出口形成壁部82b)と、が含まれる。
より詳細には、本実施形態の場合、第1吐出口形成壁部(例えば吐出口形成壁部82a)の吐出口83と、第2吐出口形成壁部(例えば吐出口形成壁部82b)の吐出口83とは、それぞれ水平に配置され、且つ、第1吐出口形成壁部(例えば吐出口形成壁部82a)の吐出口83の高さ位置が第2吐出口形成壁部(例えば吐出口形成壁部82b)の吐出口83の高さ位置よりも高い。
【0028】
なお、吐出口形成壁部82aの下縁821と、吐出口形成壁部82bの下縁821と、の各々が、水平に延在している部分を有する。本実施形態の場合、吐出口形成壁部82aの下縁821の全体が、円環状に水平に延在しており、吐出口形成壁部82bの下縁821の全体が、円環状に水平に延在している。
【0029】
このように、泡吐出部品80は、液剤70を貯留する貯留部10と、液剤70を泡化して泡体を生成するフォーマー機構21と、を備える泡吐出装置に取り付けられて、泡体を吐出する泡吐出部品80である(ここでは、泡吐出装置100から泡吐出部品80を除いたものを泡吐出装置と称している)。泡吐出部品80は、板状部81と、板状部81の一方の面(下面81a)から板状部81の板面に対して直交する方向に突出し、突出方向から視て閉ループ形状に形成され、内部空間が板状部81の他方の面(上面81b)側の空間と連通しているとともに先端に吐出口83が形成されている1つ又は複数の吐出口形成壁部82と、を有している。そして、吐出口形成壁部82は、第1部分(例えば吐出口形成壁部82a)及び第2部分(例えば吐出口形成壁部82b)を含み、第1部分での板状部81から先端縁(下縁821)までの距離よりも、第2部分での板状部81から先端縁(下縁821)までの距離が短い。また、吐出口形成壁部82の少なくとも一部分における先端部(下端部)は、突出方向である先端(下方)に向かって薄くなる形状に形成されている。
【0030】
より詳細には、本実施形態の場合、泡吐出部品80の複数の吐出口形成壁部82を介して泡体を吐出することにより、
図16(a)及び(b)に示すような、花を模した泡造形物91を形成することができるようになっている。なお、
図16(a)は、
図3に示す泡吐出部品80を用いて実際に形成した泡造形物91を撮像した平面画像であり、
図16(b)は
図16(a)の矢印B方向(側面方向)から泡造形物91を撮像した斜視画像である。泡造形物91が模している花は、中心から放射状に5方向にそれぞれ延びる5枚の花びらを有する形状のものである。
図3(a)及び(c)に示すように、泡吐出部品80においては、中央部に複数(例えば4つ)の吐出口形成壁部82bが配置され、5枚の花びらを形成するための複数の吐出口形成壁部82aが中央部から放射状に5列に配列されている。より詳細には、中央部の4つの吐出口形成壁部82bは正方形の各頂点と対応する位置に配置されている。また、吐出口形成壁部82aの5つの列の各々は、等間隔に配置された3つずつの吐出口形成壁部82aを備えている。このように、複数の吐出口形成壁部82の各々は平面視において円形形状であるが、複数の吐出口形成壁部82の集合体である吐出口形成壁部群は、全体として非円形形状を形成している。
このような泡吐出部品80を介して泡体を吐出することにより、
図16(a)及び(b)に示すように、それぞれ花びらを模した花びら部91aと、5つの花びら部91aの中間に位置している中央部91bと、を一体的に有する泡造形物91を形成することができる。
すなわち、吐出部20の下方に手(手の平)を水平に差し出すことにより、当該手が検出部51により検出されて吐出トリガが発生し、液体ポンプ30及び気体ポンプ40がそれぞれ動作することにより、フォーマー機構21に供給された液剤70及び空気によって泡体が生成され、当該泡体は泡通過室209及びメッシュ270を介して各吐出口形成壁部82から吐出される。その後、所定量の泡体の吐出が完了すると、液体ポンプ30及び気体ポンプ40の動作が停止する。
その結果、手の上に泡造形物91が形成されることとなる。
【0031】
ここで、本実施形態の場合、吐出口形成壁部82aの下縁821の高さ位置が、吐出口形成壁部82bの下縁821の高さ位置よりも高く設定されていることにより、花びら部91aが中央部91bよりも高く浮き出た(分厚く形成された)形状の泡造形物91を形成することができる。すなわち、より高位置に位置する吐出口形成壁部82aからは吐出口形成壁部82bから吐出されるよりも多くの泡体が吐出されるとともに、泡体が下縁821から切り離される高さ位置が吐出口形成壁部82aと吐出口形成壁部82bとで異なることとなる。これにより、主に吐出口形成壁部82aから吐出される泡体によって構成される花びら部91aを、主に吐出口形成壁部82bから吐出される泡体によって構成される中央部91bよりも分厚く形成することができる。
よって、花を模した泡造形物91を高い意匠性の立体形状のものとすることができる。
【0032】
泡造形物91の造形性の観点から、第1部分と第2部分との高さの差は、1mm以上が好ましく、2mm以上が更に好ましく、また8mm以下が好ましく、5mm以下が更に好ましい。また、1mm以上8mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下が更に好ましい。
また、同様の観点から、吐出口形成壁部の板状部81から下縁821までの長さは、2mm以上が好ましく、3mm以上が更に好ましく、5mm以上が一層好ましい。また、当該長さは、30mm以下が好ましく、25mm以下が更に好ましく、20mm以下が一層好ましい。また、2mm以上30mm以下が好ましく、3mm以上25mm以下が更に好ましく、5mm以上20mm以下が一層好ましい。
【0033】
なお、第1の実施形態においては、吐出口形成壁部82の高さは、第1部分と第2部分の2段階に形成されているが、本発明においては制限なく、互いに段違いに配置された3つ以上の部分(3段階以上に配置された複数の部分)を有していてもよい。
【0034】
また、各吐出口形成壁部82の下端部は、
図3(b)及び(c)に示すように、面取り形状に形成されている。これにより、吐出口形成壁部82の下端部は、下方に向かって薄くなる形状(肉厚方向における寸法が、下方に向けて幅狭になる形状)に形成されている。
このようにすることによって、吐出口形成壁部82の下端部に対して泡が付着しにくくすることができるため、泡造形物91から吐出口形成壁部82の下端部を良好に分離させることができる。これにより、一旦形成された泡造形物91の形状をなるべく崩さずに、泡造形物91から吐出口形成壁部82を分離させることができる。
吐出口形成壁部82の下端部の面取り形状は、R面取り形状、C面取り形状のいずれでも良いが、
図3にはR面取り形状の例を示している。
本実施形態の場合、
図3(b)に示すように、各吐出口形成壁部82の下端部が、吐出口83の周囲全周に亘って、下方に向かって薄くなる形状に形成されている。ただし、本発明は、この例に限らず、吐出口形成壁部82の周方向における一部分の下端部が、下方に向かって薄くなる形状となっていることによって、当該一部分において下端部に対する泡の付着力が低減されていても良い。
すなわち、吐出口形成壁部82の少なくとも一部分における下端部が、下方に向かって薄くなる形状に形成されている構成を採用することができる。
【0035】
泡吐出部品80の材料は特に限定されないが、泡吐出部品80の材料としては、軽量で安価な樹脂材料(ポリプロピレン等)が好ましく用いられる。
【0036】
以上のような第1の実施形態によれば、第1部分(吐出口形成壁部82a)の下縁821の高さ位置が、第2部分(吐出口形成壁部82b)の下縁821の高さ位置よりも高い。よって、吐出される泡体によって構成される泡造形物91の各部に所望の高低差を形成することができる。これによって、より意匠性の高い所望の立体形状の泡の造形物を形成することが可能となる。
【0037】
また、吐出口形成壁部82の少なくとも一部分における下端部は、下方に向かって薄くなる形状に形成されている。よって、吐出口形成壁部82の下端部に対して泡が付着しにくくすることができるため、泡造形物91から吐出口形成壁部82の下端部を良好に分離させることができる。これによって、より意匠性の高い所望の立体形状の泡の造形物を形成することが一層容易となる。
【0038】
また、吐出部20は、泡吐出部品80と、泡吐出部品80を着脱可能に保持する保持部234と、を備えているため、泡吐出部品80を別の形状の吐出口形成壁部82を有するものと交換することによって、形成可能な泡造形物91の形状を、別の形状のものとすることができる。
【0039】
<第1の実施形態の変形例>
次に、
図4、
図16(c)及び(d)を用いて第1の実施形態の変形例を説明する。
図16(c)は、
図4に示す泡吐出部品80を用いて実際に形成した泡造形物91を撮像した平面画像であり、
図16(d)は
図16(c)の矢印D方向(側面方向)から泡造形物91を撮像した斜視画像である。
本変形例の場合、吐出口形成壁部82a及び吐出口形成壁部82bの高低の関係が、上記の第1の実施形態とは逆転している。
すなわち、
図4(b)及び(c)に示すように、吐出口形成壁部82bの下縁821の高さ位置が、吐出口形成壁部82aの下縁821の高さ位置よりも高くなっており、吐出口形成壁部82bが第1部分、吐出口形成壁部82aが第2部分となっている。
本変形例の場合、吐出口形成壁部82bの下縁821の高さ位置が、吐出口形成壁部82aの下縁821の高さ位置よりも高く設定されていることにより、
図16(c)及び(d)に示すように、花びら部91aよりも中央部91bが高く浮き出た(分厚く形成された)形状の泡造形物91を形成することができる。
【0040】
〔第2の実施形態〕
次に、
図5、
図6、
図17(a)及び(b)を用いて第2の実施形態を説明する。
図17(a)は、
図5に示す泡吐出部品80を用いて実際に形成した泡造形物92を撮像した平面画像であり、
図17(b)は
図17(a)の矢印B方向(側面方向)から泡造形物92を撮像した斜視画像である。
本実施形態に係る泡吐出装置100及び泡吐出部品80は、吐出口形成壁部82の形状が上記の第1の実施形態に係る泡吐出装置100及び泡吐出部品80と相違しており、上記の第1の実施形態に係る泡吐出装置100及び泡吐出部品80と共通する部分については、適宜に説明を省略している。
なお、以下の説明では、泡吐出部品80の各吐出口形成壁部82の位置関係及び形状について、各図に示される位置関係で説明する場合がある。
【0041】
本実施形態の場合、泡吐出部品80は、蝶を模した形状の泡造形物92(
図17(a)、(b))を形成するためのものである。本実施形態で形成する泡造形物92の目標の形状(平面形状)は、
図6に示される。
図5に示すように、泡吐出部品80の吐出口形成壁部(吐出口形成壁部群)は、左右一対の吐出口形成壁部82dと、中央に配置された吐出口形成壁部82eとで構成されている。
【0042】
各吐出口形成壁部82dは、蝶の羽根部92a(
図17(a)、(b))を形成するための部分であり、平面視において一方向に長尺なスリット状に形成されている。一対の吐出口形成壁部82dは、互いに平行に延在している。各吐出口形成壁部82dの各部の壁面は板状部81に対して直交している。吐出口形成壁部82d及び吐出口形成壁部82eは、平面視においてそれぞれ非円形形状であり、また一対の吐出口形成壁部82d及び1つの吐出口形成壁部82eの集合体である吐出口形成壁部群は全体として平面視において非円形形状を形成している。また吐出口形成壁部群は、平面視において互いに異なる形状の吐出口形成壁部82dと吐出口形成壁部82eとの組み合わせで構成されている。
図5(b)及び(c)に示すように、吐出口形成壁部82dは、低位置端部84aと、高位置端部84bと、を有しており、高位置端部84bの下縁821の高さ位置が、低位置端部84aの下縁821の高さ位置よりも高くなっている。
より詳細には、各吐出口形成壁部82dにおいて、互いに対向している側の半部が高位置端部84bとなっており、残部が低位置端部84aとなっている。各吐出口形成壁部82dにおいて、平面視にて吐出部20の外方側に低位置端部84aが配置されており、吐出部20の内方側に高位置端部84bが配置されている。したがって、複数の吐出口形成壁部82d、82d、82eの集合体である吐出口形成壁部群において、外方側に低位置端部84aが配置されており、内方側に高位置端部84bが配置されている。つまり、複数の吐出口形成壁部82が配置された領域の周縁側(外方側)に低位置端部84aが配置されており、中心側(内方側)に高位置端部84bが配置されている。低位置端部84aと高位置端部84bとの境界は、下縁821の高さ位置が変化する変化部87となっている。本実施形態の場合、変化部87は段差部となっている。各吐出口形成壁部82dの長手方向における両端にそれぞれ変化部87が形成されている。
【0043】
泡造形物92の造形性の観点から、高位置端部84bと低位置端部84aとの高さの差は、1mm以上が好ましく、2mm以上が更に好ましく、また8mm以下が好ましく、5mm以下が更に好ましい。また、1mm以上8mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下が更に好ましい。
また、同様の観点から、吐出口形成壁部82dの板状部81から下縁821までの長さは、2mm以上が好ましく、3mm以上が更に好ましく、5mm以上が一層好ましい。また、当該長さは、30mm以下が好ましく、25mm以下が更に好ましく、20mm以下が一層好ましい。また、2mm以上30mm以下が好ましく、3mm以上25mm以下が更に好ましく、5mm以上20mm以下が一層好ましい。
なお、高位置端部84bの下縁821の高さ位置は均一となっている。同様に、低位置端部84aの下縁821の高さ位置は均一となっている。低位置端部84aは、ほぼ全域に亘って、鉛直に起立する平板状に形成されており、低位置端部84aの下縁821は、長手方向におけるほぼ全域に亘って直線状且つ水平に形成されている。つまり、低位置端部84a(第2部分)は、鉛直に起立する平板状に形成された部分を含み、且つ、当該平板状の部分の下縁は水平に延在している。また、平板状の部分の下縁は直線状に形成されている。
ここで、各吐出口形成壁部82dにおいて、低位置端部84aと高位置端部84bとは、平面視において互いに並列に(例えば互いに平行に)延在しているとともに、それぞれ平面視において吐出口形成壁部82dの長手方向のほぼ全域に亘って延在している。したがって、低位置端部84aにおいて高位置端部84bよりも下方に突出している部分は、一定の長さの範囲に存在(例えば吐出口形成壁部82dの長手方向のほぼ全域に亘って存在)している。
このように、個々の吐出口形成壁部82dにおいて、低位置端部84aと高位置端部84bとの各々の下縁821は、水平に延在(例えば、直線状に水平に延在)している部分を有する。そして、低位置端部84aの下縁821において直線状に水平に延在している部分と、高位置端部84bの下縁821において直線状に水平に延在している部分とが、平面視において互いに並列に(例えば互いに平行に)延在している。
【0044】
また、泡造形物92の造形性の観点から、各吐出口形成壁部82の周方向において低位置端部84aと高位置端部84bとの各々が占める割合は、互いに同等であるか、又は、高位置端部84bが占める割合よりも低位置端部84aの占める割合が多い方が好ましい。
【0045】
吐出口形成壁部82eは、蝶の胴体部92b及び一対の触角部92c(
図17(a)、(b))を形成するための部分である。吐出口形成壁部82eは、平面視において吐出口形成壁部82dに対して略平行に延在する部分(蝶の胴体部92bを形成するための部分)と、当該部分から左右対称にV字状に延出していて先端が円形に膨らんでいる一対の部分(蝶の一対の触角部92cを形成するための部分))と、を含む形状となっている。吐出口形成壁部82eの各部の壁面は板状部81に対して直交している。
本実施形態の場合、吐出口形成壁部82eの下縁821の高さ位置は、吐出口形成壁部82dの低位置端部84aの下縁821の高さ位置と同じ高さに設定されているとともに、均一となっている。
【0046】
泡造形物92の造形性の観点から、低位置端部84aと高位置端部84bを具備する各吐出口形成壁部82dによって囲まれた空間の平面形状は、長軸及び短軸を有する扁平形状であることが好ましい。この場合の長軸は短軸の1.2倍以上の長さを有することが好ましく、2倍以上が一層好ましい。また、長軸の長さは短軸の長さの30倍以下が好ましく、20倍以下が一層好ましい。
【0047】
本実施形態の場合、高位置端部84bが第1部分にあたり、低位置端部84aが第2部分にあたる。
すなわち、一の吐出口形成壁部82(吐出口形成壁部82d)が、第1部分(高位置端部84b)及び第2部分(低位置端部84a)を含む。
【0048】
なお、本実施形態の場合、高位置端部84bが第1部分にあたり、吐出口形成壁部82eが第2部分にあたると考えることもできる。換言すれば、吐出口形成壁部82dの一部分(高位置端部84b)が第1部分を構成し、吐出口形成壁部82eが第2部分を構成していると考えることもできる。すなわち、吐出部20は複数の吐出口形成壁部82を有し、複数の吐出口形成壁部82には、第1部分(高位置端部84b)を構成する第1吐出口形成壁部(吐出口形成壁部82d)と、第2部分を構成する第2吐出口形成壁部(吐出口形成壁部82e)と、が含まれる。
【0049】
また、各吐出口形成壁部82の下端部は、
図5(b)及び(c)に示すように、面取り形状に形成されている。これにより、吐出口形成壁部82の下端部は、下方に向かって薄くなる形状(肉厚方向における寸法が、下方に向けて幅狭になる形状)に形成されている。
吐出口形成壁部82の下端部の面取り形状は、R面取り形状、C面取り形状のいずれでも良いが、
図5にはC面取り形状の例を示している。
【0050】
本実施形態の場合、一対の吐出口形成壁部82dは互いの対向側の半部が高位置端部84bとなっている(壁の垂下長が短い)ため、高位置端部84b側からより多くの泡体が流出する。つまり、吐出口形成壁部82dから吐出された泡体は、多くが中央の吐出口形成壁部82e側に向けて流出する。その結果、吐出口形成壁部82dから吐出された泡体は、中央の吐出口形成壁部82e側に向けて半円状に膨らむ形状となる。なお、低位置端部84a(壁の垂下長が長い)によって、側方への泡体の流出が規制されるため、低位置端部84aに沿った泡体の形状は、低位置端部84aの平面形状を反映した直線状の形状となる。
ここで、低位置端部84aは、鉛直に起立する平板状に形成された部分を含み、且つ、当該平板状の部分の下縁は水平に延在している。すなわち、低位置端部84aが全域に亘って均一な高さに形成されているとともに、低位置端部84aにおいて高位置端部84bよりも下方に突出している部分が平板状になっている。これにより、この平板状の部分がスパチュラ(へら)として機能し、泡体がこのスパチュラによって撫でられるように吐出される。このため、外側の端部が平面視において直線状に延在する、立体的な泡造形物92を形成することが可能となり、泡造形物92の輪郭を明確にすることができる。
吐出口形成壁部82dから吐出される泡体は、高位置端部84b側に流れでることで、低位置端部84a側には広がり難くなることから、低位置端部84aのスパチュラ効果を十分に得られ、壁状の立ち上がった面を形成することができ、意匠性の高い泡造形物とすることができる。
よって、一対の吐出口形成壁部82dから吐出された泡体により、蝶の一対の羽根をそれぞれ模した形状の一対の羽根部92aが形成される(
図17(a)、(b))。
また、吐出口形成壁部82eから吐出された泡体によって、蝶の胴体を模した形状の胴体部92bと、触角を模した形状の一対の触角部92cと、が形成されるとともに、これら胴体部92b及び触角部92cが一対の羽根部92aと一体的に形成される(
図17(a)、(b))。
本実施形態の場合、蝶を模した泡造形物92を高い意匠性の立体形状のものとすることができる。
【0051】
<第2の実施形態の変形例1>
次に、
図7、
図17(c)及び(d)を用いて第2の実施形態の変形例1を説明する。
図17(c)は、
図7に示す泡吐出部品80を用いて実際に形成した泡造形物92を撮像した平面画像であり、
図17(d)は
図17(c)の矢印D方向(側面方向)から泡造形物92を撮像した斜視画像である。
本変形例の場合、
図7(a)、(b)及び(c)に示すように、吐出口形成壁部82eの下縁821の高さ位置が、低位置端部84aの下縁821の下縁821の高さ位置よりも高く、且つ、高位置端部84bの下縁821の高さ位置よりも低い点で、上記の第2の実施形態(
図5)と相違している。
本変形例の場合、上記の第2の実施形態と比べて、吐出口形成壁部82eの下縁821の高さ位置が高くなっている。このため、
図17(c)及び(d)に示すように、第2の実施形態と比べて、胴体部92bが高く楕円形に浮き出た(分厚く形成された)形状の泡造形物92を形成することができる。
【0052】
<第2の実施形態の変形例2>
次に、
図8(a)及び(b)を用いて第2の実施形態の変形例2を説明する。
本変形例の場合、泡吐出部品80は、1つの吐出口形成壁部82jを有している。この吐出口形成壁部82jは、
図5に示す第2の実施形態における一対の吐出口形成壁部82dと中央の吐出口形成壁部82eとを連結部86を介して相互に連結したような形状となっている。
すなわち、吐出口形成壁部82jは、第2の実施形態における吐出口形成壁部82eと同様の形状の第2低位置端部84cを中央に有しているとともに、第2の実施形態と同様の低位置端部84aと高位置端部84bとを左右一対ずつ有している。そして、第2低位置端部84cにおいて蝶の胴体を形成する部分の長手方向における中央部に対して、左右の高位置端部84bの長手方向における中央部が、それぞれ平面視スリット状の連結部86を介して繋がっている。吐出口形成壁部82jは、その全体の平面形状が閉ループ形状となっており、1つの吐出口83を有している。また、1つの吐出口83を形成する吐出口形成壁部82jは平面視において非円形形状であり、第2の実施形態の吐出口形成壁部82d及び吐出口形成壁部82eに相当する箇所や連結部86は平面視においてそれぞれ非円形形状である。また、吐出口83(吐出口形成壁部82j)は、一方向に長尺なスリット状の吐出口形成壁部82d及び蝶の触覚と胴体を模した形状の吐出口形成壁部82eにそれぞれ相当する部分並びに長方形状の連結部86の組み合わせで構成されている。つまり、吐出口83(吐出口形成壁部82j)は、平面視において互いに異なる形状の複数の部分(吐出口形成壁部82dに相当する部分、吐出口形成壁部82eに相当する部分、及び、連結部86)の組み合わせで構成されている。
また、吐出口形成壁部82jにおいて、一対の吐出口形成壁部82dに相当する部分では、平面視にて吐出部20の外方側に低位置端部84aが配置されており、吐出部20の内方側に高位置端部84bが配置されている。
また、下縁821の高さ位置が変化する変化部87は、連結部86に形成されている。本実施形態の場合、変化部87は、下縁821の高さ位置が徐々に変化する傾斜部となっている。
本変形例によっても、第2の実施形態と同様の形状の泡造形物を形成することが可能である。
【0053】
<第2の実施形態の変形例3>
次に、
図8(a)及び(c)を用いて第2の実施形態の変形例3を説明する。
本変形例の場合、吐出口形成壁部82jの中央の第2低位置端部84cが
図7に示す変形例1と同様である点で、
図8(b)に示す変形例2と相違し、その他の点は、
図8(b)に示す変形例2と同様である。
本変形例によっても、第2の実施形態の変形例1と同様の形状の泡造形物を形成することが可能である。
【0054】
〔第3の実施形態〕
次に、
図9、
図18(a)及び(b)を用いて第3の実施形態を説明する。
図18(a)は、
図9に示す泡吐出部品80を用いて実際に形成した泡造形物93を撮像した平面画像であり、
図18(b)は
図18(a)の矢印B方向(側面方向)から泡造形物93を撮像した側面画像である。
本実施形態に係る泡吐出装置100及び泡吐出部品80は、吐出口形成壁部82の形状が上記の第1の実施形態に係る泡吐出装置100及び泡吐出部品80と相違しており、上記の第1の実施形態に係る泡吐出装置100及び泡吐出部品80と共通する部分については、適宜に説明を省略している。
なお、以下の説明では、泡吐出部品80の各吐出口形成壁部82の位置関係及び形状について、各図に示される位置関係で説明する場合がある。
【0055】
図9(a)及び(c)に示すように、本実施形態の場合、泡吐出部品80は、中央に配置された1つの吐出口形成壁部82iと、吐出口形成壁部82iを間に挟んで左右対称に配置された左右一対の吐出口形成壁部82fと、吐出口形成壁部82iを間に挟んで前後対称に配置された吐出口形成壁部82g及び吐出口形成壁部82hと、の合計5つの吐出口形成壁部82を有している。
吐出口形成壁部82iは円管状に形成されており、吐出口形成壁部82fの各々は平面視において一方向に長尺なスリット状に形成され、互いに同一直線上に延在している。
また、吐出口形成壁部82g及び吐出口形成壁部82hの各々は、平面視において一方向に長尺なスリット状に形成され、互いに同一直線上に延在しているとともに、吐出口形成壁部82fに対して直交する方向に延在している。
したがって、吐出口形成壁部82i、吐出口形成壁部82f、吐出口形成壁部82g及び吐出口形成壁部82hによって平面視において十字型が形成されている。
吐出口形成壁部82i、吐出口形成壁部82f、吐出口形成壁部82g及び吐出口形成壁部82hの各部の壁面は板状部81に対して直交している。
また、吐出口形成壁部82i、吐出口形成壁部82f、吐出口形成壁部82g及び吐出口形成壁部82hの下端部は、
図9(b)及び(c)に示すように、面取り形状に形成されている。これにより、各吐出口形成壁部82の下端部は、下方に向かって薄くなる形状(肉厚方向における寸法が、下方に向けて幅狭になる形状)に形成されている。
また、吐出口形成壁部82iの下縁821の高さ位置、吐出口形成壁部82fの下縁821の高さ位置及び吐出口形成壁部82gの下縁821の高さ位置は、それぞれ均一となっている。
【0056】
吐出口形成壁部82f、吐出口形成壁部82g及び吐出口形成壁部82hの各々の下縁821の高さ位置は、互いに等しく設定されているとともに、吐出口形成壁部82iの下縁821の高さ位置よりも低い位置となっている。
なお、後述のように、吐出口形成壁部82hの下縁821は、山型の凸部85bと谷型の凹部85aとを交互に有する鋸歯状の凹凸形状を有しているが、ここでの説明において吐出口形成壁部82f及び吐出口形成壁部82gの下縁821の高さ位置と等しいとした吐出口形成壁部82hの下縁821の高さ位置は、最下端である凸部85bの高さ位置である。
【0057】
ここで、
図9(a)に示すように、吐出口形成壁部82fの壁厚よりも、吐出口形成壁部82gの壁厚が厚くなっている。
これにより、吐出口形成壁部82gの下縁821の方が、吐出口形成壁部82fの下縁821よりも、肉厚方向における幅寸法が大きくなっている。下縁821の幅寸法が大きい吐出口形成壁部82gが第1壁部であり、第1壁部よりも下縁821の幅寸法が小さい吐出口形成壁部82fが第2壁部である。
よって、吐出口形成壁部82g(第1壁部)の下縁821に対する泡体の付着性(表面張力による付着性)が、吐出口形成壁部82f(第2壁部)の下縁821に対する泡体の付着性よりも強くなっている。
つまり、吐出口形成壁部82gと吐出口形成壁部82fとのうち、吐出口形成壁部82gが第1壁部であり、吐出口形成壁部82fが第2壁部である。
このように、本実施形態の場合、(1)吐出口形成壁部82の少なくとも一部分における下端部は、下方に向かって薄くなる形状に形成され、吐出口形成壁部82は、第1部分及び第2部分を含み、第1部分の下縁の高さ位置が、第2部分の下縁の高さ位置よりも高く、且つ、(2)吐出口形成壁部82は、第1壁部及び第2壁部を含み、第1壁部の下縁に対する泡体の付着性が、第2壁部の下縁に対する泡体の付着性よりも強い。
第1壁部の下縁821の幅寸法は、第1壁部における各部(吐出口形成壁部82gの周方向における各部)における幅寸法の平均とすることができる。同様に、第2壁部の下縁821の幅寸法は、第2壁部における各部(吐出口形成壁部82fの周方向における各部)における幅寸法の平均とすることができる。
なお、本実施形態では、第1壁部及び第2壁部がそれぞれ1つずつの吐出口形成壁部82の全体である。すなわち、吐出部20は複数の吐出口形成壁部82を有し、複数の吐出口形成壁部82には、第1壁部を構成する第1壁部構成壁部(例えば吐出口形成壁部82g)と、第2壁部を構成する第2壁部構成壁部(例えば吐出口形成壁部82f)と、が含まれる。
以下、吐出口形成壁部82の下縁821に対する泡体の付着性のことを、単に付着性という場合がある。
【0058】
泡体の付着性とは、表面張力による泡体の付着のしやすさの度合いであり、付着性が強いほど、付着しやすいものとする。また、泡体の付着性は、吐出口形成壁部82の周方向における単位長さあたりの付着性を意味する。
泡体の付着性の強弱は、吐出口83から吐出された泡体から吐出口形成壁部82を分離させる際に、泡体に対して吐出口形成壁部82が相対的に移動する方向へ、泡体がどれだけ吐出口形成壁部82に引っ張られるかを評価することによって、判断することができる。すなわち、泡体が吐出口形成壁部82によって引っ張られる距離が長いほど、吐出口形成壁部82の下縁821に対する泡体の付着性が強いものとする。より詳細には、吐出口形成壁部82の突出方向が下方である場合に、吐出口83から吐出された泡体から吐出口形成壁部82を分離させる際には、(例えば手などの吐出対象物とともに泡体を下降させることによって)泡体に対して吐出口形成壁部82を相対的に上方に移動させる。このように泡体から吐出口形成壁部82を分離させる際に、泡体が上方に引き上げられる距離が長いほど、当該吐出口形成壁部82の先端縁(下縁821)に対する泡体の付着性が強い。
なお、泡体の付着性の強弱の判定は、上記の例に限らない。例えば、先ず、泡吐出装置100の吐出口形成壁部82から当該吐出口形成壁部82の先端縁を含む試験片を切り出す。そして、試験片を泡体に押し当てた後で、当該試験片を持ち上げたときに、泡体が試験片によって上方に引っ張られる距離を測定し、測定された距離が長いほど、泡体の付着性が強いと判定することもできる。
【0059】
ここで、吐出口形成壁部82の下端部が面取り形状に形成されている場合、下縁821の幅寸法は、(面取り部を含む幅寸法ではなく)面取り部を除いた下面の幅寸法となる。
第1壁部の下縁821の幅寸法は、第1壁部における各部(吐出口形成壁部82gの周方向における各部)における幅寸法の平均とすることができる。同様に、第2壁部の下縁821の幅寸法は、第2壁部における各部(吐出口形成壁部82fの周方向における各部)における幅寸法の平均とすることができる。
なお、本実施形態では、第1壁部及び第2壁部がそれぞれ1つずつの吐出口形成壁部82の全体であるが、本発明は、この例に限らず、一の吐出口形成壁部82が第1壁部と第2壁部とを含んでいても良い。
【0060】
また、吐出口形成壁部82の下縁821の肉厚方向における曲率(R)を変更することで、下縁821に対する泡体の付着性を制御することも好ましい。
詳細には、下縁821の肉厚方向の曲率が小さい(曲率半径が大きい)方が、曲率が大きい(曲率半径が小さい)方に比べて付着性が強くなる。このため、一の吐出口形成壁部82と他の吐出口形成壁部82について、下縁821の肉厚方向の幅寸法を互いに同一とし、肉厚方向の曲率を互いに異ならせることによって、各吐出口形成壁部82の下縁821に対する付着性を互いに異ならせることもでき、また、下縁821の肉厚方向の幅寸法と肉厚方向における曲率との両方を異ならせることによって、付着性を異ならせても良い。
【0061】
更に、吐出口形成壁部82fの壁厚よりも、吐出口形成壁部82hの壁厚が厚くなっている。
これにより、吐出口形成壁部82h(第1壁部)の下縁821の方が、吐出口形成壁部82f(第2壁部)の下縁821よりも、肉厚方向における幅寸法が大きくなっている。
よって、吐出口形成壁部82hの下縁821に対する泡体の付着性が、吐出口形成壁部82fの下縁821に対する泡体の付着性よりも強くなっている。
つまり、吐出口形成壁部82hと吐出口形成壁部82fとのうち、吐出口形成壁部82hが第1壁部であり、吐出口形成壁部82fが第2壁部である。
【0062】
なお、吐出口形成壁部82gの下縁821の幅寸法と、吐出口形成壁部82hの下縁821の幅寸法とは、互いに等しくなっている。
【0063】
また、
図9(b)及び(c)に示すように、吐出口形成壁部82hの下縁821は凹凸形状に形成され、吐出口形成壁部82gの下縁821は平坦に形成されている。吐出口形成壁部82hの下縁821に凹凸が形成されていることにより、当該下縁821の単位平面積あたりの表面積が、吐出口形成壁部82gの下縁821の単位平面積あたりの表面積よりも大きくなっている。これにより、吐出口形成壁部82hの下縁821に対する泡体の付着性(表面張力による付着性)が、吐出口形成壁部82gの下縁821に対する泡体の付着性よりも強くなっている。
より詳細には、吐出口形成壁部82hの下縁821には、凹凸形状における凹部85aと凸部85bとが、吐出口形成壁部82hの周方向に交互に形成されている。更に詳細には、吐出口形成壁部82hの下縁821の凹凸形状は、山型の凸部85bと谷型の凹部85aとを交互に有する鋸歯状に形成されている。付着性を制御する観点から、凸部85bと凹部85aとの高さの差は、0.5mm以上が好ましく、1mm以上が更に好ましく、また5mm以下が好ましく、3mm以下が更に好ましい。また0.5mm以上5mm以下が好ましく、1mm以上3mm以下が更に好ましい。
なお、凹凸形状は、例えば、シボなど、その他の形状のものであっても良い。
下縁821に凹凸形状が形成された吐出口形成壁部82hが第1壁部であり、下縁821が平坦に形成された吐出口形成壁部82gが第2壁部であると考えることもできる。
よって、吐出口形成壁部82h(第1壁部)の下縁821に対する泡体の付着性(表面張力による付着性)が、吐出口形成壁部82g(第2壁部)の下縁821に対する泡体の付着性よりも強くなっている。
また、下縁821の幅寸法が大きいとともに下縁821に凹凸形状が形成された吐出口形成壁部82hが第1壁部であり、第1壁部よりも下縁821の幅寸法が小さいとともに下縁821が平坦に形成された吐出口形成壁部82fが第2壁部であると考えることもできる。
【0064】
このように、吐出口形成壁部82は、第1壁部及び第2壁部を含み、第1壁部の下縁に対する泡体の付着性が、第2壁部の下縁に対する前記泡体の付着性よりも強い。
本実施形態では、下縁821における凹凸の有無や、下縁821の幅寸法に応じて、第1壁部と第2壁部とで泡体の付着性が異なっているが、本発明は、この例に限らず、下縁821の材料の違いにより第1壁部と第2壁部とで泡体の付着性が異なっていても良い。
【0065】
本実施形態の場合、泡吐出部品80を介して泡体を吐出することにより、
図18(a)に示すように、十字を模した形状の泡造形物93を形成することができる。
泡造形物93は、主に一対の吐出口形成壁部82fを介して吐出された泡体により構成される一対の第1部分93aと、主に吐出口形成壁部82gを介して吐出された泡体により構成される第2部分93bと、主に吐出口形成壁部82hを介して吐出された泡体により構成される第3部分93cと、主に吐出口形成壁部82iを介して吐出された泡体により構成される第4部分93dと、を含んでいる。
ここで、吐出口83から吐出された泡体は、吐出対象物と吐出口83との間で潰れて、平面視において吐出口83よりも広い範囲に広がる(吐出口83の周囲に膨らむ)ため、泡体の形状は、下縁821に対する泡体の付着性の影響を受ける。
より詳細には、
図18(b)に示すように、第1部分93aの厚みと比べて、第2部分93bの厚みがΔt1だけ厚くなる。これは、吐出口形成壁部82fよりも吐出口形成壁部82gの方が、下縁821の幅寸法が大きい(つまり吐出口形成壁部82の周方向における単位長さあたりの泡の付着面積が大きい)ことにより、泡体が吐出口形成壁部82gによってより高く引き上げられるためである。
また、第2部分93bの厚みと比べて、第3部分93cの厚みがΔt2だけ厚くなる。これは、吐出口形成壁部82gの下縁821は平坦であるのに対して、吐出口形成壁部82hの下縁821には凹凸形状が形成されていることにより、吐出口形成壁部82hの下縁821の方が、単位平面積あたりの泡の付着面積が大きく、したがって、泡体が吐出口形成壁部82hによってより高く引き上げられるためである。
また、吐出口形成壁部82iは、吐出口形成壁部82f、82g、82hの中間に位置しているため、吐出口形成壁部82iの吐出口83から吐出される泡体の存在により、各吐出口形成壁部82の吐出口83全体からの吐出のバランスが良好になる。すなわち、各吐出口形成壁部82f、82g、82hの吐出口83から吐出される泡体がそれらの中間位置に向けて流動してしまうことを抑制できるため、各吐出口形成壁部82f、82g、82hから吐出された泡体の形状がいびつになってしまうことを抑制できる。その結果、吐出口形成壁部82f、82g、82hから吐出される泡体の高さの違いを認識し易くなる(泡体の高さの違いは、上記のように各吐出口形成壁部82f、82g、82hの下縁821に対する付着性の違いに起因して設定される)。
【0066】
〔第4の実施形態〕
次に、
図10、
図19(a)及び
図19(b)を用いて第4の実施形態を説明する。
図19(a)は、
図10に示す泡吐出部品80を用いて実際に形成した泡造形物94を撮像した平面画像であり、
図19(b)は
図19(a)の矢印B方向(側面方向)から泡造形物94を撮像した側面画像である。
本実施形態に係る泡吐出装置100及び泡吐出部品80は、吐出口形成壁部82の形状が上記の第1の実施形態に係る泡吐出装置100及び泡吐出部品80と相違しており、上記の第1の実施形態に係る泡吐出装置100及び泡吐出部品80と共通する部分については、適宜に説明を省略している。
なお、以下の説明では、泡吐出部品80の各吐出口形成壁部82の位置関係及び形状について、各図に示される位置関係で説明する場合がある。
【0067】
図2に示すように、吐出部20は、泡体が通過する泡通過室209と、泡通過室209から突出し、突出方向から視て閉ループ形状に形成され、内部空間が泡通過室209と連通しているとともに先端に吐出口83が形成されている1つ又は複数の吐出口形成壁部82と、を有する。
吐出口形成壁部82は、第1壁部(例えば
図10(a)に示す円形部分823)及び第2壁部(例えば
図10(a)に示す円形部分822)を含んでいる。第1壁部の先端縁(例えば下縁821)に対する泡体の付着性が、第2壁部の先端縁(例えば下縁821)に対する泡体の付着性よりも強い。
本実施形態では、先端縁における凹凸の有無や、先端縁の幅寸法に応じて、第1壁部と第2壁部とで泡体の付着性が異なっているが、本発明は、この例に限らず、先端縁の材料の違いにより第1壁部と第2壁部とで泡体の付着性が異なっていても良い。
【0068】
本実施形態の場合、泡通過室209からの吐出口形成壁部82の突出方向は、下方であり、下方は泡通過室209から吐出口83に向かう方向である。下方には、鉛直下方に限らず、例えば鉛直に対して5度以内の傾斜を持つ方向も含まれる。
泡通過室209からの吐出口形成壁部82の突出方向が下方であるため、吐出口形成壁部82の先端縁は下縁821である。また、吐出口形成壁部82が突出方向から視て閉ループ形状に形成されているとは、吐出口形成壁部82が平面視において閉ループ形状に形成されていることを意味する。
【0069】
本実施形態の場合、泡吐出部品80は、雪だるまを模した形状の泡造形物94(
図19(a)、(b))を形成するためのものであり、
図10に示すように、1つの吐出口形成壁部82を有している。
図10(a)に示すように、この吐出口形成壁部82は、雪だるまの頭部94a(
図19)を形成するための円形部分822と、雪だるまの胴体部94bを形成するための円形部分823と、を含んでいる。円形部分822は、平面視スリット状の連結部86を介して円形部分823に繋がっており、2つの円形部分822、823の内部空間は連結部86の内部空間を介して相互に連通している。円形部分823は、円形部分822よりも平面寸法が大きく形成されている。
1つの吐出口83を形成する吐出口形成壁部82は平面視において非円形形状である。吐出口形成壁部82は、平面視において互いに異なる形状の部分である小さい円形部分822及び大きい円形部分823並びに連結部86の組み合わせで構成されている。なお、円形部分822と円形部分823は、平面寸法が異なることから、本明細書では互いに異なる形状と位置付ける。
また、吐出口形成壁部82の一部分における下端部は、
図10(b)及び(c)に示すように、面取り形状に形成されている。これにより、吐出口形成壁部82の一部分の下端部は、下方に向かって薄くなる形状(肉厚方向における寸法が、下方に向けて幅狭になる形状)に形成されている。
図10(b)に示すように、円形部分822は低位置端部84a(第2部分)となっており、円形部分823は高位置端部84b(第1部分)となっている。
また、下縁821の高さ位置が変化する変化部87は、連結部86に形成されている。本実施形態の場合、変化部87は、下縁821の高さ位置が徐々に変化する傾斜部となっている。
【0070】
より詳細には、第1壁部の下縁の方が、第2壁部の下縁よりも、肉厚方向における幅寸法が大きい。すなわち、円形部分823の下縁821の方が、円形部分822の下縁821よりも、肉厚方向における幅寸法が大きい。これにより、円形部分823の下縁821に対する泡体の付着性が、円形部分822の下縁821に対する泡体の付着性よりも強くなっている。
【0071】
より詳細には、第1壁部の下縁は凹凸形状に形成され、第2壁部の下縁は平坦に形成されている。すなわち、円形部分823の下縁821は凹凸形状に形成され、円形部分822の下縁821は平坦に形成されている。このことによっても、円形部分823の下縁821に対する泡体の付着性が、円形部分822の下縁821に対する泡体の付着性よりも強くなっている。
【0072】
より詳細には、第1壁部の下縁には、凹凸形状における凹部と凸部とが周方向において交互に形成されている。すなわち、円形部分823の下縁821には、凹凸形状における凹部85aと凸部85bとが周方向において交互に形成されている(周方向において凹部85aと凸部85bとを交互に含む凹凸形状が形成されている)。
【0073】
本実施形態の場合、一の吐出口形成壁部82が、円形部分823(第1壁部)及び円形部分822(第2壁部)を含んでいる。なお、本実施形態の場合、連結部86の下縁821は円形部分822の下縁821と同様の形状にすることで付着性も同様としており、連結部86は第2壁部に相当する。
このように、本実施形態の場合、吐出口形成壁部82は、互いに泡体の付着性が異なり、平面視において互いに異なる形状の壁部を有している。すなわち、吐出口形成壁部82は、小さい円形部分822(及び連結部86)と、大きい円形部分823とを有している。
【0074】
図10(b)に示すように、円形部分823の下縁821の高さ位置は、円形部分822の下縁821の高さ位置よりも高くなっている。円形部分823の下縁821の高さ位置は、円形部分823の各部の下縁821の高さ位置の平均とすることができ、同様に、円形部分822の下縁821の高さ位置は、円形部分822の各部の下縁821の高さ位置の平均とすることができる。なお、円形部分823の下縁821は、山型の凸部85bと谷型の凹部85aとを交互に有する鋸歯状の凹凸形状を有しているが、ここでの説明において円形部分823の下縁821の高さ位置は、最下端である凸部85bの高さ位置である。
【0075】
なお、円形部分822の下縁821は水平に配置されている。
同様に、円形部分823の下縁821は水平に配置されている。すなわち、円形部分823の下縁821の凹部85aどうしの高さ位置は同じに設定されているとともに、円形部分823の下縁821の凸部85bどうしの高さ位置は同じに設定されている。
【0076】
また、連結部86は、下縁821の高さ位置が変化する変化部87を含んでいる。本実施形態の場合、変化部87は、下縁821の高さ位置が徐々に変化する傾斜部となっている。
【0077】
このように、泡吐出部品80は、液剤70を貯留する貯留部10と、液剤70を泡化して泡体を生成するフォーマー機構21と、を備える泡吐出装置に取り付けられて、泡体を吐出する泡吐出部品80である(ここでは、泡吐出装置100から泡吐出部品80を除いたものを泡吐出装置と称している)。泡吐出部品80は、板状部81と、板状部81の一方の面(下面81a)から突出し、突出方向から視て閉ループ形状に形成され、内部空間が板状部81の他方の面(上面81b)側の空間と連通しているとともに先端に吐出口83が形成されている1つ又は複数の吐出口形成壁部82と、を有している。そして、吐出口形成壁部82は、第1壁部(例えば円形部分823)及び第2壁部(例えば円形部分822)を含み、第1壁部の先端縁(例えば下縁821)に対する泡体の付着性が、第2壁部の先端縁(例えば下縁821)に対する泡体の付着性よりも強い。
【0078】
更に、円形部分823の下縁821の幅寸法は、円形部分822の下縁821の幅寸法よりも大きくなっている。
よって、円形部分823が第1壁部であり、円形部分822が第2壁部である。
【0079】
図19に示すように、本実施形態の場合、泡造形物94は、頭部94aと、頭部94aが繋がっている胴体部94bと、を含む。頭部94aは、主に円形部分822から吐出される泡体により構成され、胴体部94bは、主に円形部分823から吐出される泡体により構成される。
ここで、
図19(b)に示すように、胴体部94bが頭部94aよりも分厚く形成される。
これは、以下の複合的な理由による。
1つは、吐出される泡体の量に違いによるものであり、ここでいう泡体の量は、単位平面積あたりの量である。
まず、円形部分822よりも、円形部分823の直径が大きいことにより、円形部分823から吐出される泡体の量の方が多いためである。
次に、低位置端部84aである円形部分822から吐出される泡体の量よりも、高位置端部84bである円形部分823から吐出される泡体の量の方が多いためである。吐出される泡体の量に差が生じる理由は、低位置端部84aよりも高位置端部84bの方が高い位置に配置されているためである。
次に、高さ位置が低い円形部分822から吐出される泡体の量よりも、高さ位置が高い円形部分823から吐出される泡体の量の方が多いとともに、泡体が下縁821から切り離される高さ位置が円形部分822と円形部分823とで異なるためである。ここでいう泡体の量は、単位平面積あたりの量であり、吐出される泡体の量に差が生じる理由は、円形部分822よりも円形部分823が高い位置に配置されているためである。
もう1つは、下縁821の泡体の付着性の違いによるものである。
詳細には、円形部分823の下縁821の肉厚方向における幅寸法の方が、円形部分822の下縁821の肉厚方向における幅寸法よりも大きいことにより、円形部分822よりも円形部分823の方が、吐出口形成壁部82の周方向における単位長さあたりの泡体の付着性が強くなっているためである。
また、円形部分822の下縁821は平坦に形成されているのに対して、円形部分823の下縁821には凹凸形状が形成されていることにより、円形部分822よりも円形部分823の方が、吐出口形成壁部82の周方向における単位長さあたりの泡体の付着性が強くなっているためである。
【0080】
吐出口形成壁部82の下端部は、必要に応じて、面取り形状に形成されていても良い。吐出口形成壁部82において、下端部が面取り形状に形成されている部分は、下方に向かって薄くなる形状(肉厚方向における寸法が、下方に向けて幅狭になる形状)となっている。
吐出口形成壁部82において、下端部が下方に向かって薄くなる形状となっている部分には、泡が付着しにくくなる。よって、当該部分の下端部を、泡造形物94から良好に分離させることができる。これにより、一旦形成された泡造形物94の形状をなるべく崩さずに、泡造形物94から吐出口形成壁部82を分離させることができる。
本実施形態の場合、例えば、円形部分822と連結部86の下端部が面取り形状となっており、これらの部分を泡造形物94から良好に分離させることができる。
なお、吐出口形成壁部82の下端部の面取り形状は、R面取り形状、C面取り形状のいずれでも良いが、
図10(a)にはC面取り形状の例を示している。
本実施形態の場合、
図10(a)から
図10(c)のいずれかに示すように、吐出口形成壁部82の周方向における一部分(例えば円形部分822及び連結部86)の下端部が、下方に向かって薄くなる形状となっていることによって、当該一部分において下端部に対する泡の付着力が低減されている。ただし、本発明は、この例に限らず、吐出口形成壁部82の吐出口83の周囲全周に亘って、吐出口形成壁部82の下端部が下方に向かって薄くなる形状に形成されていても良い。
すなわち、吐出口形成壁部82の少なくとも一部分における下端部が、下方に向かって薄くなる形状に形成されている構成を採用することができる。
【0081】
ここで、吐出口形成壁部82の下端部が面取り形状に形成されている場合、下縁821の幅寸法は、(面取り部を含む幅寸法ではなく)面取り部を除いた下面の幅寸法となる。
【0082】
以上のような第4の実施形態によれば、円形部分823の下縁821に対する泡体の付着性が、円形部分822の下縁821に対する泡体の付着性よりも強い。これにより、吐出される泡体によって構成される泡造形物94の各部に所望の高低差を形成することができる。これによって、より意匠性の高い所望の立体形状の泡の造形物を形成することが可能となる。
【0083】
<第4の実施形態の変形例1>
次に、
図11を用いて第4の実施形態の変形例1を説明する。
本変形例に係る泡吐出部品80は、円形部分823の下縁821の幅寸法が、円形部分822の下縁821の幅寸法と同じである点で、上記の第4の実施形態に係る泡吐出部品80と相違しており、その他の点では、第4の実施形態に係る泡吐出部品80と同様に構成されている。
本変形例の場合、頭部94aの分厚さと胴体部94bの分厚さとの差が、
図10、
図19(a)、
図19(b)を用いて説明した第4の実施形態の場合と比べて小さくなる。その理由は、円形部分822の下縁821に対する泡体の付着性と、円形部分823の下縁821に対する泡体の付着性との違いは、凹凸の有無によってもたらされるが、下縁821の幅寸法の違いによってはもたらされないためである。
【0084】
<第4の実施形態の変形例2>
次に、
図12を用いて第4の実施形態の変形例2を説明する。
本変形例に係る泡吐出部品80は、円形部分823の下縁821が平坦に形成されている点で、上記の第4の実施形態に係る泡吐出部品80と相違しており、その他の点では、第4の実施形態に係る泡吐出部品80と同様に構成されている。
本変形例の場合、頭部94aの分厚さと胴体部94bの分厚さとの差が、
図10、
図19(a)、
図19(b)を用いて説明した第4の実施形態の場合と比べて小さくなる。その理由は、円形部分822の下縁821に対する泡体の付着性と、円形部分823の下縁821に対する泡体の付着性との違いは、下縁821の幅寸法の違いによってもたらされるが、凹凸の有無によってはもたらされないためである。
【0085】
<第4の実施形態の変形例3>
次に、
図13を用いて第4の実施形態の変形例3を説明する。
本変形例に係る泡吐出部品80は、円形部分823の下縁821が平坦に形成されている点で、
図11に示す変形例1と相違しており、その他の点では、
図11に示す変形例1に係る泡吐出部品80と同様に構成されている。
本変形例の場合、頭部94aの分厚さと胴体部94bの分厚さとの差が、
図11に示す変形例1の場合と比べて小さくなる。
【0086】
<吐出口形成壁部の下端部の形状の変形例>
次に、
図14各図を用いて、吐出口形成壁部82の下端部の形状の変形例を説明する。
図14各図は、吐出口形成壁部82の下部を肉厚方向に沿って切断した断面を示す。
図14各図に示される吐出口形成壁部82の右側領域が、泡が通過する内部空間(平面視において吐出口形成壁部82の閉ループ形状の内側の空間)である。
図14(a)及び(b)に示すように、吐出口形成壁部82の下端部は、下方に向かって薄くなるテーパー状に形成されているとともに、先端が尖っていても良い。なお、吐出口形成壁部82の下端部は、
図14(a)に示すような片テーパー形状(肉厚方向における吐出口形成壁部82の片面がテーパーを持つ形状)であっても良いし、
図14(b)に示すような両テーパー形状(肉厚方向における吐出口形成壁部82の両面がテーパーを持つ形状)であっても良い。
また、
図14(c)に示すように、吐出口形成壁部82の下端部には、肉厚方向における吐出口形成壁部82の一方の半部が他方の半部よりも下方に突出した段差形状に形成されていても良い。
吐出口形成壁部82の下端部の形状を
図14各図に示すような形状とすることにより、表面張力による泡体の付着性(吐出口形成壁部82の下端部に対する付着性)を抑制できるため、泡造形物から吐出口形成壁部82の下端部を良好に分離させることができ、より意匠性の高い所望の立体形状の泡の造形物を形成することが一層容易となる。
【0087】
〔第5の実施形態〕
次に、
図15を用いて第5の実施形態を説明する。
上記の第1の実施形態では、泡吐出装置100が自動ディスペンサである例を説明したが、本実施形態では、泡吐出装置100が手動タイプの泡吐出容器である例を説明する。すなわち、本実施形態の場合、泡吐出装置100は、フォーマー機構21を含んで構成され、押下操作により泡体を生成する泡ポンプ機構110を備えている。
【0088】
貯留部10の形状は特に限定されないが、例えば、
図15に示すように、貯留部10は、有底筒状の胴部11と、胴部11の上側に連接されていて上方に向けて内腔の平断面積が縮小する肩部12と、肩部12の上側に連接されている円筒状の口頸部13と、を有する形状となっている。口頸部13の上端には開口が形成されている。
【0089】
泡ポンプ機構110は、例えば、貯留部10に装着される装着部111と、装着部111から上方に起立している起立筒112と、装着部111に対して上下動可能に起立筒112に保持されたヘッド部120と、ヘッド部120に対して着脱可能な保持部材(保持部)290と、保持部材290に保持されている泡吐出部品80と、を備えている。
【0090】
ヘッド部120は、押下操作を受け付ける押下部121と、押下部121から突出(例えばほぼ水平に突出)しているノズル部122と、を備えている。泡ポンプ機構110は、ヘッド部120を上方に付勢するバネ(不図示)を内蔵しており、バネの付勢に抗してヘッド部120が装着部111に対して相対的に押し下げられることにより、貯留部10内の液剤70を吸引管(不図示)を介して吸い上げて、ノズル部122の先端から吐出する。その過程で、泡ポンプ機構110が内蔵するフォーマー機構21によって、液剤70が泡化されるため、ノズル部122から泡体が吐出される。なお、泡ポンプ機構110の構造については、広く知られているため、ここでは詳細な構造の説明は省略する。
【0091】
保持部材290の内部には、泡通過室209が形成されている。上記の第1の実施形態と同様に、泡通過室209は板状部81で形成された底部を有し、底部に吐出口形成壁部82が形成されている。
保持部材290は、ノズル部122に対して係止される係止フック283を有している。係止フック283がノズル部122に係止されることにより、保持部材290がノズル部122に保持された状態に維持されるとともに、ノズル部122内の泡体の流路(不図示)と保持部材290内部の泡通過室209とが連通状態に維持されるようになっている。
なお、係止フック283がノズル部122に係止された状態において、保持部材290の内部にノズル部122の先端部が挿入された状態となることが好ましい。
保持部材290は、泡通過室209の下面側が開口した形状に形成されている。ただし、泡通過室209の下面側に泡吐出部品80が設けられている。保持部材290の下部には、上記の第1の実施形態と同様の係止部236が形成されており、泡吐出部品80は、係止部236によって保持されている。これにより、保持部材290の下面側の開口は、泡吐出部品80の吐出口形成壁部82の吐出口83を除き、閉塞されている。
本実施形態の場合、ヘッド部120が押下されることによってノズル部122から吐出された泡体は、泡通過室209に流入し、更に、泡吐出部品80の吐出口形成壁部82を介して外部に吐出される。
【0092】
泡吐出部品80は、例えば、上記のいずれかの実施形態またはその変形例において説明した構造のものとすることができる。よって、押下部121に対する押下操作に応じて泡吐出部品80を介して泡体が吐出されることにより、泡体は所定の形状の泡造形物となる。
【0093】
なお、上記の第5の実施形態では、手押し操作により泡体が生成されるタイプの泡吐出装置100を説明したが、上記の第5の実施形態とは異なり、ボンベ等に貯留された高圧ガスなどを用いて液剤70を泡体として吐出するように、泡吐出装置100が構成されていても良い。
【0094】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含する。
<1>液剤を貯留する貯留部と、前記液剤を泡化して泡体を生成するフォーマー機構と、前記泡体を吐出する吐出部と、を備え、前記吐出部は、前記泡体が通過する泡通過室と、前記泡通過室の下方に垂下し、平面形状が閉ループ形状に形成され、内部空間が前記泡通過室と連通しているとともに下端に吐出口が形成されている1つ又は複数の吐出口形成壁部と、を有し、前記吐出口形成壁部の少なくとも一部分における下端部は、下方に向かって薄くなる形状に形成されており、前記吐出口形成壁部は、第1部分及び第2部分を含み、前記第1部分の下縁の高さ位置が、前記第2部分の下縁の高さ位置よりも高い泡吐出装置。
<2>前記泡通過室は板状部で形成された底部を有し、該底部に前記吐出口形成壁部が形成されている。
<3>一の前記吐出口形成壁部が、前記第1部分及び前記第2部分を含む<1>又は<2>に記載の泡吐出装置。
<4>前記第2部分は、鉛直に起立する平板状に形成された部分を含み、且つ、当該平板状の部分の下縁は水平に延在している<3>に記載の泡吐出装置。
<5>前記吐出部は複数の前記吐出口形成壁部を有し、前記複数の吐出口形成壁部には、前記第1部分を構成する第1吐出口形成壁部と、前記第2部分を構成する第2吐出口形成壁部と、が含まれる<1>から<4>のいずれか一項に記載の泡吐出装置。
<6>前記吐出口形成壁部は、第1壁部及び第2壁部を含み、前記第1壁部の下縁に対する前記泡体の付着性が、前記第2壁部の下縁に対する前記泡体の付着性よりも強い<1>から<5>のいずれか一項に記載の泡吐出装置。
<7>前記第1壁部の下縁の方が、前記第2壁部の下縁よりも、肉厚方向における幅寸法が大きい<6>に記載の泡吐出装置。
<8>前記第1壁部の下縁は凹凸形状に形成され、前記第2壁部の下縁は平坦に形成されている<6>又は<7>に記載の泡吐出装置。
<9>前記吐出部は、前記泡通過室の下端を画定する板状部と、前記板状部の下面から垂下している1つ又は複数の前記吐出口形成壁部と、を有する泡吐出部品と、前記泡吐出部品を着脱可能に保持する保持部と、を備える<1>から<8>のいずれか一項に記載の泡吐出装置。
<10>前記吐出口形成壁部の下縁は、水平に延在している部分を有する<1>から<9>のいずれか一項に記載の泡吐出装置。
<11>前記液剤を前記貯留部から前記フォーマー機構に供給する液剤供給用アクチュエータと、前記フォーマー機構に気体を供給する気体供給用アクチュエータと、前記気体供給用アクチュエータ及び前記液剤供給用アクチュエータの動作制御を行う制御部と、を更に備え、前記制御部の制御下で、前記液剤と前記気体とが前記フォーマー機構に供給されることにより、前記泡体が生成される<1>から<10>のいずれか一項に記載の泡吐出装置。
<12>前記フォーマー機構を含んで構成され、押下操作により前記泡体を生成する泡ポンプ機構を更に備える<1>から<11>のいずれか一項に記載の泡吐出装置。
<13>前記貯留部に充填された前記液剤を更に備える<1>から<12>のいずれか一項に記載の泡吐出装置。
<14>液剤を貯留する貯留部と、前記液剤を泡化して泡体を生成するフォーマー機構と、を備える泡吐出装置に取り付けられて、前記泡体を吐出する泡吐出部品であって、板状部と、前記板状部の一方の面から前記板状部の板面に対して直交する方向に突出し、突出方向から視て閉ループ形状に形成され、内部空間が前記板状部の他方の面側の空間と連通しているとともに先端に吐出口が形成されている1つ又は複数の吐出口形成壁部と、を有し、前記吐出口形成壁部の少なくとも一部分における先端部は、先端に向かって薄くなる形状に形成されており、前記吐出口形成壁部は、第1部分及び第2部分を含み、前記第1部分での前記板状部から先端縁までの距離よりも、前記第2部分での前記板状部から先端縁までの距離が短い泡吐出部品。
<15>前記第1部分と前記第2部分との高さの差は、1mm以上が好ましく、2mm以上が更に好ましく、また8mm以下が好ましく、5mm以下が更に好ましく、また、1mm以上8mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下が更に好ましい上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<16>前記吐出口形成壁部の下端部は、面取り形状に形成されている上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<17>前記吐出口形成壁部の下端部は、下方に向かって薄くなるテーパー状に形成されている上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<18>複数の前記吐出口形成壁部の各々は平面視において円形形状であるが、複数の前記吐出口形成壁部の集合体である吐出口形成壁部群は、全体として非円形形状を形成している上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<19>複数の前記吐出口形成壁部の集合体である吐出口形成壁部群は、平面視において非円形形状である上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<20>前記吐出口形成壁部は、平面視において非円形形状である上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<21>複数の前記吐出口形成壁部の集合体である吐出口形成壁部群は、平面視において互いに異なる形状の前記複数の前記吐出口形成壁部の組み合わせで構成されている上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<22>前記吐出口形成壁部は、平面視において互いに異なる形状の複数の部分の組み合わせで構成されている上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<23>複数の前記吐出口形成壁部の集合体である吐出口形成壁部群において、周縁側(外方側)に低位置端部が配置されており、中心側(内方側)に高位置端部が配置されている上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<24>前記吐出口形成壁部において、周縁側(外方側)に低位置端部が配置されており、中心側(内方側)に高位置端部が配置されている上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<25>前記平板状の部分の下縁は直線状に形成されている上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<26>前記フォーマー機構は、前記液剤と空気とが混合される混合室を含み、前記泡通過室の前記泡体の吐出方向に対して直交する断面積(平断面積)の最大値は、前記混合室の前記吐出方向に対して直交する断面積(平断面積)の最大値よりも大きく、且つ、各吐出口形成壁部の内部空間の前記吐出方向に対して直交する断面積(平断面積)の最大値の合計値よりも大きい上記いずれか一項に記載の泡吐出装置。
<27>前記泡通過室において前記吐出口形成壁部に隣接する部位(前記泡通過室の下端部)の前記吐出方向に対して直交する断面積(平断面積)は、各吐出口形成壁部の内部空間の前記吐出方向に対して直交する断面積(平断面積)の最大値の合計値よりも大きい<26>に記載の泡吐出装置。