(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転軸周りの回転角が異なる複数の撮像位置で前記回転軸に対して傾斜または直交した方向に出力された放射線によって撮像対象を撮像可能であるとともに、前記回転軸の位置を前記回転軸に垂直な方向に変化させることが可能な撮像機構と、
前記撮像対象を前記回転軸に垂直な方向に仮想的に切断した切断面上において、1個の前記回転軸周りの撮像によって再構成可能な再構成可能領域に内接する正六角形を、辺を共有して隣接した状態で仮想的に複数個並べる正六角形配置部と、
前記正六角形の中心を前記回転軸として前記複数の撮像位置で前記撮像対象を撮像する撮像部と、
前記回転軸毎の撮像画像に基づいて再構成演算を実行する再構成演算部と、
を備える3次元撮像装置。
回転軸周りの回転角が異なる複数の撮像位置で前記回転軸に対して傾斜または直交した方向に出力された放射線によって撮像対象を撮像可能であるとともに、前記回転軸の位置を前記回転軸に垂直な方向に変化させることが可能な撮像機構を利用する3次元撮像方法であって、
前記撮像対象を前記回転軸に垂直な方向に仮想的に切断した切断面上において、1個の前記回転軸周りの撮像によって再構成可能な再構成可能領域に内接する正六角形を、辺を共有して隣接した状態で仮想的に複数個並べる正六角形配置工程と、
前記正六角形の中心を前記回転軸として前記複数の撮像位置で前記撮像対象を撮像する撮像工程と、
前記回転軸毎の撮像画像に基づいて再構成演算を実行する再構成演算工程と、
を含む3次元撮像方法。
回転軸周りの回転角が異なる複数の撮像位置で前記回転軸に対して傾斜または直交した方向に出力された放射線によって撮像対象を撮像可能であるとともに、前記回転軸の位置を前記回転軸に垂直な方向に変化させることが可能な撮像機構を制御するコンピュータに、
前記撮像対象を前記回転軸に垂直な方向に仮想的に切断した切断面上において、1個の前記回転軸周りの撮像によって再構成可能な再構成可能領域に内接する正六角形を、辺を共有して隣接した状態で仮想的に複数個並べる正六角形配置機能と、
前記正六角形の中心を前記回転軸として前記複数の撮像位置で前記撮像対象を撮像する撮像機能と、
前記回転軸毎の撮像画像に基づいて再構成演算を実行する再構成演算機能と、
を実現させる3次元撮像プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1個の回転軸に関する撮像で得られた再構成可能領域よりも広い領域の検査対象を検査する場合、複数個の回転軸に関する撮像が必要になるため、回転軸の数が増えるほど撮像に時間がかかってしまう。
本発明は、上記の問題を解決するものであり、撮像に必要な時間を短縮化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、3次元撮像装置は、回転軸周りの回転角が異なる複数の撮像位置で前記回転軸に対して傾斜または直交した方向に出力された放射線によって撮像対象を撮像可能であるとともに、回転軸の位置を回転軸に垂直な方向に変化させることが可能な撮像機構と、それぞれの回転軸について撮像された画像による再構成演算を回転軸に垂直な方向に切断した切断面において、再構成演算による再構成可能領域に内接する複数の正六角形を、辺を共有して隣接した状態で仮想的に並べる正六角形配置部と、正六角形の中心を回転軸として複数の撮像位置で撮像対象を撮像する撮像部と、回転軸毎の撮像画像に基づいて再構成演算を実行する再構成演算部と、を備える。
【0007】
すなわち、切断面上での再構成可能領域は、回転軸を中心とした回転対称性のある円形(または多角形)となる。一方、同一の円に内接する正六角形と正方形とを比較すると、正六角形は正方形よりも平面を効率的に(少ない数で)埋めることができる。従って、切断面に正六角形を並べ、当該正六角形の中心を回転軸として3次元像構造解析のための撮像を行うと、多くの場合、正方形を並べた場合よりも少ない撮像回数で検査対象の広い領域をカバーする撮像を行うことができる。この結果、撮像に必要な時間を短縮化することができる。
【0008】
ここで、撮像機構は、回転軸周りの回転角が異なる複数の撮像位置で回転軸に対して傾斜または直交した方向に出力された放射線によって撮像対象を撮像可能であるとともに、回転軸の位置を回転軸に垂直な方向に変化させることが可能であればよい。すなわち、撮像機構は、回転軸を中心とした異なる回転位置で複数回の撮像を行うことが可能であり、当該撮像の再構成演算により、当該回転軸の周りの所定範囲内の3次元像を再構成することができればよい。また、撮像機構は、回転軸の位置を選択することが可能であり、選択した各回転軸について回転軸周りの異なる撮像位置での撮像を行うことで、広い領域についての再構成演算を実施可能であればよい。
【0009】
撮像機構は放射線発生器と放射線検出器とを含み、放射線の照射範囲に撮像対象を配置可能である。撮像機構において、回転軸に対して放射線発生器と放射線検出器とが回転するように構成されるが、これらの回転は相対的であれば良い。従って、放射線発生器と放射線検出器と撮像対象の少なくとも1個において移動や回転が可能であることによって回転角が異なる複数の撮像位置で撮像が行われればよい。
【0010】
複数の撮像位置は、複数の撮像位置での撮像画像に基づいて再構成演算が行われることによって撮像対象の3次元再構成が行われるように設定されていれば良く、回転軸周りの回転角が一定の間隔で複数回の回転が行われることで得られた撮像位置であることが好ましい。なお、再構成可能領域に内接する正六角形を想定するためには、撮像回数は6回以上であることが好ましく、6回以上で多数回であるほど高精度の撮像を行うことができる。放射線は、検査対象を透過する放射線であればよく、X線やガンマ線等を利用可能である。
【0011】
回転軸の位置を回転軸に垂直な方向に変化させるための構成としては、種々の構成を採用可能であり、例えば、撮像対象がセットされるX−Yステージの可動平面(X−Y平面)を回転軸に垂直な平面に向ける構成等が挙げられる。むろん、移動は相対的であるため、放射線発生器と放射線検出器との少なくとも一方が2次元的に移動可能であっても良い。
【0012】
正六角形配置部は、撮像対象を回転軸に垂直な方向に仮想的に切断した切断面上において、1個の回転軸周りの撮像によって再構成可能な再構成可能領域に内接する正六角形を、辺を共有して隣接した状態で仮想的に複数個並べることができればよい。すなわち、正六角形配置部は、撮像対象を回転軸に垂直な方向に仮想的に切断した切断面上で、再構成可能領域を想定し、当該切断面上で正六角形を並べる。
【0013】
切断面は撮像対象を通る平面であれば良く、3次元構造の解析を行うべき位置で撮像対象を切断する面であることが好ましい。再構成可能領域は、再構成演算によって形成される3次元再構成画像から検査対象の像が得られる領域であれば良い。3次元撮像装置においては、切断面上に並べられた正六角形内の再構成画像に基づいて検査対象の検査等の解析が行われれば良く、再構成可能領域は、正六角形を定義するために利用される。
【0014】
従って、再構成可能領域の全域で高精度に再構成可能であることが必須というわけではなく、その形状も仮想的な形状であって良い。例えば、回転軸周りの撮像位置は有限の個数であるため、切断面上の再構成可能領域は多角形に近い形状となるが、円形と見なされても良い。また、再構成可能領域の端部(円形であれば周に近い部分)において像が不鮮明になることや、アーチファクトの影響を受けることも想定し得るため、再構成可能領域の境界が再構成画像から厳密に定義されなくてもよく、撮像機構の幾何学配置等から仮想的に再構成可能領域が決められても良いし、予め決められた固定の領域が想定されても良い。
【0015】
再構成可能領域に内接する正六角形は、実際に再構成可能領域が定義され、当該領域に内接する正六角形が算出されることによって定義されても良いし、再構成可能領域に内接する正六角形のサイズが特定されることによって定義されても良い。後者の例としては、例えば、撮像機構は、矩形の有効撮像範囲の一辺が切断面に平行な放射線検出器を備え、正六角形の一辺は、切断面に平行な有効撮像範囲の一辺の長さを撮像倍率で除した長さの1/2である構成が挙げられる。
【0016】
すなわち、放射線検出器の矩形の有効撮像範囲内の画像で再構成演算が行われ、その一辺が切断面に平行であるとすれば、当該一辺の長さを撮像倍率で除することにより、切断面上で撮像される範囲を推定することができる。切断面上で撮像される範囲は、再構成可能領域となるため、放射線検出器の有効撮像範囲を撮像倍率で除した値は、再構成可能領域の全長(円形であれば直径)と見なすことができる。そこで、当該値を1/2にすれば、再構成可能領域に内接する正六角形の一辺を定義することが可能になる。
【0017】
正六角形が決められれば、切断面上で辺を共有して隣接した状態で正六角形を並べることにより、効率的に平面を埋めることができ、正方形と比較して少ない数の回転軸を設定して撮像対象の撮像を行うことが可能になる。
【0018】
撮像部は、正六角形の中心を回転軸として複数の撮像位置で撮像対象を撮像することができればよい。すなわち、撮像部は、撮像機構を制御し、各回転軸について複数の撮像位置で撮像を行うことで、3次元再構成を行うことが可能な画像を撮像できれば良い。また、再構成演算部は、回転軸毎の撮像画像に基づいて再構成演算を実行することができればよい。再構成演算の結果は、種々の用途に利用可能であり、検査対象の検査、例えば、ボイドの有無に基づく良否判定等に利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)3次元撮像装置の構成:
(2)X線検査処理:
(3)他の実施形態:
【0021】
(1)3次元撮像装置の構成:
図1は本発明の一実施形態にかかる3次元撮像装置の概略ブロック図である。3次元撮像装置は、撮像機構10と制御部20とを備えている。撮像機構10は、X線発生器11とX線検出器12とX−Yステージ13とを備えている。撮像機構10は、X線発生器11とX線検出器12とX−Yステージ13とを所定の相対位置関係とすることが可能である。X−Yステージ13には撮像対象W(基板上のBGAの半田バンプ等)を含む基板P等をセットし、2次元平面(X−Y平面)方向に移動させることができる。従って、撮像機構10は、X線発生器11とX線検出器12と撮像対象Wを所定の相対位置関係とした状態で撮像対象WにX線を照射させることができる。
【0022】
X線発生器11は、X線を出力するX線出力部11aを備えており、所定の強度でX線を撮像対象Wに照射することができる。X線検出器12は、X線の強度を検出するX線検出面12aを備えており、撮像対象Wを透過したX線の透過量を反映したX線画像を撮像することができる。すなわち、X線検出器12は、X線検出面12aの各位置におけるX線の透過量の画像を示すX線画像データ26bを生成する。なお、本実施形態においてX線検出面12aは長方形であり、その一辺はX−Y平面と平行である。
【0023】
本実施形態において撮像対象Wを含む基板Pは図示しない搬送機構によって所定の平面に沿って搬送される。すなわち、未検査の撮像対象Wを含む基板Pが所定の平面に沿って搬入されてX−Yステージ13にセットされ、X線による撮像および検査が行われた後に再度搬送機構によって基板Pが搬出される。本実施形態において撮像機構10は、X−Yステージ13と図示しない回転機構を備えており、X線発生器11とX線検出器12と撮像対象Wとの相対位置関係を変化させることができる。すなわち、撮像機構10は、X−Yステージ13によって、X線の照射範囲内で撮像対象WをX−Y平面に沿って2次元的に移動させることが可能であるとともに、図示しない回転機構は、X線出力部11aとX線検出面12aとの少なくとも1個の位置を移動させる移動機構を備えており、再構成演算を実施するためのX線画像を取得できるように撮像対象WとX線出力部11aとX線検出面12aとの相対位置関係を調整可能である。
【0024】
図2Aは、X線が撮像対象Wに照射される様子を示す模式図であり、同図においては、横方向がX−Y平面に平行な方向であり、上下方向がX−Y平面に垂直なZ方向である。同
図2Aにおいては、撮像対象Wが半田バンプである例を示しており、
図2Aには撮像対象Wを含む基板P(図示せず)上のチップCとその周囲に存在するX線発生器11のX線出力部11aおよびX線検出器12のX線検出面12aを模式的に示している。
【0025】
本実施形態において、撮像機構10は、撮像対象WとX線出力部11aとX線検出面12aの相対的な位置関係が回転軸Aに対して回転するように、撮像対象WとX線出力部11aとX線検出面12aとの少なくとも1個を移動させる。すなわち、撮像機構10は、
図2Aに示すように、X線出力部11aとX線検出面12aとが回転軸Aに対して実質的に回転方向R、R'のように回転するように位置を変更させることができる。例えば、X線出力部11aとX線検出面12aとの双方が回転移動されても良いし、X線出力部11aが固定され、その出力範囲においてX線検出面12aと撮像対象Wが回転されても良いし、X線出力部11aとX線検出面12aとが固定されX線出力部11aの出力範囲において撮像対象Wが回転されてもよい。撮像対象Wが回転される場合、X−Yステージ13は、
図2Aにおいて実線で示す位置にX線出力部11aとX線検出面12aとを固定した状態でZ軸に平行な回転軸Aで撮像対象Wが回転する構成となる。
【0026】
各部の相対位置関係がどのように変動するとしても、X線出力部11aは、所定の立体角の範囲にX線を出力可能であり、撮像対象Wを通るX線の光軸は回転軸Aに対して所定角度だけ傾斜している。さらに、撮像機構10においては、X線の出力方向が回転軸Aに傾斜した状態で、回転軸Aの周りの回転角が異なる複数の撮像位置で撮像が行われる。
図2Aに示す実線と破線は、回転角が180°異なる2カ所の撮像位置を模式的に示している。
【0027】
次に制御部20について説明する。制御部20は、発生器制御部21と検出器制御部22と撮像機構制御部23と入力部24と出力部25とメモリ26とCPU27とを備えている。メモリ26はデータを記憶可能な記憶媒体であり、プログラムデータ26aとX線画像データ26bとが記憶される。CPU27は、プログラムデータ26aを読み出して実行することにより、後述する各種処理のための演算を実行する。なお、メモリ26はデータを記憶することができればよく、RAMやEEPROM,HDD等種々の記憶媒体を採用可能である。
【0028】
撮像機構制御部23は、撮像対象WのX線画像を撮像する撮像位置となるように、撮像対象WとX線出力部11aとX線検出面12aとの少なくとも1個の位置を調整する。発生器制御部21は、X線発生器11を制御し、X線発生器11から撮像対象Wに対してX線を照射させる。検出器制御部22は、X線検出器12が検出したX線の強度、すなわち透過量の画像を示すX線画像データ26bを取得する。X線画像データ26bは複数の画素の階調値によって構成される画像データであり、各画素の階調値はX線検出器12が検出したX線の強度を示す。検出器制御部22は、X線検出器12からX線画像データ26bを取得し、メモリ26に記憶する。出力部25は撮像対象WのX線画像や検査結果等を表示するディスプレイであり、入力部24は利用者の入力を受け付ける操作入力機器である。
【0029】
CPU27は、撮像対象Wの良否判定を行うために、プログラムデータ26aに基づいて正六角形配置部27aと撮像部27bと再構成演算部27cとの各機能を実行する。撮像部27bは、回転軸Aの周りの複数の撮像位置で撮像対象Wを撮像する機能をCPU27に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、CPU27は、撮像部27bの処理により、発生器制御部21,検出器制御部22,撮像機構制御部23に対して所定の指示を出力し、再構成演算を実行するためのX線画像データ26bを取得する処理をCPU27に実行させる。
【0030】
図2Aに示す例であれば、CPU27は、回転軸Aの周りの回転角(ある撮像位置を基準とした場合における回転角)を一定間隔で変化させ(例えば、12回撮像するなら30°の間隔で変化させ)、各回転角において撮像が行われるように撮像機構10を制御する。なお、本実施形態においては、後に詳述するように回転軸AがX−Y平面内で異なる位置に設定され得る。
【0031】
再構成演算部27cは、回転軸A毎の撮像画像に基づいて再構成演算を実行する機能をCPU27に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、本実施形態においてCPU27は、X線画像データ26bを参照して各回転軸Aについて撮像された各画像を取得し、各回転軸Aについて再構成演算を行って、撮像対象Wの3次元撮像装置を取得する。
【0032】
再構成演算は、撮像対象Wの3次元構造を再構成することができれば良く、種々の処理を採用可能である。例えば、フィルタ補正逆投影法を採用可能である。この処理においてCPU27は、まず、同一の回転軸Aについて撮像された複数のX線画像のいずれかに対してフーリエ変換を実施し、フーリエ変換で得られた結果に対して周波数空間でフィルタ補正関数を乗じる。さらに、この結果に対して逆フーリエ変換を実施することで、フィルタ補正を行った画像を取得する。なお、このフィルタ補正関数は、画像のエッジを強調するための関数等を採用可能である。
【0033】
続いて、フィルタ補正後の画像を、それが投影された軌跡に沿って3次元空間へ逆投影する。すなわち、X線検出器12のX線検出面12aにおけるある位置の像に対応する軌跡は、X線発生器11の焦点とこの位置とを結ぶ直線であるので、この直線上に画像を逆投影する。以上の逆投影を、同一の回転軸Aについて撮像された複数のX線画像のすべてについて行うと、3次元空間上で撮像対象Wが存在する部分のX線吸収係数分布が強調され、撮像対象Wの3次元形状を示す再構成情報が得られる。
【0034】
以上のような再構成演算において、同一の回転軸Aについて撮像された複数のX線画像のそれぞれにおける逆投影結果が重なる部分が再構成演算による再構成可能領域となる。
図2Aにおいては、ハッチングによって再構成可能領域Zcを示している。
図2Bは、再構成可能領域Zcを抜き出して斜視図によって模式的に示した図である。
図2Bに示すように再構成可能領域Zcは、高さが異なり底面が一致する円錐を底面で向かい合わせて接合したような形状である。なお、再構成可能領域Zcの形状は、回転軸A周りの撮像回数が増えるほど円錐に近づき、現実的には多角錘に近いが、ここでは、再構成可能領域Zcは円錐であるとする。
【0035】
1個の回転軸Aに関する複数回の撮像により、
図2Bに示すような再構成可能領域Zcの範囲について3次元撮像画像を得ることができる。従って、回転軸A(Z軸)に垂直な方向に切断した切断面を想定すると、当該切断面上での再構成可能領域Zcは、円形(または多角形)と考えることができる。
図2Bにおいては、再構成可能領域Zc内で最も直径が大きくなるZ軸方向の位置Z1で切断が行われた場合における切断面上の再構成可能領域Zcを再構成可能領域Zc1として示している。
図2Bから明らかなように、切断面上の再構成可能領域Zcの大きさは、Z軸方向の位置Z1(切断位置)が変化することに応じて変動し得る。
【0036】
CPU27は、撮像機構10において回転軸Aの周りの複数の撮像位置で撮像されたX線画像に基づいて再構成演算を実行するが、撮像対象Wが広い範囲に分布している場合、1個の回転軸Aの周りの撮像では全ての撮像対象Wを網羅できない場合がある。例えば、
図2Bに示す位置Z1における撮像対象Wの断層像が解析される場合において、
図2Bに示す再構成可能領域Zc1よりも広い範囲に撮像対象Wが分布していれば、1個の回転軸Aの周りの撮像では全ての撮像対象Wを網羅できない。
【0037】
この場合、CPU27は、複数の位置に回転軸Aを設定し、複数個の回転軸Aについて複数回の撮像を行うことになることによって全ての撮像対象Wを網羅することになる。従って、同一の撮像対象Wに対して、少ない数の回転軸を設定すれば、回転軸の数が多い場合と比較して短い時間で撮像対象Wの撮像を完了することができる。
【0038】
そこで、本実施形態においては、正六角形を利用して回転軸Aの位置を設定することにより、少ない数の回転軸Aで撮像対象Wを網羅する。正六角形配置部27aは、撮像対象Wを回転軸Aに垂直な方向に仮想的に切断した切断面上において、1個の回転軸の周りの撮像によって再構成可能な再構成可能領域Zcに内接する正六角形を、辺を共有して隣接した状態で仮想的に複数個並べる機能をCPU27に実行させるプログラムモジュールである。
【0039】
すなわち、CPU27は、撮像対象Wの断層像を取得する切断面を、回転軸Aに垂直な方向に仮想的に設定する。本実施形態において当該切断面はX−Y平面に平行であるとともに撮像対象Wを通る面である。また、CPU27は、当該切断面上の再構成可能領域Zc1に内接する正方形ではなく、当該再構成可能領域Zc1に内接する正六角形を仮想的に設定する。本実施形態においてCPU27は、正六角形の一辺rを特定されることによって正六角形を設定する。なお、正六角形の一辺rは、再構成可能領域Zc1の直径の1/2であり、当該一辺rの算出の詳細は後述する。
【0040】
図3Aは、再構成可能領域Zc1をZ軸に平行な方向から眺めた状態を示しており、再構成可能領域Zc1の周を円形で示している。この再構成可能領域Zc1の直径を2rとすると、破線で示すように再構成可能領域Zc1に内接する正六角形の一辺はrである。一方、
図3Aにおいては、再構成可能領域Zc1に内接する正方形を一点鎖線で示している。
図3Aから明らかなように同一の再構成可能領域Zc1に内接する正六角形と正方形とで比較すると、正六角形の面積の方が大きい。従って、当該正六角形と正方形とを切断面上に並べた場合、多くの場合、正六角形の方が効率的に切断面を埋めることができる。
【0041】
そこで、CPU27は、再構成可能領域Zc1の直径の1/2を一辺rとする正六角形を想定し、当該正六角形を、辺を共有して隣接した状態で仮想的に並べることにより、切断面に沿って広がる撮像対象Wを網羅するような正六角形の仮想的な配置を特定する。
【0042】
本実施形態において、CPU27は、撮像部27bの処理により、正六角形配置部27aの処理で特定された正六角形の配置に基づいて各正六角形の中心を特定し、回転軸Aの位置とする。そして、CPU27は、撮像部27bの処理により、各回転軸Aのそれぞれについて、回転軸Aの周りの複数の撮像位置で撮像を行う。従って、本実施形態においては、正方形によって切断面を埋めた場合と比較して、回転軸Aの位置の数が少なくても、撮像対象Wを網羅できる可能性が高い。このため、多くの場合において、撮像に必要な時間を短縮化することができる。
【0043】
良否判定部27dは、撮像対象Wの断層像に基づいて検査範囲を特定し、撮像対象Wの良否を判定する機能をCPU27に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、CPU27は、良否判定部27dの処理により、再構成演算部27cの処理によって取得された再構成情報を参照し、当該再構成情報に基づいて、撮像対象WをZ軸に垂直な方向に切断した切断面の断層像を取得する。そして、CPU27は、断層像と所定の判定条件(例えば、ボイドの有無やボイドの大きさ、形状、位置等による良否の基準を示す条件)とを比較し、判定条件に基づいて良否を判定する。
【0044】
(2)X線検査処理:
図4は、X線検査処理を示すフローチャートである。撮像部27bの処理によりCPU27は、基板の撮像対象Wを撮像できる位置にX−Yステージ13を移動させる(ステップS100)。すなわち、CPU27は、図示しない基板の設計情報等に基づいて基板上での撮像対象Wを特定し、撮像対象Wを検査の際の初期位置に移動させる。
【0045】
次に、CPU27は、正六角形配置部27aの機能により、検査領域を取得する(ステップS105)。検査領域は、検査対象となる撮像対象Wが含まれる領域であり、1個以上の回転軸Aに関する撮像によって網羅されるべき領域である。撮像対象Wは、種々の手法で取得されて良く、例えば、上述の設計情報等に基づいて撮像対象Wが含まれる領域が検査領域として取得されても良いし、X線検出器12等によってZ軸方向から撮像対象Wが撮像された画像が出力部25に表示された状態で、利用者が当該画像から入力部24によって検査領域を指定しても良く、種々の構成を採用可能である。なお、本実施形態において、検査領域は矩形である。
【0046】
次に、CPU27は、正六角形配置部27aの機能により、撮像条件を取得する(ステップS110)。当該撮像条件には、X線発生器11によるX線の出力強度等を指定する制御情報、X線検出器12における有効撮像範囲等を示す仕様情報、撮像機構10における可動部の位置を指定する位置情報等が含まれる。これらの撮像条件のうち、予め決められている情報はメモリ26に予め記憶されており、CPU27は、メモリ26を参照して各情報を取得する。
【0047】
一方、撮像条件のうち、可変の情報には予めデフォルト値が設定されているが、利用者が入力部24によって入力して所望の値にしても良い。例えばX線画像における撮像倍率は、可変の値であり、利用者によって入力可能であっても良い。撮像倍率は、X−Yステージ13をZ軸方向に変化させることが可能な機構等によって実現可能であり、この場合、Z軸方向の位置の入力などによって間接的に撮像倍率が入力されても良いし、撮像倍率自体が直接的に入力されても良い。
【0048】
なお、撮像倍率は、(撮像対象WのX線画像の大きさ/撮像対象Wの大きさ)であり、例えば、X線出力部11aの焦点とX線検出面12aの中央を通る直線(光軸)上でのX線出力部11aからX線検出面12aまでの距離(
図2Aに示すa+b)を、同一直線上でのX線出力部11aから回転軸Aまでの距離(
図2Aに示すa)で除した値によって算出される。また、有効撮像範囲は、矩形のX線検出面12aにおいてX線画像を撮像可能な実行撮像領域の大きさであり、2辺の大きさで定義される。
【0049】
本実施形態においては、X−Y平面に平行な辺である横方向の辺と当該横方向に垂直な縦方向の辺の大きさによって有効撮像範囲が定義される。有効撮像範囲の単位は各種の単位で特定されて良く、長さの単位(mm等)であってもよいし、ドット数等であっても良い。有効撮像範囲がドット数で表現される場合、ドット数とドットピッチ(μm/dot等)とを乗じることで長さの単位に変換可能である。
【0050】
次に、CPU27は、正六角形配置部27aの機能により、撮像倍率と有効撮像範囲に基づいて正六角形の一辺の長さを取得する(ステップS115)。本実施形態において正六角形の一辺は、撮像機構10が備えるX線検出面12aにおける切断面に平行な方向の有効撮像範囲を撮像倍率で除した大きさの1/2である。すなわち、本実施形態におけるX線検出面12aの有効撮像範囲は長方形であるとともに横方向(切断面に平行な方向)の長さが縦方向の長さより長い。この有効撮像範囲において、再構成可能領域Zcの大きさを実質的に規定するのは、横方向の有効撮像範囲の長さである。
【0051】
図3Bは、回転軸周りに回転するX線出力部11aおよびX線検出面12aの組を複数の回転位置について示し、Z軸に平行な方向から眺めた図である。
図3Bにおいては、3カ所の回転位置について示しており、各回転位置においてX線出力部11aからX線検出面12aに達するX線の範囲を一点鎖線で示している。これらのX線の範囲の中で、重複する範囲は上述の逆投影で投影軌跡が重なる範囲であり、再構成可能領域Zc1に相当する。X線出力部11aおよびX線検出面12aの組が多数であれば、重複する範囲は
図3Bにおいて破線で示す円に近づき、当該円の範囲が再構成可能領域Zc1であると見なすことができる。
【0052】
図3Bにおいて、横方向の有効撮像範囲の長さはHdである。そして、上述のように撮像倍率は、X線出力部11aからX線検出面12aまでの距離(
図2Aに示すa+b)を、同一直線上でのX線出力部11aから回転軸Aまでの距離(
図2Aに示すa)で除した値である。従って、CPU27が横方向の有効撮像範囲の長さHdを、撮像倍率(a+b)/aで除することにより、撮像対象Wの切断面上での再構成可能領域Zc1の直径D1を取得することができる。そこで、CPU27が直径D1の1/2を取得すれば、再構成可能領域Zc1の半径rを取得することができる。当該半径rは、再構成可能領域Zc1に内接する正六角形の一辺であるため、以上の処理により、正六角形の一辺の長さrを取得したことになる。
【0053】
次に、CPU27は、正六角形配置部27aおよび撮像部27bの機能により、検査領域Zrの一つの角と頂点が一致し、検査領域Zrの辺と一辺が一致する正六角形に対して他の正六角形を詰めて並べ、検査領域Zrを内包する正六角形の配置を取得する(ステップS120)。
【0054】
図5Aは、矩形の検査領域Zrの角に対して正六角形Hexの頂点を一致させ、検査領域Zrの辺と正六角形Hexの一辺とを一致させ、検査領域Zrを内包するように正六角形Hexを詰めて並べた状態を示している。なお、
図5Aにおいては、検査領域Zrを破線、正六角形Hexを実線によって示している。このような配置は、検査領域Zrに対して正六角形Hexを仮想的に並べることによって取得されても良いし、検査領域Zrおよび正六角形Hexの大きさに基づいて演算によって算出されても良い。
【0055】
演算によって正六角形Hexの配置を取得する手法としては、種々の手法が採用可能であるが、例えば、検査領域Zrの角Trに基づいて角に存在する正六角形Hexの中心Hr1の位置を算出し、当該中心Hr1から正六角形の各辺に対して垂直な方向に2rの距離にある位置(例えば、j方向に2rの距離にある位置であれば
図5AのHr2)を算出する処理を、検査領域Zrの内部に新たな位置を算出できなくなるまで繰り返し、検査領域Zrの内部に存在する位置を正六角形の中心とする構成によって実現可能である。すなわち、このようにして配置された正六角形の最外周に着目すると、
図5Aに示すように、正六角形の最外周の内側に検査領域Zrが含まれており、内包されているといえる。
【0056】
なお、
図5Bは、一辺rの正六角形が内接する円形に内接する正方形Squ(一辺2
-1/2r)について、検査領域Zrの角と頂点が一致し、検査領域Zrの辺と一辺が一致する正方形を基準として検査領域Zrを内包する正方形の配置を取得した例である。
図5Aと
図5Bとで比較すると、同一の大きさの検査領域Zrを内包するために並べられた正六角形の総数は17個であり、正方形の総数は20個である。従って、
図5Aおよび
図5Bで示された例においては、正六角形の方が正方形よりも少ない数で検査領域Zrを内包していることになる。
【0057】
図6Aおよび
図6Bは、同一の大きさの再構成可能領域Zc1に内接する正六角形と正方形とのそれぞれによって、縦横の長さが同一である矩形の検査領域を内包するために必要な正六角形および正方形の数(総視野数)を示す図である。
図6Aは、検査領域サイズ(大きさ)を横軸、総視野数を縦軸にして示すグラフであり、再構成可能領域Zc1の半径(正六角形の一辺と等しい)を1としてサイズを規定している。従って、検査領域サイズ10は、検査領域の縦横の長さが再構成可能領域Zc1の半径の10倍であることを示している。また、
図6Aにおいては、正方形を配置した場合の総視野数を破線、正六角形を配置した場合の総視野数を実線によって示している。
【0058】
図6Bにおいては、(正方形の総視野数/正六角形の総視野数)を%表記で示した図であり、横軸は
図6Aと同様である。
図6Aおよび
図6Bに示すように、検査領域サイズのほぼ全域に渡って、正六角形によって得られる総視野数は正方形によって得られる総視野数よりも少ない。以上のように、同一の大きさの再構成可能領域Zc1に内接する正六角形と正方形とを比較すると、正六角形においては、正方形よりも少ない数で検査領域を内包可能な配置を生成することができる。
【0059】
以上のようにして正六角形による配置が取得されると、CPU27は、検査領域Zrに正六角形を重ねて表示する(ステップS125)。すなわち、CPU27は、出力部25に制御信号を出力し、ステップS105において取得された検査領域Zrに対してステップS120で取得された配置の通りに正六角形を並べて表示する。例えば、CPU27は、出力部25に
図5Aのような画像を表示する。むろん、ここでも、Z軸方向から撮像対象Wが撮像された画像が重ねて表示されていても良い。なお、この際、CPU27は、出力部25に、撮像条件の再入力、検査領域の再入力、撮像の開始のいずれかを選択するための選択肢が表示される。
【0060】
次に、CPU27は、撮像条件の再入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS130)。すなわち、CPU27は、利用者が入力部24を操作して出力部25に表示された撮像条件の再入力を選択した場合には、撮像条件の再入力を受け付けたと判定する。ステップS130において、撮像条件の再入力を受け付けたと判定された場合、CPU27は、ステップS110以降の処理を繰り返す。
【0061】
ステップS130において、撮像条件の再入力を受け付けたと判定されない場合、CPU27は、検査領域の再入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS135)。すなわち、CPU27は、利用者が入力部24を操作して出力部25に表示された検査領域の再入力を選択した場合には、検査領域の再入力を受け付けたと判定する。ステップS135において、検査領域の再入力を受け付けたと判定された場合、CPU27は、ステップS105以降の処理を繰り返す。
【0062】
ステップS135において、検査領域の再入力を受け付けたと判定されない場合、CPU27は、正六角形の中心を回転軸の位置に設定する(ステップS140)。すなわち、CPU27は、ステップS120で取得された切断面上での正六角形の配置に基づいて正六角形の中心を特定し、回転軸Aの位置に設定する。
図5Aに示す例であれば、位置Hr1,Hr2に加え、
図5Aに示された全ての正六角形の中心が回転軸Aの位置として設定される。
【0063】
次に、CPU27は、撮像部27bの機能により、CT撮像処理を実行する(ステップS145)。すなわち、CPU27は、撮像部27bの処理により、発生器制御部21,検出器制御部22,撮像機構制御部23に対して所定の指示を出力し、ステップS140で設定された回転軸Aの中の一つを選択する。そして、CPU27は、選択された回転軸Aに対して傾斜した角度でX線が撮像対象Wに照射されるように、X線発生器11、X線検出器12等の配置を調整する。さらに、CPU27は、撮像部27bの処理により、発生器制御部21に対して所定の指示を出力してX線発生器11に所定の出力でX線を出力させ、検出器制御部22に対して所定の指示を出力してX線検出器12によってX線画像データ26bを取得する。
【0064】
さらに、CPU27は、以上のようにX線画像データ26bを撮像する処理を、回転軸Aを中心とした回転を行った後の複数の撮像位置で実行し、複数の撮像位置で撮像したX線画像データ26bをメモリ26に記録する。以上のようにして1個の回転軸Aについての撮像が終了すると、CPU27は、未撮影の回転軸Aを選択し、新たに選択された回転軸Aについての撮像を行う。そして、ステップS140で設定された全ての回転軸Aについて撮像が行われるまで、以上の処理を繰り返す。
【0065】
次に、CPU27は、再構成演算部27cの処理により、再構成演算処理を実行する(ステップS150)。再構成演算は、撮像対象Wの3次元構造を再構成することができれば良く、種々の処理を採用可能であり、CPU27は、例えば、フィルタ補正逆投影法によって再構成情報を取得する。CPU27は、ステップS140で設定された各回転軸Aについて当該再構成情報の取得処理を行う。この結果、
図5Aに示すような切断面上の検査領域Zr内の再構成情報が不足なく網羅された状態となる。
【0066】
以上のようにして検査領域Zr内の再構成情報が取得されると、CPU27は、良否判定部27dの処理により、良否判定処理を行う(ステップS155)。すなわち、CPU27は、良否判定部27dの処理により、検査領域Zr内の再構成情報から撮像対象Wの再構成情報を抽出し、所定の判定条件に基づいて良否を判定する。
なお、上記の実施形態は、上記回転軸Aに対してX線出力部11aの焦点とX線検出面12aの中央を通る直線(光軸)が斜めに交わる傾斜型CTであるが、当該回転軸Aと光軸との交差角は種々の値を採用可能である。例えば、特許文献1に開示されたように、回転軸に対してX線の光軸が直交する直交型CTであってもよい。
【0067】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、切断面上に正六角形を配置し、正六角形の中心を回転軸とする限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、検査対象はBGAにおけるバンプ以外にも各種の対象が想定され、メッキによって充填されたスルーホールや、C4方式で利用されるバンプ等であっても良いし、リード部品を実装するためのはんだ等であっても良い。また、良否判定のための処理は種々の手法が採用されてよく、例えば、バンプの形状やボイドと検査対象の重心との距離等に基づいて良否判定が行われてもよい。
【0068】
さらに、CPU27が正六角形配置部27aによって正六角形を配置する際の処理は、上述の処理以外にも種々の処理を採用可能である。例えば、CPU27が、正六角形配置部27aの機能により、切断面上で詰めて並べられた正六角形と、切断面上に配置された撮像対象Wとを重ね、撮像部27bの機能により、撮像対象を内包する正六角形を選択し、選択された正六角形の中心を回転軸とする構成であっても良い。
【0069】
すなわち、CPU27は、再構成可能領域Zc1に内接する正六角形が2次元的に隙間なく配置されたマスクを仮想的に生成する。そして、切断面上に正六角形のマスクを配置し、切断面に配置された撮像対象Wを重ねれば、撮像対象Wを含む正六角形の中心を回転軸Aとすれば良いことが分かる。
図7Aは、チップC内に含まれる撮像対象Wであるバンプを模式的に示した図である。
図7Aにおいては、直方体のチップCの最も広い面が切断面と平行である状態が想定されおり、撮像対象Wは切断面上に
図7Aに示すように配置されていると見なすことができる。
【0070】
図7Bは、切断面上に配置された撮像対象Wと、再構成可能領域Zc1に内接する正六角形のマスクMkとを重ねて示す図である。このように、切断面上に配置された撮像対象WとマスクMkとを重ねれば、マスクMk内に撮像対象Wが存在する正六角形のみにおいて中心を回転軸Aとした撮像を実施すれば良いことが判明する。
【0071】
そこで、CPU27は、自動または手動により、マスクMkから中心を回転軸Aとすべき正六角形を抽出する。自動で正六角形を抽出する場合、CPU27は、チップCの設計情報や、撮像対象Wを含むX線画像等に基づいて撮像対象Wの切断面上での位置を特定する。また、CPU27は、マスクMkを構成する正六角形のそれぞれについて、周の位置を特定し、周の内側に撮像対象Wが含まれるか否かを判定する。そして、周の内側に撮像対象Wが含まれる正六角形を特定し、当該正六角形の中心を回転軸Aの位置として取得する。
【0072】
一方、手動で正六角形を抽出する場合、CPU27は、
図7Bに示すようなマスクMkと撮像対象Wとが重ねられた画像を出力部25に表示させる。そして、CPU27は、利用者が入力部24を操作して実施する正六角形の選択を受け付ける。正六角形の選択は、残すべき正六角形の選択であっても良いし、マスクMkから除去すべき正六角形の選択であっても良い。いずれにしても、CPU27は、選択によって特定された正六角形の中心を回転軸Aの位置として取得する。なお、手動による選択によれば、撮像対象Wと類似の像であるが撮像対象ではない物体や、検査する必要のない撮像対象Wが存在する場合に、これらを除外することが容易になる。
【0073】
図7Bにおいては、マスクMkから除外された正六角形をハッチングによって例示している。以上のような処理によれば、検査領域を定義することなく正六角形の配置を決定することが可能である。また、撮像対象Wが切断面上で任意の形状に配置されていても、最低限の個数の正六角形の配置を容易に取得することが可能になる。