(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622288
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】水圧及び蒸気を利用した自家発電方法及びその発電装置
(51)【国際特許分類】
F03B 13/06 20060101AFI20191209BHJP
F03B 17/02 20060101ALI20191209BHJP
F01K 27/02 20060101ALI20191209BHJP
F01K 25/10 20060101ALI20191209BHJP
F01K 23/02 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
F03B13/06
F03B17/02
F01K27/02 Z
F01K25/10 S
F01K23/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-511124(P2017-511124)
(86)(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公表番号】特表2017-515052(P2017-515052A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】KR2015003359
(87)【国際公開番号】WO2015170830
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2018年3月29日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0054272
(32)【優先日】2014年5月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516333595
【氏名又は名称】ホ,サンチェ
【氏名又は名称原語表記】HEO,Sang Chae
(73)【特許権者】
【識別番号】516333609
【氏名又は名称】ホ,ビウン
【氏名又は名称原語表記】HEO,Bi Ung
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ホ,サンチェ
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ビウン
【審査官】
冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−256108(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1626989(CN,A)
【文献】
登録実用新案第3092704(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/06
F01K 23/02
F01K 25/10
F01K 27/02
F03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高さに設置して位置エネルギーを有するようにする水槽(110)と、
前記水槽(110)で排出側に垂直に対応するように形成して水の落差によって回転し、回転軸に発電機(121)を結合した第1水車(120)と、
前記第1水車(120)の下部に連通されて流入水を加熱して蒸気を排出させる加熱ボイラー(130)と、
前記加熱ボイラー(130)の蒸気排出端に連通されて吐出される高圧の蒸気によって回転し、回転軸に発電機(141)を結合した蒸気水車(140)と、
前記蒸気水車(140)の上側に設置して、一側を連結管で蒸気水車(140)に連通させて蒸気を凝縮させ、凝縮水を他側に流れるようにして排出させる凝縮タンク(150)と、
前記凝縮タンク(150)の排出側に下向きに連通されて凝縮水の落差によって回転し、回転軸に発電機(161)を結合し、下向きに前記水槽(110)を連通した第2水車(160)とで構成し、
前記連結管にチェックバルブ(152)を形成して前記蒸気水車(140)を回転させた後、上部に上って来る蒸気を内部に流入されるようにし、また、内部に流入された蒸気が逆流されることを防止することを特徴とする水圧及び蒸気を利用した自家発電装置。
【請求項2】
水槽(110)に水を満たした後、調節バルブ111を調節して所定量の水を垂直に落下させると、位置エネルギーによる水の水圧が第1水車(120)に印加されて第1水車(120)を回転させ、それにより第1水車(120)の回転軸に連結された発電機(121)に回転力が印加されて1次電力を生産する第1電力生産段階と、
前記第1電力生産段階が行われながら第1電力生産を完了した水を加熱ボイラー(130)に流れるようにし、加熱ボイラー(130)に流入された水を加熱して蒸気発生器(131)を通じて高圧の蒸気を蒸気水車(140)に供給する高圧蒸気供給段階と、
前記高圧蒸気供給段階が行われながら吐出された蒸気の圧力が蒸気水車(140)に印加されて蒸気水車(140)を回転させ、それにより蒸気水車(140)の回転軸に連結された発電機(141)に回転力が印加されて2次電力を生産する第2電力生産段階と、
前記第2電力生産段階が行われながら第2電力生産を完了した蒸気を凝縮タンク(150)に排出し、凝縮タンク(150)に流入された蒸気を凝縮させる蒸気凝縮段階と、
前記蒸気凝縮段階が行われながら蒸気を凝縮させた凝縮水を垂直に落下させると、位置エネルギーによる水の水圧が第2水車(160)に印加されて第2水車(160)を回転させ、それにより第2水車(160)の回転軸に連結された発電機161に回転力が印加されて3次電力を生産する第3電力生産段階と、
前記第3電力生産段階が行われながら第3電力生産を完了した水を水槽(110)に流れるようにして連続的に循環しながら持続的に電力を生成するようにする電力循環生成段階とを含んで構成し、
前記蒸気凝縮段階において、チェックバルブ(152)を調節して前記凝縮タンク(150)に流入された蒸気が逆流されることを防止することを特徴とする水圧及び蒸気を利用した自家発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水圧及び蒸気を利用した自家発電方法及びその発電装置に関するもので、より詳しくは、水圧及び蒸気を利用して水車を回転させて発電機の発電が行われるようにすることにより、電力を生産することができる水圧及び蒸気を利用した自家発電方法及びその発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、発電機は外部動力源から機械的エネルギーを受けて電気エネルギーに変換させる装置であり、外部動力源としてはタービン、水車、電動機、エンジンなどが用いられる。
【0003】
このように外部動力源を利用して電気エネルギーを発生させる方法としては、水の位置エネルギーの差を利用した水力発電と風の力を利用した風力発電などの自然力を直接利用した発電があり、また自然で採取した石油及び石炭やウランのような天然資源を利用して人工的方法で発電する火力発電及び原子力発電などがある。
【0004】
周知のように、上記のような外部動力源を利用した発電機の発電原理は、導体内の電子と磁界の間の相対的関係に基づいており、導体が磁束を切断すれば、その導体の両端に電圧が誘起され、誘起された誘導電圧によって電流が流れるようになる。この時、誘導電圧Eの大きさは磁束密度Bとその磁界中の導体の長さI及び導体の運動速度Vに関係があり、発電機の発電作動においては必ず外部動力が必要となって、外部動力源で持続的に機械的エネルギーを供給しなければならない。
【0005】
しかしながら、上記火力発電や原子力発電の場合には、天然資源の燃焼や核反応によって発生する熱エネルギーを利用して発電機を稼動させるため、熱エネルギーの損失によって電気エネルギーへの変換効率が低下されるだけでなく、燃料の燃焼による二酸化炭素の発生による地球温暖化及び核反応による放射能の漏出や核廃棄物の処理問題などの発電に伴う様々な環境に関する問題点が台頭している実情である。
【0006】
また、代表的な化石燃料の中で石炭や石油などのような天然資源はその埋蔵量も一定の限界があって、その利用可能なエネルギーが枯渇されることと予測され、油価が上がりつつある高油価趨勢に伴って新しい代替エネルギーを開発しなければならないという深刻なエネルギー問題が提起され、水力、風力または太陽熱などを利用した自然エネルギーの利用にも環境に関する制約があるという問題点がある。
【0007】
従来の技術としては、韓国特許公開第2012−86004号がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許公開第2012−86004号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の主な目的は、発電機の外部動力源としては持続的に使うことができる水を利用して、これを循環させて効率的に発電機と連結された水車を回転させることにより、発電機の発電による電力を生産することができるようにした水圧及び蒸気を利用した自家発電方法及びその発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明の水圧及び蒸気を利用した自家発電方法及びその発電装置は、所定の高さに設置して位置エネルギーを有するようにする水槽と、上記水槽に排出側に垂直に対応するように形成して水の落差によって回転し、回転軸に発電機を結合した第1水車と、上記第1水車の下部に連通させて、流入水を加熱して蒸気を排出させる加熱ボイラーと、上記加熱ボイラーの蒸気排出端に連通させて吐出される高圧の蒸気によって回転し、回転軸に発電機を結合した蒸気水車と、上記蒸気水車の上側に設置して一側を蒸気水車に連通させて蒸気を凝縮させ、凝縮水を他側に流れるようにして排出させる凝縮タンクと、上記凝縮タンクの排出側に下向きに連通させて凝縮水の落差によって回転し、回転軸に発電機を結合し、下向きに上記水槽を連通した第2水車とで構成することをその技術的構成上の基本特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
従って、本発明の水圧及び蒸気を利用した自家発電方法及びその発電装置は、水槽で所定量の水を垂直に落下させて、位置エネルギーによる水の水圧により第1水車を回転させ、それにより、第1水車の回転軸に連結された発電機で1次電力を生産するようにし、第1電力生産を完了した水を加熱ボイラーで加熱して、高圧の蒸気で蒸気水車を回転させ、それにより、蒸気水車の回転軸に連結された発電機に回転力が印加されて2次電力を生産するようにし、第2電力生産を完了した蒸気を凝縮タンクに排出し、蒸気を凝縮した凝縮水を垂直に落下させて第2水車を回転させ、それにより、第2水車の回転軸に連結された発電機に回転力が印加されて3次電力を生産するが、第3電力生産を完了した水を水槽に流れるようにして連続的に循環しながら持続的に電力を生成することができるようにすることにより、水を利用してこれを循環させれば効率的に発電機と連結された水車を回転させることにより、発電機の発電による電力を生産することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による水圧及び蒸気を利用した自家発電方法及びその発電装置を説明するために示した斜視図である。
【
図2】本発明による水圧及び蒸気を利用した自家発電方法及びその発電装置を説明するために示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明すれば次の通りである。
【0014】
図1及び2に示すように、本発明の水圧及び蒸気を利用した自家発電装置は、所定の高さに設置して、位置エネルギーを有するようにする水槽110と、上記水槽110に排出側に垂直に対応するように形成して水の落差によって回転し、回転軸に発電機121を結合した第1水車120と、上記第1水車120の下部に連通させて流入水を加熱して蒸気を排出させる加熱ボイラー130と、上記加熱ボイラー130の蒸気排出端に連通させて吐出される高圧の蒸気によって回転し、回転軸に発電機141を結合した蒸気水車140と、上記蒸気水車140の上側に設置して、一側を蒸気水車140に連通させて蒸気を凝縮させ、凝縮水を他側に流れるようにして排出させる凝縮タンク150と、上記凝縮タンク150の排出側に下向きに連通させて凝縮水の落差によって回転し、回転軸に発電機121を結合して下向きに上記水槽110を連通した第2水車160とで構成する。
【0015】
上記水槽110は所定高さに設置され、所定量の水を貯蔵し、第2水車160の下側に形成されて第2水車160から持続的に水を受けることができ、下側に調節バルブ111を結合して所定量の水を下側に供給することができるようにする。
【0016】
上記第1水車120は水槽110の下側に設置して相互連通させるが、水槽110で下向きに供給する水の位置エネルギーによって第1水車120が回転するようにし、第1水車120の回転軸に発電機121を結合して第1水車120の回転力で電力を生産することができるようにする。
【0017】
ここで、第1水車120は外部を密閉させるケーシングを備えて内部に位置するようにすることが好ましい。
【0018】
上記加熱ボイラー130は蒸気発生器131を備えるが、第1水車120に連通させて第1水車120を回転させた後、下部側に落ちた水を受けてこれを加熱し、高圧の蒸気を生成させて蒸気水車140に連通された排出管を通じて吐出するようにする。
【0019】
さらに、加熱ボイラー130は第1水車120の側方に形成されるが、第1水車120より低く形成されて排出管を傾斜するように形成するので、自然に第1水車120から水を受けることができるようにすることが好ましい。
【0020】
上記蒸気水車140は加熱ボイラー130の蒸気発生器131に連通されるが、排出管から吐出される高圧の蒸気を受けて回転するようにし、蒸気水車140の回転軸に発電機141を結合して電力を生産することができるようにする。
【0021】
ここで、蒸気水車140は外部を密閉させるケーシングを備えて内部に位置するようにし、また、排出管の吐出端に通常のノズルなどを備えて高圧で蒸気を排出することができるようにすることが好ましい。
【0022】
また、蒸気水車140は上向きに凝縮タンク150の一側と連通されて蒸気水車140を回転させた蒸気を排出するようにする。
【0023】
上記凝縮タンク150は蒸気水車140の上側に一側を連結管で連通するが、連結管にチェックバルブ152を形成して蒸気水車140を回転させた後、上部に上って来る蒸気を内部に流入されるようにし、また、内部に流入された蒸気が逆流されることを防止する。
【0024】
さらに、凝縮タンク150の内部に流入された蒸気は凝縮して内部から他側に流れるようにするが、凝縮タンク150の他側下部を第2水車160の上部と連結管で連通させ、連結管に調節バルブ111を結合して所定量の水を下側に供給することができる。
【0025】
同時に、凝縮タンク150の内部には蒸気を容易に凝縮することができるように誘導する通常の凝縮用ファンや凝縮片または凝縮網などを多様に複合的に選択して備えることが好ましい。
【0026】
上記第2水車160は凝縮タンク150の他側下部に連通させて凝縮タンク150で供給する凝縮水の位置エネルギーによって回転するようにし、第2水車160の回転軸に発電機161を結合して電力を生産することができるようにする。
【0027】
ここで、第2水車120は外部を密閉させるケーシングを備えて内部に位置するようにすることが好ましい。
【0028】
さらに、第2水車160の下側に水槽110を位置させて相互連通するようにするが、第2水車160を回転させた後下部側に落ちた水を水槽110に供給するようにする。
【0029】
このような本発明の水圧及び蒸気を利用した自家発電方法は次の通りである。
【0030】
まず、水槽110に水を満たした後、調節バルブ111を調節して所定量の水を垂直に落下させると、位置エネルギーによる水の水圧が第1水車120に印加されて第1水車120を回転させ、それにより第1水車120の回転軸に連結された発電機121に回転力が印加されて1次電力を生産する第1電力生産段階と、上記第1電力生産段階が行われながら第1電力生産を完了した水を加熱ボイラー130に流れるようにし、加熱ボイラー130に流入された水を加熱して蒸気発生器131を通じて高圧の蒸気で蒸気水車140に供給する高圧蒸気供給段階と、上記高圧蒸気供給段階が行われながら吐出させた蒸気の圧力が蒸気水車140に印加されて蒸気水車140を回転させ、それにより蒸気水車140の回転軸に連結した発電機141に回転力が印加されて2次電力を生産する第2電力生産段階と、上記第2電力生産段階が行われながら第2電力生産を完了した蒸気を凝縮タンク150に排出し、凝縮タンク150に流入された蒸気を凝縮させる蒸気凝縮段階と、上記蒸気凝縮段階が行われながら蒸気を凝縮させた凝縮水を垂直に落下させると位置エネルギーによる水の水圧が第2水車160に印加されて第2水車160を回転させ、それにより第2水車160の回転軸に連結された発電機161に回転力が印加されて3次電力を生産する第3電力生産段階と、上記第3電力生産段階が行われながら第3電力生産を完了した水を水槽110に流れるようにし、連続的に循環しながら持続的に電力を生成することができるようにする電力循環生成段階とを含んで構成する。
【0031】
一方、このような本発明の自家発電装置100は工場や建物の外壁に設置するが、凝縮タンクは屋上などに大きく形成して十分凝縮することができるようにすることが好ましい。
【0032】
さらに、水の落差及び高圧蒸気を利用して順次に循環させて電力を持続的に生産することにより、加熱ボイラー130を加熱して蒸気を発生させる最小のエネルギーで連続的に自家発電することができる。
【0033】
特に、水の重力による自然落差で電力を生産し、同時に蒸気で電力を生産し、蒸気を自然に上昇させて凝縮して再利用するので、水資源の無駄づかいがほとんどない。