(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送風ファンの下方の前記撮像カバーを開口することで、前記送風ファンで送風される前記空気が車室内から取り込まれる吸気口が形成されることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の車外監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された発明では、電子部品から発生した熱を、ファンを用いて効率的にフロントガラスに伝導させる発明は記載されているものの、具体的な空気流の経路等は検討されていない。よって、フロントガラスが曇ることをより効率的に抑止するためには、改善の余地があった。
【0007】
また、フロントガラスの曇りを抑止する他の方法として、カメラ前方のフロントガラスをヒータパッチで加熱することも考えられる。しかしながら、そのようにするとヒータパッチを採用することでコストが上昇してしまう。また、かかる構成のためには、フロントガラスの曇りをモニタリングするフォギングセンサが必要になり、コストが更に上昇してしまう恐れもある。また、ヒータパッチの消費電力が大きい課題も存在する。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撮像素子の前方に於いてガラスの曇りをより効率的に除去することができる車外監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車外の状況を監視する車外監視装置であり、ガラスの内面近傍に配置され、前記車外の状況を撮影する撮像素子および発熱素子が組み込まれた撮像モジュールと、前記撮像モジュールを車室内側から覆う撮像カバーと、前記撮像カバーの内部に空気を取り込むことで前記発熱素子を冷却し、且つ、前記空気を前記ガラス側に向かって送風する送風ファンと、前記撮像カバーの内部に形成され、前記送風ファンより送風される前記空気が前記ガラス側に向かって流通する風路と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の車外監視装置では、前記風路は、前記撮像カバーの内面を壁状に突出させた風路壁で構成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の車外監視装置では、前記ガラスに前記車室内側から取り付けられるブラケットと、を更に具備し、前記撮像モジュールおよび前記撮像カバーは、前記ブラケットに取り付けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の車外監視装置では、前記撮像素子および前記ガラスの近傍に配置された反射抑制部材と、を更に具備し、前記送風ファンで送風された前記空気は、前記反射抑制部材と前記ガラスとの間の空間に吹き出されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の車外監視装置では、前記撮像モジュールは、離間した箇所に2つの前記撮像素子を有し、前記送風ファンは、前記撮像素子同士の間の略中央に配置され、前記送風ファンから送風された前記空気は、前記風路を経由して、各々の前記撮像素子と前記ガラスとの間に送風されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の車外監視装置では、前記発熱素子は、前記撮像素子で得られる画像データを処理する画像処理素子であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の車外監視装置では、前記送風ファンの下方の前記撮像カバーを開口することで、前記送風ファンで送風される空気が前記車室内から取り込まれる吸気口が形成されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の車外監視装置では、前記反射抑制部材に加熱手段を設けることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の車外監視装置では、前記加熱手段は、温度計で計測した前記撮像素子の温度が一定以下の場合に、前記反射抑制部材を加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、車外の状況を監視する車外監視装置であり、ガラスの内面近傍に配置され、前記車外の状況を撮影する撮像素子および発熱素子が組み込まれた撮像モジュールと、前記撮像モジュールを車室内側から覆う撮像カバーと、前記撮像カバーの内部に空気を取り込むことで前記発熱素子を冷却し、且つ、前記空気を前記ガラス側に向かって送風する送風ファンと、前記撮像カバーの内部に形成され、前記送風ファンより送風される前記空気が前記ガラス側に向かって流通する風路と、を具備することを特徴とする。従って、送風ファンにより車室内部の空気を撮像カバーの内部に取り込み、風路を経由して、その空気を撮像素子とガラスとの間に形成される空間に送風することができる。また、この空気は、発熱素子を冷却することで温度上昇し、この状態で撮像素子とガラスとの間に送風される。よって、送風ファンは発熱素子を冷却する冷却ファンとして機能し、更に暖気を送風することでガラスの曇りを抑止する加熱ファンとしても機能することができる。よって、撮像素子の近傍のガラスが曇ることを防止することができ、更に、当該ガラスが曇っている場合はその曇りを除去することができる。このことから、撮像素子を用いて車外の状況を正確に監視することができる。
【0019】
また、本発明の車外監視装置では、前記風路は、前記撮像カバーの内面を壁状に突出させた風路壁で構成されることを特徴とする。従って、撮像カバーの内面を内側に向かって壁状に突出させる簡素な構成で、風路を形成することができる。
【0020】
また、本発明の車外監視装置では、前記ガラスに前記車室内側から取り付けられるブラケットと、を更に具備し、前記撮像モジュールおよび前記撮像カバーは、前記ブラケットに取り付けられることを特徴とする。従って、ガラスに取り付けられるブラケットに、撮像モジュールおよび撮像カバーを取り付けることで、撮像モジュールをガラスの直近に配置することができ、撮像素子の視野を広く確保することができる。
【0021】
また、本発明の車外監視装置では、前記撮像素子および前記ガラスの近傍に配置された反射抑制部材と、を更に具備し、前記送風ファンで送風された前記空気は、前記反射抑制部材と前記ガラスとの間の空間に吹き出されることを特徴とする。従って、反射抑制部材は下方からガラスに入射する光を遮る部材であるため、ガラスに略密着するように設置される。よって、反射抑制部材とガラスとの間隙には曇りが発生しやすいが、送風ファンでこの間隙に送風することで、この部分のガラスに曇りが発生することを抑止することができる。
【0022】
また、本発明の車外監視装置では、前記撮像モジュールは、離間した箇所に2つの前記撮像素子を有し、前記送風ファンは、前記撮像素子同士の間の略中央に配置され、前記送風ファンから送風された前記空気は、前記風路を経由して、各々の前記撮像素子と前記ガラスとの間に送風されることを特徴とする。従って、送風ファンを撮像素子同士の間の略中央に配置することで、送風ファンから送風される空気を、各々の撮像素子とガラスとの間に略均等に送風することができ、両撮像素子の近傍のガラスに曇りが発生することを抑止することができる。
【0023】
また、本発明の車外監視装置では、前記発熱素子は、前記撮像素子で得られる画像データを処理する画像処理素子であることを特徴とする。従って、画像処理素子は計算時の発熱量が大きいが、その近傍に送風ファンを設置することで、画像処理素子を効率的に冷却し、画像処理素子の処理速度を一定に保つことができる。更に、画像処理素子を冷却することで高温となった空気を、撮像素子とガラスとの間に送風することで、より効果的にガラスの曇りを除去することができる。
【0024】
また、本発明の車外監視装置では、前記送風ファンの下方の前記撮像カバーを開口することで、前記送風ファンで送風される空気が前記車室内から取り込まれる吸気口が形成されることを特徴とする。従って、送風ファンの下方に設けた開口部から空気を取り入れることで、効率的に吸気を行うことができる。
【0025】
また、本発明の車外監視装置では、前記反射抑制部材に加熱手段を設けることを特徴とする。従って、反射抑制部材はガラスの直近に配置されているので、加熱手段でガラスを効果的に加熱することができ、曇りを除去する効果を顕著にすることができる。
【0026】
また、本発明の車外監視装置では、前記加熱手段は、温度計で計測した前記撮像素子の温度が一定以下の場合に、前記反射抑制部材を加熱することを特徴とする。従って、撮像素子の温度が低い場合のみ、即ちガラスの温度が低く曇りが発生する恐れがある場合のみ、加熱手段は反射抑制部材を加熱するので、加熱手段による不必要な過熱を防止することができ、消費電力を少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る車外監視装置10を、図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では上下前後左右の各方向を用いて説明するが、左右とは車両11の前方を向いた場合の方向を示している。
【0029】
図1(A)を参照して、本実施の形態に係る車外監視装置10は、例えば乗用車である車両11に備えられている。車外監視装置10は、フロントガラス12の上端部付近、且つ、車両11の左右方向に於いて略中央部に配設されている。ここでは、車外監視装置10が配設されるガラスとして、フロントガラス12を例示している。
【0030】
図1(B)を参照して、車外監視装置10は、フロントガラス12のセラミックライン31により遮蔽される部分の後方に配置されている。また、セラミックライン31を部分的に切り欠いた箇所から、車外監視装置10の撮像素子29が前方に向かって露出している。撮像素子29の視野角を広く確保するために、撮像素子29は、車室内に於いて、フロントガラス12の直近に配置されている。このようにすると、車外監視装置10とフロントガラス12との間隙が狭くなり、車外監視装置10の近傍のフロントガラス12に曇りが発生しやすくなる。本実施形態では、後述するように、車外監視装置10に内蔵した送風ファン15で、温風をこの間隙に向かって吹き付け、上記した曇りが発生することを抑止している。
【0031】
図2を参照して、本実施形態に係る車外監視装置10等の接続構成を説明する。車外監視装置10は、撮像素子29と、制御演算装置34と、画像処理素子32と、温度検出素子33と、送風ファン15と、を主要に有している。
【0032】
撮像素子29は、例えば、CMOSやCCD等の固体撮像素子であり、フロントガラス12を透過して、車両11の前方側の車外環境を撮影する。本実施形態の車外監視装置10は、ステレオカメラを構成する2つの撮像素子29を有している。
【0033】
制御演算装置34は、CPU、RAM、ROM等からなり、車外監視装置10の各部位の動作を制御している。制御演算装置34は、ECU(Electronic Control Unit)とも称される。
【0034】
画像処理素子32は、制御演算装置34の指示により、撮像素子29から伝送される画像データに基づいて所定の画像処理を行う半導体素子である。画像処理素子32は、FGPA(Field Programmable Gate Array)からなる画像処理専用の半導体チップであり、画像処理を行う際には多くの排熱が生じる発熱素子である。本実施形態では、送風ファン15で、車室内の空気を画像処理素子32に向けて送風することで、画像処理素子32の過熱を防止している。また、後述するように、画像処理素子32を冷却した暖気をフロントガラス12に向けて送風し、フロントガラス12の曇りを除去している。
【0035】
また、車両11には、上記の他にも、温度検出素子33、車両駆動装置37、ヒータ35、温度計36が備えられている。
【0036】
温度検出素子33は、画像処理素子32の温度を検出する素子である。車両駆動装置37は制御演算装置34の指示に基づいて、車両11の駆動装置(エンジンやモータ)、制動装置(ブレーキ)、操舵装置(ハンドル)を制御する機構である。加熱手段であるヒータ35は、後述する反射抑制部材18を過熱する加熱装置であり、例えば電熱ヒータから成る。温度計36は、撮像素子29の温度を計測する。
【0037】
ここで、車外監視装置10の機能を説明する。車外監視装置10は、車両用運転支援装置を構成している。具体的には、車外監視装置10の画像処理素子32は、車両前方を撮影する撮像素子29から入力される基準画像データと比較画像データとに基づいて、距離データを算出する。更に、画像処理素子32は、この距離データに対して周知のグルーピング処理を行い、各種立体物等を抽出する。ここで、立体物等とは、白線、ガードレール、縁石、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等である。
【0038】
また、車両駆動装置37は、画像処理素子32および制御演算装置34の指示に基づいて、駆動装置、制動装置および操舵装置を制御する。例えば、車両駆動装置37は、制動装置および駆動装置を制御することで、車両11を減速または停止することができる。また、車両駆動装置37は、操舵装置を制御することで、車両11の進行方向を是正することができる。更には、車両駆動装置37は、駆動装置、制動装置および操舵装置を制御することで、車間距離制御付クルーズコントロール(ACC;Adaptive Cruise Control)制御を行うことも出来る。
【0039】
車外監視装置10が曇りを除去する機能は次の通りである。使用者が車両11を駆動させると、制御演算装置34は、温度計36を用いて撮像素子29の温度を計測する。計測された温度が一定以下の場合、制御演算装置34は、ヒータ35で後述する反射抑制部材18を加熱する。また、必要に応じて送風ファン15を回転させることで、車室内の空気をフロントガラス12に送風する。このようにすることで、反射抑制部材18の近傍に於いてフロントガラス12が加熱され、フロントガラス12が曇ってしまうことが抑止され、撮像素子29でフロントガラス12を透過して車両11の前方を鮮明に撮影することができる。また、ヒータ35は反射抑制部材18を加熱することから、ヒータ35と撮像素子29とは離れているので、撮像素子29が不必要に加熱されることはない。
【0040】
また、制御演算装置34は、温度検出素子33で測定した画像処理素子32の温度が一定以上であれば、送風ファン15を回転させることで、車室内の空気を画像処理素子32に向かって送風する。このようにすることで、画像処理素子32を冷却し、画像処理素子32の過熱を防止する。また、送風ファン15は、画像処理素子32を加熱することで暖められた暖気を、撮像素子29の前方のフロントガラス12に送風する。このようにすることで、フロントガラス12の曇りを抑制し、撮像素子29でフロントガラス12を透過して車両11の前方をより鮮明に撮影することができる。後述するように、本実施形態では、画像処理素子32を冷却することで暖められた暖気をフロントガラス12に送風するための風路を形成しているが、かかる事項は後述する。
【0041】
図3に車外監視装置10を示す。
図3(A)は車外監視装置10を前側上方から見た斜視図であり、
図3(B)は車外監視装置10を後側下方から見た斜視図である。
【0042】
図3(A)および
図3(B)を参照して、車外監視装置10は、上方から、ブラケット17、反射抑制部材18および撮像カバー14とから構成されている。これらの部材は、例えば射出成型された合成樹脂から成る。ブラケット17は、上記したフロントガラス12の内面に接着固定されており、撮像カバー14は、ブラケット17に対して例えば嵌合固定されている。また、後述する撮像モジュール13もブラケット17に嵌合固定されている。
【0043】
図3(A)を参照して、反射抑制部材18は、ブラケット17の前端側且つ左右方向の両端部にそれぞれ組み込まれており、上方から見たら前方に向かって幅が広くなる略三角形形状を呈している。また、車外監視装置10には、ステレオカメラを構成する2つの撮像素子29が配設されるが、各撮像素子29の前方にそれぞれ反射抑制部材18が配置されている。反射抑制部材18は、下方からフロントガラス12に向かう光を遮断し、フロントガラス12の内面で光が撮像素子29側に反射することを抑制する部材である。ここで、反射抑制部材18の前面周辺部は、フロントガラス12の内面に略密着している。
【0044】
また、反射抑制部材18の内側側辺を部分的に開口することで、スリット19が形成されている。スリット19からは、上記した画像処理素子32を冷却した空気が吹き出され、この空気は反射抑制部材18の前方のフロントガラス12を暖める。スリット19から空気を前方に向かって送風することで、撮像素子29の前方のフロントガラス12の曇りをより確実に除去することができる。
【0045】
また、上記したフロントガラス12と反射抑制部材18との間には僅かな間隙が形成されており、フロントガラス12に吹き付けられた空気は、この間隙を流通して車室内に帰還する。
【0046】
図3(B)を参照して、撮像カバー14の下面を部分的に開口することで、吸気口20が形成されている。吸気口20は、多数がマトリックス状に配置されている。このようにすることで、吸気口20の開口面積を大きく確保しつつ、撮像カバー14の強度低下を抑止することができる。また、吸気口20は、左右方向に於いて、車外監視装置10の略中央に配置されている。これにより、吸気口20から給気されて上記した送風ファン15で送風される空気を、左右方向に均等に送風し、
図3(A)に示した各撮像素子29の前方で曇りの除去および予防を良好に行うことができる。
【0047】
図4は、上記した車外監視装置10を構成するブラケット17、撮像モジュール13および撮像カバー14を上下方向に離して示す分解斜視図である。
【0048】
ブラケット17は、所定形状に成形された合成樹脂板からなり、その前端部に反射抑制部材18が取り付けられている。
【0049】
撮像モジュール13は、モジュール基板30と、モジュール基板30の左右方向両端に取り付けられた撮像部28と、モジュール基板30の上面に実装された画像処理素子32と、モジュール基板30の下面に取り付けられた送風ファン15と、を主要に有している。
【0050】
モジュール基板30は、例えば、アルミニウムの金属板等から成る基板であり、撮像モジュール13を全体的に支える。モジュール基板30は、左右方向に沿って長手方向を有する略長方形形状を呈している。モジュール基板30には、画像処理素子32および送風ファン15に加えて、他の半導体素子、抵抗、コンデンサ、各種センサ、これらを相互に接続する配線部材等が実装される。
【0051】
撮像部28は、モジュール基板30の左右方向端部に取り付けられており、上記した撮像素子29およびレンズ等が内蔵されている。
【0052】
画像処理素子32は、上記したように、撮像素子29で撮影した画像データに基づいて所定の画像処理を行う半導体素子である。画像処理素子32は、例えば、左右方向に於いて、モジュール基板30の略中央に配置されている。また、画像処理素子32を冷却するための放熱フィンが、画像処理素子32に取り付けられても良い。
【0053】
送風ファン15は、例えば、軸流ファンまたは遠心ファンであり、上記した吸気口20から車室内の空気を取り込み、その空気を送風する。送風ファン15は、上記した温度検出素子33で検出した画像処理素子32の温度が所定の温度以上あった場合に、画像処理素子32を冷却するべく回転して送風する。
【0054】
撮像カバー14は、上記した撮像モジュール13および反射抑制部材18を、下方からカバーする略蓋形状の保護部材である。撮像カバー14の左右方向の両端部は、前方に向かって延伸している。撮像カバー14の左右端部および前方端部は、上記したブラケット17の左右端部および前方端部と一致している。よって、撮像モジュール13は、ブラケット17と反射抑制部材18とで囲まれる空間に収納される。また、撮像カバー14の一部を上方に向かって壁状に突出させることで、内側風路壁22が形成されている。内側風路壁22は、撮像カバー14の内部に風路を形成するための部材であり、その詳細は後述する。
【0055】
図5を参照して、撮像カバー14の構成を詳述する。この図では、撮像カバー14を上方後側から見た斜視図を示している。
【0056】
この図を参照して、撮像カバー14の左右方向中央部には吸気口20が形成されており、吸気口20から右方前側および左方前側に伸びる風路である供給風路16が形成されている。供給風路16は外側風路壁21および内側風路壁22で挟まれる空間として形成されている。外側風路壁21および内側風路壁22は、撮像カバー14の底部を部分的に壁状に突出させた部位である。また、撮像カバー14の前端付近に於いて、外側風路壁21および内側風路壁22は連続している。このことから、供給風路16は、外側風路壁21および内側風路壁22でほぼ完全に囲まれた空間として形成される。
【0057】
吸気口20が形成された部分の供給風路16の前後方向の幅は、他の部分の供給風路16の前後方向の幅よりも広くされている。このようにすることで、吸気口20から多くの空気を取り入れ、画像処理素子32をより効果的に冷却することができる。更に、この冷却により高温に暖められた暖気を、供給風路16を経由してフロントガラス12に送風できることから、フロントガラス12の曇りを防止する効果を大きくすることができる。
【0058】
外側風路壁21の右方側に於いて、前方先端部分の突出高さを低くすることで、低壁部27が形成されている。同様に、外側風路壁21の左方側に於いて、前方先端部分の突出高さを低くすることで、低壁部26が形成されている。後述するように、外側風路壁21および内側風路壁22は、これらの部位の上端がモジュール基板30、ブラケット17または反射抑制部材18に当接することで、閉風路である供給風路16を形成している。一方、低壁部26および低壁部27の上端部は、モジュール基板30等には到達しない。このように構成することで、低壁部26および低壁部27とモジュール基板30等との間に、供給風路16を流通した空気を前方に向かって吹き出す吹出部位が形成される。
【0059】
上記のように撮像カバー14に外側風路壁21および内側風路壁22を形成することで、撮像カバー14全体の剛性を高めることができる。よって、衝突事故が発生した際に撮像カバー14が破損してしまうことを抑制し、破損した撮像カバー14により乗員が負傷してしまうことを防止することができる。
【0060】
図6を参照して、撮像カバー14の内部に於ける風路構成を詳述する。
図6(A)は14を上側後方から見た斜視図であり、
図6(B)は撮像カバー14を上側前方から見た斜視図である。
【0061】
図6(A)および
図6(B)を参照して、この図では、上記した送風ファン15で送風される風路24および風路25を一点鎖線で示している。風路24は上記した供給風路16を左方側に流通する風路である。具体的には、風路24は、吸気口20から左方に向かって進行し、前方に向かって略直角に風路方向を変更し、低壁部26の上方を乗り越え、ここでは図示しないフロントガラス12に向かって送風される。一方、風路25は、供給風路16を右方側に流通する風路である。具体的には、風路25は、吸気口20から右方に向かって進行し、前方に向かって略直角に風路方向を変更し、低壁部27の上方を乗り越え、ここでは図示しないフロントガラス12に向かって送風される。
【0062】
図7を参照して、上記した風路24および風路25を詳述する。
図7(A)は、車外監視装置10を後方上側から見た斜視図であり、
図7(B)は車外監視装置10を前方上側から見た斜視図である。この図では、上記したブラケット17は図示していない。
【0063】
図7(A)を参照して、風路24および風路25の後方部分は、モジュール基板30で上方から覆われている。換言すると、風路24および風路25の後方部分は、下面が撮像カバー14の底面から構成され、前方側面が内側風路壁22で構成され、後方側面が外側風路壁21で構成され、上面がモジュール基板30で構成される。
【0064】
モジュール基板30の上面には、動作時に発熱する画像処理素子32が実装されている。モジュール基板30の長手方向下面に沿って風路24および風路25を形成することで、送風される空気とモジュール基板30とが熱交換する時間を長くすることができ、モジュール基板30を経由して画像処理素子32を効率的に冷却することができる。
【0065】
また、内側風路壁22の前方部分は、ここでは図示しないブラケット17の下面に当接している。また、外側風路壁21の前方部分は、ここでは図示しない反射抑制部材18の下面に当接している。かかる構成で、風路24および風路25の前方部分が形成されている。
【0066】
図7(B)を参照して、上記した風路24は、左方の反射抑制部材18の内側側面に形成されたスリット19から、反射抑制部材18の上面に向かって形成されている。即ち、スリット19から吹き出された空気は、反射抑制部材18とフロントガラス12(ここでは図示しない)との間隙に導入される。同様に、風路25は、右方の反射抑制部材18の内側側面に形成されたスリット19(ここでは図示しない)から、反射抑制部材18とフロントガラス12(ここでは図示しない)との間に向かっている。風路24および風路25を構成する暖気は、反射抑制部材18の前方のフロントガラス12を暖め、フロントガラス12が曇ることを防止する。
【0067】
ここで、送風ファン15は、車外監視装置10の左右方向に於ける略中央に配設されている。換言すると、送風ファン15は、撮像素子29同士の間の略中央に配置されている。従って、風路24の風量と風路25の風量とを同等にすることができ、同程度に暖められた空気を風路24および風路25に供給することができる。よって、個々の撮像素子29の近傍に於いて、曇り除去の効果を均等且つ充分に奏することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態を示したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0069】
例えば、
図3を参照して、撮像カバー14とルームミラーとを一体化し、または、撮像カバー14とルームミラーとを結合しても良い。このようにすることで、ルームミラーのカバーに上記した吸気口20を形成することで、車室側から吸気口20が視認されなくなり、車外監視装置10の意匠性を向上することができる。