【文献】
WILLNER D ET AL,(6-MALEIMIDOCAPROYL)HYDRAZONE OF DOXORUBICIN - A NEW DERIVATIVE FOR THE PREPARATION OF IMMUNOCONJUGATES OF DOXORUBICIN,BIOCONJUGATE CHEMISTRY,米国,ACS,1993年,4(6),521-527
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記システイン操作抗体が、HC A118C、LC K149C、HC A140C、LC V205C、及びLC S121Cから選択される変異体である、請求項16に記載の抗体−薬物複合体化合物。
Abが、抗HER2 4D5、抗CD22、抗CD33、抗Napi3b、抗HER2 7C2、及び抗CLL−1から選択される、請求項13に記載の抗体−薬物複合体化合物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のある特定の実施形態についてこれから詳細に言及し、それらの例は、添付の構造及び式に例証されている。本発明が例証される実施形態とともに説明されるが、それらが本発明をそれらの実施形態に限定するようには意図されていないことが理解される。それとは反対に、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれ得るすべての代替案、修正、及び等価物を網羅するよう意図されている。
【0019】
当業者であれば、本発明の実施に使用され得る本明細書に記載のものと同様または同等の多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明は、記載される方法及び材料には決して限定されない。
【0020】
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有し、Singleton et al(1994)Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2nd Ed.,J.Wiley & Sons,New York,NY、及びJaneway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immunobiology,5th Ed.,Garland Publishing,New Yorkと一致する。
【0021】
定義
別途明記されない限り、本明細書で使用される以下の用語及び語句は、以下の意味を有するよう意図されている。
【0022】
商標名が本明細書で使用される場合、出願人は、商標名製品製剤、ジェネリック医薬品、及び商標名製品の医薬品活性成分(複数可)を独立して含むよう意図している。
【0023】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を、それらが所望の生物学的活性を呈する限り、具体的に網羅する(Miller et al(2003)Jour.of Immunology 170:4854−4861)。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラであり得るか、または他の種由来であり得る。抗体は、特異的抗原を認識してそれに結合することができる免疫系によって生成されるタンパク質である (Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体上のCDRによって認識されるエピトープとも呼ばれる多数の結合部位を有する。異なるエピトープに特異的に結合する抗体は、各々異なる構造を有する。したがって、1つの抗原は、2つ以上の対応する抗体を有し得る。抗体は、全長免疫グロブリン分子または全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、目的とする標的の抗原またはその一部に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を含み、かかる標的は、自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生する癌細胞(複数可)を含むが、これらに限定されない。本明細書に開示される免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)、またはサブクラスのものであり得る。免疫グロブリンは、任意の種由来であり得る。しかしながら、一態様では、免疫グロブリンは、ヒト、マウス、またはウサギ起源のものである。
【0024】
「抗体断片」は、全長抗体の一部、一般に、抗原結合またはその可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)
2、及びFv断片、ダイアボディ、直鎖抗体、ミニボディ(Olafsen et al(2004)Protein Eng. Design & Sel. 17(4):315−323)、Fab発現ライブラリによって産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及び癌細胞抗原、ウイルス抗原、または微生物抗原に免疫特異的に結合する上記のうちのいずれかのエピトープ結合断片、一本鎖抗体分子、ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る天然に存在する変異の可能性を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一抗原部位に指向される。さらに、異なる決定基(エピトープ)に指向される異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、その抗原上の単一決定基に指向される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体によって汚染されていない状態で合成され得るという点で有利である。「モノクローナル」という修飾句は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al(1975)Nature,256:495によって最初に説明されたハイブリドーマ法によって作製することができるか、または組換えDNA法によって作製することができる(例えば、US4816567、US5807715を参照のこと)。モノクローナル抗体は、Clackson et al(1991)Nature,352:624−628、Marks et al(1991)J.Mol.Biol.,222:581−597に記載の技法を使用してファージ抗体ライブラリから単離することもできる。
【0026】
本明細書におけるモノクローナル抗体は、特に、重鎖及び/または軽鎖の一部が特定の種由来の抗体または特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である一方で、それらの鎖(複数可)の残りが別の種由来の抗体または別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体、ならびにそれらが所望の生物学的活性を呈する限り、かかる抗体の断片を含む(US4816567、及びMorrison et al(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855)。本明細書における目的とするキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿等)由来の可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
【0027】
本明細書における「インタクト抗体」とは、VL及びVHドメイン、ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2、及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異形であり得る。インタクト抗体は、抗体のFc定常領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異形Fc領域)に起因するそれらの生物学的活性を指す1つ以上の「エフェクター機能」を有し得る。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合、補体依存性細胞毒性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)、食作用、及びB細胞受容体及びBCR等の細胞表面受容体の下方調節が挙げられる。
【0028】
本明細書における「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部を含有する免役グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域及び変異形Fc領域を含む。一実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで延びる。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在する場合も存在しない場合もある。本明細書で別途明記されない限り、Fc領域または定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載のEU指数とも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
【0029】
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン、FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般に、VH(またはVL)における以下の配列:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4に現れる。
【0030】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、インタクト抗体は、異なる「クラス」に割り当てられ得る。インタクト免疫グロブリン抗体には5つの主なクラス、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、「サブクラス」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2にさらに分類され得る。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元配置が周知である。Ig形態は、ヒンジ修飾またはヒンジなしの形態を含む(Roux et al(1998)J.Immunol.161:4083−4090、Lund et al(2000)Eur.J.Biochem.267:7246−7256、US2005/0048572、US2004/0229310)。
【0031】
「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞によって産生される抗体またはヒト抗体レパートリー若しくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源由来の抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
【0032】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免役グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を代表するフレームワークである。一般に、ヒト免役グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列の下位群から行われる。一般に、配列の下位群は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91−3242,Bethesda MD(1991),vols.1−3にあるような下位群である。一実施形態では、VLの場合、下位群は、上記のKabat et al.にあるような下位群カッパIである。一実施形態では、VHの場合、下位群は、上記のKabat et al.にあるような下位群IIIである。
【0033】
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、それらのHVR(例えば、CDR)のすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト抗体のそれらに対応し、それらのFRのすべてまたは実質的にすべてがヒト抗体のそれらに対応する。ヒト化抗体は、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を任意に含み得る。抗体、例えば非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を経た抗体を指す。
【0034】
本明細書で使用される「超可変領域」または「HVR」という用語は、配列が超可変性であり、及び/または構造的に規定されたループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの領域の各々を指す。一般に、天然の四本鎖抗体は、6つのHVRを含み、これらのうちの3つがVH(H1、H2、H3)に存在し、3つがVL(L1、L2、L3)に存在する。HVRは、一般に、超可変ループ由来及び/または「相補性決定領域」(CDR)由来のアミノ酸残基を含み、後者が、最も高い配列可変性のものであり、及び/または抗原認識に関与する。例示の超可変ループは、アミノ酸残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、91〜96(L3)、26〜32(H1)、53〜55(H2)、及び96〜101(H3)で生じる(Chothia and Lesk,J.Mol. Biol. 196:901−917(1987))。例示のCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3)は、L1のアミノ酸残基24〜34、L2の50〜56、L3の89〜97、H1の31〜35B、H2の50〜65、及びH3の95〜102で生じる (Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed. Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991))。VHにおけるCDR1を除いて、CDRは、一般に超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRは、抗原と接触する残基である「特異性決定残基」または「SDR」も含む。SDRは、短縮型(abbreviated)CDR、またはa−CDRと呼ばれるCDRの領域内に含有される。例示のa−CDR(a−CDR−L1、a−CDR−L2、a−CDR−L3、a−CDR−H1、a−CDR−H2、及びa−CDR−H3)は、L1のアミノ酸残基31〜34、L2の50〜55、L3の89〜96、H1の31〜35B、H2の50〜58、及びH3の95〜102で生じる (Almagro and Fransson,Front. Biosci.13:1619−1633(2008)を参照のこと)。別途示されない限り、可変ドメインにおけるHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、上記のKabat et al.に従って本明細書で番号付けされる。
【0035】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体を抗原に結合することに関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般に、同様の構造を有し、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology,6
th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照のこと)。単一のVHまたはVLドメインが抗原結合特異性を付与するには十分であり得る。さらに、抗原に結合する抗体由来のVHまたはVLドメインを使用して特定の抗原に結合する抗体を単離して、それぞれ、相補的VLまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,J. Immunol.150:880−887(1993)、Clarkson et al.,Nature 352:624−628(1991)を参照されたい。
【0036】
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、連結している別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語には、自己複製核酸構造としてのベクター、ならびに導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターが含まれる。ある特定のベクターは、作動的に連結された核酸の発現を導くことができる。かかるベクターは、本明細書において「発現ベクター」と称される。
【0037】
「遊離システインアミノ酸」は、操作されて親抗体になっており、チオール官能基(−SH)を有し、かつ分子内または分子間ジスルフィド架橋として対合されていないシステインアミノ酸残基を指す。
【0038】
「リンカー」、「リンカー単位」、または「連結」とは、抗体を薬物部分に共有結合する原子の鎖を含む化学部分を意味する。様々な実施形態では、リンカーは、Lと特定される二価ラジカルである。
【0039】
置換基の数を示す場合、「1つ以上」という用語は、1つの置換基から可能な限り最も多い数の置換までの範囲、すなわち、置換基による1つの水素の置換から最大ですべての水素の置換を指す。「置換基」という用語は、親分子上の水素原子に置き換わる原子または原子群を意味する。「置換された」という用語は、特定の群が1つ以上の置換基を持つことを意味する。いずれかの群が複数の置換基を持つことができ、かつ様々な可能な置換基が提供される場合、置換基は、独立して選択され、同じである必要はない。「非置換の」という用語は、特定の群が置換基を持たないことを意味する。「任意に置換される」という用語は、特定の群が置換されないか、または独立して可能な置換基の群から選択される1つ以上の置換基で置換されることを意味する。置換基の数を示す場合、「1つ以上」という用語は、1つの置換基から可能な限り最も多い数の置換までの範囲、すなわち、置換基による1つの水素の置換から最大ですべての水素の置換を指す。
【0040】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1〜12個の炭素原子(C
1-C
12)の任意の長さの飽和直鎖または分岐鎖一価炭化水素ラジカルを指し、アルキルラジカルは、以下に記載される1つ以上の置換基で独立して任意に置換され得る。別の実施形態では、アルキルラジカルは、1〜8個の炭素原子(C
1-C
8)、または1〜6個の炭素原子(C
1-C
6)である。アルキル基の例としては、メチル(Me、−CH
3)、エチル(Et、−CH
2CH
3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH
2CH
2CH
3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH
3)
2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH
2CH(CH
3)
2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH
3)CH
2CH
3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH
3)
3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3−メチル−1−ブチル(−CH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2−メチル−1−ブチル(−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)、1−ヘキシル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ヘキシル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、3−ヘキシル(−CH(CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2CH
3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)
2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH
3)(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)
2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH(CH
3)
2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH
3)C(CH
3)
3、1−ヘプチル、1−オクチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、1〜12個の炭素原子(C
1-C
12)の任意の長さの飽和直鎖または分岐鎖二価炭化水素ラジカルを指し、アルキレンラジカルは、以下に記載される1つ以上の置換基で独立して任意に置換され得る。別の実施形態では、アルキレンラジカルは、1〜8個の炭素原子(C
1-C
8)、または1〜6個の炭素原子(C
1-C
6)である。アルキレン基の例としては、メチレン(−CH
2−)、エチレン(-CH
2CH
2-)、n−プロピレン(-CH
2CH
2CH
2-)、i−プロピレン(-CH(CH
3)CH
2-)、i−ブチレン(-C(CH
3)
2CH
2-)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素、sp
2二重結合を有する2〜8個の炭素原子(C
2-C
8)の任意の長さの直鎖または分岐鎖一価炭化水素ラジカルを指し、アルケニルラジカルは、本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して任意に置換され得、「シス」及び「トランス」配向、またはあるいは「E」及び「Z」配向を有するラジカルを含む。例としては、エチレニルまたはビニル(-CH=CH
2)、アリル(-CH
2CH=CH
2)、クロチル(-CH(CH3)CH=CH
2)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
「アルケニレン」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素、sp
2二重結合を有する2〜8個の炭素原子(C
2-C
8)の任意の長さの直鎖または分岐鎖二価炭化水素ラジカルを指し、アルケニレンラジカルは、本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して任意に置換され得、「シス」及び「トランス」配向、またはあるいは「E」及び「Z」配向を有するラジカルを含む。例としては、エチレニレンまたはビニレン(-CH=CH-)、アリレン(-CH
2CH=CH-)、クロチレン(-CH(CH3)CH=CH-)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素、sp三重結合を有する2〜8個の炭素原子(C
2〜C
8)の任意の長さの直鎖または分岐鎖一価炭化水素ラジカルを指し、アルキニルラジカルは、本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して任意に置換され得る。例としては、エチニル(−C≡CH)、プロピニル(プロパルギル、−CH
2C≡CH)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
「アルキニレン」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素、sp三重結合を有する2〜8個の炭素原子(C
2〜C
8)の任意の長さの直鎖または分岐鎖二価炭化水素ラジカルを指し、アルキニレンラジカルは、本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して任意に置換され得る。例としては、エチニレン(−C≡C−)、プロピニレン(プロパルギレン、−CH
2C≡C−)、2−ブチニレン(−CH(CH
3)C≡C−)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「炭素環」、「カルボシクリル」、「炭素環式環」、及び「シクロアルキル」という用語は、単環式環として3〜12個の炭素原子(C
3-C
12)または二環式環として7〜12個の炭素原子を有する、一価非芳香族飽和または部分不飽和環を指す。7〜12個の原子を有する二環式炭素環は、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、若しくは[6,6]系として配置され得、9個若しくは10個の環原子を有する二環式炭素環は、ビシクロ[5,6]若しくは[6,6]系として、またはビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、及びビシクロ[3.2.2]ノナン等の架橋系として配置され得る。スピロ部分もこの定義の範囲内に含まれる。単環式炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル等が挙げられるが、これらに限定されない。カルボシクリル基は、本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して任意に置換される。
【0047】
「アリール」とは、親芳香族環系の単一の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって誘導される6〜20個の炭素原子(C
6-C
20)の一価芳香族炭化水素ラジカルを意味する。いくつかのアリール基が例示の構造において「Ar」として表される。アリールは、飽和環、部分不飽和環、または芳香族炭素環式環に縮合された芳香族環を含む二環式ラジカルを含む。典型的なアリール基としては、ベンゼン(フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、インデニル、インダニル、1,2−ジヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル等由来のラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して任意に置換される。
【0048】
「アリーレン」とは、親芳香族環系の2個の炭素原子からの2個の水素原子の除去によって誘導される6〜20個の炭素原子(C
6-C
20)の二価芳香族炭化水素ラジカルを意味する。いくつかのアリーレンが例示の構造において「Ar」として表される。アリーレンは、飽和環、部分不飽和環、または芳香族炭素環式環に縮合された芳香族環を含む二環式ラジカルを含む。典型的なアリーレン群としては、ベンゼン(フェニレン)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニレン、インデニレン、インダニレン、1,2−ジヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル等由来のラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。アリーレン基は、本明細書に記載の1つ以上の置換基で任意に置換される。
【0049】
「複素環」、「ヘテロシクリル」、及び「複素環式環」という用語は、本明細書で同義に使用され、少なくとも1個の環原子が、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCであり、そこで1個以上の環原子が以下に記載される1つ以上の置換基で独立して任意に置換される、3〜約20個の環原子の飽和または部分不飽和(すなわち、その環内に1つ以上の二重結合及び/または三重結合を有する)炭素環式ラジカルを指す。複素環は、3〜7個の環員(2〜6個の炭素原子、及びN、O、P、及びSから選択される1〜4個のベテロ原子)を有する単環、または7〜10個の環員(4〜9個の炭素原子、及びN、O、P、及びSから選択される1〜6個のヘテロ原子)を有する二環、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,6]系であり得る。複素環については、Paquette,Leo A.;“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968)(特に、第1章、第3章、第4章、第6章、第7章、及び第9章)、“The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York(1950年〜現在)(特に、第13巻、第14巻、第16巻、第19巻、及び第28巻)、ならびにJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載されている。「ヘテロシクリル」は、複素環ラジカルが、飽和環、部分不飽和環、または芳香族炭素環式若しくは複素環式環と縮合されるラジカルも含む。複素環式環の例としては、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジニル、ピペラジン−4−イル−2−オン、ピペラジン−4−イル−3−オン、ピロリジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル、S−ジオキソチオモルホリン−4−イル、アゾカン−1−イル、アゼチジン−1−イル、オクタヒドロピリド[1,2−a]ピラジン−2−イル、[1,4]ジアゼパン−1−イル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、3H−インドリルキノリジニル、及びN−ピリジルウレアが挙げられるが、これらに限定されない。スピロ部分もこの定義の範囲内に含まれる。2個の環原子がオキソ(=O)部分で置換される複素環式基の例は、ピリミジノニル及び1,1−ジオキソ−チオモルホリニルである。本明細書における複素環基は、本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して任意に置換される。
【0050】
「ヘテロアリール」」という用語は、5、6、または7員環の一価芳香族ラジカルを指し、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む5〜20個の原子の縮合環系(それらのうちの少なくとも1つが芳香族である)を含む。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル(例えば、2−ヒドロキシピリジニル等)、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン、ピリミジニル(例えば、4−ヒドロキシピリミジニル等)、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。ヘテロアリール基は、本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して任意に置換される。
【0051】
複素環またはヘテロアリール基は、可能である場合、炭素(炭素連鎖)結合または窒素(窒素連鎖)結合し得る。一例であって、限定するものではなく、炭素結合した複素環またはヘテロアリールは、ピリジンの2、3、4、5、若しくは6位、ピリダジンの3、4、5、若しくは6位、ピリミジンの2、4、5、若しくは6位、ピラジンの2、3、5、若しくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール、若しくはテトラヒドロピロールの2、3、4、若しくは5位、オキサゾール、イミダゾール、若しくはチアゾールの2、4、若しくは5位、イソオキサゾール、ピラゾール、若しくはイソチアゾールの3、4、若しくは5位、アジリジンの2若しくは3位、アゼチジンの2、3、若しくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、若しくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、若しくは8位で結合する。
【0052】
一例であって、限定するものではなく、窒素結合複素環またはヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリドン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドール若しくはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾール若しくはβ−カルボリンの9位で結合する。
【0053】
「キラル」という用語は、鏡像パートナーの重ね合わせ不可能な特性を有する分子を指し、「アキラル」という用語は、それらの鏡像パートナーと重ね合わせ可能な分子を指す。
【0054】
「立体異性体」という用語は、同一の化学構成を有するが、空間内の原子または基の配置の点で異なる化合物を指す。
【0055】
「ジアステレオマー」とは、2つ以上のキラル性の中心を有し、かつそれらの分子が互いの鏡像でない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性、及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動法及びクロマトグラフィー等の高解像度分析手順下で分離され得る。
【0056】
「鏡像異性体」とは、互いに重ね合わせ不可能な鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0057】
本明細書で使用される立体化学的定義及び変換は、一般に、S.P.Parker,Ed.,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,New York、及びEliel,E.and Wilen,S.,Stereochemistry of Organic Compounds(1994)John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkに従う。多くの有機化合物は、光学活性形態で存在し、すなわち、それらは、平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を説明する際、接頭辞D及びL、またはR及びSは、そのキラル中心(複数可)の周りの分子の絶対配置を意味するために使用される。接頭辞d及びlまたは(+)及び(−)は、化合物による平面偏光の回転の兆候を指定するために用いられ、(−)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭辞を有する化合物は、右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、それらが互いの鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、鏡像異性体とも称され得、かかる異性体の混合物は、しばしば鏡像異性体混合物と呼ばれる。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と称され、それらは、化学反応またはプロセスにおいて立体選択または立体特異性が存在しない場合に生じ得る。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」という用語は、光学活性を欠く2つの鏡像異性体種の等モル混合物を指す。
【0058】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という語句は、抗体-薬物複合体(ADC)の薬学的に許容される有機または無機塩を指す。例示の塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオン等の別の分子の包含を伴い得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定させる任意の有機または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造に2個以上の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である事例は、複数の対イオンを有し得る。それ故に、薬学的に許容される塩は、1個以上の荷電原子及び/または1つ以上の対イオンを有し得る。
【0059】
以下の略語が本明細書で使用され、示される定義を有する。BMEは、ベータ−メルカプトエタノールであり、Bocは、N−(t−ブトキシカルボニル)であり、citは、シトルリン(2−アミノ−5−ウレイドペンタン酸)であり、DCCは、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドであり、DCMは、ジクロロメタンであり、DEAは、ジエチルアミンであり、DEADは、ジエチルアゾジカルボキシレートであり、DEPCは、ジエチルホスホリルシアニデートであり、DIADは、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートであり、DIEAは、N,N−ジイソプロピルエチルアミンであり、DMAは、ジメチルアセトアミドであり、DMAPは、4−ジメチルアミノピリジンであり、DMEは、エチレングリコールジメチルエーテル(または1,2−ジメトキシエタン)であり、DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドであり、DMSOは、ジメチルスルホキシドであり、DTTは、ジチオスレイトールであり、EDCIは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩であり、EEDQは、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンであり、ES−MSは、エレクトロスプレー質量分析であり、EtOAcは、酢酸エチルであり、Fmocは、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)であり、glyは、グリシンであり、HATUは、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートであり、HOBtは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、HPLCは、高圧液体クロマトグラフィーであり、ileは、イソロイシンであり、lysは、リジンであり、MeCN(CH
3CN)は、アセトニトリルであり、MeOHは、メタノールであり、Mtrは、4−アニシルジフェニルメチル(または4−メトキシトリチル)であり、NHSは、N−ヒドロキシスクシンイミドであり、PBSは、リン酸緩衝生理食塩水(pH7)であり、PEGは、ポリエチレングリコールまたはエチレングリコール単位(−OCH
2CH
2−)であり、Phは、フェニルであり、Pnpは、p−ニトロフェニルであり、MCは、6−マレイミドカプロイルであり、pheは、L−フェニルアラニンであり、PyBropは、ブロモトリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートであり、SECは、イズ排除クロマトグラフィーであり、Suは、スクシンイミドであり、TFAは、トリフルオロ酢酸であり、TLCは、薄層クロマトグラフィーであり、UVは、紫外線であり、及びvalは、バリンである。
【0060】
システイン操作抗体
本発明の化合物は、システイン操作抗体を含む抗体−薬物複合体を含み、そこで野生型または親抗体の1つ以上のアミノ酸がシステインアミノ酸(THIOMAB(商標))と置き換えられる。任意の形態の抗体がそのように操作され得る、すなわち変異させられ得る。例えば、親Fab抗体断片が操作されて、システイン操作Fabを形成することができる。同様に、親モノクローナル抗体が操作されて、THIOMAB(商標)を形成することができる。単一の部位変異が、Fab抗体断片に単一の操作されたシステイン残基を生成する一方で、単一の部位変異が、IgG抗体の二量体性質により、全長THIOMAB(商標)に2つの操作されたシステイン残基を生成することに留意されたい。置き換えられた(「操作された」)システイン(Cys)残基を有する変異体は、新たに導入された操作されたシステインチオール基の反応性について評価される。チオール反応性値は、0〜1.0の範囲の相対的な数値用語であり、任意のシステイン操作抗体に対して測定することができる。本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.6〜1.0、0.7〜1.0、または0.8〜1.0の範囲である。
【0061】
システインアミノ酸は、抗体の重鎖(HC)または軽鎖(LC)における反応性部位で操作され得、鎖内ジスルフィド結合も分子間ジスルフィド結合も形成しない(Junutula,et al.,2008b Nature Biotech.,26(8):925−932、Dornan et al(2009)Blood 114(13):2721−2729、US7521541、US7723485、WO2009/052249、Shen et al(2012)Nature Biotech.,30(2):184−191、Junutula et al(2008)Jour of Immun. Methods 332:41−52)。操作されたシステインチオールは、チオール反応性の求電子性ピリジルジスルフィド基を有するリンカー試薬または本発明のリンカー−薬物中間体と反応して、システイン操作抗体(THIOMAB(商標))を有するADC及び薬物(D)部分を形成することができる。それ故に、薬物部分の位置を設計し、制御し、知ることができる。操作されたシステインチオール基が、典型的には、チオール反応性リンカー試薬またはリンカー−薬物中間体と高収率で反応するため、薬物負荷を制御することができる。重鎖または軽鎖上の単一の部位での置換によりシステインアミノ酸を導入するために抗体を操作することにより、対称的な抗体上に2つの新たなシステインがもたらされる。ほぼ2の薬物負荷が達成され、複合生成物ADCの均質性に近づき得る。
【0062】
本発明のシステイン操作抗体は、好ましくは、それらの野生型親抗体対応物の抗原結合能力を保持する。それ故に、システイン操作抗体は、抗原に好ましくは特異的に結合することができる。かかる抗原としては、例えば、腫瘍関連抗原(TAA)、細胞表面受容体タンパク質及び他の細胞表面分子、膜貫通タンパク質、シグナル伝達タンパク質、細胞生存調節因子、細胞増殖調節因子、組織発達または分化に関連する(例えば、それに機能的に寄与することが知られているかまたは疑われている)分子、リンフォカイン、サイトカイン、細胞周期調節に関与する分子、脈管形成に関与する分子、及び血管形成に関連する(例えば、それに機能的に寄与することが知られているかまたは疑われている)分子が挙げられる。腫瘍関連抗原は、クラスター分化因子(すなわち、CDタンパク質)であり得る。システイン操作抗体が結合することができる抗原は、上述のカテゴリーの1つのサブセットのメンバーであり得、そのカテゴリーの他のサブセット(複数可)は、(目的とする抗原に関して)はっきりと異なる特徴を有する他の分子/抗原を含む。
【0063】
システイン操作抗体は、鎖内ジスルフィド基の還元及び再酸化によるリンカー−薬物中間体との複合のために調製される(実施例19)。
【0064】
癌の治療における本発明の抗体−薬物複合体において有用であり得るシステイン操作抗体としては、細胞表面受容体及び腫瘍関連抗原(TAA)に対する抗体が挙げられるが、これに限定されない。腫瘍関連抗原が当該技術分野で既知であり、当該技術分野で周知の方法及び情報を使用した抗体の生成における使用のために調製され得る。癌診断及び療法に有効な細胞標的を見つけるために、研究者らは、1つ以上の正常な非癌性細胞と比較して1つ以上の特定の種類の癌細胞の表面上に特異的に発現する膜貫通、またはさもなければ、別様の腫瘍関連ポリペプチドを特定しようと努めている。多くの場合、かかる腫瘍関連ポリペプチドは、非癌性細胞の表面と比較して癌細胞の表面上により豊富に発現する。かかる腫瘍関連細胞表面抗原ポリペプチドの特定は、抗体に基づく療法により破壊について癌細胞を特異的に標的とする能力をもたらしている。
【0065】
腫瘍関連抗原TAAの例としては、以下に列記されるTAA(1)〜(51)が挙げられるが、これらに限定されない。便宜上、それらの抗原に関する情報(それらはすべて当該技術分野で既知である)が以下に列記されており、National Center for Biotechnology Information(NCBI)の核酸及びタンパク質配列同一性協定に従う、名称、代替名、Genbank受託番号、及び主な参考文献(複数可)を含む。TAA(1)〜(53)に対応する核酸及びタンパク質配列は、GenBank等の公開データベースから入手可能である。抗体によって標的とされる腫瘍関連抗原は、引用される参考文献で特定される配列に対して少なくとも約70%、80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するか、または引用される参考文献で見つけられる配列を有するTAAと実質的に同じ生物学的特性または特徴を呈するすべてのアミノ酸配列変異形及びアイソフォームを含む。例えば、変異形配列を有するTAAは、一般に、列記される対応する配列を有するTAAに特異的に結合する抗体に特異的に結合することができる。本明細書で具体的に列挙される参考文献における配列及び開示は、参照により明示的に組み込まれる。
腫瘍関連抗原:
(1)BMPR1B(骨形態形成タンパク質受容体IB型、Genbank受託番号 NM_001203)
ten Dijke,P.,et al Science 264(5155):101−104(1994),Oncogene 14(11):1377−1382(1997))、WO2004063362(請求項2)、WO2003042661(請求項12)、US2003134790−A1(38〜39貢)、WO2002102235(請求項13、296貢)、WO2003055443(91〜92貢)、WO200299122(実施例2、528〜530貢)、WO2003029421(請求項6)、WO2003024392(請求項2、
図112)、WO200298358(請求項1、183貢)、WO200254940(100〜101貢)、WO200259377(349〜350貢)、WO200230268(請求項27、376貢)、WO200148204(実施例、
図4)
NP_001194骨形態形成タンパク質受容体、IB型/pid=NP_001194.1−
相互参照:MIM:603248、NP_001194.1、AY065994
(2)E16(LAT1、SLC7A5、Genbank受託番号 NM_003486)
Biochem. Biophys. Res.Commun. 255(2),283−288(1999),Nature 395(6699):288−291(1998)、Gaugitsch,H.W.,et al(1992)J.Biol.Chem. 267(16):11267−11273)、WO2004048938(実施例2)、WO2004032842(実施例IV)、WO2003042661(請求項12)、WO2003016475(請求項1)、WO200278524(実施例2)、WO200299074(請求項19、127〜129貢)、WO200286443(請求項27、222貢、393貢)、WO2003003906(請求項10、293貢)、WO200264798(請求項33、93〜95貢)、WO200014228(請求項5、133〜136貢)、US2003224454(
図3)、WO2003025138(請求項12、150貢)、
NP_003477溶質担体ファミリー7(カチオン性アミノ酸輸送体、y+
系)、メンバー5/pid=NP_003477.3−人類
相互参照:MIM:600182、NP_003477.3、NM_015923、NM_003486_1
(3)STEAP1(前立腺6膜貫通上皮抗原、Genbank受託番号 NM_012449)
Cancer Res.61(15),5857−5860(2001),Hubert,R.S.,et al(1999)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.96(25):14523−14528)、WO2004065577(請求項6)、WO2004027049(
図1L)、EP1394274(実施例11)、WO2004016225(請求項2)、WO2003042661(請求項12)、US2003157089(実施例5)、US2003185830(実施例5)、US2003064397(
図2)、WO200289747(実施例5、618〜619貢)、WO2003022995(実施例9、
図13A、実施例53、173貢、実施例2、
図2A)、
NP_036581前立腺6膜貫通上皮抗原
相互参照:MIM:604415、NP_036581.1、NM_012449_1
(4)0772P(CA125、MUC16、Genbank受託番号 AF361486)
J.Biol.Chem.276(29):27371−27375(2001))、WO2004045553(請求項14)、WO200292836(請求項6、
図12)、WO200283866(請求項15、116〜121貢)、US2003124140(実施例16)、US798959 相互参照:GI:34501467、AAK74120.3、AF361486_1
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン、Genbank受託番号 NM_005823)Yamaguchi、N.,et al Biol.Chem. 269(2),805−808(1994),Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.96(20):11531−11536(1999)、Proc. Natl.Acad.Sci.U.S.A.93(1):136−140(1996)、J.Biol.Chem.270(37):21984−21990(1995))、WO2003101283(請求項14)、(WO2002102235(請求項13、287〜288貢)、WO2002101075(請求項4、308〜309貢)、WO200271928(320〜321貢)、WO9410312(52〜57貢)、相互参照:MIM:601051、NP_005814.2、NM_005823_1
(6)Napi3b(NAPI−3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質担体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体3b、Genbank受託番号 NM_006424)
J.Biol.Chem.277(22):19665−19672(2002),Genomics 62(2):281−284(1999),Feild,J.A.,et al(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.258(3):578−582)、WO2004022778(請求項2)、EP1394274(実施例11)、WO2002102235(請求項13、326貢)、EP875569(請求項1、17〜19貢)、WO200157188(請求項20、329貢)、WO2004032842(実施例IV)、WO200175177(請求項24、139〜140貢)、
相互参照:MIM:604217、NP_006415.1、NM_006424_1
(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7回トロンボスポンジン反復(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)及び短細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B、Genbank受託番号 AB040878)
Nagase T.,et al(2000)DNA Res.7(2):143−150)、WO2004000997(請求項1)、WO2003003984(請求項1)、WO200206339(請求項1、50貢)、WO200188133(請求項1、41〜43貢、48〜58貢)、WO2003054152(請求項20)、WO2003101400(請求項11)、
受託:Q9P283、EMBL、AB040878、BAA95969.1. Genew、HGNC:10737、
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子、Genbank受託番号 AY358628)、Ross et al(2002)Cancer Res.62:2546−2553、US2003129192(請求項2)、US2004044180(請求項12)、US2004044179(請求項11)、US2003096961(請求項11)、US2003232056(実施例5)、WO2003105758(請求項12)、US2003206918(実施例5)、EP1347046(請求項1)、WO2003025148(請求項20)、
相互参照:GI:37182378、AAQ88991.1、AY358628_1
(9)ETBR(エンドセリンB型受容体、Genbank受託番号 AY275463)、
Nakamuta M.,et al Biochem.Biophys.Res.Commun.177,34−39,1991、Ogawa Y.,et al Biochem.Biophys.Res.Commun.178,248−255,1991、Arai H.,et al Jpn. Circ. J.56,1303−1307,1992、Arai H.,et al J.Biol.Chem. 268,3463−3470,1993、Sakamoto A.,Yanagisawa M.,et al Biochem. Biophys. Res.Commun. 178,656−663,1991、Elshourbagy N.A.,et al J.Biol. Chem.268,3873−3879,1993、Haendler B.,et al J.Cardiovasc.Pharmacol.20,s1−S4,1992、Tsutsumi M.,et al Gene 228,43−49,1999、Strausberg R.L.,et al Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99,16899−16903,2002、Bourgeois C.,et al J.Clin.Endocrinol. Metab. 82,3116−3123,1997、Okamoto Y.,et al Biol.Chem. 272,21589−21596,1997、Verheij J.B.,et al Am. J.Med. Genet.08,223−225、2002、Hofstra R.M.W.,et al Eur. J.Hum. Genet. 5,180−185,1997、Puffenberger E.G.,et al Cell 79,1257−1266,1994、Attie T.,et al,Hum. Mol.Genet.4,2407−2409,1995、Auricchio A.,et al Hum.Mol.Genet.5:351−354,1996、Amiel J.,et al Hum.Mol.Genet.5,355−357,1996、Hofstra R.M.W.,et al Nat.Genet.12,445−447,1996、Svensson P.J.,et al Hum.Genet. 103,145−148,1998、Fuchs S.,et al Mol. Med. 7,115−124,2001、Pingault V.,et al(2002)Hum. Genet. 111,198−206、WO2004045516(請求項1)、WO2004048938(実施例2)、WO2004040000(請求項151)、WO2003087768(請求項1)、WO2003016475(請求項1)、WO2003016475(請求項1)、WO200261087(
図1)、WO2003016494(
図6)、WO2003025138(請求項12、144貢)、WO200198351(請求項1、124〜125貢)、EP522868(請求項8、
図2)、WO200177172(請求項1、297〜299貢)、US2003109676、US6518404(
図3)、US5773223(請求項1a、第31〜34欄)、WO2004001004
(10)MSG783(RNF124、仮想タンパク質FLJ20315、Genbank受託番号 NM_017763)、
WO2003104275(請求項1)、WO2004046342(実施例2)、WO2003042661(請求項12)、WO2003083074(請求項14、61貢)、WO2003018621(請求項1)、WO2003024392(請求項2、
図93)、WO200166689(実施例6)、
相互参照:LocusID:54894、NP_060233.2、NM_017763_1
(11) STEAP2(HGNC_8639、IPCA−1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺6膜貫通上皮抗原2、6膜貫通前立腺タンパク質、Genbank受託番号 AF455138)
Lab.Invest.82(11):1573−1582(2002))、WO2003087306、US2003064397(請求項1、
図1)、WO200272596(請求項13、54〜55貢)、WO200172962(請求項1、
図4B)、WO2003104270(請求項11)、WO2003104270(請求項16)、US2004005598(請求項22)、WO2003042661(請求項12)、US2003060612(請求項12、
図10)、WO200226822(請求項23、
図2)、WO200216429(請求項12、
図10)、
相互参照:GI:22655488、AAN04080.1、AF455138_1
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体電位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4、Genbank受託番号 NM_017636)
Xu,X.Z.,et al Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98(19):10692−10697(2001),Cell 109(3):397−407(2002),J.Biol.Chem.278(33):30813−30820(2003))、US2003143557(請求項4)、WO200040614(請求項14、100〜103貢)、WO200210382(請求項1、
図9A)、WO2003042661(請求項12)、WO200230268(請求項27、391貢)、US2003219806(請求項4)、WO200162794(請求項14、
図1A〜D)、
相互参照:MIM:606936、NP_060106.2、NM_017636_1
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌腫由来成長因子、Genbank受託番号 NP_003203またはNM_003212)
Ciccodicola,A.,et al EMBO J.8(7):1987−1991(1989),Am. J.Hum. Genet. 49(3):555−565(1991))、US2003224411(請求項1)、WO2003083041(実施例1)、WO2003034984(請求項12)、WO200288170(請求項2、52〜53貢)、WO2003024392(請求項2、
図58)、WO200216413(請求項1、94〜95貢、105貢)、WO200222808(請求項2、
図1)、US5854399(実施例2、第17〜18欄)、US5792616(
図2)、
相互参照:MIM:187395、NP_003203.1、NM_003212_1
(14)CD21(CR2(補体受容体2)またはC3DR(C3d/エプスタインバーウイルス受容体)またはHs.73792、Genbank受託番号 M26004)
Fujisaku et al(1989)J.Biol.Chem.264(4):2118−2125)、Weis J.J.,et al J.Exp.Med.167,1047−1066,1988、Moore M.,et al Proc.Natl. Acad.Sci.U.S.A.84,9194−9198,1987、Barel M.,et al Mol.Immunol.35,1025−1031,1998、Weis J.J.,et al Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83,5639−5643,1986、Sinha S.K.,et al(1993)J.Immunol. 150,5311−5320、WO2004045520(実施例4)、US2004005538(実施例1)、WO2003062401(請求項9)、WO2004045520(実施例4)、WO9102536(
図9.1〜9.9)、WO2004020595(請求項1)、
受託:P20023、Q13866、Q14212、EMBL、M26004、AAA35786.1.
(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連ベータ)、B29、Genbank受託番号 NM_000626または11038674)
Proc. Natl.Acad.Sci.U.S.A.(2003)100(7):4126−4131,Blood(2002)100(9):3068−3076,Muller et al (1992)Eur.J.Immunol.22(6):1621−1625)、WO2004016225(請求項2、
図140)、WO2003087768、US2004101874(請求項1、102貢)、WO2003062401(請求項9)、WO200278524(実施例2)、US2002150573(請求項5、15貢)、US5644033、WO2003048202(請求項1、306及び309貢)、WO99/558658、US6534482(請求項13、
図17A/B)、WO200055351(請求項11、1145〜1146貢)、
相互参照:MIM:147245、NP_000617.1、NM_000626_1
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C、Genbank受託番号 NM_030764、AY358130)
Genome Res.13(10):2265−2270(2003),Immunogenetics 54(2):87−95(2002),Blood 99(8):2662−2669(2002),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98(17):9772−9777(2001),Xu,M.J.,et al(2001)Biochem.Biophys.Res.Commun. 280(3):768−775、WO2004016225(請求項2)、WO2003077836、WO200138490(請求項5、
図18D−1〜18D−2)、WO2003097803(請求項12)、WO2003089624(請求項25)、
相互参照:MIM:606509、NP_110391.2、NM_030764_1
(17)HER2(ErbB2、Genbank受託番号 M11730)
Coussens L.,et al Science(1985)230(4730):1132−1139)、Yamamoto T.,et al Nature 319,230−234,1986、Semba K.,et al Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82,6497−6501,1985、Swiercz J.M.,et al J.Cell Biol.165,869−880,2004、Kuhns J.J.,et al J.Biol.Chem. 274,36422−36427,1999、Cho H.−S.,et al Nature 421,756−760,2003、Ehsani A.,et al(1993)Genomics 15,426−429、WO2004048938(実施例2)、WO2004027049(
図1I)、WO2004009622、WO2003081210、WO2003089904(請求項9)、WO2003016475(請求項1)、US2003118592、WO2003008537(請求項1)、WO2003055439(請求項29、
図1A〜B)、WO2003025228(請求項37、
図5C)、WO200222636(実施例13、95〜107貢)、WO200212341(請求項68、
図7)、WO200213847(71〜74貢)、WO200214503(114〜117貢)、WO200153463(請求項2、41〜46貢)、WO200141787(15貢)、WO200044899(請求項52、
図7)、WO200020579(請求項3、
図2)、US5869445(請求項3、第31〜38欄)、WO9630514(請求項2、56〜61貢)、EP1439393(請求項7)、WO2004043361(請求項7)、WO2004022709、WO200100244(実施例3、
図4)、
受託:P04626、EMBL、M11767、AAA35808.1. EMBL、M11761、AAA35808.1.
(18)NCA(CEACAM6、Genbank受託番号 M18728)、
Barnett T.,et al Genomics 3,59−66,1988、Tawaragi Y.,et al Biochem.Biophys.Res.Commun.150,89−96,1988、Strausberg R.L.,et al Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99:16899−16903,2002、WO2004063709、EP1439393(請求項7)、WO2004044178(実施例4)、WO2004031238、WO2003042661(請求項12)、WO200278524(実施例2)、WO200286443(請求項27、427貢)、WO200260317(請求項2)、
受託:P40199、Q14920、EMBL、M29541、AAA59915.1.MBL、M18728
(19)MDP(DPEP1、Genbank受託番号 BC017023)
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99(26):16899−16903(2002))、WO2003016475(請求項1)、WO200264798(請求項33、85〜87貢)、JP05003790(
図6〜8)、WO9946284(
図9)、
相互参照:MIM:179780、AAH17023.1、BC017023_1
(20)IL20Rα(IL20Ra、ZCYTOR7、Genbank受託番号 AF184971)、
Clark H.F.,et al Genome Res.13,2265−2270,2003、Mungall A.J.,et al Nature 425,805−811,2003、Blumberg H.,et al Cell 104,9−19,2001、Dumoutier L.,et al J.Immunol.167,3545−3549,2001、Parrish−Novak J.,et al J.Biol.Chem.277,47517−47523,2002、Pletnev S.,et al(2003)Biochemistry 42:12617−12624、Sheikh F.,et al(2004)J.Immunol. 172,2006−2010、EP1394274(実施例11)、US2004005320(実施例5)、WO2003029262(74〜75貢)、WO2003002717(請求項2、63貢)、WO200222153(45〜47貢)、US2002042366(20〜21貢)、WO200146261(57〜59貢)、WO200146232(63〜65貢)、WO9837193(請求項1、55〜59貢)、
受託:Q9UHF4、Q6UWA9、Q96SH8、EMBL、AF184971、AAF01320.1.
(21)ブレビカン(BCAN、BEHAB、Genbank受託番号 AF229053)
Gary S.C.,et al Gene 256,139−147,2000、Clark H.F.,et al Genome Res.13,2265−2270,2003、Strausberg R.L.,et al Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99,16899−16903,2002、US2003186372(請求項11)、US2003186373(請求項11)、US2003119131(請求項1、
図52)、US2003119122(請求項1、
図52)、US2003119126(請求項1)、US2003119121(請求項1、
図52)、US2003119129(請求項1)、US2003119130(請求項1)、US2003119128(請求項1、
図52)、US2003119125(請求項1)、WO2003016475(請求項1)、WO200202634(請求項1)、
(22)EphB2R(DRT、ERK、Hek5、EPHT3、Tyro5、Genbank受託番号 NM_004442)
Chan,J.and Watt,V.M.,Oncogene 6(6),1057−1061(1991)Oncogene 10(5):897−905(1995),Annu. Rev.Neurosci. 21:309−345(1998),Int.Rev.Cytol.196:177−244(2000))、WO2003042661(請求項12)、WO200053216(請求項1、41貢)、WO2004065576(請求項1)、WO2004020583(請求項9)、WO2003004529(128〜132貢)、WO200053216(請求項1、42貢)、
相互参照:MIM:600997、NP_004433.2、NM_004442_1
(23)ASLG659(B7h、Genbank受託番号 AX092328)
US20040101899(請求項2)、WO2003104399(請求項11)、WO2004000221(
図3)、US2003165504(請求項1)、US2003124140(実施例2)、US2003065143(
図60)、WO2002102235(請求項13、299貢)、US2003091580(実施例2)、WO200210187(請求項6、
図10)、WO200194641(請求項12、
図7b)、WO200202624(請求項13、
図1A〜1B)、US2002034749(請求項54、45〜46貢)、WO200206317(実施例2、320〜321貢、請求項34、321〜322貢)、WO200271928(468〜469貢)、WO200202587(実施例1、
図1)、WO200140269(実施例3、190〜192貢)、WO200036107(実施例2、205〜207貢)、WO2004053079(請求項12)、WO2003004989(請求項1)、WO200271928(233〜234貢、452〜453貢)、WO0116318、
(24)PSCA(前立腺幹細胞抗原前駆体、Genbank受託番号 AJ297436)
Reiter R.E.,et al Proc.Natl.Acad. Sci. U.S.A.95,1735−1740,1998、Gu Z.,et al Oncogene 19,1288−1296,2000、Biochem.Biophys. Res.Commun. (2000)275(3):783−788、WO2004022709、EP1394274(実施例11)、US2004018553(請求項17)、WO2003008537(請求項1)、WO200281646(請求項1、164貢)、WO2003003906(請求項10、288貢)、WO200140309(実施例1、
図17)、US2001055751(実施例1、
図1b)、WO200032752(請求項18、
図1)、WO9851805(請求項17、97貢)、WO9851824(請求項10、94貢)、WO9840403(請求項2、
図1B)、
受託:O43653、EMBL、AF043498、AAC39607.1.
(25)GEDA(Genbank受託番号 AY260763)、
AAP14954脂肪腫HMGIC融合パートナー様タンパク質/pid=AAP14954.1−人類
種:人類(ヒト)
WO2003054152(請求項20)、WO2003000842(請求項1)、WO2003023013(実施例3、請求項20)、US2003194704(請求項45)、
相互参照:GI:30102449、AAP14954.1、AY260763_1
(26)BAFF−R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3、Genbank受託番号 AF116456)、BAFF受容体/pid=NP_443177.1−人類
Thompson,J.S.,et al Science 293(5537),2108−2111(2001)、WO2004058309、WO2004011611、WO2003045422(実施例、32〜33貢)、WO2003014294(請求項35、
図6B)、WO2003035846(請求項70、615〜616貢)、WO200294852(第136〜137欄)、WO200238766(請求項3、133貢)、WO200224909(実施例3、
図3)、
相互参照:MIM:606269、NP_443177.1、NM_052945_1、AF132600
(27)CD22(B細胞受容体CD22−Bアイソフォーム、BL−CAM、Lyb−8、Lyb8、SIGLEC−2、FLJ22814、Genbank受託番号 AK026467)、
Wilson et al(1991)J.Exp. Med. 173:137−146、WO2003072036(請求項1、
図1)、
相互参照:MIM:107266、NP_001762.1、NM_001771_1
(28)CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連アルファ、Igベータ(CD79B)と共有的に相互作用し、Ig M分子を有する表面上に複合体を形成し、B細胞分化に関与するシグナルを伝達するB細胞特異的タンパク質)、pI:4.84、MW:25028 TM:2[P]遺伝子染色体:19q13.2、Genbank受託番号 NP_001774.10)
WO2003088808、US20030228319、WO2003062401(請求項9)、US2002150573(請求項4、13〜14貢)、WO9958658(請求項13、
図16)、WO9207574(
図1)、US5644033、Ha et al(1992)J.Immunol.148(5):1526−1531、Mueller et al(1992)Eur.J.Biochem.22:1621−1625、Hashimoto et al(1994)Immunogenetics 40(4):287−295、Preud’homme et al(1992)Clin.Exp.Immunol.90(1):141−146、Yu et al(1992)J.Immunol.148(2)633−637、Sakaguchi et al(1988)EMBO J.7(11):3457−3464
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1、CXCL13ケモカインによって活性化され、リンパ球移動及び体液性防御において機能し、HIV−2感染、ならびに恐らくAIDS、リンパ腫、骨髄腫、及び白血病の発症に関与するGタンパク質共役受容体)、372aa、pI:8.54 MW:41959 TM:7[P]遺伝子染色体:11q23.3、Genbank受託番号 NP_001707.1)
WO2004040000、WO2004015426、US2003105292(実施例2)、US6555339(実施例2)、WO200261087(
図1)、WO200157188(請求項20、269貢)、WO200172830(12〜13貢)、WO200022129(実施例1、152〜153貢、実施例2、254〜256貢)、WO9928468(請求項1、38貢)、US5440021(実施例2、第49〜52欄)、WO9428931(56〜58貢)、WO9217497(請求項7、
図5)、Dobner et al(1992)Eur. J.Immunol.22:2795−2799、Barella et al(1995)Biochem.J.309:773−779、
(30)HLA−DOB(ペプチドに結合してそれらをCD4+Tリンパ球に提示するMHCクラスII分子のベータサブユニット(Ia抗原))、273aa、pI:6.56 MW:30820 TM:1[P]遺伝子染色体:6p21.3、Genbank受託番号 NP_002111.1)
Tonnelle et al(1985)EMBO J.4(11):2839−2847、Jonsson et al(1989)Immunogenetics 29(6):411−413、Beck et al(1992)J.Mol.Biol.228:433−441、Strausberg et al(2002)Proc.Natl. Acad. Sci USA 99:16899−16903、Servenius et al(1987)J.Biol. Chem. 262:8759−8766、Beck et al(1996)J.Mol. Biol. 255:1−13、Naruse et al(2002)Tissue Antigens 59:512−519、WO9958658(請求項13、
図15)、US6153408(第35〜38欄)、US5976551(第168〜170欄)、US6011146(第145〜146欄)、Kasahara et al(1989)Immunogenetics 30(1):66−68、Larhammar et al(1985)J.Biol.Chem.260(26):14111−14119
(31)P2X5(プリン作動性受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5、細胞外ATPによって開口されたイオンチャネル、シナプス伝達及び神経新生に関与している可能性があり、欠損は特発性排尿筋不安定の病態生理学に寄与し得る)、422aa)、pI:7.63、MW:47206 TM:1[P]遺伝子染色体:17p13.3、Genbank受託番号 NP_002552.2)
Le et al(1997)FEBS Lett. 418(1−2):195−199、WO2004047749、WO2003072035(請求項10)、Touchman et al(2000)Genome Res.10:165−173、WO200222660(請求項20)、WO2003093444(請求項1)、WO2003087768(請求項1)、WO2003029277(82貢)
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb−2)PROTEIN SEQUENCE Full maeaity...tafrfpd(1..359、359aa)、pI:8.66、MW:40225 TM:1[P]遺伝子染色体:9p13.3、Genbank受託番号 NP_001773.1)
WO2004042346(請求項65)、WO2003026493(51〜52貢、57〜58貢)、WO200075655(105〜106貢)、Von Hoegen et al(1990)J.Immunol.144(12):4870−4877、Strausberg et al(2002)Proc.Natl.Acad.Sci USA 99:16899−16903
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質、B細胞活性化及びアポトーシスを調節し、機能喪失は全身性紅斑性狼瘡を有する患者における疾患活動性の増加に関連している)、661aa、pI:6.20、MW:74147 TM:1[P]遺伝子染色体:5q12、Genbank受託番号 NP_005573.1)
US2002193567、WO9707198(請求項11、39〜42貢)、Miura et al(1996)Genomics 38(3):299−304、Miura et al(1998)Blood 92:2815−2822、WO2003083047、WO9744452(請求項8、57〜61貢)、WO200012130(24〜26貢)
(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質1、C2型Ig様及びITAMドメインを含有する免疫グロブリンFcドメインの推定受容体、Bリンパ球分化に関与する可能性がある)、429aa、pI:5.28、MW:46925 TM:1[P]遺伝子染色体:1q21−1q22、Genbank受託番号 NP_443170.1)
WO2003077836、WO200138490(請求項6、
図18E−1〜18−E−2)、Davis et al(2001)Proc.Natl.Acad.Sci USA 98(17):9772−9777、WO2003089624(請求項8)、EP1347046(請求項1)、WO2003089624(請求項7)
(35)IRTA2(免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2、B細胞発生及びリンパ腫新生に関与する可能性のある推定免疫受容体、転座による遺伝子の調節解除がいくつかのB細胞悪性腫瘍で生じる)、977aa、pI:6.88 MW:106468 TM:1[P]遺伝子染色体:1q21、Genbank受託番号 ヒト:AF343662、AF343663、AF343664、AF343665、AF369794、AF397453、AK090423、AK090475、AL834187、AY358085、マウス:AK089756、AY158090、AY506558、NP_112571.1
WO2003024392(請求項2、
図97)、Nakayama et al(2000)Biochem.Biophys.Res.Commun.277(1):124−127、WO2003077836、WO200138490(請求項3、
図18B−1〜18B−2)
(36)TENB2(TMEFF2、トモレグリン、TPEF、HPP1、TR、推定膜貫通プロテオグリカン、成長因子及びホリスタチンのEGF/ヘレグリンファミリーに関連)、374aa、NCBI受託:AAD55776、AAF91397、AAG49451、NCBI RefSeq、NP_057276、NCBI遺伝子:23671、OMIM:605734、SwissProt Q9UIK5、Genbank受託番号 AF179274、AY358907、CAF85723、CQ782436
WO2004074320(配列番号810)、JP2004113151(配列番号2、4、8)、WO2003042661(配列番号580)、WO2003009814(配列番号411)、EP1295944(69〜70貢)、WO200230268(329貢)、WO200190304(配列番号2706)、US2004249130、US2004022727、WO2004063355、US2004197325、US2003232350、US2004005563、US2003124579、Horie et al(2000)Genomics 67:146−152、Uchida et al(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.266:593−602、Liang et al(2000)Cancer Res.60:4907−12、Glynne−Jones et al(2001)Int J Cancer.Oct 15;94(2):178−84
(37)PMEL17(シルバーホモログ、SILV、D12S53E、PMEL17、SI、SIL)、ME20、gp100)BC001414、BT007202、M32295、M77348、NM_006928、McGlinchey,R.P. et al(2009)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.106(33),13731−13736、Kummer,M.P.et al(2009)J.Biol.Chem.284(4),2296−2306
(38)TMEFF1(EGF様及び2つのホリスタチン様ドメイン1を有する膜貫通タンパク質、トモレグリン−1)、H7365、C9orf2、C9ORF2、U19878、X83961、NM_080655、NM_003692、Harms,P.W.(2003)Genes Dev.17(21),2624−2629、Gery,S.et al(2003)Oncogene 22(18):2723−2727
(39)GDNF−Ra1(GDNFファミリー受容体アルファ1、GFRA1、GDNFR、GDNFRA、RETL1、TRNR1、RET1L、GDNFR−アルファ1、GFR−ALPHA−1)、U95847、BC014962、NM_145793 NM_005264、Kim,M.H. et al(2009)Mol. Cell.Biol.29(8),2264−2277、Treanor,J.J.et al(1996)Nature 382(6586):80−83
(40)Ly6E(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E、Ly67、RIG−E、SCA−2、TSA−1)、NP_002337.1、NM_002346.2、de Nooij−van Dalen,A.G. et al(2003)Int.J.Cancer 103(6),768−774、Zammit,D.J.et al(2002)Mol.Cell.Biol.22(3):946−952
(41)TMEM46(シサホモログ2(アフリカツメガエル)、SHISA2)、NP_001007539.1、NM_001007538.1、Furushima,K.et al(2007)Dev.Biol.306(2),480−492、Clark,H.F.et al(2003)Genome Res.13(10):2265−2270
(42)Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D、Ly6−D、MEGT1)、NP_067079.2、NM_021246.2、Mallya,M. et al(2002)Genomics 80(1):113−123、Ribas,G. et al(1999)J.Immunol.163(1):278−287
(43)LGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役受容体5、GPR49、GPR67)、NP_003658.1、NM_003667.2、Salanti,G.et al(2009)Am.J.Epidemiol.170(5):537−545、Yamamoto,Y.et al(2003)Hepatology 37(3):528−533
(44)RET(RETプロト癌遺伝子、MEN2A、HSCR1、MEN2B、MTC1、PTC、CDHF12、Hs.168114、RET51、RET−ELE1)、NP_066124.1、NM_020975.4、Tsukamoto,H.et al(2009)Cancer Sci. 100(10):1895−1901、Narita,N.et al(2009)Oncogene 28(34):3058−3068
(45)LY6K(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K、LY6K、HSJ001348、FLJ35226)、NP_059997.3、NM_017527.3、Ishikawa,N.et al(2007)Cancer Res. 67(24):11601−11611、de Nooij−van Dalen,A.G.et al(2003)Int. J.Cancer 103(6):768−774
(46)GPR19(Gタンパク質共役受容体19、Mm.4787)、NP_006134.1、NM_006143.2、Montpetit,A.and Sinnett,D.(1999)Hum.Genet.105(1−2):162−164、O’Dowd,B.F.et al(1996)FEBS Lett.394(3):325−329
(47)GPR54(KISS1受容体、KISS1R、GPR54、HOT7T175、AXOR12)、NP_115940.2、NM_032551.4、Navenot,J.M.et al(2009)Mol.Pharmacol.75(6):1300−1306、Hata,K.et al(2009)Anticancer Res.29(2):617−623、
(48)ASPHD1(アスパラギン酸ベータヒドロキシラーゼドメイン含有1、LOC253982)、NP_859069.2、NM_181718.3、Gerhard,D.S.et al(2004)Genome Res.14(10B):2121−2127
(49)チロシナーゼ(TYR、OCAIA、OCA1A、チロシナーゼ、SHEP3)、NP_000363.1、NM_000372.4、Bishop,D.T.et al(2009)Nat.Genet.41(8):920−925、Nan,H.et al(2009)Int.J.Cancer 125(4):909−917、
(50)TMEM118(リングフィンガータンパク質、膜貫通2、RNFT2、FLJ14627)、NP_001103373.1、NM_001109903.1、Clark,H.F.et al(2003)Genome Res.13(10):2265−2270、Scherer,S.E.et al(2006)Nature 440(7082):346−351
(51)GPR172A(Gタンパク質共役受容体172A、GPCR41、FLJ11856、D15Ertd747e)、NP_078807.1、NM_024531.3、Ericsson,T.A.et al(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100(11):6759−6764、Takeda,S.et al(2002)FEBS Lett. 520(1−3):97−101.
(52)シアル酸結合免疫グロブリン様レクチンファミリーのメンバーであるCD33は、67kDaグリコシル化膜貫通タンパク質である。CD33は、関与する骨髄単核細胞及び赤血球前駆細胞に加えて、大半の脊髄細胞及び単球白血病細胞上で発現する。これは、最も初期の多能性幹細胞、成熟顆粒球、リンパ球細胞、または非造血細胞上では見られない(Sabbath et al.,(1985)J.Clin.Invest.75:756−56、Andrews et al.,(1986)Blood 68:1030−5).CD33は、その細胞質尾部上に2つのチロシン残基を含有し、それらの各々の後に、多くの阻害受容体に見られる免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)と同様の疎水性残基が続く。
(53)CLL−1(CLEC12A、MICL、及びDCAL2)は、C型レクチン/C型レクチン様ドメイン(CTL/CTLD)スーパーファミリーのメンバーをコードする。このファミリーのメンバーは、共通のタンパク質折り畳みを共有し、細胞接着、細胞間シグナル伝達、糖タンパク質代謝回転等の種々の機能を有し、炎症及び免疫応答に関与する。この遺伝子によってコードされたタンパク質は、顆粒球及び単球機能の負の調節因子である。この遺伝子のいくつかの選択的にスプライスされた転写物変異形について説明されているが、これらの変異形のうちのいくつかの全長性質は決定されていない。この遺伝子は、染色体12p13上のナチュラルキラー遺伝子複合体領域における他のCTL/CTLDスーパーファミリーメンバーに密接に連結している(Drickamer K(1999)Curr.Opin.Struct.Biol.9(5):585−90、van Rhenen A,et al.,(2007)Blood 110(7):2659−66、Chen CH,et al. (2006)Blood 107(4):1459−67、Marshall AS,et al.(2006)Eur.J.Immunol.36(8):2159−69、Bakker AB,et al(2005)Cancer Res.64(22):8443−50、Marshall AS,et al(2004)J.Biol.Chem.279(15):14792−802)。CLL−1は、(カルシウムまたは糖のいずれかに結合することは予測されない)単一のC型レクチン様ドメイン、ストーク領域、膜貫通ドメイン、及びITIMモチーフを含有する短い細胞質尾部を含むII型膜貫通受容体であると示されている。
【0066】
抗CD22抗体
表3のADCの抗CD22抗体は、US8226945によると、3つの軽鎖超可変領域(HVR−L1、HVR−L2、及びHVR−L3)ならびに3つの重鎖超可変領域(HVR−H1、HVR−H2、及びHVR−H3)を含む。
【0067】
抗HER2抗体
ある特定の実施形態では、表3のADCは、抗HER2抗体を含む。本発明の一実施形態では、本発明のADCの抗HER2抗体は、ヒト化抗HER2抗体、例えば、参照により本明細書に具体的に組み込まれるUS5821337の表3に記載のhuMAb4D5−1、huMAb4D5−2、huMAb4D5−3、huMAb4D5−4、huMAb4D5−5、huMAb4D5−6、huMAb4D5−7、及びhuMAb4D5−8を含む。それらの抗体は、HER2に結合するマウス抗体(4D5)の相補性決定領域を有するヒトフレームワーク領域を含有する。ヒト化抗体huMAb4D5−8は、HERCEPTIN(登録商標)という商標名で市販されているトラスツズマブとも称される。本発明の別の実施形態では、本発明のADCの抗HER2抗体は、ヒト化抗HER2抗体、例えば、US7862817に記載のヒト化2C4を含む。例示のヒト化2C4抗体は、PERJETA(登録商標)という商標名で市販されているペルツズマブである。
【0068】
本発明の別の実施形態では、本発明のADCの抗HER2抗体は、ヒト化抗HER2抗体を含み、7C2である。
【0069】
いくつかの実施形態では、表3のADCを調製するために使用されるシステイン操作THIOMAB(商標)抗体は、システイン残基を軽鎖の149リジン部位(LC K149C)に導入させる。他の実施形態では、システイン操作THIOMAB(商標)抗体は、システイン残基を重鎖の118アラニン部位(EU番号付け)(HC A118C)に導入させる。あるいは、この部位は、連続番号付けによって121に、またはKabat番号付けによって114に番号付けされる。
【0070】
抗CD33抗体
表2のADCの抗CD33抗体15G15.33は、3つの軽鎖超可変領域(HVR−L1、HVR−L2、及びHVR−L3)ならびに3つの重鎖超可変領域(HVR−H1、HVR−H2、及びHVR−H3)を含む。
【0071】
表5のADCの抗CD33抗体15G15.33は、配列番号13の軽鎖可変領域及び/または配列番号14の重鎖可変領域を含む。
EIVLTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSNGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGVNSV
SGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQALQTPWTFGQGTKVEIK
(配列番号13)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGIFSNHAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANY
AQKFQGRVTITADESTSTAFMELSSLRSEDTAVYYCAREWADVFDIWGQGTMVTVSS
(配列番号14)
抗CD33抗体9C3及び他の実施形態
9C3 V
L
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRF
SGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKLEIK
(配列番号21)
9C3 V
H
EVQLVESGGALIQPGGSLRLSCVASGFTISGNYMSWVRQAPGKGLEWVSLIYSGDSTYYADS
VKGRFNISRDISKNTVYLQMNSLRVEDTAVYYCVRDGYYVSDMVVWGKGTTVTVSS
(配列番号22)
9C3.2 V
L
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRF
SGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKLEIK
(配列番号23)
9C3.2 V
H
EVQLVESGGALIQPGGSLRLSCVASGFTISGNYMSWVRQAPGKGLEWVSLIYSGDSTYYADS
VKGRFTISRDISKNTVYLQMNSLRVEDTAVYYCVRDGYYVSDMVVWGKGTTVTVSS
(配列番号24)
9C3.3 V
L
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRF
SGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKLEIK
(配列番号25)
9C3.3 V
H
EVQLVESGGALIQPGGSLRLSCVASGFTISGNYMSWVRQAPGKGLEWVSLIYSGDSTYYADS
VKGRFSISRDISKNTVYLQMNSLRVEDTAVYYCVRDGYYVSDMVVWGKGTTVTVSS
(配列番号26)
9C3.4 V
L
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRF
SGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKLEIK
(配列番号27)
9C3.4 V
H
EVQLVESGGALIQPGGSLRLSCVASGFTISGNYMSWVRQAPGKGLEWVSLIYSGDSTYYADS
VKGRFAISRDISKNTVYLQMNSLRVEDTAVYYCVRDGYYVSDMVVWGKGTTVTVSS
(配列番号28)
【0072】
いくつかの実施形態では、本発明は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む抗CD33抗体を提供する。
【0073】
一態様では、本発明は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも1つの、少なくとも2つの、または3つすべてのVH HVR配列を含む抗体を提供する。一実施形態では、この抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。別の実施形態では、この抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H3及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。さらなる実施形態では、この抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。さらなる実施形態では、この抗体は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
【0074】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つの、少なくとも2つの、または3つすべてのVL HVR配列を含む抗体を提供する。一実施形態では、この抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0075】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号20から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも1つの、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン、ならびに(b)(i)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つの、少なくとも2つの、または3つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0076】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0077】
上記の実施形態のうちのいずれかでは、抗CD33抗体は、ヒト化されている。一実施形態では、抗CD33抗体は、上記の実施形態のうちのいずれかにあるようなHVRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。ある特定の実施形態では、ヒトアクセプターフレームワークは、ヒトVLカッパIコンセンサス(VL
KI)フレームワーク及び/またはVHフレームワークVH
1である。ある特定の実施形態では、ヒトアクセプターフレームワークは、以下の変異のうちのいずれか1つを含むヒトVLカッパIコンセンサス(VL
KI)フレームワーク及び/またはVHフレームワークVH
1である。
【0078】
別の態様では、抗CD33抗体は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び/または配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある特定の実施形態では、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び/または配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33に結合する能力を保持する。ある特定の実施形態では、合計1〜10個のアミノ酸が、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び/または配列番号28において置換されており、挿入されており、かつ/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1〜5個のアミノ酸が、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び/または配列番号28において置換されており、挿入されており、かつ/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意に、抗CD33抗体は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び/または配列番号28のVH配列(その配列の翻訳後修飾を含む)を含む。特定の実施形態では、このVHは、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
【0079】
別の態様では、抗CD33抗体が提供され、この抗体は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び/または配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。ある特定の実施形態では、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び/または配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33に結合する能力を保持する。ある特定の実施形態では、合計1〜10個のアミノ酸が、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び/または配列番号27において置換されており、挿入されており、かつ/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1〜5個のアミノ酸が、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び/または配列番号27において置換されており、挿入されており、かつ/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意に、抗CD33抗体は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び/または配列番号27のVL配列(その配列の翻訳後修飾を含む)を含む。特定の実施形態では、このVLは、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
【0080】
別の態様では、抗CD33抗体が提供され、この抗体は、上に提供される実施形態のうちのいずれかにあるようなVH及び上に提供される実施形態のうちのいずれかにあるようなVLを含む。
【0081】
一実施形態では、この抗体は、それぞれ、配列番号22及び配列番号21にVH配列及びVL配列(それらの配列の翻訳後修飾を含む)を含む。一実施形態では、この抗体は、それぞれ、配列番号24及び配列番号23にVH配列及びVL配列(それらの配列の翻訳後修飾を含む)を含む。一実施形態では、この抗体は、それぞれ、配列番号26及び配列番号25にVH配列及びVL配列(それらの配列の翻訳後修飾を含む)を含む。一実施形態では、この抗体は、それぞれ、配列番号28及び配列番号27にVH配列及びVL配列(それらの配列の翻訳後修飾を含む)を含む。
【0082】
さらなる態様では、本明細書に提供される抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が本明細書に提供される。例えば、ある特定の実施形態では、それぞれ、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び/または配列番号28のVH配列、ならびに配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び/または配列番号27のVL配列を含む、抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0083】
本発明のさらなる態様では、上記の実施形態のうちのいずれかによる抗CD33抗体は、ヒト抗体等のモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗CD33抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、またはF(ab’)
2断片である。別の実施形態では、この抗体は、実質的に全長抗体、例えば、IgG1抗体、IgG2a抗体、または本明細書で定義される他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
【0084】
さらなる態様では、上記の実施形態のうちのいずれかによる抗CD33抗体は、以下に記載の特徴のうちのいずれかを単独でまたは組み合わせで組み込み得る。
【0085】
親抗体は、アルブミン結合ペプチド(ABP)配列を含む融合タンパク質でもあり得る(参照により本明細書に組み込まれる、Dennis et al.(2002)J Biol Chem.277:35035−35043(表III及びIV、35038貢)、及びWO2001/45746(12〜13貢)。
【0086】
変異誘発によってシステイン操作抗体を調製するために、出発ポリペプチドのアミノ酸配列変異形をコードするDNAは、当該技術分野で既知の様々な方法によって調製される。これらの方法としては、ポリペプチドをコードする先に調製されたDNAの部位特異的(またはオリゴヌクレオチド媒介)変異誘発、PCR変異誘発、及びカセット変異誘発による調製が挙げられるが、これらに限定されない。組換え抗体の変異形は、制限断片操作または合成オリゴヌクレオチドを用いたオーバーラップエクステンションPCRによっても構築され得る。変異誘発プライマーは、システインコドン置換(複数可)をコードする。標準の変異誘発技法を用いて、かかる変異体システイン操作抗体をコードするDNAを生成することができる。一般的ガイダンスは、Sambrook et al Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989、及びAusubel et al Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York,N.Y.,1993で見つけることができる。
【0087】
抗体は、例えばUS4816567に記載の組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。一実施形態では、単離された核酸は、その抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、その抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードする。さらなる実施形態では、かかる核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる実施形態では、かかる核酸を含む宿主細胞が提供される。かかる一実施形態では、宿主細胞は、(1)この抗体のVLを含むアミノ酸配列及びこの抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)この抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及びこの抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらで形質転換されている)。一実施形態では、宿主細胞は、真核性、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施形態では、方法は、上に提供されるその抗体をコードする核酸を含む宿主細胞をその抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意に、その抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することとを含む。
【0088】
組換え産生のために、例えば上述の抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/または発現のために1つ以上のベクターに挿入される。かかる核酸は、従来の手順を使用して(例えば、その抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離及び配列決定され得る。抗体コードベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞としては、本明細書に記載の原核細胞または真核細胞が挙げられる。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合に、細菌中で産生され得る。細菌中での抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、US5648237、US5789199、及びUS5840523を参照されたく、大腸菌中での抗体断片の発現について説明する、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245−254も参照されたい)。発現後、この抗体は、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離され得、さらに精製され得る。原核生物に加えて、糸状菌または酵母等の真核微生物は、抗体コードベクターに好適なクローニングまたは発現宿主であり、それらとしては、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、結果として部分的または完全ヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌及び酵母株が挙げられる。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409−1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210−215(2006)を参照されたい。グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。特にヨトウガ細胞のトランスフェクションのために昆虫細胞とともに使用することができる多数のバキュロウイルス株が特定されている。US5959177、US6040498、US6420548、US7125978、及びUS6417429(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPL抗体(商標)技術について説明している)に記載のもの等の植物細胞培養物も宿主として利用することができる。脊椎動物細胞も宿主として使用され得る。例えば、懸濁液中で成長するように適合された哺乳類細胞株が有用であり得る。有用な哺乳類宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7)、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載の293または293細胞、ベビーハムスタ腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980)に記載のTM4細胞、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562)、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982)に記載のTRI細胞、MRC 5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な哺乳類宿主細胞株としては、DHFR
−CHO細胞等のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))、ならびにY0、NS0、及びSp2/0等の骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適なある特定の哺乳類宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255−268(2003)を参照されたい。
【0089】
部位特異的変異誘発は、置換変異形、すなわち、変異体タンパク質を調製するための方法の1つである(Carter(1985)et al Nucleic Acids Res.13:4431−4443、Ho et al(1989)Gene(Amst.)77:51−59、及びKunkel et al(1987)Proc.Natl.Acad.Sci. USA 82:488)。出発DNAは、最初に所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドをかかる出発DNAの一本鎖にハイブリダイズすることによって改変される。ハイブリダイズした後、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用し、かつ出発DNAの一本鎖を鋳型として使用して、全第二鎖を合成するためにDNAポリメラーゼが使用される。それ故に、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドは、結果として生じる二本鎖DNAに組み込まれる。部位特異的変異誘発は、発現プラスミド中で変異誘発されるタンパク質を発現させる遺伝子内で実行され得、結果として生じるプラスミドが配列決定されて、所望のシステイン置換変異の導入を確認することができる(Liu et al(1998)J.Biol.Chem.273:20252−20260)。部位特異的変異誘発プロトコル及び形式、例えば、QuikChange(登録商標)多部位特異的変異誘発キット(Stratagene,La Jolla,CA)は、広く入手可能である。
【0090】
PCR変異誘発は、出発ポリペプチドのアミノ酸配列変異形の作製にも好適である。Higuchi,(1990) in PCR Protocols,pp.177−183,Academic Press、Ito et al(1991)Gene 102:67−70、Bernhard et al(1994)Bioconjugate Chem.,5:126−132、及びVallette et al(1989)Nuc. Acids Res.,17:723−733を参照されたい。簡潔に、少量の鋳型DNAがPCRにおいて出発材料として使用される場合、鋳型DNAにおける対応する領域と配列がわずかに異なるプライマーを使用して、プライマーが鋳型とは異なる位置でのみ鋳型配列が異なる比較的多量の特異的DNA断片を生成することができる。
【0091】
変異形を調製するための別の方法であるカセット変異誘発は、Wells et al(1985)Gene,34:315−323により説明される技法に基づく。出発材料は、変異される出発ポリペプチドDNAを含むプラスミド(または他のベクター)である。変異される出発DNAにおけるコドン(複数可)が特定される。特定された変異部位(複数可)の両側に特有の制限エンドヌクレアーゼ部位が存在するはずである。かかる制限部位が存在しない場合、それらは、それらを出発ポリペプチドDNAにおける適切な位置に導入する上述のオリゴヌクレオチド媒介変異誘発方法を使用して生成され得る。このプラスミドDNAがそれらの部位で切断されて、それを直線化する。制限部位間のそのDNAの配列をコードするが、所望の変異(複数可)を含有する二本鎖オリゴヌクレオチドは、標準の手順を使用して合成され、オリゴヌクレオチドの2つの鎖は別個に合成され、その後、標準の手順を使用して一緒にハイブリダイズされる。この二本鎖オリゴヌクレオチドは、カセットと称される。このカセットは、それがプラスミドに直接ライゲートされ得るように、直線化されたプラスミドの末端と適合性のある5’末端及び3’末端を有するように設計されている。このプラスミドは、変異されたDNA配列を含有するようになる。コードされたシステイン置換を含有する変異体DNAは、DNA配列決定によって確認され得る。
【0092】
単一変異は、PCRベースの変異誘発による二本鎖プラスミドDNAを鋳型として使用したオリゴヌクレオチド指向変異誘発によっても生成され得る(Sambrook and Russel,(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd edition、Zoller et al(1983)Methods Enzymol.100:468−500、Zoller,M.J.and Smith,M.(1982)Nucl.Acids Res.10:6487−6500)。
【0093】
ある特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸修飾が本明細書に提供される抗体のFc領域に導入され、それによりFc領域変異形を生成することができる。このFc領域変異形は、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0094】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗体のインビボ半減期が重要であるが、ある特定のエフェクター機能(補体及びADCC等の)が不必要または有害である用途の望ましい候補となる、すべてではないがいくつかのエフェクター機能を有する抗体変異形を企図する。インビトロ及び/またはインビボ細胞毒性アッセイを実行して、CDC及び/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠く(それ故に、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確実にすることができる。
【0095】
アントラサイクリンジスルフィド中間体
本発明の抗体−薬物複合体化合物は、ケトン基にてジスルフィド基で誘導体化されたPNU−15682部分から成るアントラサイクリンジスルフィド中間体を含む。
【0096】
このアントラサイクリンジスルフィド中間体は、以下の式を有し、
Ant-L-(Z)
m-X I
式中、Antが、以下の構造から選択され、
式中、波線が、Lへの結合を示し、
Lが、−CH
2O−、−CH
2N(R)−、-N(R)-、-N(R)(C
1-C
12アルキレン)-、−N(R)(C
2-C
8アルケニレン)-、-N(R)(C
2-C
8アルキニレン)-、-N(R)(CH
2CH
2O)
n-、及び以下の構造から選択されるリンカーであり、
式中、波線が、Ant及びZへの結合を示し、
Zが、-CH
2C(O)-、-CH
2C(O)NR(C
1-C
12アルキレン)-、及び以下の構造から選択される任意のスペーサーであり、
式中、波線が、L及びXへの結合を示し、
Rが、H、C
1-C
12アルキル、またはC
6-C
20アリールであり、
Z
1が、-(C
1-C
12アルキレン)-、-(C
2-C
8アルケニレン)-、-(C
2-C
8アルキニレン)-、-O(C
1-C
12アルキレン)-、-O(C
2-C
8アルケニレン)-、-O(C
2-C
8アルキニレン)-、及び-(CH
2CH
2O)
n-から選択され、
mが、0または1であり、
nが、1〜6であり、
Xが、ピリジルジスルフィドであり、この場合、ピリジルが、NO
2、Cl、F、CN、及びBrから選択される1つ以上の基で任意に置換され、
アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アルキル、及びアリールが、F、Cl、Br、N(CH
3)
2、NO
2、及びOCH
3から選択される1つ以上の基で任意に置換される。
【0097】
Xの例示の実施形態は、
であり、
式中、波線が、LまたはZへの結合を示し、
R
1が、NO
2、Cl、F、CN、またはBrであり、qが、0、1、または2である。
【0098】
特定の機構または効果に限定されることなく、アントラサイクリンジスルフィド中間体のピリジル環上での電子求引基R
1、NO
2、Cl、F、またはBrの存在により、システイン操作抗体のシステインチオールとの反応が加速される。システインチオールが抗体上の妨害された部位または反応性のより低い部位に導入されている場合、かかるアントラサイクリンジスルフィド中間体は、対応する非置換ピリジル類似体(R
1=H)に対してより効率的な複合をもたらす。
【0099】
例示のリンカー−薬物中間体は、式Ia〜cであり、
式中、R
1が、NO
2、Cl、F、CN、またはBrであり、qが、0、1、または2である。
【0100】
例示のリンカー−薬物中間体は、を含み、式中、R
1がNO
2であり、qが1である。
【0101】
例示のリンカー−薬物中間体は、式Idである。
【0102】
本発明の抗体−薬物複合体の調製に好適な例示のアントラサイクリンジスルフィド、リンカー−薬物中間体が表1に包含されている。アントラサイクリンジスルフィド、リンカー−薬物(LD)中間体の合成については、実施例1で説明されている。
【0103】
抗体−薬物複合体(ADC)
本発明の抗体−薬物複合体(ADC)化合物は、強力なアントラサイクリン薬物部分に連結された腫瘍関連抗原に特異的な抗体を含み、癌を含むいくつかの過剰増殖性障害に対して有効な治療活性を有するものを含む。薬物部分の生物学的活性は、抗体への複合によって調節される。本発明のADCは、有効用量のアントラサイクリン薬物、または毒素を腫瘍細胞または部位に選択的に送達し、それにより、治療指数(「治療濃度域」)を増加させながら、より高い選択性、すなわち、より低い効果的用量が達成され得る。例示の実施形態では、ADC化合物は、リンカーによってアントラサイクリン薬物部分に複合される、すなわち共有結合されるシステイン操作抗体を含む。
【0104】
本発明の抗体−薬物複合体化合物は、ジスルフィド、リンカーL、及び任意のスペーサーZによって1つ以上のアントラサイクリン誘導体薬物部分Dに共有結合される抗体を含み、この化合物は、式II、
Ab-S−S-(Z
m-L-D)
pII
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、Abが、(1)〜(53)から選択される1つ以上の腫瘍関連抗原または細胞表面受容体に結合する抗体であり、
(1)BMPR1B(骨形態形成タンパク質受容体IB型)、
(2)E16(LAT1、SLC7A5)、
(3)STEAP1(前立腺6膜貫通上皮抗原)、
(4)MUC16(0772P、CA125)、
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン)、
(6)Napi2b(NAPI−3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質担体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体3b)、
(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7回トロンボスポンジン反復(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)及び短細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B)、
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子)、
(9)ETBR(エンドセリンB型受容体)、
(10)MSG783(RNF124、仮想タンパク質FLJ20315)、
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA−1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺6膜貫通上皮抗原2、6膜貫通前立腺タンパク質)、
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体電位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4)、
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌腫由来成長因子)、
(14)CD21(CR2(補体受容体2)またはC3DR(C3d/エプスタインバーウイルス受容体)またはHs 73792)、
(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連ベータ)、B29)、
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C)、
(17)HER2、
(18)NCA、
(19)MDP、
(20)IL20Rα、
(21)ブレビカン、
(22)EphB2R、
(23)ASLG659、
(24)PSCA、
(25)GEDA、
(26)BAFF−R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3)、
(27)CD22(B細胞受容体CD22−Bアイソフォーム)、
(28)CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連アルファ)、
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1)、
(30)HLA−DOB(MHCクラスII分子のベータサブユニット(Ia抗原))、
(31)P2X5(プリン作動性受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5)、
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb−2)、
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質)、
(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質1)、
(35)FcRH5(IRTA2、免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2)、
(36)TENB2(推定膜貫通プロテオグリカン)、
(37)PMEL17(シルバーホモログ、SILV、D12S53E、PMEL17、SI、SIL)、
(38)TMEFF1(EGF様及び2つのホリスタチン様ドメイン1を有する膜貫通タンパク質、トモレグリン−1)、
(39)GDNF−Ra1(GDNFファミリー受容体アルファ1、GFRA1、GDNFR、GDNFRA、RETL1、TRNR1、RET1L、GDNFR−アルファ1、GFR−ALPHA−1)、
(40)Ly6E(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E、Ly67、RIG−E、SCA−2、TSA−1)、
(41)TMEM46(シサホモログ2(アフリカツメガエル)、SHISA2)、
(42)Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D、Ly6−D、MEGT1)、
(43)LGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役受容体5、GPR49、GPR67)、
(44)RET(RETプロト癌遺伝子、MEN2A、HSCR1、MEN2B、MTC1、PTC、CDHF12、Hs.168114、RET51、RET−ELE1)、
(45)LY6K(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K、LY6K、HSJ001348、FLJ35226)、
(46)GPR19(Gタンパク質共役受容体19、Mm.4787)、
(47)GPR54(KISS1受容体、KISS1R、GPR54、HOT7T175、AXOR12)、
(48)ASPHD1(アスパラギン酸ベータヒドロキシラーゼドメイン含有1、LOC253982)、
(49)チロシナーゼ(TYR、OCAIA、OCA1A、チロシナーゼ、SHEP3)、
(50)TMEM118(リングフィンガータンパク質、膜貫通2、RNFT2、FLJ14627)、
(51)GPR172A(Gタンパク質共役受容体172A、GPCR41、FLJ11856、D15Ertd747e)、
(52)CD33、及び
(53)CLL−1、
Dが、以下の構造から選択されるアントラサイクリン誘導体であり、
式中、波線が、Lへの結合を示し、
Lが、−CH
2O−、−CH
2N(R)−、-N(R)-、-N(R)(C
1-C
12アルキレン)-、−N(R)(C
2-C
8アルケニレン)-、-N(R)(C
2-C
8アルキニレン)-、-N(R)(CH
2CH
2O)
n-、及び以下の構造から選択されるリンカーであり、
式中、波線が、D及びZへの結合を示し、
Zが、-CH
2C(O)-、-CH
2C(O)NR(C
1-C
12アルキレン)-、及び以下の構造から選択される任意のスペーサーであり、
Rが、H、C
1-C
12アルキル、またはC
6-C
20アリールであり、
Z
1が、-(C
1-C
12アルキレン)-、-(C
2-C
8アルケニレン)-、-(C
2-C
8アルキニレン)-、及び-(CH
2CH
2O)
n-から選択され、
mが、0または1であり、
nが、1〜6であり、
pが、1〜8の整数である。
表2:抗体−薬物複合体(ADC)
DAR=平均薬物/抗体比
A118C(EU番号付け)=A121C(連続番号付け)=A114C(Kabat番号付け)
野生型(「WT」)、システイン操作変異体抗体(「thio」)、軽鎖(「LC」)、重鎖(「HC」)、6−マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン−シトルリン(「val−cit」または「vc」)、アラニン−フェニルアラニン(「ala−phe」)、p−アミノベンジル(「PAB」)、及びp−アミノベンジルオキシカルボニル(「PABC」)
表3:切断不可能、非ジスルフィド、コンパレータADC
【0105】
インビトロ細胞増殖アッセイ
一般に、抗体−薬物複合体(ADC)の細胞毒性または細胞増殖抑制活性は、受容体タンパク質、例えば、HER2を有する哺乳類細胞を、細胞培養培地中のADCの抗体に曝すことと、その細胞を約6時間〜約5日間培養することと、細胞生存率を測定することとによって測定される。細胞ベースのインビトロアッセイを使用して、本発明のADCの生存率(増殖)、細胞毒性、及びアポトーシス誘発(カスパーゼ活性化)を測定した。
【0106】
抗体−薬物複合体(ADC)のインビトロ効力を細胞増殖アッセイ(実施例4)によって測定した。本発明のADCは、腫瘍細胞増殖の阻害において驚くべき予想外の効力を示した。ADCの効力を細胞の標的抗原発現と相関させた。試験された複合体は、細胞の表面上に発現する特異的抗原に結合し、かつそれらの細胞のインビトロ死を引き起こすことができる。
【0107】
CellTiter−Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイは、市販の(Promega Corp.,Madison,WI)鞘翅目ルシフェラーゼ組換え発現に基づく均質アッセイ方法(US5583024、US5674713、US5700670)である。この細胞増殖アッセイは、代謝的に活性な細胞の指標である存在するATPの定量に基づいて培養物中の生存細胞の数を決定する(Crouch et al(1993)J.Immunol.Meth.160:81−88、US6602677)。CellTiter−Glo(登録商標)アッセイを96ウェル形式で実行して、自動ハイスループットスクリーニング(HTS)に従順させた(Cree et al(1995)AntiCancer Drugs 6:398−404)。均質アッセイ手順は、単一の試薬(CellTiter−Glo(登録商標)試薬)を血清補充培地中で培養された細胞に直接添加することを伴う。細胞洗浄、培地除去、及び複数のピペット操作ステップは不要である。このシステムは、試薬を添加して混合した10分後に384ウェル形式において1ウェル当たりわずか15個の細胞しか検出しない。これらの細胞は、ADCで連続して処置され得るか、または処置されてADCから分離され得る。一般に、短時間、すなわち、3時間処置された細胞は、連続して処置された細胞と同じ効力効果を示した。
【0108】
均質「添加−混合−測定」形式は、細胞溶解及び存在するATPの量に比例した発光シグナルの発生をもたらす。ATPの量は、培養物中に存在する細胞の数に正比例する。CellTiter−Glo(登録商標)アッセイは、細胞の種類及び使用される培地に応じて一般に5時間を超える半減期を有するルシフェラーゼ反応によってもたらされる「グロー型」発光シグナルを発生させる。生存細胞は、相対発光単位(RLU)で反射される。基質である甲虫ルシフェリンは、組換えホタルルシフェラーゼによって酸化的に脱炭酸化され、ATPのAMPへの変換及び光子の発生を同時に伴う。
【0109】
細胞ベースのインビトロアッセイを使用して、本発明のADCの生存率(増殖)、細胞毒性、及びアポトーシス誘発(カスパーゼ活性化)を測定する。一般に、抗体−薬物複合体(ADC)の細胞毒性または細胞増殖抑制活性は、Her2またはMUC16ポリペプチド等の抗原を発現する哺乳類細胞を、細胞培養培地中のADCに曝すことと、その細胞を約6時間〜約5日間培養することと、細胞生存率を測定することとによって測定される。抗MUC16 ADCの細胞増殖アッセイに有用な哺乳類細胞としては、(1)MUC16ポリペプチド発現細胞株OVCAR−3、(2)MUC16ポリペプチドの一部をその細胞表面上で安定して発現させるように操作されたPC3由来の細胞株(PC3/MUC16)、(3)MUC16ポリペプチドを発現しない親PC3細胞株、及び(4)MUC16ポリペプチドを発現しないが、外因性MUC16発現を誘導するために使用されるベクターを保有するPC3細胞株(PC3/neo)が挙げられる。
【0110】
図1は、チオHu 抗Her2 7C2 HC A118C−(LD−57)114、チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(LD−57)109、及びチオHu 抗CD33 15G15.3 LC K149C−(LD−57)110の濃度(μg/mL)に対する5日間でのSK−BR−3インビトロ細胞生存率のプロットにおける抗体−薬物複合体の有効性を示す。Her2抗原は、SK−BR−3細胞内で高度に発現される。抗Her2 ADC 114も109もいずれも、線形用量応答細胞死滅活性を示した。軽鎖K149C変異体ADC 109は、重鎖A118C変異体ADC 114と同じか、またはそれよりもわずかにより強力な細胞死滅活性を示した。対照オフターゲット抗CD33 ADC 110は、より低い活性を示す。
【0111】
図2は、チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(LD−59)116、チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(LD−57)109、及びチオHu 抗CD33 15G15.3 LC K149C−(LD−59)115の濃度(μg/mL)に対する5日間のSK−BR−3インビトロ細胞生存率のプロットにおける抗体−薬物複合体の有効性を示す。抗Her2 ADC 116も109もいずれも、線形用量応答細胞死滅活性を示した。非置換のあまり妨害されていないエチルジスルフィドリンカー109を有する抗体−薬物複合体109は、メチル置換されたより妨害されたジスルフィドリンカーADC−116と同じか、またはそれよりもわずかに強力な細胞死滅活性を示した。
【0112】
図6は、チオHu 抗Napi3b 10H1.11.4B LC K149C−(LD−57)121、チオHu 抗CD22 10F4v3 LC K149C−(LD−57)120、チオHu 抗Napi3b 10H1.11.4B LC K149C−(LD−59)123、チオHu 抗CD22 10F4v3 LC K149C−(LD−59)122、チオHu 抗Napi3b 10H1.11.4B LC K149C−(LD−58)125、チオHu 抗CD22 10F4v3 LC K149C−(LD−58)124、チオHu 抗Napi3b 10H1.11.4B LC K149C−(LD−60)127、及びチオHu 抗CD22 10F4v3 LC K149C−(LD−60)126の濃度(μg/mL)に対する5日間のBJAB.lucインビトロ細胞生存率のプロットにおける抗体−薬物複合体の有効性を示す。
【0113】
図7は、チオHu 抗Napi3b 10H1.11.4B LC K149C−(LD−57)121、チオHu 抗CD22 10F4v3 LC K149C−(LD−57)120、チオHu 抗Napi3b 10H1.11.4B LC K149C−(LD−59)123、チオHu 抗CD22 10F4v3 LC K149C−(LD−59)122、チオHu 抗Napi3b 10H1.11.4B LC K149C−(LD−58)125、チオHu 抗CD22 10F4v3 LC K149C−(LD−58)124、チオHu 抗Napi3b 10H1.11.4B LC K149C−(LD−60)127、及びチオHu 抗CD22 10F4v3 LC K149C−(LD−60)126の濃度(μg/mL)に対する5日間のWSU−DLCL2インビトロ細胞生存率のプロットにおける抗体−薬物複合体の有効性を示す。
【0114】
インビボ有効性
本発明の抗体−薬物複合体(ADC)のインビボ有効性は、マウスにおける腫瘍異種移植片研究(実施例22)によって測定され得る。抗体−薬物複合体(ADC)のインビボ有効性を、マウスにおける腫瘍成長阻害(実施例21)によって測定した。本発明のADCは、腫瘍成長の阻害において驚くべき予想外の効力を示した。ADCの有効性を腫瘍細胞の標的抗原発現と相関させた。
【0115】
抗体−薬物複合体の有効性を、齧歯類における癌細胞の同種移植片または異種移植片を移植することと、腫瘍をADCで処置することとによってインビボで測定した。細胞株、ADCの癌細胞上に存在する受容体への抗体結合の特異性、投与レジメン、及び他の要因に応じて変動する結果が予測される。ADCのインビボ有効性を、中程度〜高レベルのHer2、MUC16、及びCD33等の腫瘍関連抗原を発現するトランスジェニック外植片マウスモデルを使用して測定した。対象をADCで1回処置し、3〜6週間にわたって監視し、腫瘍が2倍になるまでの時間、log細胞死滅、及び腫瘍縮小を測定した。フォローアップ用量応答及び多用量実験を実行した。
【0116】
例えば、本発明の抗HER2 ADCのインビボ有効性は、高度発現HER2トランスジェニック外植片マウスモデルによって測定され得る(Phillips et al(2008)Cancer Res.68:9280−90)。同種移植片は、HERCEPTIN(登録商標)療法に応答しないか、またはそれにあまり応答しないFo5 mmtvトランスジェニックマウスから増殖される。対象をある特定の用量レベル(mg/kg)のADC及びプラセボ緩衝液対照(ビヒクル)で1回処置し、2週間以上にわたって監視して、腫瘍が2倍になるまでの時間、log細胞死滅、及び腫瘍縮小を測定した。
【0117】
図3は、ビヒクル(ヒスチジン緩衝液#8:20mM酢酸ヒスチジン(pH5.5)、240mMスクロース、0.02%PS 20)、チオHu 抗Her2 7C2 HC A118C−(LD−51)107、及びチオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(LD−51)108を単回静脈内投与した後にCRL nu/nuマウスの乳腺脂肪体に接種したMMTV−HER2 Fo5トランスジェニック乳腺腫瘍の経時的なインビボフィッティング腫瘍体積変化のプロットにおける抗体−薬物複合体の有効性を示す。ADCを0日目に3mg/kgで単回静脈内投与した。抗体−薬物複合体107も108もいずれも腫瘍成長阻害を示した一方で、軽鎖K149C変異体ADC 108は、重鎖A118C変異体ADC 107よりも高い有効性を示した。
【0118】
図4は、0.2mLの体積で胸郭乳腺脂肪体に接種したSCIDベージュマウスにおけるKPL4腫瘍モデルの経時的なインビボフィッティング腫瘍体積変化のプロットにおける抗体−薬物複合体の有効性を示す。腫瘍が平均腫瘍体積100〜250mm3に到達したときに、それらを各々8〜10匹のマウスの9群に群分けした。単回処置を、以下のように0日目に尾静脈を介して静脈内に行った:(01)ビヒクル(ヒスチジン緩衝液#8:20mM酢酸ヒスチジン(pH5.5)、240mMスクロース、0.02%PS 20)、(02)チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(エチルマレイミド)0.3mg/kg 138、(03)チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(エチルマレイミド)1mg/kg 138、(04)チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(エチルマレイミド)3mg/kg 138、(05)チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(LD−57)0.3mg/kg 109、(06)チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(LD−57)1mg/kg 109、(07)チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(LD−57)3mg/kg 109、(08)チオHu 抗CD33 15G15.3 LC K149C−(エチルマレイミド)3mg/kg 139、及び(09)チオHu 抗CD33 15G15.3 LC K149C−(LD−57)3mg/kg 110。
【0119】
抗HER2 7C2抗体−薬物複合体138及び109は、腫瘍成長に用量依存的効果を示した。非特異的抗CD33抗体−薬物複合体139及び110は、腫瘍成長阻害をほとんどまたは全く示さなかった。
【0120】
図5は、(01)ビヒクル(ヒスチジン緩衝液#8:20mM酢酸ヒスチジン(pH5.5)、240mMスクロース、0.02%PS 20)、(02)チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(LD−57)1mg/kg 109、(03)チオHu 抗Her2 7C2 LC K149C−(LD−57)3mg/kg 109、(04)チオHu 抗CD33 15G15.3 LC K149C−(LD−57)1mg/kg 110、(05)チオHu 抗CD33 15G15.3 LC K149C−(LD−57)3mg/kg 110、(06)トラスツズマブエムタンシン3mg/kg 141、及び(07)トラスツズマブエムタンシン10mg/kg 141を単回静脈内投与した後にCRL nu/nuマウスの乳腺脂肪体に接種したMMTV−HER2 Fo5トランスジェニック乳腺腫瘍の経時的なインビボフィッティング腫瘍体積変化のプロットにおける抗体−薬物複合体の有効性を示す。
【0121】
コンパレータADC、トラスツズマブエムタンシン(KADCYLA(登録商標)、トラスツズマブ−MCC−DM1(T−DM1)141は、抗体−薬物複合体であり(CAS Reg. No.139504−50−0、Phillips G.et al.(2008)Cancer Res.68:9280−90)、以下の構造を有する。
【0122】
抗HER2 7C2抗体−薬物複合体109は、腫瘍成長に用量依存的効果を示した。非特異的抗CD33抗体−薬物複合体110は、1mg/kgでは腫瘍成長阻害をほとんど示さず、3mg/kgで中程度の腫瘍成長阻害を示した。抗HER2 7C2抗体−薬物複合体109は、等価用量(3mg/kg)またはより高い10mg/kg用量で、抗HER2 4D5トラスツズマブエムタンシン141よりも高い有効性を示した(Phillips G.et al.(2008)Cancer Res.68:9280−90)。
【0123】
医薬製剤
本発明の治療用抗体−薬物複合体(ADC)の医薬製剤は、典型的には、非経口投与、すなわち、ボーラス、静脈内、腫瘍内注入のために、薬学的に許容される非経口ビヒクルとともに注入可能な単位剤形で調製される。所望の純度を有する抗体−薬物複合体(ADC)は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、薬学的に許容される希釈剤、担体、賦形剤、または安定剤と任意に混合される(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980)16th edition,Osol,A.Ed.)。
【0124】
抗体−薬物複合体治療方法
本発明の抗体−薬物複合体(ADC)を使用して、例えば腫瘍抗原の過剰発現を特徴とする様々な疾患または障害を治療することができることが企図される。例示の状態または過剰増殖性障害としては、良性または悪性固形腫瘍ならびに白血病及びリンパ性悪性疾患等の血液学的障害が挙げられる。他には、神経障害、グリア障害、星状障害、視床下部障害、腺障害、マクロファージ障害、上皮障害、間質障害、胞胚腔障害、炎症性障害、血管新生障害、及び自己免疫等の免疫学的障害が挙げられる。
【0125】
本発明の抗体−薬物複合体(ADC)は、治療される状態に適切な任意の経路によって投与され得る。ADCは、典型的には、非経口投与、すなわち、輸注、皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内、及び硬膜外投与される。
【0126】
一般に、治療される疾患または障害は、癌等の過剰増殖性疾患である。本明細書において治療される癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病またはリンパ性悪性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。かかる癌のより具体的な例としては、扁平細胞癌(例えば、扁平上皮細胞癌)、肺癌、例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌または胃癌、例えば、消化管癌、膵臓癌、膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、腎臓または腎癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、ならびに頭頸部癌が挙げられる。
【0127】
ADC化合物が治療において使用され得る自己免疫疾患としては、リウマチ学的障害(例えば、リウマチ性関節炎、シェーグレン症候群、強皮症、全身性紅斑性狼瘡(systemic lupus erythematosis)及びループス腎炎等の狼瘡、多発筋炎/皮膚筋炎、クリオグロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、ならびに乾癬性関節炎等)、変形性関節症、自己免疫胃腸及び肝臓障害(例えば、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、自己免疫胃炎及び悪性貧血、自己免疫肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、及びセリアック病等)、血管炎(例えば、チャーグ・ストラウス症候群血管炎等のANCA関連血管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、及び多発動脈炎等)、自己免疫神経障害(例えば、多発性硬化症、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び自己免疫多発ニューロパシー等)、腎臓以上(例えば、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、及びバージャー病等)、自己免疫皮膚科的障害(例えば、乾癬、蕁麻疹(urticaria)、じんましん(hives)、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、及び皮膚エリテマトーデス等)、血液学的障害(例えば、血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後紫斑病、及び自己免疫溶血性貧血等)、アテローム性動脈硬化症、ブドウ膜炎、自己免疫聴覚疾患(例えば、内耳疾患及び聴覚損失等)、ベーチェット病、レイノー症候群、臓器移植、及び自己免疫内分泌障害(例えば、インスリン依存性糖尿病(IDDM)等の糖尿病関連自己免疫疾患、アジソン病、及び自己免疫甲状腺疾患(例えば、グレーブス病及び甲状腺炎)等)が挙げられる。より好ましいかかる疾患としては、例えば、リウマチ性関節炎、潰瘍性大腸炎、ANCA関連血管炎、ループス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、グレーブス病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎、及び糸球体腎炎が挙げられる。
【0128】
疾患の予防または治療のために、ADCの適切な投薬量は、上で定義される治療される疾患の種類、疾患の重症度及び経過、その分子が予防目的または治療目的のために投与されるか、以前の療法、患者の病歴及び抗体への応答、ならびに主治医の判断に依存する。この分子は、一度にまたは一連の治療にわたって患者に好適に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1〜20mg/kg)の分子が、例えば、1つ以上の別個の投与によってであろうと、連続注入によってであろうと、患者に投与するための初期候補投与量である。典型的な1日の投薬量は、上述の要因に応じて、約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲であり得る。患者に投与される例示のADC投薬量は、約0.1〜約10mg/kg(患者の体重)の範囲である。
【0129】
製品
本発明の別の実施形態では、上述の障害の治療に有用な材料を含有する製品または「キット」が提供される。この製品は、容器及び容器上のラベルまたは容器に関連する添付文書を含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、ブリスターパック等が挙げられる。これらの容器は、ガラスまたはプラスチック等の様々な材料から形成され得る。この容器は、状態の治療に有効な抗体−薬物複合体(ADC)組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、この容器は、静脈注射用溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。この組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、ADCである。ラベルまたは添付文書は、この組成物が癌等の選定された状態を治療するために使用されることを示す。あるいは、またはさらに、この製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、及びデキストロース溶液等の薬学的に許容される緩衝液を含む第2の(または第3の)容器をさらに含み得る。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジ等の商業的視点及び使用者の視点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
【実施例】
【0130】
実施例1:アントラサイクリンジスルフィド、リンカー−薬物(LD)中間体の合成(表1)。
LD−51:(2S,4S)−4−[[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ]−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−6,11−ジオキソ−N−[2−(2−ピリジルジスルファニル)エチル]−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−カルボキサミドの合成
【0131】
US8389697の実施例3の後、3mLのメタノール及び2mLのH
2O中のWO1998/02446及びUS8470984の実施例1に報告されるように調製されたPNU−159682(15.3mg、0.02038mmol)溶液に、1mLのH
2O中のNaIO
4(5.1mg、0.0238mmol)溶液を添加した。出発材料が検出不可能になるまで(TLC及びHPLC分析)、反応混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、赤色の粗溶液(2S,4S)−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−4−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−2−カルボン酸51aを、さらに精製することなく次のステップで使用した。MS(ESI):628[M+H]
+。
【0132】
アルゴン雰囲気下の無水ジクロロメタン中の粗中間体51a溶液に、無水トリエチルアミン、TBTU(O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、別名N,N,N′,N′−テトラメチル−O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムテトラフルオロボレート、CAS番号125700−67−6、Sigma−Aldrich B−2903)、及びN−ヒドロキシスクシンイミドを添加して、51aの中間体NHSエステルを形成した。あるいは、DCCまたはEDC等の他のカップリング試薬を使用することができる。1時間後、2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)エタンアミン塩酸塩(CAS番号106139−15−5)を添加した。出発材料が消失するまで(HPLC−MS分析)、反応混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、その後、残渣をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、51を得た。MS(ESI):796.88[M+H]
+。
LD−52:2−(2−ピリジルジスルファニル)エチルN−[2−[[2−[(2S,4S)−4−[[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ]−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−イル]−2−オキソ−エトキシ]カルボニル−メチル−アミノ]エチル]−N−メチル−カルバメートの合成
【0133】
[2−[(2S,4S)−4−[[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ]−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−イル]−2−オキソ−エチル]N−メチル−N−[2−(メチルアミノ)エチル]カルバメート52aを、PNU−159682から、トリホスゲン(Cl
3CO)
2C=O、及びN1,N2−ジメチルエタン−1,2−ジアミンとともに調製した。
【0134】
1,2−ジ(ピリジン−2−イル)ジスルファン及び2−メルカプトエタノールを室温のピリジン及びメタノール中で反応させて、2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)エタノールを得た。トリエチルアミン及びアセトニトリル中での4−ニトロフェニルカルボノクロリデートとのアシル化により、4−ニトロフェニル−2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)エチルカーボネート52bを得た。中間体52aを52bと反応させて、LD−52を形成した。
LD−53:[2−メチル−2−(2−ピリジルジスルファニル)プロピル]N−[2−[[2−[(2S,4S)−4−[[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ]−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−イル]−2−オキソ−エトキシ]カルボニル−メチル−アミノ]エチル]−N−メチル−カルバメートの合成
【0135】
LD−52の手順後、中間体52aを2−メチル−2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)プロピル4−ニトロフェニルカーボネートとアシル化して、LD−53を得た。
LD−54:(2S,4S)−4−[[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ]−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−N−[2−メチル−2−(2−ピリジルジスルファニル)プロピル]−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−カルボキサミドの合成
【0136】
LD−51の手順後、アルゴン雰囲気下の無水ジクロロメタン中の粗中間体51aを、無水トリエチルアミン、TBTU、及び2−メチル−2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)プロパン−1−アミンと反応させて、LD−54を得た。
LD−55:(2S,4S)−4−[[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ]−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−N−[2−メチル−2−[(5−ニトロ−2−ピリジル)ジスルファニル]プロピル]−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−カルボキサミドの合成
【0137】
LD−60の手順後、5−ニトロピリジン−2−チオール60aをDMF中のLD−54溶液に添加して、LD−55を得た。
LD−56:2−(2−ピリジルジスルファニル)プロピルN−メチル−N−[2−[メチル−[2−オキソ−2−[2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−4−[(9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル)オキシ]−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−イル]エトキシ]カルボニル−アミノ]エチル]カルバメートの合成
【0138】
LD−52の手順後、中間体52aを4−ニトロフェニル2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)プロピルカーボネートとアシル化して、LD−56を得た。
LD−57:(2S,4S)−4−[[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ]−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−N−[2−[(5−ニトロ−2−ピリジル)ジスルファニル]エチル]−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−カルボキサミドの合成
【0139】
無水DMF/MeOH(25mL/25mL)中の1,2−ビス(5−ニトロピリジン−2−イル)ジスルファン57a(1.0g、3.22mmol)混合物に、HOAc(0.1mL)、続いて、2−アミノエタンチオール塩酸塩57b(183mg、1.61mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、これを真空下で濃縮して溶媒を除去し、残渣をDCM(30mL×4)で洗浄して、淡黄色の固体として2−((5−ニトロピリジン−2−イル)ジスルファニル)エタンアミン塩酸塩57c(300mg、69.6%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ 9.28(d,J=2.4Hz,1H),8.56(dd,J=8.8,2.4Hz,1H),8.24(s,4H),8.03(d,J=8.8Hz,1H),3.15−3.13(m,2H),3.08−3.06(m,2H)
【0140】
中間体51aを上述のように調製した。あるいは、MeOH/H
2O(5mL/5mL)中のPNU−159682(50mg、0.078mmol)懸濁液に、H
2O(2mL)中のNaIO
4(17mg、0.078mmol)溶液を添加した。この異種反応混合物を室温で4時間、暗所で勢いよく撹拌した。その後、この混合物を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲル(DCM/MeOH=100/1〜10/1)上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、紫色の固体として中間体51a(40mg、80%)を得た。
【0141】
無水DCM(5mL)中の中間体51a(40mg、0.064mmol)溶液に、DIEA(41mg、0.32mmol)及びHATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、73mg、0.19mmol)を添加した。この混合物を室温で0.5時間撹拌した後、中間体57c(51mg、0.19mmol)を添加した。結果として生じた混合物を室温でさらに4時間撹拌した。この混合物を分取TLC(DCM/MeOH=20/1)により精製して、紫色の固体としてLD−57(18mg、33.3%)を得た。LCMS(ESI):RT=0.890分、M+H
+=841.2.、方法=5−95AB/1.5分。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 13.94(s,1H),13.30(s,1H),9.33(d,J=2.0Hz,1H),8.40(dd,J=9.2,2.4Hz,1H),8.22(t,J=6.0Hz,1H),8.04(J=7.6Hz,1H),7.80−7.76(m,2H),7.40(d,J=8.8Hz,1H),5.52(d,J=5.6Hz,1H),5.34(s,1H),5.30(s,1H),5.22(s,1H),4.69(d,J=1.6Hz,1H),4.47(d,J=0.8Hz,1H),4.10(s,3H),4.07−4.01(m,2H),3.91(t,J=9.6Hz,1H),3.74(s,2H),3.70−3.55(m,4H),3.45(s,3H),3.41−3.38(m,1H),3.25(d,J=2.4Hz,2H),3.05(t,J=6.0Hz,2H),2.83−2.80(m,1H),2.73−2.68(m,1H),2.52−2.48(m,1H),2.41−2.36(m,1H),2.05−1.98(s,1H),1.81−1.75(m,1H),1.36(d,J=6.0Hz,3H)
LD−58:2−[(5−ニトロ−2−ピリジル)ジスルファニル]エチルN−[2−[[2−[(2S,4S)−4−[[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ]−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−イル]−2−オキソ−エトキシ]カルボニル−メチル−アミノ]エチル]−N−メチル−カルバメートの合成
【0142】
無水DCM/CH
3OH(250mL/250mL)中の1,2−ビス(5−ニトロピリジン−2−イル)ジスルファン57a(9.6g、30.97mmol)及び2−メルカプトエタノール(1.21g、15.49mmol)溶液をN
2下で、室温で24時間撹拌した。この混合物を真空下で濃縮した後、残渣をDCM(300mL)で希釈した。MnO
2(10g)を添加し、この混合物を室温でさらに0.5時間撹拌した。この混合物をシリカゲル(DCM/MeOH=100/1〜100/1)上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、茶色の油として2−((5−ニトロピリジン−2−イル)ジスルファニル)エタノール58a(2.2g、61.1%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 9.33(d,J=2.8Hz,1H),8.38−8.35(dd,J=9.2,2.8Hz,1H),7.67(d,J=9.2Hz,1H),4.10(t,J=7.2Hz,1H),3.81−3.76(q、2H),3.01(t,J=5.2Hz,2H)。
【0143】
無水DMF(10mL)中の58a(500mg、2.15mmol)溶液に、DIEA(834mg、6.45mmol)、続いて、PNPカーボネート(ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、1.31g、4.31mmol)を添加した。反応溶液を室温で4時間撹拌し、この混合物を分取HPLC(FA)により精製して、薄茶色の油として4−ニトロフェニル2−((5−ニトロピリジン−2−イル)ジスルファニル)エチルカーボネート58b(270mg、33.1%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 9.30(d,J=2.4Hz,1H),8.43−8.40(dd,J=8.8,2.4Hz,1H),8.30−8.28(m,2H),7.87(d,J=8.8Hz,1H),7.39−7.37(m,2H),4.56(t,J=6.4Hz,2H),3.21(t,J=6.4Hz,2H)。
【0144】
[2−[(2S,4S)−4−[[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ]−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−イル]−2−オキソ−エチル]N−メチル−N−[2−(メチルアミノ)エチル]カルバメート52aを、Bpoc保護58c(Bpocは、2−(p−ビフェニリル)−2−プロピルオキシカルボニルである)の脱保護によりPNUから調製した。無水DCM(4mL)中の58c(25mg、0.025mmol)(アミンが、2−(4−ビフェニリル)−プロプ−2−イル4′−メトキシカルボニルフェニルカーボネート(BPOC試薬、Sigma−Aldrich、CAS登録 番号31140−37−1)で保護されている)溶液に、無水DCM(1mL)中のジクロロ酢酸(Cl
2CHCOOH、65mg、0.50mmol)溶液を添加した。反応溶液を室温で2時間撹拌した。この溶液を真空下で濃縮し、残渣をメチル、tert−ブチルエーテル(MTBE、10mL×2)で洗浄して、赤色の固体として52a(25mg、100%)を得た。
【0145】
無水DMF(3mL)中の52a(25mg、0.025mmol)及び4−ニトロフェニル2−((5−ニトロピリジン−2−イル)ジスルファニル)エチルカーボネート58b(30mg、0.075mmol)溶液に、TEA(トリエチルアミン、25mg、0.25mmol)を添加した。この溶液を室温で一晩撹拌した後、これを真空下で濃縮し、残渣を分取TLC(DCM/MeOH=20/1)により精製して、赤色の固体としてLD−58(12mg、48.0%)を得た。LCMS(ESI):RT=0.921分、M+Na
+=1036.2。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 13.88(s,1H),13.24(d,J=4.0Hz,1H),9.26−9.25(m,1H),8.40(d,J=6.0Hz,1H),8.01(d,J=7.6Hz,1H),7.89(d,J=8.8Hz,1H),7.77(t,J=8.0Hz,1H),7.38(d,J=8.4Hz,1H),5.47(s,1H),5.30−5.23(m,2H),5.15−5.11(m,1H),4.92−4.87(m,1H),4.70(s,1H),4.47(s,1H),4.35(s,2H),4.10−4.03(m,4H),3.92−3.87(m,1H),3.59−3.40(m,8H),3.25−3.22(m,1H),3.12−3.10(m,2H),3.04(s,2H),3.98(t,J=8.8Hz,4H),2.84−2.82(m,2H),2.60(d,J=14.8Hz,1H),2.07−1.98(m,1H),1.76−1.72(m,1H),1.41(d,J=5.6Hz,3H)。
LD−59:2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−4−[(9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル)オキシ]−N−[2−[(5−ニトロ−2−ピリジル)ジスルファニル]プロピル]−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−カルボキサミドの合成
【0146】
MeOH(360mL)及びH
2O(40mL)中の1−アミノプロパン−2−オール59a(10g、133mmol)撹拌溶液に、Boc
2O(37g、169mmol)を添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌した後、これを濃縮し、クロマトグラフィー(EtOAc/PE=10%〜50%)により精製して、無色の油としてtert−ブチル2−ヒドロキシプロピルカルバメート59b(19.8g、収率85%)を得た。
【0147】
DCM(130mL)中の59b(10g、57mmol)及びEt
3N(17g、171mmol)撹拌溶液に、MsCl(塩化メタンスルホニル、13g、114mmol)溶液を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した後、これを氷水(200mL×3)及びブライン(200mL)で洗浄した。有機層を濃縮して、赤色の油として1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン−2−イルメタンスルホネート59c(12g、収率83%)を得た。
【0148】
アセトン(70mL)中の59c(6g、23.7mmol)撹拌溶液に、H
2O(100mL)中のチオ酢酸カリウム(エタンチオ酸カリウム、5.4g、47.3mmol)溶液を添加した。反応混合物を60℃で12時間撹拌した。この混合物を濃縮し、DCM(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、赤色の固体としてS−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン−2−イルエタンチオアート59d(1.1g、収率20%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3−d)δ1.30(d,J=7.09Hz,3H)1.44(s,9H)2.33(s,3H)3.16−3.42(m,2H)3.58−3.71(m,1H)
【0149】
MeOH(5mL)中の59d(500mg、2.15mmol)撹拌溶液に、HCl/MeOH(10mL)を滴加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した後、これを濃縮して1−アミノプロパン−2−チオール塩酸塩59eを得て、次のステップで直接使用した。
【0150】
DCM(35mL)中の57a(1.33g、4.3mmol)溶液に、59e(273mg、2.15mmol)溶液を添加した。この混合物を15℃で12時間撹拌した。MnO
2(374.1mg、4.3mmol)をこの混合物に添加し、この固体をDCM(100mL)及びMeOH(30mL×3)で洗浄した。この溶液を15℃で10分間撹拌した。濃縮して、黄色の固体として2−((5−ニトロピリジン−2−イル)ジスルファニル)プロパン−1−アミン59f(300mg、57%)を得た。LCMS(ESI):RT=0.546分、M+H
+=245.7。
【0151】
無水DCM/DMF(5mL)中の中間体51a(25mg、0.040mmol)溶液に、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン、26mg、0.20mmol)及びHATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、46mg、0.12mmol)を添加した。この混合物を室温で0.5時間撹拌した後、59f(34mg、0.12mmol)を添加した。結果として生じた混合物を室温でさらに4時間撹拌した。この混合物をDCM(30mL)で希釈し、ブライン(15mL×3)で洗浄した。DCM層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮した。残渣を分取TLC(DCM/MeOH=20/1)により精製して、紫色の固体としてLD−59(7mg、20.6%)を得た。LCMS(ESI):RT=0.783分、M+H
+=855.2。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 13.94(d,J=3.6Hz,1H),13.32(d,J=4.8Hz,1H),9.33(s,1H),8.63−8.47(m,1H),8.39−8.35(m,1H),8.04(d,J=7.6Hz,1H),7.78(J=8.0Hz,1H),7.74−7.71(dd,J=8.8,5.6Hz,1H),7.39(d,J=8.8Hz,1H),5.52(d,J=5.2Hz,1H),5.35(s,1H),5.27(d,J=4.8Hz,1H),4.68(d,J=4.4Hz,1H),4.46(d,J=8.0Hz,1H),4.10(s,3H),4.06(d,J=7.6Hz,1H),3.92(t,J=7.8Hz,2H),3.71−3.67(m,1H),3.59−3.55(m,2H),3.45(d,J=6.4Hz,3H),3.41−3.36(m,1H),3.28−3.22(m,3H),2.84−2.60(m,2H),2.53−2.37(m,2H),2.06−1.94(m,1H),1.81−1.77(m,1H),1.40−1.38(dd,J=6.4,2.4Hz,3H),1.35(t,J=6.0Hz,3H)
LD−60:[2−オキソ−2−[2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−4−[(9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル)オキシ]−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−イル]エチル]N−メチル−N−[2−[メチル−[2−[(5−ニトロ−2−ピリジル)ジスルファニル]プロポキシカルボニル]アミノ]エチル]カルバメートの合成
【0152】
DMF(1mL)中の2−(2−ピリジルジスルファニル)プロピルN−メチル−N−[2−[メチル−[2−オキソ−2−[2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−4−[(9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル)オキシ]−6,11−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−イル]エトキシ]カルボニル−アミノ]エチル]カルバメートLD−56(10mg、10.17umol)溶液に、5−ニトロピリジン−2−チオール60a(15.89mg、101.72umol)溶液を20℃で添加した。反応混合物を20℃で2時間撹拌した。反応混合物をDCM(10mL)で希釈し、その後、水(5mL)、NaHCO
3水溶液(5mL)、及びブライン(5mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮した。残渣を分取TLC(DCM:MeOH=25:1)により精製して、赤色の固体として純粋なLD−60(7mg、66.94%)を得た。LCMS:(10−80、CD、7.0分)、3.782分、Ms=1028.2(M+1);
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 13.83(s,1H),13.19(s,1H),9.18(s,1H),8.31(d,1H,J=7.6Hz),7.97(d,1H,J=8.0Hz),7.86(d,1H,J=8.4Hz),7.73(t,1H,J=8.4Hz),7.33(d,1H,J=8.4Hz),5.41(s,1H),5.29−5.05(m,3H),4.89−4.75(m,1H),4.64(s,1H),4.40(s,1H),4.13(s,2H),4.09−3.80(m,6H),3.58−3.12(m,12H),3.05−2.85(m,7H),2.78−2.42(m,3H),2.12−1.85(m,2H),1.72−1.55(m,1H),1.38−1.25(m,6H)
LD−61:2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−4−[(9−メトキシ−1−メチル−3,4,4a,6,7,9,9a,10a−オクタヒドロ−1H−ピラノ[1,2]オキサゾロ[3,4−b][1,4]オキサジン−3−イル)オキシ]−6,11−ジオキソ−N−[2−(2−ピリジルジスルファニル)プロピル]−3,4−ジヒドロ−1H−テトラセン−2−カルボキサミドの合成
【0153】
LD−51の手順後、アルゴン雰囲気下の無水ジクロロメタン中の粗中間体51aを、無水トリエチルアミン、TBTU、及び2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)プロパン−1−アミンと反応させて、LD−61を得た。
LD−62:(2S,4S)−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−4−(((1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル)オキシ)−N−((R)−2−((5−ニトロピリジン−2−イル)ジスルファニル)プロピル)−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−2−カルボキサミドの合成
【0154】
LD−59の手順後、LD−62を調製した。
LD−63:(2S,4S)−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−4−(((1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル)オキシ)−N−((S)−2−((5−ニトロピリジン−2−イル)ジスルファニル)プロピル)−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−2−カルボキサミドの合成
【0155】
LD−59の手順後、LD−63を調製した。
【0156】
実施例2:還元及び再酸化による複合へのシステイン操作抗体の調製
ある特定の条件下で、システイン操作抗体を、2mM EDTAを有する50mMトリス(pH7.5)中で、DTT(クレランド試薬、ジチオスレイトール)またはTCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、Getz et al(1999)Anal.Biochem.Vol 273:73−80;Soltec Ventures,Beverly,MA)等の還元剤で、37℃で3時間または室温で一晩処置することにより、表1の中間体等の本発明のリンカー−薬物中間体との複合に対して反応させることができる。CHO細胞中で発現した全長システイン操作モノクローナル抗体(THIOMAB(商標))(Gomez et al(2010)Biotechnology and Bioeng.105(4):748−760、Gomez et al(2010)Biotechnol.Prog.26:1438−1445)を、例えば、約50倍過剰のDTTで、室温で一晩還元して、新たに導入されたシステイン残基と培養培地中に存在するシステインとの間に生じ得るジスルフィド結合を還元した。還元されたTHIOMAB(商標)を希釈し、10mM酢酸ナトリウム(pH5)中のHiTrap Sカラム上に装填し、0.3M塩化ナトリウムを含有するPBSで溶出した。あるいは、この抗体を、20分の1の体積の10%酢酸を添加することにより酸性化し、10mMコハク酸塩(pH5)で希釈し、そのカラム上に装填し、その後、10カラム体積のコハク酸緩衝液で洗浄した。このカラムを50mMトリス(pH7.5)、2mM EDTAで溶出した。
【0157】
軽鎖アミノ酸を、Kabat(Kabat et al.,Sequences of proteins of immunological interest,(1991)5th Ed.,US Dept of Health and Human Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD)に従って番号付けする。重鎖アミノ酸を、Kabatシステムとして言及される場合を除いて、EU番号付け(Edelman et al(1969)Proc.Natl.Acad.of Sci.63(1):78−85)に従って番号付けする。単一文字のアミノ酸略語を使用する。
【0158】
CHO細胞中で発現した全長システイン操作モノクローナル抗体(THIOMAB(商標))は、システイン付加物(シスチン)を有するか、または細胞培養条件により操作されたシステイン上でグルタチオン化されている。操作されたシステインの反応性チオール基を遊離させるために、THIOMAB(商標)を500mMホウ酸ナトリウム及び500mM塩化ナトリウム(約pH8.0)中に溶解し、約50〜100倍過剰の1mM TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Getz et al(1999)Anal.Biochem.Vol 273:73−80;Soltec Ventures,Beverly,MA)で、37℃で約1〜2時間還元する。あるいは、DTTを還元剤として使用することができる。鎖間ジスルフィド結合の形成を、非還元SDS−PAGEまたは変性逆相HPLC PLRPカラムクロマトグラフィーのいずれかにより監視した。還元されたTHIOMAB(商標)を希釈し、10mM酢酸ナトリウム(pH5)中のHiTrap SP FFカラム上に装填し、0.3M塩化ナトリウムを含有するPBSまたは150mM塩化ナトリウムを含有する50mMトリス−Cl(pH7.5)で溶出した。
【0159】
再酸化を実行することにより、ジスルフィド結合を親Mabに存在するシステイン残基間に再構築した。溶出された還元されたTHIOMAB(商標)を、50mMトリス−Cl(pH7.5)中の15倍若しくは2mMデヒドロアスコルビン酸(dhAA)(pH7)で約3時間若しくは約3時間、または200nM〜2mM硫酸銅水溶液(CuSO
4)で、室温で一晩処置した。当該技術分野で既知の他の酸化体、すなわち、酸化剤、及び酸化条件を使用することができる。環境大気酸化も有効であり得る。この軽度の部分的再酸化ステップにより、鎖内ジスルフィドが高忠実度で効果的に形成される。Sephadex G25樹脂で溶出することにより緩衝液を交換し、1mM DTPAを有するPBSで溶出する。還元された抗体濃度をその溶液の280nmでの吸光度から決定することにより、かつDTNB(Aldrich,Milwaukee,WI)と反応させ、412nmでの吸光度を決定することによりチオール濃度を決定することにより、チオール/Ab値を確認する。
【0160】
液体クロマトグラフィー/質量分光分析を、TSQ Quantumトリプル四重極(商標)質量分光計上で、拡張された質量範囲で行った(Thermo Electron,San Jose California)。試料を、75℃に加熱したPRLP−S(登録商標)、1000A、マイクロボアカラム(50mm×2.1mm、Polymer Laboratories,Shropshire,UK)上でクロマトグラフにかけた。30〜40%B(溶媒A:水中0.05%TFA、溶媒B:アセトニトリル中0.04%TFA)からの線形勾配を使用し、エレクトロスプレー源を使用して溶出液を直接イオン化した。データをXcalibur(登録商標)データシステムにより収集し、ProMass(登録商標)(Novatia,LLC,New Jersey)を使用してデコンボリューションを行った。LC/MS分析前に、抗体または薬物複合体(50ミリグラム)をPNGase F(2単位/mL、PROzyme,San Leandro,CA)で、37℃で2時間処置して°、N結合型炭水化物を除去した。
【0161】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)試料をブチルHIC NPRカラム(粒径2.5ミクロン、4.6mm×3.5cm)(Tosoh Bioscience)に注入し、0〜70%B(A:50mMリン酸カリウム中1.5M硫酸アンモニウム(pH7)、B:50mMリン酸カリウム(pH7)、20%イソプロパノール)からの線形勾配で、0.8mL/分で溶出した。多波長検出器及びChemstationソフトウェアを装備したAgilent 1100シリーズHPLCシステムを使用して、1抗体当たり異なる薬物比率を有する抗体種を分解し、定量した。
【0162】
実施例3:リンカー−薬物中間体の抗体への複合
実施例2の還元及び再酸化手順後、システイン操作抗体(THIOMAB(商標))をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)緩衝液中に溶解し、氷上で冷やす。表1のLD−51〜LD−61を含むが、これらに限定されない、チオール反応性ピリジルジスルフィド基を有する過剰の約1.5モル〜20当量のリンカー−薬物中間体をDMSO中に溶解し、アセトニトリル及び水中に希釈し、PBS中の冷やした還元された再酸化抗体に添加する。典型的には、このリンカー−薬物を、50mMトリス(pH8)中約20mMの濃度のDMSOストックからその抗体に添加し、反応混合物のLC−MS分析によって決定されるように反応が完了するまで約1〜約24時間監視する。反応が完了すると、過剰のマレイミドを添加して反応停止処理し、いずれの反応していない抗体チオール基もキャップする。複合混合物を、HiTrap SP FFカラム上に装填し、それを通して溶出して、過剰の薬物−リンカー中間体及び他の不純物を除去することができる。反応混合物を遠心限外濾過により濃縮し、システイン操作抗体薬物複合体をPBS中G25樹脂での溶出により精製して脱塩し、滅菌条件下で0.2μmのフィルターを通して濾過し、保管用に凍結させた。
【0163】
例えば、粗抗体−薬物複合体(ADC)を、20mMコハク酸ナトリウム(pH5)で希釈した後に、カチオン交換カラムに適用する。このカラムを少なくとも10カラム体積の20mMコハク酸ナトリウム(pH5)で洗浄し、この抗体をPBSで溶出した。ゲル濾過カラムを使用して抗体−薬物複合体を240mMスクロースとともに20mM酢酸ヒスチジン(pH5)に製剤化した。抗体−薬物複合体を、リジンCエンドペプチダーゼでの処置前及び処置後に、タンパク質濃度を決定するためのUV分光法、凝集分析のための分析SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)、及びLC−MSによって特徴付けた。
【0164】
0.25mM塩化カリウムを有する0.2Mリン酸カリウム(pH6.2)及び15%IPA中のShodex KW802.5カラムを使用して、サイズ排除クロマトグラフィーを0.75mL/分の流量で行う。この複合体の凝集状態を280nmでの溶出ピーク面積吸光度の積分により決定した。
【0165】
Agilent QTOF 6520 ESI機器を使用してLC−MS分析を行うことができる。一例として、抗体−薬物複合体を、トリス(pH7.5)中1:500w/wエンドプロテイナーゼLys C(Promega)で、37℃で30分間処置する。結果として生じる切断断片を80℃に加熱した1000Å(オングストローム)の8μm(ミクロン)のPLRP−S(高度に架橋されたポリスチレン)カラム上に装填し、30%B〜40%Bの勾配で5分間溶出する。移動相Aは、0.05%TFAを有するH
2Oであり、移動相Bは、0.04%TFAを有するアセトニトリルであった。流量は、0.5mL/分であった。エレクトロスプレーオン化及びMS分析前に、タンパク質溶出を280nmでのUV吸光度検出により監視した。複合されていないFc断片、複合されていない残留Fab、及び薬物付加されたFabのクロマトグラフ分解を通常達成した。Mass Hunter(商標)ソフトウェア(Agilent Technologies)を使用して得られたm/zスペクトルをデコンボリューションして、抗体断片の質量を計算した。
【0166】
これらの手順により、表2のシステイン操作抗体−薬物複合体101〜117を調製した。
【0167】
実施例4:インビトロ細胞増殖アッセイ
以下のプロトコルを用いた細胞増殖アッセイ(CELLTITER GLO(商標)発光細胞生存率アッセイ、Promega Corp.Technical Bulletin TB288、Mendoza et al(2002)Cancer Res.62:5485−5488)により、ADCの有効性を測定した。
1.約10
4細胞(SKBR−3、BT474、MCF7、またはMDA−MB−468)を有する一定分量の100mLの細胞培養培地を不透明壁付き96ウェルプレートの各ウェル中に堆積させた。
2.培地を含有する細胞なしの対照ウェルを調製した。
3.ADCを実験ウェルに添加し、3〜5日間インキュベートした。
4.これらのプレートを約30分間室温に平衡化した。
5.各ウェル中に存在する細胞培養培地の体積に等しい体積のCELLTITER GLO(商標)試薬を添加した。
6.これらの内容物を軌道振盪器上で2分間混合して、細胞溶解を誘導した。
7.このプレートを室温で10分間インキュベートして、発光シグナルを安定させた。
8.発光を記録し、RLU=相対発光単位でグラフに報告した。
データを標準偏差エラーバーで各複製物セットの発光の平均としてプロットする。このプロトコルは、CELLTITER GLO(商標)発光細胞の修飾である。
培地:SK−BR−3を50/50/10%FBS/グルタミン中で成長させ、250μg/mLのG−418 OVCAR−3をRPMI/20%FBS/グルタミン中で成長させる。
【0168】
実施例5:高発現HER2トランスジェニック外植片マウスにおける腫瘍成長阻害、インビボ有効性
0日目の単回処置前に、腫瘍を構築し、体積150〜200mm
3(キャリパーを使用して測定)に成長させた。式:V(mm
3)=0.5A×B
2(式中、A及びBは、それぞれ、長い直径及び短い直径である)に従ってキャリパーを使用して腫瘍体積を測定した。腫瘍体積が3000mm
3に到達する前に、または腫瘍が切迫した潰瘍形成の兆候を示したときに、マウスを安楽死させた。各実験群(1群当たり10匹のマウス)から収集したデータを平均+SEとして表した。
【0169】
Fo5マウス乳腺腫瘍モデルを用いて、本発明の抗体−薬物複合体のインビボ有効性を、単回用量静脈注入後に、かつ参照により本明細書に組み込まれる、先に記載されている(Phillips GDL,Li GM,Dugger DL,et al. Targeting HER2−Positive Breast Cancer with Trastuzumab−DM1,an Antibody−Cytotoxic Drug Conjugate.(2008)Cancer Res. 68:9280−90)ように評価した。抗Her2 ADCを、ヒトHER2遺伝子が
図3及び5に示されるプロモーター(MMTV−HER2)に対して転写調節下でマウス乳腺腫瘍の乳腺上皮中で過剰発現されるトランスジェニックマウスモデルであるFo5モデルで試験した。HER2過剰発現は、乳腺腫瘍の自然発症を引き起こす。これらの創始者動物(創始者番号5[Fo5])のうちの1匹の乳腺腫瘍を、腫瘍断片(約2×2mmの大きさ)の連続移植によりFVBマウスの次の世代に伝播させた。すべての研究をGuide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従って実行した。各抗体−薬物複合体(単回用量)を9匹の動物に、この研究の開始時に、かつ移植14日後に静脈内投与した。初期腫瘍サイズは、体積約200mm
3であった。本発明の抗体−薬物複合体及び対照による経時的な腫瘍成長阻害の測定結果を
図3〜5に示す。
【0170】
別の乳腺脂肪体移植有効性モデルを記載されるように(Chen et al.(2007)Cancer Res 67:4924−4932)用いて、単回静脈内投与後の腫瘍体積を評価し、腹腔内腫瘍を有するマウスから切除した腫瘍を使用し、その後、受容マウスの乳腺脂肪体に連続継代することができる。
【0171】
上述の発明は、明確な理解のために例証及び例としてある程度詳細に記載されているが、これらの説明及び例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書全体にわたって引用されるすべての特許、特許出願、及び参考文献は、参照により明示的に組み込まれる。